JP3758210B2 - ロジン系エマルジョンサイズ剤用乳化分散剤およびそれを用いてなるロジン系エマルジョンサイズ剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はロジン系エマルジョンサイズ剤用乳化分散剤およびそれを用いてなるロジン系エマルジョンサイズ剤に関する。さらに詳しくは、特定の共重合体からなるポリマー系乳化分散剤と、それを用いてなるロジン系エマルジョンサイズ剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、製紙業界では、排水規制による抄紙システムのクロ−ズド化の要請や古紙使用比率の増加により、抄紙条件におけるpHが酸性から中性域に変化する傾向がある。このような抄紙条件の変化に伴ない、ケン化型ロジン系サイズ剤にかわってロジン系エマルジョンサイズ剤の使用が主流になってきている。
【0003】
前記ロジン系エマルジョンサイズ剤は、強化ロジンを適当な乳化分散剤の存在下で分散させることによってえられる。
【0004】
乳化分散剤としては、たとえばアルキル硫酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩などのいわゆる低分子量乳化分散剤が用いられている。
【0005】
しかしながら、低分子量乳化分散剤を使用したエマルジョン型サイズ剤は、抄紙時の泡立ちが激しく、また高温抄紙時や高pHの抄紙時においては、良好なサイズ効果がえられないという問題がある。
【0006】
近年、前記低分子量乳化分散剤の代わりに、アニオン性のポリマー系乳化分散剤が提案されているが(特公平2−53555号公報、特開平1−189343号公報、特開平1−203031号公報、特開平1−203032号公報、特開平2−259193号公報、特開平6−93595号公報)、これらの分散剤を用いたロジン系エマルジョンサイズ剤は、低分子量乳化分散剤と比べて抄紙時の泡立ちが抑制されてはいるものの、高温抄紙時や高pHの抄紙時のサイズ効果、低泡性および硬水希釈安定性は、未だ充分には改善されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、広範囲のpHで有効に使用することができ、高温抄紙時や高pHの抄紙時においてもサイズ度が低下することなく、しかも低泡性で、使用時の取扱い性にすぐれたロジン系エマルジョンサイズ剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するべく、ロジン系物質を分散させるポリマー系乳化分散剤に着目して鋭意研究を重ねた結果、乳化分散剤として、特定の共重合体および/またはその塩を用いて、ロジン系物質を水に分散させたときには、幅広いpH領域ですぐれたサイズ剤適性を具備し、高温抄紙時や高pHの抄紙時においてもサイズ度が低下することなく、しかも低泡性を呈するロジン系エマルジョンサイズ剤を収得しうることを見出した。本発明はかかる新しい知見に基づいて完成されたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、
▲1▼(A)一般式(I):
【0010】
【化6】
【0011】
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立してアルキル基を示し、R1、R2およびR3のうちの少なくとも1つはメチル基、R1、R2およびR3のアルキル基の炭素数の総和は7または8である)で表わされる単量体A、
(B)前記単量体A以外のカルボン酸ビニルエステル系単量体B、
(C)(メタ)アクリル酸エステル系単量体C、ならびに
(D)(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸塩から選ばれた(メタ)アクリル酸系モノマーD
からなる共重合成分を共重合させてえられた共重合体および/またはその塩からなるロジン系エマルジョンサイズ剤用乳化分散剤、ならびに
▲2▼前記乳化分散剤、ロジン系物質および水からなるロジン系エマルジョンサイズ剤
に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のロジン系エマルジョンサイズ剤用乳化分散剤は、前記したように、(A)一般式(I):
【0013】
【化7】
【0014】
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立してアルキル基を示し、R1、R2およびR3のうちの少なくとも1つはメチル基、R1、R2およびR3のアルキル基の炭素数の総和は7または8である)で表わされる単量体A、
(B)前記単量体A以外のカルボン酸ビニルエステル系単量体B、
(C)(メタ)アクリル酸エステル系単量体C、ならびに
(D)(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸塩から選ばれた(メタ)アクリル酸系モノマーD
からなる共重合成分を共重合させてえられた共重合体および/またはその塩からなる。
【0015】
前記一般式(I)で表わされる単量体Aのアルキル基であるR1、R2およびR3としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基の炭素数が1〜6のアルキル基があげられる。
【0016】
前記単量体Aの具体例としては、たとえば2−エチル−2−メチルヘキサン酸ビニル(2,3,3−トリメチル−2−エチルブタン酸ビニルなどを含む)、2−メチル−2−プロピルペンタン酸ビニル(2,3−ジメチル−2−イソプロピルブタン酸ビニルなどを含む)、2,2−ジメチルヘプタン酸ビニル(2,2,3,4−テトラメチルペンタン酸ビニル、2,2,3,3−テトラメチルペンタン酸ビニル、2,2,4,4−テトラメチルペンタン酸ビニルなどを含む)、2−エチル−2−メチルペンタン酸ビニル、2−メチル−2−プロピルヘキサン酸ビニル、2,2−ジメチルオクタン酸ビニルなどのノナン酸ビニル、デカン酸ビニルなどがあげられる。これらの単量体Aは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
前記共重合成分中における単量体Aの含有量は、発泡性抑制効果を充分に発現させるためには、1重量%以上とすることが好ましく、乳化分散能およびサイズ効果を充分に発現させるためには、50重量%以下、とくに30重量%以下とすることが好ましい。
【0018】
前記カルボン酸ビニルエステル系単量体Bは、前記単量体A以外のものである。
【0019】
前記カルボン酸ビニルエステル系単量体Bの代表例としては、たとえば一般式(II):
【0020】
【化8】
【0021】
(式中、R4は炭素数1〜17のアルキル基、クロロメチル基またはフェニル基を示す)で表わされるカルボン酸ビニルエステル系単量体があげられ、そのなかから単量体Aが除かれる。
【0022】
前記R4のアルキル基の代表例としては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、ノニル基、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基などがあげられる。
【0023】
前記カルボン酸ビニルエステル系単量体の具体例としては、たとえば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル(ブタン酸ビニル)、吉草酸ビニル(ペンタン酸ビニル)、ピバリン酸ビニル(2,2−ジメチルプロピオン酸ビニル)、カプロン酸ビニル(ヘキサン酸ビニル)、オクタン酸ビニル、ノナン酸ビニル、デカン酸ビニル(2,2−ジエチルヘキサン酸ビニル、2−エチル−2−プロピルペンタン酸ビニル等を含む)、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどがあげられる。これらのなかでは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニルおよび安息香酸ビニルが好ましく、なかでも酢酸ビニルがとくに好適である。これらの単量体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
前記共重合成分中におけるカルボン酸ビニルエステル系単量体Bの含有量は、1重量%以上とすることが好ましく、また50重量%以下、とくに30重量%以下とすることが好ましい。
【0025】
前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体Cの代表例としては、たとえば一般式(III):
【0026】
【化9】
【0027】
(式中、R5は水素原子またはメチル基、R6は炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基またはアラルケニル基を示す)で表わされる(メタ)アクリル酸エステルなどがあげられる。
【0028】
前記(メタ)アクリル酸エステル系単量体Cの具体例としては、たとえば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデセニル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどがあげられる。これらの単量体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでは、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシルおよびベンジルエステルが好ましい。
【0029】
前記共重合成分中における(メタ)アクリル酸エステル系単量体Cの含有量は、1重量%以上とすることが好ましく、また50重量%以下、とくに40重量%以下とすることが好ましい。
【0030】
前記(メタ)アクリル酸系モノマーDは、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸塩から選ばれたものである。
【0031】
前記(メタ)アクリル酸系モノマーDの代表例としては、たとえば一般式(IV):
【0032】
【化10】
【0033】
(式中、R7は水素原子またはメチル基、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニアまたは有機塩基類のカチオンもしくはオニウムを示す)で表わされる(メタ)アクリル酸系モノマーなどがあげられる。
【0034】
前記(メタ)アクリル酸系モノマーDの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、これらを塩基性物質で中和してえられる各種の塩などがあげられ、該塩基性物質としては、たとえばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピリジン、アニリン、シクロヘキシルアミン、モルホリンなどがあげられる。これらのなかでは、とくにアクリル酸、メタクリル酸、およびこれらのリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩およびモノエタノールアミン塩が好ましい。
【0035】
前記共重合成分中における(メタ)アクリル酸系モノマーDの含有量は、30重量%以上であることが好ましく、また70重量%以下、とくに60重量%以下であることが好ましい。前記範囲外では、性能が良好な乳化分散剤がえられなくなる傾向がある。
【0036】
本発明においては、前記共重合成分には、必要により、単量体Eを含有させることができる。
【0037】
前記単量体Eとしては、たとえばビニルエーテル系単量体、ニトリル系単量体、スチレン系単量体、モノカルボン酸系単量体、ジカルボン酸系単量体、ジカルボン酸モノエステル系単量体、スルホン酸系単量体、硫酸エステル系単量体、アミド系単量体、アミノ基(アンモニウム基)含有単量体、ヒドロキシアルキル系単量体およびポリオキシアルキレン系単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体などがあげられる。
【0038】
前記ビニルエーテル系単量体の代表例としては、たとえばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−アミルビニルエーテル、イソアミルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテルなどがあげられる。
【0039】
前記ニトリル系単量体の代表例としては、たとえばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどがあげられる。
【0040】
前記スチレン系単量体の代表例としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、o−,m−,p−メチルスチレン、o−,m−,p−エチルスチレン、o−,m−,p−イソプロピルスチレン、o−,m−,p−tert−ブチルスチレンなどがあげられる。
【0041】
前記モノカルボン酸系単量体の代表例としては、たとえばクロトン酸、ケイ皮酸、アトロパ酸などがあげられる。
【0042】
前記ジカルボン酸(および無水物)系単量体の代表例としては、たとえばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸などのジカルボン酸(および無水物)系単量体などがあげられる。
【0043】
前記ジカルボン酸モノエステル系単量体の代表例としては、たとえばマレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノn−オクチル、マレイン酸モノ2−エチルヘキシル、マレイン酸モノドデシル、マレイン酸モノオクタデシル、マレイン酸モノオクタデセニル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノベンジル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノn−オクチル、フマル酸モノ2−エチルヘキシル、フマル酸モノドデシル、フマル酸モノオクタデシル、フマル酸モノオクタデセニル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノベンジル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノn−オクチル、イタコン酸モノ2−エチルヘキシル、イタコン酸モノオクタデシル、イタコン酸モノドデシル、イタコン酸モノシクロヘキシル、イタコン酸モノオクタデセニル、イタコン酸モノベンジルなどがあげられる。
【0044】
前記スルホン酸系単量体の代表例としては、たとえばスチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2一(メタ)アクリルアミド−2一メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド−N−メチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドフェニルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸スルホエチル、(メタ)アクリル酸スルホプロピル、(メタ)アクリル酸スルホ2−ヒドロキシプロピルなどがあげられる。
【0045】
前記硫酸エステル系単量体の代表例としては、たとえば(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル硫酸エステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル硫酸エステル、(メタ)アクリル酸ポリオキシアルキレン硫酸エステル、硫酸(メタ)アリルエステル、(メタ)アリルオキシポリオキシアルキレン硫酸エステルなどがあげられる。
【0046】
前記アミド系単量体の代表例としては、たとえば(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N一メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどがあげられる。
【0047】
前記アミノ基(アンモニウム基)含有単量体の代表例としては、たとえばビニルピリジン、N一メチルビニルピリジニウム(塩)、N一エチルビニルピリジニウム(塩)、N一ヒドロキシエチルビニルピリジニウム(塩)などのビニルピリジン系単量体;アミノスチレン、N−メチルアミノスチレン、N,N−ジメチルアミノスチレン、トリメチルスチリルアンモニウム(塩)などのアミノスチレン系単量体;N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、トリメチルスチリルメチルアンモニウム(塩)などのアミノアルキルスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル(アミド)、(メタ)アクリル酸アミノプロピルエステル(アミド)、(メタ)アクリル酸アミノネオペンチルエステル(アミド)、(メタ)アクリル酸アミノ−2−ヒドロキシプロピルエステル(アミド)およびこれらの1級アミンを2級アミン、3級アミンまたは4級アンモニウム(塩)としたもの、ジアリルアミンの2級アミンを3級アミン、4級アンモニウム(塩)としたものがあげられる。具体的には、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルエステル(アミド)、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピルエステル(アミド)、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルエステル(アミド)、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノネオペンチルエステル(アミド)、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチルエステル(アミド)、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノプロピルエステル(アミド)、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルエステル(アミド)、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノネオペンチルエステル(アミド)およびこれらの4級アンモニウム(塩)、メチルジアリルアミン、ジメチルジアリルアンモニウム(塩)、メチルジアリルヒドロキシエチルアンモニウム(塩)、メチルジアリル−2,3−ジヒドロキシプロピルアンモニムなどがあげられる。これらのなかでは、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルアミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム(塩)、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチル−2,3−ジヒドロキシプロピルアンモニウム(塩)、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム(塩)、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルプロピルアンモニウム(塩)、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム(塩)、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルグリシジルアンモニウム(塩)、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム(塩)、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチル−2,3−ジヒドロキシプロピルアンモニウム(塩)、(メタ)アクリロイルアミノ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム(塩)、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルプロピルアンモニウム(塩)、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム(塩)、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルグリシジルアンモニウム(塩)、ジメチルジアリルアンモニウム(塩)などがあげられる。前記アミノ基含有系単量体の塩としては、たとえば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メチル硫酸、エチル硫酸、酢酸、ギ酸、(メタ)アクリル酸、水酸化物などの塩があげられる。
【0048】
前記ヒドロキシアルキル系単量体の代表例としては、たとえば(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコールなどがあげられる。
【0049】
前記ポリオキシアルキレン系単量体の代表例としては、たとえばポリオキシアルキレン(メタ)アクリル酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン(メタ)アクリル酸エステル、ポリオキシアルキレンモノアルキル(メタ)アクリル酸エステル、ポリオキシアルキレンモノアルケニル(メタ)アクリル酸エステル、ポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシアルキレングリセリン(メタ)アリルエーテルなどがあげられる。なお、ここでポリオキシアルキレンの原料であるアルキレンオキシドとしては、たとえばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。アルキレンオキシドの繰り返し単位は1〜50であり、結合形式はランダム、交互、ブロックのいずれであってもよい。また、アルキレン基の炭素原子数はそれぞれ1〜4個である。
【0050】
前記共重合成分中における単量体Eの含有量は、20重量%以下とすることが好ましい。
【0051】
本発明の乳化分散剤の製造方法は、とくに限定されず、溶液重合法、乳化重合法および懸濁重合法のいずれも採用することができる。好ましくは前二者の方法であり、とくに好ましくは乳化重合法である。
【0052】
溶液重合法または乳化重合法によって乳化分散剤を調製するばあい、重合用溶媒(媒体)としては、水をはじめ、たとえばベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、クロロメタン、クロロエタン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの有機溶剤などがあげられ、これらの溶媒は適宜併用してもよい。
【0053】
連鎖移動剤としては、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの使用が最適であるが、その他の連鎖移動剤として、たとえばメタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール、オクタンチオール、ドデカンチオール、ベンゼンチオール、トルエンチオール、α−ナフタレンチオール、β−ナフタレンチオール、メルカプトメタノール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、チオグリコール酸、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸n−オクチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸ドデシル、チオグリコール酸オクタデシル、チオグリコール酸ベンジル、チオグリコール酸メトキシエチル、チオグリコール酸メトキシブチル、β−メルカプトプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸メチル、β−メルカプトプロピオン酸エチル、β−メルカプトプロピオン酸プロピル、β−メルカプトプロピオン酸ブチル、β−メルカプトプロピオン酸n−オクチル、β−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル、β−メルカプトプロピオン酸ドデシル、β−メルカプトプロピオン酸オクタデシル、β−メルカプトプロピオン酸ベンジル、β−メルカプトプロピオン酸メトキシエチル、β−メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、トリメチロールプロパントリス−(β−メルカプトプロピオネート)などのチオール(メルカプタン)類、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化炭素類、ブロモトリクロロエタン、ブロモベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなどのアミン類、m−ジニトロベンゼンなどのニトロ化合物、sec−ブチルアルコールなどのアルコール類、アルデヒド類、スルフィド類、スルホキシド類、スルホン類その他、次亜リン酸塩、クメン、アントラセン、アリル化合物、ジイソブチレン、テルピノレン、β−テルピネン、γ−テルピネン、1,4−シクロヘキサジェン、2−メチル−1,4−シクロヘキサジエンなどがあげられる。これらの連鎖移動剤は、単独でまたは2種以上を併用することができる。連鎖移動剤の使用量は、単量体の総量に対し0.01〜20重量%、なかんづく0.1〜5重量%であることが好ましい。
【0054】
重合開始剤としては、たとえばベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、2,2´−アゾビス−(2−アミジノプロバン)−ヒドロクロライド、レドックス系開始剤(過酸化水素−塩化第一鉄、過硫酸アンモニウム−酸性亜硫酸ナトリウムなど)などのラジカル供与剤があげられる。
【0055】
また乳化重合法を採用するばあい、通常の乳化剤を使用すればよい。かかる乳化剤の具体例としては、たとえば脂肪酸塩、ロジン酸塩、硫酸化脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホ脂肪酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホコハク酸モノエステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルスルホコハク酸モノエステル塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテルスルホコハク酸モノエステル塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、アルケニル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸エステル塩などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンアルケニルエステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエステル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、N,N−ジヒドロキシエチルアルキルアミド、ポリオキシアルキレンアルキルアミド、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンペンタエリスリトールアルキルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンなどの非イオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アルキルアンモニウム塩、アルキルアラルキルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルピコリニウム塩などのカチオン性界面活性剤、アミノ酸型、べタイン型、スルホン酸型、硫酸エステル型、リン酸エステル型などの両性界面活性剤、カゼイン、β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、ポリカルボン酸塩、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリルアミド、スチレン−マレイン酸共重合体(またはその誘導体)、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、アミンーエピクロルヒドリン樹脂、(ポリ)アルキレンポリアミンーエピクロルヒドリン樹脂、ポリ(ジアリルアミン)−エピクロルヒドリン樹脂などの高分子型界面活性剤などがあげられる。これらの界面活性剤は単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。なお、本発明においては、本発明の乳化分散剤を、その製造時の重合用乳化剤としてそのまま用いることもできる。
【0056】
乳化分散剤の製造にあたっては、連鎖移動剤、単量体、重合開始剤および必要により界面活性剤からなる混合物の総量が通常5〜90重量%、好ましくは10〜60重量%であり、残部が媒体(水または有機溶媒)となるようにする。重合温度は40〜200℃、好ましくは50〜100℃であることが望ましい。
【0057】
本発明の乳化分散剤の平均分子量には、とくに限定がないが、好ましくは1000〜300000である。また、共重合体を構成する単量体は、ランダム、交互、ブロック、グラフトのいずれの結合形式であってもよい。
【0058】
本発明の乳化分散剤を用いることにより、きわめて微細な粒子径を有するロジン系物質水性エマルジョンを収得することができ、該エマルジョンは、室温中で少なくとも6カ月間安定であり、沈殿を生じることもない。また、希釈安定性がすぐれているので、上水はもとより、河川、井戸などの水を用いても充分に希釈することができ、抄紙時のパルプスラリーによく分散される。さらに、機械的安定性が良好であり、きわめて低泡性のものである。
【0059】
本発明のロジン系エマルジョンサイズ剤は、前記乳化分散剤、ロジン系物質および残部水から構成される。
【0060】
本発明において被分散体として用いられるロジン系物質とは、通常、ロジン類0〜95重量%程度ならびにロジン誘導体および/または強化ロジン誘導体5〜100重量%程度からなり、さらに必要に応じてこれらに50重量%までの増量剤を添加したものをいう。
【0061】
ここでロジン類としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどを単独でまたはこれらを混合して用いることができる。前記ロジン誘導体としては、たとえば水添ロジン(水素添加物)、不均化ロジン(不均化物)、重合ロジン、アルデヒド変性ロジン(アルデヒド変性物)、アルコール変性ロジン(アルコール変性物)、アミン変性ロジン(アミン変性物)などがあげられる。
【0062】
これらロジン誘導体のうち、たとえばアルデヒド変性ロジンは、通常ロジンとその2〜8重量%程度のホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドを硫酸、パラトルエンスルホン酸などの酸性触媒の存在下で140〜200℃程度の温度で0.5〜3時間程度反応させることによってえられる。
【0063】
また、ロジンエステル類には、とくに制限がなく、各種公知のものを適宜選択して用いることができる。ロジン類のエステル化に用いられるアルコール類としては、たとえばn−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどがあげられる。これらは単独でまたは2種以上を混合に用いることができる。これらのなかではグリセリン、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールの3価以上の多価アルコールが好ましい。
【0064】
強化ロジン誘導体としては、たとえば前記ロジン類および/またはロジン誘導体と、式(V):
【0065】
【化11】
【0066】
で表わされる基を含有する酸性化合物(親ジエン試薬)とを付加反応させることによってえられる化合物などがあげられる。
【0067】
前記酸性化合物の具体例としては、たとえば無水マレイン酸、マレイン酸、低級アルコールと無水マレイン酸からえられるマレイン酸モノエステル類またはマレイン酸ジエステル類、フマル酸、N−アルキルマレイミド類、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸、無水シトラコン酸、(メタ)アクリル酸などおよびこれらの混合物を例示することができるが、これらのなかでも無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル類、イタコン酸、イタコン酸無水物およびアクリル酸が好ましい。
【0068】
強化ロジン誘導体は、前記ロジン類および/またはロジン誘導体70〜98重量%程度、好ましくは80〜97重量%と、前記酸性化合物2〜30重量%程度、好ましくは3〜20重量%とを150〜250℃程度の温度で加熱反応させることによってえられる。
【0069】
また、前記増量剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどのワックス、石油樹脂、テルペン樹脂、これらの水素化物などの炭化水素樹脂などを例示することができる。
【0070】
前記ロジン系エマルジョンサイズ剤におけるロジン系物質の含有量は、えられるサイズ剤のサイズ効果の点から、通常5重量%以上、とくに20重量%以上とすることが好ましく、またサイズ剤のエマルジョン安定性を考慮すれば、70重量%以下、とくに60重量%以下であることが好ましい。
【0071】
前記乳化分散剤を用いて本発明のエマルジョンサイズ剤を製造するには、たとえば特公昭53−4866号(溶融高圧乳化法)、特公昭53−22090号(溶剤高圧乳化法)、特開昭52−77206号、特公昭58−4938号(反転乳化法)などに記載された公知のいずれの方法を採用することもできる。
【0072】
たとえば、溶剤高圧乳化法によるばあいには、あらかじめ水に不溶な有機溶剤に溶解させたロジン系物質に対して乳化分散剤と水、必要に応じて水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、低級アミンなどの塩基性物質を加え、ホモジナイザー、ピストン型高圧乳化機、超音波乳化機などを用いて乳化させ、ついで該有機溶剤を留去させることによってえられる。なお、乳化分散剤の添加時期はとくに制限がなく、少量の塩基性物質または界面活性剤を用いて乳化させたばあいには、乳化機を通した後でも、また溶剤留去後でもさしつかえがなく、いずれも良好な水性エマルジョンを収得することができる。
【0073】
また、反転法によるばあいには、たとえばつぎのようにして行なうことができる。すなわち、ロジン物質を通常90〜160℃に加熱攪拌して溶融ロジン物質を調製する。ついで該溶融ロジン物質を撹拌しながら、これに前記乳化分散剤の水溶液または該水性エマルジョンと所定量の熱水とを添加して転相させ、ロジン物質が分散相であり、水が連続相であるエマルジョンを形成させる。
【0074】
前記高圧乳化、反転乳化に際しては、乳化分散剤の使用量は、乳化分散力を充分にするために、通常ロジン系物質の固形分に対して1重量%以上、とくに2重量%以上とすることが好ましく、また経済性を考慮すれば、通常ロジン系物質の固形分に対して30重量%以下、とくに20重量%以下であることが好ましい。なお、所望により、えられたこれらのエマルジョンを水またはアルカリ水で希釈してpHを調整することができる。
【0075】
また、前記溶剤高圧乳化、反転乳化に際しては、前記乳化分散剤に加えて発泡性やサイズ効果に悪影響しない程度に界面活性剤を添加することもできる。該界面活性剤としては、前記乳化分散剤を乳化重合法によって調製する際に用いられた各種のものを例示することができる。
【0076】
えられたロジン系エマルジョンサイズ剤は、通常は固形分が5〜70重量%、好ましくは30〜60重量%、pHが2〜6.5、粒子径が0.1〜1μm程度の乳白色エマルジョンである。
【0077】
本発明の乳化分散剤が用いられた本発明のロジン系エマルジョンサイズ剤は、これをパルプの水分散液に添加し、pH4〜8でサイジングする方法に適用され、幅広い抄紙pH域で成紙にすぐれたサイズ効果を付与することができる。このばあい、該エマルジョンサイズ剤の使用量は、パルプ固形分に対して通常固形分換算で0.05〜3重量%程度、好ましくは0.1〜1重量%である。
【0078】
本発明のエマルジョンサイズ剤は、pH4〜8と幅広い抄紙条件に適用することができるため、填料として酸性条件下では使用しえなかった炭酸カルシウムを好適に使用することができる。また、硫酸バンドの使用量は、固形分換算でパルプに対して通常0.5〜10重量%程度、なかんづく1〜5重量%とすることが好ましく、またカチオン性の定着剤として、たとえばカチオン化澱粉、ポリアミドポリアミンのエピクロヒドリン変性物、カチオン性ポリアクリルアミドなどの各種公知のものを用いることができる。かかるカチオン性の定着剤の使用量は、固形分換算でパルプに対して通常0.01〜1.0重量%程度であることが好ましい。また、パルプに添加するサイズ剤、硫酸バンド、定着剤の添加順序は任意である。
【0079】
本発明のロジン系エマルジョンサイズ剤は、セルロース繊維の抄造のみならず、該繊維と、石綿、岩綿などの鉱物繊維やポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンなど合成繊維との混合物を抄造して、紙、板紙、繊維板などを製造する際にも好適に使用しうるものである。
【0080】
本発明のエマルジョンサイズ剤は、表面サイズ剤としても用いることができ、このばあい、あらかじめ抄造された湿紙に噴霧、浸漬、塗布などの慣用方法を採用することができる。
【0081】
【実施例】
以下に実施例および比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、各例中、部および%は重量基準である。
【0082】
(乳化分散剤の製造)
製造例1
2−エチル−2−メチルヘキサン酸ビニル2.5部、2−メチル−2−プロピルペンタン酸ビニル4部、2,2−ジメチルヘプタン酸ビニル3.5部、酢酸ビニル10部、アクリル酸n−ブチル40部およびメタクリル酸40部からなる単量体混合物100部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン2部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(オキシエチレン単位15)3部、過硫酸アンモニウム4部、ならびに水400部を混合し、70℃で3時間撹拌下に乳化重合させた。
【0083】
重合完了後、28%アンモニア水28部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、乳化分散剤をえた。えられた乳化分散剤の平均分子量は50000であった。
【0084】
製造例2
表1に示した単量体混合物100部、テルピノレン(1,4(8)−p−メンタジエン)5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム6部、ベンゾイルペルオキシド10部および水400部を混合し、70℃で5時間撹拌下に乳化重合させた。
【0085】
重合完了後、48%水酸化カリウム水溶液48部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、乳化分散剤をえた。えられた乳化分散剤の平均分子量は30000であった。
【0086】
製造例3
表1に示した単量体混合物100部、ドデカンチオール1部、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルスルホスクシネート二ナトリウム(オキシエチレン単位30)10部、アゾビスイソブチロニトリル1部および水400部を混合し、70℃で1時間撹拌下に乳化重合させた。
【0087】
重合完了後、48%水酸化ナトリウム水溶液29部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、乳化分散剤をえた。えられた乳化分散剤の平均分子量は60000であった。
【0088】
製造例4
表1に示した単量体混合物100部、四臭化炭素3部、スルホコハク酸ビス(2−エチルヘキシル)ナトリウム2部、過硫酸カリウム3部および水400部を混合し、70℃で2時間撹拌下に乳化重合させた。
【0089】
重合完了後、48%水酸化カリウム水溶液52部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、乳化分散剤をえた。えられた乳化分散体の平均分子量は20000であった。
【0090】
製造例5
表1に示した単量体混合物100部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.1部、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(オキシエチレン単位50)10部、ラウロイルペルオキシド0.2部および水400部を混合し、70℃で4時間撹拌下に乳化重合させた。
【0091】
重合完了後、28%アンモニア水47部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、乳化分散剤をえた。えられた乳化分散剤の平均分子量は250000であった。
【0092】
製造例6
表1に示した単量体混合物100部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン2部、ポリオキシエチレンジノニルフェニルリン酸(オキシエチレン単位10)8部、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4部および水400部を混合し、70℃で8時間撹拌下に乳化重合させた。
【0093】
重合完了後、48%水酸化ナトリウム水溶液39部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、乳化分散剤をえた。えられた乳化分散剤の平均分子量は40000であった。
【0094】
製造例7
表1に示した単量体混合物100部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン10部、ラウリル硫酸ナトリウム6部、過硫酸アンモニウム3部、亜硫酸水素ナトリウム3部および水400部を混合し、50℃で2時間撹拌下に乳化重合させた。
【0095】
重合完了後、28%アンモニア水25部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、乳化分散剤をえた。えられた乳化分散剤の平均分子量は5000であった。
【0096】
製造例8
表1に示した単量体混合物100部、ドデカンチオール0.2部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(オキシエチレン単位100)15部、tert−ブチルヒドロパーオキシド0.2部および水400部を混合し、60℃で10時間撹拌下に乳化重合させた。
【0097】
重合完了後、28%アンモニア水21部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、乳化分散剤をえた。えられた乳化分散剤の平均分子量は150000であった。
【0098】
製造例9
表1に示した単量体混合物100部、四臭化炭素5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、アゾビスイソブチロニトリル5部および水400部を混合し、90℃で2時間撹拌下に乳化重合した。
【0099】
重合完了後、48%水酸化ナトリウム水溶液39部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、乳化分散剤をえた。えられた乳化分散剤の平均分子量は10000であった。
【0100】
製造例10
表1に示した単量体混合物100部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン1部、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド10部、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)−ヒドロクロリド4部および水400部を混合し、70℃で6時間撹拌下に乳化重合させた。
【0101】
重合完了後、28%アンモニア水44部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、乳化分散剤をえた。えられた乳化分散剤の平均分子量は90000であった。
【0102】
製造例11
表1に示した単量体混合物100部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン5部、スルホコハク酸ビス(2−エチルヘキシル)ナトリウム4部、過硫酸アンモニウム10部および水400部を混合し、80℃で3時間撹拌下に乳化重合させた。
【0103】
重合完了後、48%水酸化ナトリウム水溶液45部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、乳化分散剤をえた。えられた乳化分散剤の平均分子量は30000であった。
【0104】
製造例12
表1に示した単量体混合物100部、シクロペンタジエン0.2部、ドデカンチオール0.5部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム1部、30%過酸化水素水10部および水400部を混合し、60℃で6時間撹拌下に乳化重合させた。
【0105】
重合完了後、28%アンモニア水28部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、乳化分散剤をえた。えられた乳化分散剤の平均分子量は80000であった。
【0106】
比較製造例1
表1に示した単量体混合物100部、ドデカンチオール5部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム(オキシエチレン単位12)4部、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル(オキシエチレン単位10)1部、過硫酸カリウム2部および水400部を混合し、80℃で4時間撹拌下に乳化重合させた。
【0107】
重合完了後、48.5%水酸化カリウム水溶液35部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、乳化分散剤をえた。えられた乳化分散剤の平均分子量は50000であった。
【0108】
比較製造例2
表1に示した単量体混合物100部、クメン5部、イソプロピルアルコール5部、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホスクシネートカリウム8部、ソルビタンジオレート3部、過硫酸アンモニウム1部、ベンゾイルペルオキシド1部および水400部を混合し、90℃で3時間撹拌下に乳化重合させた。
【0109】
重合完了後、48.5%水酸化ナトリウム水溶液17部および28%アンモニア水12重量部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、乳化分散剤をえた。えられた乳化分散剤の平均分子量は20000であった。
【0110】
比較製造例3
表1に示した単量体混合物100部、ドデカンチオール5部、ラウリル硫酸ナトリウム10部、過硫酸カリウム5部および水400部を混合し、90℃で3時間撹拌下に乳化重合させた。
【0111】
重合完了後、28%アンモニア水28.2部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、乳化分散剤をえた。えられた乳化分散剤の平均分子量は20000であった。
【0112】
比較製造例4
表1に示した単量体混合物100部、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン2部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部、ベンゾイルペルオキシド4部および水400部を混合し、80℃で8時間撹拌下に乳化重合させた。
【0113】
重合完了後、48%水酸化カリウム水溶液43.6部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、乳化分散剤をえた。えられた乳化分散剤の平均分子量は50000であった。
【0114】
比較製造例5
表1に示した単量体混合物100部、ドデカンチオール5部、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム(オキシエチレン単位13)5部、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(オキシエチレン単位9)2部、過硫酸カリウム3部および水400部を混合し、80℃で6時間撹拌下に乳化重合させた。
【0115】
重合完了後、28%アンモニア水28.2部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し乳化分散剤をえた。えられた乳化分散剤平均分子量は10000であった。
【0116】
比較製造例6
表1に示した単量体混合物100部、ドデカンチオール5部、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル硫酸ナトリウム(オキシエチレン単位13)5部、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(オキシエチレン単位9)2部、過硫酸カリウム3部および水400部を混合し、80℃で6時間撹拌下に乳化重合させた。
【0117】
重合完了後、28%アンモニア水42.1部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、乳化分散剤をえた。えられた乳化分散剤の平均分子量は20000であった。
【0118】
比較製造例7
表1に示した単量体混合物100部、ドデカンチオール5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、過硫酸カリウム5部および水400部を混合し、80℃で4時間撹拌下に乳化重合させた。
【0119】
重合完了後、28%アンモニア水14部を添加し、1時間撹拌したのち、25℃まで冷却し、乳化分散剤をえた。えられた乳化分散剤の平均分子量は20000であった。
【0120】
なお、表1中、各略は以下の単量体を意味する。
【0121】
単量体a−1:2−エチル−2−メチルヘキサン酸ビニル
単量体a−2:2−メチル−2−プロピルペンタン酸ビニル
単量体a−3:2,2−ジメチルヘプタン酸ビニル
単量体a−4:2−エチル−2−メチルヘプタン酸ビニル
単量体a−5:2−メチル−2−プロピルヘキサン酸ビニル
単量体a−6:2,2−ジメチルオクタン酸ビニル
単量体b−1:酢酸ビニル
単量体b−2:ピバリン酸ビニル
単量体b−3:酪酸ビニル
単量体b−4:2,2−ジエチルヘキサン酸ビニル
単量体b−5:2−エチル−2−プロピルペンタン酸ビニル
単量体c−1:アクリル酸メチル
単量体c−2:メタクリル酸メチル
単量体c−3:アクリル酸エチル
単量体c−4:メタクリル酸エチル
単量体c−5:アクリル酸n−ブチル
単量体c−6:アクリル酸イソブチル
単量体c−7:アクリル酸tert−ブチル
単量体c−8:メタクリル酸n−ブチル
単量体c−9:メタクリル酸イソブチル
単量体c−10:メタクリル酸tert−ブチル
単量体c−11:アクリル酸2−エチルヘキシル
単量体c−12:メタクリル酸2−エチルヘキシル
単量体c−13:アクリル酸ラウリル
単量体c−14:メタクリル酸ラウリル
単量体c−15:アクリル酸ステアリル
単量体c−16:メタクリル酸ステアリル
単量体d−1:アクリル酸
単量体d−2:メタクリル酸
単量体e−1:スチレン
単量体e−2:ビニルトルエン
単量体e−3:マレイン酸
単量体e−4:無水マレイン酸
単量体e−5:アクリルアミド
単量体e−6:アクリル酸2−ヒドロキシエチル
単量体e−7:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
単量体e−8:メタクリル酸ジメチルアミノエチル
【0122】
【表1】
【0123】
(ロジン系物質の製造)
参考例1
トール油ロジン1800部を加熱溶融し、165℃で撹拌しながら触媒としてp−トルエンスルホン酸モノ水和物2.7部を添加した。ついで37%ホルムアルデヒド水溶液118部を160〜170℃で90分間を要して添加した。同温度でさらに1時間撹拌してホルムアルデヒド変性ロジンをえた。この変性ロジンにさらにガムロジン1200部を添加して175℃で1時間撹拌混合した。えられた混合物を2950部およびフマル酸177部を加熱溶融して200℃で3時間反応させた。えられたロジン物質(1)の酸価は203、軟化点(環球法、以下同様)は103.5℃であった。
【0124】
参考例2
ガムロジン1000部およびフマル酸190部を200℃に加熱溶融させ、同温度で4時間反応させた。えられた強化ロジンは、酸価286、軟化点138.5℃であった。かくしてえられた強化ロジン550部およびガムロジン500部を170℃に加熱し、30分間混合してロジン物質(2)をえた。えられたロジン物質(2)の酸価は230、軟化点は110℃であった。
【0125】
参考例3
ガムロジン100部およびグリセリン4部(仕込み当量比(−OH/−COOH)=0.43)をチッ素気流下に、250℃まで加熱し、同温度で8時間エステル化させ、酸価91、軟化点81℃の反応物をえた。ついで、えられた反応物を160℃に調温して無水マレイン酸9部を加え、210℃で2時間加熱保温し、酸価183、軟化点102℃のロジン物質(3)をえた。
【0126】
(エマルジョンサイズ剤の製造)
実施例1〜12および比較例1〜7
表2に示すように、参考例1〜3でえられたロジン系物質100部を撹拌機および温度計を付したフラスコに仕込み、150℃で加熱溶融させた。撹拌しながら、表2に記載の各共重合体の所定量を、溶融ロジン系物質に2〜3分間で添加し、クリーム状の油中水型エマルジョンを生成させた。
【0127】
えられたエマルジョンを激しく撹拌しながら、これにさらに熱水(90℃)を添加し、水中油型のエマルジョンに転相させたのち、30℃まで急冷した。
【0128】
こうしてえられた各エマルジョンの粒子径、粘度、機械的安定性、貯蔵安定性および硬水分散性を以下の方法で測定した。その結果を表3に示す。
【0129】
【表2】
【0130】
(1)粒子径
レーザー回折式粒子径測定装置を用いて測定
(2)粘度
BM型粘度計で60rpm、25℃にて測定
(3)機械的安定性
エマルジョン50gをマーロン式安定度試験機(新星産業(株)製)の容器に秤取し、温度30℃、荷重10kg、回転速度1000r.p.m.で20分間機械的シェアーを加えたのち、生成した凝集物を100メッシュの金網で濾取し、機械的安定性を次式にしたがって算出した。
【0131】
機械的安定性(%)=(凝集物の絶乾重量/試料エマルジョンの絶乾重量)×100
(4)貯蔵安定性
40℃、60日後の凝集物量を測定
(5)硬水分散性
硬度1000゜DHの硬水にエマルジョン1滴を滴下したときの状態を観察した。分散性が良好であるばあいを○、そうでないばあいを×とした。
【0132】
【表3】
【0133】
表3に示された結果から、本発明の乳化分散剤を用いることにより、公知の分散剤(比較製造例1〜7)を用いるばあいと対比して、機械的安定性、貯蔵安定性および硬水分散性にすぐれたエマルジョンを収得しうることがわかる。
【0134】
実用試験1
発泡性(イ)
硬度100゜DHの硬水を用い、各実施例または比較例でえられたエマルジョンを固形分濃度5%に希釈し、この希釈液につき、JIS K 3362に準じて泡の高さ(mm)を測定した。
【0135】
発泡性(ロ)
パルプ(L−BKP)の1%水性スラリーに、パルプに対して炭酸カルシウムを10%、各実施例または比較例2でえられたエマルジョン(固形分換算)5%、および硫酸バンド1.5%を添加してえられた水性スラリー(pH7.5)1リットルを、JIS K 3362に規定された装置に入れ、内容物をポンプで10分間循環(8リットル/分)したのち、循環を止めて泡の高さ(mm)を測定した。
【0136】
発泡性(イ)および(ロ)の試験結果を表4に示す。
【0137】
実用試験2
各実施例または比較例でえられた水性エマルジョンを製紙用サイズ剤として用いたばあいの成紙のサイズ度(秒)をステキヒト法(JIS P8122)によって測定した。
【0138】
すなわち、400mlカナディアンスタンダードフリーネスまで叩解したパルプ(L−BKP/N−BKP=2/1)を2%の水性スラリーとし、50℃に保温した。ついで該パルプスラリー500gを秤量し、対パルプ1.5%(絶乾重量基準)の硫酸バンドと、対パルプ0.2%または0.5%(絶乾重量基準)の水性エマルジョンの順序で薬品を添加し、均一に拡散させたのち、TAPPIスタンダード・シート・マシンを用いて坪量60±1g/m2となるように抄紙した。このときのスラリーのpHは5であった。これを5kg/cm2の圧力をかけ5分間脱水し、ついでドラムドライヤーで100℃にて1分間乾燥し、さらにこの紙料を20℃、相対湿度65%の条件で24時間調湿したのち、サイズ効果を測定した。その結果を表4に示す。
【0139】
実用試験3
叩解度300mlのパルプ(新聞古紙、炭酸カルシウム5%含有)を2%の水性スラリーとし、50℃に保温した。これに対パルプ1.0%(絶乾重量基準)の硫酸バンド、ついで対パルプ0.3%(絶乾重量基準)の水性エマルジョンの順で添加した。そののち、pH7.0の希釈水で、このスラリーを1%まで希釈し、均一に拡散させたのち、実用試験1と同様に抄紙しサイズ効果を測定した。このときのスラリーのpHは7であった。その結果を表4に示す。
【0140】
【表4】
【0141】
表4に示された結果から、本発明のロジン系エマルジョンサイズ剤は、低泡性にすぐれ、高温抄紙時や高pH抄紙時においてすぐれたサイズ効果を呈するものであることがわかる。
【0142】
【発明の効果】
本発明の乳化分散剤は、乳化分散性がすぐれ、発泡性がきわめて低いため、ロジン系物質の粒子がきわめて微細で、安定性にすぐれ、かつ低泡性のロジン系水性エマルジョンを提供するものである。
【0143】
本発明の乳化分散剤は、これらの性能の点で従来の合成高分子型乳化分散剤と比較して顕著にすぐれたものである。
【0144】
また、本発明のロジン系エマルジョンサイズ剤は、分散安定性にすぐれ、いちじるしく低泡性であり、しかもpH、温度、硬度などの抄紙条件にほとんど左右されないため、広い抄紙pH域で用いることができ、高温抄紙時や高pH抄紙時においてもすぐれたサイズ度を呈するものである。
Claims (13)
- 共重合成分が単量体A1〜50重量%、カルボン酸ビニルエステル系単量体B1〜50重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体C1〜50重量%および(メタ)アクリル酸系モノマーD30〜70重量%からなる請求項1記載の乳化分散剤。
- 平均分子量1000〜300000を有する請求項1記載の乳化分散剤。
- 共重合成分がビニルエーテル系単量体、ニトリル系単量体、スチレン系単量体、モノカルボン酸系単量体、ジカルボン酸系単量体、ジカルボン酸モノエステル系単量体、スルホン酸系単量体、硫酸エステル系単量体、アミド系単量体、アミノ基含有単量体、アンモニウム基含有単量体、ヒドロキシアルキル系単量体およびポリオキシアルキレン系単量体からなる群より選ばれた少なくとも1種の単量体Eを含有したものである請求項1、2、3、4、5または6記載の乳化分散剤。
- 共重合成分における単量体Eの含有量が20重量%以下である請求項7記載の乳化分散剤。
- 請求項1〜8のうちの1に記載の乳化分散剤、ロジン系物質および水からなるロジン系エマルジョンサイズ剤。
- ロジン系物質5〜70重量%、該ロジン系物質の固形分に対して乳化分散剤1〜30重量%および残部の水からなる請求項9記載のロジン系エマルジョンサイズ剤。
- ロジン類がガムロジン、ウッドロジンまたはトール油ロジンである請求項11記載のロジン系エマルジョンサイズ剤。
- ロジン誘導体が前記ロジン類の水素添加物、不均化物、アルデヒド変性物、アルコール変性物またはアミン変性物である請求項11記載のロジン系エマルジョンサイズ剤。
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