JP3757624B2 - 水素の選択的酸化触媒、水素の選択的酸化方法及び炭化水素の脱水素方法 - Google Patents

水素の選択的酸化触媒、水素の選択的酸化方法及び炭化水素の脱水素方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素を脱水素して、脱水素された炭化水素を製造する際に、生成した混合ガス中に存在する水素を選択的に酸化する触媒、該触媒を使用する水素の選択的な酸化方法、さらには、該触媒を使用した炭化水素の脱水素方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化水素を脱水素して、脱水素された炭化水素を製造するプロセスは、従来多くの文献に記載されている。例えば、エチルベンゼンを脱水素してスチレンを合成するプロセスは、鉄系の触媒を用いて工業的に実施されている。しかしながら、一般に脱水素反応では、平衡の制約を強く受け高い収率を得ることができない。また、断熱反応器での反応においては、脱水素反応が吸熱反応であるため、反応温度が反応と共に低下してしまい高い収率で目的物を得ることが困難である。
【0003】
このような状況から、既にいくつかの方法が提案されている。例えば、特開昭49−56930号公報には、エチルベンゼンを脱水素した後に、未反応エチルベンゼン、スチレン及び水素を含む混合ガス中の水素を選択的に酸化するプロセス及び触媒が開示されている。この方法はスチレン合成に有効な方法であるが、水素の選択的酸化触媒として白金を担持したA型ゼオライト又はアルミナが用いられており、水素だけを酸化する性能は必ずしも満足しうるものではない。
【0004】
米国特許4,565,898号明細書においても、同様のプロセスでアルミナ上に白金、スズ及びリチウム等を担持した触媒を用いる方法が開示されている。しかしながら、この触媒も水素だけを酸化する性能は十分なものとは言えない。また、特開平9−2905号公報には、同様のプロセスで酸化ニオブに白金を担持した触媒を用いる方法が開示されている。しかしながら、元素として比較的高価なニオブを担体の全量として用いていることから触媒として高価となり、経済的に不利であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
炭化水素の脱水素反応により生成される、未反応の炭化水素、脱水素された炭化水素、水素を含有する混合ガス中の水素を選択的に酸化するための触媒としては、上記したように、従来知られているものは水素だけを酸化する性能的に満足なものではなく、また比較的高価な元素を大量に用いるため経済的な面から工業触媒として満足なものではなかった。従って、本発明の目的は、該混合ガス中に存在する水素をより選択的に酸化できる新規な触媒を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、白金族元素と周期律表第6族元素とを含有する触媒が、水素の選択的酸化を高性能で行うことを見いだし本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨は、水素、炭化水素及び酸素を含有する混合ガス中の水素を酸素で選択的に酸化するための触媒であって、白金族元素と周期律表第6族元素とを含有することを特徴とする水素の選択的酸化触媒にする。
【0007】
また、本発明の他の要旨は、白金族元素と周期律表第6族元素とを含有する水素の選択的酸化触媒の存在下に、水素、炭化水素及び酸素を含有する混合ガス中の水素を、300〜800℃の温度で酸素で選択的に酸化することに存する。本発明の更に他の要旨は、脱水素触媒の存在下に原料炭化水素を脱水素反応させて得られた脱水素された炭化水素、未反応の原料炭化水素及び水素を含有するガスに酸素含有ガスを混合して酸化触媒と接触させ、ガス中の水素を酸素で選択的に酸化させたのち、再び脱水素触媒と接触させて未反応の原料炭化水素を脱水素させる炭化水素の脱水素方法において、酸化触媒として白金族元素と周期律表第6族元素とを含有する水素の選択的酸化触媒を用いることにする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる水素の選択的酸化触媒は、白金族元素と周期表第6族元素のうち一種以上の元素とを含有する触媒である。
白金族元素とは、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム及びオスミウムより成る群のことであり、このうち好ましい元素は白金及びパラジウムである。白金族元素の含有量は特に制限はないが、少なすぎると酸化反応の活性が低下する傾向があり、また多すぎても反応特性にほとんど影響を与えないので高価な白金族を多く使用することはコスト面で不利となるので、好ましくは触媒全体量に対し、0.001〜10重量%、さらに好ましくは0.05〜5重量%である。白金族元素を含有する触媒を調製する際に、白金族元素は原料塩として使用される。原料塩としては、特に制限はないが、酸化物、ハロゲン化物及び有機錯体等として用いることができる。
【0009】
次に、周期表第6族元素とは、タングステン、モリブデン及びクロムである。これらのうち好ましくはタングステン及び/またはモリブデンであり、さらに好ましくはタングステンである。周期表第6族元素も触媒を調製する際に、原料塩として使用される。原料塩としては特に制限はなく、酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩及び有機塩等として用いることができる。
周期表第6族の元素のうち一種以上の元素の含有量は、白金族元素と周期表第6族とからのみなる場合は、これら2種の元素が100重量%となるようにすればよく、好ましくは、90〜99.999重量%、さらに好ましくは95〜99.95重量%である。
【0010】
白金族元素と周期表第6族元素のうち一種以上の元素とから触媒を調製するには、従来公知の方法により調製することができる。具体的には、例えば周期表第6族の元素のうち一種以上の元素の原料塩を適当な温度で焼成し酸化物等の固体成分とした後、白金族を含有する溶液を含浸し乾燥、焼成し調製することができる。
【0011】
本発明の触媒は、白金族元素と周期表第6族元素のうち一種以上の元素とを含有していればよく、これら2種の元素から調製することはもちろん、これら元素を耐熱性無機担体に担持させて使用することもできる。耐熱性無機担体は、活性成分の希釈による発熱の適正化、高価元素の希釈による低価格化、触媒強度の向上等の目的で使用される。
【0012】
耐熱性無機担体とは、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化スズ及び酸化ガリウム等が挙げられる。これらのうち、好ましくは酸化アルミニウム、酸化珪素及び酸化チタンである。また、これらの耐熱性無機担体を2種以上用いてもよい。
ここで酸化アルミニウムは、アルミニウム3価の酸化アルミニウムが好ましく、結晶形はアルファ酸化アルミニウム、ガンマ酸化アルミニウム等が挙げられるが、好ましくはアルファ酸化アルミニウムである。酸化珪素は、珪素4価の酸化珪素が好ましく、結晶形は無定型酸化珪素、結晶性酸化珪素等が使用できる。酸化チタンは、チタン4価の酸化チタンが好ましく、結晶形は無定型酸化チタン、結晶性酸化チタン等が使用できる。
【0013】
白金族元素と周期表第6族の元素のうち一種以上の元素との他に耐熱性無機担体を用いる場合は、100重量%のうち、白金族元素の必要量、好ましくは、0.001〜10重量%、さらに好ましくは、0.05〜5重量%の残りの重量%が周期表第6族元素のうち一種以上の元素と耐熱性無機担体との和であればよい。
白金族元素と周期表第6族の元素のうち一種以上の元素とを耐熱性無機担体に担持した触媒は様々な方法にて調製することができる。触媒の調製方法として例えば、耐熱性無機担体に白金族元素と周期表第6族の元素のうち一種以上の元素とを一度に担持する方法、周期表第6族の元素のうち一種以上の元素と耐熱性無機担体とを含有する固体成分に白金族元素を担持する方法、白金族元素と耐熱性無機担体とを含有する固体成分に周期表第6族の元素のうち一種以上の元素を担持する方法を用いることができる。
【0014】
周期表第6族の元素のうち一種以上の元素と耐熱性無機担体とを含有する固体成分の調製方法は、耐熱性無機担体に周期表第6族の元素のうち一種以上の元素の化合物溶液を含浸し乾燥後焼成する方法、周期表第6族の元素のうち一種以上の元素の化合物と耐熱性無機担体とを混合し焼成する方法、これらを組み合わせた方法等がありいずれの方法も用いることができる。白金族元素と耐熱性無機担体とを含有する固体成分の調製方法は、耐熱性無機担体に白金族元素の化合物の溶液を含浸し、乾燥後、焼成する方法にて調製することができる。
【0015】
上記のような触媒の調製方法により得られた白金属元素と周期表第6族の元素のうち一種以上の元素とを含有した触媒、及び耐熱性無機担体にこれらを担持した触媒での白金属元素の白金及びパラジウム等の状態は、2価又は0価であり2価としては通常酸化物となっており、0価は、メタルまたは合金である。また、周期表第6族元素のうち、タングステンの状態としては、例えば、6価、4価、2価及び0価のタングステンよりなる群の1種以上を含有したものであり、好ましくは、6価でありこの場合、通常酸化物として、また0価、この場合はメタル又は合金である。
【0016】
次に、モリブデンの状態としては、例えば、6価、4価及び2価のモリブデンよりなる群の1種以上含有したものであり、好ましくは、6価でありこの場合通常酸化物である。
更に、クロムの状態は、3価のクロムが好ましく、この場合通常酸化物である。6価のクロムは毒性が強いので、工業触媒としてはあまり適当でない。
【0017】
本発明の酸化触媒は、水素と炭化水素とを含有する混合ガスを、酸素含有ガスと接触させて、該混合ガス中の水素を選択的に酸化する反応に用いられる。前記の反応は、温度が高すぎると水素の選択率が減少し炭化水素の燃焼が多くなる傾向があり、温度が低すぎる場合には、選択率にはあまり影響を与えないが活性が不十分な可能性があるので、300〜800℃で行われることが好ましく、さらに好ましくは400〜700℃の温度範囲である。
【0018】
水素と炭化水素とを含有する混合ガスとは、原料炭化水素を脱水素触媒により脱水素反応させて得られる脱水素された炭化水素、未反応原料炭化水素及び水素からなるものである。また、酸素含有ガスとは、分子状酸素を1〜100%含有するガスが用いられ、具体的には空気、酸素富化空気、不活性ガスで希釈した空気などが好適に用いられる。また、酸素含有ガスに水蒸気を含有させることもできる。
【0019】
通常のプロセスにおいて炭化水素と酸素を導入して、反応器内にて反応させ酸素を全て消費するプロセスでは、触媒上のコーキングが起こることが知られている。本発明の酸化触媒も、水素を選択的酸化方法及び炭化水素の脱水素方法に用いて酸素を全て消費させた場合には、触媒上にコーキングが起こるが、水素を選択的に酸化する選択性においては劣ることがなく問題なく使用できる。
【0020】
本発明の選択的酸化触媒及び選択的酸化方法が適用される代表的なプロセスは次のようなものである。例えば、第1段反応器において脱水素触媒により原料炭化水素の脱水素反応を行った後に、この1段の反応層から出る脱水素された炭化水素、未反応原料炭化水素及び水素を含む混合ガスは第2段の反応層へ送られる。この第2段反応層において、本発明の選択的酸化触媒の存在下で、新たに導入された酸素含有ガスを用いて、水素の選択的酸化を行う。これにより、第1段の、吸熱反応である脱水素反応により低下した温度を発熱反応により上昇させ、かつ、水素を消費することにより脱水素反応の平衡的制約を除去する。さらに、この第2段反応層から出たガスを第1段反応層と同様の第3段脱水素反応層に送り、未反応の炭化水素の脱水素を実施する。既に第2段反応層において反応に必要な温度が回復されており、かつ平衡的制約も解除されているので、第3脱水素反応層においてさらに高い収率を得ることができる。
【0021】
また、必要に応じて更に上記の選択的酸化反応層と脱水素反応層との組み合わせを追加して反応を実施することもできる。一般に脱水素反応では水蒸気を共存させることが多いが、上記反応プロセスにおいても水蒸気を共存させることもできる。
本発明の炭化水素とは、芳香環を有しさらに脱水素可能な炭化水素鎖を有する化合物であり、好ましくは、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、エチルナフタレン、ジエチルナフタレン等である。
【0022】
上記脱水素プロセスの代表的具体例としてエチルベンゼンの脱水素プロセスを挙げることができる。これは例えば、エチルベンゼンと水蒸気の混合ガスを鉄とアルカリ金属を主要活性成分とした鉄系触媒が存在する第1段反応層に送り、500℃〜800℃の範囲の温度、0.05〜10気圧の範囲の圧力で脱水素反応を行う。この後、未反応エチルベンゼン、生成したスチレン、水素、水蒸気の混合ガスを第2段反応層へ送る。第2段反応層で本発明の酸化触媒の存在下で新たに導入された酸素含有ガスを用いて水素の選択的酸化を行う。次に、この反応ガスを第3反応層へ送り、ここで再び鉄系触媒により未反応のエチルベンゼンの脱水素を行い、より高い収率でスチレンを得る。このように本発明の方法を用いれば、平衡的制約が除かれ、かつ反応温度の低下を回復することができるため、通常の脱水素反応に比較して遙かに高い収率でスチレンを得ることができる。
【0023】
【実施例】
以下に示す実施例及び比較例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(触媒調製)直径1mmの粒径を有する酸化アルミニウム(Al23)を空気下1350℃で8時間焼成した。この担体20gに、タングステンを40重量%含有するメタタングステン酸アンモニウム水溶液2.5gにイオン交換水7.5gを加えた溶液を含浸した。こののち、ロータリーエバポレーターにて減圧下60℃で1時間乾燥した。その後、120℃3時間乾燥後、空気下650℃3時間焼成した。こうして5重量%タングステンを含有する酸化タングステン/酸化アルミニウム担体を調製した。続いて、白金0.04gを含有する塩化白金酸(H2 PtCl6 ・6H2 O)水溶液10gに浸漬後、ロータリーエバポレーターにて減圧下60℃にて1時間乾燥後、乾燥器にて120℃で3時間乾燥した。その後、空気下650℃で3時間焼成して、白金/酸化タングステン/酸化アルミニウム触媒を得た。担持組成は、白金0.2重量%、タングステン5重量%、他は酸化アルミニウムである。
【0024】
(反応)上記のようにして調製した触媒2mlを上下に触媒と略同粒径の石英チップを充填した内径6.7mmの石英製反応管に充填した後、10%の水素を含有する、水素と窒素の混合ガス流通下600℃で1時間還元処理を施した。次いで、スチレン、エチルベンゼン、水、水素、及び空気の混合ガスを反応管に導入して反応を開始した。混合ガス組成は、
【0025】
【数1】
エチルベンゼン/スチレン/水/水素/酸素/窒素
=1/0.4/11.5/0.43/0.18/0.69(モル比)
【0026】
であった。また、反応器におけるガス換算の空間速度(SV)は、
【0027】
【数2】
SV=6550hr-1(0℃、1気圧換算)
【0028】
であった。600℃下において反応開始2時間後に反応管出口のガス及び液受器でトラップされた液についてガスクロマトグラフで分析を行ったところ、水素転化率75.7%、酸素転化率100%、スチレン及びエチルベンゼン燃焼率0.72%であった。ここでスチレン及びエチルベンゼン燃焼率とは反応層に供給されたスチレンとエチルベンゼンのモル比に対して燃焼反応で消失したスチレンとエチルベンゼンのモル数の比率を示すものである。
【0029】
〔実施例2〕
直径1mmの粒径を有する酸化アルミニウム(Al2 3 )を空気下1350℃で8時間焼成した。この担体20gに、タングステンを40重量%含有するメタタングステン酸アンモニウム水溶液5gとイオン交換水5gを加えた溶液を含浸した。こののち、ロータリーエバポレーターにて減圧下60℃で1時間乾燥した。その後、120℃3時間乾燥後空気下650℃3時間焼成した。こうして10重量%タングステンを含有する酸化タングステン/酸化アルミニウム担体を調製した。引き続き白金0.04gを含有する塩化白金酸(H2 PtCl6 ・6H2 O)水溶液10gに浸漬後、ロータリーエバポレーターにて減圧下60℃にて1時間乾燥後、乾燥器にて120℃で3時間乾燥した。その後、空気下650℃で3時間焼成して、白金/酸化タングステン/酸化アルミニウム触媒を得た。担持組成は、白金0.2重量%、タングステン10重量%、他は酸化アルミニウムである。
【0030】
得られた触媒を、実施例1と同様の方法にて反応試験を実施した。
600℃下において反応開始2時間後に反応管出口のガス及び液受器でトラップされた液についてガスクロマトグラフで分析を行ったところ、水素転化率77.8%、酸素転化率100%、スチレン及びエチルベンゼン燃焼率0.65%であった。
【0031】
〔実施例3〕
直径1mmの粒径を有する酸化アルミニウム(Al2 3 )を空気下1350℃で8時間焼成した。この担体20gに、モリブデンとして54重量%が含有されたパラモリブデン酸アンモニウム水和物3.7gをイオン交換水10gに溶解した水溶液に浸漬した。こののち、ロータリーエバポレーターにて減圧下60℃で1時間乾燥した。その後、120℃3時間乾燥後空気下650℃3時間焼成した。こうして10重量%モリブデンを含有する酸化モリブデン/酸化アルミニウム担体を調製した。続いて、白金0.04gを含有する塩化白金酸(H2 PtCl6 ・6H2 O)水溶液10gに浸漬後、ロータリーエバポレーターにて減圧下60℃にて1時間乾燥後、乾燥器にて120℃で3時間乾燥した。その後、空気下650℃で3時間焼成して、白金/酸化モリブデン/酸化アルミニウム触媒を得た。担持組成は、白金0.2重量%、モリブデン10重量%、他は酸化アルミニウムである。
【0032】
得られた触媒を、実施例1と同様の方法にて反応試験を実施した。
600℃下において反応開始2時間後に反応管出口のガス及び液受器でトラップされた液についてガスクロマトグラフで分析を行ったところ、水素転化率62.9%、酸素転化率100%、スチレン及びエチルベンゼン燃焼率0.95%であった。
【0033】
〔比較例1〕
直径1mmの粒径を有する酸化アルミニウム(Al2 3 )を空気下1350℃で8時間焼成した。この担体5gに、白金0.01gを含有する塩化白金酸(H2 PtCl6 ・6H2 O)水溶液2.4gに浸漬後、ロータリーエバポレーターにて減圧下60℃にて1時間乾燥後、乾燥器にて120℃で3時間乾燥した。その後、空気下650℃で3時間焼成して、白金/酸化アルミニウム触媒を得た。担持組成は、白金0.2重量%、他は酸化アルミニウムであった。
【0034】
600℃の反応温度下、反応開始2時間後に反応管出口のガス及び液受器でトラップされた液についてガスクロマトグラフで分析を行ったところ、水素転化率41.9%、酸素転化率100%、スチレン及びエチルベンゼン燃焼率1.12%であった。
【0035】
【発明の効果】
本発明の酸化触媒は、水素を選択的に酸化することができ、また共存する原料及び脱水された炭化水素類の燃焼による消失を実質上問題のないレベルに低く押さえることができる。

Claims (9)

  1. 水素、炭化水素及び酸素を含有する混合ガス中の水素を酸素で選択的に酸化するための触媒であって、白金族元素と周期律表第6族元素とを含有することを特徴とする水素の選択的酸化触媒。
  2. 白金族元素と周期律表第6族元素とが耐熱性無機担体に担持されていることを特徴とする請求項1記載の水素の選択的酸化触媒。
  3. 耐熱性無機担体が酸化アルミニウム及び/または酸化珪素であることを特徴とする請求項1又は2記載の水素の選択的酸化触媒。
  4. 触媒に占める白金族元素の割合が0.001〜10重量%であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の水素の選択的酸化触媒。
  5. 白金族元素が白金及び/またはパラジウムであり、周期律表第6族元素タングステン及び/またはモリブデンであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の水素の選択的酸化触媒。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の水素の選択的酸化触媒の存在下に、水素、炭化水素及び酸素を含有する混合ガス中の水素を、300〜800℃の温度で酸素で選択的に酸化することを特徴とする水素の選択的酸化方法。
  7. 脱水素触媒の存在下に原料炭化水素を脱水素反応させて得られた脱水素された炭化水素、未反応の原料炭化水素及び水素を含有するガスに、酸素含有ガスを混合して酸化触媒と接触させ、ガス中の水素を酸素で選択的に酸化させたのち、再び脱水素触媒と接触させて未反応の原料炭化水素を脱水素させる炭化水素の脱水素方法において、酸化触媒として請求項1ないし5のいずれかに記載の水素の選択的酸化触媒を用いることを特徴とする水素の選択的酸化方法。
  8. 原料炭化水素がエチルベンゼンであり、脱水素された炭化水素がスチレンであることを特徴とする請求項に記載の水素の選択的酸化方法。
  9. 水素を400〜700℃の温度で酸素で選択的に酸化することを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の水素の選択的酸化方法。
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