JP3759424B2 - 止水シート及び止水シートの穴修復方法 - Google Patents

止水シート及び止水シートの穴修復方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防水シートに関し、更に詳しくは、人為的にあるいは自然災害的に傷や穴が形成された場合でも、これらの傷や穴に樹脂が充填されて、水の浸入を防止する、所謂、自己修復機能を備える止水シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、産業用等の廃棄物の処理場に敷設されるシート、屋根や壁等に貼付施工される建築用のシート、農業用や園芸用の栽培用シート等に防水シートが多く使用されている。
しかし、このような防水シートは、下記の示すような種々の原因によって穴、傷等が発生する損傷を受け、その結果、水漏れが発生する。
1 防水管理の不具合に起因する損傷。
2 防水シート施工時に起因する損傷。
3 施工工事後のその他の工事に起因する損傷。
4 台風、地震等、自然災害に起因する損傷。
そのため、損傷が起きても対応できるように、シートの基材(紙、不織布等)に前もってアスファルトを含浸させ、損傷部を自己修復する機能を持たせた止水シートが開発された。
【0003】
しかし、アスファルトを使用したシートは、重量が重く、施設時の作業性が極めて悪い。
また、透湿性がないため、高温多湿の条件下では結露し易い。
そこで、自己修復する機能を持ち、且つ透湿性、防水性を持つ止水シートが開発されている。
【0004】
例えば、特開平7−279054号には、不織布に高吸水性ポリマーをバインダーを用いて固着させた、自己修復する機能を持ち、且つ透湿性、防水性を持つ遮水シートが提示されている。
この場合の自己修復する機能は高吸水性ポリマーによって得られる。
【0005】
また、特開平11−291370号には、水分を吸収すると膨潤する吸水膨潤性繊維を含む水膨潤性シートが積層された自己修復性遮水シートが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように高吸水性ポリマーを用いたり、吸水膨潤性繊維を用いたり、または、反発弾性のある素材を用いて止水シートに対して自己修復する機能を得ている。
しかし、このような高吸水性ポリマーや吸水膨潤性繊維を用いて穴等に対する自己修復機能を有する手法は、それらが水を吸収すると即座に膨潤するために、作業中にも不用意に膨潤してしまう恐れがあリ、取扱性が良くない。
また、高吸水性ポリマーや吸水膨潤性繊維は、比較的厚みが大きいために、同様に取扱性が悪い。
本発明は、このような問題点の解決を意図したものである。
【0007】
すなわち、本発明の目的は、取扱性に優れ、更に穴、傷等を確実に自己修復する機能を持つ止水シートを提供すること、また、その止水シートにおける穴修復方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、止水シートに特別な2種類の樹脂層を設けることにより、穴の自己修復性が可能となること、2種類の樹脂が混合した場合に穴を塞ぐことができることを見出し、この知見により、本発明の本質に到達したものである。
【0009】
即ち、本発明は、(1)、基材にアニオン系水溶性樹脂を付与した層とカチオン系水溶性樹脂を付与した層を有する止水シートに存する。
【0010】
そして、(2)、アニオン系水溶性樹脂が側鎖または末端にカルボキシル基あるいはスルホン基、ホスホン基の陰イオン性官能基を含む樹脂であり、カチオン系水溶性樹脂が主鎖または側鎖に一級あるいは二級、三級のアミンの酸塩あるいは四級アンモニウム塩を有する樹脂である止水シートに存する。
【0011】
そしてまた、(3)、止水シートに更に透湿防水性フイルムが付着されている止水シートに存する。
【0012】
そしてまた、(4)、アニオン系水溶性樹脂を付与した層が基材の一方の面に、またカチオン系水溶性樹脂を付与した層が基材の他方の面に形成されている止水シートに存する。
【0013】
そしてまた、(5)、アニオン系水溶性樹脂を付与した層とカチオン系水溶性樹を付与した層とが基材の少なくとも片方の面に交互に形成されている止水シートに存する。
【0014】
そしてまた、(6)、基材が複数枚である止水シートに存する。
【0015】
そしてまた、(7)、基材よりなる止水シートに穴が空いた場合に、その穴を修復する方法であって、基材にアニオン系水溶性樹脂を付与した層とカチオン系水溶性樹脂を付与した層とを形成し、両樹脂の混合によって両樹脂をゲル化させて、基材の穴に両樹脂を充填させることで穴を修復し、水の浸入を防止する止水シートの穴修復方法に存する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の止水シートは、特有の自己修復する機能を有するものである。
すなわち、アニオン系水溶性樹脂とカチオン系水溶性樹脂の2種類の樹脂を使用し、それらが混合し反応して、ゲル化することを利用したもので、従来とは異なった全く新しい自己修復機能を備える。
【0017】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の止水シートの一実施形態の模式断面図である。
図1において、本発明の止水シートは、基材(a)の一方の片面にはアニオン系水溶性樹脂(b)が付与されており、基材(a)の残りの片面にはカチオン系水溶性樹脂(c)が付与されている。
そしてさらに、基材(a)の最外層に、透湿防水性フイルム(d)が付着(接着や粘着を含む)された構造を有する。
【0018】
ここで基材(a)は、シート状のものが使用され、スパンボンドやスパンレース等の不織布、織物、編物等が使用される。
基材(a)の材質としては、天然繊維、半合成繊維、合成繊維等が使用され、特段、限定されるものではないが、該止水シートの製造時の作業性や生産コストの面から、目付10〜100g/m2 のポリエステル系スパンボンド不織布がより好ましい。
【0019】
本発明の止水シートに付与するアニオン系水溶性樹脂(b)としては、化合物の側鎖または末端にカルボキシル基あるいはスルホン基、ホスホン基等の陰イオン性官能基を含む水溶性樹脂が使用される。
【0020】
例えば、アクリル酸あるいはメタクリル酸、ヒドロキシアクリル酸、スルホン化スチレン、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸等の単独重合物、もしくはそれら陰イオン性官能基を含むモノマーと他の共重合し得るモノマーとの共重合物であるアクリル系樹脂、ビスフェノールスルホン・フェノールスルホン酸のホルマリン縮合物、スルホン化ビスフェノールスルホンのホルマリン縮合物であるフェノール系樹脂、またタンニン酸、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。
またこれらのアニオン系水溶性樹脂は、陰イオン性官能基が塩を形成していてもよい。
【0021】
本発明の止水シートに付与するカチオン系水溶性樹脂(c)としては、主鎖または側鎖に一級あるいは二級、三級のアミンの酸塩あるいは四級アンモニウム塩を有する水溶性樹脂が使用される。
【0022】
例えば、ビニルアミンあるいはビニルピリジン、アリルアミン、ジアリルアミン、メチルジアリルアミン、ジアリルモノメチルアミン、ジアリルジメチルアミン、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の単独重合物、もしくはそれらカチオン性モノマーと他の共重合し得るモノマーとの共重合物の鉱酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
また、ジシアンジアミドのホルマリン縮合物、ジエチレントリアミン・ジシアンジアミドの縮合物、ジメチルアミン・エピクロルヒドリンの付加重合物、エチレンジアミン・エピクロルヒドリンの付加重合物、などが挙げられる。
【0023】
ここで、使用するアニオン系水溶性樹脂とカチオン系水溶性樹脂は、それぞれの樹脂層の水への溶出度やイオン当量、イオン強度等によってゲル化の容易性と形態が異なるため、適切な組み合わせが必要となる。
好ましい組み合わせの一つとして、ビスフェノールスルホン・フェノールスルホン酸のホルマリン縮合物(縮合モル比:ビスフェノールスルホン/フェノールスルホン酸/ホルマリン=2/1/2、平均分子量:20000)とジメチルアミノエチルメタクリレート・アクリルアミド共重合物塩酸中和体(共重合モル比:ジメチルアミノエチルメタクリレート/アクリルアミド=1/1、平均分子量:12000)がある。
【0024】
本発明の止水シートとしては、穴等の損傷を受ける前の状態(すなわち使用前の状態)において、アニオン系水溶性樹脂(b)とカチオン系水溶性樹脂(c)が反応しない状態、すなわち、ゲル化しない状態で存在できればよい。
アニオン系水溶性樹脂(b)またはカチオン系水溶性樹脂(c)の基材(a)への付与方法としては、コーティング法、グラビアロール法、印刷法、スクリーン捺染法、スプレー法等が挙げられる。
なかでも、基材(a)の組織や素材に応じて、全面に付与したり、格子状に付与したり、通気性が損なわれないように加工のできるグラビアロール法が好ましい。
このような手段で、基材に付与した後は、自然乾燥、又は効率良い積極乾燥(乾燥炉を通過させる)が行われる。
ここで、基材に対する各水溶性樹脂の好ましい塗布量としては、アニオン性樹脂,カチオン性樹脂とも乾燥固形分で5〜100g/m2 であり、5g/m2 未満になると止水効果が出にくく、100g/m2 を超えると表面ベタつきや接着不良となる。
アニオン性樹脂およびカチオン性樹脂の接着力が弱い場合は、アクリル酸エステル共重合体等のバインダー樹脂を併用することもできる.
【0025】
本発明の止水シートに、透湿防水性フイルム(d)を付着することにより、該止水シートの防水性は更に向上する。
ゆえに、本発明の止水シートが頻繁に水に濡れるような環境下(果実栽培用シートや壁材の最外層で使用する場合等)での使用を考慮すると、透湿防水性フイルム(d)を基材(a)に積層することが好ましい。
フィルムの積層位置については、止水シートの最外層に積層されていても止水シートの間に挿入されていてもよく、フィルムの枚数についても透湿性が得られるならば単数枚でも複数枚でもかまわない。
【0026】
本発明の透湿防水性フイルム(d)としては、透湿性、防水性が得られれば、微多孔質フイルム、無孔質フイルムのどちらでもよく、前者の微多孔質フイルムの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等が挙げられ、無孔質フイルムの材質としては、ウレタン系の熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0027】
例えば、止水シート作成時の加工性が良好で、透湿性の大きい微多孔質ポリエチレンフイルムや微多孔質ポリプロピレンフイルムが好ましく用いられる。
透湿性としては、1,000g/m2 /24hr以上、好ましくは2,000g/m2 /24hr以上であればよい。
透湿防水性フイルムの防水度としては、厳しい防風雨に曝された条件で耐水圧が500mmH2 O以上あれば問題はない。
また透湿防水性フイルムの厚みは、施工性の点から、30〜300μmのものが使用され、特に50〜150μmのものがより好ましい。
【0028】
基材(a)と透湿防水性フイルム(d)の積層方法としては、ドライラミネート、ウェットラミネート、熱ラミネート等が挙げられる。
そのための接着剤には、溶剤系、エマルジョン系等、特に限定はされないが、JIS Z 0237法での接着強度が0.5kg/inch以上になるように選ぶ必要がある。
【0029】
本発明の止水シート全体の透湿性は、止水シートの結露防止のために、1,000g/m2 /24hr以上、好ましくは2,000〜15,000g/m2 /24hrである。
また、該止水シートの厚みとしては、施工時の作業性から0.2〜1.5mmが適正である。
【0030】
さて、以上のような止水シートにおける修復作用(方法)について述べる。
ここで図5は、自己修復機能を説明した模式図である。
止水シートの穴修復方法は、基材よりなる止水シートに穴が空いた場合に、基材(a)のそれぞれの面に付与されたアニオン系水溶性樹脂とカチオン系水溶性樹脂とが混合され、両樹脂がゲル化して、基材の穴に両樹脂が充填することで穴が修復されるのである。
【0031】
1.まず、何かの原因で該シートが損傷して、例えば穴(傷等を含む)が穿孔される。
2.アニオン系水溶性樹脂が漏水時に基材から一部溶出する。
3.次に、溶出によって生じたアニオン系水溶性樹脂溶液が穿孔穴を通してカチオン系水溶性樹脂が付与された層に到達する。
そしてアニオン系水溶性樹脂とカチオン系水溶性樹脂とが混合してイオン的に結合し、コンプレックスを形成することにより両樹脂はゲル化する。
4.このゲル化した両樹脂が、漏水の要因となる穿孔穴、傷等の隔壁を充填・修復する。
その結果、穿孔穴は埋められ止水される。
【0032】
〔第2の実施の形態〕
図2は、本発明の止水シートの一実施形態の模式断面図である。
図2において、本発明の止水シートは、アニオン系水溶性樹脂を付与した層とカチオン系水溶性樹を付与した層とが基材の少なくとも片方の面に交互に形成されているものである。
すなわち、ここでは基材(a)の一方の片面にはアニオン系水溶性樹脂(b)が付与された層が形成されており、その層の上に、カチオン系水溶性樹脂(c)が付与された層が形成されている。
そしてさらに、基材(a)の最外層に、透湿防水性フイルム(d)が付着された構造を有する。
【0033】
アニオン系水溶性樹脂(b)が付与された層の上にカチオン系水溶性樹脂(c)が付与された層を形成する場合は、それぞれ増粘剤により10000〜20000mPa・s の粘度に調整した後、コーティング法にてアニオン系水溶性樹脂(b)を形成し、それを乾燥の後、その上にカチオン系水溶性樹脂(c)をコーティングする2段付与の方法が好ましい。
この場合、粘度が10000mPa・s 未満になると樹脂付与時にアニオン系水溶性樹脂(b)とカチオン系水溶性樹脂(c)がゲル化を生じ、穴、傷が生じたときの止水性に悪影響を及ぼすことがあるので注意が必要である。
【0034】
ここで図6は、自己修復機能を説明した模式図である。
止水シートに穴が空いた場合に、基材(a)の片面に付与されたアニオン系水溶性樹脂(b)とカチオン系水溶性樹脂(c)の混合によって両樹脂がゲル化され、基材の穴に両樹脂が充填されて穴が修復される。
【0035】
〔第3の実施の形態〕
図3は、本発明の止水シートの一実施形態の模式断面図である。
図3において、本発明の止水シートは、基材(a)の一方の片面にはカチオン系水溶性樹脂(c)が付与された層が形成されており、その層の上に、アニオン系水溶性樹脂(b)が付与された層が形成されている。
そしてさらに、基材(a)の最外層に、透湿防水性フイルム(d)が付着された構造を有する。
【0036】
ここで図7は、自己修復機能を説明した模式図であり、同様に、止水シートに穴が空いた場合に、基材(a)の片面に付与されたアニオン系水溶性樹脂(b)とカチオン系水溶性樹脂(c)の混合によって両樹脂がゲル化され、基材の穴に両樹脂が充填されて穴が修復される。
【0037】
〔第4の実施の形態〕
図4は、本発明の止水シートの一実施形態の模式断面図である。
図4において、本発明の止水シートは、複数の基材、すなわち第1の基材(a1)と第2の基材(a2)との2枚の基材とを備えたものである。
第1の基材(a1)の一方の片面にはアニオン系水溶性樹脂(b)が付与された層が形成されており、基材(a1)の他方の片面にはカチオン系水溶性樹脂(c)が付与された層が形成されている。
【0038】
同様に第2の基材(a2)の一方の片面にはアニオン系水溶性樹脂(b)が付与された層が形成されており、基材(a2)の他方の片面にはカチオン系水溶性樹脂(c)が付与された層が形成されている。
この2枚の基材において、カチオン系水溶性樹脂の付与された層の面同士を貼り合わせることにより、2枚の基材よりなる止水シート(a)が形成される。
ここで、この両者の貼り合わせは、カチオン系水溶性樹脂が乾燥する前に両基材(a1),(a2)を圧接することで可能である。
そして、さらに、貼り合わされた基材(a1),(a2)の最外層に、透湿防水性フイルム(d)が付着される。
この実施の形態の場合、基材が複数のために強度的に極めて強いものとなる。
【0039】
ここで図8は、自己修復機能を説明した模式図である。
止水シートに穴が空いた場合に、 基材(a)の両面に付与されたアニオン系水溶性樹脂(b)とカチオン系水溶性樹脂(c)の混合によって両樹脂がゲル化され、基材の穴に両樹脂が充填されて穴が修復される。
本発明は以上の実施の形態で述べたものの他に、種々の変形が可能である。
例えば、第1の実施の形態でカチオン系水溶性樹脂が付与された層とアニオン系水溶性樹脂(b)が付与された層とを複数層、交互に設けてもよい。
要するに基材にアニオン系水溶性樹脂を付与した層とカチオン系水溶性樹脂を付与した層とを有することが重要である。
【0040】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は必ずしも以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例における各物性は次の方法により測定した。
【0041】
(1) 止水性
12mm厚の合板の上に本発明による止水シートを載せ、丸釘N50(JIS−A5508)を打ちつける。
この上に底部をシーリング剤でシーリングした塩化ビニル樹脂製パイプを立てる。
これに150mmの高さにまで水を入れ、24時間放置し減水高さ(mm)を測定した。
(2) 防水性
JIS L 1092耐水度試験方法に基づいて測定した。
(3) 透湿性
JIS L 1099透湿性試験方法A−1法に基づいて測定した。
(4) 総合評価
◎……止水シートとして充分な性能である。
○……止水シートとして使用できる。
△……止水シートの用途によっては少々問題がある。
×……止水シートに適さない。
【0042】
【実施例1】
基材である目付20g/m2 のポリエステルスパンボンド不織布(エクーレ/東洋紡績株式会社)の片面に、アニオン系水溶性樹脂としてビスフェノールスルホン・フェノールスルホン酸のホルマリン縮合物(縮合モル比:ビスフェノールスルホン/フェノールスルホン酸/ホルマリン=2/1/2、平均分子量:20000)を、もう一方の面にカチオン系水溶性樹脂としてジメチルアミノエチルメタクリレート・アクリルアミド共重合物塩酸中和体(共重合モル比:ジメチルアミノエチルメタクリレート/アクリルアミド=1/1、平均分子量:12000)を、それぞれグラビアロールにて乾燥固形分で40g/m2 の量を付与し、その後、乾燥し基層を形成した。
50μmのポリエチレンフイルム(株式会社トクヤマ、透湿性 7,000g/m2 /24hr)を基層の片面にドライラミネート法により積層した。
【0043】
【実施例2】
基材である目付20g/m2 のポリエステルスパンボンド不織布(エクーレ/東洋紡績株式会社)の片面に、アニオン系水溶性樹脂としてビスフェノールスルホン・フェノールスルホン酸のホルマリン縮合物(縮合モル比:ビスフェノールスルホン/フェノールスルホン/ホルマリン=2/1/2、平均分子量:20000)を、もう一方の面にカチオン系水溶性樹脂としてジメチルアミノエチルメタクリレート・アクリルアミド共重合物塩酸中和体(共重合モル比:ジメチルアミノエチルメタクリレート/アクリルアミド=1/1、平均分子量:12000)を、それぞれグラビアロールにて乾燥固形分で40g/m2 の量を付与し、その後、乾燥し基層を形成した。
(基層は実施例1と同様で、ポリエチレンフイルムをラミネートしていないもの。)
【0044】
【実施例3】
基材である目付20g/m2 のポリエステルスパンボンド不織布(エクーレ/東洋紡績株式会社)の片面に、アニオン系水溶性樹脂としてポリアクリル酸Na塩(平均分子量:70000)を、もう一方の面にカチオン系水溶性樹脂としてポリジアリルアミン塩酸塩(平均分子量:15000)を、それぞれグラビアロールにて乾燥固形分で40g/m2 の量付与し、その後、乾燥し基層を形成した。
50μmのポリエチレンフイルム(株式会社トクヤマ、透湿性 7,000g/m2 /24hr)を基層の片面にドライラミネート法により積層した。
【0045】
【実施例4】
基材である目付20g/m2 のポリエステルスパンボンド不織布(エクーレ/東洋紡績株式会社)の片面に、アニオン系水溶性樹脂としてポリアクリル酸Na塩(平均分子量:70000)を、もう一方の面にカチオン系水溶性樹脂としてポリビニルピリジン塩酸塩(平均分子量:14000)を、それぞれグラビアロールにて乾燥固形分で40g/m2 の量付与し、その後、乾燥し基層を形成した。
50μmのポリエチレンフイルム(株式会社トクヤマ、透湿性 7,000g/m2 /24hr)を基層の片面にドライラミネート法により積層した。
【0046】
【実施例5】
目付20g/m2 のポリエステルスパンボンド不織布(エクーレ/東洋紡績株式会社)の片面に、アニオン系水溶性樹脂としてビスフェノールスルホン・フェノールスルホン酸のホルマリン縮合物(縮合モル比:ビスフェノールスルホン/フェノールスルホン酸/ホルマリン=2/1/2、平均分子量:20000)をアクリル酸系増粘剤:F−7226(日華化学株式会社製)により15000mPa・s の粘度に調整したものをグラビアロールコーティング・乾燥し、乾燥固形分で40g/m2 付与した。また同一面にカチオン系水溶性樹脂としてジメチルアミノエチルメタクリレート・アクリルアミド共重合物塩酸中和体(共重合モル比:ジメチルアミノエチルメタクリレート/アクリルアミド)を非イオン系増粘剤:ネオステッカーN(日華化学株式会社製)により15000mPa・s の粘度に調整したものをグラビアロールコーティング・乾燥し乾燥固形分で40g/m2 付与した。
50μmのポリエチレンフイルム(株式会社トクヤマ、透湿性 7,000g/m2 /24hr)を基層の片面にドライラミネート法により積層した。
【0047】
【比較例1】
(普通の2層シートの例)
基材である目付20g/m2 のポリエステルスパンボンド不織布(エクーレ/東洋紡績株式会社)に、50μmのポリエチレンフイルム(株式会社トクヤマ、透湿性 7,000g/m2 /24hr)を基層の片面にドライラミネート法により積層した。
【0048】
【比較例2】
(アニオン系水溶性樹脂とアニオン系水溶性樹脂の例)
目付20g/m2 のポリエステルスパンボンド不織布(エクーレ/東洋紡績株式会社)の両面に、アニオン系水溶性樹脂のビスフェノールスルホン・フェノールスルホン酸のホルマリン縮合物(縮合モル比:ビスフェノールスルホン/フェノールスルホン酸/ホルマリン=2/1/2、平均分子量:20000)を用いて、それぞれの面にグラビアロールにて乾燥固形分で40g/m2 付与、乾燥し基層を形成した。
50μmのポリエチレンフイルム(株式会社トクヤマ、透湿性 7,000g/m2 /24hr)を基層の片面にドライラミネート法により積層した。
【0049】
【比較例3】
(カチオン系水溶性樹脂とカチオン系水溶性樹脂の例)
目付20g/m2 のポリエステルスパンボンド不織布(エクーレ/東洋紡績株式会社)の両面に、カチオン系水溶性樹脂のジメチルアミノエチルメタクリレート・アクリルアミド共重合物塩酸中和体(共重合モル比:ジメチルアミノエチルメタクリレート/アクリルアミド=1/1、平均分子量:12000)を用いて、それぞれの面にグラビアロールにて乾燥固形分で40g/m2 付与、乾燥し基層を形成した。
50μmのポリエチレンフイルム(株式会社トクヤマ、透湿性 7,000g/m2 /24hr)を基層の片面にドライラミネート法により積層した。
【0050】
【比較例4】
(カチオン系水溶性樹脂とノニオン系水溶性樹脂の例)
目付20g/m2 のポリエステルスパンボンド不織布(エクーレ/東洋紡績株式会社)の片面に、カチオン系水溶性樹脂としてジメチルアミノエチルメタクリレート・アクリルアミド共重合物塩酸中和体(共重合モル比:ジメチルアミノエチルメタクリレート/アクリルアミド=1/1、平均分子量:12000)、もう一方の面にノニオン系水溶性樹脂としてポバール系ノニオン樹脂(カセゾールAV−15/日華化学株式会社)を用いてそれぞれグラビアロールにて乾燥固形分で40g/m2 付与、乾燥し基層を形成した。
50μmのポリエチレンフイルム(株式会社トクヤマ、透湿性 7,000g/m2 /24hr)を基層の片面にドライラミネート法により積層した。
【0051】
【比較例5】
(アニオン系水溶性樹脂とノニオン系水溶性樹脂の例)
目付20g/m2 のポリエステルスパンボンド不織布(エクーレ/東洋紡績株式会社)の片面に、アニオン系水溶性樹脂としてビスフェノールスルホン・フェノールスルホン酸のホルマリン縮合物(縮合モル比:ビスフェノールスルホン/フェノールスルホン酸/ホルマリン=2/1/2、平均分子量:20000)、もう一方の面にノニオン系水溶性樹脂としてポバール系ノニオン樹脂(カセゾールAV−15/日華化学株式会社)を用いてそれぞれグラビアロールにて乾燥固形分で40g/m2 付与、乾燥し基層を形成した。
50μmのポリエチレンフイルム(株式会社トクヤマ、透湿性 7,000g/m2 /24hr)を基層の片面にドライラミネート法により積層した。
【0052】
【比較例6】
(高吸水性ポリマーの例)
高吸水性ポリマーとしてポリアクリル酸塩架橋物(サンウェット/三洋化成工業株式会社)を用い、アクリル系のバインダー樹脂(大日本インキ化学工業株式会社)と固形分重量比で1:5の割合で混合し、目付20g/m2 のポリエステルスパンボンド不織布(エクーレ/東洋紡績株式会社)の片面に、グラビアロールにて付与した。そして、50μmのポリエチレンフイルム(株式会社トクヤマ、透湿性 7,000g/m2 /24hr)を高吸水性ポリマーが付与された面にドライラミネート法により積層した。
この場合、性能評価は、本実施例とあまり変わらなかったが、水滴が垂れた際、高吸水性ポリマーが水を吸って膨潤し、積層したフイルムが不織布から剥がれが生じた。
実験的にシートを屋根板に張り付け作業をしたところ、シートを剥がしたり、張り直したりする時の取り扱いが悪かった。
【0053】
以上の実施例1〜5及び比較例1〜6に於ける、止水性、防水性、透湿性、総合評価について表1に示す。
【0054】
【表1】
Figure 0003759424
【0055】
【発明の効果】
本発明の止水シートは、アニオン系水溶性樹脂とカチオン系水溶性樹脂が反応、ゲル化することにより穴、傷等による間隙を塞ぐ自己修復性も有するために不用意に膨潤するようなことがない。
また、その上、優れた防水性や透湿性が保証されたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の止水シートの第1の実施形態を示す模式断面図である。
【図2】図2は、本発明の止水シートの第2の一実施形態を示す模式断面図である。
【図3】図3は、本発明の止水シートの第3の一実施形態を示す模式断面図である。
【図4】図4は、本発明の止水シートの第4の一実施形態を示す模式断面図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施の形態における止水シートの自己修復性を説明する模式図である。
【図6】図6は、本発明の第2の実施の形態における止水シートの自己修復性を説明する模式図である。
【図7】図7は、本発明の第3の実施の形態における止水シートの自己修復性を説明する模式図である。
【図8】図8は、本発明の第4の実施の形態における止水シートの自己修復性を説明する模式図である。
【符号の説明】
X…止水シート a…基材
a1…基材
a2…基材
b…アニオン水溶性樹脂
c…カチオン水溶性樹脂
d…透湿防水性フイルム(微多孔質フイルム)
e…穴

Claims (7)

  1. 基材にアニオン系水溶性樹脂を付与した層とカチオン系水溶性樹脂を付与した層を有する止水シート。
  2. アニオン系水溶性樹脂が側鎖または末端にカルボキシル基あるいはスルホン基、ホスホン基の陰イオン性官能基を含む樹脂であり、カチオン系水溶性樹脂が主鎖または側鎖に一級あるいは二級、三級のアミンの酸塩あるいは四級アンモニウム塩を有する樹脂であることを特徴とする請求項1記載の止水シート。
  3. 止水シートに更に透湿防水性フイルムが付着されていることを特徴とする請求項1記載の止水シート。
  4. アニオン系水溶性樹脂を付与した層が基材の一方の面に、またカチオン系水溶性樹を付与した層が基材の他方の面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の止水シート。
  5. アニオン系水溶性樹脂を付与した層とカチオン系水溶性樹を付与した層とが基材の少なくとも片方の面に交互に形成されていることを特徴とする請求項1記載の止水シート。
  6. 基材が複数枚であることを特徴とする請求項1記載の止水シート。
  7. 基材よりなる止水シートに穴が空いた場合に、その穴を修復する方法であって、基材にアニオン系水溶性樹脂を付与した層とカチオン系水溶性樹脂を付与した層とを形成し、両樹脂の混合によって両樹脂をゲル化させて、基材の穴に両樹脂を充填させることで穴を修復し、水の浸入を防止することを特徴とする止水シートの穴修復方法。
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