JP3762329B2 - Pcb汚染物の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、PCB汚染物の除染処理に関するものであって、詳しくは、PCB汚染物をPCB除去難易度毎に解体分別し、分別されたそれぞれのPCB汚染物に対して適切なPCB除去処理を施して、PCB汚染物の除染処理を行うPCB汚染物の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリ塩化ビフェニル(以下「PCB」という。)は、安定性、不燃性、電気絶縁性に優れていることから、過去において、コンデンサやトランス等(以下「コンデンサ等」という。)を構成する際の絶縁油に利用されていた。このように利用されるPCBは、容易に分解されないため、使用されたコンデンサ等が廃棄処理された後には、水、土壌等に蓄積して、食品等を介して人体に入るおそれがある。
【0003】
このように、PCBは、分解されにくく有害であるため、現在は、その製造や新規使用等が禁止されている。そして、その毒性が指摘された後は、PCBを含有する絶縁油(以下、単に「絶縁油」という。)を使用したコンデンサ等は保管され、その早急な処理が必要とされている。
【0004】
コンデンサ等は、具体的には、本体と絶縁油、及びこれらを収容する容器等から構成され、本体は、素子、碍子、その他付属物とから構成されている。このうち、素子は、帯状の電極と帯状の絶縁体が重ねられた状態で、これらが何層にも巻かれて構成されている。
【0005】
上記コンデンサ等の廃棄処理を行う際には、容器内から抜き出された絶縁油については、そのPCBを確実に分解処理(無害化)することが求められ、従来から種々の処理方法が検討されている。
また、コンデンサ等を構成する容器や素子については、絶縁油を抜き出した後においても、容器には絶縁油が付着しており、素子の絶縁体は絶縁油を含浸しているため、これらを完全に除去した後、安全な状態で廃棄あるいは再利用する必要がある。
【0006】
PCBに汚染されたコンデンサ等の処理方法としては、従来、減圧状態で加熱し、PCBを気化させて除去する真空加熱分離等の分離法や、溶剤で洗浄する溶剤洗浄方法等が知られている。また、従来技術においては、前処理を簡素化するために、PCB汚染物については破砕、粉砕、裁断等の前処理が施される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術においては、次のような問題があった。
【0008】
上述したように、従来技術にかかるPCB汚染物の処理方法においては、PCB汚染物の破砕等を行った後に種々の洗浄処理が行われるが、この際には、破砕された種々の部位の中でも最も汚染度が高い(いわゆる最も洗浄難易度が高い)部材を対象として洗浄条件を定める必要があるため、溶剤量が多量に必要となって、効率的な洗浄処理を行うことができないという問題があった。
さらに、上記のように破砕を行うと、部材が折れ重なり、圧着され、また、その時々によって、圧着面積、圧着の度合い等が異なるため、毎回洗浄条件が異なり、その洗浄条件の予測が困難であり、分析と洗浄とを繰り返す必要があった。よって、実操業計画の立案が非常に困難であった。
【0009】
また、従来技術においては、破砕等を行う際には、何ら選別等されていなかったため、洗浄処理および他の処理において、種々の不具合が生じていた。例えば、碍子を破砕すれば、非常に微細な粉が発生し、その後の工程において取扱いが困難となるという問題があった。
【0010】
さらに、従来技術においては、洗浄方法として超音波洗浄や真空加熱分離法に頼ったものが多数を占めていたので、各洗浄方法について種々の不具合があった。例えば、大気圧下の超音波洗浄では、部材の重なり部分やリード線等を十分に洗浄することができず、アルミがダメージを受けて粉状になるという問題があった。
また、真空加熱分離法に頼った方法(例えば、真空加熱分離法の前段で浸漬洗浄法等のPCB除去が行われない方法)の場合には、PCB除去処理に要する時間やエネルギーの消費が大きくなる等の問題があった。すなわち、真空加熱分離に頼った方法では、PCB付着量が多い場合には、加熱温度を高く(250℃以上)又は加熱時間を長くする必要があり、例えば、このような処理をPCB付着量が多い紙・木等の含浸物に行うと、多量に木酢液、タールが揮発し、後のPCBの分解が困難になったり、分解時に複数の副生成物が発生するという問題があった。さらに、紙・木が炭化し、蒸気化したPCBが吸着しやすく、卒業が困難であることが実験等にて確認された。特に、高濃度PCB(1%以上)に汚染されたコンデンサや高圧トランスを処理する場合、上述したような問題が顕著であった。
【0011】
そこで、本発明は、上記従来技術にかかる問題を解決するためになされたものであって、PCB汚染物をPCB除去難易度(洗浄等難易度)毎に解体分別し、分別されたそれぞれのPCB汚染物に対して適切なPCB除去処理(洗浄処理等)を施すことによって、効率的なPCB除去処理を実現して、PCB汚染物の除染処理を行うことが可能なPCB汚染物の処理方法を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたもので、PCB汚染物を除染処理する処理方法であって、前記PCB汚染物の解体処理、および解体されたPCB汚染物のPCB除去難易度毎の分別処理が行われる前処理工程と、分別されたPCB汚染物のそれぞれに対して、PCB除去難易度に応じたPCB除去処理が施されるPCB除去工程とを備えたことを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、前記前処理工程において、前記PCB汚染物の解体処理およびPCB除去難易度毎の分別処理が行われ、この分別処理された各PCB汚染物について、それぞれ適切なPCB除去処理が施されるため、そのPCB除去難易度に応じた効率的なPCB除去処理を行うことが可能となる。つまり、ほぼ同様の汚染状態のPCB汚染物についてのPCB除去処理(洗浄処理等)が施されるため、洗浄溶剤等の必要量を低減して、高効率かつ設定が容易なPCB除去工程を行うことができる。
また、このような構成によれば、使用するPCB除去方法(洗浄方法等)の種類等に応じて解体後のPCB汚染物を分別等することが可能となり、分別された被処理物毎に適切なPCB除去方法を選択可能である。したがって、例えば、アルミ等について超音波洗浄を用いないグループに分別して適切なPCB除去処理等を行うことができる。
【0014】
また、前記前処理工程においては、解体および分別の他に、前記PCB汚染物の外部除塵、外観検査、寸法検査、重量検査、内部構造透視検査、PCB含有絶縁油の抜油、および蓋部切断の少なくとも一つの処理が行われる構成が好ましい。
【0015】
PCB汚染物の外面に粉塵等が付着した状態で解体が行われると、粉塵等もPCBに汚染されて、このような細かい粉塵等についても除染処理を行わなければならなくなる。しかし、このような微細な部材(粉塵等)のPCB除染処理は非常に困難である。そこで、この好ましい構成によれば、必要に応じて、「外部除塵」を行うことによって、PCB汚染物の解体処理等の前に外面に付着している粉塵等を予め除去し、除染処理を行う際の困難をなくし、PCB除去処理等を適切に行うことができる。
また、PCB汚染物は一般に倉庫等に長期間保管されているものであるから、破損や漏洩等が生じている場合もある。このような状態でPCB汚染物の処理が行われると、作業者のPCB曝露の可能性がある。そこで、この好ましい構成によれば、必要に応じて、上記外部除塵と共に「外観検査」を行って、PCB汚染物についての破損状態等を検査して、その破損状態等を確認した上で、後の種々の工程をPCB曝露等を防止しつつ行うことができる。
また、この好ましい構成によれば、必要に応じて、上記外部除塵と共に「寸法検査」「重量検査」を行うため、粉塵等を除いたPCB汚染物の正確な寸法および重量等を把握することが可能となる。例えば、ここで把握された寸法検査におけるデータは解体処理の際に利用され、重量検査におけるデータは汚染処理物の物流管理に利用される。
また、PCB汚染物の処理を行う際には、PCB汚染物内のPCB含有絶縁油の抜油あるいはPCB汚染物の解体を行うが、この際には、その内部構造が明確となっている方が、各処理工程をスムーズに実施することができる。そこで、この好ましい構成によれば、必要に応じて、「内部構造透視検査」を行うことにより、PCB含有絶縁油の抜油しやすい位置、あるいは解体時に切断しやすい位置等を検査確認して、効率的な処理を行うことができる。
また、この好ましい構成によれば、必要に応じて、「PCB含有絶縁油の抜油」を行うことによって、後の工程においてPCB含有絶縁油の流出を最小限に抑えつつ各処理を実施することができる。ここで「抜油」とは、例えば、負圧状態に維持された針状部材をPCB汚染物の容器に突き刺して、PCB汚染物内のPCB含有絶縁油を抜き出すことである。PCB汚染物内に充填されているPCB含有絶縁油の回収を行う際には、容器蓋部の切断処理等を行った後に、その切断部から絶縁油の回収等が行われるが、上記「抜油」を所定量行っておれば、容器蓋部の切断処理の際、その切断面からの絶縁油の流出を適切に抑えることができる。
また、この好ましい構成によれば、必要に応じて、「蓋部切断」が行われるため、PCB汚染物内に充填されているPCB含有絶縁油を適切に回収することができる。
【0016】
また、前記前処理工程の分別処理においては、解体されたPCB汚染物が少なくとも三つ以上に分別される構成が好ましい。
【0017】
一般に、PCB汚染物を構成する各要素は、その構成部位に応じてPCBの汚染度合いが異なり、この汚染度合いおよび構造等の違いに基づいて、PCB除去処理を行う際の難易度等が異なる。具体的には、例えば、コンデンサであれば、その容器と、金属類(端子等)と、コンデンサ素子等とでは、その大きさおよび部材の構造、性質(例えば含浸しやすさ)等に基づいてPCBの汚染度合い(含浸具合、付着具合等)が異なる。そこで、この好ましい構成によれば、解体されたPCB汚染物を少なくとも三つ以上に分別しているため、容器等の比較的汚染度合いが低いもの(比較的PCB除去が容易なもの)、紙等の汚染度合いが高いもの(PCBが含浸しやすくPCB除去が困難なもの)、およびその他に分別して、それぞれについて適切なPCB除去処理を施し、PCB除去処理を効率よく行うことができる。
【0018】
また、前記PCB除去工程においては、分別されたPCB汚染物毎に、少なくとも二段階以上のPCB除去処理が行われる構成が好ましい。
【0019】
この好ましい構成によれば、分別されたPCB汚染物毎に適切なPCB除去処理が行われ、さらに各PCB汚染物について二段階以上のPCB除去処理(同一の処理方法による二段階以上のPCB除去処理でも、また異なる処理方法による二段階以上のPCB除去処理でもよい。)が行われているので、分別された各PCB汚染物の除染処理を適切に実現することができる。特に、高濃度PCBに汚染されたコンデンサ、トランスの場合に好ましく適用される。
【0020】
また、本発明にかかるPCB汚染物の処理方法においては、前記PCB除去処理が、攪拌洗浄処理、超音波洗浄処理、蒸気洗浄処理、および真空加熱乾燥処理の少なくとも二つ以上の処理を組み合わされて行われる構成が好ましい。
【0021】
また、本発明にかかるPCB汚染物の処理方法においては、前記PCB除去工程終了後のPCB汚染物について、卒業判定を行う前段階に、自主管理分析工程が行われる構成が好ましい。また、必要に応じて、段階的に行われるPCB除去処理の所定段階間にて、自主管理分析工程が行われる構成も好ましい。
ここで、「自主管理分析工程」とは、卒業判定と略同様の基準値に到達しているか否かを事前に自主的に分析する工程、または、段階的に行われるPCB除去処理の進行状況を事前に分析判断する工程、あるいは、次の工程(PCB除去工程等)に移行可能か否か(所定の基準値(例えば、次のPCB除去工程に移行可能な基準値)に到達しているか否か)を事前に分析判断する工程等をいう。なお、自主管理分析工程は、公定法にて定められた前処理を簡素化して、1〜3時間で所定の分析(公定分析と略同様の結果等を得られる分析)を行う迅速分析法である。
【0022】
この好ましい構成によれば、卒業判定を行う前段階、あるいは、次工程へ移行する前に、自主管理分析工程が行われるため、卒業判定等の前に予めそのPCB除去状態等を確認することができる。つまり、このように自主管理分析工程を行うことによって、基準値等をクリアしていない場合には、卒業判定等を行う前に、再度PCB除去処理等を施すことが可能となるため、何らかの不具合によって、所定の基準値をクリアしていないことを公定法と比較して短時間で事前にチェックすることができ、確実に卒業可能なPCB汚染物の処理方法を提供することが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
図1は、本実施形態にかかる各装置にて処理されるコンデンサ(本発明の「PCB汚染物」に相当)の一例を示す概略断面図である。
コンデンサ1は、炭素鋼板等にて形成される直方体形状の容器2と、容器2内に収容される本体部3と、容器2の上部を密封する炭素鋼板等にて形成される上蓋4と、上蓋4を貫通すべく設けられた複数の碍子5と、碍子5の先端から突出すべく設けられた端子6と、端子6から碍子5内を貫通して本体部3に接続されるリード線7とを用いて構成されており、さらに、このコンデンサ1を成す容器2内には、電気絶縁用および冷却用のPCB含有絶縁油8が充填されている。
【0025】
また、本体部3は、アルミ箔と紙(クラフト紙等)とを重ねて巻回された多数のコンデンサ素子9等を用いて構成されている。さらに、このコンデンサ素子9等から成る本体部3は、容器2の側板の内周面に配設された固定板3aの内側に収容されており、本体部3の底部と容器2の底面との間にはクラフト紙3bが配設されている。
【0026】
図2は、本実施形態にかかるPCB汚染物の処理方法を実施する際のプロセスフローを示したものである。
図2に示すように、本実施形態においては、受け入れられたPCB汚染物たるコンデンサ1に対して、前処理工程S20が行われた後に、PCBを無害化する処理(除染処理)の中心的な処理である洗浄工程S30(本発明の「PCB除去工程」に相当)が行われる。そして、洗浄工程S30が行われた製品(解体等されて洗浄処理が施されたコンデンサ)は、必要に応じて自主管理分析工程S40が行われた後に、卒業判定S60が行われる。
【0027】
また、本実施形態においては、図2に示すように、溶剤再生工程S50が設けられている。この溶剤再生工程S50は、具体的に、高濃度、中濃度、低濃度の3蒸留装置あるいは高濃度、低濃度の2蒸留装置から構成される蒸留再生システムを用いて行われ、再生された溶剤は、溶剤再生工程S50を経て、再び洗浄工程S30に送られて循環再利用される。さらに、この蒸留再生システムにおいては、溶剤再生による省エネルギ、汚染リスクの低減等の観点から、低濃度用装置の濃縮液が中濃度用装置へ、中濃度用装置の濃縮液が高濃度用装置へ送られ、濃縮されたPCBは、図示外のPCB分解処理設備にて処理が行われる。
【0028】
さらに、本実施形態においては、各処理工程が一つのあるいは複数の遮蔽室内(図示省略)に設けられている。すなわち、コンデンサ1(PCB汚染物)の受入以降、分解等された各構成要素に除染処理が施されて、出荷基準に到達するまで、PCB汚染物(容器およびその内容物等)は、遮蔽室内にて処理される。さらに、作業員のPCB汚染を防止するため、遮蔽室は排風機で排気されて、負圧状態に管理されている。
具体的には、各処理工程を備えた遮蔽室内から排出されるPCBと溶剤とを含んだ排ガスは、凝縮器およびデミスタ等を用いて、PCBと溶剤とに凝縮・分離され、その後、2塔式の吸脱着機能を有する活性炭槽を経て排気される。なお、分離および吸脱着されたPCBと溶剤とは溶剤再生工程S50に送られ、同時に処理される(溶剤は蒸留再生され、PCBは濃縮される)。一方、遮蔽室を備えた工場内の換気については、フィルタで除塵後、活性炭吸着槽を通して排気が行われる。加えて、作業員は、排気ガス等の管理された遮蔽室内に設置された装置等についての操作を、室外から透明のボード越しに行うため、作業者がPCBに曝露することはない。
【0029】
また、本実施形態にかかるPCB汚染物の処理方法においては、PCB汚染物に関する前処理工程S20(受入・検査工程、抜油・解体工程等)、洗浄工程S30、溶剤再生工程S50、および出荷工程等を通して機械化されており、自動化運転、遠隔操作を行うことが可能である。
【0030】
さらに、本実施形態にかかる洗浄工程S30においては、洗浄剤として、ノルマルパラフィン系溶剤等の炭化水素系溶剤、あるいはパークロロエチレン(以下、「PCE」という。)等の有機塩素系溶剤などを用いることが可能である。ここで、炭化水素系溶剤の特徴は、PCEよりも洗浄能力は劣るが、化学物質管理促進法等の法規に該当せず、環境負荷を軽減できる点である。また、PCEの特徴は、比重が1.6程度であるため、紙・木と金属との比重差を利用して、コンデンサ素子およびトランスコイルを成す紙・木と金属とを洗浄しながら効果的に分離処理できることである。
【0031】
以下においては、炭化水素系溶剤を用いて行われる洗浄工程S30を備えたPCB汚染物の処理方法の例を、図面に基づいて、第一および第二実施形態として説明する。また、ハロゲン系溶剤であるPCE(パークロロエチレン)を用いて行われる洗浄工程S30を備えたPCB汚染物の処理方法の例を、図面に基づいて、第三および第四実施形態として説明する。さらに、第一および第三実施形態としては、洗浄工程S30中の洗浄方法として、超音波洗浄および攪拌洗浄(浸漬洗浄)等が用いられる場合、第二および第四実施形態としては、洗浄工程S30中の洗浄方法として、超音波洗浄、攪拌洗浄、および真空加熱等が用いられる場合について説明する。
【0032】
〈第一実施形態〉
「前処理工程」
図3は、本発明の第一実施形態にかかる前処理工程の具体的なプロセスフロー等を示したものである。
図3に示すように、コンデンサ1は、受入時に、容器2の外部除塵処理S201が行われると共に、外部汚れ、PCB漏れ、および破損程度等が検査される。また、PCB汚染のない外部部材についは、その取り外し処理S202が行われて、取り外された金属等については、リサイクルあるいは廃棄される。
【0033】
次に、外部部材等の取り外しが行われたコンデンサ1は、移送ラインに移され、遠隔操作にて、寸法・重量測定処理S203およびX線による内部構造透視の検査S204を受ける。この内部透視処理S204の結果は、次工程以降のコンデンサ1の穿孔処理、解体処理等を行う際に利用される。すなわち、この内部透視の結果に基づいて、穿孔位置(穿孔しやすい位置、適切な穿孔深さ等)あるいは切断位置(切断しやすい位置等)等が定められる。
【0034】
次に、コンデンサ1の内部のPCB含有絶縁油8を適切に回収するために、真空吸引状態にある抜油針にてコンデンサ1の上蓋4の穿孔処理S205が行われ、後述する上蓋4の切断時にPCB含有絶縁油が飛散しないように、所定量(上蓋4の切断を適切に行うことが可能となる量)のPCB含有絶縁油8の抜油処理S206が行われる。
【0035】
抜油処理S206が行われた後のコンデンサ1については、次に、容器2上部の切断処理S207が行われて、上蓋4が分離される。この分離された上蓋4については、後に適切な分別・洗浄等を実施可能なように解体処理S208が行われる。
【0036】
また、上蓋4が分離された後のコンデンサ1については、その内部の残油(PCB含有絶縁油8)の回収処理S209が行われた後に、容器2内から本体部3の取り出し処理S210が行われる。すなわち、残油回収処理S209と本体部取り出し処理S210とを行うことによって、上蓋4が分離されたコンデンサ1については、容器2と本体部3とPCB含有絶縁油8とにそれぞれ分離されることとなる。
【0037】
さらに、各構成要素についても、先に説明した上蓋4の場合と同様に、適切な洗浄効果をあげるために、分解・裁断処理が施される。具体的には、分離された容器2については、底の切断処理S211等が行われ、本体部3(コンデンサ素子9)については、裁断処理S212等が行われる。また、その他の紙にて形成されている部分およびリード線等についても、適宜分解処理等が行われる。すなわち、本実施形態においては、後述する洗浄工程における洗浄効果を向上させるために、各構成要素は、所定寸法まで分解される。例えば、コンデンサ素子3については、二段階での裁断処理が行われ、一次裁断では、一定の幅で素子が送られた後にロール状からスライス状に裁断され、二次裁断では、さらにスライス状から短冊状に裁断される。このような裁断処理を経て、コンデンサ素子3は、幅が40mm(好ましくは15mm)以下、長さが50mm〜100mm程度に裁断される。
【0038】
そして、残油回収処理S209にて回収されたPCB含有絶縁油8については、抜油処理S206にて回収されたPCB含有絶縁油8と共に、図示外の装置(PCB分解処理設備)にて無害化処理が施され、解体処理等が行われたコンデンサ1の各構成要素(容器2、本体部3、および上蓋4等)については、それぞれの洗浄難易度および洗浄方法等に合わせた分別処理が行われる。
【0039】
具体的に、この分別処理においては、裁断素子および紙等からなる第一グループG1と、金属類(端子、蓋、底等)、およびリード線等からなる第二グループG2と、碍子およびケース胴部からなる第三グループG3とに分別される。
また、この分別処理時には、各部材毎に最適洗浄方法を適用するために、分解後の各部材はそれぞれ専用かごに装填される。なお、基本的なPCB除去難易度は、困難な方から、第一グループG1、第二グループG2、第三グループG3の順番であるが、最もPCB除去難易度が高いのは、第二グループG2に属するリード線である。このように、最もPCB除去難易度が高いリード線を第二グループG2内に入れて処理するのは、本実施形態にかかる処理方法においては、その性質上、金属類と同様に、後述する減圧超音波洗浄を適用する方が好ましいからである。
【0040】
本実施形態においては、以上のように、適宜分解、分別等の前処理工程が行われた後に、それぞれのグループG1,G2,G3が、各グループに対応した搬送ラインL1,L2,L3を用いて洗浄工程S30に送られ、それぞれの部材に対して最適洗浄方法が適用される。
なお、本実施形態においては、上述したように、分別処理の際に各要素の分解・裁断は行うが、従来技術のような破砕処理は行わない。したがって、本実施形態においては、従来、破砕処理を行うことに起因して、PCBの除染処理を行う際に生じていた種々の不具合を適切に解消することができる。
【0041】
「洗浄工程」および「自主管理分析工程」
図4は、本発明の第一実施形態にかかる洗浄工程の具体的なプロセスフロー等を示したものである。本実施形態にかかる洗浄工程S30においては、部材の種類、またはPCB濃度に適した洗浄方法が適用され、その洗浄効果および処理効率等を考慮して、段階的な洗浄処理が施される。また、上述したように、本実施形態においては、洗浄溶剤としては、炭化水素系溶剤が用いられる。
【0042】
図4に示すように、本実施形態においては、第一グループG1の部材(裁断されたコンデンサ素子等)は、脱液機能付きの洗浄槽で、攪拌・浸漬洗浄される。すなわち、この第一グループG1に対しては、攪拌洗浄を繰り返することによって洗浄処理が行われる(S301,S302)。
【0043】
上記攪拌洗浄S301,S302においては、洗浄溶剤を貯留した所定の洗浄槽(脱液機能付き)内に第一グループG1の部材を投入して、洗浄槽内の洗浄溶剤を攪拌等しつつ、部材の洗浄処理が行われる。
【0044】
また、本実施形態においては、2槽目の攪拌洗浄S302が終了した後に、その処理の際に用いられた洗浄液を採取して、卒業判定S601の前に自主管理分析工程S40(洗浄液試験法を簡素化した方法)が行われる。そして、この自主管理分析工程S40の結果が、管理値に達していない場合には、再度攪拌洗浄S302および自主管理分析工程S40を行い、管理値に達した後に、分離洗浄後のアルミ箔および紙についての卒業判定S601が行われる。
【0045】
また、本実施形態においては、第二グループG2および第三グループG3については、三段階の超音波洗浄S303,S304,S305が施される。より具体的には、第二グループG2の部材に対しては、1槽目、2槽目、および3槽目において、超音波を用い7000Pa程度の真空状態で浸漬洗浄が行われる(S303,S304,S305)。また、第三グループG3の部材に対しては、1槽目、2槽目、および3槽目において、超音波洗浄中に槽内圧力を大気圧から7000Pa程度まで数回変動させる処理が施される(S303,S304,S305)。なお、この超音波洗浄処理S303,S304,S305は、同じ洗浄槽を用いて別々に(圧力条件を適宜調整等して)行われる。
【0046】
そして、この第二グループG2および第三グループG3については、3槽目の超音波洗浄S305が終了した後であって且つ卒業判定S602の前に、その各部材を採取して拭き取り試験法あるいは部材採取試験法等を簡素化して行われる自主管理分析工程S40が実施される。そして、この自主管理分析工程S40の結果が、管理値に達していない場合には、再度超音波洗浄S305および自主管理分析工程S40が行われ、管理値に達した後に、乾燥処理S306が行われて、各部材についての卒業判定S602が行われる。
【0047】
また、本実施形態においては、第一および第二グループG1,G2については、3槽目の洗浄処理S305が終了した後に自主管理分析工程S40が行われ、第一グループG1については、2槽目の洗浄処理S302が終了した後に自主管理分析工程が行われる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。したがって、例えば、必要に応じて、第一グループG1については、1槽目の洗浄処理S301の後に自主管理分析工程を行ってから2槽目の洗浄処理S302を行うべく、また第二および第三グループG2,G3については、1槽目あるいは2槽目の洗浄処理S303,S304の後に、自主管理分析工程を行ってから2槽目あるいは3槽目の洗浄処理S304,S305を行うべく構成してもよい。
【0048】
また、上述した卒業判定S60においては、第二および第三グループG2,G3については、洗浄液試験法による公定法で卒業判定(検定)S602が行われ、第一グループG1中の紙については溶出試験法、アルミ箔等については部材採取試験法等の公定法で卒業判定(検知)S601が行われる。そして、基準値に到達した金属類は再利用され、碍子・紙は一般産業廃棄物として処分される。
【0049】
本実施形態にかかる処理方法は、上記図2〜4に示すべく構成されているため、次のような効果を得ることができる。
【0050】
本実施形態によれば、前処理工程S20において、PCB汚染物たるコンデンサ1の解体処理およびPCB除去難易度毎の分別処理が行われ、この分別処理された部材G1,G2,G3について、それぞれ適切な洗浄処理が施されるため、そのPCB除去難易度に応じて効率的な洗浄処理を行うことが可能となる。つまり、ほぼ同様の汚染状態のPCB汚染物についての洗浄処理が施されることとなるため、洗浄必要溶剤等を低減して、高効率かつ設定が容易な洗浄処理を行うことができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、使用する洗浄方法の種類等に応じて解体後のPCB汚染物を分別等することが可能となり、分別された部材毎に適切な洗浄方法を選択可能である。したがって、例えば、アルミ等について超音波洗浄を用いないグループに分別して適切な洗浄処理等を行うことができる。
【0052】
さらに、本実施形態によれば、外部除塵を行うことによって、コンデンサ1の解体処理等の前に外面に付着している粉塵等を予め除去しているので、除染処理を行う際の困難(粉塵等が汚染された際の洗浄の困難さ)をなくし、洗浄処理等を適切に行うことができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、外部除塵と共に外観検査を行って、コンデンサ1についての破損状態等を検査して、その破損状態等を確認した上で、後の種々の工程を行っているため、作業者のPCB曝露等を防止しつつ、除染処理を行うことができる。
【0054】
さらに、本実施形態によれば、予め内部構造透視検査を行っているため、PCB含有絶縁油の抜油しやすい位置、あるいは解体時に切断しやすい位置等を検査確認して、効率的な処理を行うことができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、コンデンサ1内に充填されているPCB含有絶縁油については、抜油を行ってから、容器蓋部4の切断処理等を行った後に、その切断部から絶縁油の回収等が行われている。つまり、予め「抜油」が所定量行われているため、容器蓋部4の切断処理の際、その切断面からの絶縁油の流出等を適切に抑えることができる。
【0056】
さらに、本実施形態によれば、分別されたPCB汚染物毎に適切な洗浄処理が行われ、さらに各PCB汚染物について二段階以上の洗浄処理(例えば、3段階の超音波洗浄処理や2段階の攪拌洗浄処理)が行われているので、分別された各PCB汚染物の除染処理を適切に実現することができる。
【0057】
なお、本実施形態にかかる処理方法は、高濃度のPCB(1%以上)に汚染されたPCB汚染物(例えば、コンデンサ、高圧トランス等)や低濃度のPCB(約50ppm以下)に汚染されたPCB汚染物(例えば柱上トランス等)に適用可能であるが、上述したように複数段階のPCB除去工程(洗浄処理等)を行うべく構成されているため、特に高濃度のPCB汚染物の処理に好適に用いられる。
【0058】
また、本実施形態によれば、卒業判定S60を行う前段階で、自主管理分析工程S40が行われているため、公定法と比較して短時間でその分析結果を踏まえて、各製品を卒業判定S60に送ることができる。つまり、基準をクリアしていなければ、再度洗浄等を行ってから、卒業判定S60に送ることができる。したがって、本実施形態によれば、PCB汚染物を確実に卒業させることが可能なPCB汚染物の除染処理方法を得ることができる。
【0059】
次に、本実施形態(第一実施形態)にかかる洗浄工程S30における各洗浄処理S301〜S305を、より詳細に説明する。これらの各洗浄処理S301〜S305は、図7〜図9のフローに示すべく行われる。
【0060】
図7は、図4に示した1槽目の超音波洗浄処理S303の具体的なプロセスフローを示したものである。
図7に示すべく、1槽目の超音波洗浄処理S303においては、まずはじめに、シャワー洗浄が行われ(S701)、この洗浄液は分析等に用いられることなく、そのまま排出される。ここでは、例えば、常温〜90℃程度(好ましくは60℃程度)の温度の溶剤(炭化水素系溶剤)を用いて、5〜20分程度(好ましくは10分程度)のシャワー洗浄が行われる。次に、この処理S303を行う槽内においては、常温〜90℃程度(好ましくは60℃程度)の温度の溶剤の仕込み(液仕込み)が行われる(S702)。
次に、上記液仕込みが行われた槽内において、超音波洗浄が行われる(S703)。この際、第二グループG2に対しては、槽内の圧力が大気圧と減圧状態(−0.93MPa(−700Torr)程度)とを繰り返されながら超音波洗浄が行われ、また、第三グループG3に対しては大気圧での超音波洗浄が行われる。さらに、この超音波洗浄S703は、槽内温度を常温〜90℃程度(好ましくは60℃程度)に維持して、5〜30分程度(好ましくは20分程度)行われる。
次に、槽内の溶剤が排出され(S704)、槽内の第二グループG2および第三グループG3に対して、シャワー洗浄が行われ(S705)、先のシャワー洗浄S701の場合と同様に、洗浄液はそのまま排出される。ここでは、例えば、常温〜90℃程度(好ましくは60℃程度)の温度の溶剤(炭化水素系溶剤)を用いて、1〜5分程度(好ましくは1分程度)のシャワー洗浄が行われる。
次に、再び(1槽目における2回目の)、常温〜90℃程度(好ましくは60℃程度)の温度の溶剤の仕込み(液仕込み)が行われる(S706)。そして、この液仕込みS706の後、再び、先の超音波洗浄S703と同様の条件(圧力、温度、時間)の下、各グループG2,G3に対して超音波洗浄が施される(S707)。
次に、再び、槽内の溶剤が排出されて(S708)、槽内の各グループG2,G3に対しては、この槽における最後の処理であるシャワー洗浄(S709)が行われる。このシャワー洗浄S709においては、例えば、常温〜90℃程度(好ましくは60℃程度)の温度の溶剤(炭化水素系溶剤)を用いて、1〜5分程度(好ましくは1分程度)のシャワー洗浄が行われ、洗浄液は(分析等に用いられることなく)そのまま排出される。
【0061】
図8は、図4に示した2槽目の超音波洗浄処理S304の具体的なプロセスフローを示したものである。
図8に示すべく、2槽目の超音波洗浄処理S304においては、まずはじめに、常温〜90℃程度(好ましくは60℃程度)の温度の溶剤の仕込み(液仕込み)が行われ(S801)、この液仕込みが行われた槽内において、超音波洗浄が行われる(S802)。この際、第二グループG2に対しては、大気圧と減圧状態(−0.93MPa(−700Torr)程度)とが繰り返されながら超音波洗浄が行われ、また、第三グループG3に対しては大気圧での超音波洗浄が行われる。さらに、この超音波洗浄S703は、槽内温度を常温〜90℃程度(好ましくは60℃程度)に維持して、5〜30分程度(好ましくは20分程度)行われる。
次に、槽内の溶剤が分析等に用いられることなくそのまま排出され(S803)、槽内の第二グループG2および第三グループG3に対して、シャワー洗浄が行われる(S804)。ここでは、例えば、常温〜90℃程度(好ましくは60℃程度)の温度の溶剤(炭化水素系溶剤)を用いて、1〜5分程度(好ましくは1分程度)のシャワー洗浄が行われる。
次に、再び(2槽目における2回目の)、常温〜90℃程度(好ましくは60℃程度)の温度の溶剤の仕込み(液仕込み)が行われる(S805)。そして、この液仕込みS805の後、再び、先の超音波洗浄S802と同様の条件(圧力、温度、時間)の下、各グループG2,G3に対して超音波洗浄が施される(S806)。
次に、再び、槽内の溶剤が排出されて(S807)、槽内の各グループG2,G3に対しては、この槽における最後の処理であるシャワー洗浄(S808)が行われる。このシャワー洗浄S808においては、例えば、常温〜90℃程度(好ましくは60℃程度)の温度の溶剤(炭化水素系溶剤)を用いて、1〜5分程度(好ましくは1分程度)のシャワー洗浄が行われ、洗浄液は(分析等に用いられることなく)そのまま排出される。
【0062】
なお、図4に示した3槽目の超音波洗浄処理S305は、図8を用いて説明した2槽目の超音波洗浄処理S304と同様であるため、ここでは、その説明を割愛する。
【0063】
以上、図7および図8にて説明したように、本実施形態にかかる超音波洗浄処理S303〜S305は、いずれも、「液仕込み」から「シャワー洗浄」までの処理を2回繰り返すべく構成されているので、より高い洗浄効果を得ることが可能となる。
なお、本実施形態における2槽目および3槽目の処理においては、上述したように、「液仕込み」から「シャワー洗浄」までの処理を2回繰り返すべく構成されているが、この各槽内にて処理される第三グループG3については、必要に応じて、「液仕込み」から「シャワー洗浄」までの処理を1回だけ行ってもよい。これは、第三グループG3(碍子、ケース胴部)は、比較的洗浄が容易であるからである。
【0064】
図9は、図4に示した1槽目の攪拌洗浄処理S301の具体的なプロセスフローを示したものである。
この図9に示すように、本実施形態にかかる攪拌洗浄処理S301においては、まずはじめに、常温〜90℃程度(好ましくは常温程度)の温度の溶剤の槽内への仕込みが、50〜150cc/g素子(好ましくは80〜100cc/g素子)程度の割合で行われる(液仕込み)(S901)。
次に、上記液仕込みが行われた槽内において、攪拌洗浄が行われる(S902)。この際には、大気圧以下(好ましくは大気圧下)において、10〜60分程度(好ましくは40分程度)の攪拌洗浄が行われる。
次に、攪拌洗浄S902の後、槽内の溶剤が排出され(液排出)(S903)、洗浄液については、分析等に用いられることなく、そのまま排出される(脱液)(S904)。この脱液S904は、例えば、遠心分離を用いて行われ、遠心効果100〜500Gで1分以上の処理(好ましくは、200Gで2分程度の処理)が行われる。
そして、本実施形態にかかる攪拌洗浄処理S301においては、この図9に示された液仕込みS901から脱液S904までの処理が、複数回(例えば、5回)繰り返して行われる。
【0065】
なお、図4に示した2槽目の攪拌洗浄処理S302は、図9を用いて説明した1槽目の攪拌洗浄処理S301と基本的に同様であるため、ここでは、その説明を割愛する。1槽目と2槽目との違いとしては、例えば、液仕込みS901から脱液S904までの処理の繰り返し回数があげられ、2回目の攪拌洗浄処理S302においては、1槽目よりも少ない回数(例えば、2回)の繰り返し処理が行われる。
【0066】
本実施形態にかかる洗浄処理は、以上のように構成されているため、確実に基準値以下まで洗浄できるだけでなく、PCBを全て炭化水素溶剤中に溶解させることが可能となる。すなわち、洗浄処理後のPCB分解の対象物がPCB含有洗浄液のみとなるので、洗浄処理後のPCB分解を容易に行うことができる。
【0067】
〈第二実施形態〉
次に、本発明の第二実施形態について説明する。本実施形態にかかるPCB汚染物の処理方法は、基本的な思想は先に説明した第一実施形態と同様であるが、用いる洗浄方法が若干異なることに起因して、そのための部材の分別数等が相違する。具体的には、この第二実施形態にかかる処理方法によれば、第一実施形態にて説明した洗浄方法に真空加熱乾燥処理を加えることによって、より高い除染処理を行うことが可能となり、最も洗浄難易度が高いリード線等についても、より確実な洗浄処理等を施すことが可能となる。
以下、主に第一実施形態と異なる部分(洗浄方法等)について、図面を用いて説明する。
【0068】
「前処理工程」
図5は、本発明の第二実施形態にかかる前処理工程の具体的なプロセスフロー等を示したものである。
図5に示すように、本実施形態の前処理工程は、基本的に図3を用いて説明した第一実施形態と略同様である。そして、分解・裁断処理が行われた各部材の分別処理のみが異なる。このような違いが生ずるのは、この第二実施形態においては、後述する洗浄工程S30において、真空加熱が用いられるからである。
【0069】
具体的に、この第二実施形態においては、その分別処理にて、裁断素子および紙等からなる第一グループG1と、金属類(端子、蓋、底等)からなる第二グループG2と、碍子およびケース胴部からなる第三グループG3と、リード線からなる第四グループG4とに分別され、各部材毎に最適洗浄方法を適用するために、分解後の各部材はそれぞれ専用かごに装填される。
なお、これらのグループのPCB除去難易度は、困難な方から、第四グループG4、第一グループG1、第二グループG2、第三グループG3の順番である。
【0070】
本実施形態においては、以上のように、適宜分解、分別等の前処理工程が行われた後に、それぞれのグループG1,G2,G3,G4が、各グループに対応した搬送ラインL1,L2,L3,L4を用いて洗浄工程S30に送られ、それぞれの部材に対して最適洗浄方法が適用される。
【0071】
「洗浄工程」および「自主管理分析工程」
図6は、本発明の第二実施形態にかかる洗浄工程の具体的なプロセスフロー等を示したものである。本実施形態にかかる洗浄工程S30においては、部材の種類、またはPCB濃度に適した洗浄方法が適用され、その洗浄効果および処理効率等を考慮して、段階的な洗浄処理が施される。また、本実施形態においても、洗浄溶剤としては、炭化水素系溶剤が用いられる。
【0072】
図6に示すように、本実施形態において、第一グループG1の部材(裁断されたコンデンサ素子等)は、脱液機能付きの洗浄槽で、攪拌・浸漬洗浄S301が行われ、脱液した後に、真空加熱乾燥処理S310が施される。
【0073】
本実施形態においては、上記のように、第一グループG1の部材については、溶剤洗浄によって卒業基準に近いレベルにまで特殊洗浄した後、真空加熱乾燥処理(低温真空加熱乾燥処理)S310により最終的な除染乾燥が行われているので、卒業が困難であるとされている含浸物(紙・木等)も検出限界値以下にまで洗浄処理することができる。具体的には、含浸部材に対し、予め所定の洗浄工程を施し、極力PCB濃度を下げているため、この真空加熱乾燥によれば、低温真空(250℃以下、400Pa以下)、例えば250℃、2〜7Paで且つ短時間(5時間以下)での処理が可能となる。よって、このような処理フローによれば、従来技術における副生成物の発生、炭化等の種々の問題をなくすことができる。
【0074】
また、本実施形態は、攪拌洗浄S301が終了した後に、必要に応じて、その洗浄の際に用いられた洗浄液を採取して、真空加熱乾燥処理S310に送る前に自主管理分析工程40'(洗浄液試験法)が行われる。そして、このような自主管理分析工程40'が行われる場合、その結果が管理値に達していないときには、再度攪拌洗浄処理S301および自主管理分析工程40'が行われて、管理値(真空加熱乾燥処理S310に送ることが可能と判断される規定値、すなわち、この後の真空加熱乾燥処理S310によって卒業判定をクリア可能となる状態)に達した後に、真空加熱乾燥処理S310が行われることとなる。
【0075】
さらに、本実施形態においては、この真空加熱乾燥処理S310を行う処理槽に、後述する超音波洗浄を施された第四グループG4の部材も搬送されて、真空加熱乾燥処理S310を受けるべく構成されている。
そして、真空加熱乾燥処理S310を受けた各部材については、次いで、卒業判定S601が行われる。
【0076】
また、本実施形態においては、第二グループG2および第三グループG3については、三段階の超音波洗浄処理S303,S304,S305が施され、第四グループについては、二段階の超音波洗浄処理S304,S305と真空加熱乾燥処理S310が施される。より具体的には、第二グループG2の部材に対しては、1槽目、2槽目、および3槽目において、超音波洗浄中に槽内圧力を大気圧から7000Pa程度まで数回変動させる処理が施される(S303,S304,S305)。また、第三グループG3の部材に対しては、1槽目、2槽目、および3槽目において、超音波を用い常圧にて浸漬洗浄が行われる(S303,S304,S305)。さらに、第四グループG4の部材に対しては、1槽目、および2槽目において、超音波洗浄中に槽内圧力を大気圧から7000Pa程度まで数回変動させる処理が施された後に、真空加熱乾燥処理S310が行われる。なお、第一実施形態の場合と同様に、この超音波洗浄処理S303,S304,S305は、同じ洗浄槽を用いて別々に(圧力条件を適宜調整等して)行われる。
【0077】
そして、この第二グループG2および第三グループG3については、3槽目の超音波洗浄S305が終了した後に、その洗浄の際に用いられた洗浄液を採取して、卒業判定S602の前に自主管理分析工程S40が行われ、この自主管理分析工程S40の結果が、管理値に達していない場合には、再度超音波洗浄S305および自主管理分析工程S40が行われ、管理値に達した後に、乾燥処理S306が行われて、各部材G2,G3についての卒業判定S602が行われる。
【0078】
また、第四グループG4については、上述したように、減圧超音波洗浄処理S304の後に真空加熱乾燥処理S310が行われているため、最もPCB除去難易度が高いリード線についても適切なPCB除去処理を施すことが可能となる。すなわち、このように、真空加熱乾燥処理S310を行えば、減圧超音波洗浄処理を複数回行う場合よりも容易にPCBを除去することができる。
【0079】
本実施形態においては、3槽目の超音波洗浄処理S305後に行われる自主管理分析工程S40は、第一実施形態と同様に、比較的簡単な操作等にて行うことができる洗浄液試験法を利用して、卒業判定S602前に(いわゆる洗浄処理の最終段階の後に)行われている。したがって、この自主管理分析工程S40においては、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。また、この際の自主管理分析工程S40は、第一実施形態と同様に、拭き取り試験法あるいは部材採取試験法等を簡素化した方法を用いて行われる。
【0080】
一方、攪拌洗浄処理S301後に行われる自主管理分析工程S40'は、洗浄処理の最終段階前(真空加熱乾燥処理S310前)に行われるものである。したがって、この自主管理分析工程S40'は、段階的に行われる洗浄処理の進行状況を事前に分析判断するため、あるいは、次の洗浄工程S310に移行可能か否か(所定の基準値に到達しているか否か)を事前に分析判断するため等に用いることができる。したがって、本実施形態によれば、このような自主管理分析工程S40'を備えることによって、より確実な除染処理(無害化処理)を実施することが可能となる。また、この際の自主管理分析工程S40'は、第一実施形態において、第一グループに対して行われた、洗浄液試験法を簡素化した方法を用いて行われる。
【0081】
また、卒業判定S60は、第二および第三グループG2,G3については、洗浄液試験法による公定法で卒業判定(検定)S602が行われ、第一グループG1中の紙については溶出試験法、アルミ箔等については部材採取試験法等の公定法で卒業判定(検知)S601が行われる。そして、リード線からなる第四グループについては、部材採取試験法による公定法で卒業判定(検定)S601が行われる。
【0082】
さらに、この第二実施形態は、上述したように、基本的に第一実施形態と同様の思想に基づいて構成されているため、上記種々の本実施形態の効果に加えて、第一実施形態の効果をも当然に得ることができる。
【0083】
次に、本実施形態(第二実施形態)にかかる洗浄工程S30における各処理S301,S303〜S305,S310を、より詳細に説明する。
なお、洗浄処理S301,S303〜S305については、先に説明した第一実施形態の場合と同様であるため(図7〜図9参照)、ここでは、第一実施形態と異なる部分(S310)について、主に説明する。
【0084】
図10は、図6に示した真空加熱乾燥処理S310の具体的なプロセスフローを示したものである。
図10に示すべく、炉内に、攪拌洗浄処理S301が終了した第一グループG1および2槽目の超音波洗浄処理S304が終了した第四グループG4の部材が搬送された後、本実施形態においてはこの炉内の真空引きが行われる(S1001)。この際、炉内は、例えば1.33KPa(10Torr)以下に真空引きされる。
次に、炉内に窒素が充填され(S1002)、この窒素によって、炉内の内圧が、例えば93.3KPa(700Torr)程度にまで、回復させられる。
次に、炉内の内圧を例えば93.3KPa(700Torr)程度に維持しつつ、200〜300℃程度まで昇温させられる(炉加熱開始)(S1003)。次に、真空引きを開始し、炉内の内圧を例えば1.33KPa(10Torr)以下で1〜10時間保持する(好ましくは、槽内温度を200〜250℃程度として、20Pa(0.15Torr)以下に5時間程度保持する)(真空加熱保持)(S1004)。なお、この保持中においては、数回(例えば3回)、炉内内部雰囲気置換のために、窒素添加が行われる(S1005)。
次に、炉内に、窒素が充填され、内圧を93.3KPa(700Torr)程度にまで回復させ、この内圧を保持しながら、連続的に窒素が入れられ、炉内を100〜200℃程度(好ましくは150℃程度)にまで冷却する(冷却)(S1006)。その後、炉内への充填物を窒素から空気に変更し、内圧を93.3KPa(700Torr)程度に保持しながら、連続的に空気が入れられ、炉内の冷却が(例えば60℃程度以下まで)行われる。
【0085】
本実施形態においては、このようにして、洗浄後、低温での真空加熱乾燥が行われるため、加熱コストの低減や木酢液やタールの発生を抑制できるだけでなく、部材が極端に酸化されて変質することがない。また、本実施形態によれば、真空加熱乾燥が低温であるにもかからわらず、短時間で基準値以下まで除染できる。
【0086】
〈第三実施形態〉
次に、本発明の第三実施形態について説明する。本実施形態にかかるPCB汚染物の処理方法は、基本的な思想は先に説明した第一実施形態と同様であるが、用いる洗浄溶剤が異なることに起因して、その洗浄方法等が相違する。
具体的には、本実施形態においては、洗浄溶剤として、ハロゲン系溶剤であるPCE(パークロロエチレン)が用いられる。以下、図面に基づいて説明する。
【0087】
図11は、本実施形態にかかる洗浄工程の具体的なプロセスフロー等を示したものである。なお、この第三実施形態にかかる前処理工程は、第一実施形態(図3参照)と同様であるため、本実施形態においては説明を省略する。
【0088】
図11に示すように、本実施形態においては、第一グループG1の部材(裁断されたコンデンサ素子等)は、搬送ラインL1を介して、蒸気洗浄処理S1101を行うための洗浄槽に搬送される。そして、この第一グループG1の部材については、蒸気洗浄処理S1101にて複数回の蒸気洗浄が行われた後に、攪拌洗浄処理S1102にて複数回の攪拌洗浄が行われる。
【0089】
本実施形態においては、洗浄溶剤としてPCEが用いられているため、2槽目の攪拌洗浄処理S1102の際に、被洗浄物と洗浄溶剤との比重の違いから、第一グループG1中の紙とアルミ箔とが適切に分離されることとなる。詳細は、後述する。
【0090】
上述したように、本実施形態においては、第一グループG1の部材は、蒸気洗浄処理S1101および攪拌洗浄処理S1102を経て、紙とアルミ箔とに分離され、分離洗浄後の紙およびアルミ箔について、卒業判定S601が行われる。
【0091】
また、本実施形態において、第二グループG2については、蒸気洗浄処理S1103、および超音波洗浄処理(超音波を用いた常圧下での浸漬洗浄)S1104,S1106が施され、第三グループG3については、蒸気洗浄処理S1103,S1105、および超音波洗浄処理S1106が施される。詳細は、後述する。
【0092】
そして、この第二グループG2および第三グループG3については、3槽目の超音波洗浄処理S1106が終了した後であって且つ卒業判定S602の前に、その各部材を採取して拭き取り試験法あるいは部材採取試験法等を簡素化して行われる自主管理分析工程S40が実施される。この自主管理分析工程S40の結果が、管理値に達していない場合には、再度超音波洗浄S1106および自主管理分析工程S40が行われ、管理値に達した後に、乾燥処理S1107が行われて、各部材についての卒業判定S602が行われる。
【0093】
本実施形態においては、第一グループG1については、特に自主管理分析工程を行わず、第二および第三グループG2,G3については、3槽目の洗浄処理S1106が終了した後に自主管理分析工程S40が行われる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。したがって、例えば、必要に応じて、第一グループG1については、1槽目の洗浄処理S1101の後に自主管理分析工程を行ってから2槽目の洗浄処理S1102を行うべく構成しても、または、2槽目の洗浄処理S1102の後に自主管理分析工程を行うべく構成してもよい。さらに、第二および第三グループG2,G3については、1槽目の洗浄処理S1103あるいは2槽目の洗浄処理S1104,S1105の後に、自主管理分析工程を行ってから2槽目の洗浄処理S1104,S1105あるいは3槽目の洗浄処理S1106を行うべく構成してもよい。
【0094】
また、上述した卒業判定S60においては、第二および第三グループG2,G3については、洗浄液試験法による公定法で卒業判定(検定)S602が行われ、第一グループG1中の紙については溶出試験法、アルミ箔等については部材採取試験法等の公定法で卒業判定(検知)S601が行われる。そして、基準値に到達した金属類は再利用され、碍子・紙は一般産業廃棄物として処分される。
【0095】
本実施形態にかかる処理方法によれば、上述したような構成を有しているため、基本的に第一実施形態と同様の効果を得ることができる。また、洗浄溶剤としてPCEを用いているため、より高い洗浄効果を得ることが可能となる。
【0096】
次に、本実施形態(第三実施形態)にかかる洗浄工程S30における各洗浄処理S1101〜S1106を、より詳細に説明する。これらの各洗浄処理S1101〜S1106は、図12〜図16のフローに示すべく行われる。
【0097】
図12は、図11に示した1槽目の蒸気洗浄処理S1103の具体的なプロセスフローを示したものである。
図12に示すべく、1槽目の蒸気洗浄処理S1103においては、まずはじめに、シャワー洗浄が行われ(S1201)、この洗浄液はそのまま排出される。ここでは、例えば、常温の洗浄溶剤(PCE)を用いて、5〜20分程度(好ましくは10分程度)のシャワー洗浄が行われる。次に、この処理S1201を行う槽内において、蒸気洗浄が行われる(S1202)。この蒸気洗浄S1202においては、洗浄溶剤の溶剤温度が121℃(大気圧下における蒸気温度)に設定され、1〜2時間の蒸気洗浄が行われる。次に、上記蒸気洗浄S1202が行われた槽内において、シャワー冷却が行われる(S1203)。シャワー冷却S1203は、10℃程度の温度の溶剤を用いて5〜20分程度(好ましくは10分程度)行われ、使用済みの冷却液(溶剤)は、そのまま排出される。
次に、上記シャワー冷却S1203が終了した後には、再び、蒸気洗浄が行われる(S1204)。ここでも、先の蒸気洗浄S1202の場合と同様に、洗浄溶剤の溶剤温度が121℃(大気圧下における蒸気温度)に設定され、1〜2時間の蒸気洗浄が行われる。そして、この蒸気洗浄S1204の後には、先のシャワー冷却S1203と同様の条件の下、シャワー冷却が行われる(S1205)。
本実施形態においては、上述した「蒸気洗浄」と「シャワー冷却」との組合せを複数回行うことによって、蒸気洗浄処理S1103を行うべく構成されており、具体的には、上記シャワー冷却S1205の後に、蒸気洗浄S1206、シャワー冷却S1207、蒸気洗浄S1208、およびシャワー冷却S1209を行っている。なお、各蒸気洗浄およびシャワー冷却を行う際の条件は、上述した蒸気洗浄S1202,S1204およびシャワー冷却S1203,S1205と同様である。
つまり、本実施形態においては、単に「蒸気洗浄」を繰り返して行うのではなく、「蒸気洗浄」後に被洗浄物を冷却させるべく「シャワー冷却」を行って、「蒸気洗浄」における洗浄効果をより高めるべく構成されている。
【0098】
図13は、図11に示した2槽目の洗浄処理S1104,S1105の具体的なプロセスフローを示したものである。より詳細には、図13(a)が超音波洗浄処理S1104の具体的なプロセスフローを示したものであり、図13(b)が蒸気洗浄処理S1105の具体的なプロセスフローを示したものである。
【0099】
図13(a)に示すべく、図11に示した2槽目の超音波洗浄処理S1104においては、まずはじめに、常温〜100℃程度(好ましくは80℃程度)の温度の溶剤の仕込み(液仕込み)が行われ(S1301)、この液仕込みが行われた槽内において、第二グループG2の部材に対して超音波洗浄が行われる(S1302)。この超音波洗浄S1302は、大気圧と減圧状態(例えば、−0.6MPa(−450Torr)程度)とを繰り返しながら、槽内温度を常温〜100℃程度(好ましくは80℃程度)に維持して、5〜120分程度(好ましくは30分程度)行われる。この超音波洗浄S1302が終了した後には、槽内の溶剤が分析等に用いられることなくそのまま排出される(S1303)。
次に、再び、槽内には、常温〜100℃程度(好ましくは80℃程度)の温度の溶剤の仕込み(液仕込み)が行われ(S1304)、この液仕込みが行われた槽内において、再度超音波洗浄が行われる(S1305)。ここで行われる超音波洗浄S1305は、上記超音波洗浄S1302と同様の設定条件下にて行われる。そして、この超音波洗浄S1305が終了した後には、槽内の溶剤が排出される(S1306)。
本実施形態においては、上述した「液仕込み」から「液排出」までの処理を複数回行うことによって、超音波洗浄処理S1104を行うべく構成されており、具体的には、上記液排出S1306の後に、液仕込みS1307、超音波洗浄S1308、液排出S1309、液仕込みS1310、超音波洗浄S1311、液排出S1312が行われる。なお、各液仕込みおよび超音波洗浄を行う際の条件は、上述した液仕込みS1301,S1304および超音波洗浄S1302,S1305と同様である。
【0100】
図13(b)に示すべく、図11に示した2槽目の蒸気洗浄処理S1105においては、まずはじめに、洗浄溶剤の溶剤温度を121℃(大気圧下における蒸気温度)として、1〜2時間程度の蒸気洗浄が行われる(S1321)。次に、上記蒸気洗浄S1321が行われた槽内において、シャワー冷却が行われる(S1322)。シャワー冷却S1322は、10℃程度の温度の溶剤を用いて5〜20分程度(好ましくは10分程度)行われ、使用済みの冷却液(溶剤)は、そのまま排出される。
次に、上記シャワー冷却S1322が終了した後には、再び、蒸気洗浄が行われる(S1323)。ここでも、先の蒸気洗浄S1321の場合と同様に、洗浄溶剤の溶剤温度が121℃(大気圧下における蒸気温度)に設定され、1〜2時間の蒸気洗浄が行われる。そして、この蒸気洗浄S1323の後には、先のシャワー冷却S1322と同様の条件の下、シャワー冷却が行われる(S1324)。
【0101】
図14は、図11に示した3槽目の超音波洗浄処理S1106の具体的なプロセスフローを示したものである。
図14に示すべく、3槽目の超音波洗浄処理S1106においては、まずはじめに、常温〜90℃程度(好ましくは60℃程度)の温度の溶剤の仕込み(液仕込み)が行われ(S1401)、この液仕込みが行われた槽内において、第二および第三グループG2,G3の部材に対して超音波洗浄が行われる(S1402)。この超音波洗浄S1402は、大気圧下、槽内温度を常温〜100℃程度(好ましくは80℃程度)に維持して、5〜30分程度(好ましくは10分程度)行われる。この超音波洗浄S1402が終了した後には、槽内の溶剤が分析等に用いられることなくそのまま排出される(S1403)。
次に、再び、槽内には、常温〜90℃程度(好ましくは60℃程度)の温度の溶剤の仕込み(液仕込み)が行われ(S1404)、この液仕込みが行われた槽内において、再度超音波洗浄が行われる(S1405)。ここで行われる超音波洗浄S1405は、上記超音波洗浄S1402と同様の設定条件下にて行われる。そして、この超音波洗浄S1405が終了した後には、公定分析用の洗浄液を採取し、槽内の溶剤が排出される(S1406)。
【0102】
図15は、図11にて示した1槽目の蒸気洗浄処理S1101の具体的なプロセスフローを示したものである。
この図15に示すように、本実施形態にかかる蒸気洗浄処理S1101においては、まずはじめに、シャワー洗浄が行われ(S1501)、この洗浄液はそのまま排出される。ここでは、例えば、常温の洗浄溶剤(PCE)を用いて、5〜20分程度(好ましくは10分程度)のシャワー洗浄S1501が行われる。次に、このシャワー洗浄S1501を行った槽内において、蒸気洗浄が行われる(S1502)。この蒸気洗浄S1502においては、洗浄溶剤の溶剤温度が121℃(大気圧下における蒸気温度)に設定され、1時間程度の蒸気洗浄が行われる。次に、上記蒸気洗浄S1502が行われた槽内において、シャワー冷却が行われる(S1503)。シャワー冷却S1503は、10℃程度の温度の溶剤を用いて10分程度行われる。
そして、本実施形態にかかる蒸気洗浄処理S1101においては、この図15に示された蒸気洗浄S1502およびシャワー冷却S1503が、複数回(例えば、8回程度)繰り返して行われる。
【0103】
図16は、図11に示した2槽目の攪拌洗浄処理S1102の具体的なプロセスフローを示したものである。
この図16に示すように、本実施形態にかかる攪拌洗浄処理S1102においては、まずはじめに、常温〜90℃程度(好ましくは常温程度)の温度の溶剤の槽内への仕込みが、50〜150cc/g素子(好ましくは80〜100cc/g素子)程度の割合で行われる(液仕込み)(S1601)。
次に、上記液仕込みが行われた槽内において、攪拌洗浄が行われる(S1602)。この際には、大気圧以下(好ましくは大気圧下)において、10〜60分程度(好ましくは40分程度)の攪拌洗浄が行われる。
次に、攪拌洗浄S1602の後、槽内の溶剤が排出され(液排出)(S1603)、洗浄液はそのまま排出される(脱液)(S1604)。
そして、本実施形態においては、上記「液仕込み」から「脱液」までの処理が、複数回(例えば、6回程度)繰り返して行われる。
上記複数回の繰り返し処理が終了した後には、槽内において、紙とアルミ箔との分離処理が行われる(紙アルミ分離)(S1605)。具体的には、本実施形態にて用いられている洗浄溶剤はPCEであるため、その比重差に基づき、紙とアルミ箔とを簡単に分離することができる。つまり、PCEを用いて攪拌洗浄を行うことによって、紙は槽内のPCE上部に浮遊し、アルミ箔は槽内のPCE下部に沈降するため、浮遊した紙は槽上部から回収され、沈降したアルミ箔は槽下部から回収される。
分離回収された紙およびアルミ箔については、それぞれ脱液処理が行われる(紙脱液S1606、アルミ脱液S1607)。例えば、アルミ脱液S1607は、遠心分離を用いて行われ(遠心分離脱液)、遠心効果100〜500Gで1分以上の処理(好ましくは、200Gで2分程度の処理)が行われる。
【0104】
本実施形態にかかる洗浄処理は、以上のように構成されているため、溶剤による洗浄処理のみであるにも関わらず、溶剤使用量を減少させることが可能となる。
【0105】
〈第四実施形態〉
次に、本発明の第四実施形態について説明する。本実施形態にかかるPCB汚染物の処理方法は、基本的な思想は先に説明した第二実施形態と同様であるが、用いる洗浄溶剤が異なることに起因して、その洗浄方法等が相違する。
具体的には、本実施形態においては、洗浄溶剤として、ハロゲン系溶剤であるPCE(パークロロエチレン)が用いられる。以下、図面に基づいて説明する。
【0106】
図17は、本実施形態にかかる洗浄工程の具体的なプロセスフロー等を示したものである。なお、この第四実施形態にかかる前処理工程は、第二実施形態(図5参照)と同様であるため、本実施形態においては説明を省略する。
【0107】
図17に示すように、本実施形態においては、第一グループG1の部材(裁断されたコンデンサ素子等)は、脱液機能付きの洗浄槽で、攪拌・浸漬洗浄(攪拌洗浄処理S1701)が行われる。本実施形態は、上述したように、洗浄溶剤としてPCEが用いられているため、この攪拌洗浄処理S1701の際に、被洗浄物と洗浄溶剤との比重の違いから、第一グループG1中の紙とアルミ箔とが適切に分離されることとなる。詳細は、後述する。
【0108】
攪拌洗浄処理S1701を経て、分離された紙とアルミ箔とについては、次に真空加熱乾燥処理S1710が施される。
本実施形態においては、第一グループG1の部材については、溶剤洗浄(攪拌洗浄処理S1701)によって卒業基準に近いレベルにまで特殊洗浄された後、真空加熱乾燥処理S1710により最終的な除染乾燥が行われているので、卒業が困難であるとされている含浸物(紙・木等)も検出限界値以下にまで洗浄処理することができる。真空加熱乾燥処理S1710の詳細については、後述する。このような処理フローによれば、従来技術における副生成物の発生、炭化等の種々の問題を解決することができる。
【0109】
また、本実施形態においては、この真空加熱乾燥処理S1710を行う処理槽に、後述する洗浄処理S1703,S1704を経た第四グループG4の部材も搬送されて、真空加熱乾燥処理S1710が施されるべく構成されている。
そして、真空加熱乾燥処理S1710を受けた各部材については、次いで、卒業判定S601が行われる。
【0110】
さらに、本実施形態においては、第二グループG2、第三グループG3、および第四グループG4の部材については、蒸気洗浄および超音波洗浄等が施される。より具体的には、第二グループG2の部材に対しては、1槽目にて蒸気洗浄処理S1703が施され、2槽目にて減圧超音波洗浄処理S1704、3槽目にて大気圧超音波洗浄処理S1706が施される。また、第三グループG3の部材に対しては、1槽目および2槽目にて蒸気洗浄処理S1703,S1705が施され、3槽目にて大気圧超音波洗浄処理S1706が施される。さらに、第四グループG4の部材に対しては、1槽目にて蒸気洗浄処理S1703、2槽目にて減圧超音波洗浄処理S1704が施されて、上述したように、この減圧超音波洗浄処理S1704の後に、真空加熱乾燥処理S1710が施される。
【0111】
そして、この第二グループG2および第三グループG3については、3槽目の超音波洗浄処理S1706が終了した後に、その洗浄の際に用いられた洗浄液を採取して、卒業判定S602の前に、自主管理分析工程S40が行われる。この自主管理分析工程S40の結果が、管理値に達していない場合には、再度超音波洗浄処理S1706および自主管理分析工程S40が行われ、管理値に達した後に、乾燥処理S1707が行われて、各グループG2,G3の部材についての卒業判定S602が行われる。
【0112】
また、第四グループG4については、上述したように、減圧超音波洗浄処理S1704の後に真空加熱乾燥処理S1710が行われているため、最もPCB除去難易度が高いリード線についても適切なPCB除去処理を施すことが可能となる。すなわち、このように真空加熱乾燥処理S1710を行えば、減圧超音波洗浄処理を多数回繰り返して行う場合よりも容易にPCBを除去することができる。
【0113】
卒業判定S60は、第二および第三グループG2,G3については、洗浄液試験法による公定法で卒業判定(検定)S602が行われ、第一グループG1中の紙については溶出試験法、アルミ箔等については部材採取試験法等の公定法で卒業判定(検定)S601が行われる。そして、リード線から成る第四グループについては、部材採取試験法による公定法で卒業判定(検定)S601が行われる。卒業判定S60後、基準値に到達した金属類は再利用され、碍子・紙は一般産業廃棄物として処分される。
【0114】
本実施形態においては、自主管理工程S40は、他の実施形態と同様に、比較的簡単な操作等にて行うことができる洗浄液試験法を利用して、卒業判定S602前に(いわゆる洗浄処理の最終段階の後)に行われている。したがって、本実施形態は、この自主管理工程S40を有することにより、他の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0115】
本実施形態にかかる処理方法によれば、上述したような構成を有しているため、基本的に第二実施形態と同様の効果を得ることができる。また、洗浄溶剤としてPCEを用いているため、より高い洗浄効果を得ることが可能となる。
【0116】
次に、本実施形態(第四実施形態)にかかる洗浄工程S30における各処理S1701,S1703〜S1706,S1710を、より詳細に説明する。
なお、洗浄処理S1703〜S1706については、先に説明した第三実施形態の場合(洗浄処理S1103〜S106)と同様であるため(図11〜図14参照)、ここでは、その他の部分について、主に説明する。
【0117】
図18は、図17に示した1槽目の攪拌洗浄処理S1701の具体的なプロセスフローを示したものである。
この図18に示すように、本実施形態にかかる攪拌洗浄処理S1701においては、まずはじめに、常温〜90℃程度(好ましくは常温程度)の温度の溶剤の槽内への仕込みが、50〜150cc/g素子(好ましくは80〜100cc/g素子)程度の割合で行われる(液仕込み)(S1801)。
次に、上記液仕込みが行われた槽内において、攪拌洗浄が行われる(S1802)。この際には、大気圧以下(好ましくは大気圧下)において、10〜60分程度(好ましくは40分程度)の攪拌洗浄が行われる。
次に、攪拌洗浄S1802の後、槽内の溶剤が排出され(液排出)(S1803)、洗浄液はそのまま排出される(脱液)(S1804)。
そして、本実施形態においては、上記「液仕込み」から「脱液」までの処理が、複数回(例えば、6回程度)繰り返して行われる。
上記複数回の繰り返し処理が終了した後には、槽内において、紙とアルミ箔との分離処理が行われる(紙アルミ分離)(S1805)。具体的には、本実施形態にて用いられている洗浄溶剤はPCEであるため、その比重差に基づき、紙とアルミ箔とを簡単に分離することができる。つまり、PCEを用いて攪拌洗浄を行うことによって、紙は槽内のPCE上部に浮遊し、アルミ箔は槽内のPCE下部に沈降するため、浮遊した紙は槽上部から回収され、沈降したアルミ箔は槽下部から回収される。
分離回収された紙およびアルミ箔については、それぞれ脱液処理が行われる(紙脱液S1806、アルミ脱液S1807)。例えば、アルミ脱液S1807は、遠心分離を用いて行われ(遠心分離脱液)、遠心効果100〜500Gで1分以上の処理(好ましくは、200Gで2分程度の処理)が行われる。
【0118】
図19は、図17に示した真空加熱乾燥処理S1710の具体的なプロセスフローを示したものである。
図19に示すべく、炉内に、攪拌洗浄処理S1701が終了した第一グループG1および2槽目の超音波洗浄処理S1704が終了した第四グループG4の部材が搬送された後、本実施形態においてはこの炉内の真空引きが行われる(S1901)。この際、炉内は、例えば1.33KPa(10Torr)以下に真空引きされる。
次に、炉内に窒素が充填され(S1902)、この窒素によって、炉内の内圧が、例えば93.3KPa(700Torr)程度にまで、回復させられる。
次に、炉内の内圧を例えば93.3KPa(700Torr)程度に維持しつつ、200〜300℃程度まで昇温させられる(炉加熱開始)(S1903)。次に、真空引きを開始し、炉内の内圧を例えば1.33KPa(10Torr)以下で1〜10時間保持する(好ましくは、槽内温度を200〜250℃程度として、20Pa(0.15Torr)以下に5時間程度保持する)(真空加熱保持)(S1904)。なお、この保持中においては、数回(例えば3回)、炉内内部雰囲気置換のために、窒素添加が行われる(S1905)。
次に、炉内に、窒素が充填され、内圧を93.3KPa(700Torr)程度にまで回復させ、この内圧を保持しながら、連続的に窒素が入れられ、炉内を100〜200℃程度(好ましくは150℃程度)にまで冷却する(冷却)(S1906)。その後、炉内への充填物を窒素から空気に変更し、内圧を93.3KPa(700Torr)程度に保持しながら、連続的に空気が入れられ、炉内の冷却が(例えば60℃程度以下まで)行われる。
【0119】
本実施形態においては、このようにして、真空加熱乾燥が行われるため、洗浄後、微量に残るPCBと共に、含浸した塩素系の溶剤も、略完全に回収することができる。
【0120】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0121】
上記各実施形態においては、PCB汚染物の一例としてコンデンサを取り上げ、このコンデンサの処理を行う場合について説明したが、本発明にかかる処理方法にて除染処理可能なPCB汚染物は、このコンデンサに限定されるものではない。したがって、例えば、トランスについても、第一、第二、第三および第四実施形態にて説明した趣旨に基づいて、前処理工程S20および洗浄工程S30等を行うことによって、上述した種々の効果を得つつ、トランスの除染処理を実現することができる。
【0122】
例えば、第一および第三実施形態にて説明した処理方法にてトランスを処理する場合においては、トランスの各構成要素を、木・紙・プラスチック・ゴム・銅・紙混合物等からなる第一グループG1と、金属類(フィン、蓋、ボルト等)・珪素鋼板・リード線等からなる第二グループG2と、ケース胴部・碍子等からなる第三グループG3とに分別処理して、洗浄工程S30等の処理を行えばよい。また、第二および第四実施形態にて説明した処理方法にてトランスを処理する場合においては、トランスの各構成要素を、木・紙・プラスチック・ゴム・銅・紙混合物等からなる第一グループG1と、金属類(フィン、蓋、ボルト等)・珪素鋼板等からなる第二グループG2と、ケース胴部・碍子等からなる第三グループG3と、リード線等からなる第四グループG4とに分別処理して、洗浄工程S30等の処理を行えばよい。
【0123】
なお、トランスの場合の前処理工程は、外部除塵処理、寸法・重量測定処理、内部構造透視検査を受け、ドレン口を利用してトランス中のPCB含有絶縁油を抜油処理し、抜油処理後、PCBに汚染されていない絶縁油で予備洗浄処理を行う。予備洗浄処理を行うことにより、PCBの蒸発を抑制し、後の解体作業が容易になるためである。
また、トランスの場合の前処理工程では、コンデンサの場合と同様にトランスの各構成要素に解体・分別処理を行い、従来技術のように各構成要素が混在した状態で破砕処理を行うことはない。なお、銅と紙の積層物であるトランスコイルのみ、PCBの除去を容易にするために分別後に破砕することがある。
【0124】
また、上記各実施形態においては、洗浄溶剤として炭化水素系溶剤(例えば、ノルマルパラフィン系溶剤)あるいはハロゲン系溶剤であるPCEを用いる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、必要に応じて、アルコール系溶剤、フッ素系溶剤等のその他の洗浄溶剤も適用可能である。
また、PCEを用いる場合においては、上述した第三および第四実施形態に示すような処理フローにて行う場合の他に、図2〜図6に示された処理フローをそのまま用いることも可能である。図2〜図6に示された処理フローの場合と、第三および第四実施形態の場合とを比較すれば、洗浄効果を同等に維持した状態において、第三および第四実施形態の方が、洗浄溶剤の使用量を低減させることができる。具体的には、上述したように、第一グループG1については、一次洗浄等に蒸気・スプレイ洗浄を適用し、第二および第三グループG2,G3については、一次および二次洗浄等に蒸気・スプレイ洗浄を適用した場合(第三および第四実施形態)の方が、洗浄溶剤の低減が可能である。
【0125】
さらに、上記各実施形態においては、三つあるいは四つのグループにPCB汚染物(コンデンサまたはトランス)を分別処理した後に、各グループ毎に最適な洗浄処理を施す場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、必要に応じて、五つ以上のグループに分別して、各グループ毎に最適な洗浄処理を施してもよい。
【0126】
また、上記各実施形態は、蒸気洗浄、攪拌洗浄、超音波洗浄、および真空超音波洗浄等を、分別された各部材毎に対応して、最適な洗浄効果を得るべく組み合わせて構成しているが、本発明にて使用される洗浄方法はこれらに限定されず、必要に応じた他の洗浄方法も利用可能である。
【0127】
さらに、上記各実施形態においては、自主管理分析工程が、抜き取り試験法、部材採取法、あるいは洗浄液試験法のいずれかを簡素化した方法を用いる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、必要に応じてその他の方法(例えば、溶出試験法等)を用いることが可能である。すなわち、自主管理分析工程に用いる試験方法は、PCB除去工程の際に用いられる洗浄方法等の特質、あるいは必要とされる信頼度等に応じて、適宜任意に選択可能である。
なお、本発明においては、洗浄方法等との関係から、上述したように、金属類のPCB除去を行う場合においては、自主管理分析には拭き取り試験法あるいは部材採取試験法のいずれかを簡素化した方法を用い、卒業判定(公定分析)には洗浄液試験法を用いることが好ましい。そして、素子類のPCB除去を行う場合には、自主管理分析には洗浄液試験法を簡素化した方法を用い、卒業判定(公定分析)には、溶出試験法(紙等に対して)あるいは部材採取試験法(アルミ等に対して)を用いることが好ましい。
【0128】
【実施例】
次に本発明の実施例を示すが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0129】
〈第一実施例〉
まず、本発明の第一実施例として、コンデンサ素子を所定サイズ(5cm×1cm程度)に裁断した後に、第二実施形態にて説明した処理フロー(洗浄溶剤:炭化水素系溶剤(日鉱石油化学(株)製、NS200))に基づいて洗浄処理を行った場合を示す。本実施例にて用いた素子の洗浄前におけるPCB濃度は、それぞれ、440000mg/kg(紙)、270000mg/kg(アルミ箔)、440000mg/kg(素体絶縁紙)、0.29mg/L(繊維くず)であった。
【0130】
裁断後の素子に対しては、まずはじめに攪拌洗浄処理S301が施される。この攪拌洗浄処理S301は、上述したように、複数回(例えば4回)繰り返して行われる(図6および図9参照)。そして、この攪拌洗浄処理S301後における各部材の濃度は、0.0052mg/L(紙)、3.3mg/kg(アルミ箔)、0.0031mg/L(素体絶縁紙)であった。なお、繊維くずについては、攪拌洗浄処理S301は行わない。この後の処理のみで、十分に(卒業可能な程に)洗浄可能だからである。
【0131】
次に、攪拌洗浄処理S301が終了等した各部材については、210℃、6.67Pa(0.05Torr)、および5時間の条件下にて、真空加熱乾燥処理S310が施される(図6および図10参照)。この真空加熱乾燥処理S310後における各部材の濃度は、0.0005mg/L以下(紙)、0.001mg/kg以下(アルミ箔)、0.0005mg/L以下(素体絶縁紙)、0.0005mg/L以下(繊維くず)であった。
【0132】
ここで、各部材についての基準値(卒業のための基準値)は、「紙」が0.003mg/L、「アルミ箔」が0.01mg/kg、「素体絶縁紙」が0.003mg/L、「繊維くず」が0.003mg/Lである。
【0133】
以上のことから、本実施例においては、真空加熱乾燥処理S310後の各部材のPCB濃度が全て基準値以下であるため、効果的に、PCBの除染処理を実施可能であることが確認された。
【0134】
〈第二実施例〉
次に、本発明の第二実施例として、コンデンサ素子を所定サイズ(5cm×1cm程度)に裁断した後に、第三実施形態にて説明した処理フロー(洗浄溶剤:PCE)に基づいて洗浄処理を行った場合を示す。本実施例にて用いた素子の洗浄前におけるPCB濃度は、それぞれ、440000mg/kg(紙)、270000mg/kg(アルミ箔)であった。
【0135】
裁断後の素子に対しては、まずはじめに蒸気洗浄処理S1101が施される(図11および図15参照)。そして、この蒸気洗浄処理S1101後における各部材の濃度は、150mg/kg(紙)、3.3mg/kg(アルミ箔)であった。
【0136】
次に、蒸気洗浄処理S1101が終了した各部材については、攪拌洗浄処理S1102が施される(図11および図16参照)。この攪拌洗浄処理S1102後における各部材の濃度は、0.0005mg/L以下(紙)、0.002mg/kg以下(アルミ箔)であった。
【0137】
以上のことから、本実施例においても、攪拌洗浄処理S1102後の各部材のPCB濃度は全て基準値以下であるため、効果的に、PCBの除染処理を実施可能であることが確認された。
【0138】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかるPCB汚染物の処理方法によれば、PCB汚染物を洗浄難易度毎に解体分別し、分別されたそれぞれのPCB汚染物に対して適切な洗浄処理等を施すことによって、効率的な洗浄処理等を実現して、PCB汚染物の除染処理を適切に行うことが可能なPCB汚染物の処理方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる各装置にて処理されるPCB汚染物の一例(コンデンサ)の概略断面図である。
【図2】本発明の実施形態にかかるPCB汚染物の処理方法を実施する際のプロセスフローを示したものである。
【図3】本発明の第一実施形態にかかる前処理工程の具体的なプロセスフロー等を示したものである。
【図4】本発明の第一実施形態にかかる洗浄工程の具体的なプロセスフロー等を示したものである。
【図5】本発明の第二実施形態にかかる前処理工程の具体的なプロセスフロー等を示したものである。
【図6】本発明の第二実施形態にかかる洗浄工程の具体的なプロセスフロー等を示したものである。
【図7】図4に示した1槽目の超音波洗浄処理の具体的なプロセスフローを示したものである。
【図8】図4に示した2槽目の超音波洗浄処理の具体的なプロセスフローを示したものである。
【図9】図4に示した1槽目の攪拌洗浄処理の具体的なプロセスフローを示したものである。
【図10】図6に示した真空加熱乾燥処理の具体的なプロセスフローを示したものである。
【図11】本発明の第三実施形態にかかる洗浄工程の具体的なプロセスフロー等を示したものである。
【図12】図11に示した1槽目の蒸気洗浄処理の具体的なプロセスフローを示したものである。
【図13】図11に示した2槽目の洗浄処理の具体的なプロセスフローを示したものであり、図13(a)は減圧超音波洗浄処理、図13(b)は蒸気洗浄処理を示したものである。
【図14】図11に示した3槽目の超音波洗浄処理の具体的なプロセスフローを示したものである。
【図15】図11に示した1槽目の蒸気洗浄処理の具体的なプロセスフローを示したものである。
【図16】図11に示した2槽目の攪拌洗浄処理の具体的なプロセスフローを示したものである。
【図17】本発明の第四実施形態にかかる洗浄工程の具体的なプロセスフロー等を示したものである。
【図18】図17に示した1槽目の攪拌洗浄処理の具体的なプロセスフローを示したものである。
【図19】図17に示した真空加熱乾燥処理の具体的なプロセスフローを示したものである。
【符号の説明】
1…コンデンサ
2…容器
3…本体部
3a…固定板
3b…クラフト紙
4…上蓋
5…碍子
6…端子
7…リード線
8…PCB含有絶縁油
9…コンデンサ素子

Claims (9)

  1. PCB汚染物を除染処理する処理方法であって、
    前記PCB汚染物の内部構造透視検査、前記PCB汚染物の解体処理、および解体されたPCB汚染物のPCB除去難易度毎の分別処理が行われる前処理工程と、
    分別されたPCB汚染物のそれぞれに対して、PCB除去難易度に応じたPCB除去処理が施されるPCB除去工程と
    を備えたことを特徴とするPCB汚染物の処理方法。
  2. 前記PCB汚染物の内部構造透視検査の結果に基づき穿孔位置又は切断位置を定める請求項1に記載のPCB汚染物の処理方法
  3. PCB汚染物を除染処理する処理方法であって、
    前記PCB汚染物の外部除塵、前記PCB汚染物の解体処理および解体されたPCB汚染物のPCB除去難易度毎の分別処理が行われる前処理工程と、
    分別されたPCB汚染物のそれぞれに対して、PCB除去難易度に応じたPCB除去処理が施されるPCB除去工程と
    を備えたことを特徴とするPCB汚染物の処理方法。
  4. PCB汚染物を除染処理する処理方法であって、
    前記PCB汚染物の外部除塵、前記PCB汚染物の外観検査、前記PCB汚染物の解体処理および解体されたPCB汚染物のPCB除去難易度毎の分別処理が行われる前処理工程と、
    分別されたPCB汚染物のそれぞれに対して、PCB除去難易度に応じたPCB除去処理が施されるPCB除去工程と
    を備えたことを特徴とするPCB汚染物の処理方法。
  5. PCB汚染物を除染処理する処理方法であって、
    前記PCB汚染物の外部除塵、前記PCB汚染物の寸法検査、前記PCB汚染物の重量検査、前記PCB汚染物の解体処理および解体されたPCB汚染物のPCB除去難易度毎の分別処理が行われる前処理工程と、
    分別されたPCB汚染物のそれぞれに対して、PCB除去難易度に応じたPCB除去処理が施されるPCB除去工程と
    を備えたことを特徴とするPCB汚染物の処理方法。
  6. 前記前処理工程の分別処理においては、解体されたPCB汚染物が少なくとも三つ以上に分別される請求項1から5のいずれか1項に記載のPCB汚染物の処理方法。
  7. 前記PCB除去工程においては、分別されたPCB汚染物毎に、少なくとも二段階以上のPCB除去処理が行われる請求項1から6のいずれか1項に記載のPCB汚染物の処理方法。
  8. 前記PCB除去処理が、攪拌洗浄処理、超音波洗浄処理、蒸気洗浄処理、および真空加熱乾燥処理の少なくとも二つ以上の処理を組み合わされて行われる請求項1から7のいずれか1項に記載のPCB汚染物の処理方法。
  9. 前記PCB除去工程終了後のPCB汚染物について、卒業判定を行う前段階において、自主管理分析工程が行われる請求項1から8のいずれか1項に記載のPCB汚染物の処理方法。
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