JP3757530B2 - プロピレン系ポリマー組成物および成形体 - Google Patents

プロピレン系ポリマー組成物および成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジルコニウム、ハフニウム、チタン等の遷移金属を含むメタロセン系触媒を用いて重合によって得られるプロピレンを主体モノマーとするプロピレン系エラストマーからなるプロピレン系ポリマーの組成物および成形体に関し、さらに詳しくは透明性、光沢、表面硬度などが改善された組成物、およびこの組成物から得られる成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジルコニウム、ハフニウム、チタン等の遷移金属を含むメタロセン系触媒を用いて重合により得られるポリオレフィンとくにプロピレン系ポリマーは、触媒がシングルサイトであることからユニークな特性を有し、各メタロセン系触媒に応じて、組成分布や分子量分布が比較的狭いプロピレン系ポリマーなど、狙った特性のポリオレフィンとくにプロピレン系ポリマーが得られる。
【0003】
このようなメタロセン系触媒を用いて得られるポリオレフィンとくにプロピレン系ポリマーはその特性に応じて、射出成形品、中空成形品、フィルム、シート、繊維などに加工され各種用途に用いられている。しかしながら用途によっては、剛性、耐熱剛性、透明性、光沢、表面硬度などが充分とはいえない場合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透明性、光沢、表面硬度などに優れたプロピレンを主体モノマーとするプロピレン系エラストマーからなるプロピレン系ポリマー組成物、およびこの組成物から得られる成形体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次のプロピレン系ポリマー組成物、およびこの組成物から得られる成形体である。
(1)メタロセン系触媒を用いて得られるプロピレンを主体モノマーとするプロピレン系エラストマーからなり、コモノマー含量が10〜50モル%、密度が0.85〜0.90g/cm 3 、極限粘度[η]が0.5〜10dl/g、結晶化度(X線による)が0〜60%、分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜20であるプロピレン系ポリマー(A)に核剤(B)を配合してなることを特徴とするプロピレン系ポリマー組成物。
(2)核剤(B)の配合量が、プロピレン系ポリマー(A)100重量部に対して0.001〜5重量部である上記(1)記載のプロピレン系ポリマー組成物。
(3)上記(1)または(2)記載の組成物からなる成形体。
【0006】
本発明で使用されるプロピレン系ポリマー(A)は、シングルサイト触媒であるメタロセン系触媒を用いて炭素数3以上とくにプロピレンを主モノマーとし、他のα−オレフィンあるいはさらにジエン、トリエン等の多不飽和オレフィンを重合して得られるプロピレンを主体モノマーとするプロピレン系エラストマーからなり、コモノマー含量が10〜50モル%、密度が0.85〜0.90g/cm 3 、極限粘度[η]が0.5〜10dl/g、結晶化度(X線による)が0〜60%、分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜20である。プロピレン系ポリマー(A)の性状は特に限定されず、樹脂状、ワックス状、液状等いずれも使用できる。
【0007】
上記α−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセンなどが例示できる。また上記多不飽和オレフィンとしては、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、6−エチル−1,6−オクタジエン、6−プロピル−1,6−オクタジエン、6−ブチル−1,6−オクタジエン、6−メチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,6−ノナジエン、6−エチル−1,6−ノナジエン、7−エチル−1,6−ノナジエン、6−メチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,6−デカジエン、6−メチル−1,6−ウンデカジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、イソプレン、ブタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネンおよびジシクロペンタジエンなどの炭素数4〜20のジエン化合物等があげられる。
【0008】
プロピレン系ポリマー(A)の具体的なものとしては、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・ブテン・エチレン共重合体、プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・3−メチル−1−ブテン共重合体、プロピレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体などがあげられる。上記プロピレン系ポリマー(A)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0012】
本発明においてプロピレン系ポリマー(A)として使用されるプロピレンを主体モノマーとするプロピレン系エラストマーとしては、
コモノマー含量が10〜50モル%、
密度が0.85〜0.90g/cm3
極限粘度[η]が0.5〜10dl/g、
結晶化度(X線による)が0〜60%、
分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜20のものが例示される。
【0013】
本発明で用いるプロピレンを主体モノマーとするプロピレン系エラストマーからなるプロピレン系ポリマー(A)は、メタロセン系触媒を用いて、多段式、回分式、半回分式、連続式のいずれの重合反応によっても製造することができるが、実質的に液状媒体が存在しない状態での気相重合法、オレフィン自体を液状媒体として用いるバルク重合法、重合に不活性な炭化水素系液状媒体を用いるスラリー重合法などの方法により製造するのが好ましい。またメタロセン系触媒は、必要に応じて、触媒中の成分の少なくとも1成分をSiO2、Al23、MgO、TiO2などの無機担体に担持させて用いることも行われる。また予め、プロピレンおよび他のモノマーによる予備重合を行った後、これらの重合を行うこともある。
【0014】
重合圧力は常圧から50kg/cm2(ゲージ圧)、重合温度は常温から150℃である。多段式の場合、メタロセン系触媒の存在下に、第1の重合工程において、プロピレンの単独重合を行うか、あるいはプロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜10のオレフィンとの共重合を行って結晶性重合体(結晶性ポリプロピレン部)を製造し、第2の重合工程において、エチレンおよび炭素数3〜20のオレフィンから選ばれる2種以上の単量体の共重合を行い、低結晶性共重合体(低結晶性共重合体部)または非晶性共重合体(非晶性共重合体部)を製造するのが好ましい。
【0015】
プロピレンを主体モノマーとするプロピレン系エラストマーからなるプロピレン系ポリマー(A)の製造に用いられるシングルサイト触媒としてのメタロセン系触媒としては、従来から使用されている公知のメタロセン系触媒が制限なく使用でき、例えばチタン、ジルコニウム、ハフニウムなどの遷移金属を有するメタロセン化合物(a)と有機アルミニウムオキシ化合物(b)とからなる触媒、およびメタロセン化合物(a)とイオン化イオン性化合物(c)とからなる触媒等があげられる。
【0016】
上記メタロセン化合物(a)の具体的なものとしては、下記一般式(1)で表される遷移金属化合物などがあげられる。
MLx …(1)
【0017】
一般式(1)中、Mは周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属原子であり、具体的にジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、xは遷移金属の原子価である。
【0018】
一般式(1)中、Lは遷移金属に配位する配位子であり、これらのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、例えばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルヘキシルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基などのアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基、さらにインデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などがあげられる。これらの基は、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
【0019】
一般式(1)で示される化合物が配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基などを介して結合されていることが望ましい。
【0020】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLとしては、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO31)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、R1はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基またはハロゲン原子もしくはアルキル基で置換されたアリール基である。)などがあげられる。
【0021】
一般式(1)で表されるメタロセン化合物(a)は、例えば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記一般式(2)で表される。
2 k3 l4 m5 nM …(2)
【0022】
一般式(2)中、Mは一般式(1)と同様の遷移金属であり、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、R3、R4およびR5は、それぞれ独立にシクロペンタジエニル骨格を有する基または一般式(1)中のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLと同様である。kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。
【0023】
本発明においては、またメタロセン化合物(a)として下記一般式(3)で表される遷移金属化合物を用いることができる。
【化1】
Figure 0003757530
【0024】
一般式(3)中、Mは周期律表第IVB族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウムである。
【0025】
一般式(3)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示し、具体的には、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;
メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのアルキル基、ビニル、プロぺニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フェナントリルなどのアリール基等の炭素数1〜20の炭化水素基;
前記炭化水素基にハロゲン原子が置換したハロゲン化炭化水素基;
メチルシリル、フェニルシリルなどのモノ炭化水素置換シリル、ジメチルシリル、ジフェニルシリルなどのジ炭化水素置換シリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどのトリ炭化水素置換シリル、
トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルのシリルエーテル、
トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基、トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基、
などのケイ素含有基;
ヒドロオキシ基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ基、フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリローキシ基、フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基などの酸素含有基;
前記酸素含有基の酸素がイオウに置換した置換基などのイオウ含有基;
アミノ基、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基などの窒素含有基;
ジメチルフォスフィノ、ジフェニルフォスフィノなどのフォスフィノ基などのリン含有基等である。
【0026】
一般式(3)において、R1は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルの炭素数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。またR2は水素原子または炭化水素基が好ましく、特に水素原子またはメチル、エチルもしくはプロピルの炭素数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。
【0027】
一般式(3)中、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示し、R3、R4、R5およびR6のうち、R3を含む2個の基がアルキル基であることが好ましく、R3とR5、またはR3とR6がアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、2級または3級アルキル基であることが好ましい。また、このアルキル基はハロゲン原子、ケイ素含有基等で置換されていてもよく、ハロゲン原子、ケイ素含有基としては前記R1、R2で例示した置換基等があげられる。
【0028】
一般式(3)において、R3、R4、R5およびR6で示される基のうち、アルキル基以外の基は水素原子であることが好ましい。
炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの鎖状アルキル基および環状アルキル基;
ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、トリルメチルなどのアリールアルキル基などがあげられ、2重結合、3重結合を含んでいてもよい。
【0029】
また一般式(3)中、R3、R4、R5およびR6から選ばれる2種の基が互いに結合して芳香族環以外の単環あるいは多環を形成してもよい。
【0030】
一般式(3)中、X1およびX2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基またはイオウ含有基を示し、具体的には前記R1およびR2と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基等が例示できる。
【0031】
イオウ含有基としては、前記R1、R2と同様の基、およびメチルスルホネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p−トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p−クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基、メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p−トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基等が例示できる。
【0032】
一般式(3)中、Yは炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR7−、−P(R7)−、−P(O)(R7)−、−BR7−またはAlR7−[ただし、R7は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基]を示し、具体的には、
メチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、ジメチル−1,2−エチレン、1,3−トリメチレン、1,4−テトラメチレン、1,2−シクロヘキシレン、1,4−ジクロヘキシレンなどのアルキレン基、ジフェニルメチレン、ジフェニル−1,2−エチレンなどのアリールアルキレン基などの炭素数1〜20の2価の炭化水素基;
クロロメチレンなどの上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基をハロゲン化したハロゲン化炭化水素基;
メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p−トリル)シリレン、ジ(p−クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレン基、テトラメチル−1,2−ジシリレン、テトラフェニル−1,2−ジシリレンなどのアルキルジシリレン、アルキルアリールジシリレン、アリールジシリレン基などの2価のケイ素含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した2価のゲルマニウム含有基;
上記2価のケイ素含有基のケイ素をスズに置換した2価のスズ含有基置換基等であり、
7は、前記R1、R2と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基等である。
【0033】
このうち2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基であることが好ましく、さらに2価のケイ素含有基であることが好ましく、このうち特にアルキルシリレン、アルキルアリールシリレン、アリールシリレンであることが好ましい。
【0034】
また一般式(3)において、R1〜R6の組合せが、R1が炭化水素基、R3が炭素数6〜16のアリール基、R2、R4、R5およびR6が水素原子であるのも好ましい。この場合、X1、X2としてはハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
【0035】
上記R1の炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチルの炭素数1〜4の炭化水素基であることが好ましい。
また上記R3の炭素数6〜16のアリール基としては、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル(ペリナフテニル)、アセアントリレニルなどである。これらのうちフェニル、ナフチルであることが好ましい。これらのアリール基は、前記R1と同様のハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基等で置換されていてもよい。
【0036】
上記R1〜R6の組合せにおける具体的なメタロセン化合物(a)としては、
rac−ジメチルシリレン−ビス(4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(α−ナフチル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(β−ナフチル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、
rac−ジメチルシリレン−ビス(2−メチル−4−(1−アントラセニル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドなどがあげられる。
【0037】
本発明では、上記のようなメタロセン化合物(a)は1種単独で用いることもできるし、2種以上を組合せて用いることもできる。
また上記のようなメタロセン化合物(a)は、炭化水素あるいはハロゲン化炭化水素に希釈して用いてもよい。
【0038】
また上記のようなメタロセン化合物(a)は、粒子状担体化合物と接触させて用いることもできる。上記担体化合物としては、SiO2、Al23、MgOなどの無機担体化合物、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体などの樹脂を用いることができる。これらの担体化合物は1種単独で用いることもできるし、2種以上を組合せて用いることもできる。
【0039】
本発明において、前記メタロセン化合物(a)とともに用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(b)は、従来公知のアルミノオキサンであり、具体的には下記一般式(4)または(5)で表わされるアルミニウム化合物である。
【化2】
Figure 0003757530
(式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基であり、mは2以上、好ましくは5〜40の整数である。)
【0040】
ここで、このアルミノオキサンは式(OA1(R1))で表わされるアルキルオキシアルミニウム単位および式(OA1(R2))で表わされるアルキルオキシアルミニウム単位[ここで、R1およびR2はRと同様の炭化水素基を例示することができ、R1およびR2は相異なる基を表わす]からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。
【0041】
また本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(b)は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有していてもよい。
有機アルミニウムオキシ化合物(b)は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0042】
本発明において、前記メタロセン化合物(a)とともに用いられるイオン化イオン性化合物(c)としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを例示することができる。
上記ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物等があげられ、例えばトリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどがあげられる。
【0043】
上記イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどをあげることができる。
【0044】
上記ボラン化合物としては、デカボラン(14)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレートなどをあげることができる。
イオン化イオン性化合物(c)は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
《核剤(B)》
本発明では核剤(B)を配合することによって、結晶粒子の微細化が図れるとともに、結晶化速度が向上し、高速成形が可能になるほか、剛性、耐熱剛性、透明性、光沢、表面硬度などに優れたプロピレン系ポリマー組成物が得られる。
核剤(B)としては有機リン酸系核剤、ソルビトール系核剤、芳香族カルボン酸系核剤、高融点ポリマー系核剤、無機系核剤またはロジン酸系核剤などの核剤を1種単独で、あるいは2種以上組合せて使用することができる。
【0047】
本発明のプロピレン系ポリマー組成物において、核剤(B)はプロピレン系ポリマー(A)100重量部に対して0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜5重量部、特に好ましくは0.1〜3重量部の割合で配合されることが望ましい。核剤(B)を上記の量でプロピレン系ポリマー(A)に配合することにより、結晶粒子が微細で結晶化速度が向上し、高速成形が可能になるほか、剛性、耐熱剛性、透明性、光沢、表面硬度などが向上し、プロピレン系ポリマー(A)が本来有するその他の優れた特性が損なわれることはない。
【0048】
《有機リン酸系核剤(B)》
有機リン酸系核剤(B)としては、下記一般式(6)で表される化合物を例示することができる。
【化3】
Figure 0003757530
【0049】
(式中、R1は酸素、イオウまたは炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2、R3は水素または炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2、R3は同種であっても異種であってもよく、R2同士、R3同士またはR2とR3が結合して環状となっていてもよく、Mは1〜3価の金属原子であり、nは1〜3の整数である。)
【0050】
一般式(6)で表される化合物の具体的なものとしては、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム-2,2'-メチレン-ビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム-2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2'-エチリデン-ビス(4-i-プロピル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム-2,2'-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム-2,2'-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム-ビス[2,2'-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム-ビス[2,2'-チオビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム-ビス[2,2'-チオビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2'-チオビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2'-チオビス-(4-t-オクチルフェニル)フォスフェート]、ナトリウム-2,2'-ブチリデン-ビス(4,6-ジ-メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2'-ブチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2'-t-オクチルメチレン-ビス(4,6-ジ-メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2'-t-オクチルメチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム-ビス-(2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート)、マグネシウム-ビス[2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム-ビス[2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム(4,4'-ジメチル-5,6'-ジ-t-ブチル-2,2'-ビフェニル)フォスフェート、カルシウム-ビス[(4,4'-ジメチル-6,6'-ジ-t-ブチル-2,2'-ビフェニル)フォスフェート]、ナトリウム-2,2'-エチリデン-ビス(4-m-ブチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-エチルフェニル)フォスフェート、カリウム-2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム-ビス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フオスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム-ビス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウム-トリス[2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェル)フォスフェート]およびアルミニウム-トリス[2,2'-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート]およびこれらの2種以上の混合物等を例示することができる。特にナトリウム-2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェートが好ましい。
【0051】
また好ましい有機リン酸系核剤(B)としては、下記一般式(7)で表される化合物を例示することができる。
【化4】
Figure 0003757530
(式中、R1は水素または炭素数1〜10の炭化水素基であり、Mは1〜3価の金属原子であり、nは1〜3の整数である。)
【0052】
一般式(7)で表される化合物の具体的なものとしては、ナトリウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-ビス(4-メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-ビス(4-エチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-ビス(4-i-プロピルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-ビス(4-t-オクチルフェニル)フォスフェート、カリウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、マグネシウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェートおよびこれらの2種以上の混合物等を例示することができる。特にナトリウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェートが好ましい。
【0053】
《ソルビトール系核剤(B)》
好ましいソルビトール系核剤(B)としては、下記一般式(8)で表される化合物を例示することができる。
【化5】
Figure 0003757530
(式中、各R1は同一または相異なり、水素、塩素などのハロゲン、または炭素数1〜10の炭化水素基である。mおよびnはそれぞれ0〜5の整数である。)
【0054】
一般式(8)で表される化合物の具体的なものとしては、1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトール、1,3-ベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3-ベンジリデン-2,4-p-エチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-メチルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3-p-エチルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3-p-メチルベンジリデン-2,4-p-エチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-エチルベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-n-プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-i-プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-n-ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-s-ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-t-ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(2',4'-ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3-ベンジリデン-2-4-p-クロルベンジリデンソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-ベンジリデンソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-p-エチルベンジリデンソルビトール、1,3-p-メチルベンジリデン-2,4-p-クロルベンジリデンソルビトール、1,3-p-エチルベンジリデン-2,4-p-クロルベンジリデンソルビトールおよび1,3,2,4-ジ(p-クロルベンジリデン)ソルビトールおよびこれらの2種以上の混合物等を例示でき、特に1,3,2,4-ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3-p-クロルベンジリデン-2,4-p-メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4-ジ(p-クロルベンジリデン)ソルビトールおよびそれらの2種以上の混合物が好ましい。
【0055】
また好ましいソルビトール系核剤(B)としては、下記一般式(9)で表される化合物を例示することができる。
【化6】
Figure 0003757530
(式中、各R1は同一または相異なり、炭素数1または2のアルキル基である。)
【0056】
《芳香族カルボン酸系核剤(B)》
好ましい芳香族カルボン酸系核剤(B)としては、下記一般式(10)で表されるアルミニウムヒドロキシジパラt−ブチルベンゾエートなどを例示することができる。
【化7】
Figure 0003757530
【0057】
その他にも核剤(B)としては、高融点ポリマー、その他の芳香族カルボン酸の金属塩や脂肪族カルボン酸の金属塩、または無機化合物等を例示できる。上記高融点ポリマーとしては、ポリビニルシクロヘキサン、ポリビニルシクロペンタン等のポリビニルシクロアルカン、、ポリ3−メチルペンテン−1、ポリ3−メチルブテン−1、ポリアルケニルシランなどがあげられる。上記金属塩としては、安息香酸アルミニウム塩、p-t-ブチル安息香酸アルミニウム塩やアジピン酸ナトリウム、チオフェネカルボン酸ナトリウム、ピローレカルボン酸ナトリウムなどがあげられる。また上記無機化合物としては、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデンなどがあげられる。その他にも、ブロム化ビフェニルエーテル、環状トリエチレングリコールテレフタレートなども使用できる。
【0058】
《ロジン酸系核剤(B)》
本発明では、周知のロジン系核剤を使用することができる。ロジン酸系核剤(B)としてはロジン酸部分金属塩、例えばロジン酸部分ナトリウム塩、ロジン酸部分カリウム塩またはロジン酸部分マグネシウム塩などがあげられる。
【0059】
ロジン酸系核剤(B)としては、天然ロジン、変性ロジンおよびこれらの精製物から選ばれる少なくとも1種のロジン酸部分金属塩が好ましく、前記ロジン酸部分金属塩がデヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ジヒドロピマル酸およびこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種のロジン酸の部分金属塩であることがより好ましく、下記一般式(11a)で表されるロジン酸の部分金属塩および前記一般式(11b)で表されるロジン酸の部分金属塩から選ばれる少なくとも1種のロジン酸部分金属塩であることが特に好ましい。下記一般式(11a)および(11b)においては、R1がイソプロピル基であり、R2およびR3がメチル基であることが好ましい。
【0060】
【化8】
Figure 0003757530
(式中、R1、R2およびR3は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を示す。)
【0061】
なお、本明細書においてロジン酸部分金属塩は、ロジン酸と金属化合物との反応生成物であり、ロジン酸金属塩と未反応のロジン酸との混合物、および未反応のロジン酸を含まないロジン酸金属塩の両方を意味する。
【0062】
ロジン酸と反応して金属塩を形成する金属化合物としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの金属元素を有し、かつ前記ロジン酸と造塩する化合物があげられ、具体的には前記金属の塩化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酸化物、水酸化物などがあげられる。
【0063】
ロジン酸としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの天然ロジン;不均化ロジン、水素化ロジン、脱水素化ロジン、重合ロジン、α,β―エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンなどの各種変性ロジン;前記天然ロジンの精製物、前記変性ロジンの精製物などを例示できる。
【0064】
なお、天然ロジンには、ピマル酸、サンダラコピマル酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸などの樹脂酸が、通常複数種含まれている。
【0065】
また、前記α,β―エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンの調製に用いられる不飽和カルボン酸としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などをあげることができる。
【0066】
上記のロジン酸の中では、不均化ロジン、水素化ロジンおよび脱水素化ロジンから選ばれる少なくとも1種のロジン酸であることが好ましく、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、ジヒドロピマル酸およびこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種のロジン酸であることがより好ましい。
【0067】
前記ロジン酸の部分金属塩としては、前記ロジン酸の部分ナトリウム塩、前記ロジン酸の部分カリウム塩および前記ロジン酸の部分マグネシウム塩などがあげられる。
【0068】
本発明では、ロジン酸として前記一般式(11a)で表される化合物〔化合物(11a)〕または前記一般式(11b)で表される化合物〔化合物(11b)〕を用いることが特に好ましい。
一般式(11a)および一般式(11b)中、R1、R2およびR3は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基である。
【0069】
アルキル基として具体的には、メチル、エチル、n―プロピル、i―プロピル、n―ブチル、i―ブチル、tert―ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチルなどの炭素原子数が1〜8のアルキル基があげられ、これらの基はヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基を有していてもよい。
【0070】
シクロアルキル基として具体的には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどの炭素原子数が5〜8のシクロアルキル基があげれ、これらの基はヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基を有していてもよい。
【0071】
アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基などの炭素原子数が6〜10のアリール基があげられ、これらの基はヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、ハロゲンなどの置換基を有していてもよい。
【0072】
このような化合物(11a)および化合物(11b)の中では、R1、R2およびR3がそれぞれ、同一または異なるアルキル基である化合物が好ましく、R1がi―プロピル基であり、R2およびR3がメチル基である化合物がより好ましい。このような化合物の部分金属塩は、特に結晶性樹脂の結晶化速度の向上効果が優れる。
【0073】
化合物(11a)として具体的には、デヒドロアビエチン酸などがあげられ、化合物(11b)で表される化合物として具体的には、ジヒドロアビエチン酸などがあげられる。
【0074】
このような化合物(11a)および化合物(11b)の中で、例えば式(11a)で表されるデヒドロアビエチン酸は、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの天然ロジンを不均化または脱水素化し、次いで精製することにより得られる。
【0075】
前記化合物(11a)の金属塩としては、下記一般式(12a)で表される化合物〔化合物(12a)〕があげられ、前記化合物(11b)の金属塩としては、下記一般式(12b)で表される化合物〔化合物(12b)〕があげられる。
【化9】
Figure 0003757530
【0076】
一般式(12a)および(12b)中、R1、R2およびR3は、前記一般式(11a)および(11b)と同様である。
Mは、1〜3価の金属イオンであり、具体的にはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどの1価の金属イオン;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛などの2価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属イオンがあげられる。これらのうち1価または2価の金属イオンであることが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオンであることがより好ましい。
nは、前記金属イオンMの価数と同一の整数であり、1〜3の整数である。
【0077】
化合物(12a)および化合物(12b)の中では、R1、R2およびR3がそれぞれ、同一もしくは異なるアルキル基である化合物、またはMが1価もしくは2価の金属イオンである化合物が好ましく、R1がi―プロピル基であり、R2およびR3がメチル基である化合物、またはMがナトリウムイオン、カリウムイオンもしくはマグネシウムイオンである化合物がより好ましく、R1がi―プロピル基であり、R2およびR3がメチル基であり、かつMがナトリウムイオン、カリウムイオンもしくはマグネシウムイオンである化合物が特に好ましい。このような化合物は、特に結晶化速度の向上効果が優れる。
【0078】
化合物(12a)として具体的には、例えばデヒドロアビエチン酸リチウム、デヒドロアビエチン酸ナトリウム、デヒドロアビエチン酸カリウム、デヒドロアビエチン酸ベリリウム、デヒドロアビエチン酸マグネシウム、デヒドロアビエチン酸カルシウム、デヒドロアビエチン酸亜鉛、デヒドロアビエチン酸アルミニウムなどのデヒドロアビエチン酸金属塩などがあげられ、デヒドロアビエチン酸ナトリウム、デヒドロアビエチン酸カリウム、デヒドロアビエチン酸マグネシウムが好ましく用いられる。
【0079】
化合物(12b)として具体的には、例えばジヒドロアビエチン酸リチウム、ジヒドロアビエチン酸ナトリウム、ジヒドロアビエチン酸カリウム、ジヒドロアビエチン酸ベリリウム、ジヒドロアビエチン酸マグネシウム、ジヒドロアビエチン酸カルシウム、ジヒドロアビエチン酸亜鉛、ジヒドロアビエチン酸アルミニウムなどのジヒドロアビエチン酸金属塩などがあげられ、ジヒドロアビエチン酸ナトリウム、ジヒドロアビエチン酸カリウム、ジヒドロアビエチン酸マグネシウムが好ましく用いられる。
【0080】
上述したようなロジン酸部分金属塩は、上記ロジン酸と上記金属化合物とを従来公知の方法で反応させることにより製造することができる。
【0081】
本発明では、核剤(B)として少なくとも2種のロジン酸部分金属塩を用いてもよい。この少なくとも2種のロジン酸部分金属塩は、ロジン酸が同一であり金属が異なるロジン酸金属塩を少なくとも2種含んでいてもよく、ロジン酸が異なり金属が同一であるロジン酸金属塩を少なくとも2種含んでいてもよく、ロジン酸が異なり金属が異なるロジン酸金属塩を少なくとも2種含んでいてもよい。少なくとも2種のロジン酸部分金属塩中には、ロジン酸金属塩が合計で5〜100重量%、好ましくは10〜100重量%の割合で含有されることが好ましい。
【0082】
少なくとも2種のロジン酸部分金属塩中のロジン金属塩の量比は任意であるが、少なくとも2種のロジン酸部分金属塩中のロジン酸金属塩の合計量に対して、1種のロジン酸金属塩が0モル%を超え、好ましくは5〜95モル%、他の1種以上のロジン酸金属塩が100モル%未満、好ましくは95〜5モル%の割合となるように組合せることが望ましい。
【0083】
少なくとも2種のロジン酸部分金属塩の組合せとしては、ロジン酸部分カリウム塩と、ロジン酸部分ナトリウム塩またはロジン酸部分マグネシウム塩との組合せが好ましい。さらに、2種のロジン酸部分金属塩中のロジン酸金属塩の合計量に対しロジン酸カリウム塩が20モル%以上、好ましくは40〜95モル%、より好ましくは45〜80モル%、ロジン酸ナトリウム塩またはロジン酸マグネシウム塩が80モル%未満、好ましくは60〜5モル%、より好ましくは55〜20モル%の割合となるように組合せることが望ましい。
【0084】
このような少なくとも2種の金属を含むロジン酸部分金属塩は、1種の金属のみを含有するロジン酸部分金属塩に比べてプロピレン系ポリマーへ(A)の分散性に優れる。
【0085】
本発明のプロピレン系ポリマー組成物には、前記プロピレン系ポリマー(A)および核剤(B)の必須成分の他に、必要により用途に応じてフェノール系安定剤(C)、リン系安定剤(D)、イオウ系安定剤(E)、ヒンダードアミン系安定剤(F)、静電防止剤(G)、滑剤(H)などの他の添加剤を配合することも行われる。以下、本発明で用いられる他の添加剤について順次説明する。
【0086】
《フェノール系安定剤(C)》
フェノール系安定剤(C)としては、従来から安定剤として使用されているフェノール系の安定剤が特に限定されることなく用いられる。フェノール系安定剤(C)の具体的なものとしては、以下のような化合物が用いられる。
【0087】
2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジシクロヘキシル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-アミル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-オクチル-4-n-プロピルフェノール、2,6-ジシクロヘキシル-4-n-オクチルフェノール、2-イソプロピル-4-メチル-6-t-ブチルフェノール、2-t-ブチル-2-エチル-6-t-オクチルフェノール、2-イソブチル-4-エチル-6-t-ヘキシルフェノール、2-シクロヘキシル-4-n-ブチル-6-イソプロピルフェノール、dl-α-トコフェロール、t-ブチルヒドロキノン、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-メチレンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス[6-(1-メチルシクロヘキシル)-p-クレゾール]、2,2'-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2'-ブチリデンビス(2-t-ブチル-4-メチルフェノール)、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-t-ペンチルフェニルアクリレート、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナミド)、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート-ジエチルエステル、トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-t-ブチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス(4-t-ブチル-2,6-ジメチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)テレフタレート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-{β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,2-ビス[4-(2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナモイルオキシ))エトキシフェニル]プロパン、β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリルエステルなど。
【0088】
これらの中では、β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリルエステル、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、dl-α-トコフェロール、トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-t-ブチルベンジル)イソシアヌレート、トリス[(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-{β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが好ましい。
【0089】
フェノール系安定剤(C)としては市販品を使用することもでき、例えばイルガノクス1010(Irganox1010、チバガイギー社、商標)、イルガノクス1076(Irganox1076、チバガイギー社、商標)、イルガノクス1330(Irganox1330、チバガイギー社、商標)、イルガノクス3114(Irganox3114、チバガイギー社、商標)、イルガノクス3125(Irganox3125、チバガイギー社、商標)、BHT(武田薬品工業(株)、商標)、シアノクス1790(Cyanox1790、サイアナミド社、商標)、スミライザーGA−80(Sumilizer GA-80、住友化学(株)、商標)、ビタミンE(エーザイ(株))などがあげられる。
【0090】
これらのフェノール系安定剤(C)は、単独であるいは組合せて用いることができる。
フェノール系安定剤(C)の配合量は、前記プロピレン系ポリマー(A)100重量部に対して0.005〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部とするのが望ましい。
【0091】
フェノール系安定剤(C)の含有量が、プロピレン系ポリマー(A)100重量部に対して上記のような範囲内にあると、耐熱性、耐老化性等の安定性の向上効果が高く、また安定剤の費用が廉価に抑えられ、プロピレン系ポリマー(A)の性質、例えば引張り強度などが低下することもない。
【0092】
《リン系安定剤(D)》
リン系安定剤(D)としては、従来から安定剤として使用されているリン系の安定剤が特に限定されることなく用いられる。リン系安定剤(D)の具体的なものとしては、以下のような化合物が用いられる。
【0093】
トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチル-ジフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)-1,1,3-トリス(2-メチル-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフエニル)ブタンジホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)-4,4'-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ホスファイト、トリス(モノ・ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、水素化-4,4'-イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス[4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)]・1,6-ヘキサンジオールジホスファイト、フェニル・4,4'-イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス[4,4'-イソプロピリデンビス(2-t-ブチルフェノール)]ホスファイト、フェニル・ジイソデシルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(1,3-ジ-ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、4,4'-イソプロピリデンビス(2-t-ブチルフェノール)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、9,10-ジ-ヒドロ-9-オキサ-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)・エチルフォスファイト、2-[{2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ(D,F)(1,3,2)-ジオキサホスフェフィン-6-イル}オキシ]-N,N-ビス〔2-[{2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ(D,F)(1,3,2)-ジオキサホスフェフィン-6-イル}オキシ]エチル〕エタンアミンなど。
【0094】
またビス(ジアルキルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトエステルは、下記一般式(13)で示されるスピロ型ないし一般式(14)で示されるケージ形のものも使用される。通常はこのようなホスファイトエステルを製造する方法から生じる経済的理由のために両異性体の混合物が最も多く使用される。
【0095】
【化10】
Figure 0003757530
【0096】
ここで、R1、R2、R3は、水素または炭素原子数1〜9のアルキル基、特に分枝のあるアルキル基、なかでもtert-ブチル基が好ましく、またフェニル基におけるその置換位置は2,4,6位が最も好ましい。好適なホスファイトエステルは、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等であり、また炭素とリンとが直接結合した構造を持つホスフォナイト、例えばテトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニレンジホスフォナイトなどの化合物もあげられる。
【0097】
リン系安定剤(D)としては市販品を使用することもでき、例えばイルガフォス168(Irgafos 168、チバガイギー社、商標)、イルガフォス12(Irgafos 12、チバガイギー社、商標)、イルガフォス38(Irgafos 38、チバガイギー社、商標)、マーク329K(Mark 329K、旭電化(株)、商標)、マークPEP36(Mark PEP36、旭電化(株)、商標)、マークPEP−8(Mark PEP-8、旭電化(株)、商標)、Sandstab P−EPQ(クラリアント社、商標)、ウェストン618(Weston 618、GE社、商標)、ウェストン619G(Weston 619G、GE社、商標)、ウェストン−624(Weston-624、GE社、商標)などがあげられる。
【0098】
これらのリン系安定剤(D)は単独であるいは組合せて用いることができる。リン系安定剤(D)の配合量は、前記プロピレン系ポリマー(A)100重量部に対して0.005〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部とするのが望ましい。
【0099】
リン系安定剤(D)の含有量が、プロピレン系ポリマー(A)100重量部に対して上記のような範囲内にあると、耐熱性、耐老化性等の安定性の向上効果が高く、また安定剤の費用が廉価に抑えられ、プロピレン系ポリマー(A)の性質、例えば引張り強度などが低下することもない。
【0100】
《イオウ系安定剤(E)》
イオウ系安定剤(E)としては、従来から安定剤として使用されているイオウ系の安定剤が特に限定されることなく用いられる。イオウ系安定剤(E)の具体的なものとしては、以下のような化合物が用いられる。
【0101】
ジラウリル−、ジミリスチル−、ジステアリル−などのジアルキルチオジプロピオネートおよびブチル−、オクチル−、ラウリル−、ステアリル−などのアルキルチオプロピオン酸の多価アルコール(例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート)のエステル(例えばペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネート)など。さらに具体的には、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジブチレートなどがあげられる。
【0102】
イオウ系安定剤(E)としては市販品を使用することもでき、例えばDSTP(ヨシトミ)(吉富(株)社、商標)、DLTP(ヨシトミ)(吉富(株)社、商標)、DLTOIB(吉富(株)社、商標)、DMTP(ヨシトミ)(吉富(株)社、商標)、Seenox 412S(白石カルシウム(株)社、商標)、Cyanox 1212(サイアナミド社、商標)などがあげられる。
【0103】
これらのイオウ系安定剤(E)は、単独であるいは組合せて用いることができる。
イオウ系安定剤(E)の配合量は、前記プロピレン系ポリマー(A)100重量部に対して0.005〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部とするのが望ましい。
【0104】
イオウ系安定剤(E)の含有量が、プロピレン系ポリマー(A)100重量部に対して上記のような範囲内にあると、耐熱性、耐老化性等の安定性の向上効果が高く、また安定剤の費用が廉価に抑えられ、プロピレン系ポリマー(A)の性質、例えば引張り強度などが低下することもない。
【0105】
《ヒンダードアミン系安定剤(F)》
ヒンダードアミン系安定剤(F)としては、従来公知のピペリジンの2位および6位の炭素に結合しているすべての水素がメチル基で置換された構造を有する化合物が特に限定されることなく用いられるが、具体的には以下のような化合物が用いられる。
(1)ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、
(2)コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、
(3)ポリ[[6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2-4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、
(4)テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、
(5)2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニルベンゾエート、
(6)ビス-(1,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)-2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロネート、
(7)ビス-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート、
(8)1,1'-(1,2-エタンジイル)ビス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)、
(9)(ミックスト2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル/トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、
(10)(ミックスト1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル/トリデシル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、
(11)ミックスト{2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル/β,β,β',β'-テトラメチル-3-9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、
(12)ミックスト{1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル/β,β,β',β'-テトラメチル-3-9-[2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、
(13)N,N'-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン-2-4-ビス[N-ブチルN-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ]-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物、
(14)ポリ[[6-N-モルホリル-1,3,5-トリアジン-2-4-ジイル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、
(15)N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2-ジブロモエタンとの縮合物、
(16)[N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]プロピオンアミドなど。
【0106】
なかでも、上記(1)、(2)、(3)、(4)、(8)、(10)、(11)、(14)、(15)の化合物が好ましく用いられる。
これらのヒンダードアミン系安定剤(F)は、単独であるいは組合せて用いられる。
【0107】
ヒンダードアミン系安定剤(F)の配合量は、プロピレン系ポリマー(A)100重量部に対して0.005〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部とするのが望ましい。
【0108】
ヒンダードアミン系安定剤(F)の含有量が、プロピレン系ポリマー(A)100重量部に対して上記のような範囲内にあると、耐熱性、耐老化性等の安定性の向上効果が高く、また安定剤の費用が廉価に抑えられ、プロピレン系ポリマー(A)の性質、例えば引張り強度などが低下することもない。
【0109】
《静電防止剤(G)》
本発明で用いられる静電防止剤(G)としては、従来から静電防止剤または帯電防止剤として使用されているものが特に限定されることなく使用でき、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などがあげられる。
【0110】
静電防止剤(G)として使用する上記アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸またはロジン酸セッケン、N−アシルカルボン酸塩、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミン塩等のカルボン酸塩;スルホコハク酸塩、エステルスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩等のスルホン酸塩;硫酸化油、硫酸エステル塩、硫酸アルキル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、硫酸エーテル塩、硫酸アミド塩等の硫酸エステル塩;リン酸アルキル塩、リン酸アルキルポリオキシエチレン塩、リン酸エーテル塩、リン酸アミド塩等のリン酸エステル塩などがあげられる。
【0111】
静電防止剤(G)として使用する前記カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩等のアミン塩;アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、テトラアルキルアンモニウム塩、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)ジアルキルアンモニウム塩、N−アルキルアルカンアミドアンモニウムの塩等の第4級アンモニウム塩;1−ヒドロキシエチル−2−アルキル−2−イミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−1−アルキル−2−アルキル−2−イミダゾリン等のアルキルイミダゾリン誘導体;イミダゾリニウム塩、ピリジニウム塩、イソキノリニウム塩などがあげられる。
【0112】
静電防止剤(G)として使用する前記非イオン性界面活性剤としては、アルキルポリオキシエチレンエーテル、p−アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル等のエーテル形;脂肪酸ソルビタンポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸ソルビトールポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸グリセリンポリオキシエチレンエーテル等のエーテルエステル形;脂肪酸ポリオキシエチレンエステル、モノグリセリド、ジグリセリド、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、2価アルコールエステル、ホウ酸エステル等のエステル形;ジアルコールアルキルアミン、ジアルコールアルキルアミンエステル、脂肪酸アルカノールアミド、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)アルカンアミド、アルカノールアミンエステル、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)アルカンアミン、アミンオキシド、アルキルポリエチレンイミン等の含窒素形などがあげられる。
【0113】
静電防止剤(G)として使用する前記両性界面活性剤としては、モノアミノカルボン酸、ポリアミノカルボン酸等のアミノ酸形;N−アルキルアミノプロピオン酸塩、N,N−ジ(カルボキシエチル)アルキルアミン塩等のN−アルキル−β−アラニン形;N−アルキルベタイン、N−アルキルアミドベタイン、N−アルキルスルホベタイン、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタイン等のベタイン形;1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシ−1−ヒドロキシエチル−2−アルキル−2−イミダゾリン、1−スルホエチル−2−アルキル−2−イミダゾリン等のアルキルイミダゾリン誘導体などがあげられる。
【0114】
上記界面活性剤としては非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が好ましく、中でもモノグリセリド、ジグリセリド、ホウ酸エステル、ジアルコールアルキルアミン、ジアルコールアルキルアミンエステル、アミド等のエステル形または含窒素形の非イオン性界面活性剤;ベタイン形の両性界面活性剤が好ましい。
【0115】
静電防止剤(G)としては市販品を使用することもでき、例えばエレクトロストリッパーTS5(花王(株)製、商標、グリセリンモノステアレート)、エレクトロストリッパーEA(花王(株)製、商標、ラウリルジエタノールアミン)、デノン331P(丸菱油化(株)製、商標、ステアリルジエタノールアミンモノステアレート)、エレクトロストリッパーEA−7(花王(株)製、商標、ポリオキシエチレンラウリルアミンカプリルエステル)、レジスタットPE−139(第一工業製薬(株)製、商標、ステアリン酸モノ&ジグリセリドホウ酸エステル)、ケミスタット4700(三洋化成(株)製、商標、アルキルジメチルベタイン)などがあげられる。
【0116】
これらの静電防止剤(G)は、単独であるいは組合せて用いることができる。
静電防止剤(G)の配合量は、プロピレン系ポリマー(A)100重量部に対して0.05〜2重量部、好ましくは0.1〜1重量部とするのが望ましい。
【0117】
静電防止剤(G)の配合量が、プロピレン系ポリマー(A)100重量部に対して上記のような範囲にあると、表面固有抵抗を減らして帯電による障害を防止することができ、電気的特性に優れた組成物が得られ、しかもプロピレン系ポリマー(A)の性質、例えば引張り強度などが低下することもない。
【0118】
《滑剤(H)》
本発明で用いられる滑剤(H)としては、従来から樹脂の滑剤として使用されているものが特に限定されることなく使用できる。滑剤(H)の具体的なものとしては、以下のような化合物が用いられる。
【0119】
キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油等の天然植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ロウ等の天然動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の天然鉱物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の天然石油系ワックス;トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素;モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の合成変性ワックス;硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ油誘導体、硬化ナタネ油、硬化大豆油等の合成水素添加ワックス;ステアリン酸Ca、ステアリン酸Ba、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Li等の合成金属石けん;ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の合成高級樹脂肪酸;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、EBS等の合成脂肪酸アミド;ブチルステアレート、長鎖脂肪酸エステル等の合成脂肪酸エステル;セタノール、ステアリルアルコール等の合成高級アルコールなど。
【0120】
滑剤(H)としては市販品を使用することもでき、例えばアーモスリップCP(ライオン(株)製、商標)、ニュートロン2(日本精化(株)製、商標)、アルフローP−10(日本油脂(株)製、商標)、アーモワックスEBS(ライオンアーマー(株)製、商標)などがあげられる。
【0121】
これらの滑剤(H)は、単独であるいは組合せて用いることができる。
滑剤(H)の配合量は、プロピレン系ポリマー(A)100重量部に対して0.005〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部とするのが望ましい。
【0122】
滑剤(H)の配合量が、プロピレン系ポリマー(A)100重量部に対して上記のような範囲にあると、本発明のプロピレン系ポリマー組成物を加熱溶融して成形する際の流動性が改善され、また成形加工機や金型への粘着性を抑制し、成形体の型離れが改善され、さらにまたフィルムに成形した場合には口開きなどのスリップ性が改善され、しかもプロピレン系ポリマー(A)の性質、例えば引張り強度などが低下することもない。さらに、ステアリン酸Ca等の高級脂肪酸の金属塩(H)は、滑剤および防銹剤としての効果を有するため、このような高級脂肪酸の金属塩(H)を含有したプロピレン系ポリマー組成物は離型性に優れ、成形機等の銹防止に有効である。
【0123】
また本発明では、高級脂肪酸金属塩、ロジングリセンリンエステル、ポリオレフィンワックス、水添石油樹脂などの相溶化剤を添加してもよい。このような相溶化剤は、プロピレン系ポリマー100重量部に対して、通常0.01〜5重量部の量で用いられる。相溶化剤を添加すると、核剤(B)をプロピレン系ポリマー(A)に短い混練時間で分散させることができる。
【0124】
さらに本発明のプロピレン系ポリマー組成物には、衝撃強度を向上させるためのゴム成分を配合したり、耐候安定剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、染料、顔料などを配合することができ、その配合割合は適宜量である。
【0125】
さらに本発明では、本発明の目的を損なわない範囲で、プロピレン系ポリマー組成物にシリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの充填剤を配合してもよい。
【0126】
プロピレン系ポリマー組成物を調製する方法としては、従来公知の方法を任意に採用でき、例えばプロピレン系ポリマー(A)と、核剤(B)と、必要に応じて他の添加剤とを押出機、ニーダーなどを用いて溶融混練する方法が用いられる。
【0127】
本発明のプロピレン系ポリマー組成物は、従来からポリプロピレンが用いられてきた分野、例えば家庭用品から工業用品に至る広い用途、例えば食品容器、電気部品(掃除機、洗濯機などに用いられるもの)、電子部品、自動車部品(バンパー、内装材、外装材など)、機械機構部品などの分野で特に制限されることなく用いられるが、特に押出シート、未延伸フィルム、延伸フィルム、フィラメント、押出成形体、射出成形体、ブロー成形体などの用途に好適に用いられる。
【0128】
本発明の成形体は、本発明のプロピレン系ポリマー組成物を成形して得られる成形体である。成形方法は特に限定されず、押出成形、射出成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、インフレーション成形、モールドスタンピング成形などの公知の成形法が採用でき、成形法に応じて押出成形体、射出成形体、ブロー成形体、押出ブロー成形体、射出ブロー成形体、インフレーション成形体、モールドスタンピング成形体などが得られる。成形方法としては押出成形法または射出成形法が好ましい。
【0129】
本発明の成形体である押出成形体の形状および製品種類は特に限定されないが、具体的にはシート、フィルム、パイプ、ホース、電線被覆、フィラメントなどがあげられ、シート、フィルム、フィラメントなどとして特に好適に用いられる。
【0130】
本発明のプロピレン系ポリマー組成物を押出成形してシート、フィルム(未延伸フィルム)などの押出成形体を製造する際には、公知の押出装置を用いることができる。例えば、単軸スクリュー押出機、混練押出機、ラム押出機、ギヤ押出機などを用い、溶融したプロピレン系ポリマー組成物をTダイから押出すことにより製造することができる。また成形条件も、公知の条件を採用することができる。
このような押出シート、フィルム(未延伸フィルム)は、結晶化速度が速く、剛性、耐熱剛性、透明性、光沢、表面硬度などに優れている。
【0131】
延伸フィルムは、本発明のプロピレン系ポリマー組成物からなるシートまたはフィルムを用いて公知の延伸装置により製造することができる。例えば、テンター法(縦横延伸、横縦延伸)、同時二軸延伸法、一軸延伸法などがあげられる。延伸フィルムの延伸倍率は、二軸延伸フィルムの場合には、通常20〜70倍であることが望ましく、一軸延伸フィルムの場合には通常は2〜10倍であることが望ましい。また延伸フィルムの厚さは、通常5〜200μmであることが望ましい。
このような延伸フィルムは、結晶化速度が速く、剛性、耐熱剛性、透明性、光沢、表面硬度などに優れている。
【0132】
また本発明のプロピレン系ポリマー組成物からは、インフレーションフィルムを製造することもできる。
【0133】
本発明のプロピレン系ポリマー組成物からなるシート、未延伸フィルム、延伸フィルムは、結晶化速度が速く、剛性、耐熱剛性、透明性、光沢、表面硬度などに優れ、またプロピレン系ポリマー(A)が本来有している耐熱性、耐老化性、防湿性、ガズバリヤ性などは低下していないため、包装用フィルムや薬品の錠剤、カプセルなどの包装に用いられるプレススルーパック(press through pack)用として好ましく利用できる。
【0134】
本発明のプロピレン系ポリマー組成物からなるフィラメントは、例えば溶融したプロピレン系ポリマー組成物を、紡糸口金を通して押出すことにより製造することができる。このようにして得られたフィラメントは、さらに延伸処理してもよい。この延伸の程度は、プロピレン系ポリマー(A)に少なくとも一軸方向の分子配向が有効に付与される程度に行えばよく、延伸倍率は、通常5〜10倍であることが望ましい。
このようなフィラメントは、結晶化速度が速く、剛性、耐熱剛性、透明性、光沢、表面硬度などに優れている。
【0135】
本発明のプロピレン系ポリマー組成物からなる射出成形体は、公知の射出成形装置により製造することができる。また成形条件も、公知の条件を採用することができる。
本発明の成形体である射出成形体は、結晶化速度が速く、剛性、耐熱剛性、透明性、光沢、表面硬度などに優れ、またプロピレン系ポリマー(A)が本来有している耐熱性、耐老化性、耐衝撃性、耐薬品性、耐磨耗性などは低下していないため、自動車内装用トリム材、自動車用外装材、家電製品のハウジング、容器など幅広く用いることができる。
【0136】
本発明のプロピレン系ポリマー組成物からなるブロー成形体は、公知のブロー成形装置により製造することができる。また成形条件も、公知の条件を採用することができる。
例えば押出ブロー成形の場合には、樹脂温度100〜300℃でダイより上記プロピレン系ポリマー組成物を溶融状態でチューブ状パリソンを押出し、次いで付与すべき形状の金型中にパリソンを保持した後、空気を吹き込み樹脂温度130〜300℃で金型に着装し、中空成形品を得る。延伸倍率は、横方向に1.5〜5倍であることが望ましい。
【0137】
射出ブロー成形の場合には、樹脂温度100〜300℃でプロピレン系ポリマー組成物を金型に射出してパリソンを成形し、次いで付与すべき形状の金型中にパリソンを保持した後空気を吹き込み、樹脂温度120〜300℃で金型に着装し、中空成形品を得る。延伸倍率は、縦方向に1.1〜1.8倍であることが望ましく、横方向に1.3〜2.5倍であるであることが望ましい。
このようなブロー成形体は、結晶化速度が速く、剛性、耐熱剛性、透明性、光沢、表面硬度などに優れている。
【0138】
本発明のプロピレン系ポリマー組成物は、表皮材と基材とを同時にプレス成形することにより、両者が複合一体化した成形体を製造する方法(モールドスタンピング成形)における基材として用いることができる。この成形方法により得られたモールドスタンピング成形体は、ドアートリム、リアーパッケージトリム、シートバックガーニッシュ、インストルメントパネルなどの自動車用内装材として好適に用いられる。
このようなモールドスタンピング成形体は、結晶化速度が速く、剛性、耐熱剛性、透明性、光沢、表面硬度などに優れている。
【0139】
【発明の効果】
本発明のプロピレン系ポリマー組成物は、メタロセン系触媒を用いて得られるプロピレンを主体モノマーとするプロピレン系エラストマーからなり、コモノマー含量が10〜50モル%、密度が0.85〜0.90g/cm 3 、極限粘度[η]が0.5〜10dl/g、結晶化度(X線による)が0〜60%、分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜20であるプロピレン系ポリマー(A)に、核剤(B)を配合しているので、結晶粒子の微細化が図れるとともに、結晶化速度が速く、高速成形が可能になるほか、透明性、光沢、表面硬度などに優れ、プロピレン系ポリマー(A)が本来有する耐熱性、耐老化性、防湿性、ガズバリヤ性、その他の優れた特性が損なわれることはない
本発明の成形体は、上記プロピレンを主体モノマーとするプロピレン系エラストマーからなるプロピレン系ポリマー組成物を成形してなる成形体であるので、結晶粒子の微細化が図れるとともに、結晶化速度が速く、高速成形が可能になるほか、透明性、光沢、表面硬度などに優れ、プロピレン系ポリマー(A)が本来有する耐熱性、耐老化性、防湿性、ガズバリヤ性、その他の優れた特性が損なわれることはない
【0140】
【発明の実施の形態】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。各実施例における物性の測定方法、使用したポリマーは下記の通りである。
【0141】
《物性測定法》
(1)メルトフローレート(MFR)
ASTM D1238−65Tに準じて、230℃、2.16kg荷重下で測定した。
(2)極限粘度([η])
135℃デカヒドロナフタレン中で測定した。
(3)分子量分布(Mw/Mn)
o−ジクロルベンゼンを溶媒として、140℃においてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定して求めた。
【0142】
(4)結晶化度(Xc)
200℃で成形した厚み0.5mmのプレスシートを用い、X線回折装置により測定して求めた。
(5)ポリマー組成
10mmφの試料管中、約200mgのポリマーを1mlのヘキサクロロブタジエン中に均一に溶解させた試料を、測定温度120℃、測定周波数25.02MHz、スペクトル幅1500Hz、パルス繰返し時間4.2sec、パルス幅6μsecの条件で13C−NMRスペクトル測定することにより求めた。
(6)融点(Tm)
示差走査熱量計により、一度融解させて10℃/minの降温速度で固化させた試料を、次いで10℃/minの昇温速度で測定することにより求めた。
【0143】
(7)曲げ弾性率(FM)
ASTM D790に準じて、射出成形した試験片を23℃、スパン間32mm、曲げ速度5mm/minで試験した。
(8)ヘイズ(Haze)
ASTM D1003に準じて、200℃で成形した厚み0.5mmのプレスシートについて測定した。
【0144】
各実施例で使用した、メタロセン系触媒を用いて常法に従って製造したプロピレン系ポリマーの物性を表1に示す。なお表中、A−1はホモポリマー、A−2はランダム共重合体、A−3はブロック共重合体である。
【表1】
Figure 0003757530
【0145】
実施例1〜5
表1の各プロピレン系ポリマー100重量部に対して、表2、表3に示す種類の核剤を表2、表3に示す量で配合または前重合し、さらにテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.1重量部、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを0.1重量部、およびステアリン酸カルシウムを0.1重量部配合し、2軸押出機により230℃にて溶融混練することにより試料を調製した。結果を表2、表3に示す。
【0146】
比較例1〜3
表1の各プロピレン系ポリマー100重量部に対して、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.1重量部、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを0.1重量部、およびステアリン酸カルシウムを0.1重量部配合し、2軸押出機により230℃にて溶融混練することにより試料を調製した。結果を表2、表3に示す。
【0147】
【表2】
Figure 0003757530
【0148】
【表3】
Figure 0003757530
【0149】
表2、表3の注
*1 B−1:1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール*2 B−2:ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート
*3 B−3:アルミニウムヒドロキシ−p−t−ブチルベンゾエート
*4 B−4:ポリ3−メチル−1−ブテン

Claims (3)

  1. メタロセン系触媒を用いて得られるプロピレンを主体モノマーとするプロピレン系エラストマーからなり、コモノマー含量が10〜50モル%、密度が0.85〜0.90g/cm 3 、極限粘度[η]が0.5〜10dl/g、結晶化度(X線による)が0〜60%、分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜20であるプロピレン系ポリマー(A)に核剤(B)を配合してなることを特徴とするプロピレン系ポリマー組成物。
  2. 核剤(B)の配合量が、プロピレン系ポリマー(A)100重量部に対して0.001〜5重量部である請求項1記載のプロピレン系ポリマー組成物。
  3. 請求項1または2記載の組成物からなる成形体。
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