JP6671529B1 - 屋根下地材及びそれを備えた屋根構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】野地板を有する屋根下地材及びそれを備えた屋根構造において野地板の腐朽を防止する。【解決手段】屋根葺材10と、該屋根葺材10が上方に取り付けられる屋根下地材20と、該屋根下地材20の下方に設けられる断熱材30とを備えた建物の屋根構造1において、野地板21を、密度が0.7以上0.85未満で吸水率が15%以下の中密度繊維板で構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、屋根下地材及びそれを備えた屋根構造に関するものである。
従来、野地板と該野地板の上面に敷き詰められた防水シートとを有する屋根下地材が用いられている(例えば、下記の特許文献1を参照)。
特許文献1には、屋根下地材の野地板の下方に断熱材が野地板に平行に設けられた屋根構造が開示されている。また、この屋根構造では、冬季に室内で生じ小屋裏に至った湿気が屋外に排出されるように、野地板と断熱材との間に2箇所で屋外と連通する通気路が形成されている。上記屋根構造では、このような通気路を設けることにより、冬季に室内で生じた湿気が小屋裏に至ることにより、防水シートと野地板との間において結露が生じ、野地板が腐朽するのを防止している。
特開平4−293834号公報
しかしながら、上記屋根構造では、湿気の排出は、軒裏からの外気の流入量(風速)に依存している。そのため、無風状態では、通気路を設けていても湿気の排出が不十分な場合があり、野地板の裏面において結露が生じ、野地板が腐朽する虞があった。
また、上記屋根構造では、屋根葺材の隙間から浸入した雨水が、防水シート及び野地板を貫く釘の釘穴を通って野地板の内部に至ることがある。従来、野地板として用いていた構造用合板は、吸水率が高く、このような雨水が浸透し易い。一方、上記屋根構造では、野地板が防水シートで覆われているため、雨水が浸透した野地板は乾き難く、腐朽し易いという問題もあった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、野地板を有する屋根下地材及びそれを備えた屋根構造において野地板の腐朽を防止することにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、野地板を有する屋根下地材において、吸水率が15%以下に構成された中密度繊維板を野地板として用いることとした。
具体的には、第1の発明は、野地板を備え、上方に屋根葺材が取り付けられる屋根下地材であって、上記野地板は、密度が0.7以上0.85未満で吸水率が15%以下の中密度繊維板で構成されていることを特徴とする。
ここで、上記吸水率は、相対湿度65±5%の環境下で恒量に達した試験片の重量(m1)を測定した後、該試験片を20±1℃の水中に置き、24時間浸した後、試験片を取り出して重量(m2)を測定する吸水率試験を行い、該吸水率試験において測定した水浸前後の試験片の重量差から算出したもの(水浸前後の試験片の重量差(m2−m1)を水浸前の重量m1で除したものに100を乗じた値)である。
第1の発明では、野地板が、密度が0.7以上0.85未満の構造用の中密度繊維板(MDF:Medium Density Fiberboard)で構成されている。中密度繊維板は、木材繊維を接着剤と共に熱圧して成板することによって形成された木質ボードであり、木材繊維間に隙間が形成されているため、従来、野地板として用いられていた構造用合板に比べて透湿抵抗が低い。そのため、このような湿気を透過させ易い野地板を備えた屋根下地材によれば、冬季に室内で生じた湿気が小屋裏に至っても、野地板を透過して屋外へ排出することができるため、野地板裏面に湿気が溜まることがない。よって、通気路を設けなくても野地板裏面での結露の発生及び野地板の腐朽を抑制することができる。
また、第1の発明によれば、吸水率が15%以下に構成された中密度繊維板を野地板として用いている。このような野地板は、構造用合板等で構成された従来の野地板(吸水率60%以上)に比べて表面に付着した雨水を吸水し難い。また、このような野地板によれば、釘が打ち込まれた箇所においても、木材繊維間をかき分けるように打ち込まれた釘に接着剤でコーティングされた木材繊維が密着することにより、釘穴に雨水等の水分が浸入し難くなる。このように表面だけでなく釘穴からも吸水し難い防水性に優れた中密度繊維板を野地板として用いることにより、雨水が屋根葺材の隙間から屋根下地材に至っても、従来に比べて雨水が格段に野地板に浸透し難くなり、野地板の腐朽を抑制することができる。また、万一、雨水が野地板に浸透したとしても、野地板の裏面まで至ることがないため、雨漏りを防止することができる。
つまり、第1の発明では、野地板を有する屋根下地材において、透湿性と防水性に優れた吸水率15%以下の中密度繊維板を野地板として用いることにより、野地板の腐朽を防止することができる。
の発明は、上記特徴に加え、上記中密度繊維板は、ユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤、ジフェニルメタンジイソシアネート及びフェノール樹脂の少なくとも1種からなる第1の接着剤と、ユリア樹脂系接着剤からなる第2の接着剤とを含んでいることを特徴とする。
の発明では、野地板を構成する中密度繊維板の接着剤として、耐水性に優れるユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤、ジフェニルメタンジイソシアネート及びフェノール樹脂の少なくとも1種からなる第1の接着剤を用いている。このような第1の接着剤を含む中密度繊維板は、木材繊維が第1の接着剤でコーティングされることにより、木材繊維間に水が浸入し難くなり、吸水率が低くなる。一方、耐水性に優れた第1の接着剤のみを接着剤として中密度繊維板を形成すると、吸水率を著しく低減することができるものの、透湿抵抗が増大する虞がある。また、耐水性に優れた第1の接着剤は高価であるため、第1の接着剤のみを接着剤として用いると中密度繊維板も高価になり、屋根下地材の製造コストが嵩む。そこで、第の発明では、第1の接着剤と共に、安価で耐水性が低いユリア樹脂系接着剤からなる第2の接着剤を接着剤として用いた中密度繊維板を用いることとした。第2の接着剤は、安価で耐水性が低いため、高価で耐水性の高い第1の接着剤と混ぜて用いることにより、吸水率15%以下の中密度繊維板を、比較的安価に且つ透湿抵抗を増大させることなく形成することができる。よって、そのような中密度繊維板を野地板とすることにより、透湿性と防水性に優れた野地板を有する屋根下地材を容易に且つ比較的安価に提供することができる。
の発明は、上記特徴に加え、上記中密度繊維板は、上記第1の接着剤と上記第2の接着剤との配合比率を調整することにより、吸水率が15%以下で且つ透湿抵抗が2.5m・h・mmHg/g未満になるように構成されていることを特徴とする。
ここで、透湿抵抗は、JIS A1324に規定されたカップ法に準拠して測定される値である。
の発明では、透湿抵抗が2.5m・h・mmHg/g未満に構成された中密度繊維板を野地板として用いている。このように透湿抵抗が極めて低く、透湿性に優れた中密度繊維板を野地板として用いることにより、野地板裏面での結露の発生及び野地板の腐朽を抑制する効果がさらに増大する。
の発明は、第の発明において、上記野地板の上面に設けられた透湿防水シートを備えていることを特徴とする。
の発明では、野地板の上面に透湿防水シートが設けられている。つまり、透湿性と防水性に優れた野地板の上面に、さらに透湿性と防水性を有するシートが設けられることとなる。このような構成により、屋根下地材の防水性がさらに向上するため、野地板の腐朽をさらに抑制することができる。
の発明は、屋根葺材と、該屋根葺材が上方に取り付けられる屋根下地材と、該屋根下地材の下方に設けられる断熱材とを備えた建物の屋根構造であって、上記屋根下地材は、第1又は第2の発明に係る屋根下地材であることを特徴とする。
の発明では、屋根葺材と屋根下地材と断熱材とを備えた屋根構造に、透湿性と防水性に優れ、腐朽し難い野地板を有する上述の屋根下地材が用いられている。このような屋根下地材を用いることにより、屋根下地材と断熱材との間に通気路を設けなくても、野地板裏面での結露の発生及び野地板の腐朽を抑制することができる。よって、上記屋根下地材を用いることにより、腐朽し難い屋根構造を、通気路のない容易な構成とすることができ、容易に施工することができる。
以上説明したように、本発明の屋根下地材及びそれを備えた屋根構造によると、吸水率が15%以下の中密度繊維板を野地板として用いることしたため、野地板の腐朽を防止することができる。また、万一、雨水が野地板に浸透したとしても、野地板の裏面まで至ることがないため、雨漏りを防止することができる。
図1は、実施形態1に係る建物の屋根構造の一部分を示す断面図である。 図2は、図1のII−II線方向の断面図である。 図3は、透水性試験の様子を示す模式図である。 図4は、透水性試験の試験結果である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態は、本質的に好ましい例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
図1及び図2に示すように、屋根構造1は、所謂、屋根断熱タイプの屋根構造であり、屋根葺材10と、屋根下地材20と、断熱材30とを備えている。屋根葺材10と屋根下地材20は、建物の小屋組において間隔を空けて配された複数の垂木2,…,2の上方に施工されている。断熱材30は、複数の垂木2,…,2の各間に設けられている。複数の垂木2,…,2の下端面には、石膏ボード3が取り付けられている。
屋根葺材10は、本実施形態1では、粘土瓦で構成されている。屋根葺材10は、屋根下地材20に取り付けられた瓦桟11に固定されている。屋根葺材10は、瓦桟11に向かって打ち込まれた釘4で瓦桟11に取り付けられている。なお、屋根葺材10は、粘度瓦に限られず、セメント瓦、スレート、金属板等であってもよいが、通気性の良い粘土瓦、セメント瓦が好適である。
屋根下地材20は、複数の垂木2,…,2に取り付けられている。屋根下地材20の上面には、桁行方向に延びる複数の瓦桟11,…,11が取り付けられている。複数の瓦桟11,…,11は、垂木2に向かって打ち込まれた釘5で固定されている。屋根下地材20の詳細な構成については後述する。
断熱材30は、ロックウールによって構成されている。なお、断熱材30は、断熱効果のあるものであればいかなるものであってもよく、例えば、グラスウール等の繊維系の断熱材を用いることができる。本実施形態1では、断熱材30は、屋根下地材20の直下に設けられている。
以上のような構成により、本実施形態1では、屋根構造1は、天井側ではなく屋根側に断熱材30が設けられる、所謂、屋根断熱タイプの屋根構造に構成されている。
〈屋根下地材の詳細な構成〉
屋根下地材20は、野地板21と、透湿防水シート22とを備えている。野地板21と透湿防水シート22とは、いずれも透湿性と防水性とを兼ね備えている。そのため、本実施形態1では、断熱材30と野地板21との間に屋外と連通する連通路が設けられていない。
[野地板]
野地板21は、密度(g/cm)が0.7以上0.85未満の構造用の中密度繊維板(MDF:Medium Density Fiberboard)で構成されている。本実施形態では、密度0.79g/cmの厚さ9.2mm厚の中密度繊維板を、野地板21として用いている。
野地板21を構成する中密度繊維板は、耐水性に優れた第1の接着剤と、該第1の接着剤と比較して耐水性が低い第2の接着剤とを含んでいる。本実施形態1では、ユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤を第1の接着剤とし、ユリア樹脂系接着剤を第2の接着剤として含む中密度繊維板によって野地板21が構成されている。また、本実施形態1では、野地板21において、第1の接着剤と第2の接着剤とは、重量比率が第1の接着剤:第2の接着剤=2:8となるように配合されて含まれている。なお、第1の接着剤は、ユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤に限られず、ユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤、ジフェニルメタンジイソシアネート及びフェノール樹脂の少なくとも一種を含むものであればよい。
(吸水率)
野地板21は、吸水率が15%以下となるように構成されている。なお、野地板21は、吸水率が13.6%以下となるように構成されるのが好ましく、さらに、吸水率が13.2%以下となるように構成されるのがより好ましい。
ここで、上記吸水率は、相対湿度65±5%の環境下で恒量に達した試験片の重量(m1)を測定した後、該試験片を20±1℃の水中に置き、24時間浸した後、試験片を取り出して重量(m2)を測定する吸水率試験を行い、該吸水率試験において測定した水浸前後の試験片の重量差から算出したもの(水浸前後の試験片の重量差(m2−m1)を水浸前の重量m1で除したものに100を乗じた値)を用いる。
上述のように耐水性に優れる第1の接着剤を含む中密度繊維板は、木材繊維が第1の接着剤でコーティングされることにより、木材繊維間に水が浸入し難くなり、吸水率が低くなる。よって、野地板21を構成する中密度繊維板の成形に第1の接着剤を用い、その配合比率を調整することにより、野地板21の吸水率を所望の吸水率、本実施形態では、15%以下(好ましくは13.6%以下、より好ましくは13.2%以下)にすることができる。
なお、従来野地板として用いていた厚さ12mmの構造用合板A(スギ)と構造用合板B(表層カラマツ、芯層スギ)について、上記吸水率試験を行い、吸水率を算出したところ、その吸水率は、82%と61%であった。このことから、本実施形態1の野地板21の吸水率が従来の野地板と比較して著しく低いことが判る。
(透湿性能)
野地板21は、JIS A1324に規定されたカップ法に準拠して測定される透湿抵抗が、2.5m・h・mmHg/g未満となるように構成されている。
上述のように耐水性に優れる第1の接着剤を含む中密度繊維板は、吸水率が低くなる。一方、耐水性に優れた第1の接着剤のみを接着剤として中密度繊維板を形成すると、吸水率を著しく低減することができるものの、透湿抵抗が増大する虞がある。
しかしながら、本実施形態1では、野地板21を構成する中密度繊維板の成形に第1の接着剤と共に、安価で耐水性が低いユリア樹脂系接着剤からなる第2の接着剤を接着剤として用いている。第2の接着剤は、第1の接着剤に比べて耐水性が低いため、耐水性の高い第1の接着剤と混ぜて用いることにより、吸水率の低い(15%以下の)中密度繊維板を、透湿抵抗を増大させることなく形成することができる。つまり、第1の接着剤と第2の接着剤との配合比率を調整することにより、吸水率が15%以下で且つ透湿抵抗が2.5m・h・mmHg/g未満の野地板21を構成することができる。なお、本実施形態1では、上述のように、ユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤からなる第1の接着剤と、ユリア樹脂系接着剤からなる第2の接着剤とを、重量比率が第1の接着剤:第2の接着剤=2:8となるように配合して添加して形成した中密度繊維板を野地板21として用いることにより、吸水率が15%以下で且つ透湿抵抗が2.5m・h・mmHg/g未満の野地板21を構成することができる。
なお、従来野地板として用いていた上記構造用合板Aと構造用合板Bについて、JIS A1324に規定されたカップ法に準拠して測定した透湿抵抗は、23m・h・mmHg/gと27m・h・mmHg/gであった。このことから、本実施形態1の野地板21の透湿抵抗が従来の野地板と比較して著しく低い、つまり、透湿性能が著しく高いことが判る。
[透湿防水シート]
透湿防水シート22は、JIS A1324に規定されたカップ法に準拠して測定される透湿抵抗が0.65m・s・Pa/μg以下となるように構成されている。この透湿抵抗は、JIS A6111の屋根用の透湿防水シートの規定に準拠したものである。本実施形態1では、透湿防水シート22は、多数の微細孔(直径0.5μm程度)が設けられた樹脂フィルムで構成され、透湿抵抗が0.5m・s・Pa/μg以下に構成されている。なお、透湿防水シート22は、JIS A6111に準拠したものであればいかなるものを用いてもよく、不織布で構成してもよい。また、これらを積層したものとしてもよい。
〈野地板の防水性〉
上述のように、従来の屋根下地材では、野地板(構造用合板)の吸水率が高いため、防水シートを貫く釘穴を通って野地板に至った雨水が野地板の表面から内部に浸透し易かった。また、従来の屋根下地材では、野地板を貫く釘穴の止水性が低く、雨水が野地板まで至ると、野地板の釘穴に浸入し、釘穴からも野地板内部に雨水が吸収されていた。つまり、従来の屋根下地材では、野地板の透水性が高く、野地板の腐朽を招き易かった。
一方、本実施形態1の屋根下地材20では、野地板21の吸水率が低い(15%以下)ため、透湿防水シート22を貫く釘5の釘穴を通って野地板21に至った雨水が野地板21の表面から内部に浸透し難い。また、本実施形態1の屋根下地材20では、釘穴の止水性が高いため、雨水が釘穴から漏水し難く、また、雨水が釘穴に浸入し難いため、釘穴から雨水が野地板21に吸収されることもない。つまり、本実施形態1の屋根下地材では、野地板21の透水性が低く、野地板21の腐朽を招き難い。
この点を実証すべく、以下の透水性試験を行った。
(1)試験体
以下の2種類の試験体Xを2枚ずつ用意した。
I:中密度繊維板(厚さ9mm、密度0.79g/cm、含水率8.9%)
II:合板(厚さ9mm、密度0.42g/cm、含水率10.6%、針葉樹)
なお、Iの試験体Xは、野地板21を構成する中密度繊維板と同様に、吸水率が15%以下で透湿抵抗が2.5m・h・mmHg/g未満となるように構成されている。
(2)試験方法
まず、図3に示すように、試験用器具を組み立てる。具体的には、試験体Xの中心に釘51(N50、スクリュー釘)を上方から打ち込む。Iの試験体Xの一方(試験体X1と言う)には、N50の釘51を打ち込み、他方(試験体X2と言う)には、スクリュー釘を打ち込む。IIの試験体Xの一方(試験体X3と言う)には、N50の釘51を打ち込み、他方(試験体X4と言う)には、スクリュー釘を打ち込む。このようにして形成された4種類の試験体X1〜X4のそれぞれに対し、釘51を覆うように試験体Xの上面にアクリル樹脂からなる円筒52(内径34mm、高さ300mm)を立てて置き、円筒52と試験体Xの上面との隙間をコーキング剤53で埋めた後、これらを円筒52よりも大径のビーカー54の上に載せる。
試験用器具の組み立て後、水(常温)を、円筒52内に静かに注ぐ。水は、円筒52の高さ250mm(約227ml)の位置まで注ぐ。そして、これらを気温20℃、相対湿度65%の環境下で8日間静置し、定期的に水の残量、試験体Xの外観状態及び釘穴からの水の漏れを確認した。
(3)試験結果
図4のグラフは、上記透水性試験の結果である。図4のグラフの縦軸に示す透水量(ml)は、円筒52内に注がれた水の減少量である。また、■印が試験体X1、◆印が試験体X2、●印が試験体X3、▲印が試験体X4のそれぞれの透水量を示している。
図4のグラフから判るように、4種類の試験体X1〜X4のうち、試験体X4の透水量が最も多く、試験開始後3日目で円筒52内の水がほとんど無くなり、試験の続行が不可能となった。次いで、試験体X3の透水量が多く、試験開始後4日目で円筒52内の水がほとんど無くなり、試験の続行が不可能となった。この結果より、試験体X3及びX4では、釘51を打ち込む際に釘穴が大きく形成されるために、この釘穴から水が試験体Xの繊維方向に拡がる(浸透する)と共に、釘51を伝って試験体Xの下方(ビーカー54)まで通り抜け易い(釘穴の止水性が低い)ことが判る。
これに対し、本実施形態1の野地板21を構成する試験体X1及びX2は、4種類の試験体X1〜X4の中で試験体X3及びX4に比べて透水量が著しく少なく、試験開始から3日経過しても、円筒52内からほとんど水が流出しなかった。試験体X1及びX2では、試験開始から8日経過しても、釘51からビーカー54へ水が滴らなかった。これは、試験体X1及びX2では、釘51が木材繊維間をかき分けるように打ち込まれ、その釘51に接着剤でコーティングされた木材繊維が密着することにより、水が通過する隙間がほとんど形成されないことによるものと推測される。また、試験体X1は、耐水性に優れる第1の接着剤(本実施形態1では、ユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤)を含む接着剤で形成され、吸水率が15%以下に構成されている。そのため、釘穴によって釘51の周囲に隙間が形成されたとしても、木材繊維が耐水性に優れる第1の接着剤でコーティングされているため、水が浸入しないものと推測される。このように、試験体X1及びX2では、水が表面(上面)から内部に浸透することがなく、釘穴に浸入することもなく、試験体X3及びX4に比べて透水性が著しく低い、即ち、防水性が極めて高いことが判る。
−実施形態1の効果−
本実施形態1によれば、野地板21が、密度が0.7以上0.85未満の構造用の中密度繊維板で構成されている。中密度繊維板は、木材繊維を接着剤と共に熱圧して成板することによって形成された木質ボードであり、木材繊維間に隙間が形成されているため、従来、野地板として用いられていた構造用合板に比べて透湿抵抗が低い。そのため、このような湿気を透過させ易い野地板21を備えた屋根下地材20よれば、冬季に室内で生じた湿気が小屋裏に至っても、野地板21を透過して屋外へ排出することができるため、野地板21裏面に湿気が溜まることがない。よって、通気路を設けなくても野地板21裏面での結露の発生及び野地板21の腐朽を抑制することができる。
また、本実施形態1によれば、吸水率が15%以下に構成された中密度繊維板を野地板21として用いている。このような野地板21は、構造用合板等で構成された従来の野地板(吸水率60%以上)に比べて表面に付着した雨水を吸水し難い。また、このような野地板21によれば、釘5が打ち込まれた箇所においても、木材繊維間をかき分けるように打ち込まれた釘5に接着剤でコーティングされた木材繊維が密着することにより、釘穴に雨水等の水分が浸入し難くなる。このように表面だけでなく釘穴からも吸水し難い防水性に優れた中密度繊維板を野地板21として用いることにより、雨水が屋根葺材10の隙間から屋根下地材20に至っても、従来に比べて雨水が格段に野地板21に浸透し難くなり、野地板21の腐朽を抑制することができる。また、万一雨水が野地板21に浸透したとしても、裏面にまで至ることはなく、雨漏りを防止することができる。
つまり、本実施形態1では、野地板21を有する屋根下地材20において、透湿性と防水性に優れた吸水率15%以下の中密度繊維板を野地板21として用いることにより、野地板21の腐朽を防止することができる。
また、本実施形態1では、野地板21を構成する中密度繊維板の接着剤として、耐水性に優れるユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤、ジフェニルメタンジイソシアネート及びフェノール樹脂の少なくとも1種からなる第1の接着剤を用いている。このような第1の接着剤を含む中密度繊維板は、木材繊維が第1の接着剤でコーティングされることにより、木材繊維間に水が浸入し難くなり、吸水率が低くなる。一方、耐水性に優れた第1の接着剤のみを接着剤として中密度繊維板を形成すると、吸水率を著しく低減することができるものの、透湿抵抗が増大する虞がある。また、上述のような耐水性に優れた第1の接着剤は高価であるため、第1の接着剤のみを接着剤として用いると中密度繊維板も高価になり、屋根下地材20の製造コストが嵩む。そこで、本実施形態1では、第1の接着剤と共に、安価で耐水性が低いユリア樹脂系接着剤からなる第2の接着剤を接着剤として用いた中密度繊維板を用いることとした。第2の接着剤は、安価で耐水性が低いため、高価で耐水性の高い第1の接着剤と混ぜて用いることにより、吸水率15%以下の中密度繊維板を、比較的安価に且つ透湿抵抗を増大させることなく形成することができる。よって、そのような中密度繊維板を野地板21とすることにより、透湿性と防水性に優れた野地板21を有する屋根下地材20を容易に且つ比較的安価に提供することができる。
また、本実施形態1では、透湿抵抗が2.5m・h・mmHg/g未満に構成された中密度繊維板を野地板21として用いている。このように透湿抵抗が極めて低く、透湿性に優れた中密度繊維板を野地板21として用いることにより、野地板21裏面での結露の発生及び野地板21の腐朽を抑制する効果がさらに増大する。
また、本実施形態1では、野地板21の上面に透湿防水シート22が設けられている。つまり、透湿性と防水性に優れた野地板21の上面に、さらに透湿性と防水性を有するシートが設けられることとなる。このような構成により、屋根下地材20の防水性がさらに向上するため、野地板21の腐朽をさらに抑制することができる。
また、本実施形態1によれば、屋根葺材10と屋根下地材20と断熱材30とを備えた屋根構造1に、透湿性と防水性に優れ、腐朽し難い野地板21を有する上述の屋根下地材20が用いられている。このような屋根下地材20を用いることにより、屋根下地材20と断熱材30との間に通気路を設けなくても、野地板21裏面での結露の発生及び野地板21の腐朽を抑制することができる。よって、上記屋根下地材20を用いることにより、腐朽し難い屋根構造1を、通気路のない容易な構成とすることができ、容易に施工することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態1では、屋根下地材20を、野地板21と透湿防水シート22とで構成していたが、屋根下地材20は、透湿防水シート22を備えないものであってもよい。上述のように、野地板21は、従来の野地板に比べて透水性が低く防水性に優れるため、透湿防水シート22を設けなくても、野地板21に雨水が浸透するのを抑制することができるため、野地板21の腐朽を抑制することができる。
また、上記実施形態1では、本発明に係る屋根下地材20を、屋根断熱タイプの屋根構造1に適用する例について説明したが、屋根下地材20は、屋根側ではなく天井側に断熱材30が設けられた天井断熱タイプの屋根構造に適用することも勿論可能である。天井断熱タイプの屋根構造に適用した場合においても、上記実施形態1と同様の効果を奏することができる。
本発明は、屋根下地材及びそれを備えた屋根構造に有用である。
1 屋根構造
10 屋根葺材
20 屋根下地材
21 野地板
22 透湿防水シート
30 断熱材

Claims (3)

  1. 野地板を備え、上方に屋根葺材が取り付けられる屋根下地材であって、
    上記野地板は、密度が0.7以上0.85未満で吸水率が15%以下の中密度繊維板で構成され
    上記中密度繊維板は、ユリア・メラミン共縮合樹脂系接着剤、ジフェニルメタンジイソシアネート及びフェノール樹脂の少なくとも1種からなる第1の接着剤と、ユリア樹脂系接着剤からなる第2の接着剤とを含み、
    上記中密度繊維板は、上記第1の接着剤と上記第2の接着剤との配合比率を調整することにより、吸水率が15%以下で且つ透湿抵抗が2.5m ・h・mmHg/g未満になるように構成されている
    ことを特徴とする屋根下地材。
  2. 請求項において、
    上記野地板の上面に設けられた透湿防水シートを備えている
    ことを特徴とする屋根下地材。
  3. 屋根葺材と、該屋根葺材が上方に取り付けられる屋根下地材と、該屋根下地材の下方に設けられる断熱材とを備えた建物の屋根構造であって、
    上記屋根下地材は、請求項1又は2に記載の屋根下地材である
    ことを特徴とする建物の屋根構造。
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