JP2004201720A - 画像処理装置、画像処理方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】キャリブレーション直後のパッチ部分の測定濃度値を用いて、フィルムの仕上がりを適正な濃度とすることができる画像処理装置、画像処理方法及びプログラムの提供。
【解決手段】試験用画像データ又は診断用画像データに基づいて、診断用画像データが指定する濃度をフィルム上に再現するように画像信号と濃度とを関連づけるルックアップテーブルを作成するキャリブレーション手段と、キャリブレーション手段でルックアップテーブルを作成した後、補正手段で補正する前に、測定濃度値に基づいて比較用濃度値を修正する修正手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【選択図】 図4
【解決手段】試験用画像データ又は診断用画像データに基づいて、診断用画像データが指定する濃度をフィルム上に再現するように画像信号と濃度とを関連づけるルックアップテーブルを作成するキャリブレーション手段と、キャリブレーション手段でルックアップテーブルを作成した後、補正手段で補正する前に、測定濃度値に基づいて比較用濃度値を修正する修正手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関し、詳しくは画像形成するときのフィルムの仕上がりを適正な濃度とすることができる画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
医療用レーザイメージャ(画像処理装置)には、診断画像を濃淡階調で表現するため濃度を常に安定して出力するという基本機能に対する要望が非常に強い。
【0003】
また、医療用レーザイメージャには、診断装置や撮影装置から送られるデジタル・ビデオの信号(指定濃度信号)がフィルム上で一定濃度となるように画像形成部分を制御するため、いわゆるキャリブレーション機能が設けられている。
【0004】
しかし、キャリブレーションを実施した直後は一定濃度が得られるが、キャリブレーション後の時間経過に伴って、様々な要因で濃度が変動する。特に、熱現像機を用いた画像処理プロセスでは濃度変動が発生し易く、例えば、次のような原因による濃度変動が考えられる。
(1)機内温度上昇に伴う露光系変動(例えばAOM光量やLD波長変動)
(2)フィルム処理に伴う熱現像冷却搬送部温度上昇などの熱現像特性の変動
(3)機内に保存されたフィルムの感度特性変動
(4)フィルム処理に伴う脂肪酸付着等による熱現像ドラムの特性変化
(5)熱現像特性の違うフィルムの使用
このため、露光・現像されたフィルムの仕上がり濃度を測定し、次以降の画像形成ヘフィードバック(必要により「FB」と略す)補正をかける、いわゆる濃度パッチ方式が用いられることがある。このような濃度パッチ方式として、熱現像後のフィルム濃度を透過型センサーで濃度測定し、結果をレーザー光量にフィードバックするレーザ記録装置(画像処理装置)が知られている。
【0005】
このパッチ濃度方式とは、フィルムの所定箇所に5×10mm程度の矩形状エリアを、予め定めた光量で露光し、このエリア(パッチ部分とも言う)の仕上がり濃度を測定し、本来得られるはずの濃度(以下、「比較用濃度」という)との差分を基に、次以降の画像を最適濃度にすべく、FB補正し、露光量及び/又は熱現像条件を可変するものである。
【0006】
従って、この比較用濃度値の設定を間違えると、プロセス系は適性画像(濃度)を再現しているにも係わらず、補正系は不適と判断しプロセス系の条件変更行う為、結果として濃度低下や濃度上昇を生じることになる。
【0007】
しかし、このような、パッチ濃度方式によって、濃度の補正を行っても、濃度低下や濃度上昇の問題を生じることがあった。
【0008】
【特許文献1】特開昭62−249138号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者は、かかる問題は▲1▼比較用濃度との差分を求めるための仕上がり濃度を測定するためのパッチ部分が、通常の画像に影響のないようにフィルムの先端に形成されること、▲2▼加熱ドラムから剥離され、冷却搬送部に向かう途中のフィルム姿勢が機械毎に一定では無く、ドラムの使用に伴うドラム加熱特性(現像特性)の変化によっても変動すること(特に表面にシリコン層を設けたドラムは使用に伴う表面汚れ付着等でこの現象は顕著である。)、▲3▼例えば図8に示すように、フィルム種別が異なるフィルムAとフィルムBでは、フィルムの先端部分の感度とフィルムの中心部分の感度が異なる場合があることが原因となっていることを見出し、本発明に至った。
【0010】
そこで、本発明の課題は、キャリブ直後のパッチ部分の測定濃度値を用いて、比較用濃度値を自動修正することにより、画像処理装置の変動があったり、フィルム種別(フィルム特性)の異なるフィルムを用いた場合でも、デフォルト値が自動修正され、フィルムの仕上がりを適正な濃度とすることができる画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供することを課題とする。
【0011】
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかになる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0013】
(請求項1)試験用画像データ又は診断用画像データに基づいてフィルムを露光し、画像形成を行う露光手段と、当該露光されたフィルムを現像可視化する現像手段と、前記露光手段で露光され、前記現像手段で現像されたフィルムの濃度を測定する測定手段と、前記試験用画像データとその試験用画像データによってフィルムに露光され現像された画像の前記測定手段で測定した濃度とに基づいて診断用画像データが指定する濃度をフィルム上に再現するように画像信号と濃度とを関連づけるルックアップテーブルを作成するキャリブレーション手段と、前記診断用画像データにより診断画像を形成するときに診断画像と同じルックアップテーブルに基づいてフィルムの一部領域を所定の濃度を再現するように露光し、その一部領域を濃度測定して得られた測定濃度値と、所定の露光量に対応する比較用濃度値との差分に基づいて次以降のフィルムの濃度が最適化するように前記露光手段における露光条件を補正する補正手段とを有する画像処理装置であって、前記キャリブレーション手段でルックアップテーブルを作成した後、前記補正手段で補正する前に、前記測定濃度値に基づいて前記比較用濃度値を修正する修正手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【0014】
(請求項2)前記修正手段は、前記測定濃度値に基づく前記比較用濃度値の修正を前記キャリブレーション手段でルックアップテーブルを作成後の所定時間内の画像形成時に行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【0015】
(請求項3)前記比較用濃度値は、1.5であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【0016】
(請求項4)試験用画像データ又は診断用画像データに基づいてフィルムを露光し、画像形成を行う露光工程と、当該露光されたフィルムを現像可視化する現像工程と、前記露光工程で露光され、前記現像工程で現像されたフィルムの濃度を測定する測定工程と、前記試験用画像データとその試験用画像データによってフィルムに露光され現像された画像の前記測定手段で測定した濃度とに基づいて診断用画像データが指定する濃度をフィルム上に再現するように画像信号と濃度とを関連づけるルックアップテーブルを作成するキャリブレーション工程と、前記診断用画像データにより診断画像を形成するときに診断画像と同じルックアップテーブルに基づいてフィルムの一部領域を所定の濃度を再現するように露光し、その一部領域を濃度測定して得られた測定濃度値と、所定の露光量に対応する比較用濃度値との差分に基づいて次以降のフィルムの濃度が最適化するように前記露光工程における露光条件を補正する補正工程とを有する画像処理方法であって、前記キャリブレーション工程でルックアップテーブルを作成した後、前記補正工程で補正する前に、前記測定濃度値に基づいて前記比較用濃度値を修正する修正工程を有することを特徴とする画像処理方法。
【0017】
(請求項5)前記修正工程は、前記測定濃度値に基づく前記比較用濃度値の修正を前記キャリブレーション工程でルックアップテーブルを作成後の所定時間内の画像形成時に行うことを特徴とする請求項4記載の画像処理方法。
【0018】
(請求項6)前記比較用濃度値は、1.5であることを特徴とする請求項4又は5記載の画像処理方法。
【0019】
(請求項7)請求項4乃至請求項6の何れかに記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、画像処理装置内に格納されることを特徴とするプログラム。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
【0021】
本発明は画像処理装置の制御に特徴を有するものであるが、かかる制御の前提となる画像処理装置の装置構成について始めに説明しておく。
【0022】
図1は本発明に係る画像処理装置の構成の一例を示す要部正面図であり、図2は図1の画像処理装置の露光部を概略的に示す図である。
【0023】
図1に示すように、画像処理装置100は、シート状の熱現像感光材料であるフィルムを所定枚数でバーケージした包装体を装填する第1及び第2の装填部11、12と、フィルムを1枚づつ露光・現像のために搬送し供給するサプライ部90とを有する供給部110と、供給部110から給送されたフィルムを露光し潜像を形成する露光手段である露光部120と、潜像を形成されたフィルムを熱現像する現像手段である現像部130と、現像されたフィルムの濃度を測定し濃度情報を得る測定手段の一例である濃度計200と、を備える。
【0024】
供給部110の第1及び第2の装填部11、12からフィルムが1枚づつサプライ部90、搬送ローラ対39、41、141により、図1の矢印方向(1)に搬送されるようになっている。
【0025】
次に、図2に示すように、露光部120は画像データ信号に基づき強度変調された波長780〜860nm範囲内の所定波長のレーザ光Lを、回転多面鏡113によって偏向して、フィルムF上を主走査すると共に、フィルムFをレーザ光Lに対して主走査の方向と略直角な方向であるほぼ水平方向に相対移動させることにより副走査し、レーザ光Lを用いてフィルムFに潜像を形成するものである。
【0026】
露光部120のより具体的な構成を以下に述べる。図2において、画像信号出力装置121から出力されたデジタル信号である画像信号Sを受信すると、画像信号Sは、D/A変換器122においてアナログ信号に変換され、変調回路123に入力される。変調回路123は、かかるアナログ信号に基づきレーザ光源部110aのドライバ124を制御して、レーザ光源部110aから変調されたレーザ光Lを照射させる。また、高周波重畳部118により変調回路123及びドライバ124を介してレーザ光に高周波成分を重畳してフィルムにおける干渉縞の形成を防止する。
【0027】
また、露光部120のレンズ112とレーザ光源部110aとの間に、音響光学変調器88を配置している。この音響光学変調器88は、変調量を調整する補正手段300からの信号に基づいて音響光学変調(AOM)ドライバ89により制御され駆動される。
【0028】
補正手段300は、制御部99からの補正信号に基づいて露光時に最適な変調量(入射光量に対する出射光量の比率)になるようにAOMドライバ89を介して音響光学変調素子88を制御する。
【0029】
次に、レーザ光源部110aから照射され音響光学変調素子88で光量が適正に調整されたレーザ光Lは、レンズ112を通過した後、シリンドリカルレンズ115により上下方向にのみ収束されて、図2の矢印A方向に回転する回転多面鏡113に対し、その駆動軸に垂直な線像として入射するようになっている。回転多面鏡113はレーザ光Lを主走査方向に反射偏向し、偏向されたレーザ光Lは、4枚のレンズを組み合わせてなるシリンドリカルレンズを含むfθレンズ114を通過した後、光路上に主走査方向に延在して設けられたミラー116で反射されて、搬送装置142により矢印Y方向に搬送されている(副走査されている)フィルムFの被走査面117上を、矢印X方向に繰り返し主走査される。これにより、レーザ光LはフィルムF上の被走査面117全面にわたって走査する。
【0030】
fθレンズ114のシリンドリカルレンズは、入射したレーザ光LをフィルムFの被走査面上に、副走査方向にのみ収束させるものとなっており、またfθレンズ114からフィルムFの被走査面までの距離は、fθレンズ114全体の焦点距離と等しくなっている。このように、露光部120においては、シリンドリカルレンズ115及びシリンドリカルレンズを含むfθレンズ114を配設しており、レーザ光Lが回転多面鏡113上で一旦副走査方向にのみ収束させるようになっているので、回転多面鏡113に面倒れや軸プレが生じても、フィルムFの被走査面上において、レーザ光Lの走査位置が副走査方向にずれることがなく、等ピッチの走査線を形成することができるようになっている。回転多面鏡113は、例えばガルバノメータミラー等、その他の光偏光器に比べ走査安定性の点で優れているという利点がある。以上のようにして、フィルムFに画像信号Sに基づく潜像が形成される。
【0031】
次に、図1の画像処理装置の現像部130について説明する。図1に示すように、現像部130はフィルムFを外周に保持しつつ加熱可能なドラム14と、ドラム14との間でフィルムを挟んで保持する複数のロール16とを有する。ドラム14は、ヒータ(図示省略)を内部に備え、フィルムFを所定の最低熱現像温度(例えば110℃前後)以上の温度に所定の熱現像時間維持することでフィルムFを熱現像する。これによって、上述の露光部120でフィルムFに形成された潜像を可視画像として形成する。また、ドラム14のヒータは、後述する制御部で制御され、ヒータの温度を変えて現像温度を変えることで濃度調整を行うことができる。
【0032】
熱現像部130の左側方には、複数の搬送ローラ対144及び濃度計200を内部に備えるとともに加熱されたフィルムを冷却するための冷却搬送部150が設けられている。加熱ドラム14から離れたフィルムFを冷却搬送部150で図1の矢印(3)に示すように左斜め下方に搬送しつつ、冷却する。そして、搬送ローラ対144が冷却されたフィルムFを搬送しつつ、濃度計200がフィルムFの濃度を測定する。その後、複数の搬送ローラ対144は、フィルムFを図1の矢印(4)のように更に搬送し、画像処理装置100の上部から取り出せるように、熱現像装置100の右上方部に設けられた排出トレイ160に排出する。
【0033】
図3は、図1の冷却搬送部150において加熱ドラム14の近傍に配置されたガイド部材21を示す要部正面図である。図3に示すように、ガイド部材21は、フィルムFを案内する案内面30を構成しかつ不織布からなり断熱性を有する第1部材22と、第1部材22の下面に一体的に設けられアルミニウム等の金属材料からなり熱導伝性の第2部材23と、から構成されている。ガイド部材21は、図3の破線で示すフィルムFが加熱ドラム14と案内ローラ16との間で搬送されて外周面14aから離れた後に最初に熱導伝性の第2部材23に達する。次いで案内面30に沿って案内される。
【0034】
図1の濃度計200は、発光部200aと受光部200bとを備え、現像後のフィルムが発光部200aと受光部200bとの間を上述のように搬送され、通過する際に、発光部200aから照射した光を、フィルムを通して受光部200bで受け、その受光量の減衰の程度に基づいて濃度を測定するようになっている。
【0035】
次に、図1の画像処理装置を用いて本発明の特徴となる機能について以下説明する。かかる機能は、画像処理装置内の図示しないフラッシュROM等の所定の記憶装置内に予め格納されたソフトウエアプログラム(プログラム)によって制御されることにより実現するものである。本発明の画像処理装置は、内部に図示しないCPUを含んだマイクロコンピュータ(コンピュータ)を備えており、かかるコンピュータによりプログラムの処理を行うことにより以下の機能は実行される。
【0036】
図4は、本発明の本発明の画像処理方法を実施するための画像処理装置の機能を説明するためのブロック図であり、図5は、図4に示す画像処理装置による処理を説明するためのフロー図である。
【0037】
本発明の画像処理装置は、図4に示すように、露光工程を実施するための露光手段120、現像工程を実施するための現像手段130、測定工程を実施するための測定手段200、キャリブレーション工程を実施するためのキャリブレーション手段400、補正工程を実施するための補正手段300、修正工程を実施するための修正手段500を備えている。
【0038】
図5に示すように、試験用画像データを露光手段120により露光し、現像手段130により現像する(S1)。
【0039】
試験用画像データは、様々な値の画像信号を含んでおり、その画像信号に応じた画像濃度がS1においてフィルムに露光・現像される。
【0040】
次いで、測定手段200において、前記露光手段120で露光され、前記現像手段130で現像されたフィルムの濃度を測定する(S2)。このとき、測定される濃度は、試験用画像データに基づく画像信号によりフィルムに露光され、現像されたものである。
【0041】
S2において濃度が測定されると、キャリブレーション手段400において、前記試験用画像データとその試験用画像データによってフィルムに露光され現像された画像の前記測定手段で測定した濃度とに基づいて診断用画像データが指定する濃度をフィルム上に再現するように画像信号と濃度とを関連づけるルックアップテーブル(LUT)を作成する(S3)。具体的には、前記測定手段で測定した濃度をフィルム上に形成する際の画像信号の値を前記試験用データから特定することにより行うことができる。LUTは、例えば、図6に示すような形で表わされる。
【0042】
S3でLUTが作成されると、該LUTに基づいて診断画像データの画像形成を行うことができるので、診断画像データを露光手段120で露光し、現像手段130で現像する(S4)。S4の診断画像データの画像形成は、診断画像を形成するのと同時に、診断画像と同じルックアップテーブルに基づいてフィルムの一部領域を所定の濃度を再現するように露光する。該画像形成するフィルムの一部とは、図7に示すフィルムFにおけるF1のような画像形成領域F2の端部の形成される領域であり、例えば5×10mm程度の領域が用いられる。
【0043】
次いで、S3におけるLUTの作成の時刻から所定時間内か否かが判断される(S5)ことが好ましい。LUTの作成の時刻から所定時間以上が経過すると、プロセス変化との乖離が生じる場合もあるからである。
【0044】
一方、S5において所定時間内であると判断された場合は、修正手段500において前記測定濃度値に基づいて前記比較用濃度値を修正する(S6)。例えば、測定濃度値が1.3であり、比較用濃度値が1.5である場合、修正後の比較用濃度値は、例えば次式
(修正後の比較用濃度値)=(修正前の比較用濃度値)+
(修正率)×(測定濃度値−比較用濃度値)
で、求めることができる。このとき修正率は、装置特性を踏まえ適宜選択すればよい。このとき修正率が0.5であるとすると、求めるべき比較用濃度値は、前記式より、1.5+0.5×(1.5−1.3)で求められ、修正後の比較用濃度値は1.4となる。
【0045】
S5において所定時間内でないと判断された場合又はS6の処理の後、補正手段300において、前記一部領域を濃度測定して得られた測定濃度値と、所定の露光量に対応する比較用濃度値との差分に基づいて次以降のフィルムの濃度が最適化するように露光手段120における露光条件の補正が行われる(S7)。比較用濃度値とは、S4の処理においてフィルムの一部領域に所定の濃度を再現するように露光する際の、該所定の濃度のことである。この比較用濃度値は、1.5であることが好ましい。S6の補正は、例えば、測定濃度値が1.8であり、比較用濃度値が1.5である場合に、両濃度値の差分である0.3だけ濃度値が低くなるように、次以降のフィルムの濃度が最適化するように露光手段120における露光条件の補正を行う。
【0046】
補正手段300におけるS7の処理の後、診断画像データがあるかが判断され(S8)、診断画像データがある場合は、S4の露光及び現像の処理に戻る。
【0047】
S4乃至S8の処理が繰り返される度に、S5においてLUTの作成した時刻から所定時間内でないと判断されるまで、前記修正手段500による修正が繰り返される。これにより、平均的な修正量に基づいて修正されるので、突発的な変動による影響がない。
【0048】
このように、本発明は、LUTを作成後のパッチ濃度を修正手段500により自動的に修正することができる。これにより、例えばフィルム種別を変える場合に発生する、パッチ部分と診断画像形成部分との特性変化に起因する濃度の上昇や低下や画像処理装置の変動による濃度上昇や濃度低下をサービスマンによらず自動的に比較用濃度値のデフォルト値の変更を行うことによりフィルムの仕上がりを適正な濃度とすることができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、キャリブ直後のパッチ部分の測定濃度値をを用いて、比較用濃度値を自動修正することにより、画像処理装置の変動があったり、フィルム種別(フィルム特性)の異なるフィルムを用いた場合でも、デフォルト値が自動修正され、フィルムの仕上がりを適正な濃度とすることができる画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像処理装置の一構成例を示す要部正面図
【図2】図1の画像処理装置の露光部を概略的に示す図
【図3】図1の冷却搬送部において加熱ドラムの近傍に配置されたガイド部材を示す要部正面図
【図4】本発明の本発明の画像処理方法を実施するための画像処理装置の機能を説明するためのブロック図
【図5】図4に示す画像処理装置による処理を説明するためのフロー図
【図6】LUTの一例を示す
【図7】フィルムの画像領域と一部領域を示す図
【図8】フィルム種別による感度の差を示す図
【符号の説明】
100:画像処理装置
110:供給部
120:露光部(露光手段)
130:現像部(現像手段)
150:冷却搬送部
200:濃度計(測定手段)
300:補正手段
400:キャリブレーション手段
500:修正手段
11:第1の装填部
12:第2の装填部
14:ドラム
88:音響光学変調器
89:AOMドライバ
99:制御部
110a:レーザ光源部
F:フィルム
S:画像信号(診断画像信号)
【発明の属する技術分野】
本発明は画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関し、詳しくは画像形成するときのフィルムの仕上がりを適正な濃度とすることができる画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
医療用レーザイメージャ(画像処理装置)には、診断画像を濃淡階調で表現するため濃度を常に安定して出力するという基本機能に対する要望が非常に強い。
【0003】
また、医療用レーザイメージャには、診断装置や撮影装置から送られるデジタル・ビデオの信号(指定濃度信号)がフィルム上で一定濃度となるように画像形成部分を制御するため、いわゆるキャリブレーション機能が設けられている。
【0004】
しかし、キャリブレーションを実施した直後は一定濃度が得られるが、キャリブレーション後の時間経過に伴って、様々な要因で濃度が変動する。特に、熱現像機を用いた画像処理プロセスでは濃度変動が発生し易く、例えば、次のような原因による濃度変動が考えられる。
(1)機内温度上昇に伴う露光系変動(例えばAOM光量やLD波長変動)
(2)フィルム処理に伴う熱現像冷却搬送部温度上昇などの熱現像特性の変動
(3)機内に保存されたフィルムの感度特性変動
(4)フィルム処理に伴う脂肪酸付着等による熱現像ドラムの特性変化
(5)熱現像特性の違うフィルムの使用
このため、露光・現像されたフィルムの仕上がり濃度を測定し、次以降の画像形成ヘフィードバック(必要により「FB」と略す)補正をかける、いわゆる濃度パッチ方式が用いられることがある。このような濃度パッチ方式として、熱現像後のフィルム濃度を透過型センサーで濃度測定し、結果をレーザー光量にフィードバックするレーザ記録装置(画像処理装置)が知られている。
【0005】
このパッチ濃度方式とは、フィルムの所定箇所に5×10mm程度の矩形状エリアを、予め定めた光量で露光し、このエリア(パッチ部分とも言う)の仕上がり濃度を測定し、本来得られるはずの濃度(以下、「比較用濃度」という)との差分を基に、次以降の画像を最適濃度にすべく、FB補正し、露光量及び/又は熱現像条件を可変するものである。
【0006】
従って、この比較用濃度値の設定を間違えると、プロセス系は適性画像(濃度)を再現しているにも係わらず、補正系は不適と判断しプロセス系の条件変更行う為、結果として濃度低下や濃度上昇を生じることになる。
【0007】
しかし、このような、パッチ濃度方式によって、濃度の補正を行っても、濃度低下や濃度上昇の問題を生じることがあった。
【0008】
【特許文献1】特開昭62−249138号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者は、かかる問題は▲1▼比較用濃度との差分を求めるための仕上がり濃度を測定するためのパッチ部分が、通常の画像に影響のないようにフィルムの先端に形成されること、▲2▼加熱ドラムから剥離され、冷却搬送部に向かう途中のフィルム姿勢が機械毎に一定では無く、ドラムの使用に伴うドラム加熱特性(現像特性)の変化によっても変動すること(特に表面にシリコン層を設けたドラムは使用に伴う表面汚れ付着等でこの現象は顕著である。)、▲3▼例えば図8に示すように、フィルム種別が異なるフィルムAとフィルムBでは、フィルムの先端部分の感度とフィルムの中心部分の感度が異なる場合があることが原因となっていることを見出し、本発明に至った。
【0010】
そこで、本発明の課題は、キャリブ直後のパッチ部分の測定濃度値を用いて、比較用濃度値を自動修正することにより、画像処理装置の変動があったり、フィルム種別(フィルム特性)の異なるフィルムを用いた場合でも、デフォルト値が自動修正され、フィルムの仕上がりを適正な濃度とすることができる画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供することを課題とする。
【0011】
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかになる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0013】
(請求項1)試験用画像データ又は診断用画像データに基づいてフィルムを露光し、画像形成を行う露光手段と、当該露光されたフィルムを現像可視化する現像手段と、前記露光手段で露光され、前記現像手段で現像されたフィルムの濃度を測定する測定手段と、前記試験用画像データとその試験用画像データによってフィルムに露光され現像された画像の前記測定手段で測定した濃度とに基づいて診断用画像データが指定する濃度をフィルム上に再現するように画像信号と濃度とを関連づけるルックアップテーブルを作成するキャリブレーション手段と、前記診断用画像データにより診断画像を形成するときに診断画像と同じルックアップテーブルに基づいてフィルムの一部領域を所定の濃度を再現するように露光し、その一部領域を濃度測定して得られた測定濃度値と、所定の露光量に対応する比較用濃度値との差分に基づいて次以降のフィルムの濃度が最適化するように前記露光手段における露光条件を補正する補正手段とを有する画像処理装置であって、前記キャリブレーション手段でルックアップテーブルを作成した後、前記補正手段で補正する前に、前記測定濃度値に基づいて前記比較用濃度値を修正する修正手段を有することを特徴とする画像処理装置。
【0014】
(請求項2)前記修正手段は、前記測定濃度値に基づく前記比較用濃度値の修正を前記キャリブレーション手段でルックアップテーブルを作成後の所定時間内の画像形成時に行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【0015】
(請求項3)前記比較用濃度値は、1.5であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【0016】
(請求項4)試験用画像データ又は診断用画像データに基づいてフィルムを露光し、画像形成を行う露光工程と、当該露光されたフィルムを現像可視化する現像工程と、前記露光工程で露光され、前記現像工程で現像されたフィルムの濃度を測定する測定工程と、前記試験用画像データとその試験用画像データによってフィルムに露光され現像された画像の前記測定手段で測定した濃度とに基づいて診断用画像データが指定する濃度をフィルム上に再現するように画像信号と濃度とを関連づけるルックアップテーブルを作成するキャリブレーション工程と、前記診断用画像データにより診断画像を形成するときに診断画像と同じルックアップテーブルに基づいてフィルムの一部領域を所定の濃度を再現するように露光し、その一部領域を濃度測定して得られた測定濃度値と、所定の露光量に対応する比較用濃度値との差分に基づいて次以降のフィルムの濃度が最適化するように前記露光工程における露光条件を補正する補正工程とを有する画像処理方法であって、前記キャリブレーション工程でルックアップテーブルを作成した後、前記補正工程で補正する前に、前記測定濃度値に基づいて前記比較用濃度値を修正する修正工程を有することを特徴とする画像処理方法。
【0017】
(請求項5)前記修正工程は、前記測定濃度値に基づく前記比較用濃度値の修正を前記キャリブレーション工程でルックアップテーブルを作成後の所定時間内の画像形成時に行うことを特徴とする請求項4記載の画像処理方法。
【0018】
(請求項6)前記比較用濃度値は、1.5であることを特徴とする請求項4又は5記載の画像処理方法。
【0019】
(請求項7)請求項4乃至請求項6の何れかに記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、画像処理装置内に格納されることを特徴とするプログラム。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
【0021】
本発明は画像処理装置の制御に特徴を有するものであるが、かかる制御の前提となる画像処理装置の装置構成について始めに説明しておく。
【0022】
図1は本発明に係る画像処理装置の構成の一例を示す要部正面図であり、図2は図1の画像処理装置の露光部を概略的に示す図である。
【0023】
図1に示すように、画像処理装置100は、シート状の熱現像感光材料であるフィルムを所定枚数でバーケージした包装体を装填する第1及び第2の装填部11、12と、フィルムを1枚づつ露光・現像のために搬送し供給するサプライ部90とを有する供給部110と、供給部110から給送されたフィルムを露光し潜像を形成する露光手段である露光部120と、潜像を形成されたフィルムを熱現像する現像手段である現像部130と、現像されたフィルムの濃度を測定し濃度情報を得る測定手段の一例である濃度計200と、を備える。
【0024】
供給部110の第1及び第2の装填部11、12からフィルムが1枚づつサプライ部90、搬送ローラ対39、41、141により、図1の矢印方向(1)に搬送されるようになっている。
【0025】
次に、図2に示すように、露光部120は画像データ信号に基づき強度変調された波長780〜860nm範囲内の所定波長のレーザ光Lを、回転多面鏡113によって偏向して、フィルムF上を主走査すると共に、フィルムFをレーザ光Lに対して主走査の方向と略直角な方向であるほぼ水平方向に相対移動させることにより副走査し、レーザ光Lを用いてフィルムFに潜像を形成するものである。
【0026】
露光部120のより具体的な構成を以下に述べる。図2において、画像信号出力装置121から出力されたデジタル信号である画像信号Sを受信すると、画像信号Sは、D/A変換器122においてアナログ信号に変換され、変調回路123に入力される。変調回路123は、かかるアナログ信号に基づきレーザ光源部110aのドライバ124を制御して、レーザ光源部110aから変調されたレーザ光Lを照射させる。また、高周波重畳部118により変調回路123及びドライバ124を介してレーザ光に高周波成分を重畳してフィルムにおける干渉縞の形成を防止する。
【0027】
また、露光部120のレンズ112とレーザ光源部110aとの間に、音響光学変調器88を配置している。この音響光学変調器88は、変調量を調整する補正手段300からの信号に基づいて音響光学変調(AOM)ドライバ89により制御され駆動される。
【0028】
補正手段300は、制御部99からの補正信号に基づいて露光時に最適な変調量(入射光量に対する出射光量の比率)になるようにAOMドライバ89を介して音響光学変調素子88を制御する。
【0029】
次に、レーザ光源部110aから照射され音響光学変調素子88で光量が適正に調整されたレーザ光Lは、レンズ112を通過した後、シリンドリカルレンズ115により上下方向にのみ収束されて、図2の矢印A方向に回転する回転多面鏡113に対し、その駆動軸に垂直な線像として入射するようになっている。回転多面鏡113はレーザ光Lを主走査方向に反射偏向し、偏向されたレーザ光Lは、4枚のレンズを組み合わせてなるシリンドリカルレンズを含むfθレンズ114を通過した後、光路上に主走査方向に延在して設けられたミラー116で反射されて、搬送装置142により矢印Y方向に搬送されている(副走査されている)フィルムFの被走査面117上を、矢印X方向に繰り返し主走査される。これにより、レーザ光LはフィルムF上の被走査面117全面にわたって走査する。
【0030】
fθレンズ114のシリンドリカルレンズは、入射したレーザ光LをフィルムFの被走査面上に、副走査方向にのみ収束させるものとなっており、またfθレンズ114からフィルムFの被走査面までの距離は、fθレンズ114全体の焦点距離と等しくなっている。このように、露光部120においては、シリンドリカルレンズ115及びシリンドリカルレンズを含むfθレンズ114を配設しており、レーザ光Lが回転多面鏡113上で一旦副走査方向にのみ収束させるようになっているので、回転多面鏡113に面倒れや軸プレが生じても、フィルムFの被走査面上において、レーザ光Lの走査位置が副走査方向にずれることがなく、等ピッチの走査線を形成することができるようになっている。回転多面鏡113は、例えばガルバノメータミラー等、その他の光偏光器に比べ走査安定性の点で優れているという利点がある。以上のようにして、フィルムFに画像信号Sに基づく潜像が形成される。
【0031】
次に、図1の画像処理装置の現像部130について説明する。図1に示すように、現像部130はフィルムFを外周に保持しつつ加熱可能なドラム14と、ドラム14との間でフィルムを挟んで保持する複数のロール16とを有する。ドラム14は、ヒータ(図示省略)を内部に備え、フィルムFを所定の最低熱現像温度(例えば110℃前後)以上の温度に所定の熱現像時間維持することでフィルムFを熱現像する。これによって、上述の露光部120でフィルムFに形成された潜像を可視画像として形成する。また、ドラム14のヒータは、後述する制御部で制御され、ヒータの温度を変えて現像温度を変えることで濃度調整を行うことができる。
【0032】
熱現像部130の左側方には、複数の搬送ローラ対144及び濃度計200を内部に備えるとともに加熱されたフィルムを冷却するための冷却搬送部150が設けられている。加熱ドラム14から離れたフィルムFを冷却搬送部150で図1の矢印(3)に示すように左斜め下方に搬送しつつ、冷却する。そして、搬送ローラ対144が冷却されたフィルムFを搬送しつつ、濃度計200がフィルムFの濃度を測定する。その後、複数の搬送ローラ対144は、フィルムFを図1の矢印(4)のように更に搬送し、画像処理装置100の上部から取り出せるように、熱現像装置100の右上方部に設けられた排出トレイ160に排出する。
【0033】
図3は、図1の冷却搬送部150において加熱ドラム14の近傍に配置されたガイド部材21を示す要部正面図である。図3に示すように、ガイド部材21は、フィルムFを案内する案内面30を構成しかつ不織布からなり断熱性を有する第1部材22と、第1部材22の下面に一体的に設けられアルミニウム等の金属材料からなり熱導伝性の第2部材23と、から構成されている。ガイド部材21は、図3の破線で示すフィルムFが加熱ドラム14と案内ローラ16との間で搬送されて外周面14aから離れた後に最初に熱導伝性の第2部材23に達する。次いで案内面30に沿って案内される。
【0034】
図1の濃度計200は、発光部200aと受光部200bとを備え、現像後のフィルムが発光部200aと受光部200bとの間を上述のように搬送され、通過する際に、発光部200aから照射した光を、フィルムを通して受光部200bで受け、その受光量の減衰の程度に基づいて濃度を測定するようになっている。
【0035】
次に、図1の画像処理装置を用いて本発明の特徴となる機能について以下説明する。かかる機能は、画像処理装置内の図示しないフラッシュROM等の所定の記憶装置内に予め格納されたソフトウエアプログラム(プログラム)によって制御されることにより実現するものである。本発明の画像処理装置は、内部に図示しないCPUを含んだマイクロコンピュータ(コンピュータ)を備えており、かかるコンピュータによりプログラムの処理を行うことにより以下の機能は実行される。
【0036】
図4は、本発明の本発明の画像処理方法を実施するための画像処理装置の機能を説明するためのブロック図であり、図5は、図4に示す画像処理装置による処理を説明するためのフロー図である。
【0037】
本発明の画像処理装置は、図4に示すように、露光工程を実施するための露光手段120、現像工程を実施するための現像手段130、測定工程を実施するための測定手段200、キャリブレーション工程を実施するためのキャリブレーション手段400、補正工程を実施するための補正手段300、修正工程を実施するための修正手段500を備えている。
【0038】
図5に示すように、試験用画像データを露光手段120により露光し、現像手段130により現像する(S1)。
【0039】
試験用画像データは、様々な値の画像信号を含んでおり、その画像信号に応じた画像濃度がS1においてフィルムに露光・現像される。
【0040】
次いで、測定手段200において、前記露光手段120で露光され、前記現像手段130で現像されたフィルムの濃度を測定する(S2)。このとき、測定される濃度は、試験用画像データに基づく画像信号によりフィルムに露光され、現像されたものである。
【0041】
S2において濃度が測定されると、キャリブレーション手段400において、前記試験用画像データとその試験用画像データによってフィルムに露光され現像された画像の前記測定手段で測定した濃度とに基づいて診断用画像データが指定する濃度をフィルム上に再現するように画像信号と濃度とを関連づけるルックアップテーブル(LUT)を作成する(S3)。具体的には、前記測定手段で測定した濃度をフィルム上に形成する際の画像信号の値を前記試験用データから特定することにより行うことができる。LUTは、例えば、図6に示すような形で表わされる。
【0042】
S3でLUTが作成されると、該LUTに基づいて診断画像データの画像形成を行うことができるので、診断画像データを露光手段120で露光し、現像手段130で現像する(S4)。S4の診断画像データの画像形成は、診断画像を形成するのと同時に、診断画像と同じルックアップテーブルに基づいてフィルムの一部領域を所定の濃度を再現するように露光する。該画像形成するフィルムの一部とは、図7に示すフィルムFにおけるF1のような画像形成領域F2の端部の形成される領域であり、例えば5×10mm程度の領域が用いられる。
【0043】
次いで、S3におけるLUTの作成の時刻から所定時間内か否かが判断される(S5)ことが好ましい。LUTの作成の時刻から所定時間以上が経過すると、プロセス変化との乖離が生じる場合もあるからである。
【0044】
一方、S5において所定時間内であると判断された場合は、修正手段500において前記測定濃度値に基づいて前記比較用濃度値を修正する(S6)。例えば、測定濃度値が1.3であり、比較用濃度値が1.5である場合、修正後の比較用濃度値は、例えば次式
(修正後の比較用濃度値)=(修正前の比較用濃度値)+
(修正率)×(測定濃度値−比較用濃度値)
で、求めることができる。このとき修正率は、装置特性を踏まえ適宜選択すればよい。このとき修正率が0.5であるとすると、求めるべき比較用濃度値は、前記式より、1.5+0.5×(1.5−1.3)で求められ、修正後の比較用濃度値は1.4となる。
【0045】
S5において所定時間内でないと判断された場合又はS6の処理の後、補正手段300において、前記一部領域を濃度測定して得られた測定濃度値と、所定の露光量に対応する比較用濃度値との差分に基づいて次以降のフィルムの濃度が最適化するように露光手段120における露光条件の補正が行われる(S7)。比較用濃度値とは、S4の処理においてフィルムの一部領域に所定の濃度を再現するように露光する際の、該所定の濃度のことである。この比較用濃度値は、1.5であることが好ましい。S6の補正は、例えば、測定濃度値が1.8であり、比較用濃度値が1.5である場合に、両濃度値の差分である0.3だけ濃度値が低くなるように、次以降のフィルムの濃度が最適化するように露光手段120における露光条件の補正を行う。
【0046】
補正手段300におけるS7の処理の後、診断画像データがあるかが判断され(S8)、診断画像データがある場合は、S4の露光及び現像の処理に戻る。
【0047】
S4乃至S8の処理が繰り返される度に、S5においてLUTの作成した時刻から所定時間内でないと判断されるまで、前記修正手段500による修正が繰り返される。これにより、平均的な修正量に基づいて修正されるので、突発的な変動による影響がない。
【0048】
このように、本発明は、LUTを作成後のパッチ濃度を修正手段500により自動的に修正することができる。これにより、例えばフィルム種別を変える場合に発生する、パッチ部分と診断画像形成部分との特性変化に起因する濃度の上昇や低下や画像処理装置の変動による濃度上昇や濃度低下をサービスマンによらず自動的に比較用濃度値のデフォルト値の変更を行うことによりフィルムの仕上がりを適正な濃度とすることができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、キャリブ直後のパッチ部分の測定濃度値をを用いて、比較用濃度値を自動修正することにより、画像処理装置の変動があったり、フィルム種別(フィルム特性)の異なるフィルムを用いた場合でも、デフォルト値が自動修正され、フィルムの仕上がりを適正な濃度とすることができる画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像処理装置の一構成例を示す要部正面図
【図2】図1の画像処理装置の露光部を概略的に示す図
【図3】図1の冷却搬送部において加熱ドラムの近傍に配置されたガイド部材を示す要部正面図
【図4】本発明の本発明の画像処理方法を実施するための画像処理装置の機能を説明するためのブロック図
【図5】図4に示す画像処理装置による処理を説明するためのフロー図
【図6】LUTの一例を示す
【図7】フィルムの画像領域と一部領域を示す図
【図8】フィルム種別による感度の差を示す図
【符号の説明】
100:画像処理装置
110:供給部
120:露光部(露光手段)
130:現像部(現像手段)
150:冷却搬送部
200:濃度計(測定手段)
300:補正手段
400:キャリブレーション手段
500:修正手段
11:第1の装填部
12:第2の装填部
14:ドラム
88:音響光学変調器
89:AOMドライバ
99:制御部
110a:レーザ光源部
F:フィルム
S:画像信号(診断画像信号)
Claims (7)
- 試験用画像データ又は診断用画像データに基づいてフィルムを露光し、画像形成を行う露光手段と、
当該露光されたフィルムを現像可視化する現像手段と、
前記露光手段で露光され、前記現像手段で現像されたフィルムの濃度を測定する測定手段と、
前記試験用画像データとその試験用画像データによってフィルムに露光され現像された画像の前記測定手段で測定した濃度とに基づいて診断用画像データが指定する濃度をフィルム上に再現するように画像信号と濃度とを関連づけるルックアップテーブルを作成するキャリブレーション手段と、
前記診断用画像データにより診断画像を形成するときに診断画像と同じルックアップテーブルに基づいてフィルムの一部領域を所定の濃度を再現するように露光し、その一部領域を濃度測定して得られた測定濃度値と、所定の露光量に対応する比較用濃度値との差分に基づいて次以降のフィルムの濃度が最適化するように前記露光手段における露光条件を補正する補正手段とを有する画像処理装置であって、
前記キャリブレーション手段でルックアップテーブルを作成した後、前記補正手段で補正する前に、前記測定濃度値に基づいて前記比較用濃度値を修正する修正手段を有することを特徴とする画像処理装置。 - 前記修正手段は、前記測定濃度値に基づく前記比較用濃度値の修正を前記キャリブレーション手段でルックアップテーブルを作成後の所定時間内の画像形成時に行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記比較用濃度値は、1.5であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
- 試験用画像データ又は診断用画像データに基づいてフィルムを露光し、画像形成を行う露光工程と、
当該露光されたフィルムを現像可視化する現像工程と、
前記露光工程で露光され、前記現像工程で現像されたフィルムの濃度を測定する測定工程と、
前記試験用画像データとその試験用画像データによってフィルムに露光され現像された画像の前記測定手段で測定した濃度とに基づいて診断用画像データが指定する濃度をフィルム上に再現するように画像信号と濃度とを関連づけるルックアップテーブルを作成するキャリブレーション工程と、
前記診断用画像データにより診断画像を形成するときに診断画像と同じルックアップテーブルに基づいてフィルムの一部領域を所定の濃度を再現するように露光し、その一部領域を濃度測定して得られた測定濃度値と、所定の露光量に対応する比較用濃度値との差分に基づいて次以降のフィルムの濃度が最適化するように前記露光工程における露光条件を補正する補正工程とを有する画像処理方法であって、
前記キャリブレーション工程でルックアップテーブルを作成した後、前記補正工程で補正する前に、前記測定濃度値に基づいて前記比較用濃度値を修正する修正工程を有することを特徴とする画像処理方法。 - 前記修正工程は、前記測定濃度値に基づく前記比較用濃度値の修正を前記キャリブレーション工程でルックアップテーブルを作成後の所定時間内の画像形成時に行うことを特徴とする請求項4記載の画像処理方法。
- 前記比較用濃度値は、1.5であることを特徴とする請求項4又は5記載の画像処理方法。
- 請求項4乃至請求項6の何れかに記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、画像処理装置内に格納されることを特徴とするプログラム。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090407 |