JP3752780B2 - イオン交換樹脂及びこれを用いるビスフェノールの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン交換樹脂及びこれを用いるビスフェノールの製造方法に関する。詳しくは、メルカプト基を有するキノリン類がイオン結合してなる変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂及びこれを用いるビスフェノールの製造方法に関する。
このイオン交換樹脂は、ビスフェノール、例えばフェノールとアセトンとの縮合反応によってビスフェノールAを製造する際の触媒として有用である。ビスフェノールAは、エポキシ樹脂やポリカーボネート樹脂の原料となる有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
フェノールとアセトンとの縮合反応によりビスフェノールAを製造する際の触媒として、強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂と共にメルカプト基を有する化合物を併用する方法が従来いろいろと提案されている。
例えば、強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂の他に、反応系内にメルカプト基を有する化合物を共存させる方法(特公昭45−10337号公報、仏国特許第1373796号明細書等)、メルカプト基を有する化合物を強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂に共有結合させる方法(特公昭37−14721号、特開昭56−21650号、特開昭57−87846号、特開昭59−109503号各公報等)、メルカプト基を有するアミン類を強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂にイオン結合させる方法等が提案されている。
【0003】
これらの中で、メルカプト基を有するアミン類をイオン結合させた変性強酸性イオン交換樹脂を使用する方法は、1)メルカプトアミン類が生成物中に混入しない、2)触媒調製が容易であるという点で、メルカプト基を有する化合物を共有結合させる方法や、単に、反応系内にメルカプト基を有する化合物を共存させる方法よりも優れた方法である。
【0004】
メルカプトアミン類をイオン結合させた変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂を使用する方法としては、2−メルカプトエチルアミン(特公昭46−19953号、特開昭62−298454号各公報)、N−プロピルメルカプトアルキルアミン(特開昭60−137440号公報)をイオン結合させた変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂を用いる方法が提案されている。また、その第四級アンモニウム塩をイオン結合させた変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂を使用する方法としては、N,N,N−トリメチル−2−メルカプトエチルアンモニウム、N−(2−ヒドロキシル−3−メルカプトプロピル)ピリジニウム、N−メチル−N−(2−ヒドロキシル−3−メルカプトプロピル)モルフォリウム及びN−ベンジル−N,N−ジメチル−2−メルカプトエチルアンモニウム(チェコスロバキア国特許第184988号明細書)をイオン結合させた変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂を用いる方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、いずれの方法も、アセトン転化率は50〜75%程度しかないという欠点があった。
本発明の目的は、フェノール類とケトン類との反応によるビスフェノールの製造に触媒として有用な、特に、アセトンの転化率が高く、且つ良好な選択性及び安定性を有する、アセトンとフェノールの縮合反応によりビスフェノールAを製造するための、触媒として好適な変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記事情に鑑み鋭意検討した結果、特定のメルカプト基を有するキノリン類がイオン結合してなる変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂が、フェノールとアセトンとの縮合反応によるビスフェノールAの製造における優れた触媒であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
1.下記一般式(I)で示されるメルカプト基を有するキノリン類が強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂にイオン結合してなる変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂。
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、X及びYは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1又は2のアルキル基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基又はアリール基を表わし、nは2ないし4の整数を表わす。また、メルカプト基を有する置換基の結合位置は、キノリンの2、3、4、6又は8位のいずれかである)
2.1項に記載の変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂の存在下に、フェノール類とケトン類とを反応させることを特徴とするビスフェノールの製造方法。、にある。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂に用いられる式(I)のメルカプト基を有するキノリン類は、例えば、ヒドロキシアルキルキノリンをハロゲン化し、これにチオ酢酸カリウムを反応させてチオ酢酸エステルとし、次いでケン化又は還元処理することにより合成することができる。
式(I)のメルカプト基を有するキノリン類の各置換基の中、X及びYとしては水素原子及び/又は炭素数1又は2のアルキル基が好ましい。また、メルカプトアルキル基としては、X、Yを除く主鎖のアルキル部分が炭素数2〜4であるが、炭素数2〜3のメルカプトアルキル基がより好ましい。
【0010】
式(I)のメルカプト基を有するキノリン類の具体例としては、2−(2−メルカプトエチル)キノリン、2−(3−メルカプトプロピル)キノリン、2−(4−メルカプトブチル)キノリン、3−(2−メルカプトエチル)キノリン、3−(3−メルカプトプロピル)キノリン、3−(4−メルカプトブチル)キノリン、4−(2−メルカプトエチル)キノリン、4−(3−メルカプトプロピル)キノリン、4−(4−メルカプトブチル)キノリン、6−(2−メルカプトエチル)キノリン、6−(3−メルカプトプロピル)キノリン、6−(4−メルカプトブチル)キノリン、8−(2−メルカプトエチル)キノリン、8−(3−メルカプトプロピル)キノリン、8−(4−メルカプトブチル)キノリン等が挙げられる。
【0011】
メルカプト基を有するキノリン類をイオン結合させるイオン交換樹脂としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる骨格とこれに結合したスルホン酸基を有する強酸性スルホン酸型イオン変換樹脂が好ましく、共重合体中のジビニルベンゼン単位の含有量は、2〜40%が好ましい。イオン交換樹脂の交換容量は、含水状態で0.5〜2.5meq/mlのものが、乾燥樹脂では3.0〜7.0meq/gのものが好ましい。イオン交換樹脂の粒径分布は、200〜1500μmのものが95%以上を占めるのが好ましい。
【0012】
このようなイオン交換樹脂の具体例としては、ダイヤイオンSK1B、SK102、SK104、PK208、PK212、RCP160H、RCP170H(三菱化学社製品、ダイヤイオンは三菱化学社の登録商標)、アンバーリスト15、31、32(ローム&ハース社製品)、ダウエックス50w、88(ダウ・ケミカル社製品)等が挙げられる。これらのイオン交換樹脂は酸型で、上述のメルカプト基を有するキノリン類との結合に供する。
市販品は、通常はナトリウム型であるので、塩酸等の酸で処理し酸型にして用いる。これらのイオン交換樹脂は水を含有した状態で市販されているが、脱水等の特別な処理をすることなくそのまま使用することができる。
【0013】
強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂のスルホン酸基にメルカプト基を有するキノリン類を結合させるには、先ず適当な溶媒、例えば、水、アルコール類、エーテル類等にこのキノリン類を溶解させ、この溶液を同じ溶媒に分散させた強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂に加え、適当な時間、例えば0.1〜10時間撹拌すればよい。例えば水溶媒中で結合するには、キノリン類をスルホン酸よりpka が大きい酸、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、モノクロロ酢酸等の水溶液に加えて溶解させ、この溶液を予め水に分散させた強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂中に加え、0.1〜10時間撹拌すればよい。
【0014】
強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂に対する、メルカプト基を有するキノリン類の結合量は、通常、強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂の全スルホン酸基に対し、2〜30モル%、好ましくは、5〜20モル%である。イオン結合量が2モル%未満ではメルカプト基を有するキノリン類による触媒効果が十分発揮されず、また、30モル%を超えると遊離のスルホン酸量の減少によって触媒活性が低下する。
本発明に係るメルカプト基を有するキノリン類がイオン結合した変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂は、他のものに比べ非常に高いアセトン転化率、及び4,4′−ビスフェノールA選択性を示す。
【0015】
上記のようにして得られた、メルカプト基を有するキノリン類がイオン結合した変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂(以下、変性樹脂と略記する)をアセトンとフェノールとの縮合反応に使用する場合には、前処理として変性樹脂を充填した容器に変性樹脂の体積の5〜200倍のイオン交換水を20〜80℃の温度で、液時空間速度(LHSV)0.5〜50hr-1で通液し、次いで変性樹脂の体積の5〜200倍のフェノールを40〜110℃の温度で、LHSV0.5〜50hr-1で通液する。この処理により変性樹脂に含まれている水をフェノールに置換してから、反応に供する。
【0016】
フェノールとアセトンとの縮合反応は、通常、上述の処理を経た変性樹脂を充填した反応器に、フェノールとアセトンを含有する原料混合物を連続的に供給して反応を行う固定床流通反応方式で行われる。原料混合物の供給は、LHSV0.1〜20hr-1、好ましくは0.5〜10hr-1の範囲で行われる。反応温度は40〜120℃、好ましくは60〜100℃の範囲である。反応温度が40℃未満では反応速度が遅く、また120℃を超える温度では変性樹脂の劣化が著しく副生物も増加するため好ましくない。
【0017】
反応に供するフェノールとアセトンのモル比は、アセトン1モルに対してフェノールが3〜30モル、好ましくは5〜20モルの範囲である。フェノールの使用量が3モル倍未満では、副生成物が増加する。30モル倍を超えて使用しても反応成績には殆ど影響せず、むしろ反応混合物からのフェノールの量が徒に増大するため経済的ではない。反応混合物から目的物質であるビスフェノールAを分離精製するには、例えば、未反応フェノールを回収しビスフェノールAとフェノールの付加体を結晶として分離し、次いで蒸留等の操作で付加体からフェノールを回収するという公知の方法で行うことができる。
【0018】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中におけるアセトン転化率、4,4′−ビスフェノールA(4,4′−BPAと略記)選択率、変性率及びスルホン酸残存率は次式により算出した(単位はいずれも%)。
【0019】
【数1】
【0020】
実施例1
4−(2−メルカプトエチル)キノリン変性イオン交換樹脂
100mlオートクレーブに4−メチルキノリン50.2g、37%ホルムアルデヒド24.4gを仕込み、20kg/cm2 窒素圧力下、110℃で9時間撹拌した。反応物をシリカゲルカラムクロマトにより分離精製することにより4−(2−ヒドロキシエチル)キノリン6.8gを得た。
4−(2−ヒドロキシエチル)キノリン5.14gを200ml三ツ口フラスコ中で、クロロホルム72mlに溶解し、窒素気流下、塩化チオニル14gを滴下した。60℃で1時間撹拌したのち、クロロホルムと未反応の塩化チオニルを減圧留去したところ、粗4−(2−クロロエチル)キノリン塩酸塩7.8gを得た。
【0021】
この塩酸塩4.0gを200mlナス型フラスコ中で水40mlに溶解し、チオ酢酸カリウム2.4gを加え、1.5時間加熱還流した。氷冷下で1N水酸化ナトリウム水溶液38mlを加え、酢酸エチル150mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒留去することにより粗4−(2−アセチルチオエチル)キノリン2.94gを得た。
【0022】
100ml三ツ口フラスコに無水ジエチルエーテル15mlと水素化アルミニウムリチウム0.32gを窒素気流下で仕込み、室温撹拌下、上記のチオアセテート1.62gの無水ジエチルエーテル35ml溶液を滴下した。1.5時間加熱還流した後、氷冷し、蒸留水0.17g、酢酸0.55gを加えた。無機塩を濾別、酢酸エチルで洗浄した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒留去、続いて、シリカゲルカラムクロマトにより分離精製することにより、4−(2−メルカプトエチル)キノリン605mgが得られた。(ガスクロマトグラフィーによる純度93.0%)
【0023】
4−(2−メルカプトエチル)キノリン605mgをメタノール10mlに溶解し、メタノール10mlに懸濁させたイオン交換樹脂ダイヤイオン(登録商標)SK104(H型)11.2g(三菱化学社製、交換容量1.63meq/g)へ加え、室温で5時間撹拌した。イオン交換樹脂を濾過し、イオン交換水で洗浄し、変性イオン交換樹脂を得た。
メルカプト基及びスルホン酸の残存量を分析したところ、変性率は14.4%であり、スルホン酸残存率は86.0%であった。
【0024】
この変性イオン交換樹脂14mlを内径7.6mm、全長320mmのステンレスカラムに充填し、イオン交換水200mlをLHSV2hr-1で流し、その後70℃でフェノールをLHSV2hr-1で24時間流した。次に、フェノール/アセトン=10/1(モル比)の混合液を70℃、LHSV1.0hr-1で通液し連続反応を行った。24時間後のアセトンの転化率は92.4%、4,4′−BPAの選択率は94.9%であり、300時間後のアセトンの転化率は94.9%、4,4′−BPAの選択率は94.9%、また、500時間後のアセトンの転化率は94.7%、4,4′−BPAの選択率は94.7%であった。
【0025】
実施例2
2−(2−メルカプトエチル)キノリン変性イオン交換樹脂
100mlオートクレーブに2−メチルキノリン50.2g、37%ホルムアルデヒド24.4gを仕込み、20kg/cm2 窒素圧力下、110℃で9時間撹拌した。反応物をシリカゲルカラムクロマトにより分離精製することにより2−(2−ヒドロキシエチル)キノリン10.2gを得た。
2−(2−ヒドロキシエチル)キノリン5.14gを200ml三ツ口フラスコ中でクロロホルム72mlに溶解し窒素気流下、塩化チオニル14gを滴下した。60℃で1時間撹拌したのち、クロロホルムと未反応の塩化チオニルを減圧留去したところ、粗2−(2−クロロエチル)キノリン塩酸塩6.9gを得た。
【0026】
この塩酸塩4.0gを200mlナス型フラスコ中で水40mlに溶解し、チオ酢酸カリウム2.4gを加え、1.5時間加熱還流した。氷冷下で1N水酸化ナトリウム水溶液38mlを加え、酢酸エチル150mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒留去することにより粗2−(2−アセチルチオエチル)キノリン2.94gを得た。
【0027】
100ml三ツ口フラスコに無水ジエチルエーテル20mlと水素化アルミニウムリチウム0.40gを窒素気流下で仕込み、室温撹拌下、上記のチオアセテート2.03gの無水ジエチルエーテル40ml溶液を滴下した。1.5時間加熱還流した後、氷冷し、蒸留水0.21g、酢酸0.69gを加えた。無機塩を濾別、酢酸エチルで洗浄した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒留去、続いて、シリカゲルカラムクロマトにより分離精製することにより、2−(2−メルカプトエチル)キノリン756mgが得られた。(ガスクロマトグラフィーによる純度95.0%)
【0028】
2−(2−メルカプトエチル)キノリン756mgをメタノール15mlに溶解し、メタノール15mlに懸濁させたダイヤイオンSK104(H型)15.0gへ加え、室温で5時間撹拌した。イオン交換樹脂を濾過し、イオン交換水で洗浄し、変性イオン交換樹脂を得た。
メルカプト基及びスルホン酸の残存量を分析したところ、変性率は12.5%であり、スルホン酸残存率は88.0%であった。
この変性樹脂を用い、実施例1と同一条件で反応評価を行った。反応開始後24時間、300時間、500時間の反応結果を表1及び2に示した。
【0029】
比較例1
4−(メルカプトメチル)キノリン変性イオン交換樹脂
1000ml三ツ口フラスコに、4−メチルキノリン24.0g、N−ブロモこはく酸イミド44.8g、クロロホルム700mlを仕込み、赤外ランプで3時間加熱還流した。クロロホルムを留去し、粗反応物をシリカゲルカラムクロマトで分離精製したところ、4−(2−ブロモメチル)キノリン4.30gを得た。
この臭化物4.3gを500mlナス型フラスコ中でTHF330mlに溶解し、チオ酢酸カリウム2.44gを加え、40℃で2時間撹拌した。氷冷下で1N水酸化ナトリウム水溶液44mlと水66mlを加え、酢酸エチル300mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトにより分離することにより粗4−(2−アセチルチオメチル)キノリン1.68gを得た。
【0030】
100ml三ツ口フラスコに無水ジエチルエーテル20mlと水素化アルミニウムリチウム0.34gを窒素気流下で仕込み、室温撹拌下、上記のチオアセテート1.68gの無水ジエチルエーテル20ml溶液を滴下した。3時間室温下撹拌した後、氷冷し、蒸留水0.18g、酢酸0.6gを加えた。無機塩を濾別、酢酸エチルで洗浄した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトにより分離精製することにより、4−メルカプトメチルキノリン869mgが得られた。(ガスクロマトグラフィーによる純度98.0%)
【0031】
4−メルカプトメチルキノリン683mgをメタノール20mlに溶解し、メタノール10mlに懸濁させたダイヤイオンSK104(H型)20gへ加え、室温で5時間撹拌した。イオン交換樹脂を濾過し、イオン交換水で洗浄し、変性イオン交換樹脂を得た。
メルカプト基及びスルホン酸の残存量を分析したところ、変性率は10.2%であり、スルホン酸残存率は87.0%であった。
この変性樹脂を用い、実施例と同一条件で反応評価を行った。反応開始後24時間と300時間の反応結果を表1及び2に示した。
【0032】
比較例2
2−アミノエタンチオール(シスアミン)変性イオン交換樹脂
市販の2−アミノエタンチオール0.58gと酢酸0.46gをイオン交換水20mlに溶解し、イオン交換水30mlに懸濁させたダイヤイオンSK104(H型)30.0gへ加え、室温で1時間撹拌した。イオン交換樹脂を濾過し、イオン交換水で洗浄し、変性イオン交換樹脂を得た。
メルカプト基及びスルホン酸の残存量を分析したところ、変性率は15.2%であり、スルホン酸残存率は84.1%であった。
この変性樹脂を用い、実施例と同一条件で反応評価を行った。反応開始後24時間と300時間の反応結果を表1及び2に示した。
【0033】
【発明の効果】
本発明に係るメルカプト基を有するキノリン類が結合した変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂を使用すれば、フェノールとアセトンとの縮合反応により、高いアセトン転化率及び高い4,4′−ビスフェノールA選択率で、且つその性能を長時間接続しながら、効率的にビスフェノールAを製造することができる。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン交換樹脂及びこれを用いるビスフェノールの製造方法に関する。詳しくは、メルカプト基を有するキノリン類がイオン結合してなる変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂及びこれを用いるビスフェノールの製造方法に関する。
このイオン交換樹脂は、ビスフェノール、例えばフェノールとアセトンとの縮合反応によってビスフェノールAを製造する際の触媒として有用である。ビスフェノールAは、エポキシ樹脂やポリカーボネート樹脂の原料となる有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
フェノールとアセトンとの縮合反応によりビスフェノールAを製造する際の触媒として、強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂と共にメルカプト基を有する化合物を併用する方法が従来いろいろと提案されている。
例えば、強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂の他に、反応系内にメルカプト基を有する化合物を共存させる方法(特公昭45−10337号公報、仏国特許第1373796号明細書等)、メルカプト基を有する化合物を強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂に共有結合させる方法(特公昭37−14721号、特開昭56−21650号、特開昭57−87846号、特開昭59−109503号各公報等)、メルカプト基を有するアミン類を強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂にイオン結合させる方法等が提案されている。
【0003】
これらの中で、メルカプト基を有するアミン類をイオン結合させた変性強酸性イオン交換樹脂を使用する方法は、1)メルカプトアミン類が生成物中に混入しない、2)触媒調製が容易であるという点で、メルカプト基を有する化合物を共有結合させる方法や、単に、反応系内にメルカプト基を有する化合物を共存させる方法よりも優れた方法である。
【0004】
メルカプトアミン類をイオン結合させた変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂を使用する方法としては、2−メルカプトエチルアミン(特公昭46−19953号、特開昭62−298454号各公報)、N−プロピルメルカプトアルキルアミン(特開昭60−137440号公報)をイオン結合させた変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂を用いる方法が提案されている。また、その第四級アンモニウム塩をイオン結合させた変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂を使用する方法としては、N,N,N−トリメチル−2−メルカプトエチルアンモニウム、N−(2−ヒドロキシル−3−メルカプトプロピル)ピリジニウム、N−メチル−N−(2−ヒドロキシル−3−メルカプトプロピル)モルフォリウム及びN−ベンジル−N,N−ジメチル−2−メルカプトエチルアンモニウム(チェコスロバキア国特許第184988号明細書)をイオン結合させた変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂を用いる方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、いずれの方法も、アセトン転化率は50〜75%程度しかないという欠点があった。
本発明の目的は、フェノール類とケトン類との反応によるビスフェノールの製造に触媒として有用な、特に、アセトンの転化率が高く、且つ良好な選択性及び安定性を有する、アセトンとフェノールの縮合反応によりビスフェノールAを製造するための、触媒として好適な変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記事情に鑑み鋭意検討した結果、特定のメルカプト基を有するキノリン類がイオン結合してなる変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂が、フェノールとアセトンとの縮合反応によるビスフェノールAの製造における優れた触媒であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
1.下記一般式(I)で示されるメルカプト基を有するキノリン類が強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂にイオン結合してなる変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂。
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、X及びYは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1又は2のアルキル基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基又はアリール基を表わし、nは2ないし4の整数を表わす。また、メルカプト基を有する置換基の結合位置は、キノリンの2、3、4、6又は8位のいずれかである)
2.1項に記載の変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂の存在下に、フェノール類とケトン類とを反応させることを特徴とするビスフェノールの製造方法。、にある。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂に用いられる式(I)のメルカプト基を有するキノリン類は、例えば、ヒドロキシアルキルキノリンをハロゲン化し、これにチオ酢酸カリウムを反応させてチオ酢酸エステルとし、次いでケン化又は還元処理することにより合成することができる。
式(I)のメルカプト基を有するキノリン類の各置換基の中、X及びYとしては水素原子及び/又は炭素数1又は2のアルキル基が好ましい。また、メルカプトアルキル基としては、X、Yを除く主鎖のアルキル部分が炭素数2〜4であるが、炭素数2〜3のメルカプトアルキル基がより好ましい。
【0010】
式(I)のメルカプト基を有するキノリン類の具体例としては、2−(2−メルカプトエチル)キノリン、2−(3−メルカプトプロピル)キノリン、2−(4−メルカプトブチル)キノリン、3−(2−メルカプトエチル)キノリン、3−(3−メルカプトプロピル)キノリン、3−(4−メルカプトブチル)キノリン、4−(2−メルカプトエチル)キノリン、4−(3−メルカプトプロピル)キノリン、4−(4−メルカプトブチル)キノリン、6−(2−メルカプトエチル)キノリン、6−(3−メルカプトプロピル)キノリン、6−(4−メルカプトブチル)キノリン、8−(2−メルカプトエチル)キノリン、8−(3−メルカプトプロピル)キノリン、8−(4−メルカプトブチル)キノリン等が挙げられる。
【0011】
メルカプト基を有するキノリン類をイオン結合させるイオン交換樹脂としては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる骨格とこれに結合したスルホン酸基を有する強酸性スルホン酸型イオン変換樹脂が好ましく、共重合体中のジビニルベンゼン単位の含有量は、2〜40%が好ましい。イオン交換樹脂の交換容量は、含水状態で0.5〜2.5meq/mlのものが、乾燥樹脂では3.0〜7.0meq/gのものが好ましい。イオン交換樹脂の粒径分布は、200〜1500μmのものが95%以上を占めるのが好ましい。
【0012】
このようなイオン交換樹脂の具体例としては、ダイヤイオンSK1B、SK102、SK104、PK208、PK212、RCP160H、RCP170H(三菱化学社製品、ダイヤイオンは三菱化学社の登録商標)、アンバーリスト15、31、32(ローム&ハース社製品)、ダウエックス50w、88(ダウ・ケミカル社製品)等が挙げられる。これらのイオン交換樹脂は酸型で、上述のメルカプト基を有するキノリン類との結合に供する。
市販品は、通常はナトリウム型であるので、塩酸等の酸で処理し酸型にして用いる。これらのイオン交換樹脂は水を含有した状態で市販されているが、脱水等の特別な処理をすることなくそのまま使用することができる。
【0013】
強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂のスルホン酸基にメルカプト基を有するキノリン類を結合させるには、先ず適当な溶媒、例えば、水、アルコール類、エーテル類等にこのキノリン類を溶解させ、この溶液を同じ溶媒に分散させた強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂に加え、適当な時間、例えば0.1〜10時間撹拌すればよい。例えば水溶媒中で結合するには、キノリン類をスルホン酸よりpka が大きい酸、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、モノクロロ酢酸等の水溶液に加えて溶解させ、この溶液を予め水に分散させた強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂中に加え、0.1〜10時間撹拌すればよい。
【0014】
強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂に対する、メルカプト基を有するキノリン類の結合量は、通常、強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂の全スルホン酸基に対し、2〜30モル%、好ましくは、5〜20モル%である。イオン結合量が2モル%未満ではメルカプト基を有するキノリン類による触媒効果が十分発揮されず、また、30モル%を超えると遊離のスルホン酸量の減少によって触媒活性が低下する。
本発明に係るメルカプト基を有するキノリン類がイオン結合した変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂は、他のものに比べ非常に高いアセトン転化率、及び4,4′−ビスフェノールA選択性を示す。
【0015】
上記のようにして得られた、メルカプト基を有するキノリン類がイオン結合した変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂(以下、変性樹脂と略記する)をアセトンとフェノールとの縮合反応に使用する場合には、前処理として変性樹脂を充填した容器に変性樹脂の体積の5〜200倍のイオン交換水を20〜80℃の温度で、液時空間速度(LHSV)0.5〜50hr-1で通液し、次いで変性樹脂の体積の5〜200倍のフェノールを40〜110℃の温度で、LHSV0.5〜50hr-1で通液する。この処理により変性樹脂に含まれている水をフェノールに置換してから、反応に供する。
【0016】
フェノールとアセトンとの縮合反応は、通常、上述の処理を経た変性樹脂を充填した反応器に、フェノールとアセトンを含有する原料混合物を連続的に供給して反応を行う固定床流通反応方式で行われる。原料混合物の供給は、LHSV0.1〜20hr-1、好ましくは0.5〜10hr-1の範囲で行われる。反応温度は40〜120℃、好ましくは60〜100℃の範囲である。反応温度が40℃未満では反応速度が遅く、また120℃を超える温度では変性樹脂の劣化が著しく副生物も増加するため好ましくない。
【0017】
反応に供するフェノールとアセトンのモル比は、アセトン1モルに対してフェノールが3〜30モル、好ましくは5〜20モルの範囲である。フェノールの使用量が3モル倍未満では、副生成物が増加する。30モル倍を超えて使用しても反応成績には殆ど影響せず、むしろ反応混合物からのフェノールの量が徒に増大するため経済的ではない。反応混合物から目的物質であるビスフェノールAを分離精製するには、例えば、未反応フェノールを回収しビスフェノールAとフェノールの付加体を結晶として分離し、次いで蒸留等の操作で付加体からフェノールを回収するという公知の方法で行うことができる。
【0018】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中におけるアセトン転化率、4,4′−ビスフェノールA(4,4′−BPAと略記)選択率、変性率及びスルホン酸残存率は次式により算出した(単位はいずれも%)。
【0019】
【数1】
【0020】
実施例1
4−(2−メルカプトエチル)キノリン変性イオン交換樹脂
100mlオートクレーブに4−メチルキノリン50.2g、37%ホルムアルデヒド24.4gを仕込み、20kg/cm2 窒素圧力下、110℃で9時間撹拌した。反応物をシリカゲルカラムクロマトにより分離精製することにより4−(2−ヒドロキシエチル)キノリン6.8gを得た。
4−(2−ヒドロキシエチル)キノリン5.14gを200ml三ツ口フラスコ中で、クロロホルム72mlに溶解し、窒素気流下、塩化チオニル14gを滴下した。60℃で1時間撹拌したのち、クロロホルムと未反応の塩化チオニルを減圧留去したところ、粗4−(2−クロロエチル)キノリン塩酸塩7.8gを得た。
【0021】
この塩酸塩4.0gを200mlナス型フラスコ中で水40mlに溶解し、チオ酢酸カリウム2.4gを加え、1.5時間加熱還流した。氷冷下で1N水酸化ナトリウム水溶液38mlを加え、酢酸エチル150mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒留去することにより粗4−(2−アセチルチオエチル)キノリン2.94gを得た。
【0022】
100ml三ツ口フラスコに無水ジエチルエーテル15mlと水素化アルミニウムリチウム0.32gを窒素気流下で仕込み、室温撹拌下、上記のチオアセテート1.62gの無水ジエチルエーテル35ml溶液を滴下した。1.5時間加熱還流した後、氷冷し、蒸留水0.17g、酢酸0.55gを加えた。無機塩を濾別、酢酸エチルで洗浄した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒留去、続いて、シリカゲルカラムクロマトにより分離精製することにより、4−(2−メルカプトエチル)キノリン605mgが得られた。(ガスクロマトグラフィーによる純度93.0%)
【0023】
4−(2−メルカプトエチル)キノリン605mgをメタノール10mlに溶解し、メタノール10mlに懸濁させたイオン交換樹脂ダイヤイオン(登録商標)SK104(H型)11.2g(三菱化学社製、交換容量1.63meq/g)へ加え、室温で5時間撹拌した。イオン交換樹脂を濾過し、イオン交換水で洗浄し、変性イオン交換樹脂を得た。
メルカプト基及びスルホン酸の残存量を分析したところ、変性率は14.4%であり、スルホン酸残存率は86.0%であった。
【0024】
この変性イオン交換樹脂14mlを内径7.6mm、全長320mmのステンレスカラムに充填し、イオン交換水200mlをLHSV2hr-1で流し、その後70℃でフェノールをLHSV2hr-1で24時間流した。次に、フェノール/アセトン=10/1(モル比)の混合液を70℃、LHSV1.0hr-1で通液し連続反応を行った。24時間後のアセトンの転化率は92.4%、4,4′−BPAの選択率は94.9%であり、300時間後のアセトンの転化率は94.9%、4,4′−BPAの選択率は94.9%、また、500時間後のアセトンの転化率は94.7%、4,4′−BPAの選択率は94.7%であった。
【0025】
実施例2
2−(2−メルカプトエチル)キノリン変性イオン交換樹脂
100mlオートクレーブに2−メチルキノリン50.2g、37%ホルムアルデヒド24.4gを仕込み、20kg/cm2 窒素圧力下、110℃で9時間撹拌した。反応物をシリカゲルカラムクロマトにより分離精製することにより2−(2−ヒドロキシエチル)キノリン10.2gを得た。
2−(2−ヒドロキシエチル)キノリン5.14gを200ml三ツ口フラスコ中でクロロホルム72mlに溶解し窒素気流下、塩化チオニル14gを滴下した。60℃で1時間撹拌したのち、クロロホルムと未反応の塩化チオニルを減圧留去したところ、粗2−(2−クロロエチル)キノリン塩酸塩6.9gを得た。
【0026】
この塩酸塩4.0gを200mlナス型フラスコ中で水40mlに溶解し、チオ酢酸カリウム2.4gを加え、1.5時間加熱還流した。氷冷下で1N水酸化ナトリウム水溶液38mlを加え、酢酸エチル150mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒留去することにより粗2−(2−アセチルチオエチル)キノリン2.94gを得た。
【0027】
100ml三ツ口フラスコに無水ジエチルエーテル20mlと水素化アルミニウムリチウム0.40gを窒素気流下で仕込み、室温撹拌下、上記のチオアセテート2.03gの無水ジエチルエーテル40ml溶液を滴下した。1.5時間加熱還流した後、氷冷し、蒸留水0.21g、酢酸0.69gを加えた。無機塩を濾別、酢酸エチルで洗浄した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒留去、続いて、シリカゲルカラムクロマトにより分離精製することにより、2−(2−メルカプトエチル)キノリン756mgが得られた。(ガスクロマトグラフィーによる純度95.0%)
【0028】
2−(2−メルカプトエチル)キノリン756mgをメタノール15mlに溶解し、メタノール15mlに懸濁させたダイヤイオンSK104(H型)15.0gへ加え、室温で5時間撹拌した。イオン交換樹脂を濾過し、イオン交換水で洗浄し、変性イオン交換樹脂を得た。
メルカプト基及びスルホン酸の残存量を分析したところ、変性率は12.5%であり、スルホン酸残存率は88.0%であった。
この変性樹脂を用い、実施例1と同一条件で反応評価を行った。反応開始後24時間、300時間、500時間の反応結果を表1及び2に示した。
【0029】
比較例1
4−(メルカプトメチル)キノリン変性イオン交換樹脂
1000ml三ツ口フラスコに、4−メチルキノリン24.0g、N−ブロモこはく酸イミド44.8g、クロロホルム700mlを仕込み、赤外ランプで3時間加熱還流した。クロロホルムを留去し、粗反応物をシリカゲルカラムクロマトで分離精製したところ、4−(2−ブロモメチル)キノリン4.30gを得た。
この臭化物4.3gを500mlナス型フラスコ中でTHF330mlに溶解し、チオ酢酸カリウム2.44gを加え、40℃で2時間撹拌した。氷冷下で1N水酸化ナトリウム水溶液44mlと水66mlを加え、酢酸エチル300mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトにより分離することにより粗4−(2−アセチルチオメチル)キノリン1.68gを得た。
【0030】
100ml三ツ口フラスコに無水ジエチルエーテル20mlと水素化アルミニウムリチウム0.34gを窒素気流下で仕込み、室温撹拌下、上記のチオアセテート1.68gの無水ジエチルエーテル20ml溶液を滴下した。3時間室温下撹拌した後、氷冷し、蒸留水0.18g、酢酸0.6gを加えた。無機塩を濾別、酢酸エチルで洗浄した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトにより分離精製することにより、4−メルカプトメチルキノリン869mgが得られた。(ガスクロマトグラフィーによる純度98.0%)
【0031】
4−メルカプトメチルキノリン683mgをメタノール20mlに溶解し、メタノール10mlに懸濁させたダイヤイオンSK104(H型)20gへ加え、室温で5時間撹拌した。イオン交換樹脂を濾過し、イオン交換水で洗浄し、変性イオン交換樹脂を得た。
メルカプト基及びスルホン酸の残存量を分析したところ、変性率は10.2%であり、スルホン酸残存率は87.0%であった。
この変性樹脂を用い、実施例と同一条件で反応評価を行った。反応開始後24時間と300時間の反応結果を表1及び2に示した。
【0032】
比較例2
2−アミノエタンチオール(シスアミン)変性イオン交換樹脂
市販の2−アミノエタンチオール0.58gと酢酸0.46gをイオン交換水20mlに溶解し、イオン交換水30mlに懸濁させたダイヤイオンSK104(H型)30.0gへ加え、室温で1時間撹拌した。イオン交換樹脂を濾過し、イオン交換水で洗浄し、変性イオン交換樹脂を得た。
メルカプト基及びスルホン酸の残存量を分析したところ、変性率は15.2%であり、スルホン酸残存率は84.1%であった。
この変性樹脂を用い、実施例と同一条件で反応評価を行った。反応開始後24時間と300時間の反応結果を表1及び2に示した。
【0033】
【発明の効果】
本発明に係るメルカプト基を有するキノリン類が結合した変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂を使用すれば、フェノールとアセトンとの縮合反応により、高いアセトン転化率及び高い4,4′−ビスフェノールA選択率で、且つその性能を長時間接続しながら、効率的にビスフェノールAを製造することができる。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
Claims (5)
- スルホン酸基の5〜30モル%にメルカプト基を有するキノリン類が結合していることを特徴とする請求項1に記載の変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂。
- スチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなる骨格を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の変性強酸性スルホン酸型イオン交換樹脂の存在下に、フェノール類とケトン類とを反応させることを特徴とするビスフェノールの製造方法。
- フェノール類がフェノールであり、ケトン類がアセトンであることを特徴とする請求項4に記載のビスフェノールの製造方法。
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