JP7308714B2 - 屋根下葺材 - Google Patents
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Description
また、屋根下葺材の劣化を抑制するためにも、なるべく湿気にさらされないように屋根下葺材の下側になる木材と隙間なく施工されなければならない。そのため、各納まりの形に合わせて保形し易い屋根下葺材が要求される。
しかしながら、エラストマーの合成樹脂で構成された屋根下葺材は、折り曲げた場合に元の形状に戻ろうとする力があるため、納まりの形に合わせることが困難になる虞があった。また、施工後の屋根下葺材がさらされる環境は、熱だけではなく湿気もある。例えば板金の屋根材を使用し、屋根材と屋根下葺材の間に通気層がある工法など高温多湿の環境になり易い構造では、合成樹脂やアスファルトの加水分解が進行し易い。従来よりも更なる高耐久性を発揮させるには、熱による酸化劣化を防止するだけではなく、熱と湿気による加水分解も考慮する必要がある。
また、前記フィルムの厚みが12~150μmであると好ましい。
また、前記内部層が、フィルム、吸水樹脂層、不織布およびフィルムの順に積層されてなると好ましい。
また、アルミニウム箔3の厚みは、施工中の破れ難さと曲げ易さと、湿気の通り難さ、腐食のし難さの点から、7~50μmの範囲であることが必須であり、9~30μmの範囲であることが好ましい。
内部層2とアルミニウム箔3は合成樹脂接着層を介して積層されていると強度面で好ましい。また、合成樹脂接着層の厚みが12~150μmであると強度面と柔軟性の面で好ましく、30~140μmであると接着力と柔軟性の面からより好ましい。
また、より滑り止め効果を発揮させるために添加材を付与することができ、例えば、微細な凹凸を形成できる無機系粉末、鉱物粉末、および不活性ガスを内包する熱膨張性マイクロカプセルや、摩擦抵抗を向上させる微粉末ゴム、ウレタンビーズ等が挙げられる。これらの添加材は単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
また、樹脂層4には撥水剤を添加することが好ましい。撥水剤を添加することで、樹脂膜の加水分解を抑制し、アルミニウム箔の腐食を抑制する効果が高まる。
また、フィルム5の厚みは12~150μmであることが好ましく、より好ましくは30~100μmである。厚みが12μm以上であれば、強度を得やすく、作業中に破れにくくなる点で好ましい。厚みが150μm以下であれば、柔軟性が得られやすく、形状をより保ちやすい点で好ましい。
また、フィルム5の面にアルミニウム箔3を積層する場合、フィルム5の表面には活性化処理を行うことが好ましい。活性化処理はフィルム5の表面の濡れ性を改善するものであり、アルミニウム箔3との密着性を上げるために施される。活性化処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、グロー処理やオゾン処理等が挙げられる。なかでも生産性、加工性の点でコロナ処理が好ましい。また、活性化処理により、濡れ性が34~42dyneになるように処理されることが好ましい。
また、吸水樹脂層6の吸水膨潤倍率は180倍以上であることが好ましく、より好ましくは300倍以上である。吸水膨潤倍率が180倍未満では、釘を打ち込んだ穴に水が浸入した際に水を吸収しても、隙間を十分に充填できずに漏水するおそれがある。
これらの積層方法としては、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、押出ラミネート法、ホットメルトラミネート法が挙げられるが、生産性とアルミニウム箔の補強効果の面で押出ラミネート法を用いることが好ましい。
また、不織布7の目付は40~200g/m2が好ましく、より好ましくは60~150g/m2である。不織布7の目付が40g/m2以上であれば、強度を得やすい面で好ましい。目付が200g/m2以上であれば柔軟性が得られやすく、形状をより保ちやすい点で好ましい。
250mm×25mmにカットされた屋根下葺材を長手方向中央で、90°になるよう垂直に折り曲げた後、手を離してから1分間で変化した角度を測定する。
実施例及び比較例における物性測定および評価は、以下の方法により行った。
JIS L1092 耐水度試験(静水圧法)7.1.2B法(高水圧法)に準じて測定した。
アスファルトルーフィング工業会規格「改質アスファルトルーフィング材」に準じて合板表面の濡れ数から評価した。10個の試験体中8個以上濡れていなければ評価を〇とし、8個未満では×とする。
縦250mm×横25mmにカットした屋根下葺材を、長手方向中央を90°に指先で折り、その折り曲げ易さを、以下の評価基準で評価した。なお、評価が△以上であれば、通常の使用では問題ない。評価が×であると、施工時に隙間ができてしまうため、使用できない。
評価基準
○:90°に折り曲げ易い。
△:90°に折り曲げできるが、折り曲げる際の抵抗が強い。
×:90°に折り曲げられない。または、曲がってもすぐに元に戻ろうとする。
縦250mm×横25mmにカットし、平面に置いた屋根下葺材を、表面と裏面からそれぞれ、長手方向中央、すなわち、両端から125mmの位置で90°の角度に垂直に折り曲げ、手を離してから1分後に傾いた角度を測定し、表面と裏面の平均を取り、以下の評価基準で評価した。なお、評価が〇であれば、通常の使用で問題ないが、隙間から浸水するリスクが高くなる。なお、測定時に湾曲して曲がった場合は、図3のようにして接線を引き、垂直面からの変化した角度Aを確認する。
評価基準
○:傾いた角度が10°以内(80~100°)
×:傾いた角度が10°を超える(0~79°、101~180°)
縦250mm×横25mmにカットした屋根下葺材を、長手方向中央で180°に折り、折り曲げた部分の状態を観察し、以下の評価基準で評価した。なお、評価が△以上であれば、通常の使用では問題ない。
評価基準
○:表面にヒビ、裂け、破れは認められず、異常なし。
△:表面にヒビはあるが、裂けや破れなし。
×:表面に裂けや破れあり。
90℃に設定された恒温層内に、JIS A5758 建築用シーリング材 4.2区分:変性シリコーン系(MS)で縁を封じた屋根下葺材を60日間放置後、常温(25℃)になるまで養生し、防水性と耐折り曲げ性を評価した。
90℃、湿度90%に設定された恒温恒湿層内に、JIS A5758 建築用シーリング材 4.2区分:変性シリコーン系(MS)で縁を封じた屋根下葺材を60日間放置後、常温常湿(25℃、65%)になるまで養生し、防水性と耐折り曲げ性を評価した。
100g/m2のポリエステルスパンボンド不織布(東洋紡績株式会社製、エクーレ3A01A)に、吸水樹脂(株式会社日本触媒製、アクアリックCS-6、吸水膨潤倍率:200倍)をバインダー樹脂(株式会社トウぺ製、アクリル樹脂XE-3782)100重量部に対して97重量部添加した混合物を、グラビアコーティング法により固形分が10g/m2になるように塗布し、吸水樹脂層を形成した。この吸水樹脂層を形成した不織布の両面に、濡れ性が40dyneになるようコロナ処理された、厚み60μmのポリエチレンフィルム(酒井化学工業株式会社製、LLシート)を、ポリエチレンペレット(東ソー株式会社製、ペトロセン212)を用い、押出ラミネート法にて20μm厚の層を形成しながらラミネートし、厚み510μmの内部層を作製した。
アルミニウム箔の厚みを9μmにした以外は、実施例1と同様に加工して、屋根下葺材を得た。各物性の測定結果および評価結果を表1に示す。
アルミニウム箔の厚みを50μmにした以外は、実施例1と同様に加工して、屋根下葺材を得た。各物性の測定結果および評価結果を表1に示す。
不織布を40g/m2のポリエステルスパンボンド不織布(東洋紡績株式会社製エクーレ3401A)にし、フィルムを厚み30μmのポリエチレンフィルム(酒井化学工業株式会社製LLシート)にし、内部層の総厚みを330μmにした以外は、実施例1と同様に加工して、屋根下葺材を得た。各物性の測定結果および評価結果を表1に示す。
不織布を150g/m2のポリエステルスパンボンド不織布(東レ株式会社製アクスターG2150-1S)にし、フィルムを厚み80μmのポリエチレンフィルム(酒井化学工業株式会社製LLシート)にし、内部層の総厚みを680μmにした以外は、実施例1と同様に加工して、屋根下葺材を得た。各物性の測定結果および評価結果を表1に示す。
アルミニウム箔の厚みを8μmにした以外は、実施例1と同様に加工して、屋根下葺材を得た。各物性の測定結果および評価結果を表1に示す。
アルミニウム箔を積層せず、内部層の両面に直接樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様に加工して、屋根下葺材を得た。各物性の測定結果および評価結果を表1に示す。
アルミニウム箔の厚みを80μmにした以外は、実施例1と同様に加工して、屋根下葺材を得た。各物性の測定結果および評価結果を表1に示す。
不織布を30g/m2のポリエステルスパンボンド不織布(東洋紡績株式会社製エクーレ3301A)にし、フィルムを厚み10μmのポリエチレンフィルム(酒井化学工業株式会社製HDシート)にし、内部層の総厚みを250μmにした以外は、実施例1と同様に加工して、屋根下葺材を得た。各物性の測定結果および評価結果を表1に示す。
アルミニウム箔の厚みを5μmにした以外は、実施例1と同様に加工して、屋根下葺材を得た。各物性の測定結果および評価結果を表1に示す。
2 内部層
3 アルミニウム箔
4 樹脂層
5 フィルム
6 吸水樹脂層
7 不織布
A 角度
Claims (3)
- フィルム、不織布および吸水樹脂層が積層された内部層と、
内部層の両面に積層されたアルミニウム箔を有する屋根下葺材であって、
アルミニウム箔の厚みが7~50μmであり、
アルミニウム箔の表面に樹脂層が積層されてなり、
内部層の厚みが300~700μmであり、
以下の方法によって測定される90°形状保持性が10°以内である屋根下葺材。
250mm×25mmにカットされた屋根下葺材を長手方向中央で、90°になるよう垂直に折り曲げた後、手を離してから1分間で変化した角度を測定する。 - 前記フィルムの厚みが12~150μmである請求項1に記載の屋根下葺材。
- 前記内部層が、フィルム、吸水樹脂層、不織布およびフィルムの順に積層されてなる請求項1または2に記載の屋根下葺材。
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