JP3754764B2 - 軒天井構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軒天井構造に関する。
【0002】
【関連技術および発明が解決しようとする課題】
従来、屋根軒先側下端部と外壁との間に水平な軒天を構築する場合の軒天下地構造としては、図7に示すものが知られている。
【0003】
この構造を、床、壁、屋根等をパネル化してパネルを組み立てることにより建物を形成していくパネル工法による建築物を例にとって説明すると、図7に示すように、外壁50を構成する外壁パネル51上端に屋根70を構成する屋根パネル74を所定の屋根勾配を持たせて組み立て、外壁パネル51の屋外側には外壁材58が取り付けられる。この時、外壁材58は外壁パネル51に直接取り付けられるのではなく、建物の上下方向の通気を確保するため、図7に示すように外壁パネル51の屋外側の面に胴縁54が取り付けられ、この胴縁54を介して外壁材58が外壁パネル51に取り付けられる。
【0004】
一方、屋根パネル74の軒先側端部には結合材76が取り付けられ、続いて頭つなぎ材78、破風80および唐草82が取り付けられて軒先部が構築される。
軒天井の構築においては、まず、屋根パネル74の軒先側下端部と外壁パネル51間の上方の梁等に、吊り木90を取り付け、吊り木によって縣下される野縁88を、図8に示すように格子状に組んで軒天下地組みを構築する。次に、野縁88の下面に軒天井板92を取り付けて、軒天井が完成する。
【0005】
上述のように、従来の軒天井構造においては、枠組みした野縁を、不自然な上向きの姿勢で構築する必要があり、そのための工数と苦労を必要とするという問題点があった。
【0006】
また、天井板の取付においても、上向きの不自然な姿勢で多くの釘打ち等を必要とするため、現場作業の工数が多かった。
【0007】
ところで、本出願人は、予め日本特許情報機構(JAPIO)の先行技術調査(パトリス)によって、検索式: E04B05/60C にて、先行技術を調査し、特許68件、実用新案184件の調査結果を得た。この結果から、上記問題点を解決するための技術を発見することはできなかった。
【0008】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、胴縁を枠組みすることなく取り付けることができる軒天井構造を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、不自然な上向きの姿勢で行う釘打ち作業等の必要が少ない軒天井構造を提供することにある。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る軒天井構造は、軒の端部に沿って固定される軒先側野縁と、
前記軒先側野縁と対向してほぼ平行に外壁の屋外側に固定される外壁側野縁と、
両端部が軒先側野縁及び外壁側野縁に固定される軒天井板とを有し、
前記軒天井板は、外壁を構成する外壁材の屋外側に配置され、
前記軒天井板の外壁材側の端部は、前記外壁側野縁の下面に取付けられた見切ジョイナーに差込み支持されることを特徴とする。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施例について、図面を参照しながら、さらに具体的に説明する。
【0024】
図1は、本実施例の軒天井構造10を示す縦断面図である。図2は、建物の外壁50と軒天井板20の配置を屋根70を除いた状態で示す概略平面図である。これらの図において、前記の「関連技術」の説明に用いた図7の軒天井構造に対応する各部には同一の符号を付した。
【0025】
これらの図に示すように、本実施例の軒天井構造10は、軒の端部に沿って固定される軒先側野縁35と、軒先側野縁35と同様な垂直位置でほぼ平行に外壁50の屋外側に固定される外壁側野縁40との下面に、軒天井板20がほぼ水平な状態で固定される構造となっている。また、図2に示したように、軒天井板20は複数が軒幅方向に連結されて軒天井を形成する。
【0026】
以下、本実施例の軒天井構造10を構成する各部について説明する。
【0027】
軒先側野縁35は、長尺の角材状の形状であり、屋根70を構成する屋根パネル74の軒先側の端部に固定された結合材76の下面に軒幅方向に延在する状態で、釘等を用いて固定される。
【0028】
外壁側野縁40は、軒先側野縁35と同様な長尺の角材状の形状であり、軒先側野縁35と対向して軒先側野縁35とほぼ平行に同様な垂直位置で外壁50の屋外側に軒幅方向に延在する状態で固定される。なお、外壁側野縁40は、図1に示すように、釘等によって外壁50に固定される。
【0029】
軒天井板20は、図1の一部に断面図として描かれ、図3(A)に下面を上にした状態における平面図および正面図として示すように、軒天井板本体24と、連結材30とを含んで構成される。
【0030】
軒天井板本体24は、矩形形状を有する面材であり、無機材料で形成されている。したがって、防火性能を有している。
【0031】
連結材30は、軒天井板本体24の、隣接する軒天井板20と連結される辺である連結辺25の一方の上面に釘や接着剤などを用いて固定される。その固定位置は、隣接する軒天井板20の軒天井板本体24の上面に、連結材30がまたがることとなる位置とされる。
【0032】
軒天井板20は、軒天井板本体24の両端部26,26の一方が、軒先に取り付けられた軒先側野縁35に固定され、他方が、外壁の屋外側に取付けられた外壁側野縁40に固定されることによって取り付けられる。
【0033】
また、隣接する軒天井板20,20同士は、軒天井板本体24の連結辺25,25同士が連結材30を介して連結されることによって、互いに連結される。すなわち、図4(A)に示すように、隣接する軒天井板本体24の一方には、その連結辺25に予め連結材30が取り付けてあり、その連結材30に他方の軒天井板本体24を釘等によって固定することによって、隣接する軒天井板20,20同士が連結される。
【0034】
なお、隣接する軒天井板20,20の軒天井板本体24,24の連結辺25,25同士は、例えば図4(B)に連結部分の拡大図として示すように、互いに厚さ方向すなわち上下に重なる形状に形成されている。したがって、隣接する軒天井板20,20同士の連結部において隙間が生じないようにコーキング等を行う必要がない。また、そのような隙間によって防火性が破られることもない。なお、隣接する軒天井板本体24,24の連結辺同士は互いに厚さ方向に上下に重なる形状であれば、例えば、一方を実状とし他方がそれに対応する形状や、互いにテーパ状に厚さが変化する形状としても良い。
【0035】
本実施例によれば、軒天井板20の軒天井板本体24の両端部26,26を軒先側野縁35および外壁側野縁40に取り付けて固定し、隣接する軒天井板20と連結材30を介して連結することができる。そのため、枠組みした野縁を必要とすることなく固定することができ、その製作のための工数を削減することができる。また、軒天井板20を固定するために、下方からの釘打ちが少なくてすみ、少ない現場施工の工数で軒天井を構築することができる。また、隣接する軒天井板本体24,24同士は木材等で形成された連結材を介して互いに連結されているため、無機材料で形成された軒天井板本体を用いた場合であっても、連結材に到る釘等によって十分な連結強度を得ることができる。
【0036】
ここで、本実施例の軒天井構造の施工を図面を参照しながら説明する。
【0037】
まず、図1に示すように、屋根70の軒の端部に沿って軒先側野縁35が固定される。なお、軒先側野縁35を、屋根70を構成する屋根パネル74の軒先となる部分に予め固定しておき、その屋根パネル74を外壁50を構成する壁パネル51上の所定位置に設置するようにしてもよい。
【0038】
次に、外壁側野縁40を、軒先側野縁35と対向する位置すなわち同様な垂直位置で外壁50の屋外側に、軒先側野縁35とほぼ平行に釘等で固定する。
【0039】
そして、軒天井板20の軒天井板本体24の両端部26,26を軒先側野縁35および外壁側野縁40に固定することによって軒天井板20を所定位置に取り付ける。なお、この軒天井板20の取付においては、図5に外壁側野縁40の付近の断面図として示すように、軒天井板本体24の一方の端部を見切りジョイナ38に差し込み、見切りジョイナ38によって仮に支持された状態で、軒天井板本体24の他方の端部26を軒先側野縁35に釘等で固定した後、軒天井板本体24の前記一方の端部を外壁側野縁40に釘等で固定する。なお、見切りジョイナ38は、弾性を有する材料、例えば塩化ビニル被覆鋼板で形成され、軒天井板20を取り付ける際に図5に示したように変形させることができるため軒天井板20を容易に取り付けることができる。取り付けられた軒天井板20は両端部26,26が、それぞれ見切りジョイナ38および破風80によって隠されるため、外観の良い軒天井板20となる。
【0040】
そして次に、図4(A)および(B)に示した状態で、隣接する軒天井板20を先に固定されている軒天井板20に隣接させ、その軒天井板本体24の連結辺25を、先に固定されている軒天井板20の連結材30に釘等で固定して、隣接する軒天井板20,20同士を連結する。
【0041】
軒天井板20の上述した固定と連結は、図2に示した軒天井板20のそれぞれについて繰り返される。
【0042】
このようにして、本実施例の軒天井構造10が施工される。
【0043】
本実施例の軒天井の施工方法によれば、枠組みした野縁を必要とすることなく軒天井板20を固定することができ、枠組みした野縁を製作するための工数を削減することができる。また、軒天井板20を固定するために、下方からの釘打ちが少ない施工方法であるため、少ない現場施工の工数で軒天井を構築することができる。
【0044】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内または特許請求の範囲の均等範囲内で各種の変形実施が可能である。
【0045】
例えば、上記実施例では、軒天井板本体24が矩形形状を有する軒天井板20のみを用いた例を示したが、軒天井板本体24が三角形を有する軒天井板20を組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施例では、軒天井本体24が無機材料で形成される例を示したが、他の防火性材料例えば金属等でもよいし、また、木材等の有機材料でもよい。なお、木材等の有機材料を軒天井板本体24に用いた場合は、防火性を持たせるために防火処理等を施すことが望ましい。
【0047】
また、上記実施例では、軒天井板本体24の連結辺25,25の一方のみに予め連結材30が取り付けられている軒天井板20の例を示したが、軒天井板20の使用箇所の施工の都合によっては図3(B)に下面を上にした状態における平面図および正面図として示すように、軒天井板本体24の連結辺25,25の両方に予め連結材30,30が取り付けられていてもよい。
【0048】
さらに、上記実施例では、外壁材58が取り付けられた外壁50に外壁側野縁40などを取り付けて軒天井構造10を構築する例を示したが、図6(A)に外壁側野縁40の付近の拡大縦断面として示したように、外壁50の外壁材58が取り付けられる前に、外壁材58を差し込むための空間62を残して軒天井板20を取付け、その後、図6(B)に外壁側野縁40の付近の拡大断面図として示したように、外壁材58を差し込んで取り付けるようにしてもよい。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の軒天井構造を示す縦断面図である。
【図2】 屋根を除いた状態で外壁と軒天井板の配置を示す概略平面図である。
【図3】 (A)は軒天井板の一例の下面を上にした状態における平面図および正面図であり、(B)は下面を上にした状態における軒天井板の他の一例の平面図および正面図である。
【図4】 (A)は軒天井板が相互に隣接する状態を示す断面図である。(B)は、軒天井板の隣接部分の拡大断面図である。
【図5】 実施例の軒天井構造の外壁側野縁付近を示す断面図である。
【図6】 (A)および(B)は変形例の軒天井構造の外壁側野縁付近を示す断面図であり、(A)は外壁材が取り付けられる前の状態を示し、(B)は外壁材が取り付けられた状態を示している。
【図7】 関連技術の軒天井構造を示す断面図である。
【図8】 関連技術の軒天井構造に用いられた野縁および吊り木を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 軒天井構造
20 軒天井板
24 軒天井板本体
25 連結辺
26 端部
30 連結材
35 軒先側野縁
40 外壁側野縁
50 外壁
58 外壁材
62 空間
Claims (1)
- 軒の端部に沿って固定される軒先側野縁と、
前記軒先側野縁と対向してほぼ平行に外壁の屋外側に固定される外壁側野縁と、
両端部が軒先側野縁及び外壁側野縁に固定される軒天井板とを有し、
前記軒天井板は、外壁を構成する外壁材の屋外側に配置され、
前記軒天井板の外壁材側の端部は、前記外壁側野縁の下面に取付けられた見切ジョイナーに差込み支持されることを特徴とする軒天井構造。
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