JP2745354B2 - 放電加工機の加工槽用シール - Google Patents

放電加工機の加工槽用シール

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JP2745354B2
JP2745354B2 JP4072973A JP7297392A JP2745354B2 JP 2745354 B2 JP2745354 B2 JP 2745354B2 JP 4072973 A JP4072973 A JP 4072973A JP 7297392 A JP7297392 A JP 7297392A JP 2745354 B2 JP2745354 B2 JP 2745354B2
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賢治 五十嵐
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Makino Milling Machine Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械本体に対して加工
槽枠が上下動するタイプの放電加工機における機枠と加
工槽枠との間に装着して、両者間の水密を保持するよう
にした放電加工機の加工槽用シールに関する。
【0002】
【従来の技術】ベッドに取付けたテーブルを囲んでコ字
状の加工槽枠を設けると共に、前記加工槽層枠とベッド
およびテーブルによって囲まれた有底空間に加工液を満
たしテーブルに固定したワークを加工液中で放電加工を
行うタイプの放電加工機では、 テーブルにワークを固定または取り外すのに加工槽枠
が邪魔になるので、相対的に加工槽枠を下降させる。 稼動中、ワークは加工液中に浸漬して加工されるか
ら、加工液を満す加工槽枠は相対的に上昇させる。 必要があるから、機械本体と加工槽枠との間には相対的
に滑りがあるべきで、かつ、加工槽内部には加工液を満
たすので、両者間の滑り面は水密でなければならない。
さもないと、滑り面部からの加工液の漏れが多くなり、
加工液面を所定値に維持できなかったり、容量が大きい
加工液補給ポンプを使用しなければならない。
【0003】ワークの加工が終了した後にはテーブル
から取り外す前に、すみやかに加工液を排出するので、
そのためには加工槽枠と機械本体との間の滑り面の水密
を解放するのが効率的である。 加工液中には放電加工により生じた多量のスラッジが
混っているため、それによってシール面を傷めたり、水
密の耐用時間が損われるようであってはならない。 等々の課題をかかえており、そのため、従来、たとえ
ば、加工槽枠と機械本体との間に装着する弾性体よりな
るシール材断面を中空構造とし、その中空部にエアー、
加工液、潤滑油等の流体を封入もしくは圧入し、シール
材断面を拡大させることにより、両者間のシール面の水
密を確保する手段が採用されている。また、前記流体を
排出させてシール材断面を縮小し、加工槽枠と機械本体
との間の隙間を大きく開いて、そこから槽内の加工液を
外部に排出する(実開平3−19631号公報参照)よ
うなことが提案されている。
【0004】ところで、上述シール部材の詳細構造は、
いずれも、ニトリルゴム、フッ素ゴム等の素材の中空弾
性体より成る円形(楕円形を含む)チューブをテーブル
側に設けた凹溝に嵌着して、その一面を上下動する加工
槽枠面に対し若干の隙間を設けて対向させる一方、チュ
ーブの中空部に圧搾空気を注入して、これを凹溝内で膨
張させることによりチューブと加工槽枠面との間にある
隙間を密封するようにし、結局テーブルと加工槽枠との
間のシールを確保するようにしたものである。もち論、
単純にテーブルと加工槽枠との間のシールを確保するだ
けであれば、前記チューブの中空部に圧搾空気を封入す
るだけで充分である。
【0005】また、上記シールチューブ以外にも、表面
をコーティングした断面角形のパッキンとか、弾性力あ
る円筒状シール部材などが、従来、加工槽枠と機械本体
との間をシールするための部材として使用されていた。
上述のような、従来知られている弾性体よりなる中空円
筒チューブ部材は、加工槽枠の隅をシャープにするとか
シールラインを鋭く曲げるなどすると、当該個所におけ
るチューブ部材が折れ曲って円形断面が歪むとか、シー
ルの断面形状および素材の均一柔軟性が失われたりなど
して加工槽枠と機枠本体との間のシール作用が破れるお
それがある。
【0006】もしくは、シール部材が加工槽枠などの隅
の曲げ半径になじまず、当該個所のシール特性が低下す
る。さらに、断面円形のシール部材の滑動シール面は、
一般にシール面積が広くなるので単位面積当りの圧接力
が小さくなりシール特性が低下し勝ちで、対策として注
入流体の内圧を高くすれば、加工液中のスラッジに接す
る表面に傷が付き易くなったり、シールの耐用時間が短
くなったりする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来公知の
シール部材が内包する上述問題点を解消することを目的
とするものであって、 加工槽の隅部をシャープにしシール部材の曲げ半径を
小さくした場合にも、シールの形状・柔軟性が均一であ
って、当該個所のシール特性が低下することがない、 局部的にシール圧力を集中することにより、シール特
性を向上させる、 中空部に加圧流体を圧入・排出させるタイプの場合
は、上記特性のほか、比較的低圧な流体により部分的に
変形(膨張)して良好なシール特性が得られ、また、シ
ールすべき個所に対し変形率が大きく、除圧状態におけ
るシール間隙を広くすることができて、加工液の排出に
効果的である、 放電加工機の加工槽用シール部材を提供しようとするも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明加工槽用シール
は、上記目的を達成するため、以下に述べるとおりの構
成要件を具備してなる。1.加工槽枠が上下動するタイ
プの放電加工機において、復元性が良好な弾性体により
細長状に形成し、その断面形状が凹辺四角で四つの突
出角部を備え、そのほぼ中心部に中空孔を穿設してな
り、少なくとも二つの前記突出角部がシール面に対向す
るよう放電加工機本体と加工槽枠との間に装備して両者
間の水密を維持するようにした放電加工機の加工槽用シ
ール。
【0009】2.加工槽枠が上下動するタイプの放電加
工機において、復元性が良好な弾性体により細長状に形
成し、その断面形状が凹辺四角で四つの突出角部を備
え、前記凹辺四角形断面のうちの隣接する二つの前記突
出角部の内側間をつないで、その外周面との間に薄肉を
残し、ほぼ弧状断面よりなる圧力流体受入れ中空孔を穿
設してなるチューブを形成し、同チューブの前記中空孔
側面を放電加工機本体と加工槽枠との間に並行して挾む
ように装着し、前記中空孔への圧力流体の供給・排出に
応じ、両者間の水密を確保し、また、解除するようにし
た放電加工機の加工槽用シール。
【0010】3.加工槽枠が上下動するタイプの放電加
工機において、復元性が良好な弾性体により細長状に形
成され、その断面形状が凹辺四角で四つの突出角部を
備え、前記凹辺四角形断面のうちの隣接する二つの前記
突出角部の内側間をつないで、その外周面との間に薄肉
を残し、ほぼ弧状断面よりなる圧力流体受入れ中空孔を
穿設すると共に、前記隣接する二つの突出角部の間に形
成される凹面部のほぼ中間位置で前記薄肉部の外周面側
にシール突起を一体的に突設してなるチューブを形成
し、同チューブの前記シール突起側を加工槽枠面に向け
放電加工機本体と加工槽枠との間に挾むよう装着し、同
チューブの中空孔への圧力流体の供給・排出に応じて、
両者間の水密を確保し、また、解除するようにした放
加工機の加工槽用シール。
【0011】
【作用】(そのI) (1)本発明加工槽用シールは、弾性体材料よりなり断
面形状が凹辺四角形で、中心部付近に大きめな中空孔を
設けてあるから、断面が、その軸心に対して均一な肉厚
を備えてなく、このためチューブ断面において、その薄
肉部分を結びほぼ、チューブ軸心を通る直線(二つの方
向にある)を折り曲げ線とすれば簡単に折り曲げ易く、
それによって歪む断面薄肉部のチューブ構成素材の容積
は、殆んどチューブの外側凹面と内側中空孔とに分散移
動して、折り曲げ隅角部のシール作用には影響を及ぼさ
ないので、加工槽枠のコーナR部の曲りを小さくして
も、当該個所のシール特性が低下するおそれはない。
【0012】(2)本発明加工槽用シールを、機械本体
に設けた角形凹溝に、その弾性に抗って圧入し、その一
面を加工槽枠面に当接した場合、枠シール面の漏れ方向
に対し、少なくとも二条の幅狭なシール部分を形成し、
従って当該シール部の接圧を比較的に大きくでき、シー
ル素材の弾性力と相俟って、シール特性が良好、かつ向
上する。 (3)シールの屈曲は、シール部材に対し縦、横の互に
90゜の向きに折り曲げて使用することができる。それ
によって、折り曲げ個所の特性が低下することはない。 (4)シール部材の中空部に圧力流体を封入し、さらに
シール特性に変化を与え、かつ、向上させることが可能
である。 (5)本発明加工槽用シールチューブを機械本体に設け
た角形凹溝に装着した場合、凹溝底側のチューブの隅角
部に隣接して形成されたシール部材の凹面部に抜け止め
バネ板を引掛けることにより、前記チューブを凹溝内、
すなわち機械本体側に固定することが容易である。
【0013】(6)また、加工槽枠面に対向・当接する
側のシール部材の二つの隅角部の間に形成された凹面部
外面のほぼ中央に、チューブの長手軸方向に沿って幅狭
なシール突起を一体的に形成しておけば、枠シール面に
対して三重のシール部分を形成することができ、より一
層、シール特性を良好にすることができる。 (7)以上のとおり、機械本体と加工槽枠との間のシー
ル特性を高めたことにより、加工液の漏れがない(少な
い)から、槽内に加工液が充満する時間を短縮すること
ができ、また、加工液の補給用ポンプも小さな容量のも
のでよい。 (8)加工槽の隅角部の形状をシャープにしても、前記
槽のシールが良好で、このため加工槽の容積を大にし、
同槽一杯のワークを装着することができ、さらに外観
上、放電加工機の商品的品位を高める。
【0014】(そのII) (そのI)に述べた(作用)に加えて、 (1)従来公知の加圧流体による素材の膨張変形を利用
して、シールまたはシールを解放するシールチューブの
場合は、一般に変形量が比較的に小さく、加工槽枠シー
ル面との間に広い隙間をあけることができず、そのため
槽からの加工液排出に時間がかかった(対策として、別
に排液装置を設ける必要があり得る)が、本発明シール
を利用すれば、加圧流体の供給によってシールチューブ
断面の薄肉側のみが加工槽枠のシール面に向って凸形に
拡張・変形するから、チューブの変形量が比較的に大き
く採れる上に、必ずしも素材が伸長することを要しない
(変形だけであって良い)。
【0015】(2)シール特性が良好である上に、加圧
流体を排出したときには、シールチューブと加工槽枠シ
ール面との間の隙間を幅広く採ることができるので、槽
からの加工液の排出時間が短縮される。 (3)シールチューブの薄肉部分のみが拡張・変形する
だけでよく、加圧によってシールの全体に無理な力が加
わることがないからシールの耐用時間などを伸ばすこと
ができる。また、必要以上に加圧することを要しないか
らチューブが破裂するおそれもない。
【0016】(4)必要に応じて、中空孔の周囲に柔軟
性のある繊維材等を埋設して、チューブの変形に対し補
強しても良い。 (5)シールチューブの機械本体側凹溝に嵌着した側
は、加圧によっても若干の変形をきたすだけで殆ど原形
を留めるから、機械本体側に対する定着性が損われるこ
とがない。 (6)シールチューブの断面形状および中空孔の形を選
択することにより、任意の変形量(といっても、限度は
あるが)を備えたシールを設計することができる。
【0017】(そのIII ) 上述(そのI)および(そのII)に説明した(作用)に
加え、 (1)薄肉変形部側前面に幅狭なシール突起を設けてあ
るため、加圧流体をチューブの中空部に供給することに
よる断面の変形圧力が前記幅狭なシール突起前面に集中
して、シール特性をさらに確実なものとする。 (2)中空部から圧力流体を排除すれば、シールチュー
ブ断面形状は旧に復し、前記のシール突起は隣接する突
出角部の間に形成された凹状面内に深く変移するので、
同突起が加工液排出のための槽枠面とシールチューブと
の間の隙間を狭めることがなく、槽内の加工液排出は良
好に行われる。
【0018】
【実施例】以下に、本発明加工槽用シールの典型的な実
施例の幾つかについて、図面に沿って説明するが、次に
述べる実施例の具体的形状については、本発明の出願当
時の当業界における公知の技術レベルの範囲内で適宜の
変形が可能であるから、格別の理由を示すことなく、本
実施例構造のみに基いて本発明の要旨を限定的に解釈し
てはならない。図2は、(従来の技術)の欄において説
明した公知のシール部材または本発明実施例シールを必
要とする、加工槽が上下方向に滑動可能な放電加工機の
一部を破断した斜視図を示す。
【0019】図中、1は、コラム5と一体的に形成され
たベッドで、側面がL字形に形成されている。ベッド1
の上側隅部には、コラム5に沿って、上面にワークを固
定するテーブル2が設けてあり、テーブル2の外周面と
前記コラム5前面に設けた縦溝6の側面とを連らねて、
連続的にシール部材取付け(凹)溝3が形成されてい
る。前記シール部材取付け溝3には図示のとおり、90
゜角の折り曲げ個所が少なくとも四個所存在する。4
は、加工槽枠であって、テーブル2を囲んで上、下開放
のコ字状に形成され、そのうちの三内面は、それぞれシ
ール部材取付け溝3内に収納したシール(チューブ)部
材7の一面と接触して水密面を形成し、その結果、テー
ブル2を底面とし加工槽枠4とベッド1のコラム側とに
より水密の加工槽を構成し、その中に加工液を収容する
ことができる。加工槽枠4は上下(矢印)方向に滑動可
能に設けてあり、したがって枠4内面とシール部材7と
の間には、相互に滑動、もしくは接離作用が存在する。
【0020】8は、シール部材取付け溝3に沿って取付
けたシール押え板である。9は、ベッド1の下側上面に
設けたカバーであって、その側縁がコラム5の前面に連
結して排出加工液の受入槽を構成し、上述、シール部材
7により形成された槽枠との間の水密を解除したとき
に、当該個所から排出される加工液を受入れるように設
けてある。10は、シール部材7がチューブ状である場合
に、その中空部分に加圧流体を供給または排出するとき
の流体継手で、シール部材7の一方側に結合されてい
る。上記シール部材7は、さきに説明したように少なく
とも四個所において縦方向または横方向に、ほぼ90゜
の折り曲げ部があって、その構造によっては当該個所の
シールまたはシール部材には(従来の技術)の欄に述べ
たような不都合が生じ易い。
【0021】(その1) 図1および図3は、本発明加工槽用シールの一実施例の
断面および装着状態の斜視図を示すもので、図1中、 7は、ニトリルゴムのような弾性と復元力を備え、
加工液によって侵されることのない素材より細長状に形
成されたシールチューブで、その断面形状は、ほぼ、凹
辺四角形または肉太X状あるいは十字形よりなり、その
各突出角端面11は、それぞれ丸く形成されている。1
2は、隣接する二つの突出角部の間をつなぐ凹部であっ
て、二つの突出角部端面11に接する直線により両者の
間を結ぶとき、前記凹部12面と直線との間に、それぞ
れ空間ができる。13は、チューブ断面のほぼ中心部に
穿設した、やや太めの円形中空孔である。
【0022】上記断面形状のシール71 を図3の斜視図
に示すように比較的に、狭い断面を備えた、たとえば、
図2に示すシール部材取付け溝3のようなチューブ取付
け溝に圧入して押え板8により固定し、長手方向に沿っ
て縦横に複数回直角に折り曲げ組付ける。その際のシー
ルチューブ71 の折り曲げ線は、チューブ断面中心を通
って対向する凹部12の中央部分を結ぶ線であって、それ
は縦、横に互に90゜の角度で交叉している。前記折り
曲げ線は、チューブ断面における薄肉部を通っていて、
肉厚(突出角)部分が前記折り曲げ線に近接して配置さ
れているので、チューブは同線を折り曲げ線にして強
く、たとえばシャープに90゜折り曲げ易く、そのとき
シールに生ずる素材の歪は、もっぱら、さきに述べた中
空部および周囲の凹空隙側で吸収するため、シールチュ
ーブ突出角端面11が変形したり変位することがない。
【0023】すなわち、折り曲げ個所においてもシール
特性が低下するおそれはない。そしてシール面、すなわ
ち、加工槽枠面に対向する側は、それぞれ二つの突出角
部の間に形成された凹部12であって、前記枠面に直接接
触する部分は、二つの突出角端面11になる。 再び図1に戻って、図中、14は、凹部12の中央外面に
一体的に施した幅狭なシール突起で、シールチューブを
取付溝に装着時、当該シール突起14を図3に示すとおり
加工槽枠シール面に当接する方向に取付けることによっ
て、シール面の構成は一対のシールの突出角端面11とシ
ール突起14との計3ヵ所によって形成されるので、シー
ル特性は、より向上する。
【0024】シールチューブは、取付け溝内に装着・
圧入する代りに、一端の中空部開口を密封して加圧流体
を封入するか、加圧流体を中空孔に供給または排出する
ようにして、幅狭なシール突起14を強くシール面に押圧
するか、解放することができる。
【0025】(その2) 図4は、本発明加工槽用シールの別の実施例の断面図を
示すものである。図中、7は、たとえば、ニトリルゴ
ムのような弾性があって復元力の大きな、かつ加工液な
どによって溶解することのない素材により、中空断面で
細長状に成形されたシールチューブ断面を示す。その
外形は凹辺四角形、肉太の十字形または厚肉X形と呼
ばれるような形状であって、その各突出角端面11は、
それぞれ丸味を帯びて成形される。16は、凹辺四角
断面に穿設した中空孔で、同孔16は、前記凹辺四角
断面の中心を外れ、たとえば、隣接する突出角端部の内
側を相互につなぎ、対応する凹部12の外側面との間に
薄肉部を残して、ほぼ三か月形に形成する。
【0026】上記断面形状のシールチューブを、図2に
示すシール部材取付け溝3に装着する際は、図5に示す
ようにシールチューブの中空孔16側が加工槽枠4に対向
する向きに配置する。図5において、2は放電加工機の
テーブル、3は、シールチューブ取付け溝、72 は、本
実施例チューブの断面、8は、シールチューブの押え
板、17は、前記チューブのガードシート、18は、シール
チューブ72 の抜出し防止バネ板を示す。
【0027】図示の場合は、シールチューブ72 の中空
孔16に加圧流体が供給されていない状態を示し、シール
チューブの素材が有する復元力によって旧状に復し、そ
の側面と加工槽枠4のシール面との間に比較的に広い隙
間が存在して、加工液は前記隙間から排出されるように
設けてあるが、前記中空孔16に加圧流体が供給される
と、図6に示すように、加圧流体は中空孔16を大きく拡
張させ、変形し易い薄肉部を変位させて、これをガード
シート17を介して加工槽枠面に強く押圧し両者間に存在
していた前記隙間を無くし、完全にシールが形成され
る。なお、ガードシート17は、シールチューブ72 を加
工液中のスラッジから守るためのものであって、本発明
における必須の構成ではない。
【0028】要するに、本実施例シールではシールすべ
き方向にのみチューブが変形するので、薄肉部の変位量
を大きく採れ、比較的に広い隙間を開閉することができ
る。したがって、加工液の給排作業を迅速に行うことが
可能になる。その際、中空孔16と反対側のチューブ肉厚
部は殆んど変形せず、押え板8および抜け出し防止バネ
板18と相俟って確実にシール部材取付け溝3内に確保さ
れている。このことは、また、中空孔16の除圧時におい
ても同様である。以上の作用からみて、シールチューブ
2 には無理な外力が加わらず、破裂するおそれはない
というものの、チューブの中空孔16の周囲には強化繊維
を埋没して加圧流体による内圧と薄肉材料の変形とに対
してシールチューブを補強することは自由である。本実
施例の、その他の作用・効果については、さきの(作
用)の欄に説明しているので参照されたい。
【0029】(その3)図4に示すシールチューブ断面
図中、14は、チューブ断面の中空孔16に隣接する凹部12
の外側面中央に一体的に突設した幅狭なシール突起で、
同突起14の先端面は、ほぼ、隣接する突出角部の外端を
結ぶ直線に接する程度であって良い。以下の説明は本件
加工槽用シールの発明の他の実施例であって、当該実施
例チューブを、図2に示す放電加工機のシール部材取付
け溝3に装着するに当っては、上述シール突起14が、図
5に示すようにシール面側を向くように設定する。
【0030】そして、本実施例シールの中空孔16が除圧
状態にあるときには、図4または図5における実線で示
すとおりの断面形を備え、加工槽枠面との間に幅広い隙
間を有しているが、中空部16に加圧流体を供給すると、
中空孔16の断面積が拡張して、その断面形状が図6の実
線または図4における仮想線に示すように変形し、特
に、その幅狭なシール突起部14が、ガードシート17を介
して加工槽枠面を強圧してシール特性を、より確実にす
ることができる。その際、中空孔16の周囲に実施例(そ
の2)に説明したような補強材を埋没して、シールチュ
ーブ素材の強化を行ったとしても、本実施例の作用、効
果を、いささかも妨げることにはならない。なお、本実
施例に関する作用・効果の詳細な説明は、さきの(作
用)の欄に記載の説明と重複するので、これを省略す
る。
【0031】
【発明の効果】以上、説明したとおり、本発明加工槽用
シールは、加工槽枠を上下動させるタイプの放電加工機
において、 (1)シール特性を向上させ、液漏れを無くすることに
よって加工槽に液の溜まる時間を短縮する。 (2)シール部をシャープに折曲げてもシール特性が低
下しないから、加工槽の隅をシャープな角に成形するこ
とができ、加工槽の容積を大きく採れると共に、加工槽
一杯の大きさのワークを取扱うことが可能である。
【0032】(3)復元性の良好な材質により成形した
シールチューブで、チューブの素材に無理なテンション
を加えることなしに、シール面方向にのみ変形を与えて
変形量を大きくし、加工槽枠とのシール特性を確実なも
のとする一方、除圧状態において生ずるシール面の隙間
を拡げて、加工液の排出をより効果的にする。 (4)シールチューブの加圧シール面に幅狭なシール突
起を設けることにより、一層確実なシール効果を奏す
る。 (5)断面形状を選択することによって、シールチュー
ブの変形量を任意に設定することができる。 等々、本発明は、従来公知の、この種シールチューブに
は期待することができない、格別の作用および効果を奏
するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、一実施例加工槽用シールの断面図で
ある。
【図2】本発明および公知のシールを装着する加工槽枠
上下動タイプの放電加工機の一部を破断した概略斜視図
である。
【図3】図1に示す実施例シールの装着状態斜視図であ
る。
【図4】本発明シールの別の実施例断面図である。
【図5】図4の実施例シールの装着状態断面概略図であ
る。
【図6】図4の実施例シールの加圧状態断面概略図を示
す。
【符号の説明】
1 ベッド 2 テーブル 3 シール部材取付け溝 4 加工槽枠 5 コラム 6 縦溝 7 シール部材(シールチューブ) 8 押え板 9 カバー 10 継手 11 突出角端面 12 凹部(面) 13 中空孔 14 幅狭なシール突起 15 シール部材曲り部 16 三ケ月形中空孔 17 ガードシート 18 抜け出し防止バネ板。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加工槽枠が上下動するタイプの放電加工
    機において、復元性が良好な弾性体により細長状に形成
    し、その断面形状が凹辺四角で四つの突出角部を備
    え、そのほぼ中心部に中空孔を穿設してなり、少なくと
    も二つの前記突出角部がシール面に対向するよう放電加
    工機本体と加工槽枠との間に装備して両者間の水密を維
    持するようにしたことを特徴とする放電加工機の加工槽
    用シール。
  2. 【請求項2】 加工槽枠が上下動するタイプの放電加工
    機において、復元性が良好な弾性体により細長状に形成
    し、その断面形状が凹辺四角で四つの突出角部を備
    え、前記凹辺四角形断面のうちの隣接する二つの前記突
    出角部の内側間をつないで、その外周面との間に薄肉を
    残し、ほぼ弧状断面よりなる圧力流体受入れ中空孔を穿
    設してなるチューブを形成し、同チューブの前記中空孔
    側面を放電加工機本体と加工槽枠との間に並行して挾む
    ように装着し、前記中空孔への圧力流体の供給・排出に
    応じ、両者間の水密を確保し、また、解除するようにし
    たことを特徴とする放電加工機の加工槽用シール。
  3. 【請求項3】 加工槽枠が上下動するタイプの放電加工
    機において、復元性が良好な弾性体により細長状に形成
    され、その断面形状が凹辺四角で四つの突出角部を備
    え、前記凹辺四角形断面のうちの隣接する二つの前記突
    出角部の内側間をつないで、その外周面との間に薄肉を
    残し、ほぼ弧状断面よりなる圧力流体受入れ中空孔を穿
    設すると共に、前記隣接する二つの突出角部の間に形成
    される凹面部のほぼ中間位置で前記薄肉部の外周面側に
    シール突起を一体的に突設してなるチューブを形成し、
    同チューブの前記シール突起側を加工槽枠面に向け放電
    加工機本体と加工槽枠との間に挾むよう装着し、同チュ
    ーブの中空孔への圧力流体の供給・排出に応じて、両者
    間の水密を確保し、また、解除するようにしたことを特
    徴とする放電加工機の加工槽用シール。
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