JP7134447B1 - 屋根下地材及び屋根構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】防水性、釘穴止水性及び施工性に優れた屋根下地材及びそれを備えた屋根構造を提供する。【解決手段】野地板21と、該野地板21の上面を覆う防水シート22とを備え、上方に屋根葺材10が取り付けられる屋根下地材20において、密度が0.7以上0.85未満で吸水率が15%以下の中密度繊維板で野地板21を構成し、シート本体22aと該シート本体22aの下面に形成された粘着剤層22bとを有するように防水シート22を構成する。【選択図】図3

Description

本発明は、屋根下地材及び屋根構造に関するものである。
従来、屋根構造の防水性を向上させるために、野地板の上面に防水シートを敷きつめた屋根下地材が用いられている(例えば、下記の特許文献1を参照)。
特許文献1には、構造用合板で構成された野地板の上面に、防水シートを敷きつめた屋根下地材を備えた屋根構造が開示されている。従来の屋根構造では、このように防水シートで野地板の上面を覆うことにより、雨水が野地板に染み込むのを防止していた。
特開平4-293834号公報
しかしながら、屋根下地材は、釘等を用いて施工される。具体的には、野地板は釘で垂木等に留め付けられ、防水シートはステープルや釘で野地板に留め付けられる。また、屋根下地材上に施工される屋根葺材も釘やビスで屋根下地材に留め付けられる。そのため、野地板の上面を防水シートで覆っても、野地板に打ち込まれる釘やビスやステープルによる穴を介して雨水が野地板の内部まで至り、野地板が雨水を吸収して腐朽するおそれがあった。特に、透湿防水シートは、改質アスファルトルーフィングに比べて釘穴止水性に劣る上、軽量で風雨によってめくれ易い。そのため、透湿防水シートを防水シートとして用いる場合、悪天候では施工し難く、また、施工途中に雨水が防水シートの下方に入り込み易く、野地板が腐朽するおそれが高かった。さらに、野地板を構造用合板で構成すると、最表層の単板に吸収された雨水が、導管・仮導管を通って単板の繊維方向(通常長手方向)に移動し、小口や垂木と接触する部分から漏れ出して雨漏りを招くおそれもあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、防水性、釘穴止水性及び施工性に優れた屋根下地材及びそれを備えた屋根構造を提供することにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、密度が0.7以上0.85未満で吸水率が15%以下の中密度繊維板で構成された野地板とシート本体の下面に粘着剤層が形成された防水シートとを屋根下地材として用いることとした。
具体的には、第1の発明は、野地板と、該野地板の上面を覆う防水シートとを備え、上方に屋根葺材が取り付けられる屋根下地材であって、上記野地板は、密度が0.7以上0.85未満で吸水率が15%以下の中密度繊維板で構成され、上記防水シートは、シート本体と、該シート本体の下面に形成された粘着剤層とを有していることを特徴とするものである。
ここで、上記吸水率は、相対湿度65±5%の環境下で恒量に達した試験片の重量(m1)を測定した後、該試験片を20±1℃の水中に置き、24時間浸した後、試験片を取り出して重量(m2)を測定する吸水率試験を行い、該吸水率試験において測定した水浸前後の試験片の重量差から算出したもの(水浸前後の試験片の重量差(m2-m1)を水浸前の重量m1で除したものに100を乗じた値)である。
第1の発明では、密度が0.7以上0.85未満で吸水率が15%以下の中密度繊維板(MDF:Medium Density Fiberboard)を野地板として用いている。このように吸水率が低い中密度繊維板で構成された野地板は、構造用合板からなる従来の野地板に比べて雨水を吸水し難い。また、比較的高密度で空隙が少ない中密度繊維板で構成された野地板では、屋根下地材を施工するために打ち込まれた釘に耐水性を有する接着剤や撥水剤でコーティングされた木材繊維が密着することにより、構造用合板からなる従来の野地板に比べて釘穴止水性が飛躍的に高くなる。
また、第1の発明では、下面に粘着剤層が形成された防水シートで野地板の上面を覆うこととしている。このような防水シートが野地板の上方に設けられた屋根下地材によれば、野地板を施工するために打ち込まれた釘に粘着剤層の粘着剤が密着するため、粘着剤層が形成されない従来の防水シートを用いた屋根下地材に比べて釘穴止水性が飛躍的に高くなる。また、シート本体の下面に粘着剤層が形成された防水シートは、敷きつめるだけで粘着剤層が野地板の上面に密着して野地板に固定される。そのため、第1の発明によれば、シート本体の下面に粘着剤層が形成された防水シートを用いることにより、従来、防水シートを野地板に固定するために行っていたステープル等を打ち込む作業が不要になり、施工性が向上する。さらに、第1の発明によれば、粘着剤層によって防水シートが野地板に密着するため、防水シートの施工時に、風雨によって防水シートがめくれ難くなる。このことによっても施工性が向上する。
以上のように、第1の発明によれば、吸水率が低く比較的高密度の中密度繊維板からなる野地板の上面を、防水性だけでなく釘穴止水性にも優れ、風雨によってめくれ難くステープルによる固定作業が不要な防水シートで覆うことにより、防水性、釘穴止水性及び施工性に優れた屋根下地材を提供することができる。
また、第1の発明は、上記構成に加え、上記シート本体は、透湿防水シートで構成され、上記粘着剤層は、透湿性を有する透湿粘着剤層であり、上記透湿粘着剤層は、上記シート本体の下面において存在しない部分がないように、上記シート本体の下面全体に形成されていることを特徴とする。
ところで、アスファルトルーフィングや改質アスファルトルーフィングのような透湿性のない防水シートを野地板の上面に設けると、屋根葺材が平板状屋根材である場合、屋根葺材と透湿性のない防水シートとの間において水蒸気(湿気)が抜けず、屋根葺材の下面で生じた結露水や屋根葺材の下面側へ侵入した雨水が排出されずに溜まり、屋根葺材が腐朽又は腐食するおそれがある。また、冬季に室内で生じて屋根下地材まで至った湿気が排出されずに溜まり、野地板が腐朽するおそれもある。
第1の発明では、野地板を透湿性に優れた中密度繊維板で構成すると共に、防水シートを構成するシート本体と粘着剤層を、透湿性を有する透湿防水シートと透湿粘着剤層とで構成することとしている。このように透湿性を有する屋根下地材を用いることにより、屋根葺材の下面で生じた結露水や屋根葺材の下面側へ侵入した雨水は、気温上昇時に気化して水蒸気となり、屋根下地材を透過する。また、室内で生じて屋根下地材まで至った湿気は、屋根下地材を透過する。よって、上記構成によれば、特に、屋根葺材として屋根下地材にベタ置きする平板状屋根材を用いた場合に、屋根葺材の下面で結露水が発生したり、雨水が屋根葺材の下面側へ侵入したりしても、結露水や雨水が屋根葺材の下面に溜まることがなく、水蒸気となって屋根下地材を透過し、屋根下地材の下方に設けられた通気路等を介して屋外へ排出されることにより、結露水や雨水によって屋根葺材が腐朽又は腐食するのを抑制することができる。また、上記構成によれば、室内で生じた湿気が屋根下地材まで至っても、屋根下地材を透過し、屋根下地材の上方において屋外と連通する連通路(屋根葺材がベタ置きされる平板状屋根材である場合、例えば、屋根下地材の上方に設けられる通気路、屋根葺材が粘土瓦等の場合、例えば、屋根葺材の隙間)を介して屋外へ排出されることにより、野地板が腐朽するのを抑制することができる。
の発明は、第の発明において、上記防水シートは、透湿抵抗が0.6m・s・Pa/μg以下になるように構成されていることを特徴とする。
ここで、防水シートの透湿抵抗は、JIS A6111に準拠して測定される値である。
の発明では、透湿抵抗が0.6m・s・Pa/μg以下に構成された防水シートを用いている。このように透湿抵抗が極めて低く、透湿性に優れた防水シートを用いることにより、屋根下地材の透湿性能が向上するため、屋根葺材や野地板の劣化を抑制する効果がさらに増大する。
の発明は、第又は第の発明において、上記中密度繊維板は、透湿抵抗が1.2m・s・Pa/μg未満であることを特徴とする。
ここで、中密度繊維板の透湿抵抗は、JIS A1324に規定されたカップ法に準拠して測定される値である。
の発明では、透湿抵抗が1.2m・s・Pa/μg未満に構成された中密度繊維板を野地板として用いている。このように透湿抵抗が極めて低く、透湿性に優れた中密度繊維板を野地板として用いることにより、野地板表裏面での結露の発生及び野地板の腐朽による劣化を抑制する効果がさらに増大する。
の発明は、第乃至第のいずれか1つの発明において、上記透湿粘着剤層は、透湿抵抗が0.4m・s・Pa/μg以下になるように構成されていることを特徴とする。
ここで、透湿抵抗は、JIS A6111法、即ち、JIS L1099のA-1法に規定するカップを使用し、JIS A1324に準拠して測定される値である。ただし、透湿粘着剤層のみを直接的に測定するのは困難であるため、透湿粘着剤のトランスファーテープを作成後に、ナイロン80メッシュへ貼り付けて測定した。
の発明では、粘着剤層を、透湿抵抗が0.4m・s・Pa/μg以下と極めて低く、透湿性に優れた透湿粘着剤層で構成することにより、粘着剤層を設けても防水シートの透湿性の低下を抑制することができる。
第5の発明は、第1乃至第4のいずれか1つの発明において、上記透湿粘着剤層は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対してポリプロピレングリコールが1重量部以上20重量部以下添加されたアクリル系粘着剤組成物を含む層であることを特徴とするものである。
第5の発明によれば、シート本体の下面において粘着剤層が存在しない部分を形成しなくても、優れた透湿性を有する(透湿抵抗0.4m ・s・Pa/μg以下の)粘着剤層をシート本体の下面全体に形成することができる。
第6の発明は、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、上記透湿粘着剤層の厚さは、50μm以上90μm以下であることを特徴とするものである。
第6の発明では、防水シートに厚さが50μm以上90μm以下の透湿粘着剤層を設けることにより、透湿抵抗を増大させることなく釘穴止水性を向上させることができる。
の発明は、屋根葺材と、該屋根葺材が上方に取り付けられる屋根下地材とを備えた建物の屋根構造であって、上記屋根下地材は、第1乃至第のいずれか1つの発明に係る屋根下地材であることを特徴とするものである。
の発明では、屋根葺材と屋根下地材とを備えた屋根構造に、防水性と釘穴止水性に優れた屋根下地材が用いられている。このような屋根下地材を用いることにより、屋根葺材の隙間から雨水が浸入しても、雨水が釘穴を介して野地板内部にまで至らないので、野地板の腐朽や雨漏りを防止することができる。
の発明は、平板状屋根材からなる屋根葺材と、該屋根葺材が上方に取り付けられる屋根下地材とを備えた建物の屋根構造であって、上記屋根下地材は、請求項乃至のいずれか1つに記載の屋根下地材であり、上記屋根下地材の下方又は上記屋根葺材と上記屋根下地材との間には、軒先側から棟木側へ延びる通気路が形成されていることを特徴とするものである。
の発明では、平板状屋根材と屋根下地材とを備えた屋根構造に、防水性と釘穴止水性に優れた屋根下地材が用いられている。このような屋根下地材を用いることにより、平板状屋根材の隙間から雨水が浸入しても、雨水が釘穴を介して野地板内部にまで至らないので、野地板の腐朽や雨漏りを防止することができる。
の発明では、屋根下地材の下方又は上方(平板状屋根材と屋根下地材との間)に軒先側から棟木側へ延びる通気路が形成され、屋根下地材が透湿性を有するように構成されている。このような屋根構造によれば、冬季に室内で生じた湿気及び平板状屋根材の下面で生じた結露による湿気を、通気路を流れる空気と共に屋外へ排出することができる。
具体的には、屋根下地材の下方に通気路が形成されている場合、室内で生じた湿気は、上昇して通気路に至り、通気路を流れる空気と共に屋外へ排出される。一方、平板状屋根材の下面で生じた結露による湿気は、透湿性を有する屋根下地材(防水シート及び野地板)を透過して屋根下地材下方の通気路に至り、通気路を流れる空気と共に屋外へ排出される。
また、平板状屋根材と屋根下地材との間に通気路が形成されている場合、平板状屋根材の下面で生じた結露による湿気は、平板状屋根材の直下に形成された通気路を流れる空気と共に屋外へ排出される。一方、室内で生じた湿気は、上昇して透湿性を有する屋根下地材(防水シート及び野地板)を透過して屋根下地材の上方の通気路に至り、通気路を流れる空気と共に屋外へ排出される。
以上のように、第の発明によれば、室内で生じた湿気も平板状屋根材の下面で生じた結露による湿気も通気路を介して屋外へ排出することができる。そのため、室内の湿気により、屋根下地材の下面において結露が生じて屋根下地材が腐朽により劣化するおそれがなく、平板状屋根材の下面で生じた結露による湿気によって平板状屋根材が腐朽又は腐食するおそれもない。つまり、第の発明によれば、平板状屋根材及び屋根下地材の腐朽又は腐食による劣化を抑制することができる。
以上説明したように、本発明によると、密度が0.7以上0.85未満で吸水率が15%以下の中密度繊維板で構成された野地板とシート本体の下面に粘着剤層が形成された防水シートとを屋根下地材として用いることにより、防水性及び釘穴止水性に優れた屋根下地材及びそれを備えた屋根構造を提供することができる。
図1は、実施形態1に係る建物の屋根構造の一部分の外観を示す斜視図である。 図2は、図1の屋根構造の一部分を妻側に平行な面で切断した断面図である。 図3は、図2の部分拡大図である。 図4は、図1の屋根構造の一部分を平側に平行な面で切断した断面図である。 図5は、釘穴止水性試験の様子を示す模式図である。 図6は、釘穴止水性試験の試験結果を示す表である。 図7は、実施形態2の屋根構造の一部分を妻側に平行な面で切断した断面図である。 図8は、実施形態2の屋根構造の一部分を平側に平行な面で切断した断面図である。 図9は、実施形態3の屋根構造の一部分を妻側に平行な面で切断した断面図である。 図10は、その他の実施形態で説明する釘穴止水性試験の試験結果を示す表である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態は、本質的に好ましい例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
図1及び図2に示すように、屋根構造1は、屋根下地材20の上に、複数の屋根葺材10,…,10を、順に配置して葺いたものである。本実施形態1では、複数の屋根葺材10,…,10は、平板状屋根材によって構成され、棟木5側から軒先6側に向かって縦方向に延びるように配置されてそれぞれはぜ継ぎされた、所謂、立平葺きで施工されている。
-屋根構造の構成-
図2~図4に示すように、屋根構造1は、屋根葺材10と、屋根下地材20と、断熱材30とを備えている。屋根葺材10と屋根下地材20は、建物の小屋組において間隔を空けて配された複数の垂木2,…,2の上方に施工されている。複数の垂木2,…,2の下端面には、石膏ボード3が取り付けられている。なお、図2中、符号7は鼻隠し、符号8は水切り、符号9aは棟包み、符号9bは棟換気部材である。
屋根構造1では、断熱材30は、ロックウールによって構成され、複数の垂木2,…,2の各間に設けられている。断熱材30は、高さが、複数の垂木2,…,2の成よりも低くなるように形成されている。そのため、屋根下地材20の下方には、垂木2に沿って軒先6側から棟木5側へ延びる通気路40が形成されている。
以上のような構成により、本実施形態1では、屋根構造1は、天井側ではなく屋根側に断熱材30が設けられる、所謂、屋根断熱タイプの屋根構造に構成されている。
〈屋根葺材の詳細な構成〉
図2~図4に示すように、本実施形態1では、屋根葺材10(平板状屋根材)として、折り曲げ形成された矩形状の金属板で構成された金属屋根材を用いている。具体的には、本実施形態1では、屋根葺材10は、ガルバリウム鋼板(登録商標)で構成されている。屋根葺材10は、屋根下地材20に向かって打ち込まれた釘4で、屋根下地材20の上面に取り付けられている。なお、屋根葺材10は、ガルバリウム鋼板(登録商標)に限られず、銅板、亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム板、ステンレス板等で構成されていてもよい。
屋根葺材10は、本体部11と、第1係合部(はぜ)12と、第2係合部(はぜ)13と、支持脚部14と、固定部15とを備えている。
本体部11は、屋根葺材10を構成する矩形状の金属板の幅方向の両端部を除く部分であり、屋根葺材10の長手方向に延び、屋根下地材20に取り付けられた際に、該屋根下地材20の上方を覆う概ね平板状の部分である。本体部11は、幅方向の両端部に、端から中程に向かう程、低くなる段差部11aが形成されている。これにより、本体部11は、幅方向の中程部分が両端部に比べて下方へ浅く窪んだ形状となる。本体部11は、幅方向の両端部に段差部11aが形成されることにより、長手方向の撓みが抑制される。
第1係合部12は、屋根葺材10を構成する金属板の幅方向の一部分によって構成され、屋根葺材10の長手方向に延びるものである。第1係合部12は、本体部11の幅方向の一方側(図4では右側)において上方に突出して隣り合う屋根葺材10の第2係合部13と係合する形状に形成されている。
具体的には、本実施形態1では、第1係合部12は、本体部11の幅方向の一端から上方に向かって延びる矩形平板状の第1直線部12aと、第1直線部12aの上端から屋根葺材10の幅方向の内側に向かって延びた後、幅方向の外側へ斜め上方に向かって折れ曲がり、斜め上方に延びる突出部12bと、突出部12bの上端から下方に向かって第1直線部12aに平行に延びる矩形平板状の第2直線部12cとを有している。第1係合部12は、第1直線部12aと突出部12bと第2直線部12cとにより、幅方向の内側に向かって突出する片ひげ矢印形状に形成されている。
第2係合部13は、屋根葺材10を構成する金属板の幅方向の一部分によって構成され、屋根葺材10の長手方向に延びるものである。第2係合部13は、本体部11の幅方向の他方側(図4では左側)において上方に突出して隣り合う屋根葺材10の第1係合部12に覆い被さることにより、隣り合う屋根葺材10の第1係合部12と係合(はぜ継ぎ)する形状に形成されている。
具体的には、本実施形態1では、第2係合部13は、本体部11の幅方向の他端から上方に向かって延びる矩形平板状の直線部13aと、直線部13aの上端から幅方向の外側へ斜め下方に向かって延びた後、屋根葺材10の幅方向の内側に向かって折れ曲がり、直線部13aに略垂直に延びる突出部13bと、突出部13bの一端から幅方向の外側へ斜め下方に向かって折れ曲がり、斜め下方に延びる終端部13cとを有している。第2係合部13は、直線部13aと突出部13bと終端部13cとにより、幅方向の外側に向かって突出する片ひげ矢印形状に形成されている。第2係合部13は、第1係合部12に覆い被さるように、第1係合部12よりも一回り大きい片ひげ矢印形状に形成されている。
支持脚部14は、屋根葺材10を構成する金属板の幅方向の一部分によって構成され、屋根葺材10の長手方向に延びるものである。支持脚部14は、第1係合部12の第2直線部12cの下端(第1直線部12aの下端と同じ高さ位置)から下方に延び、第1係合部12を支持する部分である。支持脚部14は、第1係合部12の第2直線部12cと長さ(図4の紙面直交方向の長さ)が等しい矩形平板状に形成されている。
固定部15は、屋根葺材10を構成する金属板の幅方向の一部分によって構成され、屋根葺材10の長手方向に延びるものである。固定部15は、支持脚部14の下端から幅方向の外側に延び、屋根下地材20に当接する平板状の部分を有し、屋根下地材20に固定されている。固定部15は、支持脚部14と長さ(図4の紙面直交方向の長さ)が等しい矩形平板状に形成されている。固定部15は、前述したように、屋根下地材20に向かって打ち込まれた釘4で屋根下地材20に固定されている。
このような構成により、屋根葺材10は、固定部15を釘4で屋根下地材20に固定し、第1係合部12に隣接する屋根葺材10の第2係合部13を覆い被せて係合させると共に、第2係合部13を隣接する屋根葺材10の第1係合部12に覆い被さるように係合させるだけで、屋根下地材20上に施工される。
〈屋根下地材の詳細な構成〉
図2~図4に示すように、屋根下地材20は、野地板21と、防水シート22とを備えている。なお、本実施形態1では、野地板21と防水シート22とは、いずれも透湿性と防水性とを兼ね備えている。そのため、本実施形態1では、屋根葺材10と屋根下地材20との間に屋外と連通する連通路が設けられていない。つまり、屋根葺材10と屋根下地材20とは大部分が当接し、屋根葺材10と屋根下地材20との間に空間が形成されていても屋外と連通していない。
[野地板]
野地板21は、密度(g/cm)が0.7以上0.85未満の構造用の中密度繊維板(MDF:Medium Density Fiberboard)で構成されている。本実施形態では、密度0.79g/cmの厚さ9.2mm厚の中密度繊維板を、野地板21として用いている。
野地板21を構成する中密度繊維板は、耐水性に優れた接着剤を含んでいる。本実施形態1では、ユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤を含む中密度繊維板によって野地板21が構成されている。なお、中密度繊維板に用いる接着剤は、ユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤に限られず、ユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤、ジフェニルメタンジイソシアネート及びフェノール樹脂の少なくとも一種を含むものであればよい。
(吸水率)
野地板21は、吸水率が15%以下となるように構成されている。なお、野地板21は、吸水率が13.6%以下となるように構成されるのが好ましく、さらに、吸水率が13.2%以下となるように構成されるのがより好ましい。
ここで、上記吸水率は、相対湿度65±5%の環境下で恒量に達した試験片の重量(m1)を測定した後、該試験片を20±1℃の水中に置き、24時間浸した後、試験片を取り出して重量(m2)を測定する吸水率試験を行い、該吸水率試験において測定した水浸前後の試験片の重量差から算出したもの(水浸前後の試験片の重量差(m2-m1)を水浸前の重量m1で除したものに100を乗じた値)を用いる。
上述のように耐水性に優れる接着剤を含む中密度繊維板は、木材繊維が接着剤でコーティングされることにより、木材繊維間に水が浸入し難くなり、吸水率が低くなる。よって、野地板21を構成する中密度繊維板の成形に耐水性に優れる接着剤を用い、その配合比率を調整することにより、野地板21の吸水率を所望の吸水率、本実施形態では、15%以下(好ましくは13.6%以下、より好ましくは13.2%以下)にすることができる。
なお、従来野地板として用いていた厚さ12mmの構造用合板A(スギ)と構造用合板B(表層カラマツ、芯層スギ)について、上記吸水率試験を行い、吸水率を算出したところ、その吸水率は、82%と61%であった。このことから、本実施形態1の野地板21の吸水率が従来の野地板と比較して著しく低いことが判る。
(透湿性能)
野地板21は、JIS A1324に規定されたカップ法に準拠して測定される透湿抵抗が、1.2m・s・Pa/μg未満となるように構成されている。具体的には、本実施形態1では、野地板21の透湿抵抗が、1.2m・s・Pa/μg未満となるように、野地板21を構成する中密度繊維板のエレメントサイズ(木質繊維の大きさ、径、長さ)を調節している。
上述のように耐水性に優れる接着剤を含む中密度繊維板は、吸水率が低くなる。しかしながら、本実施形態1では、野地板21を構成する中密度繊維板のエレメントサイズ(木質繊維の大きさ、径、長さ)を調節することにより、吸水率が15%以下でも透湿抵抗が1.2m・s・Pa/μg未満と低く抑えられた野地板21を構成することができる。
なお、従来野地板として用いていた上記構造用合板Aと構造用合板Bについて、JIS A1324に規定されたカップ法に準拠して測定した透湿抵抗は、11m・s・Pa/μgと13m・s・Pa/μgであった。このことから、本実施形態1の野地板21の透湿抵抗が従来の野地板と比較して著しく低い、つまり、透湿性能が著しく高いことが判る。
[防水シート]
図3に拡大して示すように、防水シート22は、シート本体22aと、該シート本体22aの下面に形成された粘着剤層(透湿粘着剤層)22bとを有している。防水シート22は、JIS A6111に準拠して測定した透湿抵抗が0.6m・s・Pa/μg以下に構成されている。
本実施形態1では、シート本体22aは、JIS A6111に準拠して測定される透湿抵抗が0.4m・s・Pa/μg以下となる透湿性を有する透湿防水シートで構成されている。より具体的には、本実施形態1では、シート本体22aは、多数の微細孔(直径0.5μm程度)が設けられた樹脂フィルムで構成され、透湿抵抗が0.4m・s・Pa/μg以下に構成されている。なお、シート本体22aとして用いる透湿防水シートは、JIS A6111に準拠したものであればいかなるものを用いてもよく、不織布で構成してもよい。また、これらを積層したものとしてもよい。
粘着剤層22bは、JIS A6111に準拠して測定される透湿抵抗が0.4m・s・Pa/μg以下となるような透湿性を有する透湿粘着剤層に構成されている。具体的には、本実施形態1では、粘着剤層(透湿粘着剤層)22bは、(メタ)アクリル系ポリマー5~60重量%に親水性化合物であるポリプロピレングリコールを添加し、溶媒によって全体が100重量%に調整されたアクリル系粘着剤組成物と架橋剤としてイソシアネート組成物0.5~5.0重量%を混合した溶液をシート本体22aの下面に塗布又は転写することによって形成されている。ここで用いる(メタ)アクリル系ポリマーとしては、例えば、2エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート等が挙げられる。なお、アクリル系粘着剤組成物中、ポリプロピレングリコールは、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して1~20重量部の割合で添加されている。添加量が1重量部より少ないと粘着剤層22bに所望の透湿抵抗(0.4m・s・Pa/μg以下)を与えることができず、添加量が20重量部より多いと正常な粘着剤層22bの形成が困難であるため、添加量は上記の範囲が好ましい。
以上のように、本実施形態1では、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対してポリプロピレングリコールが1~20重量部添加されたアクリル系粘着剤組成物とイソシアネート組成物0.5~5.0重量%を混合して塗布することにより、透湿抵抗0.4m・s・Pa/μg以下の透湿粘着剤層が形成される。
なお、本実施形態1では、通常用いられる方法で発泡させる、又は気泡を発生させることで、透湿抵抗が0.3m・s・Pa/μg以下の粘着剤層(透湿粘着剤層)22bを形成することができ、好ましい。
また、粘着剤層22bは、10~150μmの厚さを有することが好ましく、50~90μmの厚さを有することがより好ましい。10μmより薄い場合、釘穴止水性に欠けるおそれがあり、150μmより厚い場合、透湿抵抗が増大するため好ましくない。
-屋根構造の施工方法-
屋根構造1は、以下のようにして施工される。
まず、建物の小屋組において間隔を空けて配された複数の垂木2,…,2の間に断熱材30(袋入りロックウール)を充填し、各垂木2の下端面(内面)にステープルで固定した後、複数の垂木2,…,2の下端面(内面)に石膏ボード3を押しつけ、ビス等で石膏ボード3を複数の垂木2,…,2に打ち付ける。
次に、建物の小屋組において間隔を空けて配された複数の垂木2,…,2の上方に屋根下地材20を施工する。具体的には、複数の垂木2,…,2上に野地板21を敷きつめ、釘やビス等で野地板21を複数の垂木2,…,2に固定する。その後、野地板21上に、粘着剤層22bを下方にした状態で防水シート22を敷きつめる。このとき、野地板21の上において複数の防水シート22を、屋根勾配の下側から上側へ順に辺縁を重ね合わせながら敷きつめる。
なお、本実施形態1では、粘着剤層22bが形成された防水シート22を用いている。そのため、防水シート22を野地板21上に敷きつめるだけで、粘着剤層22bが野地板21の上面に粘着し、防水シート22が野地板21に固定される。そのため、従来、防水シート22を野地板21に固定するために行っていたステープル等を打ち込む作業が不要となる。また、粘着剤層22bが形成された防水シート22は、粘着剤層22bによって野地板21に密着する。そのため、このような防水シート22を用いることにより、防水シート22の施工時に、風雨によって防水シート22がめくれ上がり難くなる。
また、本実施形態1では、垂木2の成よりも薄い断熱材30を用いている。そのため、断熱材30及び屋根下地材20を施工することにより、断熱材30と屋根下地材20との間に、自動的に軒先6側から棟木5側に向かって延びる通気路40が形成される。
以上のようにして屋根下地材20を施工した後、屋根葺材10を葺く。具体的には、複数の屋根葺材10,…,10を、棟木5の延伸方向の一端(けらば)から他端(けらば)まで順に葺いていく。具体的には、屋根葺材10を、長手方向が棟木5側から軒先6側へ延びるように、屋根下地材20上の所定の位置に配置し、平板状の固定部15を、屋根下地材20に向かって打ち込まれた釘4で固定する。次の屋根下地材20は、第2係合部13が、先に屋根下地材20に取り付けられた屋根葺材10の第1係合部12に覆い被さる位置に配置され、第2係合部13を、先に屋根下地材20に取り付けられた屋根葺材10の第1係合部12に押しつけることによって該第1係合部12を内部に嵌める(はぜ継ぎする)。このとき、互いに係合する第1係合部12と第2係合部13との間に、防水材を挟み込むことが好ましい。このようにして、複数の屋根葺材10,…,10を、棟木5の延伸方向の一端側から他端側に順に葺いていく。
以上のようにして複数の屋根葺材10,…,10を施工した後、複数の屋根葺材10,…,10の軒先6側に水切り8を設ける一方、複数の屋根葺材10,…,10の棟木5側に棟包み9aと棟換気部材9bとを設ける。
以上のようにして、屋根構造1が施工される。
-屋根構造の特性-
〈屋根下地材の釘穴止水性〉
上述のように、従来の屋根下地材では、野地板(構造用合板)の吸水率が高いため、防水シートを貫く釘穴を通って野地板に至った雨水が野地板の表面から内部に浸透し易かった。また、従来の屋根下地材では、防水シート及び野地板共に釘穴止水性が低く、釘穴を介して雨水が野地板の内部まで至り、野地板に吸収されていた。さらに、構造用合板からなる従来の野地板は、保水性が高く乾燥し難い。つまり、従来の屋根下地材では、野地板の吸水性、透水性が高いことに加え、保水性が高いため、野地板の腐朽による劣化を招き易かった。
これに対し、本実施形態1の屋根下地材20では、密度が0.7以上0.85未満で吸水率が15%以下の中密度繊維板を野地板21として用いている。このように吸水率が低い中密度繊維板で構成された野地板21は、構造用合板からなる従来の野地板に比べて雨水を吸水し難い。また、比較的高密度で空隙が少ない中密度繊維板で構成された野地板21では、屋根下地材20を施工するために打ち込まれた釘4に耐水性を有する接着剤や撥水剤でコーティングされた木材繊維が密着することにより、構造用合板からなる従来の野地板に比べて釘穴止水性が飛躍的に高くなる。
また、本実施形態1の屋根下地材20では、野地板21の上面を、粘着剤層22bが形成された防水シート22で覆っている。このような防水シート22では、屋根下地材20を施工するために打ち込まれた釘4に粘着剤が密着すると共に、防水シート22と野地板21とが粘着剤層22bによって密着することにより、粘着剤層22bのない従来の防水シートに比べて釘穴止水性が飛躍的に高くなる。
以上のように、本実施形態1の屋根下地材20は、吸水率が低く比較的高密度の中密度繊維板からなる野地板21の上面を、防水性だけでなく釘穴止水性にも優れ、風雨によってめくれ難くステープルによる固定作業が不要な防水シート22で覆うこととしたため、従来の屋根下地材に比べて釘穴止水性が飛躍的に向上する。
この点を実証すべく、以下の釘穴止水性試験を行った。
(1)試験体
以下のように、2種の基材(中密度繊維板(MDF)/針葉樹合板)と4種の防水シートA1,A2,B1,B2を用いて、8種類の試験体X1~X8を9枚ずつ用意した。試験体X1~X8は、いずれも平面寸法70mm×70mm、厚さ9.3~12mmの矩形平板状に形成されている。
X1:中密度繊維板(MDF)からなる基材の上面に防水シートA1を載せたもの
X2:針葉樹合板からなる基材の上面に防水シートA1を載せたもの
X3:中密度繊維板(MDF)からなる基材の上面に防水シートA2を載せたもの
X4:針葉樹合板からなる基材の上面に防水シートA2を載せたもの
X5:中密度繊維板(MDF)からなる基材の上面に防水シートB1を載せたもの
X6:針葉樹合板からなる基材の上面に防水シートB1を載せたもの
X7:中密度繊維板(MDF)からなる基材の上面に防水シートB2を載せたもの
X8:針葉樹合板からなる基材の上面に防水シートB2を載せたもの
なお、試験体X1,X3,X5,X7は、野地板21を構成する中密度繊維板と同様に、吸水率が15%以下で透湿抵抗が1.2m・s・Pa/μg未満となるように構成されている。また、防水シートA1,A2は、同種の透湿防水シートAを用いるものであり、防水シートA1は、透湿防水シートAからなるシート本体22aの下面に粘着剤層22bが形成されたもの、防水シートA2は、透湿防水シートAからなるシート本体22aのみで形成されたものである。同様に、防水シートB1,B2は、同種の透湿防水シートBを用いるものであり、防水シートB1は、透湿防水シートBからなるシート本体22aの下面に粘着剤層22bが形成されたもの、防水シートB2は、透湿防水シートBからなるシート本体22aのみで形成されたものである。
(2)試験方法
まず、図5に示すように、試験用器具を組み立てる。具体的には、各試験体X1~X8(以下、各試験体Xと言う)の中心に固定具51(ステープル/N50釘/ネジ)を上方から打ち込む。各9枚の試験体X1~X8の各3枚ずつ(N1~N3)にステーブル、N50釘、ネジをそれぞれ打ち込む。このようにして固定具51が打ち込まれた各試験体Xに対し、固定具51がほぼ中央になるように試験体Xの上面にアクリル樹脂からなる円筒52(内径45mm、高さ50mm)を立てて置き、円筒52と試験体Xの上面との隙間をコーキング剤53で埋めた後、これらをビーカー54の上に載せる。
試験用器具の組み立て後、水(常温)を、円筒52内に静かに注ぐ。水は、円筒52に付された標線から30±1mmの高さまで注ぐ。そして、これらを気温20±2℃、相対湿度65±20%の環境下で24時間静置し、標線(水位5mm)からの水位を1mm単位で測定し、試験前後における標線からの水位の差を求め、固定具51を打ち込むことによって各試験体Xに形成された穴(釘穴)からの水の漏れを確認した。
(3)試験結果
図6の表は、上記釘穴止水性試験の結果である。図6の表に示す数値は、各円筒52における試験前後における標線からの水位の差(mm)、即ち水の流出量を示している。なお、「1」は、水の蒸発分であり、釘穴からの漏水ではない。つまり、「1」は、釘穴からの漏れがないことを示す。また、「全流出」は、試験終了後(24時間後)の水位が5mm以下(標線を下回った状態)を示している。
図6の表から判るように、8種類の試験体X1~X8のうち、基材が中密度繊維板(MDF)で粘着加工が施された(粘着剤層22bを有する)防水シートA1,B1を用いた試験体X1,X5は、固定具51の種類に拘わらず、全て水位低下が1mmであり、釘穴からの漏れがなかった。
一方、基材が針葉樹合板である試験体X2,X4,X6,X8は、9枚の試験体Xのうち、1mmを超えて水位低下するものがそれぞれ2つ又は3つと多く、多くの試験体Xにおいて釘穴からの水の漏れが生じていることが判る。中でも、粘着加工が施されていない(粘着剤層22bが形成されない)防水シートA2,B2を用いた試験体X4,X8は、結果が「全流出」のものがあり(試験体X4では4つ、試験体X8では3つ)、試験体Xの釘穴からの水の漏れが大きいことが判る。この結果より、防水シート22として透湿防水シートからなるシート本体22aの下面に粘着剤層22bが形成された防水シートA1,B1を用いると、野地板21が中密度繊維板(MDF)である場合は勿論、野地板21が構造用合板であっても釘穴止水性が向上することが判る。
逆に、粘着加工が施されていない防水シートA2,B2を用いても、基材が中密度繊維板(MDF)である試験体X3,X7は、9枚の試験体Xのうち、1mmを超えて水位低下するものが各2つと少なく、残り7つは水位低下が1mmであり、釘穴からの漏れがないものであった。この結果より、野地板21として吸水率が15%以下で透湿抵抗が1.2m・s・Pa/μg未満の中密度繊維板を用いると、従来の構造用合板を野地板として用いた場合に比べ、釘穴止水性が向上することが判る。
以上により、野地板21として吸水率が15%以下で透湿抵抗が1.2m・s・Pa/μg未満の中密度繊維板(MDF)を用い、防水シート22として透湿防水シートからなるシート本体22aの下面に粘着剤層22bが形成された防水シートA1,B1を用いると、釘穴からの水の漏れを確実に防止できることが判る。
このように、本実施形態1では、釘穴止水性に優れた屋根下地材20を用いることにより、屋根下地材20の腐朽による劣化及び雨漏りを防止することができる。
〈通気路の特性〉
上述のように、本実施形態1では、垂木2の成よりも薄い断熱材30を、複数の垂木2,…,2の各間に設けている。そのため、断熱材30及び屋根下地材20を施工するだけで、各断熱材30と屋根下地材20との間に、軒先6側から棟木5側に向かって延びる通気路40が形成される。
通気路40では、軒先6側の端部が流入口40aとなり、棟木5側の端部(棟包み9aと屋根葺材10との間に設けた棟換気部材9bの端部)が流出口40bとなって、屋外の空気が流入口40aから流出口40bへ流れる。そのため、室内の湿気が断熱材30を通過して屋根下地材20の下面側(野地板21の下面)に至ったとしても、屋根下地材20の下面において結露が生じ難くなる。また、屋根下地材20の下面において結露が生じたとしても、結露水は、通気路40を流れる空気によって気化して水蒸気となり、該空気と共に軒先6側から棟木5側へ流れ、流出口40bから速やかに屋外へ排出されることとなる。そのため、屋根下地材20の腐朽による劣化を防止することができる。
また、本実施形態1の屋根下地材20では、従来の屋根下地材に比べて吸水率が低く(15%以下)且つ透湿抵抗の低い(1.2m・s・Pa/μg未満)野地板21と、下面に粘着剤層22bが形成されていても透湿性に優れた防水シート22とを用いている。そのため、夜間の放射冷却等によって屋根葺材10の下方において結露が生じたとしても、結露水は、日中の気温上昇によって気化して水蒸気となり、屋根下地材20(野地板21及び防水シート22)を通過して通気路40に至る。屋根葺材10と屋根下地材20との間で生じた結露による湿気は、通気路40を流れる空気と共に軒先6側から棟木5側へ流れ、流出口40bから速やかに屋外へ排出されることとなる。そのため、屋根下地材20の腐朽による劣化を防止することができる。
-実施形態1の効果-
本実施形態1では、密度が0.7以上0.85未満で吸水率が15%以下の中密度繊維板(MDF:Medium Density Fiberboard)を野地板21として用いている。このように吸水率が低い中密度繊維板で構成された野地板21は、構造用合板からなる従来の野地板に比べて雨水を吸水し難い。また、比較的高密度で空隙が少ない中密度繊維板で構成された野地板21では、屋根下地材20を施工するために打ち込まれた釘4に耐水性の接着剤や撥水剤でコーティングされた木材繊維が密着することにより、構造用合板からなる従来の野地板に比べて釘穴止水性が飛躍的に高くなる。
また、本実施形態1によれば、下面に粘着剤層22bが形成された防水シート22で野地板21の上面を覆うこととしている。このような防水シート22が野地板21の上方に設けられた屋根下地材20によれば、野地板21を施工するために打ち込まれた釘4に粘着剤層22bの粘着剤が密着するため、粘着剤層が形成されない従来の防水シートを用いた屋根下地材に比べて釘穴止水性が飛躍的に高くなる。また、シート本体22aの下面に粘着剤層22bが形成された防水シート22は、敷きつめるだけで粘着剤層22bが野地板21の上面に密着して野地板21に固定される。そのため、本実施形態1によれば、シート本体22aの下面に粘着剤層22bが形成された防水シート22を用いることにより、従来、防水シートを野地板に固定するために行っていたステープル等を打ち込む作業が不要になり、施工性が向上する。さらに、本実施形態1によれば、粘着剤層22bによって防水シート22が野地板21に密着するため、防水シート22の施工時に、風雨によって防水シート22がめくれ難くなる。このことによっても施工性が向上する。
以上のように、本実施形態1によれば、吸水率が低く比較的高密度の中密度繊維板からなる野地板21の上面を、防水性だけでなく釘穴止水性にも優れ、風雨によってめくれ難くステープルによる固定作業が不要な防水シート22で覆うことにより、防水性、釘穴止水性及び施工性に優れた屋根下地材20を提供することができる。
ところで、アスファルトルーフィングのような透湿性のない防水シートを野地板の上面に設けると、屋根葺材が平板状屋根材である場合、屋根葺材と透湿性のない防水シートとの間において水蒸気(湿気)が抜けず、屋根葺材の下面で生じた結露水や屋根葺材の下面側へ侵入した雨水が排出されずに溜まり、屋根葺材が腐朽又は腐食するおそれがある。
本実施形態1では、野地板21を透湿性に優れた中密度繊維板で構成すると共に、防水シート22を構成するシート本体22aと粘着剤層22bを、透湿性を有する透湿防水シートと透湿粘着剤層とで構成することとしている。このように透湿性を有する屋根下地材20を用いることにより、屋根葺材10の下面で生じた結露水や屋根葺材10の下面側へ侵入した雨水は、気温上昇時に気化して水蒸気となり、屋根下地材20を透過する。よって、上記構成によれば、屋根葺材10の下面で結露水が発生したり、雨水が屋根葺材10の下面側へ侵入したりしても、結露水や雨水が屋根葺材10の下面に溜まることなく、水蒸気となって屋根下地材20を透過し、屋根下地材20の下方に設けられた通気路40を介して屋外へ排出されることにより、結露水や雨水によって屋根葺材10が腐朽又は腐食するのを抑制することができる。
また、本実施形態1では、透湿抵抗が0.6m・s・Pa/μg以下に構成された防水シート22を用いている。このように透湿抵抗が極めて低く、透湿性に優れた防水シート22を用いることにより、屋根下地材20の透湿性能が向上するため、屋根葺材10や野地板21の劣化を抑制する効果がさらに増大する。
また、本実施形態1では、透湿抵抗が1.2m・s・Pa/μg未満に構成された中密度繊維板を野地板21として用いている。このように透湿抵抗が極めて低く、透湿性に優れた中密度繊維板を野地板21として用いることにより、野地板21表裏面での結露の発生及び野地板の腐朽による劣化を抑制する効果がさらに増大する。
また、本実施形態1では、粘着剤層22bを、透湿抵抗が0.4m・s・Pa/μg以下と極めて低く、透湿性に優れた透湿粘着剤層22bで構成することにより、粘着剤層22bを設けても防水シート22の透湿性の低下を抑制することができる。このような粘着剤層22bは、粘着剤層22bそのものが優れた透湿性を有している。そのため、防水シート22に粘着剤層22bが存在しない部分や空気孔がなくてもより優れた透湿性を有した屋根下地材20を形成することができる。これにより、粘着剤層22bを防水シート22の一面全体に塗布することができる。そのようにすることで、防水シート22をより強く野地板21に接着させて防水シート22が剥がれにくい構成にすることができる。さらに、粘着剤層22bが防水シート22の一面全体に存在するので、屋根下地材20のどの部分に釘4を打っても、当該釘4には必ず粘着剤が密着することになる。そのため、粘着剤層22bを有さない部分を有する防水シート22に比べ、本実施形態1の屋根下地材20は、釘4を打つことによる漏水リスクが低く、また任意の部分に釘4を打つことができるため施工性にも優れている。
また、本実施形態1では、屋根葺材10と屋根下地材20とを備えた屋根構造1に、防水性と釘穴止水性に優れた屋根下地材20が用いられている。このような屋根下地材20を用いることにより、屋根葺材10の隙間から雨水が浸入しても、雨水が釘穴を介して野地板21内部にまで至らないので、野地板21の腐朽や雨漏りを防止することができる。
また、本実施形態1では、屋根下地材20の下方に軒先側から棟木側へ延びる通気路40が形成され、屋根下地材20が透湿性を有するように構成されている。このような屋根構造1によれば、冬季に室内で生じた湿気及び平板状屋根材の下面で生じた結露による湿気を、通気路40を流れる空気と共に屋外へ排出することができる。
具体的には、室内で生じた湿気は、上昇して通気路40に至り、通気路40を流れる空気と共に屋外へ排出される。一方、平板状屋根材からなる屋根葺材10の下面で生じた結露による湿気は、透湿性を有する屋根下地材20(野地板21及び防水シート22)を透過して屋根下地材20下方の通気路40に至り、通気路40を流れる空気と共に屋外へ排出される。
以上のように、本実施形態1によれば、室内で生じた湿気も屋根葺材10の下面で生じた結露による湿気も通気路40を介して屋外へ排出することができる。そのため、室内の湿気により、屋根下地材20の下面において結露が生じて屋根下地材20が腐朽により劣化するおそれがなく、屋根葺材10の下面で生じた結露による湿気によって屋根葺材10が腐朽又は腐食するおそれもない。つまり、本実施形態1によれば、屋根葺材10及び屋根下地材20の腐朽又は腐食による劣化を抑制することができる。
《発明の実施形態2》
実施形態2は、実施形態1の屋根構造1において、屋根下地材20の下方に形成していた通気路40を、屋根葺材10と屋根下地材20との間に形成するものである。実施形態2では、屋根下地材20の上方に、垂木2に沿って軒先6側から棟木5側へ延びる通気路40が形成されている。
具体的には、図7及び図8に示すように、屋根葺材10が、本体部11と屋根下地材20との間に軒先6側から棟木5側に向かって延びる通気路40が形成されるような形状に形成されている。実施形態2では、屋根葺材10の支持脚部14を実施形態1よりも長く形成して本体部11を屋根下地材20から浮かすことにより、他の部材を用いることなく、屋根葺材10を葺くだけで屋根葺材10と屋根下地材20との間に通気路40が形成されるようにしている。
その他の構成は、実施形態1と同様である。
〈通気路の特性〉
実施形態2では、上述のように、屋根葺材10を葺くだけで屋根葺材10と屋根下地材20との間に、軒先6側から棟木5側に向かって延びる通気路40が形成される。通気路40では、軒先6側の端部が流入口40aとなり、棟木5側の端部(棟包み9aと屋根葺材10との間に設けた棟換気部材9bの端部)が流出口40bとなって、屋外の空気が流入口40aから流出口40bへ流れる。
実施形態2においても、屋根下地材20は、従来の屋根下地材に比べて吸水率が低く(15%以下)且つ透湿抵抗の低い(1.2m・s・Pa/μg未満)野地板21と、下面に粘着剤層22bが形成されていても透湿性に優れた防水シート22とを用いている。そのため、室内で生じた湿気は、屋根下地材20を透過して通気路40に至り、通気路40を流れる空気と共に軒先6側から棟木5側へ流れ、流出口40bから速やかに屋外へ排出される。よって、屋根葺材10を平板状屋根材で構成しても、屋根葺材10の裏面側(下方)において結露が生じ難くなる。また、屋根葺材10の裏面側において結露が生じたとしても、結露水は、通気路40を流れる空気と共に気化し、軒先6側から棟木5側へ流れ、流出口40bから速やかに屋外へ排出されることとなる。そのため、屋根葺材10の腐食を防止することができる。
また、各屋根葺材10の本体部11と屋根下地材20との間に、上記通気路40が形成されることにより、各屋根葺材10の熱が防水シート22に伝導しなくなる。また、各屋根葺材10と防水シート22の温度上昇を抑制することができる。従って、上記屋根葺材10を用いて上記通気路40を形成することにより、屋根構造1の断熱性能を高めることができる。
以上のように、実施形態2においても、実施形態1と同様に、防水性及び釘穴止水性に優れた屋根下地材20及びそれを備えた屋根構造1を提供することができ、屋根葺材10の腐食、野地板21の腐朽、雨漏り等を防止することができる。
《発明の実施形態3》
実施形態3は、実施形態1の屋根構造1において、屋根葺材10を通気性に優れた瓦で構成し、屋根下地材20の下方に形成していた通気路40を省略したものである。
具体的には、実施形態3では、屋根下地材20の上面には、桁行方向に延びる複数の16,…,16が取り付けられている。屋根葺材10は、瓦桟16に向かって打ち込まれた釘(図示省略)で瓦桟16に取り付けられている。
その他の構成は、実施形態1と同様である。
〈屋根下地材の特性〉
実施形態3においても、屋根下地材20は、従来の屋根下地材に比べて吸水率が低く(15%以下)且つ透湿抵抗の低い(1.2m・s・Pa/μg未満)野地板21と、下面に粘着剤層22bが形成されていても透湿性に優れた防水シート22とを用いている。そのため、冬季に室内で生じた湿気が小屋裏に至っても、透湿性に優れた屋根下地材20を透過し、通気性に優れた瓦からなる屋根葺材10の隙間を通り抜けて屋外へ排出されることとなる。そのため、実施形態3によれば、通気路を設けなくても野地板21裏面での結露の発生及び野地板21の腐朽を抑制することができる。
以上のように、実施形態3においても、実施形態1と同様に、防水性及び釘穴止水性に優れた屋根下地材20及びそれを備えた屋根構造1を提供することができ、野地板21の腐朽や雨漏りを防止することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態1,2では、屋根葺材10の一例として金属板によって形成された平板状の金属屋根材について説明した。しかしながら、屋根葺材10は、いかなるものであってもよく、平板状の金属屋根材に限られない。屋根葺材10は、実施形態3に示した瓦の他、屋根下地材にベタ置きする平板状の化粧スレートやアスファルトシングル等であってもよい。
また、上記実施形態1,2では、立平葺きの屋根構造1について説明したが、本発明に係る屋根構造の平板状屋根材の葺き方は、立平葺きに限定されない。本発明に係る屋根構造の平板状屋根材の葺き方は、平葺きであってもよく、瓦棒葺きであってもよい。
また、上記実施形態1~3では、(メタ)アクリル系ポリマー5~60重量%にポリプロピレングリコールを添加したアクリル系粘着剤組成物に架橋剤を添加した粘着剤層22b(透湿粘着剤層)を形成していた。しかしながら、本発明に係る透湿粘着剤層は、上記のものに限られない。透湿粘着剤層を形成する粘着剤は、通常用いられる親水性を有する(メタ)アクリルモノマーを含有する(メタ)アクリル系ポリマー、さらには通常粘着剤に用いられている親水性添加剤、粘着付与剤等の成分を含有していてもよく、また、架橋剤としてはアクリル系粘着剤に通常用いられるイソシアネート樹脂、エポキシ樹脂、金属キレート等を用い、さらには発泡剤等を添加したり、アクリルエマルジョン等のように機械発泡させる等、所望の透湿抵抗を有する粘着剤層を形成することができるものであればいかなる組成や塗工方法のものであってもよい。
また、上記実施形態1において、屋根葺材10として平板状の化粧スレートやアスファルトシングル等を用いる場合、シート本体22aとして、透湿防水シートの代わりに、アスファルトルーフィングのような透湿性を有しないシート材を用いることとしてもよい。また、粘着剤層22bを、通常よく使用される透湿性を有しないアクリル粘着剤、ゴム系粘着剤等を用いて形成してもよい。金属屋根材と異なり、化粧スレートやアスファルトシングル等は、錆が発生しない。よって、平板状の化粧スレートやアスファルトシングル等を用いる場合には、シート本体22aとして透湿防水シートの代わりにアスファルトルーフィング等を用いることにより、屋根構造にかかる費用を削減することができる。また、そのような場合、通気路40を介してアスファルトルーフィングの上面の水分を排出する必要がなく、通気路40を介しては、主としてアスファルトルーフィングの下面(中密度繊維板からなる野地板21の上面)の水分を排出すればよい。そのため、実施形態1のように、屋根下地材20の下方に通気路40が設け、野地板21の腐朽防止に特化した構造とするのが好ましい。
一方、近年の技術開発により、腐食、錆に強い金属屋根材が開発されている。このように腐食や錆に強い金属屋根材を用いる場合には、水分による腐食の心配が無い。そのため、腐食や錆に強い金属屋根材を用いる場合にも、シート本体22aとして、透湿防水シートの代わりに、アスファルトルーフィングのような透湿性を有しないシート材を用いることが可能となる。また、腐食や錆に強い金属屋根材とアスファルトルーフィングを用いる場合も、通気路40を介してアスファルトルーフィングの上面の水分を排出する必要がなく、通気路40を介しては、主としてアスファルトルーフィングの下面(中密度繊維板からなる野地板21の上面)の水分を排出すればよい。そのため、実施形態1のように、屋根下地材20の下方に通気路40が設け、野地板21の腐朽防止に特化した構造とするのが好ましい。
なお、ベタ置き型の屋根材(平板状屋根材)は、太陽からの熱を直接的に屋根材の下面に伝えるため、ルーフィングとその上面の水分は、夏場であれば70℃程度にまで温度が上昇する。アスファルトルーフィングを用いる場合、平板状屋根材とアスファルトルーフィングとの間に熱だけでなく熱と水分が共存することとなり、アスファルトルーフィングの劣化が促進される。そのため、アスファルトルーフィングを用いる場合、耐久性の高いアスファルトルーフィングを使用する等の配慮が必要である。
また、透湿性を有しないアスファルトルーフィングからなるシート本体22aの下面に粘着剤層22bを形成した防水シート22を用いる場合であっても、吸水率が15%以下で且つ透湿抵抗が1.2m・s・Pa/μg未満の中密度繊維板で野地板21を構成することにより、従来の屋根下地材に比べて釘穴止水性を飛躍的に向上させることができることが、図10に示す追加の釘穴止水性試験の結果から判っている。
具体的には、本願発明者は、以下の試験体X9,X10についても、実施形態1と同様の釘穴止水性試験を行った。なお、防水シートC1は、ゴムアスファルトルーフィングCからなるシート本体22aの下面に粘着剤層22bが形成されたものである。
X9:中密度繊維板(MDF)からなる基材の上面に防水シートC1を載せたもの
X10:針葉樹合板からなる基材の上面に防水シートC1を載せたもの
上記試験体X9,X10について、実施形態1と同様に釘穴止水性試験を行ったところ、図10の表に示す結果となった。
図10の表から判るように、試験体X9,X10のうち、基材が中密度繊維板(MDF)で防水シートC1を用いた試験体X9は、固定具51の種類に拘わらず、全て水位低下が1mmであり、釘穴からの漏れがなかった。
一方、基材が針葉樹合板である試験体X10は、9枚の試験体Xのうち、1mmを超えて水位低下するものがそれぞれ4つと多く、多くの試験体Xにおいて釘穴からの水の漏れが生じていることが判る。
以上により、シート本体22aが透湿性を有しないものであっても下面に粘着剤層22bが形成された防水シート22を用いると、野地板21が中密度繊維板(MDF)である場合は、釘穴からの水の漏れを確実に防止できることが判る。
また、上記実施形態1~3では、本発明に係る屋根下地材20を、屋根断熱タイプの屋根構造1に適用する例について説明したが、屋根下地材20は、屋根側ではなく天井側に断熱材30が設けられた天井断熱タイプの屋根構造に適用することも勿論可能である。
なお、上記実施形態1~3では、充填断熱工法で施工された屋根構造について説明しているが、本発明は、外張り断熱工法で施工された屋根構造にも適用可能である。
本発明は、屋根下地材及び屋根構造に有用である。
1 屋根構造
5 棟木
6 軒先
10 屋根葺材
20 屋根下地材
21 野地板
22 防水シート
22a シート本体
22b 粘着剤層
40 通気路

Claims (8)

  1. 野地板と、該野地板の上面を覆う防水シートとを備え、上方に屋根葺材が取り付けられる屋根下地材であって、
    上記野地板は、密度が0.7以上0.85未満で吸水率が15%以下の中密度繊維板で構成され、
    上記防水シートは、透湿防水シートで構成されたシート本体と、該シート本体の下面に形成された透湿性を有する透湿粘着剤層とを有し
    上記透湿粘着剤層は、上記シート本体の下面において存在しない部分がないように、上記シート本体の下面全体に形成され ている
    ことを特徴とする屋根下地材。
  2. 請求項に記載の屋根下地材において、
    上記防水シートは、透湿抵抗が0.6m・s・Pa/μg以下になるように構成されている
    ことを特徴とする屋根下地材。
  3. 請求項又はに記載の屋根下地材において、
    上記中密度繊維板は、透湿抵抗が1.2m・s・Pa/μg未満になるように構成されている
    ことを特徴とする屋根下地材。
  4. 請求項乃至のいずれか1つに記載の屋根下地材において、
    上記透湿粘着剤層は、透湿抵抗が0.4m・s・Pa/μg以下になるように構成されている
    ことを特徴とする屋根下地材。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の屋根下地材において、
    上記透湿粘着剤層は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対してポリプロピレングリコールが1重量部以上20重量部以下添加されたアクリル系粘着剤組成物を含む層である
    ことを特徴とする屋根下地材。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1つに記載の屋根下地材において、
    上記透湿粘着剤層の厚さは、50μm以上90μm以下であ
    ことを特徴とする屋根下地材。
  7. 屋根葺材と、該屋根葺材が上方に取り付けられる屋根下地材とを備えた建物の屋根構造であって、
    上記屋根下地材は、請求項1乃至のいずれか1つに記載の屋根下地材である
    ことを特徴とする建物の屋根構造。
  8. 平板状屋根材からなる屋根葺材と、該屋根葺材が上方に取り付けられる屋根下地材とを備えた建物の屋根構造であて、
    上記屋根下地材は、請求項乃至のいずれか1つに記載の屋根下地材であり、
    上記屋根下地材の下方又は上記屋根葺材と上記屋根下地材との間には、軒先側から棟木側へ延びる通気路が形成されている
    ことを特徴とする建物の屋根構造。
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