JP3753107B2 - 写真処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばレーザ露光装置など、印画紙片の搬送方向に直交する方向に1ライン又は複数ラインずつ順に露光を行う露光装置を用いたディジタル式写真処理装置における印画紙片の切断長さの調節に関する。
【0002】
【従来の技術】
写真処理装置では、ロール状に巻回された印画紙を所定長さの印画紙片に切断し、印画紙片に画像を露光して現像処理することが行われている。
【0003】
写真処理装置における、従来の印画紙片切断部の構成を図5に示す。ロール状に巻回された印画紙1は、マガジン2の内部に収容されている。写真処理装置にマガジン2が装填された状態で、新規に写真の現像処理のオーダーが入ると、印画紙1の先端がマガジン2から引き出され、アドバンスローラ3及び加圧ローラ4の間に挟持され、アドバンスローラ3の回転により繰り出し量が調節される。印画紙1の搬送方向におけるアドバンスローラ3の下流側には給紙センサ5及びカッタ6が順に設けられている。
【0004】
給紙センサ5が印画紙1の先端の通過を検出すると、その時点から、アドバンスローラ3の回転軸に連結されたステッピングモータの駆動信号のパルス数のカウントを開始し、カウント数が給紙センサ5からカッタ6の切断位置までの距離Sに切断すべき印画紙片の長さLを加えた長さ(S+L)に相当する値に到達すると、アドバンスローラ3による印画紙の引き出しを停止し、カッタ6を作動して、印画紙1を所定長さの印画紙片に切断する。
【0005】
続けて印画紙片を切断する場合は、印画紙1の先端がカッタ6の切断位置にあるので、2枚目以降は、ステッピングモータの駆動信号のパルス数が、印画紙片の長さLに相当する値に到達した時点でアドバンスローラ3を停止し、カッタ6を作動させる。一方、続けて印画紙片を切断しない場合は、マガジン2中で印画紙1を巻回しているリールやアドバンスローラ3などを反転させて、印画紙1の先端をマガジン2の内部に巻き戻す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
周知のように、アドバンスローラ3の外径Dなど、部品の各寸法には必ず誤差が含まれている。また、給紙センサ5とカッタ6の距離Sなども、組み立て時の位置誤差を含んでいる。従って、写真処理装置の出荷時及びメンテナンス時には、実際に所望する長さの印画紙片を切断し、長さ誤差を測定して、アドバンスローラ駆動用ステッピングモータの駆動信号のパルス数を校正することを行っている。
【0007】
従来、切断した印画紙片の長さ誤差の測定は、作業者が切断した印画紙片に金尺などのスケールを当て、目視によりスケールを読んでいた。一般的に、スケールの採用目盛りは0.5mmであり、それ以下の寸法は作業者の勘に頼っていたため、切断した印画紙片の長さ誤差の校正はかなりラフなものであった。
【0008】
また、作業者が、実際に切断した印画紙片の長さを測定し、キーボードなどを用いて校正値を入力をしなければならず、作業が複雑で効率が悪いという問題点を有していた。
【0009】
さらに、アドバンスローラ3は、マガジンからロール状に巻回された印画紙を引き出すため、引き出し時の駆動トルクを必要とする。そのため、アドバンスローラ3の直径Dはある程度大きくならざるを得ないが、直径が大きく、かつ寸法公差の小さいローラは高価である。写真フィルム上に形成された画像を印画紙片上に拡大投影して露光する従来の露光装置を用いた写真処理装置では、印画紙片の搬送を停止して露光するため、精度の高い搬送ローラとしては、アドバンスローラ3だけであったが、ディジタル式写真処理装置では、レーザ露光装置における搬送装置の駆動ローラの方がアドバンスローラ3よりもさらに高精度を要求されるため、できるだけコストを低減したいという要求がある。
【0010】
本発明は、上記従来例の問題点を解決するためになされたものであり、ディジタル式写真処理装置におけるレーザ露光装置の搬送機構を利用し、写真処理装置の出荷時及びメンテナンス時において、印画紙片の切断長さの誤差を精度良く、自動的に校正しうる写真処理装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の写真処理装置は、ロール状に巻回された印画紙の引き出し量を制御するためのアドバンスローラと、前記アドバンスローラを回転駆動するためのアクチュエータと、前記アドバンスローラに対して印画紙搬送方向の下流側に設けられ、印画紙の先端の通過を検出する第1給紙センサと、前記第1給紙センサに対して印画紙搬送方向の下流側に設けられ、印画紙片を切断するためのカッタと、前記カッタに対して印画紙搬送方向の下流側に設けられ、印画紙片を一定速度で搬送する搬送機構と印画紙片の先端及び後端の通過を検出する第2給紙センサとを含み、印画紙片の搬送方向に直交する方向に1ライン又は複数ラインずつ順に露光を行う露光装置とを具備し、前記アクチュエータを駆動して、前記アドバンスローラの直径の誤差及び前記第2給紙センサと前記カッタとの距離の誤差がなかったと仮定した場合における理論上の所定長さだけ印画紙片を引き出し、前記カッタを駆動して印画紙片を切断し、前記第2給紙センサが印画紙片の先端の通過を検出してから後端の通過を検出するまでの間における前記搬送機構による搬送距離から印画紙片の実際の長さを測定する印画紙片長さ測定部を更に具備し、前記印画紙片長さ測定部により測定した印画紙片の実際の長さと印画紙片の理論上の所定長さとを比較し、印画紙片の実際の長さが理論上の所定長さに一致するように前記アクチュエータによる前記アドバンスローラの駆動量を校正することを特徴とする。
【0012】
このような構成により、切断した印画紙片の実際の長さを、写真処理装置の搬送機構、第2給紙センサ及び印画紙片長さ測定部を用いて自動的に検出し、各誤差がないと仮定した場合の理論上の長さと比較して、その差を求めてアドバンスローラの駆動量にフィードバックできるので、作業者の手を煩わせることなく、印画紙片の切断長さの誤差を精度良く、自動的に校正することができる。
【0013】
また、レーザ露光装置では、レーザビーム走査線の飛びや重なりを防止するため、非常に精度の良い印画紙搬送機構を有している。従って、写真処理装置がディジタル式のレーザ露光装置を有する場合、この搬送機構を用いて印画紙片の実際の長さを測定することにより、非常に精度の良い印画紙片切断長さの校正が可能になる。
【0014】
特に、印画紙片を2枚続けて切断し、1枚目の印画紙片の実際の長さと2枚目の印画紙片の実際の長さの差から前記第1給紙センサと前記カッタとの距離の誤差を求め、2枚目の印画紙片の実際の長さと理論上の長さの差から前記アドバンスローラによる誤差を求めることが好ましい。
【0015】
1枚目の印画紙片を切断した時点で、2枚目の印画紙片の先端となる部分は既にカッタの位置にある。そのため、2枚目の印画紙片の長さの誤差は、第1給紙センサとカッタの距離の誤差を含まず、純粋にアドバンスローラの直径の誤差によるものである。また、1枚目の印画紙片の長さの誤差は、アドバンスローラの直径の誤差によるものと、第1給紙センサとカッタの距離の誤差の両方を含んでいる。従って、このように印画紙片を2枚続けて切断し、両者の長さを比較するだけで、アドバンスローラの直径の誤差と第1給紙センサとカッタの距離の誤差の両方を知ることができる。
【0016】
さらに、前記アクチュエータはステッピングモータであり、ステッピングモータの駆動信号のパルス数を増減することにより前記アドバンスローラの駆動量を校正することが好ましい。
【0017】
このように、アクチュエータとしてステッピングモータを用いることにより、非常に簡単かつ長期間にわたって安定して、しかも精度良く印画紙片切断長さの校正が可能になる。
【0018】
さらに、前記第2給紙センサが印画紙片の先端の通過を検出してから後端の通過を検出するまでの時間と前記搬送機構の搬送速度から印画紙片の実際の長さを計算により求めることが好ましい。
【0019】
または、前記搬送機構は、印画紙片に密着して回転するローラと、前記ローラの回転軸の回転角度を検出するための回転角度検出部とを具備し、前記第2給紙センサが印画紙片の先端の通過を検出してから後端の通過を検出するまでの間における前記ローラの回転角度とローラの直径から印画紙片の実際の長さを計算により求めることが好ましい。
【0020】
これらのように、搬送機構の搬送速度やローラの直径など予め分かっている数値と測定した時間又は回転角度から印画紙片の実際の長さを計算により求めるので、印画紙片の実際の長さの測定誤差を搬送機構の誤差のレベルまで低減することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態として、レーザ露光装置を用いたディジタル式写真処理装置(以下、単に「写真処理装置」とする)について説明する。本実施形態における写真処理装置の外観構成を図1に示す。写真処理装置は、外部接続された画像入力装置200から画像データを読み込み、後述する現像処理装置100を用いて印画紙上に銀塩写真を形成するものである。
【0022】
画像入力装置200は、メモリカードやCD−ROMなどの記憶媒体に記憶された画像データを読み込むためのディスクドライブ装置201と、フィルムや印画紙上に形成された画像を直接読み込むためのスキャナ202と、読み込んだ画像をモニタ表示するためのディスプレイ203と、所定の画像処理やプリント処理の指示を入力するためのキーボード204と、プリントする画像データに所定の処理を施し、レーザ露光装置を制御するための制御データに変換し、現像処理装置100に出力するための制御回路(図示せず)などで構成されている。
【0023】
現像処理装置100は、それぞれ幅の異なる複数種類(例えば2種類)の長尺印画紙を巻回収納したマガジン101,102と、マガジン101又は102から引き出した印画紙を所定サイズに切断し、切断された印画紙片上に画像入力装置200から送信された画像を露光するレーザ露光装置を含む露光部103と、露光された印画紙片を現像、漂白、定着及び安定化処理する現像処理部104と、現像された印画紙片を乾燥する乾燥部105と、乾燥された印画紙片を例えばフィルム単位に仕分けるソータ部106などで構成されている。
【0024】
この写真処理装置は、工場出荷時やユーザーでのメンテナンスの際に、印画紙片の切断長さの誤差を自動的に校正するための誤差自動校正モードを有しており、例えば画像入力装置200のキーボード204などに誤差自動校正モードを選択するキーが割り当てられている。
【0025】
現像処理装置100の内部における印画紙片切断部の構成を図2に示す。マガジン101,102の印画紙片引き出し部101a,102aに対して印画紙搬送方向の下流側には、マガジン101又は102から引き出された印画紙1を挟持し、引き出し量を制御するためのアドバンスローラ3及び加圧ローラ4が設けられている。アドバンスローラ3の回転軸3aには、ステッピングモータ(アクチュエータ)10が連結され、またエンコーダ(回転角度センサ)11などが設けられている。これにより、アドバンスローラ3の回転量を自由に制御することができる。
【0026】
マガジン101,102内の印画紙1の残量にもよるが、マガジン101,102から印画紙を引き出す際の負荷が大きいため、アドバンスローラ3の駆動力を大きくするために、アドバンスローラ3の外周部の材質をゴムとしている。一方、加圧ローラ4としては、アドバンスローラ3に所定の圧力で接触させても外径が変化しないように金属などのハードローラを用いる。印画紙1をアドバンスローラ3と加圧ローラ4の間に挟持することにより、アドバンスローラ3の回転に伴って、印画紙1をアドバンスローラ3の外周部に密着させた状態で滑ることなく引き出すことができる。
【0027】
なお、印画紙1を長時間アドバンスローラ3と加圧ローラ4との間に挟持した状態で放置すると、挟持された部分が変色するという問題が生じるので、連続して印画紙片を切断しない場合は、マガジン101,102の印画紙1を巻回しているリールやアドバンスローラ3などを反転させて、印画紙1の先端をマガジン2の内部に巻き戻す。
【0028】
アドバンスローラ3と加圧ローラ4に対して印画紙搬送方向の下流側には、印画紙1の先端の通過を検出するための第1給紙センサ5が設けられている。また、ステッピングモータ10、エンコーダ11及び第1給紙センサ5は、それぞれ図示しない結線により制御装置20に接続されている。制御装置20は、電源、CPU、制御プログラムを記憶したROM、検出データなどを一時的に記憶するRAM等で構成されており、ステッピングモータ10に印加する駆動信号のパルス数を変化させることにより、アドバンスローラ3の駆動量、すなわち印画紙1の引き出し量を制御する。
【0029】
第1給紙センサ5による検出信号は、アドバンスローラ3の回転角度検出のためのトリガーとして用いられる。アドバンスローラ3の回転に伴い、印画紙1がマガジン101又は102から引き出され、その先端が第1給紙センサ5に対向する位置に向けて所定速度で前進する。その間エンコーダ11からは、アドバンスローラ3の回転軸3aが所定角度回転するごとにパルス信号が制御装置20に出力されているが、第1給紙センサ5から印画紙1の先端の通過を示す検出信号が出力されて初めて、制御装置20はエンコーダ11から出力されるパルス信号の数のカウントを開始する。
【0030】
第1給紙センサ5に対して下流側に所定距離S離れた位置には、印画紙1を切断するためのカッタ6が設けられている。カッタ6も制御装置20に接続されており、制御装置20からの信号に応じて作動し、印画紙1を印画紙片1Aに切断する。
【0031】
カッタ6に対してさらに下流側には、印画紙片1Aの感光面に対して搬送方向(副走査方向)に直交する方向(主走査方向)にレーザビームを走査して露光するためのレーザ露光装置30が設けられている。レーザ露光装置30は、印画紙片1Aを所定速度で搬送するための複数組の駆動ローラ31及び従動ローラ32などで構成された搬送機構33、搬送されている印画紙片1Aの先端及び後端の通過を検出するための第2給紙センサ34、レーザビームを走査するためのレーザ光源、fθレンズ、ポリゴンミラーなどで構成された光学系(図示せず)などを具備する。誤差自動校正モードの場合、第2給紙センサ34は制御装置20に接続され、その出力信号が制御装置20に入力される。図に示すように、駆動ローラ31はレーザ露光位置を挟んで印画紙搬送方向の上流側と下流側に設けられているが、両者の回転速度を一致させるために、回転軸同士を歯車列やタイミングベルトなどで連結しており、その駆動軸にステッピングモータが連結されている(図示せず)。ステッピングモータの駆動信号の周波数やパルス数を制御することにより駆動ローラ31の回転速度や回転量を制御することができる。また、第2給紙センサ34による印画紙片1Aの先端及び後端の検出信号を基準としてステッピングモータの駆動信号のパルス数をカウントすることにより、その間における駆動ローラ31の回転量を測定することができる。
【0032】
レーザビームの1走査による露光は、印画紙片1Aがその搬送方向におけるレーザビームの1走査線の露光幅分を移動する間に行われるため、レーザビームの走査線に隙間ができたり、あるいは走査線が重なることがあれば適正な画像は形成されない。そのため、搬送機構33による印画紙片1Aの搬送は、非常に精度良く行わなければならない。印画紙片1Aの裏面に当接する駆動ローラ31は、その変形を防止するために、例えばアルミなどの金属の表面にセラミックなどの微細粉末をコーティングした硬質ローラであり、印画紙片1Aを高精度な所定速度で搬送するために、きわめて安定した回転速度で回転駆動されている。一方、従動ローラ32は、NBRなどの弾性ローラであり、駆動ローラ31との間に所定圧力で印画紙片1Aを挟持することにより、印画紙片1Aを駆動ローラ31に対して滑ることなく所定速度で搬送する。
【0033】
なお、駆動ローラ31の直径に関してもその寸法誤差が含まれるが、レーザ露光装置30内における印画紙片の搬送速度が、上記のようにレーザビームの走査と同期する所定速度となるように、予め駆動ローラ31の直径をできるだけ正確に測定しておき、例えばステッピングモータの駆動信号の周波数などを調節しておく。
【0034】
第2給紙センサ34はレーザビーム露光位置に対して所定距離だけ上流に位置し、通常の露光動作では、印画紙片1Aの先端の通過を検出する。レーザ露光装置30は、第2給紙センサ34からの先端検出信号に基づいて、レーザビームを走査して印画紙片1Aの感光面に画像を露光する。
【0035】
一方、印画紙片切断長さの誤差自動校正モードでは、第2給紙センサ34は、印画紙片1Aの先端及び後端の通過を検出し、制御装置20にそれぞれに対応する先端検出信号及び後端検出信号を入力する。
【0036】
次に、印画紙片切断長さの誤差自動校正モードの動作について、図3及び図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0037】
例えば、現像処理装置100のアドバンスローラ3やカッタ6などのメンテナンスを終え、作業者が画像入力装置200のキーボード204に割り当てられている誤差自動校正モードを選択するキーをオンすると、制御装置20は、ROMなどに記憶されている誤差自動校正モードの制御プログラムを読み出し、誤差自動校正モードを開始する。
【0038】
制御プログラムが実行されると、制御装置20は、マガジン101と102のうち予め設定されている方を選択し(ステップS1)、ステッピングモータ10などのアクチュエータを起動してマガジン101又は102の内部のリール及びアドバンスローラ3などを駆動させ、マガジン101又は102から引き出しを開始する(ステップS2)。
【0039】
さらにアドバンスローラ3を駆動させ、第1給紙センサ5が印画紙1の先端の通過を検出すると(ステップS3)、制御装置20は、ステッピングモータ10に印加する駆動信号のパルス数のカウントを開始する。この時点で、印画紙1の先端は、第1給紙センサ5に対向する位置にあるので、制御装置20は、第1給紙センサ5からカッタ6までの距離S(位置誤差がないと仮定した場合の設定値)にさらに予め設定されている印画紙片の長さL(誤差がないと仮定した場合の理論上の長さ)を加えた距離(S+L)に相当するパルス数だけカウントし、ステッピングモータ10への駆動信号の印加を停止する。その結果、カッタ6よりも下流側に誤差を含む実際の長さL1だけ印画紙が引き出される(ステップS4)。
【0040】
アドバンスローラ3により、印画紙1が長さL1だけ引き出されると、制御装置20は、ステッピングモータ10への駆動信号を停止してアドバンスローラ3の回転を停止し、カッタ6を駆動して1枚目の印画紙片1Aを切断する(ステップS5)。この1枚目の印画紙片1Aの長さL1は、アドバンスローラ3の外径Dの誤差による駆動量の誤差及び第1給紙センサ5とカッタ6の距離Sの誤差の両方を含んでいる。
【0041】
次に、切断した1枚目の印画紙片1Aの実際の長さL1を測定するために、この印画紙片1Aをカッタ6の下流側に位置するレーザ露光装置30に搬送する(ステップS6)。印画紙片1Aの先端がレーザ露光装置30の駆動ローラ31と従動ローラ32のうち上流側に位置するものの位置に達すると、駆動ローラ31の駆動力により、高精度に調節された所定速度でレーザ露光装置30の内部を搬送される(ステップS7)。
【0042】
印画紙片1Aが駆動ローラ31と従動ローラ32の間に挟持されると、駆動ローラ31が印画紙片1Aの裏面に密着し、印画紙片1Aが駆動ローラ31に対してすべることなく、駆動ローラ31の回転に伴って、上記所定速度で搬送される。しかしながら、印画紙片1Aの先端がまだ第2給紙センサ34に対向する位置に達しておらず、その先端の通過が検出されていない場合は、制御装置20はステッピングモータに印加している駆動信号のパルス数をカウントしない。
【0043】
印画紙片1Aの搬送が進み、第2給紙センサ34が印画紙片1Aの先端の通過を検出すると(ステップS8)、制御装置20は、駆動ローラ31の回転軸を駆動するためのステッピングモータに印加している駆動信号のパルス数カウントを開始する(ステップS9)。印画紙片1Aの搬送がさらに進み、第2給紙センサ34が印画紙片1Aの後端の通過を検出すると(ステップS10)、制御装置20は、ステッピングモータに印加している駆動信号のパルス数のカウントを終了する(ステップS11)。制御装置20は、その間にカウントしたパルス数、1パルス当たりの駆動ローラ31の回転角、駆動ローラ31の直径などに基づいて1枚目の印画紙片1の実際の長さL1を測定し(又は演算により求め)、その値をRAMに記憶する(ステップS12)。
【0044】
1枚値の印画紙片1Aの実際の長さL1が測定されると、制御装置20は、ステッピングモータ10への駆動信号の印加を開始してアドバンスローラ3を駆動すると共に、駆動信号のパルス数のカウントを開始し、印画紙片の理論上の長さLに相当するパルス数だけカウントし、ステッピングモータ10への駆動信号の印加を停止する。これにより、2枚目の印画紙片1Aを切断するために、印画紙1が誤差を含む実際の長さL2だけ引き出される。(ステップS13)。
【0045】
印画紙1画長さL2だけ引き出されると、制御装置20は、アドバンスローラ3の回転を停止し、カッタ6を駆動して2枚目の印画紙片1Aを切断する(ステップS14)。この2枚目の印画紙片1Aは、第1給紙センサ5とカッタ6の距離Sに相当する距離は搬送されていないので、アドバンスローラ3の外径Dの誤差による駆動量の誤差のみを含んでいる。
【0046】
次に、切断した2枚目の印画紙片1Aの実際の長さL2を測定するために、この印画紙片1Aをレーザ露光装置30に搬送する(ステップS15)。レーザ露光装置30では、上記ステップS7からS11と同様の手順を繰り返し、第2給紙センサ34が2枚目の印画紙片1Aの先端の通過を検出してから後端の通過を検出するまでの間における駆動信号のパルス数をカウントする(ステップS16)。そして、制御装置20は、カウントしたパルス数、1パルス当たりの駆動ローラ31の回転角、駆動ローラ31の直径などに基づいて2枚目の印画紙片1の実際の長さL2を測定し(又は演算により求め)、その値をRAMに記憶する(ステップS17)。
【0047】
続けて切断した2枚の印画紙片の実際の長さL1及びL2が測定されると、切断した2枚の印画紙片をそれぞれ写真処理装置の外部に排出する(ステップS18)。これと並行して、制御装置20は、実際に測定した2枚の印画紙片の長さL1とL2と、及び2枚目の印画紙片1Aの長さL2と印画紙片の理論上の長さLとをそれぞれ比較する(ステップS19)。
【0048】
前述のように、1枚目の印画紙片の長さL1は、アドバンスローラ3の外径Dの誤差による駆動量の誤差及び第1給紙センサ5とカッタ6の距離Sの誤差の両方を含んでいる。これに対して、2枚目の印画紙片は、アドバンスローラ3の外径Dの誤差による駆動量の誤差のみを含んでいる。従って、1枚目の印画紙片の長さL1と2枚目の印画紙片の長さL2との差が、第1給紙センサ5とカッタ6の距離Sの誤差に相当する。また、2枚目の印画紙片の長さL2と印画紙片の理論上の長さLとの差が、アドバンスローラ3の外径Dの誤差による駆動量の誤差に相当する。従って、上記ステップS19における比較結果から、アドバンスローラ3の外径Dの誤差による駆動量の誤差及び第1給紙センサ5とカッタ6の距離Sの誤差が演算により求まる(ステップS20)。
【0049】
アドバンスローラ3の外径Dの誤差による駆動量の誤差及び第1給紙センサ5とカッタ6の距離Sの誤差が求まると、制御装置20は、ステッピングモータ10の駆動信号1パルスに相当するアドバンスローラ3の回転角又はアドバンスローラ3の外周面の移動量から、外径Dの誤差を含むアドバンスローラ3の回転により印画紙1を距離Sだけ引き出すために必要な駆動信号のパルス数の補正値ΔSを演算により求めると共に、印画紙1を正確に長さLだけ引き出すのに必要な駆動信号のパルス数の補正値ΔLを演算により求め、これらの補正値ΔS及びΔLをROMなどに記憶する(ステップS21)。さらに、制御装置20は、単位長さL当たりの補正値ΔLを用いて、任意の印画紙片の長さLnに対応する補正値ΔLnを求める計算式をROMなどに記憶し(ステップS22)、この誤差自動校正モードを終了する。
【0050】
誤差自動校正モード処理が完了した写真処理装置における通常の現像処理モードでは、マガジン101又は102から印画紙1を引き出し、1枚目の印画紙片を切断する場合、制御装置20は、第1給紙センサ5からカッタ6までの距離S(設定値)にさらに印画紙片の長さLnを加えた距離(S+Ln)に相当するパルス数に変えて、さらに補正値を加えた(S+ΔS+Ln+ΔLn)に相当するパルス数だけカウントしてステッピングモータ10を駆動し、アドバンスローラ3を回転させる。また、2枚目以降の印画紙片を切断する場合は、印画紙片の長さLnに補正値ΔLnを加えた(Ln+ΔLn)に相当するパルス数だけカウントしてステッピングモータ10を駆動し、アドバンスローラ3を回転させる。その結果、印画紙片1Aはほぼ正確に所望する長さLnに切断される。
【0051】
なお、上記実施形態では、レーザ露光装置30の駆動ローラ31を回転駆動するためにステッピングモータを用い、第2給紙センサ34による印画紙片1Aの先端の通過検出から後端の通過検出までにおけるステッピングモータに印加した駆動信号のパルス数をカウントし、1パルス当たりの駆動ローラ31の回転角度、駆動ローラ31の直径などから印画紙片1Aの実際の長さL1及びL2を演算により求めたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の方法を用いて切断された印画紙片1Aの実際に長さを求めても良い。例えば、レーザ露光装置30における印画紙片1Aの搬送速度は、非常に高精度に一定になるように調節されている。従って、第2給紙センサ34による印画紙片1Aの先端の通過検出から後端の通過検出までの時間と印画紙片の搬送速度とからでも印画紙片1Aの実際の長さを求めることができる。
【0052】
また、レーザ露光装置30の駆動ローラ31を回転駆動するためにサーボモータなどを用い、駆動ローラ31の回転軸にエンコーダを設けてモータの回転速度を制御したり、駆動ローラ31の回転角度(回転量)を検出するように構成してもよい。
【0053】
さらに、上記実施形態では、露光装置として、レーザビームを印画紙片の搬送方向に直交する主走査方向に走査させるレーザ露光装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばLEDアレイなどを用いたライン露光装置を用いることも可能である。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の写真処理装置によれば、第1給紙センサとカッタとの距離と予め設定されている印画紙片長さ(いずれも誤差がないとした場合の設定値)を用いてアクチュエータを駆動し、カッタを駆動して印画紙片を切断し、切断した印画紙片の実際の長さを、レーザ露光装置の搬送機構及び第2給紙センサなどを用いて自動的に検出し、誤差がないと仮定した場合の設定値と比較して、その差を求めてアドバンスローラの駆動量にフィードバックできるので、作業者の手を煩わせることなく、印画紙片の切断長さの誤差を精度良く、自動的に校正することができる。また、高精度なレーザ露光装置の搬送機構を用いて切断された印画紙片の実際の長さを測定し、測定結果をアドバンスローラの駆動量にフィードバックしているので、アドバンスローラの寸法公差を従来よりも大きくすることができ、アドバンスローラのコストを低減することも可能である。
【0055】
特に、印画紙片を2枚続けて切断した場合、1枚目の印画紙片を切断した時点で、2枚目の印画紙片の先端となる部分は既にカッタの位置にある。そのため、2枚目の印画紙片の長さの誤差は、第1給紙センサとカッタの距離の誤差を含まず、純粋にアドバンスローラの直径の誤差によるものである。また、1枚目の印画紙片の長さの誤差は、アドバンスローラの直径の誤差によるものと、第1給紙センサとカッタの距離の誤差の両方を含んでいる。従って、このように印画紙片を2枚続けて切断し、両者の長さを比較するだけで、アドバンスローラの直径の誤差と第1給紙センサとカッタの距離の誤差の両方を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態であるレーザ露光装置を用いたディジタル式写真処理装置の外観構成を示す図である。
【図2】 上記実施形態における印画紙片切断部の構成を示す図である。
【図3】 上記実施形態における印画紙片切断長さの誤差自動校正モードの動作を示すフローチャートである。
【図4】 図3のフローチャートの続きである。
【図5】 従来の印画紙片切断部の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 :印画紙
1A:(切断された)印画紙片
3 :アドバンスローラ
4 :加圧ローラ
5 :第1給紙センサ
6 :カッタ
10 :ステッピングモータ(アクチュエータ)
11 :エンコーダ
20 :制御装置(印画紙片長さ演算部、駆動量校正部)
30 :レーザ露光装置
31 :駆動ローラ
32 :従動ローラ
33 :搬送機構
34 :第2給紙センサ

Claims (5)

  1. ロール状に巻回された印画紙の引き出し量を制御するためのアドバンスローラと、
    前記アドバンスローラを回転駆動するためのアクチュエータと、
    前記アドバンスローラに対して印画紙搬送方向の下流側に設けられ、印画紙の先端の通過を検出する第1給紙センサと、
    前記第1給紙センサに対して印画紙搬送方向の下流側に設けられ、印画紙片を切断するためのカッタと、
    前記カッタに対して印画紙搬送方向の下流側に設けられ、印画紙片を一定速度で搬送する搬送機構と印画紙片の先端及び後端の通過を検出する第2給紙センサとを含み、印画紙片の搬送方向に直交する方向に1ライン又は複数ラインずつ順に露光を行う露光装置とを具備し、
    前記アクチュエータを駆動して、前記アドバンスローラの直径の誤差及び前記第2給紙センサと前記カッタとの距離の誤差がなかったと仮定した場合における理論上の所定長さだけ印画紙片を引き出し、前記カッタを駆動して印画紙片を切断し、
    前記第2給紙センサが印画紙片の先端の通過を検出してから後端の通過を検出するまでの間における前記搬送機構による搬送距離から印画紙片の実際の長さを測定する印画紙片長さ測定部を更に具備し、
    前記印画紙片長さ測定部により測定した印画紙片の実際の長さと印画紙片の理論上の所定長さとを比較し、印画紙片の実際の長さが理論上の所定長さに一致するように前記アクチュエータによる前記アドバンスローラの駆動量を校正することを特徴とする写真処理装置。
  2. 印画紙片を2枚続けて切断し、1枚目の印画紙片の実際の長さと2枚目の印画紙片の実際の長さの差から前記第1給紙センサと前記カッタとの距離の誤差を求め、2枚目の印画紙片の実際の長さと理論上の長さの差から前記アドバンスローラによる誤差を求めることを特徴とする請求項1記載の写真処理装置。
  3. 前記アクチュエータはステッピングモータであり、ステッピングモータの駆動信号のパルス数を増減することにより前記アドバンスローラの駆動量を校正することを特徴とする請求項1又は2記載の写真処理装置。
  4. 前記第2給紙センサが印画紙片の先端の通過を検出してから後端の通過を検出するまでの時間と前記搬送機構の搬送速度から印画紙片の実際の長さを計算により求めることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の写真処理装置。
  5. 前記搬送機構は、印画紙片に密着して回転するローラと、前記ローラの回転軸の回転角度を検出するための回転角度検出部とを具備し、前記第2給紙センサが印画紙片の先端の通過を検出してから後端の通過を検出するまでの間における前記ローラの回転角度とローラの直径から印画紙片の実際の長さを計算により求めることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の写真処理装置。
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