JPH0311344B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、家屋のような建築構造物の屋根、外
壁に用いる外装板、および外装板葺き上げ方法に
関するものである。

〔従来技術およびその解決すべき課題〕

従来、建築構造物の外壁に用いる外装板とし
て、例えば実公昭58−53386号公報に示されたも
のが知られている。

この外装板は、横長の平板部の上縁および下縁
に、上、下に隣接する外装板が互いに水密に嵌合
する嵌入部および嵌合部を、前記平板部より室内
側に位置させてそれぞれ一体に連接したものであ
る。

また、この外装板を用いて外壁を葺き上げるに
は、下方に隣接する外装板の嵌入部を既に葺かれ
ている上方の外装板の嵌合部に嵌合させて、上方
から下方に向つて複数段に葺いている。

しかし、この外装板および外装板の葺き上げ方
法では、外装板の左、右方向の結合について、考
慮が払われていなかつたので、左、右方向の結合
が容易にできる外装板およびその葺き上げ方法が
要望されている。

〔発明の開示〕

本発明は、前述した要望に応えようとするもの
であつて、比較的簡単な構造でありながら、左右
方向に隣接する外装板を容易に結合できる外装
板、および上方から下方に向つて外装板を葺くこ
とによる施工が容易であるなどの利点を損うこと
なく、外装板を少ない労力に正確に位置決めして
容易に葺くことができる建築構造物の外装板およ
び外装板の葺き上げ方法を提供しようとるもので
ある。

すなわち、本発明による建築構造物の外装板
は、横長の平板部の上縁および下縁に、上下に隣
接する外装板が互いに水密に嵌入する嵌入部およ
び嵌合部を、前記平板部より室内に位置させてそ
れぞれ一体に連設し、前記平板部の一端から平板
部室内側に偏位させて嵌入片を長手方向に突出さ
せ、さらに、平板部の他端部に、左右方向に隣接
する外装板の嵌入片が嵌入する嵌合凹部を平板部
室内側に位置させて一体に形成したものである。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例につき図面を参照して
説明する。

本実施例による外装板は、アルミニウム、塗装
鋼板などの金属板、或は難燃性の合成樹脂板の一
体曲げ加工品からなり、第１図Ａ，Ｂに示すよう
に、平板部１の上端に嵌入部２が、下縁に嵌合部
３がそれぞれ平板部１より室内側に位置するよう
に一体に連設されている。すなわち、第２図及び
第３図にも示すように、平板部１の上縁には室内
側が高く室外側が低い傾斜をもつ連設部４を介し
て嵌入部２が設けられ、嵌入部２は連設部４の室
外側端から立ち上がる垂直部５上に垂直断面がほ
ぼ波形に曲げられた形状に形成され、嵌合部３は
平板部１の下縁から室内側に延びる連設部６を介
して垂直断面がほぼ倒立溝形に形成され、嵌合部
３の室外側壁７の下端部７ａが連設部６下端より
下方に突設されている。

また、平板部１の左右方向一端から長手方向に
嵌入片８が突設され、嵌入片８は室内側へ少許膨
出させた連設部９を介して平板部１に対して室内
側に偏位して配置されており、その上部は嵌入部
２と連続すると共に、下部は平板部１の延長線上
に位置するように切欠されている。平板部１の左
右方向他端部には、連設部１０を介して水平断面
がほぼＵ形の嵌合凹部１１が平板部１の室内側に
配置されて形成されている。そして、嵌合凹部１
１は、平板部１１に対応する高さ位置に切欠され
て平板部１のほぼ全高にわたつて設けられている
が、嵌合凹部１１の下端部は、第１図Ｂに示した
部分水平断面図に明示したように連設部６の上面
に位置するように屈曲形成されている。

尚、前記嵌入片８と嵌合凹部１１の平板部１に
対する位置関係は、上記第１実施例の場合は、第
１図に示すように室内側から見て左側に嵌入片８
を、右側に嵌合凹部１１を形成したが、この形成
位置は後述するように左右の取付位置を上記のも
のとはそれぞれ逆に配置形成することができる。
第４図は第１図に示した第１実施例の水平断面図
である。尚、第２図及び第３図中、１７は石膏ボ
ード、木毛板等の内層材である。

第５図及び第６図は、嵌入片８と嵌合凹部１１
の取付位置を１実施例のものとは左右逆にしたも
のの水平断面図とその葺き上げ方法の概略説明図
であつて、以下、第１図、第３図、第５図及び第
６図を参照しつつ、上記実施例の外装板を用いた
建築構造物の外壁を葺き上げる方法につき説明す
る。

まず、横葺き外装すべき躯体１５の最上段に、
最初の外装板１２嵌合部３の室内側壁７下端部７
ａをネジ、釘等の固定具１６で固定させる。次
に、この外装板１２の嵌合凹部１１に次の外装板
１３の嵌入片８を嵌入させ該嵌入片８を外装板１
２の連設部６上に支持させる。そして連設部４，
６で嵌入片８を挾んで上下方向に位置決めすると
共に、外装板１２の嵌合凹部１１の連設部１０と
外装板１３嵌入片８の連設部９の当接により左右
方向に位置決めして、複数の外装板１２，１３…
…を横葺きする。

次に、上段の外装板１２，１３……に下段の外
装板１４，１４′を装着する順序につき説明する。
先ず、すでに上段の左右方向に葺かれた外装板１
２の嵌合部３に、外装板１４の嵌入部２を嵌入さ
せて位置決めした後に固定具１６で固定させる。
次に、この外装板１４に、更に第６図中右側の外
装板１４′を装着するには、外装板１４の嵌合凹
部１１に外装板１４′の嵌入片８を外装板１４′の
右端部が下がる位置で嵌入させて左右方向の位置
決めを行い、次に前記と同様にして、上段外装板
１２の嵌合部３に外装板１４′の嵌入部２を嵌入
させ、上段外装板１２の嵌合部３と、下段外装板
１４の嵌合凹部１１と、下段外装板１４′の嵌入
片８を含む嵌入部２とを、適確に水密になるよう
に嵌合させ、このようにして上方から下方に向つ
て複数段に外装板を葺くものである。

前述したように、本実施例では、外装板１２，
１４，……を上方から下方から向つて葺くことに
より建築構造物の外壁を構築して行くので、外壁
の室外側に配置した足場構体と躯体を連結する控
え部材の除去は、上方のものから下方に向つて外
装板１２，１４，……の葺き上げ位置に応じて除
去して行けばよく、足場構体の支持が常に安定
し、施工時の安全性が確保でき、施工が容易にで
きる。

しかも、本実施例では、外装板１２，１３，…
…を左、右方向に横葺きする場合に、既に葺かれ
ている外装板１２の嵌合凹部１１に、葺こうとす
る外装板１３の嵌入片８を嵌入することで、外装
板１２の連設部６上に嵌入片８が支持されるの
で、外装板１３が横長で長尺のものであつても少
ない労力で葺くことができ、また嵌入片８が上下
方向には連設部４，６で、左右方向には隣接する
外装板１２，１３の嵌入片８、嵌合凹部１１の連
設部９，１０の当接で、それぞれ位置決めされる
ので、外装板１２，１３の位置決めが正確にでき
る。

さらに、外装板１２，１３は、平板部１の一端
に嵌入片８を、他端に嵌合凹部１１をそれぞれ形
成させればよいので、比較的構造が簡単である。

なお、本発明において、左右に隣接する外装板
の接合部は室内側をコーキング材で覆うことによ
り、水密性を保持させることが好ましいが、第４
図に示すように、嵌合凹部１１を覆つてジヨイン
トカバー１７を嵌合弾持させれば一層水密性が向
上する。また、本発明の外装板に設ける嵌入片８
と嵌合凹部１１は実施例と左、右逆にしてもよ
い。さらに、本発明は、建築構造物の外壁に限ら
れることなく、屋根を葺く場合にも適用できる。

第７図及び第８図は夫々本発明の別の実施例を
示す部分断面斜視図であつて、いずれも外装板１
２の左右両端部には前記実施例と同様に、図示し
ない嵌入片と嵌合凹部が形成されるものとする。

即ち、第７図に示したものは、外装板１２の平
板部１の上端側に室内側に上向き傾斜する連設部
４、垂直部５及び嵌入部２が一体形成されている
と共に、平板部１の下端側には、室内側に折返さ
れる嵌合部３、連設部６及び室外側壁７とが一体
的に形成された構造である。２６は嵌入部２の折
り返し片である。この構造のものは外装板１２の
屈曲加工数が少なくて済むため安価に提供できる
利点がある。

又、第８図に示したものは、上段外装板１２の
平板部１と下段外装板１４の平板部１とが、葺き
上げ後に面一となるように平板部１を垂下させた
折り返し片２７を形成した点の構造が前記実施例
と異り、他の基本形状は第１実施例とほぼ同一の
構造であるため、共通個所には第１実施例と同一
符号を付して説明を省略する。この実施例のもの
は外装葺き上げ後に、外側に凹凸面が生じない点
で美観上非常に優れると共に、必要に応じては前
記室内側折り返し片２８にガラスウール、断熱
材、防音材等の充填物２８を充填して、断熱・防
音効果を増大させることが可能である。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明による外装板は、
平板部の一端から平板部室内側に偏位させて嵌入
片を長手方向に突入させ、前記平板部の他端部に
平板部室内側に位置させて嵌合凹部を形成すると
いう、比較的簡単な構造を付加することにより、
横長の外装板で建築構造物の外壁や屋根を構築す
る場合に、左右方向に隣接する外装板の嵌入片と
嵌合凹部を互いに嵌合させることで、複数の外装
板を左右方向に容易に結合することができる。

また、本発明による葺き上げ方法は、本発明の
外装板を用い、既に葺かれている外装板の嵌合凹
部に隣接する外装板の嵌入片を嵌入させ、この嵌
入片を既に葺かれている外装板の平板部と嵌合部
上に支持させて、複数の外装板を左右方向に結合
させるよいにしたので、外装板を少ない労力で正
確に位置決めして容易に葺くことができ、さらに
上方から下方に向つて外装板を葺くことによる利
点を損うこともないという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａは本発明の一実施例の室内側から見た
状態を示す分解斜視図、第１図Ｂは同上のＡ−Ａ
線断面図、第２図は同葺き上がり状態の垂直断面
図、第３図は同上の部分切欠拡大図、第４図は室
内側から見た状態の部分切欠水平断面図、第５図
及び第６図は嵌入片と嵌合凹部の取付位置を変え
た外装板の葺き上げ方法の概略説明図、第７図及
び第８図はそれぞれ本発明の他の実施例の部分切
欠斜視図である。 １……平板部、２……嵌入部、３……嵌合部、
４，６，９，１０……連設部、８……嵌入片、１
１……嵌合凹部、１２，１３，１４……外装板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 横長の平板部の上縁および下縁に、上下に隣
   接する外装板が互いに水密に嵌合する嵌入部およ
   び嵌合部を、前記平板部より室内側に位置させて
   それぞれ一体に連設し、前記平板部の一端から平
   板部室内側に偏位させて嵌入片を長手方向に突出
   させ、さらに、平板部の他端部に、左右方向に隣
   接する外装板の嵌合片が嵌入する嵌合凹部を平板
   部室内側に位置させて一体に形成したことを特徴
   とする建築構造物の外装板。 ２ 平板部の上縁は、室内側が高く室外側が低い
   傾斜をもつ連接部を介して嵌入部と連接している
   特許請求の範囲第１項に記載の建築構造物の外装
   板。 ３ 嵌入片は、その上部が嵌入部と連続すると共
   に、下部は平板部下端の延長線上に位置するよう
   に形成されている特許請求の範囲第１項又は第２
   項に記載の建築構造物の外装板。 ４ 嵌合凹部は、平板部に対応する高さ位置に平
   板部のほぼ全高にわたつて設けてある特許請求の
   範囲第１項、第２項又は第３項に記載の建築構造
   物の外装板。 ５ 平板部下端の室外側折り返し片を介して断熱
   材、防音材等の充填物を充填した特許請求の範囲
   第１項、第２項、第３項又は第４項に記載の建築
   構造物の外装板。 ６ 横長の平板部の上縁および下縁に、上下に隣
   接する外装板が互いに水密に嵌合する嵌入部およ
   び嵌合部を、前記平板部より室内側に位置させて
   それぞれ一体に連接し、前記平板部の一端から平
   板部室内側に偏位させて長手方向に嵌入片を突出
   させ、さらに、平板部の他端部に、左右方向に隣
   接する外装板の嵌入片が嵌入する嵌合凹部を平板
   部室内側に位置させて一体に形成した外装板を用
   い、既に葺かれている外装板の嵌合凹部または嵌
   入片に左右方向に隣接する外装板の嵌入片または
   嵌合凹部を嵌入させ、この嵌入片を既に葺かれて
   いる外装板の平板部と嵌合部の連設部上に支持さ
   せて、複数の外装板を横葺きすると共に、下方に
   隣接する外装板の嵌入部を既に葺かれている上方
   の外装板の嵌合部に嵌合させて、上方から下方に
   向つて複数段に外装板を葺くことを特徴とする建
   築構造物の外装板葺き上げ方法。