JP3758113B2 - 車両の燃料供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の燃料供給装置に関し、特に燃料ポンプを収容するサブタンクを燃料タンク底部に取り付けたインタンク式燃料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインタンク式燃料供給装置において、燃料ポンプを内蔵するサブタンクを燃料タンクの開口遮蔽用の遮蔽部により上下動自在に保持し、更にスプリングでサブタンクを燃料タンクの底面に押さえつけた構造のサブタンク着底型燃料供給装置が提案されている。
【0003】
また、サブタンクを燃料タンクの開口遮蔽用の遮蔽部に棒状弾性部材で結合し、この棒状弾性部材の曲げ付勢力によりサブタンクを燃料タンクの底面に押し付ける構造のサブタンク着底型燃料供給装置も提案されている。
これらのサブタンク着底型燃料供給装置によれば、車体姿勢や燃料タンク底面の変形にもかかわらず、サブタンク底面の燃料吸入口は常に燃料タンク底面に追従するので、燃料ポンプへの燃料供給を円滑化でき、更に、このサブタンクに燃料レベル検出装置を設ける場合には燃料タンクの底面の位置変化にもかかわらず正確に燃料レベルを検出できるという利点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者のサブタンク着底型燃料供給装置では、所定の必要容積を有するサブタンクを、限られた大きさの燃料タンクの開口から燃料タンク内に挿入せねばならないために、どうしてもサブタンクの高さが増大することになり、その結果として、浅い燃料タンクに採用することができず、車種により多くの形状バリエーションを有する各燃料タンクの一部にしか採用することができず、量産効果を上げることができないという大きな欠点があった。もちろん、燃料タンクの開口を拡大すれば、サブタンクの必要容積を確保しつつその高さを縮小することができるが、このような開口の大型化は、燃料タンク強度の維持及び燃料蒸気の放散防止の点で好ましくない。
【0005】
また、後者のサブタンク着底型燃料供給装置では、サブタンクはレベル検出用のフロートなどを備えていることもあり、燃料タンクの底面に着座後の前後方向寸法はその高さよりも格段に大きいので、上述した公報が開示する棒状弾性部材を用いたサブタンク着底型燃料供給装置では、サブタンクを燃料タンクの開口からその内部に挿入する際に、サブタンクを燃料タンク内で約90度、回動させる必要があった。そのため、この棒状弾性部材を強く弾性変形させつつこの回動、挿入作業を行わねばならず、作業が複雑となり、更に、棒状弾性部材の両端部を支持する遮蔽部及びサブタンクの該当部位の強度を増大するなどの特別の形状工夫を必要とした。もちろん、燃料タンクの開口を拡大すれば、サブタンクの挿入は容易となるが、このような開口の大型化は、燃料タンク強度の維持及び燃料蒸気の放散防止の点で好ましくない。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、燃料タンクの開口を拡径することなく、浅底の燃料タンクにも容易に取り付け可能な車両の燃料供給装置を提供することを、その解決すべき課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の車両の燃料供給装置は、車両の燃料タンクの開口に嵌合する遮蔽部、前記燃料タンクの底面に着座可能な底部を有して前記燃料タンクに内設されるサブタンク、基端部が前記遮蔽部に上下動自在に保持され先端部が前記サブタンクを枢支する結合部、前記遮蔽部に支承されて前記結合部を前記燃料タンクの底部へ向けて付勢する弾性部、及び、前記サブタンクに収容されて前記遮蔽部を通じて外部に燃料を吐出する燃料ポンプを備える、前記サブタンクは、L字形状の前記結合部の先端部に枢支されて、前記遮蔽部の下部側方に配設され、前記結合部は、垂直方向に延在する前記基端部と、水平方向へ延在する前記先端部とを一体に有するL字状スライドプレートからなることを特徴としている。すなわち、車両の燃料タンクの開口に嵌合する遮蔽部はサブタンクに結合部を介して結合され、結合部は、遮蔽部に上下動自在に保持されて、サブタンクを回動自在に枢支し、スプリングが結合部を通じてサブタンクを燃料タンクの底部に付勢する。
【0008】
これにより、サブタンクは、まずその一側端面(以下、前端面という)から燃料タンクの開口に挿入された後、燃料タンク内へ所定の回動面内にて回動しつつ挿入され、約90度回動後、サブタンクの底面が燃料タンクの底部に着座する。
本構成によれば、燃料タンクが浅底であっても、燃料タンクの開口を拡径することなく、かつ、結合部に曲げ弾性を付与することなく、サブタンクを円滑に燃料タンクに収容することができ、その上、構造及び挿入作業も簡単となる。
【0009】
更に、結合部の形状を適宜変更することにより、上下動距離を超えて深底タンクや浅底タンクに適用することが簡単である。更に、サブタンクは、L字形状の結合部の先端部に枢支されて遮蔽部の下部側方に配設される。
【0010】
このようにすれば、一層浅底の燃料タンクにも適用することができる。
【0011】
【発明を実施するための態様】
本発明の車両の燃料供給装置の好適な態様を以下の実施例を参照して説明する。
【0012】
【実施例1】
本実施例の車両の燃料供給装置の縦断面図を図1に示し、そのサブタンク挿入工程を図2に示す。
この燃料供給装置1は図示しない燃料ポンプを内蔵する偏平密閉缶形状のサブタンク2を有して、樹脂製の燃料タンク3内に収容されている。
【0013】
燃料タンク3の開口30は、ガスケット4を介して燃料供給装置1の一部をなすブラケット(遮蔽部)5により閉鎖されており、リテーナ6は開口30を有する筒部31の外周に螺入されて、リブ付き厚円盤形状のブラケット5の上記リブ及びガスケット4の周縁部を筒部31の先端縁に押し付けてシールしている。
ブラケット5は燃料タンク3内に垂下する突出部50を有し、突出部50の左右側面(紙面奥行き方向)には一対の案内筒部(図示せず)が形成され、これら案内筒部にはそれぞれ、一対のL字状スライドプレート(結合部)7が上下動自在に嵌入されている。L字状スライドプレート7は、垂直方向に延在する円柱状の基端部71と、水平方向へ延在する先端部72とを有し、基端部71の下端には鍔状のストッパ73が設けられ、ストッパ73は、基端がブラケット5に支承されるスプリング8により下方へ付勢されている。これら一対のL字状スライドプレート7の先端部72はサブタンク2の左右側面から突出するピン20を回動自在に枢支しており、これにより、サブタンク2はL字状スライドプレート7の回動面内にて上下動、自転回動自在となっている。
【0014】
9はフロートアーム80の先端に設けられたフロートであって、フロートアーム80はサブタンク2に枢支されており、フロートアーム80の基端はサブタンク2内にて燃料レベルセンサ81のポテンショメータを回動させる構造となっている。
サブタンク2に内蔵された図略の燃料ポンプから吐出された加圧燃料は突出部50内のフィルタ、更にブラケット5内の燃料管を通じて外部に突出する燃料供給パイプ41を通じて外部へ送給される。
【0015】
サブタンク2の形状について更に説明する。
サブタンク2の前端面(サブタンク2を回動させつつ燃料タンク3内に挿入する際に燃料タンク3の底面32に最初に当たる側端面)21と底面22との間の角部が面取りされ、同様に、サブタンク2の後端面(前端面21と反対側の端面)23と底面22との間の角部も面取りされている。
【0016】
このサブタンク2を燃料タンク3内に挿入する作業を以下に説明する。
サブタンク2は、まずその前端面21から燃料タンク3の開口30に挿入された後、燃料タンク2内へ垂直回動面内にて回動しつつ挿入され、約90度回動後、サブタンク2の底面22が燃料タンク3の底部32に着座する。
サブタンク2の前端面21が燃料タンク3の底面32に接触し、サブタンク2の後端面23の一部がまだ燃料タンク3の開口0の外に残っている状態を図2に示す。
【0017】
サブタンク2は、図2の状態から垂直面内を回動しながら多少前方へ進出しつつ、燃料タンク3に挿入される。この時、前端面21は燃料タンク3の底面32をこすりながら回動し、後端面23は燃料タンク3の筒部31の内周面に接触乃至近接しながら回動する。
本構成では、サブタンク2の前後端面21、23が図2に示す斜線部だけ面取りされているので、開口30の径を増大することなく、燃料タンク3の深さを増大することなく、サブタンク2の容積を縮小することなく、サブタンク2を燃料タンク3に容易に挿入することができる。
【0018】
この時、サブタンク2の容積が最大となるのは、サブタンク2の頂面26が筒部31の下端をこじらず、前端面21が左右全幅にわたって燃料タンク3の底面32をスライドし、かつ、後端面23がその左右全幅にわたって筒部31の内周面に接する形状とした場合であることがわかる。
サブタンク2が燃料タンク3の底部32に着座した後、燃料重量の変動や車両姿勢の変化により、ブラケット5を基準として燃料タンク3の底部32の位置が変化しても、サブタンク2がスプリング8により底部32へ向けて常に付勢されるので、あるいは自重により、サブタンク2は常に燃料タンク3の底部32に接触状態を保持し、これによりサブタンク3の底面に設けられた燃料吸入口(図示せず)は、常に燃料タンク3の底部32に近接して保持される。
【0019】
また、サブタンク2は上述したように、回動しつつ開口30から燃料タンク3の内部に挿入されるので、サブタンク2の高さを押さえつつその必要容積を確保することができる。
なお、図1では、サブタンク2及び燃料タンク3の底部32を基準としてブラケット5及び燃料タンク3の上部が下動しているように記載しているが、これはブラケット5及び燃料タンク3の上部を基準としてサブタンク2及び燃料タンク3の底部32が上動する場合も同じであり、どちらの場合もブラケット5に対してサブタンク2及びL字状スライドプレート7が上下動して上記燃料タンク3の変位を吸収するものであることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の車両の燃料供給装置の縦断面図である。
【図2】図1のサブタンク2の前端面が燃料タンク3の底面32に接触し、サブタンク2の後端面がまだ燃料タンク3の開口30の外に残っている状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1は燃料供給装置、2はサブタンク、3は燃料タンク、5はブラケット(遮蔽部)、7はL字状スライドプレート(結合部)、7aはスライドプレート(結合部)。8はスプリング(弾性部)。
Claims (1)
- 車両の燃料タンクの開口に嵌合する遮蔽部、前記燃料タンクの底面に着座可能な底部を有して前記燃料タンクに内設されるサブタンク、基端部が前記遮蔽部に上下動自在に保持され先端部が前記サブタンクを枢支する結合部、前記遮蔽部に支承されて前記結合部を前記燃料タンクの底部へ向けて付勢する弾性部、及び、前記サブタンクに収容されて前記遮蔽部を通じて外部に燃料を吐出する燃料ポンプを備え、
前記サブタンクは、L字形状の前記結合部の先端部に枢支されて、前記遮蔽部の下部側方に配設され、
前記結合部は、垂直方向に延在する前記基端部と、水平方向へ延在する前記先端部とを一体に有するL字状スライドプレートからなることを特徴とする車両の燃料供給装置。
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