JP6115852B2 - ルーフィング材及びその製造方法 - Google Patents
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しかし、これらのルーフィング材は、目付が約1kg/m2以上と重い。このため、屋根に持ち上げるのが困難であり、また、アスファルトによって手や野地板が汚れ易いという問題があった。
また、冬などの低温時には、折れ曲がった際に亀裂が入り易く、釘やタッカー等で固定する際にも破れて漏水するおそれがあった。
さらに、長期間使用することにより、気候による寒暖の差等によりルーフィング材が伸縮し亀裂が生じたり、ルーフィング材同士の重ね合わせ部分に隙間が生じて漏水したり、アスファルトから油分が抜けて脆くなって亀裂が生じたりするおそれがあった。
表面樹脂層と、
該表面樹脂層の下に設けられたポリオレフィン系合成繊維及び/またはポリエステル系合成繊維からなる第1不織布層と、
該第1不織布層の下に設けられたポリオレフィン系合成樹脂からなる第1樹脂層と、
該第1樹脂層の下に設けられた吸水膨潤層と、
該吸水膨潤層の下に設けられたポリオレフィン系合成繊維及び/またはポリエステル系合成繊維からなる第2不織布層と、
該第2不織布層の下に設けられたポリオレフィン系合成樹脂からなる第2樹脂層と、
を備えるルーフィング材であって、
前記表面樹脂層は、前記表面樹脂層を構成する合成樹脂100重量部に対し、架橋剤0.1〜20重量部、撥水剤0.1〜5重量部、熱膨張発泡剤20〜100重量部が添加されてなり、
前記第1不織布層及び前記第2不織布層を構成する不織布の目付は40〜200g/m2の範囲内であり、
前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層は、無延伸で熱固定された樹脂層または縦方向と横方向の延伸比率が1.0〜1.5の範囲内で2軸延伸し熱固定された樹脂層である。
ここでいう不織布の長さ方向とは、連続的に製造される不織布の製造流れ方向を意味し、不織布の幅方向とは、製造流れ方向に対して直角な方向を意味する。
また、前記表面樹脂層は、接着性または粘着性を有するポリウレタン系樹脂、イソシアネート系架橋剤及びフッ素系撥水剤を含む発泡樹脂層であることが好ましい。
上述した本発明の第1の観点に係るルーフィング材の製造方法であって、
前記第2不織布層を構成する不織布の表面に吸水膨潤樹脂を塗布して前記吸水膨潤層を形成する工程と、
前記不織布の裏面にTダイ押出法によって前記第2樹脂層を形成する工程と、
前記吸水膨潤層の表面にTダイ押出法によって前記第1樹脂層を形成しながら、前記第1樹脂層と前記第1不織布層を構成する不織布とを熱融着させる工程と、
前記第1不織布層の融着面と反対側の面に前記表面樹脂層を形成する工程と、
を備える。
上述した本発明の第1の観点に係るルーフィング材の製造方法であって、
前記第2不織布層を構成する不織布の表面に吸水膨潤樹脂を塗布して前記吸水膨潤層を形成する工程と、
前記不織布の裏面にTダイ押出法によって前記第2樹脂層を形成する工程と、
前記吸水膨潤層の表面にTダイ押出法によって無延伸で熱固定された樹脂層または縦方向と横方向の延伸比率が1.0〜1.5の範囲内で2軸延伸し熱固定された樹脂層を熱融着し前記第1樹脂層を形成する工程と、
前記第1樹脂層の表面に前記第1不織布層を構成する不織布をTダイ押出法によって熱融着する工程と、
前記第1樹脂層の前記第1不織布層の上に前記表面樹脂層を積層する工程と、
を備える。
上述した本発明の第1の観点に係るルーフィング材の製造方法であって、
前記第2不織布層を構成する不織布の表面に吸水膨潤樹脂を塗布して前記吸水膨潤層を形成する工程と、
前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層を製膜する工程と、
前記第2樹脂層と前記第2不織布層の前記吸水膨潤層とは反対側の面とを接着剤で積層する工程と、
前記第2不織布層の前記吸水膨潤層の面と前記第1樹脂層とを接着剤で積層する工程と、
前記第1樹脂層の上に前記第1不織布層を接着剤で積層する工程と、
前記第1不織布層の上に前記表面樹脂層を積層する工程と、
を備える。
また、不織布の目付が40〜200g/m2の範囲内であることから、充分な強度が得られるとともに、ルーフィング材が巻き易く、施工性に優れている。さらに、第1樹脂層及び第2樹脂層が、無延伸または縦方向と横方向の延伸比率が1.0〜1.5で2軸延伸し熱固定された樹脂層であることから、樹脂強伸度の方向バランスがよく、釘打ち部から亀裂や隙間が生じるおそれがなく、熱固定されているため、熱によって亀裂や隙間が生じるおそれがない。
また、本発明のルーフィング材は、比重が0.92〜1.39と軽いポリオレフィン系の素材とポリエステル系の素材を主体に構成されているため、軽量で持ち運びなどの作業性が良い。さらに、ポリオレフィン系やポリエステル系の不織布や樹脂を用いているため、施工後の融着がほとんどなく、リサイクル時等の屋根材料の分別が容易である。
ポリエステル系の合成繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどを用いたポリエステル系熱可塑性エラストマー、非晶質ポリエステルを含有する軟質ポリエステル樹脂等からなる合成繊維を用いることができる。
これらの合成繊維は単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。
また、ポリオレフィン系合成繊維からなる不織布、ポリエステル系合成繊維からなる不織布の製法は特に限定されず、ケミカルボンド、サーマルボンド、ニードルパンチ、ステッチボンド、スパンレース、スパンボンド、メルトブロー、湿式法など、公知の製造法で製造されるあらゆる不織布を使用することができる。
また、第1樹脂層4及び第2樹脂層7の厚みは、それぞれ15〜100μmであることが好ましい。厚みが15μm未満であると、充分な強度や接着強さ、防水性が得られず、破れや積層剥離が発生するおそれがある。一方、厚みが100μmを超えると、ルーフィング材1自体が硬く巻きにくくなり、さらに重くなるため施工性が悪くなるおそれがある。
天然吸水膨潤樹脂としては、デンプン系であるデンプン−アクリロニトリルグラフト重合体加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト重合体等、セルロース系であるセルロース−アクリロニトリルグラフト重合体、カルボキシメチルセルロースの架橋体等、その他の多糖類系であるヒアルロン酸、アガロース等、タンパク質系であるコラーゲン等の樹脂を用いることができる。
また、合成吸水膨潤樹脂としては、ポリビニルアルコール系であるポリビニルアルコール架橋重合体等、アクリル系であるポリアクリル酸塩架橋体、アクリル酸ナトリウム−ビニルアルコール共重合体等、ポリエーテル系であるポリエチレングリコールジアクリレート架橋重合体等、その他の付加重合体では無水マレイン酸系重合体、ビニルピロリドン系重合体等、その他縮合系樹脂等を用いることができる。
吸水膨潤樹脂の不織布への塗布量は、樹脂固形分で5〜30g/m2が好ましく、樹脂固形分で10〜20g/m2であることがより好ましい。5g/m2未満であると釘穴に水が浸入した際に水を吸収しても隙間を充分に充填することができず漏水するおそれがある。一方、30g/m2より多いと水を吸収した吸水膨潤樹脂によりフィルム状の第1樹脂層4と第2不織布層6とが剥離するおそれがある。
吸水膨潤樹脂の付与方法としては、ナイフコーティング法、グラビアロール法、フレキソロール法、スクリーン印刷法等を用いることができる。
無機系粉末としてはシリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリン、タルク、炭酸マグネシウムなどが好ましい。無機系粉末の粒径は、10〜500μmが好ましい。無機系粉末の形状は球形、円形以外の不定形の粉体が好ましく用いられる。無機系粉末の添加量としては、表面樹脂層2の合成樹脂100重量部に対し20〜200重量部が好ましい。無機系粉末の添加量が20重量部未満であると、充分な滑り止め効果が発揮されない。一方、無機系粉末の添加量が200重量部を超えると、表面樹脂層2と第1不織布層3の密着性が損なわれるおそれがある。
熱膨張発泡剤の内部に封入される炭化水素としては、n−ブタン、i−ブタン、ペンタン、ネオペンタンのような低沸点の炭化水素が好ましい。熱膨張発泡剤としては、市販のものとして、例えばマツモトマイクロスフェア(登録商標)F(松本油脂製薬株式会社製)、エクスパンセルWU(日本フィライト株式会社製)等を用いることができる。
熱膨張発泡剤の添加量としては、表面樹脂層2の合成樹脂100重量部に対し20〜100重量部添加することが好ましい。添加量が20重量部未満であると、充分な滑り止め効果が発揮されず、100重量部を超えると、表面樹脂層2と第1不織布層3の密着性が損なわれるおそれがある。
撥水剤の添加方法としては、ナイフコーティング法、グラビアロール法、フレキソロール法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
ルーフィング材1の重量は100〜500g/m2が好ましく、200〜300g/m2がより好ましい。100g/m2未満だと、施工の際に風の影響を受け、ルーフィング材1がめくり上がりやすくなって施工性が損なわれることがあり、500g/m2を超えると運搬性や施工性に影響が出るおそれがある。
ルーフィング材1の引張強度は長さ方向50N/cm以上、幅方向16N/cm以上、引裂強度は長さ方向20N以上、幅方向10N以上であることが好ましい。これらの強度を下回ると、野地板面に施工した際に破れたり、ルーフィング材の上を歩行した際に破れたり、野地板に固定する際に用いる釘打ち部分から引裂けが発生するおそれがある。
接着剤層の厚みは15〜50μmであることが好ましく、25〜35μmであることがより好ましい。接着剤層の厚みが15μm未満では、充分な接着強度が得られずに剥離するおそれがあり、50μmを超えると、軽量感が損なわれるばかりか、施工性が悪くなるおそれがある。
(1)引張強度
JIS A6005に準じて測定した。
(2)引張伸度
JIS A6005の条件で試験したときの破断伸度を測定した。
(3)引裂強度
アスファルトルーフィング工業会規格「改質アスファルトルーフィング材」(制定日:平成17年3月18日 改訂版:平成18年12月22日)に準じて測定した。
(4)剥離強度
ポリオレフィン系合成樹脂からなる第1樹脂層と吸水膨潤層が形成されたポリオレフィン系合成繊維、及び/またはポリエステル系合成繊維からなる第2不織布層との剥離強度をJIS K6404に準じて測定した。
(5)釘穴止水性
アスファルトルーフィング工業会規格「改質アスファルトルーフィング材」に準じ、水量を150mmにし、リング釘で実施した。合板表面の濡れ数で評価した。
(6)熱融着試験
針葉樹合板とコロニアル屋根材の間にルーフィング材を挟み、90℃に設定された恒温層内に7日間入れ、針葉樹合板やコロニアル屋根材に熱融着したかを確認した。そして、熱融着しているものを「有」、熱融着していないものを「無」と評価した。
(7)静摩擦係数試験
静摩擦係数試験機(新東科学株式会社製 トライボギア静摩擦係数測定機TYPE:10)を用いて、ルーフィング材の表面樹脂層側とスチレン・ブタジエン・ラバー合成ゴムシートとの静摩擦係数を測定した。
(8)耐摩擦試験
ルーフィング材の表面樹脂層側をJIS L0849に準じて評価した。乾燥試験で50回の摩擦を実施し、表面状態を確認した。
(9)施工時釘穴拡大試験
合板にステープル釘にてルーフィング材を貼り付けた後、ルーフィング材端部を10Nの力で1分間引張り、釘穴が拡大したかを確認した。そして、釘穴が拡大しているものを「有」、釘穴が拡大していないものを「無」と評価した。
(10)耐久性試験
90℃に設定された恒温層内にルーフィング材を60日間放置後、常温に冷却し、引張強度、引張伸度、2点法釘穴止水性試験を測定した。2点法釘穴止水性試験は、ルーフィング材を18mm間隔のリング釘で合板に打ち付け、水量を50mmにし実施した。合板表面の濡れ数で評価した。
第2不織布層を構成する不織布(Multi Spunbond Jaya(以下、MSJという)社製 ポリエステル不織布 ERHLA100目付100g/m2)の表面に、吸水膨潤倍率が400倍のポリアクリル酸塩架橋体からなる吸水膨潤樹脂(日華化学株式会社製、WP−01)を、グラビアコーターにより固形分が11g/m2付着するように塗布し、吸水膨潤層を形成した。次に、第2不織布層の吸水膨潤層を形成した面と反対側の面に、Tダイ押出法によって、第2樹脂層(東ソー株式会社製 ポリエチレン樹脂 10S57B 無延伸)を厚さ40μmで形成した。
さらに、吸水膨潤層の表面にTダイ押出法によって第1樹脂層(東ソー株式会社製 ポリエチレン樹脂 10S57B 無延伸)を厚さ30μmで形成しながら、第1不織布層(MSJ社製、ポリプロピレン不織布 PRLA060 目付60g/m2)と熱融着し、第1不織布層の融着面と反対側の面に、ポリウレタン樹脂(大日精化工業株式会社製 レザミンME−8105LP)100重量部に対し、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業製 ミリオネートMT)を15重量部、フッ素系撥水剤(明成化学工業株式会社製 アサヒガードAG−5850)を2重量部、アクリル樹脂からなる熱発泡剤(松本油脂製薬株式会社製 マイクロスフェアーF−20)を37重量部添加した樹脂をグラビアコーターにより固形分が10g/m2付着するように塗布し、表面樹脂層を形成して、厚さ0.52mm、重量236g/m2のルーフィング材を得た。評価結果を表1に示す。
第1不織布層(MSJ社製、ポリプロピレン不織布 PRLA060 目付60g/m2)の表面に形成する表面樹脂層を構成する合成樹脂を、ポリウレタン樹脂からオレフィン樹脂(東亜合成株式会社製 アロンメルト−PPET−1600)に変えた以外は、実施例1と同様に加工し、厚さ0.52mm、重量236g/m2のルーフィング材を得た。評価結果を表1に示す。
第1不織布層(MSJ社製、ポリプロピレン不織布 PRLA060 目付60g/m2)の表面の表面樹脂層を、架橋剤を添加しないで形成した以外は、実施例1と同様に加工し、厚さ0.52mm、重量236g/m2のルーフィング材を得た。評価結果を表1に示す。
第1不織布層(MSJ社製、ポリプロピレン不織布 PRLA060 目付60g/m2)の表面の表面樹脂層を、撥水剤を添加しないで形成した以外は、実施例1と同様に加工し、厚さ0.52mm、重量236g/m2のルーフィング材を得た。評価結果を表1に示す。
第1不織布層(MSJ社製、ポリプロピレン不織布 PRLA060 目付60g/m2)の表面の表面樹脂層を、発泡剤を添加しないで形成した以外は、実施例1と同様に加工し、厚さ0.52mm、重量236g/m2のルーフィング材を得た。評価結果を表1に示す。
第2不織布層(MSJ社製、ポリプロピレン不織布 PRLA075 目付75g/m2)の吸水膨潤層を形成した反対面にTダイ押出法によって第2樹脂層(サンアロマー社製 ポリプロピレン樹脂 PHA03A 無延伸)を厚さ10μmで形成し、更に吸水膨潤層の表面にTダイ押出法によって第1樹脂層(サンアロマー社製 ポリプロピレン樹脂 PHA03A 無延伸)を厚さ10μmで形成した以外は、実施例1と同様に加工し、厚さ0.41mm、重量182g/m2のルーフィング材を得た。評価結果を表1に示す。
吸水樹脂層の表面に、第1樹脂層を厚さ25μmのポリエチレンフィルム(酒井化学工業株式会社製、ポリエチレンインフレーションフィルム、LLDPE050)をTダイ押出法によって厚さ25μm(東ソー株式会社製 ポリエチレン樹脂 10S57B 無延伸)で熱融着させた以外は、実施例1と同様に加工し、厚さ0.58mm、重量303g/m2のルーフィング材を得た。評価結果を表1に示す。
吸水樹脂層の表面に、第1樹脂層を厚さ25μmのポリエチレンフィルム(酒井化学工業株式会社製、ポリエチレンインフレーションフィルム、LLDPE050)をTダイ押出法によって厚さ25μm(東ソー株式会社製 ポリエチレン樹脂 10S57B 無延伸)で熱融着させ、第1不織布層をポリプロピレン不織布からポリエステル不織布(MSJ社製、ポリエステル不織布 ERHLA050 目付50g/m2)に変えた以外は、実施例1と同様に加工し、厚さ0.50mm、重量291g/m2のルーフィング材を得た。評価結果を表1に示す。
第2不織布層(MSJ社製、ポリエステル不織布 ERHNW030 目付30g/m2)の表面に吸水膨潤層を形成し、第1不織布層(MSJ社製、ポリプロピレン不織布 PRLA030 目付30g/m2)の表面に表面樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様に加工し、厚さ0.26mm、重量136g/m2のルーフィング材を得た。評価結果を表1に示す。
第2不織布層(MSJ社製、ポリエステル不織布 ERHLA100 目付100g/m2)の表面に吸水膨潤層を形成しなかった以外は、実施例1と同様に加工し、厚さ0.50mm、重量226g/m2のルーフィング材を得た。評価結果を表1に示す。
JIS A6005に規定されるアスファルトルーフィング940(田嶋応用化工株式会社製 Pカラー)の評価結果を表1に示す。
第1不織布層(MSJ社製、ポリプロピレン不織布 PRLA060 目付60g/m2)の表面の表面樹脂層を形成しなかった以外は、実施例1と同様に加工し、厚さ0.50mm、重量226g/m2のルーフィング材を得た。評価結果を表1に示す。
吸水膨潤層の表面に第1樹脂層を厚さ40μmで形成せず、第1不織布層(MSJ社製、ポリプロピレン不織布 PRLA060 目付60g/m2)を接着剤(大日精化工業株式会社製、主剤セイカボンドE−278に架橋剤C−76を5部添加)を用いてドライラミネート法で貼り合せた以外は、実施例1と同様に加工し、厚さ0.49mm、重量201g/m2のルーフィング材を得た。評価結果を表1に示す。
第2不織布層の吸水膨潤層を形成した反対面にTダイ押出法によって第2樹脂層を形成しなかった以外は、実施例1と同様に加工し、厚さ0.48mm、重量204g/m2のルーフィング材を得た。評価結果を表1に示す。
吸水膨潤層の表面に第1樹脂層を厚さ35μmのポリエチレンフィルム(酒井化学工業株式会社製、ポリエチレン1軸延伸フィルム、SG)を接着剤(大日精化工業株式会社製、主剤セイカボンドE−278に架橋剤C−76を5部添加)を用いてドライラミネート法で貼り合せた以外は、実施例1と同様に加工し、厚さ0.52mm、重量226g/m2のルーフィング材を得た。評価結果を表1に示す。
また、吸水膨潤層のない比較例2のルーフィング材は、釘穴止水性試験における漏数が7と多く、耐久試験後の2点法釘穴止水性試験においても漏数が6と多く、釘穴止水性及びその耐久性が著しく劣っている。このように、ルーフィング材の釘穴止水性を確保するためには、吸水膨潤層が必須であることが分かる。
また、表面樹脂層がない比較例4のルーフィング材は、静摩擦係数が0.20と小さく、防滑性に劣っている。摩擦試験においても、著しい毛羽立ちがみられる。そして、釘穴止水性試験でも漏数が4と多く、釘穴止水性が劣っている。このように、表面樹脂層が存在しないと、ルーフィング材の表面特性及び釘穴止水性が不充分となる。
また、第1樹脂層としてポリエチレン1軸延伸フィルムを用いた比較例7のルーフィング材は、施工時釘穴拡大試験で拡大がみられる。さらに、初期物性としての釘穴止水性試験における漏数は1であるが、耐久試験後の2点法釘穴止水性試験においては漏数が5と多く、釘穴止水性の耐久性が劣っている。このように、第1樹脂層として1軸延伸フィルムを用いると、樹脂強伸度の方向バランスが悪くなり、長期間の使用後に釘打ち部から亀裂や隙間が生じるものと考えられる。
また、表面樹脂層に架橋剤を添加しないで形成した実施例3に係るルーフィング材は、熱融着試験で融着がみられ、摩擦試験においても著しい毛羽立ちがみられる。このように、表面樹脂層を構成する合成樹脂には、架橋剤を添加することがより好ましい。
2 表面樹脂層
3 第1不織布層
4 第1樹脂層
5 吸水膨潤層
6 第2不織布層
7 第2樹脂層
Claims (7)
- 表面樹脂層と、
該表面樹脂層の下に設けられたポリオレフィン系合成繊維及び/またはポリエステル系合成繊維からなる第1不織布層と、
該第1不織布層の下に設けられたポリオレフィン系合成樹脂からなる第1樹脂層と、
該第1樹脂層の下に設けられた吸水膨潤層と、
該吸水膨潤層の下に設けられたポリオレフィン系合成繊維及び/またはポリエステル系合成繊維からなる第2不織布層と、
該第2不織布層の下に設けられたポリオレフィン系合成樹脂からなる第2樹脂層と、
を備えるルーフィング材であって、
前記表面樹脂層は、前記表面樹脂層を構成する合成樹脂100重量部に対し、架橋剤0.1〜20重量部、撥水剤0.1〜5重量部、熱膨張発泡剤20〜100重量部が添加されてなり、
前記第1不織布層及び前記第2不織布層を構成する不織布の目付は40〜200g/m2の範囲内であり、
前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層は、無延伸で熱固定された樹脂層または縦方向と横方向の延伸比率が1.0〜1.5の範囲内で2軸延伸し熱固定された樹脂層であるルーフィング材。 - 前記第1不織布層及び前記第2不織布層を構成する不織布の引張強度は長さ方向25N/cm以上、幅方向8N/cm以上であり、引裂強度は長さ方向10N以上、幅方向5N以上である請求項1に記載のルーフィング材。
- 前記表面樹脂層は、接着性または粘着性を有する合成樹脂、架橋剤及び撥水剤を含む発泡樹脂層である請求項1または2に記載のルーフィング材。
- 前記表面樹脂層は、接着性または粘着性を有するポリウレタン系樹脂、イソシアネート系架橋剤及びフッ素系撥水剤を含む発泡樹脂層である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のルーフィング材。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のルーフィング材の製造方法であって、
前記第2不織布層を構成する不織布の表面に吸水膨潤樹脂を塗布して前記吸水膨潤層を形成する工程と、
前記不織布の裏面にTダイ押出法によって前記第2樹脂層を形成する工程と、
前記吸水膨潤層の表面にTダイ押出法によって前記第1樹脂層を形成しながら、前記第1樹脂層と前記第1不織布層を構成する不織布とを熱融着させる工程と、
前記第1不織布層の融着面と反対側の面に前記表面樹脂層を形成する工程と、
を備えるルーフィング材の製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のルーフィング材の製造方法であって、
前記第2不織布層を構成する不織布の表面に吸水膨潤樹脂を塗布して前記吸水膨潤層を形成する工程と、
前記不織布の裏面にTダイ押出法によって前記第2樹脂層を形成する工程と、
前記吸水膨潤層の表面にTダイ押出法によって無延伸で熱固定された樹脂層または縦方向と横方向の延伸比率が1.0〜1.5の範囲内で2軸延伸し熱固定された樹脂層を熱融着し前記第1樹脂層を形成する工程と、
前記第1樹脂層の表面に前記第1不織布層を構成する不織布をTダイ押出法によって熱融着する工程と、
前記第1樹脂層の前記第1不織布層の上に前記表面樹脂層を積層する工程と、
を備えるルーフィング材の製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のルーフィング材の製造方法であって、
前記第2不織布層を構成する不織布の表面に吸水膨潤樹脂を塗布して前記吸水膨潤層を形成する工程と、
前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層を製膜する工程と、
前記第2樹脂層と前記第2不織布層の前記吸水膨潤層とは反対側の面とを接着剤で積層する工程と、
前記第2不織布層の前記吸水膨潤層の面と前記第1樹脂層とを接着剤で積層する工程と、
前記第1樹脂層の上に前記第1不織布層を接着剤で積層する工程と、
前記第1不織布層の上に前記表面樹脂層を積層する工程と、
を備えるルーフィング材の製造方法。
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