JP2007511687A - 流体処理のための微細構造化表面の建築用組立体 - Google Patents
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Abstract
本発明は、流体制御フィルムであって、第1の面と第2の面とを含み、第1の面が、第1の面上に複数のチャネルを有する微細構造化表面を含む流体制御フィルムと;屋外建築用壁組立体であって、主面を有する基材層を含み、基材主面が流体制御フィルムと結合している屋外建築用壁組立体とを含む流体制御組立体を提供する。
Description
本出願は、流体管理を行うための建築用組立体に関する。
壁および屋外構造中に取り込まれる水が、木材、木製品、および多くの建築材料を破壊するカビ、白カビ、および微生物の増殖を引き起こすことが広く認識されている。このいわゆる「シックホーム症候群」においては、壁に取り込まれた水が、壁自体の腐敗およびカビの増殖の原因となることが示されており、構造的劣化および住居の居住性の低下の原因となる。このような損傷は、修復費用がかさみ、極端な場合ではすべてが失われる場合もある。
これらの問題の解決に役立てるための多数の解決法が提案されているが、それらすべてが重大な欠点を有する。多くの建築的な解決法では、不浸透性または抵抗性の層を併用したコーキングで窓の周囲を封止することによって水に対する抵抗性を改善しようとしている。新しい建築基準では、高いエネルギー効率が必要であり、このため換気が少なくなる。室内の空気品質を改善しようとする換気装置でも、壁への水の浸入にはほとんど対処できない。改善された封止手段が使用されているが、特に窓および扉の周囲で水による損傷が激しいことが分かっている。この問題は、広範囲の封止用コーキング材および従来のテープによって悪化する可能性があることが分かっており、その理由は水がこれらの材料を通過すると壁の中に水がとどまり続けるからである。封止が広範囲であるため、内壁構造から水が出て行くことができない。
水の浸入による損傷に対処するために利用されている別の方法は、水蒸気は通過できるか水は透過しにくい膜障壁を含んでいる。この方法は長年にわたって利用されているが、全壁層の湿気の移動に制限されている。内壁部分は水蒸気が移動しにくいポリフィルム層を含むことが多く、多くの屋外の野地板および羽目板も非常に移動が起こりにくい膜である。この結果、透湿性膜の層の追加は非常に限定される。この場合も、一度液体が壁に浸入すると、その壁の区画内にその液体がとどまることになる。
別の一般的な方法は、壁の中に大きな空間を形成して、羽目板と隣接する壁の層との間に通気手段を設けることである。この方法は、水蒸気、および液体の水を排出する有用な手段となるが、しかしこの方法は費用がかかり、その建設にかなりの労働力が上乗せされる。また、木材ストリップまたは他のスペーシング材料を使用すると、スペーシング層の間の羽目板のスパンが非常に大きくなる傾向にある。温度および湿度が広範囲で揺れ動くことで、これらのスパンが原因で羽目板部分に不均一が生じる場合がある。
さらに別の方法は、エンボス加工した膜および不織布の利用である。これらの材料では、クレープ状のチャネルまたはエンボス加工による凸部が形成され、これによって排水および蒸発のための開放空間が残る。しかし、これらの材料は、その性質のために限定される。これらの材料は、それらの開放した波状の性質のために良好な封止を形成することができず、さらにこれらの材料は、圧縮荷重を支える能力が限定される。これらの材料は、薄い通気性材料であり、さらに、通路を形成するためにZ軸方向に伸張するという性質を有する。この種の材料の圧縮強度は、膜の薄さのため不十分であり、このため梁強度が不十分となる。
別の方法は、フラッシングテープの利用である。これらのテープは、窓および扉の開口部周囲に、これらの壁部分を気密封止するために巻き付けられる。これらのテープは、水の防壁を形成するための好都合な方法であるが、窓または扉と隣接する羽目板との間の封止手段とはならない。さらに、水がこの領域内に浸透すると、これらのテープでは、これらの開口部から流体を除去するための方法がない。
窓および扉部分を効率的に封止可能であり、製造元、請負業者、および最終消費者が受け入れることができる費用および容易さで優れた壁被覆能力が得られる壁部分が必要とされ続けている。さらに、実績のある建築方法を大きく変更することなく建設現場で使用することができる堅牢な方法が必要とされている。住居、商業建築物、および屋外の囲いなどの水をはじく必要がある屋外構造では、水を入り込まないようにする手段が提供され、同時に壁部分に浸透する液体を排液および/または蒸発によって除去するためのフェイルセーフ手段も提供される材料および構造が有益となる。
本発明は、流体制御フィルムであって、第1の面と第2の面とを含み、第1の面が、第1の面上に複数のチャネルを有する微細構造化表面を含む流体制御フィルムと;屋外建築用壁組立体であって、主面を有する基材層を含み、基材主面が流体制御フィルムと結合している屋外建築用壁組立体と、を含む流体制御組立体を提供する。この基材主面は、流体制御フィルム第1の面または流体制御フィルムの第2の面と結合することができる。
ある実施態様においては、基材は、開口部を画定する枠であり、たとえば、窓縦枠または扉縦枠などである。この基材は、窓台、壁の野地板、窓、屋根、外装、または屋外突出部分であってもよい。
本出願は、流体制御フィルムに関する。好適な流体制御フィルムとしては、ジョンストン(Johnston)らに付与された米国特許第6,531,206号明細書に記載される流体制御フィルムが挙げられる。
本発明の流体制御フィルムは微細構造化表面を含む。図1aおよび1bに示されるように、接触角θは、流体の玉が表面と接触する点における表面上の流体の玉の表面に対する接線と、表面の面との間の角度である。接線が表面の面に対して垂直となる流体の玉は90°の接触角を有する。典型的には、接触角が90°以下である場合、図1aに示されるように、その固体表面はその流体によって濡れると見なされる。水または水溶液の液滴が90°未満の接触角を示す表面は一般に「親水性」と呼ばれる。本明細書において使用される場合、「親水性」は、水溶液によって濡れるという材料の表面特性を意味する場合にのみ使用され、その材料が水溶液を吸収するかどうかを表すものではない。したがって、材料のシートが水溶液に対して不浸透性であろうと浸透性であろうと、その材料が親水性と呼ばれる場合がある。したがって、本出願において使用される親水性フィルムは、たとえばポリ(ビニルアルコール)などの本来親水性である樹脂材料から製造されたフィルムから形成されてもよい。表面に対する接触角がほぼ0となる流体は、表面を完全に濡らしていると見なされる。しかしポリオレフィンは、典型的には本来疎水性であり、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルムに対する水の接触角は、図1bに示されるように典型的には90°を超える。
本発明の流体制御フィルムは、種々のトポグラフィーを有することができる。代表的な流体制御フィルムは、V字型または長方形の断面、およびこれらの組み合わせを有する複数のチャネル、ならびにチャネル、二次チャネル、すなわち、チャネル内のチャネルを有する構造で構成される。さらに、このトポグラフィーは微細構造の柱および突出部分を含むことができる。
微細構造化表面上のチャネルは、チャネル末端を有する。ある実施態様においては、流体制御フィルムは除去手段を含むことができる。一般にこの除去手段は、一方のチャネル末端と隣接するチャネルから流体を抜き取る。別の実施態様においては、除去手段は、両方のチャネル末端と隣接するチャネルから流体を抜き取る。除去手段は、チャネルと連絡した吸収材料を含むことができる。一実施態様においては、除去手段が流体滴下捕集器を含む。
一般に、微細構造中のチャネルは、第1の高さを有する第1の稜線の組と、より高い第2の高さを有する第2の稜線の組とを含むほぼ平行な稜線によって画定される。第2の稜線の組の各稜線の上部は下部よりも低い溶融温度を有することができる。これらのチャネルは、直線、曲線、放射状、平行、非平行、不規則、または交差からなる群より選択されるパターン形状を有する。
一実施態様は、複数のチャネルの中の少なくとも2つの隣接するチャネルの間で流体が流れるようにするため、これらのチャネルを連結する少なくとも1つの横断チャネルをポリマー微細構造化表面上に形成するステップを含む。
別の実施態様においては、突出部は稜線である、および/または突出部はチャネルに沿って不連続であってもよい。微細構造化表面は、流体を除去するために表面積を増加させる目的で、ポリマー微細構造化表面上に画定されたさらに別の表面テクスチャー構造をさらに含むことができる。一実施態様においては、ポリマー微細構造化表面は、第1の末端から第2の末端まで延在するほぼ平行のチャネルを有する。
本発明の流体制御フィルムのチャネルの形状は、所望の流体輸送が行われ、一般に複製が容易であるあらゆる形状であってよい。開口チャネルに沿って自発的な吸い取りまたは輸送を実施するために、V字型チャネルを有する流体制御フィルムの微細構造化表面/流体界面に望ましい接触角は:
θ≦(90°−α/2)
であり、上式中、θは、フィルムに対する流体の接触角であり、αは、二次V字型チャネルのノッチの平均夾角である(たとえば図2gを参照されたい)。
θ≦(90°−α/2)
であり、上式中、θは、フィルムに対する流体の接触角であり、αは、二次V字型チャネルのノッチの平均夾角である(たとえば図2gを参照されたい)。
本発明の流体制御フィルムのチャネルは、所望の流体輸送が行えるあらゆる形状であってよい。ある実施態様においては、図2a〜2iに示されるように、流体制御フィルムは一方の主面上にのみ一次チャネルを有する。しかし別の実施態様においては、図2jおよび2kに示されるように、流体制御フィルムは両主面上に一次チャネルを有する。
図2aに示されるように、本発明の流体制御フィルム20は、2つの主面の一方の上に構造化表面24を有するポリマー材料の層22を含む。層22は、構造化表面24が突出する本体層26を含む。本体層26は、層22中に個々の構造化された特徴を互いに維持するため構造化表面24を支持する働きをする。
図2aに示されるように、図示される実施態様による層22内部に、一連のV字型側壁34およびピーク36によってチャネル30を画定することができる。それぞれのピークまたは突出部が、各チャネルに沿って延びる連続した稜線を画定することができるし、またはピークは、不連続な要素(たとえば、ピン、バーなど)として形成され、これらの間がチャネルを画定する働きをすることもできる。場合によっては、側壁34およびピーク36は、層22の一端から他端まで変化することなく全体的に延在することができるが、ある用途においては、側壁34が短くなり、その結果、構造化表面24の一部のみに沿ってピーク36が延在することが望ましい場合もある。すなわち、ピーク36の間に画定されるチャネル30は、層22の一方の端部から他方の端部まで全体に延在することができるし、またはこのようなチャネル30は、層22の一部にわたって延在するようにのみ画定される場合もある。一部にわたってのみ延在するチャネル30は、層22の端部で始まることができるし、またはこれらは、層22の構造化表面24内の中間で始まり終了することもできる。チャネル30は、ポリマー材料の連続面にわたって所定の配置で画定される。この配置は、規則的な場合もあるし不規則な場合もある。
他のチャネル構成も考慮される。たとえば図2bに示されるように、流体制御フィルム20’は、わずかに平坦部を有するピーク36’の間により広い平坦な谷を有するチャネル30’を有する。図2aの実施態様と同様に、別個のチャネル30’を画定するために1つ以上のピーク36’に沿ってキャップ層(図示せず)を取り付けることができる。この場合、底面38がチャネル側壁40の間に延在し、一方、図2aの実施態様では、側壁34は、線41に沿って互いにつながっている。
図2cは、別の流体制御フィルム20”を示しており、幅広のチャネル42が、ピーク36”の間で画定されるが、チャネル側壁40の間には平坦面が形成されるのではなく、ピーク36”の側壁40’の間に複数のより小さなピーク44が配置されている。したがって、これらのより小さなピーク44の間に、二次チャネル46が画定される。ピーク44は、ピーク36”と同じ高さであってもなくてもよく、図示されるように、より小さなチャネル46が内部に分布した第1の幅広チャネル42を形成することができる。ピーク36”および44は、それぞれおよび互いに対して、均等に分布している必要はない。
図2d〜2kは、本発明の流体制御フィルムの種々の別の実施態様を示している。図2a〜2kは細長い直線状のチャネルを示しているが、これらのチャネルは別の構成にすることもできる。たとえば、チャネルは、チャネルの長さに沿って変動する断面幅を有することができ、すなわち、チャネルは、チャネルの長さに沿って拡散および/または収束することができる。チャネル側壁は、チャネル延在方向、またはチャネル高さにおいて、直線以外の輪郭を有することもできる。一般に、流体輸送装置内の第1の地点から第2の地点まで延在する少なくとも複数の分離したチャネル部分を形成することが可能なあらゆるチャネル構成が考慮される。希望するなら、チャネルは、長さ全体に沿って分離したままとなるように構成することができる。
図2gを参照すると、1つの形状が、平坦なフィルム50中に直線で囲まれた一次チャネル48となる。この一次チャネル48は、複数のノッチ54を形成する二次チャネル52を含んでいる。ノッチ54(または、二次チャネル52がV字型であり、実質的にまっすぐな側壁を有する場合には、二次チャネル52)のノッチ夾角(すなわち角度α)は約10°〜約120°、たとえば約10°〜約100°となり、ある実施態様では約20°〜約95°となる。このノッチ夾角は、一般に、ノッチから、ノッチを形成する側壁上のノッチより2〜1000μmの点までで取られるセカント角であり、たとえばノッチ夾角は、二次チャネル側壁を半分上がった点でとったセカント角である。夾角の狭い幅を有するノッチでは、一般に、より大きな垂直吸い取り距離が実現されることが分かっている。しかし、αが狭すぎると、流速が非常に遅くなる。αが広すぎる場合は、ノッチまたは二次チャネルによる所望の吸い取り作用が得られないことがある。αが狭くなると、より大きな角度幅を有するノッチまたはチャネルの場合に必要な接触角ほど流体の接触角を小さくしなくても、同様の流体輸送が行える。
一般に、一次チャネルの最大幅は3000μm未満であり、たとえば1500μm未満である。V字チャネル型一次チャネルの夾角は、一般に約10°〜120°であり、たとえば30〜110°である。一次V字チャネルの夾角が狭すぎると、十分な数の二次チャネルを収容できる十分な幅を一次チャネルが底部で有さない場合がある。一般に、一次チャネルの夾角が二次チャネルの夾角よりも大きく、それによって、一次チャネルの底部で2つ以上の二次チャネルを収容できる。一般に、二次チャネルは、一次チャネルの夾角よりも少なくとも20%小さい夾角を有する(V字型一次チャネルの場合)。
図2gおよび2jを参照すると、一次チャネル(48、56)の深さ(最下部のチャネルノッチの上のピークまたは頂点の高さ)「d」は実質的に一定である。この高さ「d」は、約5〜約3000μmの範囲とすることができ、たとえば約25〜約1500μmの範囲とすることができ、ある実施態様では約50〜約1000μmの範囲とすることができ、たとえば約50〜約350μmの範囲とすることができる。ある実施態様においては、指定の範囲を超える深さのチャネル(48、56)を有するフィルムを使用できることを理解されたい。チャネルが深すぎる場合は、流体制御フィルムの全体の厚さが不必要に厚くなり、フィルムが望むよりも剛性が高くなりうる。底部における一次チャネルの幅は、2つ以上の二次チャネルを収容するのに十分であってよい。
図2jおよび2kは、両主面上に一次チャネルを有する流体制御フィルムを示している。図2jに示されるように、一次チャネル56は、一方の表面から他方の表面で横方向にずれていてもよいし、図2kに示されるように互いにちょうど反対側に配列されてもよい。図2jに示される位置がずれたチャネルを有する流体制御フィルムは、吸い取りのための表面積を最大にしながら、同時に最小量の材料を使用することができる。さらに、位置がずれたチャネルを有する流体制御フィルムは、図2kに示すように配列されたチャネルを有する流体制御フィルムよりもシートの厚さおよび堅さが小さくなるため、より柔らかく感じられるように製造することができる。図2kに示されるように、本発明の流体制御フィルムは、内部に1つ以上の孔または開口部58を有することができ、これによって、流体制御フィルムの前面と接触する流体の一部を、フィルムの裏面に輸送して、流体制御を改善することができる。これらの開口部は、チャネルのノッチと位置を合わせる必要はなく、チャネルとほぼ同じ幅にする必要もない。開口部内の流体制御フィルムの表面は親水性であってよい。
図2gおよび2jに示されるように、各一次チャネル(48、56)内には、少なくとも2つの二次チャネル(52、60)および少なくとも2つのノッチ(54、62)が存在し、各二次チャネル(52、60)の1つ以上のノッチは、二次ピーク(64、66)によって分離される。一般に、各二次チャネルは、一般にノッチを1つだけ有するが、二次チャネルが長方形である場合は二次チャネルが2つのノッチを有する。V字チャネル型二次チャネルの場合の二次ピーク(64、66)は、一般に夾角βによって特徴づけられ、この夾角βは、一般に(α1+α2)/2に等しく、式中のα1およびα2は、隣接する2つのV字チャネル型二次チャネル(52、60)の夾角であり、各二次チャネルを形成する2つの側壁が対称でありおよび湾曲していないことを仮定している。一般に、角度βは、約10°〜約120°、たとえば約10°〜約110°であり、ある実施態様では約20°〜約100°であり。二次ピークも、平坦であってもよいし(この場合、夾角は理論的には0°となる)、明確な頂点や夾角を有さない凸型または凹型など湾曲していてもよい。一般に、各一次チャネル(48、56)に少なくとも3つの二次チャネル(52、60)および/または少なくとも3つのノッチが存在する(図2gに示されるノッチ68または70のような末端チャネルと結合するあらゆるノッチ(54、62)を含む)。
1つの二次チャネル(52、60)の深さ(ノッチ54の上の二次ピーク64の頂点の高さ)は、流体制御フィルムの長さにわたって均一であり、典型的には少なくとも5μmである。二次チャネル(52、60)の深さは、一般には、一次チャネルの深さの0.5〜80%であり、たとえば5〜50%である。ピークの両側でのノッチ(54、62)の間隔は、流体制御フィルムの長さにわたって均一であってよい。一次チャネルおよび/または二次チャネルの深さおよび幅は、流体制御フィルムの所与の長さにわたって各チャネルで20%未満、たとえば10%未満で変動することができる。上記範囲を超えた二次チャネルの深さおよび形状のばらつきは、流体制御フィルムに沿った流体輸送の速度および均一性に実質的な悪影響を与える。一般に、一次チャネルおよび二次チャネルは連続でありばらつきがない。
本発明の微細構造化表面の個々の流動チャネルは実質的に独立していてよい。すなわち、隣接するチャネル中の流体とは独立して、流体がチャネルを介して移動することができる。隣接するチャネルとは独立した特定のチャネルに沿ってまたはこれを介して流体を移動させるために、互いに対するポテンシャルにチャネルが独立して適応する。隣接するチャネル間ではある程度拡散が起こりうるが、一般に、1つの流動チャネルに入る流体は、実質的な程度で隣接するチャネルに入ることはない。流体を効率的に輸送し、このようなチャネルで得られる利点を維持するために、チャネルの独立性を効率的に維持することが重要である。しかし、すべてのチャネルが、すべての実施態様において独立する必要はない。一部のチャネルが独立し、別のものは独立していなくてもよい。
ある微細構造化表面はチャネルを有する。このようなチャネルは10:1の最小アスペクト比(チャネルの場合、長さ/水力半径として定義される)を有し、ある実施態様においては約100:1を超え、別の実施態様においては少なくとも約1000:1となる。上端部において、アスペクト比はいくらでも高くなることができるが、一般に約1,000,000:1未満となる。チャネルの水力半径は約300μm以下である。多くの実施態様では、100μm未満となることができ、10μm未満となることができる。多くの用途では一般に水力半径が小さい方がよいが(水力半径をサブミクロンサイズにすることができる)、ほとんどの実施態様では水力半径は典型的には1μm以上である。以下により詳細に説明するように、これらの要因によって規定されるチャネルでは、能動流体輸送装置を介して、大量の流体輸送を効率的に行うことができる。
本発明の構造化表面は、非常に小さい断面を有するように提供することもできる。したがって、構造化ポリマー層が5000μm未満の厚さ、たとえば約3500μm未満の厚さを有する流体輸送装置が考慮される。ある実施態様においては、この厚さは約1500μm未満、たとえば700μm未満であり、特定の実施態様においては650μm未満である。これを実現するために、約5μmを超える高さ、たとえば50μmを超える高さ、ある実施態様においては約100μmを超える高さを有するピークによって微細構造を画定することができる。これらのピークは、一般に1200μm未満の高さ、たとえば1000μm未満の高さ、ある実施態様においては700μm未満の高さを有する。約10μmを超える、たとえば100μmを超える、ある実施態様においては約200μmを超えるピーク間距離を有するピークによって微細構造を画定することができる。これらの要素は、一般に4500μm未満、たとえば2000μm未満、ある実施態様においては1500μm未満の距離を有する。
本発明において使用される流体チャネルのある実施態様は、あらゆる好適な形状であってよいが、一般に長方形(典型的には50〜3000μmの深さ、および50〜3000μmの幅を有する)、または「V」字型チャネルパターン(典型的には約50〜3000、たとえば500μmの深さ、および50〜3000、たとえば500μmの高さを有する)であり、一般に20〜120°、たとえば約45°の夾角を有する。
本発明流体輸送フィルムの一実施態様を、別の流体制御フィルム138として図2iに示している。フィルム138は、ピーク140の間で画定される幅広のチャネル139を有する。ピーク140の側壁142の間には、より小さな複数のピーク141がある。したがって、これらのより小さなピーク141の間で二次チャネル143が画定されている。より小さなピーク141は、図示されるようにピーク140ほど高くはなく、より小さなチャネル143が間に分布した第1の幅広チャネル139を形成している。
本発明の好適な流体制御フィルムは、たとえば、押出成形、射出成形、エンボス加工、ホットスタンピングなどの方法で製造することができる。エンボス加工の場合では、基材(たとえば熱可塑性材料)の変形または成形が行われる。通常この方法は、高温においておそらくは加圧下で実施される。基材または材料は、マスター工具の表面構造を複製またはほぼ複製することができる。この方法では比較的小さな構造が形成され、多くの回数繰り返される場合もあるので、この方法はマイクロ複製と呼ばれる。マイクロ複製に適した方法が、米国特許第5,514,120号明細書に記載されている。
説明のため再び図2aを参照すると、層22は、構造化表面24と下にある本体層26とを含む。層22は、構造化表面24とは反対側の面上に、1つ以上の追加の材料層(層26aまたは26bなど)を含むことができるし、このような追加層または他の材料は、本体層26中に埋め込むこともできる。本体層26(および場合によりその中の追加層または材料)が構造化表面24のバッキングとなる。本発明の流体制御物品中に使用すると好適なバッキングとしては、当技術分野で公知の従来のバッキングが挙げられ、たとえば、不織繊維ウェブおよび織物繊維ウェブ、編物、フィルム、フォーム、マイクロ多孔質およびナノ多孔質(nono−porous)の材料、ならびにその他の通常のバッキング材料があげられる。あるバッキングは、薄く(たとえば、約1.25mm未満、たとえば約0.05mm未満)でエラストマーのバッキングを含む。これらの種類のバッキングは、本発明の流体輸送層の不規則な基材表面への形状適合性および高接着性を得るのに役立つ。バッキング材料としては、たとえば、ポリウレタン、ポリエーテルポリエステル、ポリエーテルアミド、およびポリオレフィン(たとえば低密度ポリエチレン)、セルロース系材料が挙げられる。他の有用なバッキングは、難燃性材料も混合される。多層法を使用することで、1つ以上の層が難燃剤(たとえば、コラジャ(Kollaja)らの国際公開第99/28128号パンフレットに記載されている)であり表面親水性が維持される複数の層の同時押出によってマイクロ複製フィルムが得られる。
本発明の流体輸送物品中に使用すると好適な接着剤としては、種々の基材または極性および非極性の基材に許容できる接着性が得られるあらゆる接着剤が挙げられる。接着剤は、感圧接着剤であってもよいし、ある実施態様においては、水性材料の吸収を防止することができ、腐食の原因とならない。好適な感圧接着剤としては、アクリレート、ポリウレタン、ブロックコポリマー、シリコーン、ゴム系接着剤(たとえば天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴムなど)を主成分とする感圧接着剤、ならびにこれらの接着剤の組み合わせが挙げられる。接着剤成分は、粘着付与剤、可塑剤、レオロジー調整剤、ならびに建築用組立体中のカビおよび白カビを抑制する抗微生物剤などの有効成分を含むことができる。使用前の接着剤表面を保護するために剥離可能なライナーを使用することができる。
本発明の接着剤成分中に使用することができる代表的な感圧接着剤は、米国再発行特許RE24,906号明細書に記載されるようなアクリレートコポリマー、特に、97:3のアクリル酸イソオクチル:アクリルアミドコポリマーなど、種々の基材に適用される通常の接着剤である。別の例は、65:35のアクリル酸2−エチルヘキシル:アクリル酸イソボルニルコポリマーであり、この目的に有用な接着剤は米国特許第5,804,610号明細書および第5,932,298号明細書に記載されている。別の有用な接着剤は難燃性接着剤であってもよい。米国特許第4,310,509号明細書および第4,323,557号明細書に記載されているように、接着剤中への抗微生物剤の混入も考慮される。
構造化表面は、接着剤層に取り入れることもできる。この場合、接着剤は、流体吸い取りパターンの鏡像を有するマイクロ複製ライナーで支持される必要があるか、または、接着剤が、保管中のパターンの流動および損失を防止するために十分な降伏応力および/またはクリープ抵抗性を有する必要がある。降伏応力の増加は、接着剤をわずかに架橋させる(たとえば、共有結合架橋および/またはイオン性架橋の利用、あるいは十分な水素結合を形成させる)ことによってもっとも好都合に実現される。気泡を取り込まずに容易に適用できるように、接着剤層を、同じ方法で不連続にすることができることも理解されたい。本発明の接着剤材料に使用すると好適なライナーは、クラフト紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、これらの材料のあらゆる複合材料でできたものであってよい。
一般にライナーには、フルオロケミカルまたはシリコーンなどの剥離剤がコーティングされている。たとえば、米国特許第4,472,480号明細書には、低表面エネルギーのパーフルオロケミカルライナーが記載されている。ライナーの例は、シリコーン剥離材料がコーティングされた紙、ポリオレフィンフィルム、またはポリエステルフィルムである。シリコーンコーティングされている市販の剥離紙の例は、ジェームズ・リバー・カンパニー,H.P.スミス・ディビジョン(James River Co.,H.P. Smith Division)(イリノイ州ベッドフォードパーク(Bedford Park,IL.)より入手可能なポリスリク(POLYSLIK)(登録商標)シリコーン剥離紙、およびダウバート・ケミカル・カンパニー(Daubert Chemical Co.)(イリノイ州ディクソン(Dixon,IL.))より供給されるシリコーン剥離紙である。具体的なライナーの1つは、ダウバート(Daubert)より入手可能な1−60BKG−157紙製ライナーであり、これは水性シリコーン剥離面がスーパーカレンダー加工されたクラフト紙である。
図3aおよび3bは、複数の平行なチャネルを有し、特に本発明の構造化表面上に流体がある場合の曝露流体表面積が増加した構造化表面を通過する流体流動作用の図解である。表面に画定された複数のチャネル252を有する構造化表面250の上に流体が導入されている。この代表図では、構造化表面は、図2aと類似しており、ピーク254および谷256を交互に有するトポグラフィーを有する。流体260を構造化表面250の上に導入した。チャネル252は、各チャネルに沿って自然発生的に流体を吸い取るように形成されており、その内部に流体が収容されて、x軸方向で流体の空間分布が増加する。流体260が各チャネル252を満たすと、図3bに示されるように、各チャネル252の稜線間のy軸方向でも空間分布が増加し、流体260のメニスカス高さは各チャネル252内のz軸方向で変動する。隣接する各稜線で、流体曝露面262が高くなる。三次元でのこれらの作用は、流体260の曝露した蒸発活性表面積を増加させる働きをし、これによって、構造化表面250からの流体260の蒸発速度を増加させる効果が得られる。
本発明の流体制御組立体は、微細構造化表面とは反対側で流体制御フィルムと結合した接着剤を含むことで、テープを形成することができる。この接着剤は連続でも不連続でもよい。この接着剤は、所望の流体の流れが得られるようにテープをある構造に取り付ける手段となる。たとえば、難燃性、親水性、殺菌性、疎水性、あるいは酸性、塩基性、または油状の材料の吸い取り能力をテープに付与するための種々の添加剤を加えて、このテープを作製することができる。建築および構造設計において流体の流れを最適にするために望ましい放射状交差、直線状、または他のあらゆる特別仕様または不規則なパターンで配列された「V」字型または「U」字型または長方形の微細構造(あるいはそれらの組み合わせ)を、このテープで利用することができる。このテープは、蒸発機構によって流体を分散させることもできる。
本発明のテープは、複雑な構造への水分の浸入を最小限にできる取り付け手段となる。この取り付け手段は、接着剤、機械的、静電的、磁気的、または弱い力の取り付け手段などのあらゆる取り付け手段であってよい。取り付け手段が接着剤である場合、その接着剤は構造用接着剤または感圧接着剤であってよく、多種多様なアクリレート、非極性アクリレート、合成ゴム、ポリオレフィン、または天然ゴムを含む。機械的取り付け手段としては、プラスチフォーム(plastiform)、ロッキングテーパー、またはフックループバッキングを挙げることができる。さらに、テープは、釘付けなどが行われる構造体中に組み込むことができる。本発明の流体制御フィルムは、水分の制御、および水分の関連する問題の制御のために種々の建築用組立体中に使用することができる。
ある実施態様においては、流体制御フィルム上に多孔質キャップ層を配置することができる。特に、キャップ層は微細構造化表面上に配置することができる。キャップ層は、木材、コンクリート、金属からなる群より選択することができる。一実施態様においては、キャップ層が多孔質であり、不織材料の形態をとることができる。一般に、キャップ層の底面は、感圧接着剤または溶接によって流体制御フィルムの上面に固定される。
本発明において使用すると好適な流体制御フィルムは、米国特許第6,290,685号明細書、同第6,525,488号明細書、同第6,514,412号明細書、同第6,431,695号明細書、同第6,375,871号明細書、同第5,514,120号明細書、同第5,728,446号明細書、および同第6,080,243号明細書、ならびに米国特許出願公開第2002−0011330号明細書に記載されている。本発明のある流体制御フィルムは、多量の繊維ではなくシートまたはフィルムの形態である。本発明の流体制御フィルムのチャネルは、ウェブ、フォーム、または繊維から形成されたトウを使用した場合よりも効率的な流体流を得ることができる。繊維で形成されたチャネルの壁には比較的不規則な起伏および複雑な表面が見られ、これらはチャネルを通る流体の流れを妨害する。対照的に、本発明のチャネルは、所定のパターンから正確に複製されて、主面に沿って延在する一連の個々の開口キャピラリーチャネルを形成する。シート中またはフィルム中に形成されたこれらのマイクロ複製チャネルは、実質的に各チャネル長さに沿って、たとえばチャネル間でチャネルで一般に均一で規則的である。これらのフィルムまたはシートは、薄く可撓性であり製造の費用対効果が大きい場合があり、意図する用途に望まれる材料特性を有するように形成することができ、そして希望するなら、使用時に種々の表面にすぐ適用できるようにするため、一方の面上に取り付け手段(接着剤など)を有することができる。ある実施態様においては、フィルムが可撓性ではない場合が考慮される。
本発明のある流体制御フィルムは、流体をフィルムチャネルに沿って自然発生的および均一に輸送することができる。流体制御フィルムが流体を自然発生的に輸送する能力に影響を与える2つの一般的な要因は、(i)表面の形状またはトポグラフィー(チャネルの毛管作用、大きさ、および形状)、および(ii)フィルム表面の性質(たとえば、表面エネルギー)である。所望の程度の流体輸送能力を実現するため、設計者は、流体制御フィルムの構造またはトポグラフィーを調整し、および/または流体制御フィルム表面の表面エネルギーを調整することができる流体制御フィルムから作製した閉鎖型チャネルウィックを機能させるためには、所望の流体が表面を濡らすことができるように、これは一般に十分に親水性である。一般に、開口チャネルの自然発生的吸い取りを促進するためには、流体が流体制御フィルムの表面を濡らす必要があり、その接触角は、90°からノッチ角度の2分の1を引いた値以下になる必要がある。
本発明の流体制御フィルムは、キャスティングまたはエンボス加工に好適なあらゆるポリマーから形成することができ、たとえば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ(塩化ビニル)、ポリエーテルエステル、ポリイミド、ポリエステルアミド、ポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルの加水分解誘導体などから形成することができる。特定の実施態様では、ポリオレフィン、特にポリエチレンまたはポリプロピレン、それらのブレンドおよび/またはコポリマー、ならびにプロピレンおよび/またはエチレンと、酢酸ビニルまたはアクリレート、たとえばアクリル酸メチルおよびアクリル酸ブチルなどの少量の他のモノマーとのコポリマーが使用される。ポリオレフィンは、キャスティングまたはエンボス加工のロールの表面の複製が容易である。これらの材料は、強靱で、耐久性であり、その形状を十分に維持するので、このようなフィルムは、キャスティングまたはエンボス加工の工程後の取り扱いが容易である。親水性ポリウレタンは、種々の物理的性質、および固有の高表面エネルギーを有する。あるいは、流体制御フィルムは、ポリウレタン、アクリレート、エポキシ、およびシリコーンなどの熱硬化性樹脂(硬化性樹脂材料)からキャスティングすることができ、放射線(たとえば、熱、UV、またはEビーム放射線など)または湿気に曝露して硬化させることができる。これらの材料は、表面エネルギー調整剤(界面活性剤および親水性ポリマーなど)、可塑剤、酸化防止剤、顔料、剥離剤、帯電防止剤などの種々の添加剤を含むことができる。好適な流体制御フィルムは、感圧接着材料を使用して製造することもできる。場合によっては、無機材料(たとえば、ガラス、セラミックス、または金属)を使用してチャネルを形成することができる。一般に、流体制御フィルムは、流体に曝露した後も、その形状および表面特性を実質的に維持する。
ある実施態様においては、流体制御フィルムは、特性を変化させる添加剤または表面コーティングを含むことができる。添加剤の例としては、難燃剤、疎水性物質、親水性物質、抗微生物剤、無機、腐食防止剤、金属粒子、ガラス繊維、充填剤、クレー、およびナノ粒子が挙げられる。
本発明のフィルムの表面は、十分な毛管力を得るために改質することができる。たとえば、微細構造化表面は、十分に親水性となるように改質することができる。本発明のフィルムは、一般に、水性流体で90°以下の接触角を示すようにフィルム表面が親水性となるように改質したり(たとえば、表面処理、表面コーティングまたは物質の適用による)、選択された物質を混入したりすることができる。
本発明の流体制御フィルム上で親水性表面を実現するために、あらゆる好適な公知の方法を使用することができる。表面処理としては、界面活性剤の局所適用、プラズマ処理、真空蒸着、親水性モノマーの重合、フィルム表面上への親水性部分のグラフト化、コロナ処理、または火炎処理などを使用することができる。あるいは、フィルム押出時に初期特性を変化させる添加剤として、界面活性剤または他の好適な物質を樹脂と混合することができる。典型的には、界面活性剤コーティングの局所適用ではなく、流体制御フィルムが製造されるポリマー組成物中に界面活性剤が混入され、その理由は、局所適用されたコーティングは、チャネルのノッチを満たす(すなわち鈍くする)場合があり、それによって本発明が目指す所望の流体流を妨害しうるからである。コーティングが適用される場合、構造化表面上に薄い均一層を形成しやすくするために、このコーティングは一般に薄いものとなる。ポリエチレン流体制御フィルム中に混入することができる界面活性剤の代表例は、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール非イオン界面活性剤であるトリトン(TRITON)(登録商標)X−100(コネチカット州ダンベリーのユニオン・カーバイド・コーポレーション(Union Carbide Corp.,Danbury,CT)より入手可能)であり、たとえば、約0.1および0.5重量%の間で使用される。本発明のフィルムの表面改質のための代表的な方法の1つは、90重量%以上のを含む反応生成物の1%水溶液の局所適用である。
本発明の建築および建設用途に要求される耐久性の増加に好適な他の界面活性材料としては、ポリステップ(Polystep)(登録商標)B22(イリノイ州ノースフィールドのステパン・カンパニー(Stepan Company,Northfield,IL)より入手可能)およびトリトン(TRITON)(登録商標)X−35(コネチカット州ダンベリーのユニオン・カーバイド・コーポレーション(Union Carbide Corp.,Danbury,CT)より入手可能)が挙げられる。
流体制御フィルムまたは物品の性質を調整するために、界面活性剤または界面活性剤混合物を、流体制御フィルムの表面に適用することができるし、物品中に含浸させることもできる。たとえば、このような成分を含まないフィルムよりも流体制御フィルム表面の親水性を高めることが望ましい場合がある。
本発明の実施態様は、流体制御フィルムが組み込まれた製品の寿命の間、所望の流体輸送特性を維持する。一般に、界面活性剤は、物品の寿命の間に物品中に十分な量で使用されるか、流体制御フィルム表面に固定化されるかである。たとえば、ジまたはトリアルコキシシラン官能基で界面活性剤を官能化することによって、ヒドロキシル官能性界面活性剤を流体制御フィルムに固定化することができる。次に、界面活性剤を、流体制御フィルム表面に適用したり、物品中に含浸させたりした後、物品を湿気に曝露することができる。この湿気によって加水分解が起こり、次に縮合してポリシロキサンになる。ヒドロキシ官能性界面活性剤(特に1,2ジオール界面活性剤)は、ホウ酸イオンと会合させることによって固定化させることもできる。好適な界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、および非イオン界面活性剤が挙げられるが、非イオン界面活性剤が、比較的低刺激性であるために使用される場合がある。例としては、ポリエトキシル化およびポリグルコシド界面活性剤、たとえばポリエトキシル化アルキル、アラルキル、およびアルケニルアルコール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドコポリマー、アルキルポリグルコシド、ポリグリセリルエステルなどが挙げられる。他の好適な界面活性剤は米国特許出願第08/576,255号明細書に開示されている。
前述したように、流体制御フィルムまたは物品の性質を調整するために、親水性ポリマーまたはポリマー混合物などの界面活性剤を、流体制御フィルム表面に適用することができるし、物品中に含浸させることもできる。あるいは、親水性モノマーを物品に添加して、その場で重合させて相互侵入ポリマー網目を形成することができる。たとえば、親水性アクリレートおよび開始剤を添加して、熱または化学線によって重合させることができる。
好適な親水性ポリマーとしては、エチレンオキシドのホモポリマーおよびコポリマー;ビニル不飽和モノマーを含む親水性ポリマー、たとえば、ビニルピロリドン、カルボン酸、スルホン酸、またはホスホン酸官能性アクリレート、たとえばアクリル酸、ヒドロキシ官能性アクリレート、たとえばアクリル酸ヒドロキシエチル、酢酸ビニルおよびその加水分解誘導体(たとえばポリビニルアルコール)、アクリルアミド、ポリエトキシル化アクリレートなど;親水性に改質したセルロース、ならびに多糖、たとえばデンプンおよび化工デンプン、デキストランなどが挙げられる。
前述したように、流体制御フィルムまたは物品の性質を調整するために、親水性のシランまたはシラン混合物を、流体制御フィルム表面に適用したり、物品中に含浸させたりすることができる。好適なシランとしては、米国特許第5,585,186号明細書に開示されている陰イオン性シラン、および非イオン性または陽イオン性で親水性のシランが挙げられる。陽イオン性シランは、場合により使用することができ、これらのシランの一部は抗菌性を有すると考えられているという利点を有する。
一般に、固体表面の流体による濡れやすさは、水平に配置した表面上に流体を付着させ、その上で安定化させた後に流体が固体表面となす接触角によって特徴づけられる。これは、「静的平衡接触角」と呼ばれる場合もあるが、本明細書では単に「接触角」と呼ぶ場合もある。
本発明の流体制御フィルムは、屋外建築用壁組立体中の基材に結合される。本出願の目的では、結合とは、画定された表面と同じ面上にあり、その表面と直接接触するか、または他の層によって接触することを意味する。この屋外建築用壁組立体は基材を含む。基材の例としては、壁枠および画定された開口部の枠(たとえば窓縦枠または扉縦枠)が挙げられる。さらなる例としては、壁野地板、窓、屋根、外装(羽目板、化粧しっくい、煉瓦など)、および屋外突出部分(たとえば電気コンセント)。ある実施態様においては、家屋全体が流体制御フィルムで取り囲まれる(「ハウスラップ」)。
図4aに屋根構造400が示されており、収束する屋根のスロープ402aおよび402bが谷404に集まっている。亜鉛鋼板または他の耐水性材料が、屋根の谷のシール405として使用され、屋根の谷404を覆っている。屋根のスロープ402aおよび402bは、外面403aおよび403bを有し、これらに屋根板406が取り付けられる。屋根板406は、底部の列の屋根板408を含む。流体制御フィルム410は、屋根の谷404付近の表面403に固定される。流体制御フィルム410は、少なくとも部分的には底部の列の屋根板408の下にある。流体制御フィルム410が屋根表面403と屋根板408との間にシール412を形成することで、重力および毛管作用によって最後の列の屋根板408の下から水が吸い出され、同時に屋根板408の上または下への水の流入が防止される。
屋根の端部414が図4bに示されている。これは、寒冷気候において発生しうる氷のダムの形成が従来問題となっている屋根の部分である。この場合も、前述のように流体制御フィルム410がシール412として機能し、氷のダムの形成の可能性が減少する。
図4cに示されるように、流体制御フィルム410のチャネル416を、図4cに示される長い斜め方向に向けて、図4aおよび4bで前述したようなシール412を形成することができる。溝416の別の方向は、流体制御フィルムの機械方向であってよく、これは底部の列の屋根板408と平行であり、これによって、底部の列の屋根板の下への水の流入に対する障壁が形成される。
外壁組立体の断面を図5に示している。このような壁は、従来、木材の枠組(2×4、2×6、図示していない)、または構造断熱パネル(SIP)などのモジュールのいずれかで作製されている。図5は、シートロック部分または雑木破砕接着合板(OSB)を含み、屋内と面する壁部分420aで表されている。場合により断熱層422は、発泡スチレン、発泡断熱材、ガラス繊維、および他の公知の形態の断熱材料で構成されることができる。屋外と面する壁部分420bは、雑木破砕接着合板、合板、または建設用組立体で公知の他の材料で構成されることができる。壁枠構成材421は、モジュールSIPパネル中に使用される上部および底部の木材、または従来の枠組みされた壁構造の水平枠に適合するあらゆる寸法の木材枠を表している。流体制御フィルム423は、屋外と面する壁420bに接着的または構造的に取り付けられる。重量下で大量の水分を下方に脱落、落下、または移動が起こるように流体制御フィルムチャネルは垂直方向に配置される。流体制御フィルムは、屋根板のように重ねることができ(図示せず)、水分が落下するようにするため、第1の層および次の層の取り付けられたフィルムの最下部で隣接する層が覆われる。あるいは、流体制御フィルムは1枚の大型シートであってもよい。家屋または建造物の外装または羽目板434は、ビニル羽目板、杉の屋根板、煉瓦、化粧しっくい、および建設業界において公知の他の材料で構成されることができる。流体制御フィルム423は、流体制御フィルムのチャネルが外装、羽目板、または化粧しっくい434に対して外側に向かうように配置することができるし、屋内と面する壁420aに対してチャネルが内側に面するように配置することもできる。場合により、図5に示されるように、不織型またはスクリム型の材料435を、流体制御フィルム423と外装434との間に配置および/または固定することができるし、スクリム材料435を、流体制御フィルム423と屋外と面する壁部分420bとの間に配置することもできる(図示せず)。壁組立体が、基礎から屋根までの壁にわたる流体制御フィルムを有し、流体制御フィルムチャネルが主として垂直方向に配置されることも考慮される。接着剤が裏面に適用された流体制御フィルムを使用して、壁構造を覆う流体制御フィルムの分離した複数の部分を重ね合わせて封止することもできる。
図6に示される窓枠開口部421は、窓ユニットを取り付ける前の枠付きの窓開口部を表している。垂直の壁の間柱または窓側面の縦枠425、および水平方向の壁の間柱または上部縦枠426aおよび窓台426bが窓開口部の枠を構成している。窓台426bは、開口部から水分を逃しやすくするために傾斜を付けることができる。さらに、本発明の一実施態様では、図6に示されるように、流体制御フィルム423は、窓台426bの上に適用することができる。窓開口部から水を離す手段となる方向に溝が向けられる。本発明の別の実施態様では、流体制御フィルム423は、疎水性部分423aを含むことができ、これは、水分のチャネルへの流入を促進するために使用することができる。場合により、窓のコーナーから水分を除去するために隅部材428を使用することができる。
基材は主面を有する。ある実施態様においては、この主面は、外壁の建築用組立体の面と平行な面を有する。別の実施態様においては、この主面は、外壁の建築用組立体の面と平行でない面を有する。たとえば、外壁組立体は、ある厚さを有し、基材主面の面は、この厚さを通過することができる。このような方向の具体例の1つは、図6で例示される扉または窓縦枠の底部上である。流体輸送フィルムのチャネルは、平行にすることができ、流体流の方向に配向させることができる。
図7は屋外の窓開口部を示しており、その周囲に種々の重ね合わせ位置で流体制御フィルムが使用されている。本発明の一実施態様では、流体制御フィルムは、上部430の下に上部の雨押さえ431が重なり、その下に縦枠432が重なり、その下に下枠雨押さえ433がかさなり、ハウスラップ434および窓下部分435と重なり、これによって、毛管作用および重量によって壁および窓の領域から水を落とす手段が得られる。ハウスラップ434は、分離したフィルム片または連続ハウスラップ材料であってよく、流体の排出において連結性を得ることができる。窓の下枠雨押さえ433は、434まで延在することができるし、場合により、水を完全に排出させるために、各側面上まで延ばし、逆「U」字型(図示せず)に90°の角度で下方向に方向を変え、壁構造の底部まで延在させることができる。
図8に示されるように本発明の別の実施態様では、窓ユニット組立体440は、窓ユニットモールディング442によって適所に保持された窓ガラス441を含む。流体制御フィルム443は、窓ユニットモールディング442の上部および側部に固定され、場合により窓のコーナー周囲に適合させることができ、これによって、毛管作用により水を落下させるための連続的な流体管理が行われる。場合によっては、空気が流れるように設計された交互溝構造444を有する流体制御フィルムを、窓ガラス441の下に配置することができる。流体制御フィルム443は、図7に示されるようなハウスラップ流体制御フィルム434に連結することができる。
壁組立体451の屋外突出部分450を図9aに示している。外壁突出部分450は、外装454の撥水作用を妨害しうる、開き窓または外装454の面から突出するあらゆる他の構造のウィンドートリートメントであってよい。外壁突出部分450は、窓または他の壁開口部452から延在することができる。本発明の一実施態様においては、外壁突出部分450の上部450a、側部450b、および場合により底部450cの周辺部が流体制御フィルム453で覆われる。あるいは、壁突出部分450を形成する材料自体を、微細構造化流体制御表面が組み込まれるように形成することもできる。壁出部分の側部450bの周囲上の流体制御フィルム453(または流体制御表面)は、外装454から下方向に離れる斜め方向にチャネルが向かうように配置され、これは、拡大図9bに示されるように重量および毛管作用によって水457および水分が外装454を離れるようにするためである。屋外突出部分450の上部450aおよび底部450cの周囲の流体制御フィルム453または流体制御表面は、屋外突出部分450の側部450c周囲を出入りする流体を連続的に処理するチャネルを有する。
本発明の範囲および意図から逸脱しない本発明の種々の変更および変形は当業者によって明らかとなるであろう。以下の実施例によって、本発明の一実施態様をさらに開示する。
幅6.35mmの流体制御フィルムのストリップを窓および扉試験装置に接着剤で取り付け、3つの異なるフィルム設計で水除去効率を測定した。この試験装置は、図8に示されるような、窓または扉の雨押さえを模倣するために使用した透明プラスチックシートと、外壁を模倣するために使用される垂直のプラスチックスタンドとを含む。窓または扉の開口部を模倣するために、垂直のプラスチックシートから長方形の穴を切り取った。
3Mカンパニー(3M Company)の50.8μmの合成ゴム系接着剤を最初に後述の微細構造化バッキング上に積層してテープを形成することによって、本発明のフィルムを適用した。6.35mmの間隔をあけた2枚のまっすぐなカミソリの刃を有するレザーカッターを使用して、この流体制御フィルムテープを幅6.35mmに細断した。テープの長軸がチャネルと平行になるようにフィルムを切断した。次にこの流体制御フィルムテープを1枚のテープとしてプラスチックシートに適用した。このテープは、プラスチックシートの面に沿ってまっすぐに手で適用し、次に、流体制御フィルムテープを、図8に示されるように上部コーナー周囲の半径方向に適用して、テープの中断および切断は行わないようにした。次に、流体制御フィルムテープが図8のようになるまで、これらの最初のステップに従ってテープを完全に適用した。
流体制御フィルムテープを適用した後、6本の小ねじでプラスチックシートを垂直スタンドに固定した。これらの小ねじは手でしめて、プラスチックシートを垂直スタンドに固定ししっかりと取り付けた。
5gの水をプラスチックシートの上部に加え、この量を、流体制御フィルムテープに沿って吸い取られることで移動した水の量と比較することによって水移動効率を測定した。垂直スタンド表面とプラスチックシート内面との間に流れるように水を加え、窓または扉の雨押さえの周囲の水の漏れを模倣した。水を試験装置に加えた後、15分間水を吸い取らせた。15分後、流体制御フィルムテープの両端からの水を瓶に捕集して秤量した。これを各テープにつき2回繰り返した。次に、捕集した水の重量を、加えた水の重量で割った比として効率を計算した。この効率は、流体制御フィルムテープが、窓または扉の雨押さえを封止する能力、および窓または扉と壁との間にある流体を除去する能力の指標となる。
測定していないが、流体制御フィルムが存在していない場合の水移動効率は0であると理解されたい。窓または扉の裏側にある水は、制御できない方法で浸透し、制御は非常に困難である。この問題は、窓および扉の関連する水による損傷においてよく知られた問題である。
テープAは、米国特許第6,531,206号明細書の実施例15に記載のテープであり、この流体制御フィルムテープは、深さ8ミルの長方形チャネルと、これらの大型チャネルの間に小さい入れ子状のチャネルを有する。
テープBは、米国特許第6,531,206号明細書の実施例14に記載のテープであり、この流体制御フィルムテープは、深さ10ミルで80°のV字型溝を有する。
テープCは、米国特許第6,531,206号明細書の実施例13に記載のテープであり、この流体制御フィルムテープは、深さ20ミルで45°のV字型溝を有する。
一実施態様として成分の具体的な組み合わせを開示することができるが、種々の実施態様の開示される特徴は、権利請求の対象とする本発明の目的を実現するために組み合わせることができることを意図している。本発明の意図および範囲から逸脱しない本発明の種々の変更および変形は当業者には明らかとなるであろう。
Claims (23)
- 流体制御フィルムであって、第1の面と第2の面とを含み、前記第1の面が、前記第1の面上に複数のチャネルを有する微細構造化表面を含む流体制御フィルムと、
屋外建築用壁組立体であって、主面を有する基材層を含み、前記基材主面が、前記流体制御フィルムと結合している屋外建築用壁組立体と、を含む流体制御組立体。 - 前記基材主面が、前記流体制御フィルムの前記第1の面と結合している、請求項1に記載の流体制御組立体。
- 前記基材主面が、前記流体制御フィルムの前記第2の面と結合している、請求項1に記載の流体制御組立体。
- 前記流体制御フィルムが水蒸気透過性である、請求項1に記載の流体制御組立体。
- 前記流体制御フィルムの前記第1の面と結合している不織層をさらに含む、請求項1に記載の流体制御組立体。
- 前記基材が封止断熱パネルである、請求項1に記載の流体制御組立体。
- 前記流体制御フィルムの前記第2の面の上に接着剤をさらに含む、請求項1に記載の流体制御組立体。
- 前記接着剤が連続層である、請求項7に記載の流体制御組立体。
- 前記接着剤が不連続である、請求項7に記載の流体制御組立体。
- 前記基材が、開口部を画定するための枠である、請求項1に記載の流体制御組立体。
- 前記枠が窓の縦枠である、請求項10に記載の流体制御組立体。
- 前記枠が扉の縦枠である、請求項10に記載の流体制御組立体。
- 前記基材が窓台である、請求項1に記載の流体制御組立体。
- 前記基材が壁の野地板である、請求項1に記載の流体制御組立体。
- 前記基材が窓である、請求項1に記載の流体制御組立体。
- 前記基材が屋根である、請求項1に記載の流体制御組立体。
- 前記基材が外装である、請求項1に記載の流体制御組立体。
- 前記基材が屋外突出部分である、請求項1に記載の流体制御組立体。
- 前記基材が、内側と外側とを有する、請求項1に記載の流体制御組立体。
- 前記流体制御フィルムが抗微生物剤を含む、請求項1に記載の流体制御組立体。
- 前記基材の主面が、前記壁組立体の面と平行な面内にある、請求項1に記載の流体制御組立体。
- 前記基材の主面が、前記壁組立体の面と平行でない面内にある、請求項1に記載の流体制御組立体。
- 壁組立体中の流体を制御する方法であって、
屋外建築用壁組立体を提供するステップと、
流体制御フィルムを提供するステップであって、前記流体制御フィルムが、第1の面と第2の面とを含み、前記第1の面が、前記第1の面上に複数のチャネルを有する微細構造化表面を含むステップと、
前記流体制御フィルムを前記壁組立体の表面に取り付けるステップと、を含む方法。
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