JP3763961B2 - ナビゲーション装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、VICS(道路交通通信システム)及びDGPS(ディファレンシャルGPS)を用いるナビゲーション装置に関し、さらに詳しくはVICS及びDGPSのデータを単一のFM多重放送受信機で受信し処理できるようにしたナビゲーション装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ナビゲーション装置においては、その機能を向上させるために、道路管理局等の各機関が収集・管理している道路交通情報を一元的に収集・処理し、ドライバーのニーズに即した道路交通情報としてリアルタイムに車載装置に提供するVICSと、基準基地局に設置したGPS受信機により該基地局とGPS衛星間の距離を測定してGPS電波の距離測定誤差を求め、この距離測定誤差をディファレンシャル補正データとして送信すると共に、この補正データを受信した車載装置で、該車載装置のGPS受信機とGPS衛星との距離測定値をディファレンシャル補正データに応じて補正することにより走行中の車両の位置を精度よく求めることができるDGPSとを備え持つ要求が高まってきている。
【0003】
これらVICS(NHK系列)とDGPS(JFN系列)とは、それぞれ単独で両者の有する相互的効果を発揮することはできない。したがって、両者の効果を両立させるためには、それぞれの放送周波数に対応する1つずつのFM多重受信機が必要になる。
【0004】
このようにVICS及びDGPS両方を備えたナビゲーションシステムを構成する場合、ナビゲーション装置本体のほかに、FM多重受信機とナビゲーション装置本体と通信インターフェースを行うためのFM多重受信モジュールが2つ必要となる。
【0005】
図17は、この種の従来のナビゲーションシステムの概略構成を示すブロック図である。図17(A)においてはVICSデータのみを受信できるように定められた周波数の放送波に同調するVICS用のFM多重受信モジュール161と、DGPSデータのみを受信できるように定められた周波数の放送波に同調するDGPS用のFM多重受信モジュール162とをナビゲーション装置本体163に対して並列に接続し、各FM多重受信モジュール161及びFM多重受信モジュール162はそれぞれのタイミング、例えば調歩同期方式などで受信したデータをナビゲーション装置本体163に送信するようにしたものである。
【0006】
また、図17(B)においては、VICS用FM多重受信モジュール161とDGPS用FM多重受信モジュール162とを縦続接続してナビゲーション装置本体163に接続し、VICS用FM多重受信モジュール161から、そのVICSデータにDGPS用FM多重受信モジュール162のDGPSデータが挟まれた調歩同期方式などで各データをナビゲーション装置本体163に送信するようにしたものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら図17に示す従来のナビゲーションシステムによれば、DGPS用及びVICS用にそれぞれFM多重受信モジュールが必要となるので、ユーザへのコスト負担と取り付けの手間が増大するという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記のような問題を解決するものであり、受信状況に応じて必要なVICS及びDGPSのデータを1台のFM多重放送受信機で取り込むことを可能にしたナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明における請求項1記載のナビゲーション装置は、衛星からの電波を受信して移動体の位置を計測すると共に、FM波で所定時間毎に更新されて送信されるDGPSデータを受信し、前記計測された移動体位置をDGPSデータに含まれるディファレンシャル補正データに応じて補正して移動体の位置を高精度に演算すると共に、システム全体を制御し管理する制御手段を有するナビゲーション装置であって、前記制御手段の制御下で、前記DGPSデータと、及び該DGPSデータと異なる周波数のFM波で所定周期で更新されて送信されるVICSデータとをそれぞれの受信周波数に所定のタイミングで切り替えることによって時分割して受信すると共に、該受信したVICS及びDGPSのデータに所定の処理を施して制御手段に送出するFM多重放送受信・処理手段を備えており、前記制御手段は、前記FM多重放送受信・処理手段で受信すべく受信周波数を切り替える頻度を、前記VICSデータ及びDGPSデータの受信状況に基づいて、所定期間内で正しく受信できるパケット又はフレーム正受信率や所定期間内でFM放送の受信電界強度の平均を測定できる時間幅で決定されるように構成したことを特徴とする。
【0010】
本発明における請求項1記載のナビゲーション装置によれば、制御手段でFM多重放送受信・処理手段を制御することにより、VICSデータ及びDGPSデータを時分割で受信することができるので、必要なVICS及びDGPSのデータの受信を1台のFM多重放送受信機で行うことができ、ひいては装置コストの低減にもつながり、さらに、VICSデータ及びDGPSデータの受信状況に応じて、それぞれの受信すべき受信周波数を切り替えてVICSデータ及びDGPSデータを時分割で取得する頻度を変化させることができ、必要なVICSデータ及びDGPSデータを確実に取得できる。
【0011】
また、本発明における請求項2記載のナビゲーション装置は、上記請求項1記載のナビゲーション装置の構成に加えて、前記FM多重放送受信・処理手段が、前記制御手段から送出される選局や受信周波数変更等の各種のコマンドを解析するコマンド解析部と、このコマンド解析部で解析された選局指令及び受信周波数変更指令により指定されたFM多重放送局を選局する選局部と、この選局部により選局されたFM多重放送局の受信周波数に同調する同調部と、この同調部で同調した放送信号からVICSデータ又はDGPSデータを取り出して復調する復調部と、この復調されたVICSデータ又はDGPSデータを処理して前記制御手段に送出するデータ処理部とから構成されることを特徴とする。
【0012】
従って、本発明における請求項2記載のナビゲーション装置によれば、VICSデータ及びDGPSデータを時分割で受信することができ、さらにはFM多重放送受信機が1台で済む。
【0013】
また、本発明における請求項3記載のナビゲーション装置は、上記請求項1又は2記載のナビゲーション装置の構成に加えて、前記制御手段は、前記FM多重放送受信・処理手段で受信されたVICSデータが所定のフレーム数又はパケット数に達した時点で、前記FM多重放送受信・処理手段にDGPSデータが受信されるべく受信周波数に切り替えてDGPSデータを受信し、この複数パケット数のDGPSデータが得られた時点でVICSデータを受信すべく、受信周波数に切り替えることを特徴とする。
【0014】
従って、本発明における請求項3記載のナビゲーション装置によれば、VICSデータが所定のフレーム数又はパケット数に達した時点で、DGPSデータが受信されるべく受信周波数に切り替えてDGPSデータを受信し、この複数パケットのDGPSデータが得られた時点でVICSデータを受信すべく、受信周波数に切り替えるようにしたので、VICSデータ及びDGPSデータを時分割で受信することができる。
【0015】
また、本発明における請求項4記載のナビゲーション装置は、上記請求項3記載のナビゲーション装置の構成に加えて、前記DGPSデータを受信すべく受信周波数が切り替えられることで欠落するVICSデータのフレーム又はパケットを、このVICSデータに続くVICSデータのフレーム又はパケットと合成することにより補完することを特徴とする。
【0016】
従って、本発明における請求項4記載のナビゲーション装置によれば、DGPSデータを受信すべく受信周波数が切り替えられた時に欠落するVICSデータのフレーム又はパケットを、該VICSデータに続くVICSデータのフレーム又はパケットと合成することで補完することができる。
【0019】
また、本発明における請求項記載のナビゲーション装置は、上記請求項記載のナビゲーション装置の構成に加えて、DGPS放送のサービスエリアから外れていくに連れて、DGPSデータが間欠的もしくは受信できなくなる場合、VICSデータパケットが終了すると予測した時刻から1フレームより長い一定時間待ってVICSデータの受信周波数に切り替えることを特徴とする。
【0020】
従って、本発明における請求項記載のナビゲーション装置によれば、DGPS放送のサービスエリアから外れていくに連れてDGPSデータを間欠的もしくは受信できない場合でも、DGPS放送のサービスを受け得る確率が向上し、測位精度を向上できる。
【0021】
また、本発明における請求項記載のナビゲーション装置は、上記請求項記載のナビゲーション装置の構成に加えて、前記制御手段は、移動体の位置と、その周辺の地図データから移動体を中心とする周囲の路線数から道路の複雑さを判定し、道路の複雑さが判定されると、路線数が少なくなるか、又はDGPSデータのみを一定時間受信するようにしたことを特徴とする。
【0022】
従って、本発明における請求項記載のナビゲーション装置によれば、移動体を中心とする周囲の路線数から道路の複雑さを判定した時に路線数が少なくなるか、または一定時間DGPSデータのみを受信することにより、GPSによる誤差を小さくすることができる。
【0023】
また、本発明における請求項記載のナビゲーション装置は、上記請求項1、3、4、5又は6記載のナビゲーション装置の構成に加えて、前記FM多重放送受信・処理手段で受信すべく受信周波数を切り替えてVICSとDGPSのデータを時分割で取得する時の時分割モードを、予め定めたフレーム数またはパケット数の周期で受信する場合を「通常モード」とし、VICSデータのサービスが失われる時に前記「通常モード」時より短い周期で受信する場合を「VICS待機モード」とし、道路が複雑であると判定されて、一定時間、DGPSデータのみを受信する場合を「連続モード」とし、時分割モードが前記「通常モード」にある時にVICSデータの受信率が低い場合は「VICS待機モード」に遷移し、また、連続受信で、かつ所定時間経過している場合は前記「連続モード」へ遷移させ、時分割モードが前記「VICS待機モード」にある時にVICSデータの受信率が高い場合は「通常モード」へ遷移し、また、連続受信で、かつ所定時間経過している場合は「連続モード」へ遷移させ、時分割モードが前記「連続モード」にある時に連続受信解除または所定時間経過している場合、VICSデータの受信率が高い時は「通常モード」へ遷移し、また、VICSデータの受信率が低い時は「VICS待機モード」へ遷移させることを特徴とする。
【0026】
従って、本発明における請求項記載のナビゲーション装置によれば、VICSデータ及びDGPSデータを時分割で取得する時、時分割モードを受信状況に応じて「通常モード」、「VICS待機モード」、「連続モード」に遷移させることにより、受信状況に応じて必要なVICSデータ及びDGPSデータを時分割で取得することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置内部の概略構成を示すブロック図である。
【0028】
図1において、1は複数の衛星から送信される電波を受信して受信点(車両等の移動体)の位置及び方位を検出するためのGPSレシーバ等から構成される絶対位置・方位検出部、2は車両の相対方位を検出するジャイロ等からなる相対方位検出部、3は車両の車輪の回転数に応じて発生するパルスから車両の速度を検出する車速検出部、4は各種の演算を行うと共に、ナビゲーションシステム全体を制御し管理するCPU(中央処理装置)であり、このCPU4には絶対位置・方位検出部1で検出された情報、相対方位検出部2で検出された情報及び車速検出部3で検出された車速情報がそれぞれ入力される。
【0029】
また、CPU4には、車両の測位やVICS及びDGPSのデータを時分割で受信処理するための各種の演算又は処理プログラム等を記憶するROM5、絶対位置・方位検出部1,相対方位検出部2,車速検出部3及び道路地図データ等を記憶するCD−ROM等からのデータやCPU4での演算結果等のデータを記憶するDRAM(ダイナミックRAM)6、ナビゲーションシステムへの電源供給が停止した時にも必要なデータを保持しておくためのバックアップ用のSRAM(スタチックRAM)7、地図データや位置データ及び道路名等の漢字・フォントを合成して表示部に表示するための画像データを記憶するVRAM(ビデオRAM)8が接続されている。
【0030】
また、CPU4には、ユーザインタフェース部9を介して、地図やメニュー等を表示するための表示部10、及びユーザにより様々な情報を入力するための入力部11が接続されている。更に、CPU4には、図示省略したCD−ROMから地図データ等を読み取るためのCD−ROM制御部12、及びVICSとDGPSのFM放送波から所望のデータを時分割で取り出すためのFM多重放送受信・処理部13がそれぞれ接続されている。
【0031】
図2は、FM多重放送受信・処理部13内部の概略構成を示すブロック図である。
【0032】
この図2においてFM多重放送受信・処理部13は、CPU4とのインタフェースを行うインタフェース部(I/F部)14と、CPU4から与えられたコマンドを解析するコマンド解析部15と、このコマンド解析部15で解析された選局指令及び受信周波数変更指令により指定されたFM多重放送局の1つを選局する選局部16と、この選局部16で選局されたFM多重放送局の周波数に同調する同調部17と、この同調部17で同調した放送信号からVICSデータ又はDGPSデータを取り出して復調する復調部18と、復調されたVICSデータ又はDGPSデータに誤り訂正等の処理を施してCPU4に送出するデータ処理部19とを備える。また、コマンド解析部15及びデータ処理部19間は直接及び内部レジスタ20を介して接続されている。
【0033】
なお、図2において、コマンド解析部15とデータ処理部19とは内部レジスタ20と組みになってCPUで代替することが可能である。
【0034】
次に、本実施の形態に示すナビゲーション装置の動作について説明する。
【0035】
まず、FM多重放送受信・処理部13は、CPU4から送出される所望のコマンドを選択し、又は受信し復調したデータをCPU4で解析可能な形式に変換する機能を備えている。
【0036】
その動作には、例えば初期化、選局、状態問い合わせなどがあり、CPU4からコマンドの形でI/F部14に入力される。このコマンドはコマンド解析部14で解析され、その解析結果に基づいてFM多重放送受信・処理部13の動作を決定するようになっている。
【0037】
ここで、選局のコマンドであった場合は、コマンド解析部15は指定の放送局に同調すべく、選局部16を操作して、例えば同調部17の局部発振器(図示せず)の発振周波数を変化させる。同調部17で中間周波数に変換された放送信号から、復調部18で多重データ部分の副搬送波を取り出し、そのまま復調する。復調されたディジタルの時系列信号はデータ処理部19に供給される。データ処理部19では、復調されたデータの誤り検出・訂正を行い、パケットを切り出し、開始語や区切り語などを付加してI/F部14からCPU4へデータの本体を渡す。
【0038】
一般的にVICSの交通情報データは、図3のタイミングチャートに示すように、DARC(Data Radio Channel)方式では5分周期で更新され、その中で2.5分ずつ続けて2度、同じデータが送出される。
【0039】
これに対して、DGPSのGPS誤差情報は、DARC方式では4.90秒(1フレーム毎)に一度更新・送出され、この誤差情報の位置と長さはフレームの先頭から約0.05秒とごく短い。
【0040】
そこで、本実施の形態では、VICSデータの冗長性を考慮し、図3に示す14フレーム毎にFM多重放送受信機で受信すべく受信周波数を切り替えることにより、VICSとDGPSのデータを時分割で取得することを考える。
【0041】
図3は、VICSとDGPSのデータを時分割で受信する周期を14フレームとした場合の例を示すもので、VICS受信チャネルの黒く塗りつぶした期間がDGPSデータを受信すべく受信周波数が切り替えられることで欠落したVICSデータの受信チャネルのフレームを示している。
【0042】
そこで、図4に示すように、DGPSデータを受信すべく受信周波数が切り替えられることで欠落した前半のVICSデータのフレーム(フレーム番号4、5、18、19)は、前半のVICSに続く後半のVICSデータのフレーム(フレーム番号35、36、49、50)と合成することで補完できる。
【0043】
この場合、DGPSデータは受信頻度によっては、その分だけディファレンシャル補正データの実時間性が失われるので、GPSの測位結果に含まれる誤差がやや残る。
【0044】
図3に示すようなタイミングのVICS及びDGPSのデータに対する受信周波数の切り替え制御は、CPU4がFM多重放送受信・処理部13に対して受信周波数変更のコマンドを発行することで行う。
【0045】
この場合、CPU4は、自身の動作のために、FM多重データのビット周期よりも十分に早い周期の発振器を備えているので、この発振器を利用して受信周波数切り替えのための時間を管理することができる。
【0046】
従って、ある時刻にDGPSデータを得るべく受信周波数を切り替えると、図3に示すように、FM多重放送受信・処理部13がフレーム先頭を検知し、2パケット分のデータをCPU4に送出するようにしたので、CPU4はその時刻をもとに次にDGPSデータが放送される時刻(図3では14フレーム先の時刻)を予測することができる。
【0047】
VICSデータとDGPSデータのフレーム又はパケットの送出タイミングは放送局間でまちまちなので、受信周波数を切り替えた後はフレーム又はパケットの同期をとる必要がある。このため、予測される時刻は同期確立のための時間だけ早められる。そして、DGPSデータが放送される周波数からVICSデータが放送される周波数への切り替えは、上記2パケットのデータがFM多重放送受信・処理部13から得られた時に行う。
【0048】
この場合、DGPSデータが放送されている期間と、周波数切り替えとパケットの同期確立に要する期間に重なるVICSデータのフレームが図3に示すように欠落する。また、DGPSデータを受信するのに要する時間はフレーム1つ分よりも十分に短く、最大2フレームの欠落となる。
【0049】
従って、VICSデータフレームの欠落を減らすために、DGPSデータの受信はパケット単位で行う。
【0050】
一般にVICSやDGPSのデータは地域性が強く、また放送局のサービスエリアの兼ね合いから、いづれか一方の放送のみ受信できる地域が多く存在する。そこで、本実施の形態では、車両の移動中にどちらか一方のサービスエリアが失われたことを検知したならば、受信周波数を切り替える頻度を増減させるようにした。
【0051】
例えば、VICSデータは、97年5月現在で東京、名古屋、大阪とその各近隣地区のみがサービスされている。特に、車両では前記3地域からそれ以外の地域への移動、あるいはその逆があることを考慮して受信周波数を切り替える頻度を増減させる必要がある。
【0052】
そこで、VICSデータのサービスの得失は、ある一定の期間内で正しく受信できたパケットの数を数え、これをパケット受信率として、その大きさで決定される。あるいは、ある一定の期間内でFM放送の受信電界強度を、例えば同期部17が備える図示省略の自動利得制御回路(AGC)の制御信号などから得て、その平均でサービスの得失を決定する。また、切り替え頻度はパケットの正受信率や受信電界強度の平均を測定できる時間幅で上限が決定される。
【0053】
図5(a)は、VICSデータのサービスが失われた時の受信周波数の切り替えタイミングの一例を示す。この例では、受信周波数の切り替え頻度は5フレームに1度である。
【0054】
一方、DGPSデータは日本の各地でサービスされているが、放送局の出力電力の兼ね合いでDGPSデータが受信できないことも多い。このDGPSデータサービスの得失もまた、パケットの正受信率又は受信電界強度で判断する。
【0055】
尚、DGPSデータのパケットの正受信率は、一定時間内にVICSデータからDGPSデータに受信周波数を切り替えた回数と、切り替えた時に正しく受信できた回数との比較で求められる。
【0056】
FM多重放送受信・処理部13は受信周波数を切り替えてパケットの同期確立を行った後、受信したDGPSデータのパケットをCPU4に通知する。なお、同期確立が行われるまではパケットが得られていないことをCPU4に通知する。
【0057】
また、FM多重放送受信・処理部13がDGPSデータを正しく受信できている時に、瞬時的なフェージングなどが生じたことにより、たまたまあるDGPSデータパケットが受信できない場合がある。この時の様子を図6の符号61に示す。
【0058】
このような場合、CPU4はDGPSデータパケットが終了すると予測した時刻(この時刻は、DGPSデータの受信が開始されると予測される時刻から知ることができる)から一定時間t(図6参照)だけ待ってからVICSデータの受信周波数に切り替える。尚、この待ち時間tは、DGPSデータの放送周波数に同調する時間とパケットの同期確立に要する時間の合計が連続して1フレーム以内になるように設定されるものである。
【0059】
放送局のサービスエリアから、そのエリア外へ移動していく時には、上記のようにDGPSデータを受信できないことが増えてくる。そして、やがてDGPSデータのパケット正受信率が0、すなわち全く受信できなくなると、CPU4は待ち時間を、1フレームより長い時間に設定する。これはCPU4に供給されるクロックの揺れその他によって、DGPSデータの到来予測時刻がずれていくためである。この時の様子を図7に示す。また、この時のVICSデータが補完される様子を図8に示す。図7の動作は、図3と図5の動作の時にDGPSデータが間欠的または全く受信不能な場合に図3又は図5の代わりとなる。
【0060】
図8において、DGPSデータを受信すべく受信周波数の切り替え、及びDGPSデータを全く受信できなくなることで欠落した前半のVICSのフレーム(フレーム番号4、5、6、18、19、20)は、前半のVICSに続く後半のVICSのフレーム(フレーム番号35、36、37、49、50、51)と合成することで補完できる。
【0061】
前述した通り、DGPSデータを間欠的に得ることは実時間性が失われるためにGPSによる測位結果はいくらかの誤差を残すことになる。山中など車両が通行可能な道路の少ない場所では、車両が通行中の路線を特定することが容易である。しかし、都市部では分岐や、よく似た形状の本線と側道など、道路が密集しているので走行中の路線を特定するにはGPSによる誤差をできるだけ小さくする方が有利である。
【0062】
そこで、本実施の形態においては、CPU4の制御のもとで、現在走行中の車両の位置に対応する周辺の地図データをCD−ROM制御部12により図示省略のCD−ROMから読み出してCPU4に取り込む。CPU4では、図9に示すように、車両91を中心とするある範囲、すなわち、絶対位置・方位検出部1で検出されたGPSの測位結果で測位誤差の指標であるDOPに比例した大きさの円またはその外接矩形で示されるDOP範囲に含まれる路線の数を数えて道路の複雑さを評価する。
【0063】
例えば、図9では、車両91がP1の位置から矢印で示す方向に位置P3まで進行する時、その各位置でDOP範囲内に存在する路線の数を計数する。この例では、車両91が位置P3にある時、そのDOP範囲92内に6つの路線が存在することを計数する。
【0064】
次に、CPU4により道路の複雑さを評価する場合の動作について図10に示すフローチャートを参照して説明する。図10に示す道路の複雑さ評価プログラムがスタートすると、まず、車両を中心とする周囲の全ての道路座標をCD−ROMから読み込んだ地図データから読み出す(ステップS1)。次いで、路線の数を計数するカウンタrを0にリセットする(ステップS2)。しかる後、読み出した道路座標から1つの道路座標を読み出し(ステップS3)、この道路座標はDOP範囲内かを判定する(ステップS4)。
【0065】
ここで、否定判定された場合はステップS6に移行し、肯定判定された場合はステップS5に移行して、カウンタrの値をr+1する。その後、読み出した道路座標に未チェックの道路座標があるかを判定する(ステップS6)。
【0066】
ある場合はステップS3に戻り、ステップS3ないしステップS6の処理を繰り返し実行する。そして、DOP範囲内に存在する全ての道路座標についてチェックが完了したならばステップS7に移行し、カウンタrの計数値が道路の複雑さを表す値R以上かを判定する(ステップS7)。
【0067】
ここで、r>Rであると判定された場合は道路が複雑であると評価する(ステップS8)。また、r>Rでないと判定された場合は道路が複雑でないと評価する(ステップS9)。
【0068】
これにより、図9の位置P3に示すようにDOP範囲内に6つの路線が存在する場合は、道路が複雑であると判定する。そして、CPU4は路線の数が少なくなるか、一定時間だけDGPSデータのみを受信する。これにより、GPSによる測位誤差を小さくすることができる。
【0069】
また、ナビゲーションシステムの電源投入時など、車両の位置を確実に特定できていない時や、DGPSデータの内容が著しく変化した時(例えば、補正する衛星の組み合わせが変わった時)にも、ナビゲーションの初期誤差や途中の外乱を抑えるために、一定時間DGPSデータのみの受信を行うとよい。
【0070】
次に、DGPSデータのみの受信を行うか否かの判定処理について、図11に示すフローチャートを参照して説明する。この図11において、DGPSデータのみを受信することを、DGPSデータをフレーム毎に受信することから「連続受信する」という。
【0071】
DGPSデータをフレーム毎に連続受信する否かを判定する場合は、まず、30秒連続して新鮮なデータを受信できたかを判定する(ステップS11)。ここで、否定判定された場合はステップS12に移行して、図10に示すように、車両の現在位置の道路が複雑でないかを判定する(ステップS12)。
【0072】
現在位置の道路が複雑でない場合はステップS16に移行して、連続受信しないようにする(ステップS16)。また、ステップS12にて現在位置の道路が複雑である場合はステップS14に移行して、連続受信するようにシステムを動作させる(ステップS14)。
【0073】
一方、ステップS11において肯定判定された場合はステップS13に移行して、初期データを取得済みかを判定する(ステップS13)。ここで、初期データを取得済みでない場合はステップS14に移行して、連続受信するようにシステムを動作させる。
【0074】
また、ステップS13にて初期データを取得済みの場合はステップS15に移行して、衛星の組み合わせが同じかを判定する(ステップS15)。ここで、同じでない場合はステップS14に移行して、連続受信するようにシステムを動作させる。また、同じである場合はステップS16に移行して、連続受信しないようにする。
【0075】
このようにすることにより、車両の位置を確実に特定できていない時やDGPSデータの内容が著しく変化した時などに一定時間DGPSデータのみを連続受信することにより、ナビゲーションの初期誤差や途中の外乱を抑えることができる。
【0076】
また、FM多重放送受信・処理手段13で受信すべく受信周波数を切り替えてVICSとDGPSのデータを時分割で取得する時の時分割モードを、図3に示すタイミングで予め定めたフレーム数またはパケット数の周期で受信する場合を「通常モード」とし、図5(a)に示すタイミングでVICSデータのサービスが失われる時に前記「通常モード」時より短い周期で受信する場合を「VICS待機モード」とし、図5(b)に示すタイミングで道路が複雑であると判定されて、一定時間、DGPSデータのみを受信する場合を「連続モード」とすると、これらの状態の遷移は図12に示すようになる。
【0077】
すなわち、受信周波数切り替えタイミングが「通常モード」にある時、VICSデータの受信率が低い場合は「VICS待機モード」に遷移し、また、連続受信で、かつタイマBがタイムアップしている場合は「タイマAを0セット」した後、無条件で「連続モード」へ遷移する。
【0078】
また、受信周波数切り替えタイミングが「VICS待機モード」にある時、VICSデータの受信率が高い場合は「通常モード」へ遷移し、また、連続受信で、かつタイマBがタイムアップしている場合は「タイマAを0セット」した後、無条件で「連続モード」へ遷移する。
【0079】
また、受信周波数切り替えタイミングが「連続モード」にある時、連続受信解除又はタイマAがタイムアップしている場合は「タイマBを0セット」し、直前のVICSデータの受信率が高い場合は「通常モード」へ遷移し、また、VICSデータの受信率が低い場合は「VICS待機モード」へ遷移する。
【0080】
尚、タイマA、Bは図示していないが、CPU4に内蔵されるものであり、また、タイマA、Bを用いるのは、走行中に車両周囲の路線数の多いことが長く続いた時にVICSデータを全く受信できなくなることを回避するためである。
【0081】
また、図3と図5(a)におけるVICSデータの時分割の間隔(それぞれ14フレームと5フレーム)は実験によって見い出された好適な値である。
【0082】
次に、VICSデータのパケット正受信率を測定するためのCPU14の動作について、図13(A)、(B)に示すフローチャートを参照して説明する。
【0083】
システムが起動されると、まず図13(B)に示すプログラムがスタートし、内部レジスタ20に相当するレジスタcとRRに「0」を代入して初期化し(ステップS21)、かつCPU4が内蔵する図示省略のタイマCを初期化する(ステップS22)。
【0084】
このタイマCは所定の時間が経過したか否かを計測するためのものであって、任意の時刻に初期化し、動作の許可と禁止ができる。また、動作の許可と禁止はタイマCの指示値に影響を与えない。
【0085】
図13(B)に示す初期化処理が終了すると、図13(A)に示す処理に移行し、この処理は適当な時間間隔で繰り返し実行される。
【0086】
まず、VICSデータを受信すべく放送局が選択中か否かを判定する(ステップS23)。ここで、VICSデータを受信すべく放送局が選択されていない場合は、タイマCの動作を禁止し(ステップS24)、レジスタcを「0」を代入して初期化し(ステップS25)、VICSデータのパケット正受信率の測定処理が終了する。
【0087】
また、ステップS23にてVICSデータを受信すべく放送局が選択されている場合は、タイマCの動作を許可する(ステップS26)。次いで、FM多重放送受信・処理部13から渡されたパケットが正受信であるか否かを判定する(ステップS27)。
【0088】
ここで、パケットが正受信でない場合はステップS29に移行し、パケットが正受信である場合はステップS28に移行してレジスタcの値を1だけ増やす。その後、タイマCの計測値を読み出し(ステップS29)、この計測値から予め定めた一定の時間経過したか否かを判定する(ステップS30)。
【0089】
一定の時間が経過していると判断された場合はレジスタRRにレジスタcの値を代入し(ステップS31)、次いで、レジスタcに「0」を代入してレジスタcを初期化し(ステップS32)、さらにタイマCを初期化する(ステップS33)。
【0090】
タイマCが初期化された場合、及びステップS30でタイマCの計測値が一定の時間経過していないと判定された場合は、VICSデータのパケット正受信率の測定処理が終了する。タイマCで計測する経過時間は、実験によれば10程度である。
【0091】
次に、システム全体の動作を図14及び図15を参照して説明する。この図14及び図15に示すプログラムは、上記図10、図11及び図13に示したプログラムと並行して動作する。
【0092】
まず、時分割動作モードを通常モードに設定し(ステップS41)、次いで、内部レジスタ20に相当するレジスタc、RR、DG、DNをそれぞれ「0」を代入してに初期化する(ステップS42)。
【0093】
次に、CPU4が内蔵する図示省略のタイマA、B、C、D、Eを初期化し(ステップS43)、更にFM多重放送受信・処理部13にVICSデータの放送局の周波数を選択させ(ステップS44)、ステップS45以下の処理を実行する。
【0094】
まず、VICS放送局を選択中か否かを判定する(ステップS45)。ここで、VICS放送局を選択中である場合はFM多重放送受信・処理部13からパケットを受信しているか否かを判定する(ステップS46)。この場合、調歩同期式のデータ受信領域に新しいデータがあるかどうかを調べればよい。
【0095】
ステップS46にてパケットの受信があった場合はVICSデータを受信処理する(ステップS47)。次に、タイマDの計測値を読み出し(ステップS48)、その計測値からDGPSデータが放送される時刻になったかを判定する(ステップS49)。
【0096】
DGPSデータが放送される時刻になった場合はFM多重放送受信・処理部13に対してDGPS放送の周波数を選択させ(ステップS50)、タイマEを初期化し(ステップS51)、図15に示すM2に移行する。
【0097】
ここで、タイマEの初期化による初期値は、図16(B)に示すように、レジスタDGが「0」の時、4.9*1.5秒となり、レジスタDGが「1」の時、4.9*0.5秒となり、レジスタDGの状態に応じて異なる。
【0098】
また、上記ステップS45において、VICS放送局を選択中でないと判定された場合はステップS52に移行して、パケットを受信しているか否かを判定する(ステップS52)。ここで、パケットを受信していれば、レジスタDNに「0」を代入し、レジスタDGに「1」を代入する(ステップS53)。そして、DGPSデータを受信処理する(ステップS54)。さらに、FM多重放送受信・処理部13に対してVICS放送の受信周波数を選択させ(ステップS55)、タイマDを初期化し(ステップS56)、図15に示すM2に移行する。
【0099】
ここで、タイマDの初期化による初期値は、図16(A)に示すように、時分割動作状態が「通常モード」の時、4.9*(14−1)秒となり、「VICS待機モード」の時、4.9*(5−1)秒となり、また、「連続モード」の時、0秒となり、時分割動作状態に応じて異なる。
【0100】
一方、上記ステップS52においてパケットを受信していないと判断された場合は、タイマEの計測値を読み出し(ステップS57)、その計測値が所定時間を超えたか否かを判定する(ステップS58)。
【0101】
ここで、所定時間を超えていない場合は図15に示すM2に移行し、また、所定時間を超えていた場合はレジスタDNの値を「1」増やす(ステップS59)。そして、レジスタDNの値が所定の値Cnよりも大きいか否かを判定し(ステップS60)、レジスタDNの値がCnより大きい場合はレジスタDGに「0」を代入し(ステップS61)、ステップS55に移行する。また、レジスタDNの値がCnより小さい場合はステップS55に移行する。
【0102】
次に、図15に示すフローチャートを参照して、現在の時分割動作が図12中のどのモードにあるか調べる処理について説明する。
【0103】
図15に示すM2において、時分割動作が「通常モード」、「VICS待機モード」及び「連続モード」のいずれのモードかを判定する(ステップS71)。ここで「通常モード」であると判定された場合は、まず連続受信か否かを判定し(ステップS72)、連続受信でない場合はレジスタRR(図13参照)の値が所定の値Rnを超えているか否か判定する(ステップS73)。
【0104】
値Rnを超えている場合は図14のステップS45に戻る。また、値Rnを超えていない場合はVICSデータの受信率が低いと判断して、時分割モードを「通常モード」から「VICS待機モード」に変更し(ステップS74)、図14のステップS45に戻る。
【0105】
また、ステップS72において連続受信であると判定された場合は、タイマBの計測値を読み出し(ステップS75)、その計測値が所定時間を超えたか否かを判定する(ステップS76)。ここで、所定時間を超えていない場合は図14のステップS45(図14のM3)に戻り、また、所定時間を超えていた場合はタイマAを初期化し(ステップS77)、時分割モードを「VICS待機モード」から「連続モード」に変更して(ステップS78)、図14のステップS45に戻る。
【0106】
上記ステップS71において、時分割モードが「VICS待機モード」であると判定された場合は、まず連続受信か否かを判定し(ステップS79)、連続受信の場合は、ステップS75〜ステップS78の処理を実行することにより、タイマBの計測値を読み出し、タイムアップしていない場合は図14のステップS45に戻り、タイムアップしている場合はタイマAを初期化した後、時分割モードを「VICS待機モード」から「連続モード」に変更して、図14のステップS45に戻る。
【0107】
また、ステップS79においてレジスタRRの値が所定の値Rnを超えているか否か判定し(ステップS80)、レジスタRRの値が値Rnを超えている場合はVICSデータの受信率が高いと判断して、時分割モードを「VICS待機モード」から「通常モード」に変更し(ステップS81)、図14のステップS45に戻る。また、レジスタRRの値が値Rnを超えていない場合は、なにもせずに図14のステップS45に戻る。
【0108】
また、上記ステップS71において、時分割モードが「連続モード」であると判定された場合は、まず連続受信が解除されているか否かを判定し(ステップS82)、解除されている場合はタイマBを初期化し(ステップS83)、レジスタRRの値が所定の値Rnを超えているか否か判定する(ステップS84)。
【0109】
レジスタRRの値が値Rnを超えている場合は、VICSデータの受信率が高いと判断して、時分割モードを「連続モード」から「通常モード」に変更し(ステップS85)、図14のステップS45に戻る。
【0110】
また、レジスタRRの値が値Rnを超えていない場合は、VICSデータの受信率が低いと判断して、時分割モードを「連続モード」から「VICS待機モード」に変更し(ステップS86)、図14のステップS45に戻る。
【0111】
一方、ステップS82において連続受信が解除されていないと判定された場合は、タイマAの計測値を読み出し(ステップS87)、所定の時間が経過しているか否かを判定する(ステップS88)。ここで、所定の時間が経過している(タイムアップ)場合はステップS83に移行して、上述したステップS83以降の処理を実行する。また、タイマAがタイムアップしていない場合は、そのまま図14のステップS45に戻る。
【0112】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、制御手段でFM多重放送受信・処理手段を制御することにより、VICSデータ及びDGPSデータを時分割で受信することができるので、必要なVICS及びDGPSのデータの受信を1台のFM多重放送受信機で行うことができる。
【0113】
また、本発明によれば、制御手段からのコマンドによりFM多重放送局を選局し、かつ選局されたFM多重放送局の周波数に同調した放送信号からVICSデータ又はDGPSデータを取り出して復調し、この復調されたVICSデータ又はDGPSデータを処理して制御手段に送出する構成したので、VICSデータ及びDGPSデータを時分割で受信することができ、FM多重放送受信機を1台で済むという効果を有する。
【0114】
また、本発明によれば、VICSデータが所定のフレーム数またはパケット数に達した時点でDGPSデータが受信されるべく受信周波数に切り替えてDGPSデータを受信し、複数パケットのDGPSデータが得られた時点でVICSデータを受信すべく受信周波数に切り替えるようにしたので、VICSデータ及びDGPSデータを時分割で受信することができる。
【0115】
また、本発明によれば、DGPSデータを受信すべく受信周波数が切り替えられた時に欠落するVICSデータのフレーム又はパケットを、該VICSデータに続くVICSデータのフレーム又はパケットで合成することで補完することができる。
【0116】
また、本発明によれば、VICSデータ及びDGPSデータの受信状況に応じて、それぞれの受信すべく受信周波数を切り替えてVICSデータ及びDGPSデータを時分割で取得する頻度を変化させることができ、必要なVICSデータ及びDGPSデータを確実に取得できる。
【0117】
また、本発明によれば、DGPS放送のサービスエリアから外れていくにつれて、DGPSデータを間欠的もしくは受信できない場合でも、DGPS放送のサービスを受け得る確率が向上し、測位精度を向上することができる。
【0118】
また、本発明によれば、移動体を中心とする周囲の路線数から道路の複雑さを判定した時に路線数が少なくなるか、または一定時間DGPSデータのみを受信することにより、GPSによる誤差を小さくすることができる。
【0119】
また、本発明によれば、VICSデータ及びDGPSデータを時分割で取得する時、時分割モードを受信状況に応じて「通常モード」、「VICS待機モード」、「連続モード」に遷移させることにより、受信状況に応じて必要なVICSデータ及びDGPSデータを時分割で取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に示すナビゲーション装置内部の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に示すナビゲーション装置におけるFM多重放送受信・処理部内部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態におけるFM多重放送受信・処理部によりVICSとDGPSのデータを時分割で受信する時の一例を示すタイミングチャートである(通常モード)。
【図4】図3に示す受信周波数の切り替えタイミングでDGPSデータを受信すべく受信周波数を切り替えた時に欠落するVICSデータの補完方式を示す説明図である。
【図5】本実施の形態におけるFM多重放送受信・処理部によりVICSとDGPSのデータを時分割で受信する時に他の例を示すタイミングチャートである。
(a) VICS待機モード
(b) 連続モード
【図6】本実施の形態におけるFM多重放送受信・処理部によりVICSとDGPSのデータを時分割で受信する時にDGPSデータパケットが受信できなかった場合の様子を示すタイミングチャートである。
【図7】本実施の形態におけるFM多重放送受信・処理部によりVICSとDGPSのデータを時分割で受信する時、DGPSデータパケットが受信できなかった場合にDGPSデータパケットの終了予測時刻から一定時間待ってからVICSデータの受信周波数に切り替える様子を示すタイミングチャートである。
【図8】図7に示す受信周波数の切り替えタイミングで受信周波数を切り替えた時に欠落するVICSデータの補完方式を示す説明図である。
【図9】本実施の形態におけるDGPSデータ受信の頻度を増やす条件を説明するための説明図である。
【図10】本実施の形態におけるDGPSデータ受信の頻度を増やす条件の時のCPUの処理動作を示すフローチャートである。
【図11】本実施の形態におけるDGPSデータ受信の頻度を増やす条件を評価する時のCPUの処理動作を示すフローチャートである。
【図12】本実施の形態における「通常モード」、「VICS待機モード」、「連続モード」の遷移状態を示す説明図である。
【図13】同図(A)、(B)は本実施の形態におけるパケット受信率を測定する時のCPUの処理動作を示すフローチャートである。
【図14】本実施の形態におけるシステム全体の処理動作を示すフローチャートである。
【図15】本実施の形態におけるシステム全体の処理動作を示すフローチャートである。
【図16】同図(A)、(B)はタイマD、Eの初期値例を示す説明図である。
【図17】同図(A)、(B)は従来におけるナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 絶対位置・方位検出部
2 相対方位検出部
3 車速検出部
4 CPU(中央処理装置)
5 ROM
6 DRAM(ダイナミックRAM)
7 SRAM(スタチックRAM)
8 VRAM(ビデオRAM)
9 ユーザインタフェース部
10 表示部
11 入力部
12 CD−ROM制御部
13 FM多重放送受信・処理部
14 インタフェース部(I/F部)
15 コマンド解析部
16 選局部
17 同調部
18 復調部
19 データ処理部
20 内部レジスタ

Claims (7)

  1. 衛星からの電波を受信して移動体の位置を計測すると共に、FM波で所定時間毎に更新されて送信されるDGPSデータを受信し、前記計測された移動体位置をDGPSデータに含まれるディファレンシャル補正データに応じて補正して移動体の位置を高精度に演算すると共に、システム全体を制御し管理する制御手段を有するナビゲーション装置であって、
    前記制御手段の制御下で、前記DGPSデータと、及び該DGPSデータと異なる周波数のFM波で所定周期で更新されて送信されるVICSデータとをそれぞれの受信周波数に所定のタイミングで切り替えることによって時分割して受信すると共に、該受信したVICS及びDGPSのデータに所定の処理を施して制御手段に送出するFM多重放送受信・処理手段を備えており、
    前記制御手段は、前記FM多重放送受信・処理手段で受信すべく受信周波数を切り替える頻度を、前記VICSデータ及びDGPSデータの受信状況に基づいて、所定期間内で正しく受信できるパケット又はフレーム正受信率や所定期間内でFM放送の受信電界強度の平均を測定できる時間幅で決定されるように構成したことを特徴とするナビゲーション装置。
  2. 前記FM多重放送受信・処理手段は、
    前記制御手段から送出される選局や受信周波数変更等の各種のコマンドを解析するコマンド解析部と、
    このコマンド解析部で解析された選局指令及び受信周波数変更指令により指定されたFM多重放送局を選局する選局部と、
    この選局部により選局されたFM多重放送局の受信周波数に同調する同調部と、
    この同調部で同調した放送信号からVICSデータ又はDGPSデータを取り出して復調する復調部と、
    この復調されたVICSデータ又はDGPSデータを処理して前記制御手段に送出するデータ処理部とから構成されることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
  3. 前記制御手段は、前記FM多重放送受信・処理手段で受信されたVICSデータが所定のフレーム数又はパケット数に達した時点で、前記FM多重放送受信・処理手段にDGPSデータが受信されるべく受信周波数に切り替えてDGPSデータを受信し、この複数パケット数のDGPSデータが得られた時点でVICSデータを受信すべく、受信周波数に切り替えることを特徴とする請求項1又は2記載のナビゲーション装置。
  4. 前記DGPSデータを受信すべく受信周波数が切り替えられることで欠落するVICSデータのフレーム又はパケットを、このVICSデータに続くVICSデータのフレーム又はパケットと合成することにより補完することを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
  5. DGPS放送のサービスエリアから外れていくに連れて、DGPSデータが間欠的もしくは受信できなくなる場合、VICSデータパケットが終了すると予測した時刻から1フレームより長い一定時間待ってVICSデータの受信周波数に切り替えることを特徴とする請求項1載のナビゲーション装置。
  6. 前記制御手段は、移動体の位置と、その周辺の地図データから移動体を中心とする周囲の路線数から道路の複雑さを判定し、道路の複雑さが判定されると、路線数が少なくなるか、又はDGPSデータのみを一定時間受信するようにしたことを特徴とする請求項記載のナビゲーション装置。
  7. 前記FM多重放送受信・処理手段で受信すべく受信周波数を切り替えてVICSとDGPSのデータを時分割で取得する時の時分割モードを、予め定めたフレーム数またはパケット数の周期で受信する場合を「通常モード」とし、
    VICSデータのサービスが失われる時に前記「通常モード」時より短い周期で受信する場合を「VICS待機モード」とし、
    道路が複雑であると判定されて、一定時間、DGPSデータのみを受信する場合を「連続モード」とし、
    時分割モードが前記「通常モード」にある時にVICSデータの受信率が低い場合は「VICS待機モード」に遷移し、また、連続受信で、かつ所定時間経過している場合は前記「連続モード」へ遷移させ、時分割モードが前記「VICS待機モード」にある時にVICSデータの受信率が高い場合は「通常モード」へ遷移し、また、連続受信で、かつ所定時間経過している場合は「連続モード」へ遷移させ、時分割モードが前記「連続モード」にある時に連続受信解除または所定時間経過している場合、VICSデータの受信率が高い時は「通常モード」へ遷移し、また、VICSデータの受信率が低い時は「VICS待機モード」へ遷移させることを特徴とする請求項1、3、4、5又は6記載のナビゲーション装置。
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