JP3545732B2 - 建築用防水シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築用防水シートに関し、更に詳しくは、防水性、透湿性、止水性及び防滑性に優れ、安価に製造できる建築用防水シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
家屋への雨水等の水分の浸入を防ぐものとして、建築用防水シートが用いられる。
建築用防水シートには、瓦と屋根裏板との間に挟む屋根用防水シートや、外壁材と内壁材の間などに貼り付けるハウスラップ用防水シート等がある。
これらのシートには、単に雨水の浸入を防止する機能だけでなく、屋内の水蒸気を外に逃がし結露を防止する機能をも求められている。
【0003】
例えば、屋根用防水シートとして従来より使用されてきたアスファルトフェルトは、透湿性に欠けるため屋内の水蒸気を外部に放散できず、水蒸気が屋内にこもり、そのため屋根裏板に腐食を生じたりすることがあった。
そこで、防水性を保ちながらなおかつ透湿性を有するような素材の開発が、これまで進められてきた。
【0004】
一方、建築用防水シートは、屋根裏板や壁材に固定される際などに、釘やタッカーを打ちつけられ、人為的な破断を強いられる。
また、災害等で自然発生的に穴や亀裂を生じることもあり、こうした釘まわりの間隙(釘穴)や亀裂からも雨水が浸入してくる欠点がある。
そのため、建築用防水シートには、上記の防水性とは他に、そうした釘穴や亀裂を自ら塞いで水分の浸入を食い止める機能、すなわち止水性が要求される。
【0005】
そこで、布帛や樹脂シートの表面に伸縮性及び粘着性を有する樹脂層を形成する方法が開発されている(例えば特開平2−269277号公報等参照)。
しかし、穴等を塞いで充分に水分の浸入を食い止めるまでには至っておらず、未だ改善の余地を残している。
【0006】
また、屋根用防水シートにおいては、シートの上に乗っての作業が多くなるが、その際、雨天等でシートが濡れていると、作業者が滑って怪我をするなどの事故につながることがある。
そのため、以前からシートの防滑性向上の必要性が指摘されてきた。
さらに、以上のような機能を有する建築用防水シートが、安価に製造できるものであることも重要なファクターとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる実情を背景に、上記の課題を克服するためになされたものである。
すなわち、本発明の目的は、特に完全な止水性を有し、更に防水性、透湿性、防滑性等に優れる建築用防水シートを提供することである。
しかも、生産性に優れ安価に製造できる建築用防水シートを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明者は、このような課題背景に対して、鋭意研究を重ねた結果、単にシートや布帛、樹脂層等を接合させるのではなく、透湿防水フィルムの両面に布帛を接着し、更に該透湿防水フィルムと下面の布帛の間に膨潤層を介在させることにより釘を打っても水分の浸入を食い止められること、更に上面の布帛の上面に防滑層を設けることで防滑性が確保されることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0009】
即ち、本発明は、(1)、防水性及び透湿性を有するポリエチレンフィルムの上面に、防滑層を上面に有する不織布が接着され、該ポリエチレンフィルムの下面に、膨潤層を有する不織布が接着され、該膨潤層はポリエチレンフィルムと下面の不織布との間に位置しており、該膨潤層は高吸水性ポリマーより形成され、透湿防水ポリエチレンフィルムは厚さ40〜100μmよりなり、建築用防水シート全体の止水性が、鉄丸釘を打ち込んだ場合の透水試験(JIS A 5430 5.6)において、24時間放置後、水の裏抜けを生じない建築用防水シートに存する。
【0010】
そして、(2)、前記ポリエチレンフィルムは、1〜30kg/mm 2 のヤング率を有する建築用防水シートに存する。
【0011】
そしてまた、(3)、防滑層を上面に有する前記不織布は、ポリエステル不織布よりなる建築用防水シートに存する。
【0012】
そしてまた、(4)、前記ポリエチレンフィルムは、1〜30kg/mm 2 のヤング率を有する建築用防水シートに存する。
【0013】
そしてまた、(5)、防滑層を上面に有する前記不織布、及び膨潤層を有する前記不織布は、ポリエステル不織布よりなる建築用防水シートに存する。
【0014】
そしてまた(6)、前記ポリエチレンフィルムは、1〜30kg/mm 2 のヤング率を有する建築用防水シートに存する。
【0017】
本発明はこの目的に沿ったものであれば、上記1〜8の中から選ばれた2つ以上を組み合わせた構成も当然採用可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明の好適な実施の形態について述べる。
本明細書においては、建築用防水シート自体やそれを構成する透湿防水フィルム、布帛等の各面について、建築用防水シートを通常使用される状態で水平面上に置いた際に上方を向く面を「上面」、下方を向く面を「下面」と呼ぶ。
【0019】
図1は、本発明の好適な実施の形態における建築用防水シートの断面を示す模式図である。
本発明の建築用防水シート1は、透湿防水フィルム2と、その上面に接着された第1布帛3と、透湿防水フィルム2の下面に接着された第2布帛4との3重構造を基本骨格とし、更に第1布帛3の上面に防滑層5が形成され、また透湿防水フィルム2と第2布帛4の間に膨潤層6を介在させてなる。
【0020】
このように形成すると、建築用防水シートとして求められる防水性、透湿性、止水性及び防滑性といった機能は、十分に満足なものとなり、特に止水性に関しては、完全な止水効果を達成することができる。
本発明の建築用防水シートが優れた止水性を発揮する様子を、図を用いて具体的に説明する。
【0021】
図2は、本発明の建築用防水シートに釘を打ちつけた状態を模式的に示す図である。
このように釘を打ちつけた建築用防水シート1〔図2(a)参照〕に、その上から水をかけた場合(例えば雨水に曝した場合)、大部分の水は防水性を有する透湿防水フィルム2により通過を阻まれる。
【0022】
しかし、僅かに釘まわりには間隙があるため、その部分を通して水が浸入してくる。
因みに、1回の降雨で浸入する水は僅かであっても、長期間に渡って水の浸入が繰り返されると、結果的に屋根裏板を腐食させることとなる。
【0023】
ところが、本発明の建築用防水シート1においては、釘の周囲の膨潤層6(正確には膨潤層中の膨潤剤)が浸入してきた水を吸収して膨潤し、釘まわりの微空間(釘周囲の間隙)を充填して水の浸入を阻止するのである〔図2(b)参照〕。
特に、膨潤層6の上には透湿防水フィルムがあり水を通さないために、膨潤剤は、釘周囲の間隙を浸入してきた水を吸収して釘周囲の膨潤材のみが迅速に膨潤する。
【0024】
この機能は、建築用防水シートに亀裂が入った場合にも同様に働き、亀裂を伝わって浸入してきた水が膨潤層に吸収され、膨潤層が膨潤して亀裂内部の空間を塞ぐのである。
このように、本発明の建築用防水シートにおいては、膨潤層が水を吸収し膨潤して空間(例えば釘穴や亀裂等)を充填して塞ぎ、止水を確実にする。
【0025】
この止水性は、具体的には、鉄丸釘を打ち込んだ場合の透水試験(JIS A5430 5.6)において、24時間放置後、水の裏抜け(裏漏れともいう)を生じないことで示される。
すなわち、本発明の建築用防水シートは、透湿防水フィルムの下に膨潤層を設けたことにより、釘穴等からの水の浸入を完全に阻止し、上記実験においても水の裏抜けを全く生じさせないのである。
【0026】
更に、本発明の建築用防水シートは、一般に屋根用防水シートやハウスラップ用防水シートに求められている防滑性や防水性、透湿性をも具備する。
すなわち、第1布帛3の上面に防滑層5を形成して、特に傾斜面等の滑りを防止する観点から、建築用防水シートにとしての防滑性〔JIS A 1454
6.12(滑り性試験)〕は、0.3以上、好ましくは0.5以上が必要とされる。
【0027】
また、建築用防水シートの防水性〔JIS L 1092の5.1.1 B法(繊維製品の防水性試験方法)〕としては、透湿防水フィルムに依存されるが、1000mm以上の性能が望まれ、好ましくは3000mm以上である。
更に、建築用防水シートの透湿性は、透湿防水フィルムに依存するが、屋内に結露を生じないように少なくとも1000g/m2/24hr以上が必要であり、2000g/m2/24hr以上であればより好ましい。
なお、建築用防水シートの厚みとしては、作業性の観点から0.2〜1.5mmのものが使用される。
【0028】
次に、本発明の建築用防水シートを構成するフィルム、及び各布帛について述べる。
まず、透湿防水フィルムは、防水性及び透湿性を有するフィルムのことであり、建築用防水シートとしての防水性や透湿性が担保される。
【0029】
透湿防水フィルムの素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ウレタン系の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
中でも、加工し易く特に透湿性に優れる微多孔質ポリエチレンフィルムが好ましく用いられる。
【0030】
ここで、実験から、フィルムの厚さは、40〜100μmであることが好ましい。
厚さが40μm未満では、上面及び下面に布帛を貼り付けても必ずしも十分な強度が得られにくく、また100μmより厚いと全体として屈曲性が悪くなり施工性の点で劣ったものになる可能性がある。
【0031】
更に、ヤング率としては1〜30kg/mm2のもの、中でも20〜30kg/mm2のものであれば、両面に貼り付けられた布帛を十分担持することができ、シート全体としての強度を十分保証する。
【0032】
次に、透湿防水フィルムの上面に接着する第1布帛は、透湿防水フィルムを補強するとともに、建築用防水シートに加えられた衝撃を吸収して建築用防水シートの破損を極力、防止する等の役割を果たす。
ここで使用される布帛の形態については、スパンボンドやニードルパンチからなる不織布やまたは織物や編物が使われる。
また取扱性の点から目付10〜100g/m2の布帛が好ましい。
【0033】
また、素材については、天然繊維、合成繊維、又はそれらの組み合わせが採用される。
中でも、ポリエステル不織布が生産性に優れ安価であるうえ、布帛自体に方向性がなく施工性に自由度があるため好ましい。
【0034】
ここで、第1布帛の上面に、防滑剤を付与することにより防滑層が形成されており、建築用防水シートの防滑性が向上する。
すなわち、防滑層を形成することにより、晴天時は勿論、雨天時でも作業者が滑らず安全に作業できるようになる。
【0035】
防滑剤としては、滑り止め効果を有するものであればよく、ゴム状のものや樹脂等が好ましく使用される。
具体的には、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、合成ゴム系、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系あるいはアスファルト類等の防滑剤が挙げられる。
【0036】
防滑剤の布帛への付与は、コーティング法、グラビアロール法、凸版印刷法、スクリーン捺染法等による。
その際、防滑剤は、上記透湿防水フィルムの透湿性を妨げないで且つ滑り止め効果が発揮される限り、第1布帛の上面全体に層を形成しても良いし、格子状またはドット状等に層を形成しても良い。
【0037】
第1布帛と透湿防水フィルムとの接着方法としては、通常のドライラミネート、ウェットラミネート、熱ラミネート等の方法を用いればよい。
使用される接着剤としては、溶剤系、エマルジョン系の接着剤など特に限定されない。
この場合も、透湿性を妨げない範囲の接着面積率(接着面積/全面積)が採用される。
【0038】
透湿防水フィルムの下面に接着される第2布帛は、膨潤層が形成されており止水機能を発揮する。
この膨潤層自体は、透湿防水フィルムと第2布帛との間に介在させたために、図2で先述したように、膨潤層の膨潤剤が不用意に上面からの水によって膨潤せず釘周囲の間隙に浸透してきた水を吸収して、そこで膨潤する。
その結果、釘周囲の間隙が埋められて止水されるのである。
【0039】
透湿防水フィルムと第2布帛との間に膨潤層を形成するには、第2布帛を透湿防水フィルムに接着する前に行うことが必要である。
すなわち、第2布帛の上面に膨潤層を形成した後、膨潤層を介して透湿防水フィルムに第2布帛を接着させることで、透湿防水フィルムと第2布帛との間に膨潤層を挟み込んだ状態にできる。
このように形成することによって、膨潤層の止水機能が有効に働き、先述したように、本発明の建築用防水シートとして優れた止水性を獲得できる。
【0040】
ここで、参考までに、仮にも、膨潤層を透湿防水フィルムの上面、すなわち透湿防水フィルムと第1布帛の間に形成した場合を想定すると、膨潤層の止水機能は必ずしも有効に働かない(実施例1と比較例1とを参照)。
つまり、膨潤層全体が雨水を吸収して膨潤しきってしまうため、すなわち水分吸収力がサチレートしてしまうため、新たに釘まわりの間隙や亀裂を伝わって浸入してくる水分の吸収に寄与できないからである。
【0041】
膨潤層を形成するための膨潤剤としては、通常に使用される高吸水性ポリマーが使用され、その種類は特に限定されない。
高吸水性ポリマーとしては、具体的には、橋かけポリアクリル酸塩、橋かけポリビニルアルコール、澱粉−ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩、イソブチレン−マレイン酸塩等や、これらの組み合わせが採用可能である。
【0042】
また、高吸水性ポリマーは、バインダーを使って第2布帛に固着させるが、そのために含まれるバインダーとしては、ビニル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、エステル系樹脂等が採用される。中でも、加工時の取り扱いの良さやコストの面から、アクリル系樹脂がより好ましく使用される。
この際、アクリル系樹脂と高吸水性ポリマーとの配合の割合は、固形重量比率でアクリル系樹脂が1に対して高吸水性ポリマーが2〜6の割合が好ましい。
【0043】
高吸水性ポリマーの布帛への付与方法としては、コーティング法、グラビアロール法、凸版印刷法、スクリーン捺染法等が挙げられる。
中でも、グラビアロール法は、全面に付与したり格子状等に付与することが可能であり、通気性が損なわれないように布帛の素材に応じた加工ができることから、より好ましく採用される。
【0044】
このようにして上面に膨潤層を形成させた第2布帛を、第1布帛と同じ要領で透湿防水フィルムの下面に接着して、本発明の建築用防水シートが完成する。
ここで、第2布帛は、第1布帛と同じく、透湿防水フィルムの補強、衝撃吸収による建築用防水シートの破損防止等の役割を果たしていることは当然である。
【0045】
また、膨潤層は、水分を吸収して膨潤するとゲル状になりヌメリが生じるが、膨潤層自体は、透湿防水フィルムと第2布帛との間に介在させたために、ゲル化した膨潤層が屋根裏板や壁材に直接触れない。
そのため、屋根裏板や壁材に対して建築用防水シート自体の滑りを防止する効果も有している。
【0046】
更に、本発明に建築用防水シートは、第2布帛の下面(すなわち建築用防水シートの最下面)に防滑層8を形成することにより(図3参照)、屋根裏板や壁材等に対する建築用防水シートの滑り防止効果をより高めることができる。
ところで、上面に膨潤層が形成された第2布帛を、透湿防水フィルムの下面に接着する方法は、先述した第1布帛と透湿防水フィルムの接着方法を採用すればよい。
【0047】
以上のように、本発明の建築用防水シートは、フィルムや布帛、膨潤剤、防滑剤等に通常使用されているものを用いており、何ら特別な素材や材質のものを必要としない。
また、フィルムと布帛の接着方法等も、一般に行われている方法を採用すればよく、何ら特別な装置等を必要とせず、難しい操作も要しない。
そのため、本発明の建築用防水シートは、生産性に優れ安価に製造できるのである。
【0048】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて説明する。
なお、本発明は、必ずしもその実施例に限定されるものではない。
【0049】
本発明の建築用防水シートの諸特性は、下記の方法により測定したものである。
[防水性]JIS L 1092の5.1.1 B法(繊維製品の防水性試験方法)により求めた。
【0050】
[透湿性]JIS L 1099の4.1 A法(繊維製品の透湿度試験方法)により求めた。
【0051】
[防滑性]JIS A 1454 6.12(滑り性試験)に準じて測定した。なお、滑り片はポリエステルスパンボンド不織布20557FLV(ユニチカ株式会社製、目付55g/m2)を使用した。
【0052】
[止水性]9mmのボード(合板)に実施例又は比較例のシートを載せて、鉄丸釘N38を打ち込み、JIS A 5430 5.6(透水試験)における水柱(初期高さ250mm)の24時間放置後の高さ、及びシートの裏面への水の裏抜け具合で、釘穴止水性を評価した。
【0053】
〔実施例1〕
防滑剤としてアクリル系樹脂トアアクロンXE−3491(東亜合成株式会社製)を用い、目付20g/m2のポリエステルスパンボンド不織布(東洋紡績株式会社製、第1布帛)の上面にグラビアロールにて40g/m2付与し乾燥して防滑層を形成した。
【0054】
次に、高吸水性ポリマーとして澱粉−ポリアクリル酸塩、サンウェット(三洋化成工業株式会社製)を用い、アクリル系のバインダー樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製)に、固形分重量比でアクリル系樹脂が1に対して高吸水性ポリマーが3の割合で混合し、目付20g/m2のポリエステルスパンボンド不織布(東洋紡績株式会社製、第2布帛)の上面にグラビアロールにて付与し膨潤層を形成した。
【0055】
また、透湿防水フィルムには、50μmのポリエチレンフィルム(株式会社トクヤマ製、透湿性7000g/m2/24hr)を用いた。
この透湿防水フィルムに対して、第1布帛をその防滑層が上面になるように、また第2布帛を膨潤層が透湿フィルムとの間に介在するようにドライラミネート法により接着した。
なお、透湿防水フィルムに対する第1布帛又は第2布帛の接着においては、接着面積率40%とした。
【0056】
〔実施例2〕
高吸水性ポリマーとして橋かけポリビニルアルコール、アクアリザーブGP(日本合成化学株式会社製)を用い、アクリル系のバインダー樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製)に、固形分重量比でアクリル系樹脂が1に対して高吸水性ポリマーが4の割合で混合し、目付20g/m2のポリエステルスパンボンド不織布(東洋紡績株式会社製、第2布帛)の上面に、グラビアロールにて付与し膨潤層を形成した。
それ以外は実施例1と同様に作成した。
【0057】
〔比較例1〕
実施例1の第1布帛の下面に対して、高吸水性ポリマーである澱粉−ポリアクリル酸塩、サンウェット(三洋化成工業株式会社製)をアクリル系のバインダー樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製)に固形分重量比でアクリル系樹脂が1に対して高吸水性ポリマーが3の割合で混合し、グラビアロールにて付与した。
【0058】
この不織布の下面に、透湿防水フィルムとして50μmのポリエチレンフィルム(株式会社トクヤマ製、透湿性7000g/m2/24hr)を、さらにその下面に目付20g/m2のポリエステルスパンボンド不織布(東洋紡績株式会社製、第2布帛)をドライラミネート法により接着した。
なお、透湿防水フィルムに対する第1布帛又は第2布帛の接着においては、接着面積率40%とした。
【0059】
〔比較例2〕
透湿防水フィルムをなす50μmのポリエチレンフィルム(株式会社トクヤマ製、透湿性7000g/m2/24hr)の上面及び下面に、目付20g/m2のポリエステルスパンボンド不織布(東洋紡績株式会社製、第1布帛、第2布帛)でドライラミネート法により接着した。
なお、透湿防水フィルムに対する第1布帛又は第2布帛の接着においては、接着面積率40%とした。
【0060】
〔評価〕
便宜のため、上記実施例及び比較例の各構成を表1に示す。
また、それぞれの測定結果及び総合評価を表2に示す。
総合評価については、
◎…建築用防水シートとして充分な性能である。
△…建築用防水シートとして少々問題がある。
×…建築用防水シートに適さない。
の観点から評価した。
【0061】
実施例1及び実施例2については、防水性、透湿性、防滑性及び止水性のすべてにおいて、建築用防水シートとして良好な結果が得られた。
止水性に関して、上記実験では、24時間放置後の水面が、実施例1では10mm、実施例2では5mmそれぞれ下がっているが、実施例1及び実施例2のシートの裏側、特に釘まわりを確認したところ、ともに水の裏抜けは生じていないことが確認できた。
減少した分の水は、シートの膨潤層に吸収された分と考えられる。
【0062】
比較例1については、止水性の点で問題があり、建築用防水シートとしては必ずしも満足できるものではないと評価した。
実際、上記実験の24時間放置後、比較例1のシートの裏側の釘まわりの部分に、水の裏抜けが確認できた。
比較例2については、止水性に重大な欠陥を抱えており、また防滑性においても満足できる結果は得られなかった。
止水性に関しては、上記実験の24時間放置後、比較例2のシートの裏側の釘まわりの部分に、大量の水の裏抜けが確認された。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、膨潤層が浸入してくる水分を的確に吸収して膨潤するため、防水性や透湿性のみならず、完全な止水性を有する建築用防水シートを製造できる。
また、防滑層を形成することにより、防滑性に優れたものとなる。
更に、特別な素材等を必要とせず、通常の接着方法等により製造できるため、生産性に優れ、しかも安価に建築用防水シートを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の好適な実施の形態における建築用防水シートの断面を示す模式図である。
【図2】図2は、図1の建築用防水シートに釘を打ちつけた状態の断面を模式的に示した図であり、(a)は水をかける前、(b)は水をかけた際の状態を表す。
【図3】図3は、最下面に防滑層を形成した建築用防水シートの断面を示す模式図である。
【符号の説明】
1…建築用防水シート
2…透湿防水フィルム
3…第1布帛
4…第2布帛
5…防滑層
6…膨潤層
7…釘
8…防滑層
Claims (6)
- 防水性及び透湿性を有するポリエチレンフィルムの上面に、防滑層を上面に有する不織布が接着され、該ポリエチレンフィルムの下面に、膨潤層を有する不織布が接着され、該膨潤層はポリエチレンフィルムと下面の不織布との間に位置しており、該膨潤層は高吸水性ポリマーより形成され、透湿防水ポリエチレンフィルムは厚さ40〜100μmよりなり、建築用防水シート全体の止水性が、鉄丸釘を打ち込んだ場合の透水試験(JIS A 5430 5.6)において、24時間放置後、水の裏抜けを生じないことを特徴とする建築用防水シート。
- 前記ポリエチレンフィルムは、1〜30kg/mm 2 のヤング率を有することを特徴とする請求項1記載の建築用防水シート。
- 防滑層を上面に有する前記不織布は、ポリエステル不織布よりなることを特徴とする請求項1記載の建築用防水シート。
- 前記ポリエチレンフィルムは、1〜30kg/mm 2 のヤング率を有することを特徴とする請求項3記載の建築用防水シート。
- 防滑層を上面に有する前記不織布、及び膨潤層を有する前記不織布は、ポリエステル不織布よりなることを特徴とする請求項1記載の建築用防水シート。
- 前記ポリエチレンフィルムは、1〜30kg/mm 2 のヤング率を有することを特徴とする請求項5記載の建築用防水シート。
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