JP3762702B2 - 光ファイバーケーブル収納箱及び光ファイバーケーブルの余長処理方法 - Google Patents

光ファイバーケーブル収納箱及び光ファイバーケーブルの余長処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバーケーブルを収納するものであって、特に、大型化することなく光ファイバーケーブルを種々の方向から内部に引込可能にすると共に、巻回方向を二通りにし得る光ファイバーケーブル収納箱及び光ファイバーケーブルの余長処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ファイバーケーブルを内部に引き込むと共に、引き込まれた光ファイバーケーブルの余長部分を巻回して収納するようにしている光ファイバーケーブル収納箱には種々のものが存在している。
【0003】
図14に示す従来の光ファイバーケーブル収納箱1は、テンションメンバTMと心線Haとを被覆樹脂Hbで被った光ファイバーケーブルHを引込部1aより内部1bに引き込むようにしている。光ファイバーケーブルHは、端末側の被覆樹脂Hbを除去して内部のテンションメンバTM及び心線Haを露出させており、心線Haは巻回部1cを周回させて余長処理した後、引出部1dから引き出している。なお、外部へ引き出された心線Haは、端部にコネクタ(図示せず)を融着して、別体のレセプタクル(図示せず)に接続するようにしている。
【0004】
光ファイバーケーブル収納箱1は、内部へ引き込んだ光ファイバーケーブルHを専用のケーブル保持部材2で保持し、索線に係る張力を受け止めており、テンションメンバTMの端部は専用のテンションメンバ保持部材3で保持している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図14の光ファイバーケーブル収納箱1は、光ファイバーケーブルHの引込部1aを一箇所のみしか設けていないので、光ファイバーケーブルHの引込が煩雑になる場合がある。例えば、光ファイバーケーブルHの索線状況により、光ファイバーケーブル収納箱1の上方から光ファイバーケーブルHを引き入れざるを得ない場合は、光ファイバーケーブル収納箱1に引き込むために、光ファイバーケーブルHを下方の引込部1aにまで引き回す必要があり、光ファイバーケーブルHの処理作業を効率的に行えない問題がある。
【0006】
なお、前記のような場合に対して、光ファイバーケーブル収納箱の上方に引込部を新たに設け、この新たな引込部に対してもケーブル保持部材及びテンションメンバ保持部材を箱内部に夫々取り付けることも想定できる。しかし、新たにケーブル保持部材及びテンションメンバ保持部材を設けると、既存のケーブル保持部材及びテンションメンバ保持部材と併せて、計2組のケーブル保持部材及びテンションメンバ保持部材が必要となり、光ファイバーケーブル収納箱自体が大型化し、光ファイバーケーブル収納箱の取扱性が悪化する問題が生じる。
【0007】
一方、光ファイバーケーブル収納箱1の引出部1dから引き出される心線Haは、別体のレセプタクルと接続されることになるが、レセプタクルは位置が固定されているものなので、レセプタクルの位置が引出部1dと相異する方向にある場合は、引き出された心線Haをレセプタクルまで引き回す必要が生じ、良好なコネクタの接続作業性を確保できない問題がある。
【0008】
また、光ファイバーケーブル収納箱1は、単一の巻回部1cの周囲に心線Haを周回させるだけなので、巻回形態が限定されると共に心線Haの余長を処理できる量が一定の限度に限られて余長の調整が困難となる問題がある。さらに、光ファイバーケーブルHを保持するケーブル保持部材2と、テンションメンバTMを保持するテンションメンバ保持部材3は、夫々専用品であるため、光ファイバーケーブル収納箱1の部品種類が多くなり、また、取付時に両者を混同しないように注意しなければならない問題もある。
【0009】
本発明は、斯かる問題に鑑みてなされたものであり、複数の引込部を設けると共に、各引込部に対するテンションメンバ保持部材等を共用可能にすることで、箱自体が大型化することなく、いずれの方向からでも光ファイバーケーブルの引込を可能にして、光ファイバーケーブルの引込作業性を向上させた光ファイバーケーブル収納箱を提供することを目的とする。
【0010】
また、保持部材及びテンションメンバ保持部材の形状を同一にすることで、共用性を高めて部品の種類を削減した光ファイバーケーブル収納箱を提供することを目的とする。
さらに、光ファイバーケーブルの余長部分を巻回する箇所を二つ設けることで、余長の巻回方向を二方向に調整でき、コネクタとレセプタクルの接続性の向上できると共に、余長部分の寸法に応じた調整を可能にする光ファイバーケーブル収納箱及び光ファイバーケーブルの余長処理方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
発明に係る光ファイバーケーブル収納箱は、テンションメンバを備える光ファイバーケーブルの引込部と、該引込部に対応して取り付けてある光ファイバーケーブルの保持部材とを備える光ファイバーケーブル収納箱において、前記引込部は複数であり、各引込部に共用の2個の保持部材が取り付けてあり、前記保持部材は、光ファイバーケーブルを保持する保持部、及びテンションメンバを保持するテンションメンバ保持部を備え、複数の引込部のいずれか1つから引き込まれる光ファイバーケーブルを一方の保持部材の保持部で保持すると共に、前記光ファイバーケーブルのテンションメンバを他方の保持部材のテンションメンバ保持部で保持するようにしてあることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバーケーブル収納箱は、前記2個の保持部材は同形状であり、前記2個の保持部材がそれぞれ取り付けられる2個の取付部を備えることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバーケーブル収納箱は、周囲に立設する平面視で略矩形の周壁を備え、複数の引込部は、前記周壁の直交する周壁部をそれぞれ切り欠いて形成してあることを特徴とする。
【0012】
第1発明にあっては、複数の引込部を設けることで、光ファイバーケーブルを種々の方向から内部に引き込むことが可能となり、光ファイバーケーブルの索線の状況の影響を受けることが解消され、引込作業性の効率化を図れる。また、テンションメンバ保持部材は、各引込部に対して共用としているため、テンションメンバ保持部材の個数が引込部の数に比例して増加することもなく、光ファイバーケーブル収納箱が無用に大型化することを防止して、良好な使用性も維持できる。なお、複数の引込部は光ファイバーケーブル収納箱周囲の各所、例えば、光ファイバーケーブル収容箱が矩形であれば、対向する両辺や直交する各辺に設けることが好ましい。
【0014】
発明にあっては、ケーブル保持部材も各引込部の共用にすると共に、ケーブル保持部材と前記テンションメンバ保持部材との取付箇所を入れ替え可能にすることで、各引込部に対応した形態でケーブル保持部材及びテンションメンバ保持部材を取り付けることができる。また、ケーブル保持部材及びテンションメンバ保持部材の個数を従来の光ファイバーケーブル収納箱と同数に抑えているので、光ファイバーケーブル収納箱が大型化することもない。
【0015】
本発明にあっては、ケーブル保持部材と前記テンションメンバ保持部材とが同形状であるため、各保持部材を共用化して部品の種類を低減でき、光ファイバーケーブル収納箱に係る製作コストを低減できる。さらに、各保持部材は同一形状であるため、各保持部材をいずれの取付箇所に取り付けても支障は生じず、誤取付等の発生を根本的に解消し、光ファイバーケーブルの引込作業性の向上に貢献できる。
【0016】
発明に係る光ファイバーケーブル収納箱は、光ファイバーケーブル用の2個並設してある巻回部を更に備えることを特徴とする。
【0017】
発明にあっては、巻回部を2個設けているので、一方の巻回部だけに光ファイバーケーブルを巻回することや、両方の巻回部に巻回することが可能となり種々の巻回形態に対応でき、余長部分も多様に調整できる。また、巻回形態によっては、巻き始めと巻き終わりの方向を反転することもでき、レセプタクルの位置に応じて巻回方向を調整することにより、光ファイバーケーブル端末のコネクタとレセプタクルとの接続性を向上できる。
【0018】
発明に係る光ファイバーケーブル収納箱は、前記巻回部が、前記光ファイバーケーブルを周囲に巻回することが可能なボビン状であることを特徴とする。
発明に係る光ファイバーケーブル収納箱は、前記巻回部が、複数のガイド突起を備えることを特徴とする。
発明にあっては、前記巻回部を、ボビン状に形成することにより、又は、複数の巻回規制用のガイド突起で構成することにより種々の巻回形態に対応できる。
【0019】
発明に係る光ファイバーケーブルの余長処理方法は、前述の光ファイバーケーブル収納箱を用いて、索線された光ファイバーケーブルの余長部分を、該光ファイバーケーブル収納箱の2個の巻回部に巻回する光ファイバーケーブルの余長処理方法において、方向で巻回する場合、前記余長部分を一方の巻回部と他方の巻回部とに巻回するとき、前記一方の巻回部と他方の巻回部との間を通過させずに、又は、偶数回通過させて巻回し、反転させて巻回する場合、前記余長部分を前記一方の巻回部と他方の巻回部とに巻回するとき、前記一方の巻回部と他方の巻回部との間を奇数回通過させて巻回していることを特徴とする。
【0020】
発明にあっては、2個の巻回部材を並設することで、光ファイバーケーブルの余長を2通りの巻回方法で処理できる。よって、巻回方向を、光ファイバーケーブル端部の接続先であるレセプタクルの向きに合わせることで、光ファイバーケーブル端末の無理な引き回しを解消してスムーズな接続作業を実現できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る光ファイバーケーブル収納箱10の分解斜視図である。光ファイバーケーブル収納箱10は、平面視で略矩形であり、周囲に周壁10aを立設して、光ファイバーケーブルHの余長部分を巻回処理した状態で内部10cに収納するようにしている。なお、光ファイバーケーブルHは、心線Haの両側に2本のテンションメンバTMを平行に沿わして被覆樹脂Hbで被覆したタイプのものである。
【0022】
光ファイバーケーブル収納箱10は、図2に示すように、別体の光信号を電気信号に変換するコンバータ15と一体化できる形態にしており、コンバータ15に設けられたレセプタクル15aへ、内部10cに収納した心線Haの端末に取り付けたコネクタCを挿入接続するようにしている。
【0023】
光ファイバーケーブル収納箱10は、図1に示すように、周壁10aの対向する短辺部10b−1、10b−2の一方の角部付近を切り欠いて周壁10aの外側と内部10cとを連通させた光ファイバーケーブルHの引込部10d−1、10d−2を設けている。
【0024】
また、これら各引込部10d−1、10d−2に対応して、これら各引込部10d−1、10d−2の内部10c側に、光ファイバーケーブルH及びテンションメンバTMの保持部材を兼ねる計2個の保持部材11−1、11−2の取付部10e−1、10e−2を設けている。さらに、光ファイバーケーブル収納箱10は、各取付部10e−1、10e−2の横方に、心線Haを円周状に巻回して余長部分を吸収する第1巻回部10f−1と第2巻回部10f−2とを並設している。
【0025】
上述した取付部10e−1、10e−2は、図3(a)に示すように、光ファイバーケーブル収納箱10の底板部10gより突出させた形状にしており上面側の中央に光ファイバーケーブルHの保持用の窪部10e−1a、10e−2aを設けると共に、その両側にはテンションメンバTMの保持用の凹部10e−1b、10e−2bを設けている。また、各凹部10e−1b、10e−2bの外側には、ネジ穴10e−1c、10e−2cを夫々設けている。
【0026】
また、保持部材11−1、11−2は、中央箇所を上方に突出した板状片であり、下面側を取付部10e−1、10e−2の上面側と対応した形状に形成している。即ち、下面側の中央に光ファイバーケーブルHの保持用の窪部11−1a、11−2aを設け、その両側にはテンションメンバTMの保持用の凹部11−1b、11−2bを設け、各凹部11−1b、11−2bの外側には、通し穴11−1c、11−2cを夫々穿設している。
【0027】
各保持部材11−1、11−2は、通し穴11−1c、11−2cにネジNを夫々挿通し、取付部10e−1、10e−2のネジ穴10e−1c、10e−2cに挿通したネジNを締結することで、取付部10e−1、10e−2へ取り付けるようにしている。
【0028】
前記のように、保持部材11−1と保持部材11−2とは同形状であるので、保持部材11−1は、取付部10e−1又は取付部10e−2のいずれに取り付けることが可能であり、保持部材11−2も同様に取付部10e−1又は取付部10e−2のいずれにも取り付けできる。
【0029】
一方、上述した第1巻回部10f−1及び第2巻回部10f−2は、図1に示すように、心線Haを巻回する仮想円上で光ファイバーケーブル収納箱10の長辺方向の頂点箇所に、図4(a)の枠状の第1ガイド突起12−1を突設すると共に、短辺方向の頂点箇所に図4(b)の逆L字状の第2ガイド突起12−2を突設することで形成されている。よって、第1巻回部10f−1は2個の対向する第1ガイド突起12−1及び2個の対向する第2ガイド突起12−2で構成されており、第2巻回部10f−2も同様の構成にしている。なお、第1巻回部10f−1と第2巻回部10f−2との並設側となる中央の第1ガイド突起12−1は、第1巻回部10f−1と第2巻回部10f−2とで共用されている。
【0030】
図4(a)の第1ガイド突起12−1は、両側の側壁部12−1aの上端を天板部12−1bで連続させ、この天板部12−1bを斜めに横断するスリット部12−1cを設け、スリット部12−1cを介して枠内部12−1dに心線Haを挿通できるようにしている。また、第2ガイド突起12−2は、側壁部12−2aの上端に水平方向の天板部12−2bを設け、側壁部12−2aに巻回した心線Haが上端から抜けるのを防止している。
【0031】
前記のように第1ガイド突起12−1及び第2ガイド突起12−2の突設配置箇所となる仮想円は半径を20mm以上にして、光ファイバーケーブルHが屈曲時に課せられる要件である最小半径寸法を確保するようにしている。
【0032】
光ファイバーケーブル収納箱10は、上述した以外にも図1に示すように、第1巻回部10f−1及び第2巻回部10f−2の各々の略中心箇所の底板部10gにダルマ状のネジ穴10hを設けて、光ファイバーケーブル収納箱10を壁等にネジで取り付けられるようにしている。また、ネジ穴10hの近辺には係止片10iを立設してコンバータ15と一体に係合できるようにしている。さらに、一方の取付部10e−1と一方の引込部10d−1との間、及び、他方の取付部10e−2と他方の引込部10d−2との間にはケーブルガイド10jも設けている。
【0033】
次に、索線されている光ファイバーケーブルHを、壁に固定された光ファイバーケーブル収納箱10の内部10cに引き込んで、心線Haの余長部分を処理する方法について説明する。なお、光ファイバーケーブル収納箱10は、一方の引込部10d−1側を下方に、他方の引込部10d−2を上方にした状態で固定されており、光ファイバーケーブルHは、下方から上方へ索線されているものとして説明する。
【0034】
先ず、光ファイバーケーブルHは、光ファイバーケーブル収納箱10の内部10cに引き込んだ際に下方の引込部10d−1側の取付部10e−1に該当する箇所から端末に至るまでの部分の被覆樹脂Hbを除去して、心線HaとテンションメンバTMを露出する。また、露出したテンションメンバTMは、上方の取付部10e−2に至る箇所より端末側を切除しており、露出させた心線Haは、作業性や後の設置場所変更等を考慮して、巻回しなければ光ファイバーケーブル収納箱10に収まらない寸法に設定されることで余長部分を有している。
【0035】
前記のように被覆樹脂Hbを除去した光ファイバーケーブルHを、下方の引込部10d−1から内部10cに引き込んで、下方の取付部10e−1の窪部10e−1aに収めている。このように光ファイバーケーブルHの内部10cへの引込は、索線された光ファイバーケーブルHの方向に合致した下方の引込部10d−1から行っているので、光ファイバーケーブルHを引き回すこともなく、容易且つスムーズに行っている。
【0036】
前記のように光ファイバーケーブルHを取付部10e−1の窪部10e−1aに載置し、図3(b)に示すように、一方の保持部材11−1を上方から被せて保持部材11−1の窪部11−1aに光ファイバーケーブルHの上半分を収めた状態にして、ネジNを締結して光ファイバーケーブルHを保持している。このように保持することで、光ファイバーケーブルHの索線に係る張力を受け止めて、被覆樹脂Hbを露出した部分に前記張力がかからないようにしている。
【0037】
次に、図3(c)に示すように光ファイバーケーブルHの露出した心線Haを上方の取付部10e−2の窪部10e−2a内に位置させると共に、心線Haの両側のテンションメンバTMを左右横方に広げて両側の凹部10e−2bに収めている。この状態で保持部材11−2を被せて、保持部材11−2の窪部11−2a内に心線Haを位置させると共に、上方から両側の凹部11−2bにより、取付部10e−2の凹部10e−2bに収められているテンションメンバTMを押さえ込んだ状態にし、ネジNを締結することでテンションメンバTMを保持している。なお、心線Haは、上下の窪部11−2a、10e−2a内に位置するのみで保持されていない。
【0038】
上記保持後、図2に示すように、心線Haの端末にコネクタCを融着し、心線Haの余長部分を処理するために、第1巻回部10f−1と第2巻回部10f−2の周囲に心線Haを巻回している。本実施の形態では、光ファイバーケーブル収納箱10と一体化させるコンバータ15は、レセプタクル15aを左側の中央に下方向きで設けているため、コネクタCが左側で下方から上向きとなるように、即ち、巻き始めから巻き終わりまでが同方向となるように心線Haを巻回している。
【0039】
余長部分の処理に対する心線Haの巻回は、図5に示すように、保持部材11−2を通過させた心線Haを第1巻回部10f−1の上側の第1ガイド突起12−1及び右側の第2ガイド突起12−2に巻回し、次に第2巻回部10f−2の右側の第2ガイド突起12−2、下側の第1ガイド突起12−1、左側の第2ガイド突起12−2に順次巻回し、再度、第1巻回部10f−1の左側の第2ガイド突起12−2に巻回している。
【0040】
以降、前記と同様に第2巻回部10f−2の下側の第1ガイド突起12−1まで巻回し、この状態でコンバータ15を光ファイバーケーブル収納箱10と結合し、巻回した心線Haの端末のコネクタCをレセプタクル15aに接続している。この接続の際は、コネクタCの向きはレセプタクル15aへ接続する向きと合致しているので、スムーズに接続することができ接続作業性が向上している。
【0041】
なお、心線Haを同方向に巻回する方法は、図5に示した形態以外に種々の巻回方法が可能であり、例えば、図6(a)に示すように、第1巻回部10f−1を周回してから第2巻回部10f−2の一部に巻回する方法や、図6(b)に示すように、第1巻回部10f−1の一部に巻回してから第2巻回部10f−2を周回する方法や、また、図6(c)に示すように、第1巻回部10f−1を周回してから第2巻回部10f−2も周回する方法がある。
【0042】
これら図5及び図6(a)〜(c)の巻回方法は、第1巻回部10f−1と第2巻回部10f−2とに巻回する場合、即ち、第1巻回部10f−1から第2巻回部10f−2へ渡る場合や第2巻回部10f−2から第1巻回部10f−1へ渡る場合に、第1巻回部10f−1と第2巻回部10f−2との間に位置する中央の第1ガイド突起12−1を通過させていないものである。
【0043】
また、図6(d)も心線Haを同方向に巻回する方法であるが、第1巻回部10f−1と第2巻回部10f−2とを巻回する場合に、第1巻回部10f−1と第2巻回部10f−2との間の中央の第1ガイド突起12−1を複数回通過させるものである(図では2回)。即ち、心線Haは、第1巻回部10f−1を約半周してから中央の第1ガイド突起12−1を通過し、第2巻回部10f−2を約一周している。その後、再度、中央の第1ガイド突起12−1を通過し、第1巻回部10f−1を周回し、今度は中央の第1ガイド突起12−1を通過することなく第2巻回部10f−2に巻回している。
【0044】
なお、図5及び図6(a)〜(d)で示した巻回方法は、巻回数が図示された回数に限定されるものではなく、心線Haの余長部分の長さに応じて、巻回回数を適宜増減することが可能であり、余長部分が短い場合等は、第1巻回部分10f−1のみ、又は、第2巻回部分10f−2のみを周回させるようにしてもよい。また、同方向で心線Haを巻回する方法は、図5及び図6(a)〜(d)以外の形態も可能であり、中央の第1ガイド突起12−1を通過させずに巻回する方法、又は、複数回通過させる方法を適用することで同方向に巻回できる。
【0045】
一方、光ファイバーケーブル収納箱10と一体化されるコンバータが、図2で示す形態と異なり、レセプタクルが右側の中央に下方向きで設けられている場合は、心線Haの端末に融着したコネクタCをスムーズにレセプタクルに接続するためには、コネクタCを右側で下方から上向きに引き出す必要がある。このように引き出されるコネクタCに対応するには、図7(a)〜(c)の巻回方法に示すように心線Haの巻回方向を巻き始めと巻き終わりで反転させることで行っている。
【0046】
図7(a)では、心線Haが第1巻回部10f−1を周回してから、中央の第1ガイド突起12−1を通過し、その後、第2巻回部10f−2を周回することで、端末のコネクタCを右側へ引き出すようにして、巻回方法を反転させている。また、図7(b)では、心線Haが第1巻回部10f−1から、中央の第1ガイド突起12−1を通過することなく、第2巻回部10f−2を周回し、その後、中央の第1ガイド突起12−1を通過してから第1巻回部10f−1を周回し、最後に中央の第1ガイド突起12−1を通過することなく第2巻回部10f−2を周回して端末のコネクタCを右側へ引き出している。
【0047】
さらに、図7(c)は、心線Haが第1巻回部10f−1と第2巻回部10f−2との間を渡る時に中央の第1ガイド突起12−1を通過するようにして、コネクタCを右側へ引き出している。このように第1巻回部10f−1と第2巻回部10f−2との間を奇数回通過させることで巻回方向は反転され、反転させる巻回方法は図7(a)〜(c)以外にも種々可能である。また、心線Haの余長部分の長さに応じて巻回回数も適宜増減することが可能である。
【0048】
また、実施の形態の光ファイバーケーブル収納箱10は、光ファイバーケーブルHが上方から下方へ索線されていれば、上方の引込部10d−2から光ファイバーケーブルHを内部10cに引き込むことが可能である。この場合は、上方の取付部10e−2に他方の保持部材11−2を取り付けて、光ファイバーケーブルHの被覆樹脂Hbで被われた箇所を及び保持すると共に、下方の取付部10e−1に一方の保持部材11−1を取り付けてテンションメンバTMを保持し、心線Haをレセプタクルの向きに合わせて第1巻回部10f−1及び第2巻回部10f−2に巻回して余長部分を吸収するようにしている。
【0049】
なお、実施の形態に係る光ファイバーケーブル収納箱10は種々の変形例の適用が可能であり、以下、各種変形例を説明する。
図8(a)(b)は、取付部10e−1、10e−2に取り付ける保持部材の変形例であり、図8(a)は、光ファイバーケーブルHのケーブル保持専用の保持部材21−1であり、図8(b)は、テンションメンバTMの保持専用の保持部材21−2である。
【0050】
図8(a)の保持部材21−1は、下面中央にケーブル保持用の窪部21−1aを有し、両側には通し穴21−1cを設けている。一方、図8(b)の保持部材21−2は、下面中央に心線Haの通過用の窪部21−2aを有し、その両側にはテンションメンバTMを保持する凹部21−2bを設け、さらに外側には、通し穴21−2cを設けている。保持部材21−1と保持部材21−2は、光ファイバーケーブル収納箱10の取付部10e−1、10e−2のいずれにも取付可能としており、光ファイバーケーブルHの引込方向に応じて適宜入れ替えて取り付けるようにしている。このようにケーブル保持又はテンションメンバ保持の専用となる各保持部材21−1、21−2を適用することで、光ファイバーケーブルH及びテンションメンバTMの保持をより確実に行える。
【0051】
図9は、変形例の光ファイバーケーブル収納箱20であり、上下の周壁20aに設けた引込部20d−1、20d−2に対応して、計3個の取付部20e−1〜3を内部20cに設けている。また、中央の取付部20e−2には、図8(b)のテンションメンバTMの専用の保持部材21−2を取り付け、光ファイバーケーブルHを引き込む側の取付部20e−1、20e−3のいずれか一方に図8(a)の保持部材21−1を取り付けるようにしている(図では、取付部20e−1に保持部材21−1を取付)。よって、光ファイバーケーブル収納箱20では、中央の保持部材21−2及び取付部20e−2を共用にしている。
【0052】
このように光ファイバーケーブル収納箱20は、中央の保持部材21−2及び取付部20e−2を共用にすることで、上下の各引込部20d−1、20d−2毎に2個の保持部材を取り付けるようにした場合に比べて小型化できるようにしている。なお、各取付部20e−1〜3には、図3(a)の保持部材11−1、11−2を取り付けるようにしてもよい。
【0053】
図10は、別の変形例の光ファイバーケーブル収納箱30であり、上下の引込部30d−1、30d−2に加えて、上下方向の辺の両方の端部付近の周壁30aを切り欠いて左下引込部30d−3及び左上引込部30d−4を形成している。左下引込部30d−3から引き込んだ光ファイバーケーブルHは緩やかに屈曲させて保持部材31−1で保持するようにし、左上引込部30d−4から引き込んだ光ファイバーケーブルHも緩やかに屈曲させて保持部材31−2で保持するようにしている。このように光ファイバーケーブル収納箱30は、左側の上下からも光ファイバーケーブルHを引き込むことができるので、種々の索線形態にも対応できる。
【0054】
なお、本発明の光ファイバーケーブル収納箱に係る各引込部、取付部、保持部材は、上述した計2個の第1巻回部及び第2巻回部と組み合わせる以外にも、図14に示す従来の光ファイバーケーブル収納箱1のように単一の巻回部にも組み合わせ可能である。
【0055】
また、光ファイバーケーブル収納箱における第1巻回部及び第2巻回部にも種々の変形が可能であり、図11(a)は、変形例の光ファイバーケーブル収納箱40における第1巻回部40f−1及び第2巻回部40f−2の斜視図である。第1巻回部40f−1及び第2巻回部40f−2は、図11(b)に示すように、全体がボビン状であり、底板部40gより柱状部44−1(44−2)を立設すると共に、柱状部44−1(44−2)の上端に柱状部44−1(44−2)より大径の天板部43−1(43−2)を設けている。
【0056】
各第1巻回部40f−1及び第2巻回部40f−2は、柱状部44−1(44−2)の周囲に心線Haを巻回し、天板部43−1(43−2)で巻回した心線Haの抜けを防止している。また、第1巻回部40f−1及び第2巻回部40f−2は間隔を隔てて設けられており、第1巻回部40f−1と第2巻回部40f−2との間には、巻回する心線Haを通過させることが可能であり、上述した図5及び図6(a)〜(d)に示す同方向の巻回方法等、及び、図7(a)〜(c)に示す反転させる巻回方法等を適用することが可能である。
【0057】
図12(a)は、別の変形例となる光ファイバーケーブル収納箱50における第1巻回部50f−1及び第2巻回部50f−2の斜視図である。第1巻回部50f−1及び第2巻回部50f−2は底板部50gから突設する夫々計4個のガイド突起52から構成されている。
【0058】
ガイド突起52は、光ファイバーケーブル収納箱50の対角方向に設けられており、図4(a)の第1ガイド突起12−1と略同等の枠形状に形成されている。ガイド突起52が第1ガイド突起12−1と相異する点は、図12(b)に示すように、ガイド突起52の設けられている箇所に応じて全体が湾曲していることである。即ち、第1巻回部50f−1及び第2巻回部50f−2は、各ガイド突起52を心線Haの巻回軌跡とする円周上の4箇所に配置しており、この円周の曲率に応じてガイド突起52は、心線Haの挿通方向の辺を湾曲させている。
【0059】
ガイド突起52を、上記のような形状にすることで心線Haを規定の曲率で巻回することが容易になる。なお、この変形例においても第1巻回部50f−1及と第2巻回部50f−2との間に心線Haを通過させることが可能であり、上述した図5及び図6(a)〜(d)に示す同方向の巻回方法等、及び、図7(a)〜(c)に示す反転させる巻回方法等を適用できる。
【0060】
図13は、さらに別の変形例となる光ファイバーケーブル収納箱60における第1巻回部60f−1及び第2巻回部60f−2の斜視図である。第1巻回部60f−1及び第2巻回部60f−2は、図1の第1ガイド突起12−1及び第2ガイド突起12−2と同様の配置形態で底板部60gから突設する第1ガイド突起62−1及び第2ガイド突起62−2により構成されている。
【0061】
第1ガイド突起62−1は、第1巻回部60f−1と第2巻回部60f−2との間に設けられ、第1巻回部60f−1と第2巻回部60f−2との共用にされており、T字状に形成することで両側に心線Haを巻回できるようにしている。また、第2ガイド突起62−2は、図4(b)の第2ガイド突起12−2と同等の逆L字状に形成されており、光ファイバーケーブル収納箱60の長辺方向に位置する第2ガイド突起62−2は内方向へ向けており、短辺方向に位置する第2ガイド突起62−2は外方向へ向けている。
【0062】
この変形例では、各ガイド突起62−1、2に枠形状のものを用いていないため、光ファイバーケーブル収納箱60の形成用の金型製作が容易となり、金型製作に係るコストの低減を図れる。また、第2ガイド突起62−2を上述したように所要方向に向けることで心線Haを適切に巻回できる。なお、光ファイバーケーブル収納箱60も上述した図5及び図6(a)〜(d)に示す同方向の巻回方法等、及び、図7(a)〜(c)に示す反転させる巻回方法等を適用できる。
【0063】
なお、図1の第1巻回部10f−1及び第2巻回部10f−2、図11の第1巻回部40f−1及び第2巻回部40f−2、図12の第1巻回部50f−1及び第2巻回部50f−2、図13の第1巻回部60f−1及び第2巻回部60f−2は、本発明に係る光ファイバーケーブル収納箱以外にも、従来の光ファイバーケーブル収納箱にも適用可能である。
【0064】
【発明の効果】
以上に詳述した如く、発明にあっては、複数の引込部の中から索線される光ファイバーケーブルの方向に応じた引込部を介して、光ファイバーケーブルを光ファイバーケーブル収納箱の内部に引き込むことができ、光ファイバーケーブルの引込作業の効率化を図れる。また、少なくとも、テンションメンバ保持部材を各引込部の共用にしているため、光ファイバーケーブル収納箱の大型化を防止して、壁部等への良好な設置性を維持できる。
【0065】
発明にあっては、ケーブル保持部材も各引込部の共用にしているため、一段と光ファイバーケーブルの大型化を防止できる。また、ケーブル保持部材とテンションメンバ保持部材とは取付箇所の入れ替え可能なので、各引込部に対応した取付形態を維持して光ファイバーケーブル及びテンションメンバの保持を確実に確保できる。
発明にあっては、ケーブル保持部材とテンションメンバ保持部材とが同形状であるため、部品共用化によりコスト低減を図れると共に、各保持部材の取付ミスも生じる可能性が無くなり、光ファイバーケーブルの引込作業性を向上できる。
【0066】
発明にあっては、巻回部を2個設けているので、心線端末のコネクタの接続先であるレセプタクルの向きに合わせて、心線を終始同方向に巻回することも、又は、途中反転させて巻回することもでき、コネクタの接続性を大幅に向上できる。また、2個の巻回部により巻回可能な量を細かく調節でき、心線の余長部分がどのような寸法であっても、適切に吸収することができる。
発明にあっては、前記巻回部をボビン状部材で形成したり、又は、複数の巻回規制用突起で構成することで、種々の巻回形態に対応できる。
【0067】
発明にあっては、2個の巻回部材を並設することで、光ファイバーケーブルの余長部分を2通りの巻回方法で処理できる。よって、巻回方向を、光ファイバーケーブル端部の接続先であるレセプタクルの向きに合わせ巻回でき、心線の無理な引き回しを解消してスムーズな接続作業を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る光ファイバーケーブル収納箱の分解斜視図である。
【図2】実施の形態の光ファイバーケーブル収納箱をコンバータへ一体化する状態の斜視図である。
【図3】保持部材及び取付部であり、(a)は保持部材を取付部へ取り付ける状態の概略図、(b)は光ファイバーケーブルの保持状態の概略図、(c)はテンションメンバの保持状態の概略図である。
【図4】(a)は第1ガイド突起の斜視図、(b)は第2ガイド突起の斜視図である。
【図5】心線の巻回状態の概略図である。
【図6】(a)(b)(c)(d)は、心線を同方向に巻回する場合の巻回状態を示す概略図である。
【図7】(a)(b)(c)は、心線を反転させて巻回する場合の巻回状態を示す概略図である。
【図8】(a)は変形例のケーブル用の保持部材の正面図、(b)は変形例のテンションメンバ用の保持部材の正面図である。
【図9】変形例の光ファイバーケーブル収納箱の要部平面図である。
【図10】別の変形例の光ファイバーケーブル収納箱の要部平面図である。
【図11】(a)は変形例の第1巻回部及び第2巻回部の斜視図、(b)は第1巻回部の正面図である。
【図12】(a)は別の変形例の第1巻回部及び第2巻回部の斜視図、(b)はガイド突起の斜視図である。
【図13】他の別の変形例の第1巻回部及び第2巻回部の斜視図である。
【図14】従来の光ファイバーケーブル収納箱の平面図である。
【符号の説明】
10 光ファイバーケーブル収納箱
10a 周壁
10c 内部
10d−1、10d−2 引込部
10e−1、10e−2 取付部
10f−1 第1巻回部
10f−2 第2巻回部
10g 底板部
11−1、11−2 保持部材
12−1 第1ガイド突起
12−2 第2ガイド突起
H 光ファイバーケーブル
Ha 心線
Hb 被覆樹脂
TM テンションメンバ

Claims (7)

  1. テンションメンバを備える光ファイバーケーブルの引込部と、該引込部に対応して取り付けてある光ファイバーケーブルの保持部材とを備える光ファイバーケーブル収納箱において、
    前記引込部は複数であり、
    各引込部に共用の2個の保持部材が取り付けてあり、
    前記保持部材は、光ファイバーケーブルを保持する保持部、及びテンションメンバを保持するテンションメンバ保持部を備え、
    複数の引込部のいずれか1つから引き込まれる光ファイバーケーブルを一方の保持部材の保持部で保持すると共に、前記光ファイバーケーブルのテンションメンバを他方の保持部材のテンションメンバ保持部で保持するようにしてあることを特徴とする光ファイバーケーブル収納箱。
  2. 前記2個の保持部材は同形状であり、
    前記2個の保持部材がそれぞれ取り付けられる2個の取付部を備える請求項1に記載の光ファイバーケーブル収納箱。
  3. 周囲に立設する平面視で略矩形の周壁を備え、
    複数の引込部は、前記周壁の直交する周壁部をそれぞれ切り欠いて形成してある請求項1又は請求項2に記載の光ファイバーケーブル収納箱。
  4. 光ファイバーケーブル用の2個並設してある巻回部を更に備える請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光ファイバーケーブル収納箱。
  5. 前記巻回部は、前記光ファイバーケーブルを周囲に巻回することが可能なボビン状である請求項4に記載の光ファイバーケーブル収納箱。
  6. 前記巻回部は、複数のガイド突起を備える請求項4に記載の光ファイバーケーブル収納箱。
  7. 前記請求項4乃至請求項6のいずれか1つに記載の光ファイバーケーブル収納箱を用いて、索線された光ファイバーケーブルの余長部分を、該光ファイバーケーブル収納箱の2個の巻回部に巻回する光ファイバーケーブルの余長処理方法において、
    方向で巻回する場合、前記余長部分を一方の巻回部と他方の巻回部とに巻回するとき、前記一方の巻回部と他方の巻回部との間を通過させずに、又は、偶数回通過させて巻回し、
    反転させて巻回する場合、前記余長部分を前記一方の巻回部と他方の巻回部とに巻回するとき、前記一方の巻回部と他方の巻回部との間を奇数回通過させて巻回していることを特徴とする光ファイバーケーブルの余長処理方法。
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