JP3888799B2 - ビスフェノールaの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビスフェノールAの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、固体酸触媒の存在下、アセトンとフェノールを反応させてビスフェノールAを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ビスフェノールA[2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン]は通常、フェノールとアセトンを均一酸または固体酸触媒の存在下に反応させることにより製造されている。反応混合物はビスフェノールAのほかに、未反応アセトン、未反応フェノール、反応生成水および他の反応副生物を含む。副生物の主な成分は、2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下o,p’−BPA)であり、他にトリスフェノール、ポリフェノール化合物、クロマン化合物、および着色不純物等がある。
【0003】
触媒として使用される均一酸の例としては、塩酸、硫酸等が挙げられる。均一酸を使用する場合、低温で反応させることにより、フェノールとビスフェノールAの付加物結晶を析出させながら反応させることが可能であるため、アセトンの高転化率とともに、異性体であるo,p’−BPAの副生量を減じて高選択率でビスフェノールAを製造することができる。しかしながら塩酸等の均一酸触媒は反応混合液中から触媒を除去、または中和する工程が必要であり、操作が煩雑となる。これに加えて反応液中に酸が均一に溶解することから装置等の腐食をもたらし、そのため、反応装置に高価な耐食材料を用いなければならず、経済的ではない。
【0004】
固体酸触媒としては、主にスルホン酸型陽イオン交換樹脂が用いられ、さらには、メルカプト基を含有する化合物を反応系内に共存させることにより、触媒活性および選択率を向上させることができることが知られている。具体的には、スルホン酸型陽イオン交換樹脂を充填した固定床反応器に原料であるフェノールおよびアセトンと共にアルキルメルカプタン等の遊離型のメルカプト基含有化合物を流通させる方法(特公昭45−10337号)、スルホン酸型陽イオン交換樹脂のスルホン酸基の一部とメルカプト基含有化合物を共有結合で結合させる方法、スルホン酸型陽イオン交換樹脂のスルホン酸基の一部とメルカプト基含有化合物をイオン結合で結合させる方法(特公昭46−19953号)がある。スルホン酸型陽イオン交換樹脂を充填した固定床反応器に原料であるフェノールおよびアセトンと共にアルキルメルカプタン等の遊離型のメルカプト基含有化合物を流通させる方法は、反応系に常に一定量のメルカプト基含有化合物を存在させることができるため、触媒劣化が小さいという利点があるが、メルカプト基含有化合物がビスフェノールAの着色原因となる恐れがあり、メルカプト基含有化合物の除去および回収を行わなければならない。一方、スルホン酸型陽イオン交換樹脂のスルホン酸基の一部にメルカプト基含有化合物を結合させる方法は、遊離型メルカプト基含有化合物を反応系に存在させる方法と比較して、メルカプト基含有化合物の損失が少ない、メルカプト基含有化合物を回収する必要がない等の利点がある。しかしながら、スルホン酸型陽イオン交換樹脂のスルホン酸基の一部にメルカプト基含有化合物を結合させる方法のうち、スルホン酸基の一部とメルカプト基含有化合物を共有結合で結合させる方法は、スルホン酸基の一部にメルカプト基含有化合物を結合させるための工程が煩雑であり、メルカプト基の被毒による活性低下が観察される。スルホン酸型陽イオン交換樹脂のスルホン酸基の一部とメルカプト基含有化合物をイオン結合で結合させる方法は、スルホン酸基の一部にメルカプト基含有化合物を結合させるための工程は簡便ではあるが、メルカプト基の被毒およびメルカプト基含有化合物の脱離等による触媒活性の劣化があり、さらには、脱離したメルカプト基含有化合物が、製品ビスフェノールA中に混入し、製品品質を悪化させる恐れがある。また、いずれのスルホン酸型陽イオン交換樹脂を触媒として用いる方法においても、反応により生じた生成水により触媒活性が低下するため、大きな反応器を必要とする。
【0005】
スルホン酸型陽イオン交換樹脂以外の固体酸触媒では、スルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水素基を共に有する有機高分子シロキサン触媒が報告されている(特開平8−208545号、特開平9−110767号、特開平9−110989号、特開平10−225638号)。この触媒は変性イオン交換樹脂と比較して、高活性、高選択率であり、また、反応により生ずる生成水による触媒活性の低下が少ないためビスフェノールA製造触媒として優れているが、変性イオン交換樹脂と比較して高価であり、またメルカプト基の被毒による活性低下が生じるため、実用化に至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フェノールとアセトンを反応させてビスフェノールAを製造する方法において、スルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水素基を共に有する有機高分子シロキサン触媒の劣化が少なく、製品中のメルカプト基含有化合物の少ない、低コストでかつ高品質ビスフェノールAの製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、フェノールとアセトンの少なくとも一部を、スルホン酸型陽イオン交換樹脂のスルホン酸基の一部とメルカプト基含有化合物をイオン結合で結合させたイオン交換樹脂(以下、変性イオン交換樹脂)と接触させて反応させた後、スルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水素基を共に有する有機高分子シロキサン触媒(以下、有機高分子シロキサン触媒)の存在下でさらに反応を行うことにより、高活性、高選択率という特徴を有する有機高分子シロキサン触媒の活性低下を防止することができ、さらに、変性イオン交換樹脂から脱離するメルカプト基含有化合物の製品中への混入を防止することができ、高品質なビスフェノールAが得られることを見出した。また、有機高分子シロキサン触媒が反応により生じる生成水による被毒を受けにくく、変性イオン交換樹脂触媒の存在下での反応により生成した水の存在下においても、小型の反応器で高いアセトン転化率で反応を行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明はフェノールとアセトンを反応させてビスフェノールAを製造する方法において、フェノールとアセトンを、スルホン酸基の一部にメルカプト基含有化合物を結合させたスルホン酸型陽イオン交換樹脂と接触させた後、次いで、スルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水素基を共に有する有機高分子シロキサンと接触させることを特徴とするビスフェノールAの製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で原料として用いられるフェノールとしては、通常入手できる工業用フェノールが使用可能である。工業用フェノールには、クメン法またはトルエン酸化法等で製造されたものがあり、いずれの方法で製造されたものでも良い。一般的に、純度98%以上のフェノールが市販されている。このような工業用フェノールをそのままビスフェノールA合成反応に使用しても良いが、好ましくは、反応を実施する前に、フェノールを予め強酸型陽イオン交換樹脂と連続式または回分式で、処理温度50〜120℃、接触時間5分〜10時間で処理したものを使用する。さらに好ましくは、工業用フェノールを前記のように強酸型陽イオン交換樹脂と接触処理した後、常圧〜10mmHgの減圧下、温度70〜200℃で蒸留処理を行ったものを使用する。
【0010】
本発明で用いるアセトンには特に制限はなく、通常入手できる市販の工業用アセトンで良い。一般的には純度99%以上のものが入手可能である。
【0011】
上記のようなフェノールとアセトンを混合したものを、変性イオン交換樹脂を充填した反応器(第1反応器)に供給し、第1反応器で得られた反応混合物を、有機高分子シロキサン触媒を充填した反応器(第2反応器)に供給する。本発明においては、これらの触媒を充填した反応器を便宜上、それぞれ、第1反応器および第2反応器と呼ぶことにするが、原料のフェノールとアセトンが供給される入口側に変性イオン交換樹脂を充填し、出口側に有機高分子シロキサン触媒を充填した一つの反応器を使用しても良い。原料として供給されるフェノールは全量を第1反応器に供給することが好ましい。アセトンは第1反応器および第2反応器に分割して供給しても良い。アセトンを分割して供給する場合は、全供給量の50%以上、好ましくは70%以上を第1反応器に供給する。第1反応器に供給されるアセトンに対するフェノールのモル比は4〜30、好ましくは6〜20である。第1反応器の反応では通常、第1反応器および第2反応器を合わせた反応系に対して供給される全アセトン量の10〜80%、好ましくは20〜70%、さらに好ましくは20〜50%が消費されるように反応が行われる。第1反応器でのアセトンの消費量が10%以上であれば、第2反応器のスルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水素基を共に有する有機高分子シロキサン触媒の劣化が少ない。第1反応器でのアセトンの消費量が80%以下であれば第1反応器が大きくならず、有機高分子シロキサン触媒の高活性、高選択率であるという特徴を生かすことができる。第1反応器での反応温度は、一般的には40〜120℃、好ましくは50〜90℃である。
【0012】
変性イオン交換樹脂は、通常入手できるスルホン酸型陽イオン交換樹脂に、例えば、特公昭46−19953号公報に開示されている方法等により、メルカプト基含有化合物を結合させて調製することができる。メルカプト基含有化合物をスルホン酸基に結合させる割合は、スルホン酸型陽イオン交換樹脂の全スルホン酸基の2〜50%、好ましくは5〜30%である。メルカプト基含有化合物の割合が前記の範囲内であれば、効率的に反応を行うことができるため第1反応器が小さくなり、また、有機高分子シロキサン触媒の寿命を長くする効果も高くなる。
【0013】
メルカプト基含有化合物を結合させる前のスルホン酸型陽イオン交換樹脂は通常入手できるもので良く、例えば三菱化学社製のダイヤイオン、ロームアンドハース社製のアンバーライトおよびアンバーリスト、バイエル社製のレバチット等が挙げられる。この強酸型陽イオン交換樹脂は、ゲル型、マクロポーラス型のいずれも用いることができるが、架橋度2〜8%のゲル型のものを用いる方が転化率およびビスフェノールA選択率が高く、また長期間安定的に使用できるので好ましい。
【0014】
スルホン酸型陽イオン交換樹脂のスルホン酸基の一部に結合させるメルカプト基含有化合物についても特に制限はなく、スルホン酸型陽イオン交換樹脂のスルホン酸基とイオン結合を形成する化合物であれば良い。このような化合物としては、2−メルカプトエチルアミン(システアミン)、3−メルカプトプロピルアミン、N,N−ジメチル−3−メルカプトプロピルアミン等のメルカプトアルキルアミン類、3−メルカプトメチルピリジン、3−メルカプトエチルピリジン、4−メルカプトエチルピリジン等のメルカプトアルキルピリジン類、チアゾリジン、2,2−ジメチルチアゾリジン、2−メチル−2−フェニルチアゾリジン、3−メチルチアゾリジン等のチアゾリジン類等が挙げられる。メルカプト基含有化合物をスルホン酸型陽イオン交換樹脂に結合させる方法は、特公昭46−19953号公報等に示されているような、従来公知の方法を用いることができる。
【0015】
第1反応器で得られた反応混合物は、有機高分子シロキサンが充填された第2反応器に供給される。アセトンを分割して反応器に供給する場合は、第1反応器で得られた反応混合物とともに第1反応器に供給した残りのアセトンが第2反応器に供給される。第2反応器出口における未反応アセトンの量は、好ましくは、反応系に供給される全アセトン量の20%以下となるように反応が行われる。未反応アセトン量が20%以下であれば、未反応アセトンを回収するためのエネルギーが少なく、また、反応系を流れる液量が少なくてより経済的である。第2反応器の反応温度は通常、40〜140℃、好ましくは50〜100℃である。
【0016】
有機高分子シロキサンとしては、例えば、特開平8−208545号、特開平9−110989号および特開平10−225638号に記載されているような、シロキサン結合からなるシリカマトリックス中に部分的にスルホン酸基を有する炭化水素基とメルカプト基を有する炭化水素基が直接シリカマトリックス中のケイ素原子と炭素−ケイ素結合により結合した構造を有する有機高分子シロキサンが挙げられる。このような有機高分子シロキサンの調製方法としては、例えば、(1)スルホン酸基含有炭化水素基を有するアルコキシシランとメルカプト基含有炭化水素基を有するアルコキシシラン、及びテトラアルコキシシランとを任意の割合で混合し、加水分解、重縮合により合成する調製法、(2)水溶性のスルホン酸基含有炭化水素基を有するアルコキシシランの加水分解物とメルカプト基含有炭化水素基を有するアルコキシシラン、及びテトラアルコキシシランとを任意の割合で混合し、加水分解、重縮合により合成する調製法、といったいわゆるアルコキシシランのゾル−ゲル法による調製法(1)、(2)と、(3)スルホン酸基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサンに存在するシラノール基にメルカプト基含有炭化水素基を有するアルコキシシランをシリル化し、メルカプト基を固定化する、いわゆるシリル化による調製法が知られている。
【0017】
スルホン酸基を有する炭化水素基は、少なくとも1個のスルホン酸基(−SO3H)を有する炭化水素基で有ればいかなる炭化水素基であっても本発明に使用することが可能であるが、好ましくはスルホン酸基を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の炭化水素基である。好ましくは炭素数6以上20以下、更に好ましくは炭素数6以上15以下の少なくとも1個のスルホン酸基を有する置換ないしは無置換の芳香族炭化水素基(芳香族基に直接スルホン酸基が置換された基でも、芳香族基に置換された炭化水素基にスルホン酸基が置換された基のいずれでもよい);または、好ましくは少なくとも1個のスルホン酸基を有する炭素数1以上15以下、更に好ましくは炭素数1以上10以下の置換ないしは無置換の脂肪族及び脂環式炭化水素基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の炭化水素基である。このようなスルホン酸基を有する炭化水素基の例としては、少なくとも1個のスルホン酸基により核置換されたフェニル基、トリル基、ナフチル基、メチルナフチル基等の芳香族基、ベンジル基、ナフチルメチル基等の芳香族置換アルキル基等、少なくとも1個のスルホン酸基で置換された、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、直鎖または分枝のペンチル基、直鎖または分枝のヘキシル基、直鎖または分枝のヘプチル基、直鎖または分枝のオクチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等が挙げられる。さらにこれらの芳香族または飽和の脂肪族ないしは脂環式炭化水素基はスルホン酸基の他にハロゲン原子、アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基等の置換基を有する炭化水素基であってもよい。
【0018】
メルカプト基を有する炭化水素基は、示性式として−SHで表されるメルカプト基を少なくとも1個有する炭素数1以上20以下の炭化水素基から選ばれた少なくとも1種であり、脂肪族もしくは脂環式の飽和炭化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素に−SH基が結合した炭化水素基である。好ましくは脂肪族もしくは脂環式の飽和炭化水素基又は芳香族炭化水素基にSH基が少なくとも1個結合した炭化水素基である。このようなメルカプト基を有する炭化水素基の例としては、メルカプトメチル基、2−メルカプトエチル基、3−メルカプト−n−プロピル基等のメルカプトアルキル基類、4−メルカプトシクロヘキシル基、4−メルカプトメチルシクロヘキシル基等の脂環式炭化水素基類、p−メルカプトフェニル基、p−メルカプトメチルフェニル基等のメルカプト芳香族基類等が挙げられる。また、これらの芳香族または脂肪族ないしは脂環式炭化水素基はメルカプト基の他にハロゲン原子、アルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基等の置換基を有する炭化水素基であってもよい。
【0019】
反応系全体に供給されるアセトンとフェノールのモル比は4〜20、好ましくは5〜16である。アセトンに対するフェノールのモル比が4以上で有れば、アセトンから副生するメシチルオキシド等の不純物の生成が少なくなる。また、モル比が20以下であれば、未反応のフェノールの循環量が少なくなるので、反応器および晶析器等の機器が小さくなり、また循環に要する動力、加熱や冷却に要するエネルギー等が節減され経済的である。
【0020】
スルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水素基を共に有する有機高分子シロキサン触媒は、変性イオン交換樹脂よりも高活性、高選択率で優れた触媒であるが、この触媒を単独で使用すると、触媒活性の低下が大きい。本発明の方法によれば、はじめに変性イオン交換樹脂触媒でフェノールとアセトンの少なくとも一部を反応させた後に有機高分子シロキサン触媒を使用することにより、触媒の劣化を防止できる。変性イオン交換樹脂単独で使用した場合には、生成水により変性イオン交換樹脂触媒が被毒を受けるため、大きな反応器を必要とするが、有機高分子シロキサン触媒は水による被毒を受けにくく、かつ高活性であるので、反応器を小さくすることができる。従って、高選択率な有機高分子シロキサン触媒を変性イオン交換樹脂の後に使用することにより、ビスフェノールA収率が向上し経済的である。さらには、変性イオン交換樹脂触媒はイオン結合でメルカプト基含有炭化水素基を結合させているため、その一部が微量ながら脱離し、製品中に混入することにより製品ビスフェノールAを着色させる原因と考えられるが、本発明の方法によれば、変性イオン交換樹脂の使用量を大幅に少なくできるため、脱離するメルカプト基含有炭化水素基の量を削減でき、また、脱離したメルカプト基含有炭化水素基が有機高分子シロキサン触媒のスルホン酸基で捕捉されるため、実質的にメルカプト基含有炭化水素基が製品ビスフェノールAに混入することはない。
【0021】
上記のようにして得られた反応液は、必要に応じ反応生成水、未反応アセトンおよび未反応フェノールの一部が除去された後、冷却され、ビスフェノールAとフェノールの等モル付加物結晶の形でビスフェノールAが分離される。さらに、この等モル付加物からフェノールが除去され、ビスフェノールAが単離される。
【0022】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、使用する有機高分子シロキサン触媒および変性イオン交換樹脂触媒は、それぞれ、以下に示す方法で調製を行った。
【0023】
[有機高分子シロキサン触媒の調製]
以下の手順(a)、(b)にしたがい、スルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサンを調製した。
【0024】
(a)スルホン酸基含有アルコキシシランの合成
滴下ロートを取り付けた2口の500mlの丸底フラスコに塩化メチレンを200ml入れ、これにフェニルトリクロロシラン123.0g(0.580mol)を加え、氷冷した。これに無水硫酸46.4g(0.580mol)を塩化メチレン100mlに溶解させた溶液を窒素気流下30分かけて滴下した後、氷浴を取り外し室温で5時間攪拌し、スルホン化を行った。滴下ロートを取り外し、窒素気流下、油浴を用いて100℃に加熱し、塩化メチレン、及び未反応の無水硫酸を留去した。放冷後、室温でエタノール160gを3時間かけて滴下し、次いで窒素でバブリングしながら2時間還流して発生する塩化水素を取り除きながらエトキシ化反応を行った。得られた不純物を含むフェニルスルホン酸基含有エトキシシランのエタノール溶液234.7gを以下のスルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサン触媒のゾル−ゲル調製におけるスルホン酸成分の原料として用いた。
【0025】
(b)スルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサンの調製
攪拌棒を取り付けた2口の500mlの丸底フラスコに上記したスルホン酸基含有エトキシシランのエタノール溶液26.0g、テトラエトキシシラン35.5g(170.7mmol)、メルカプトプロピルトリメトキシシラン6.7g(34.3mmol)、エタノール30mlを入れて混合した。これに水7.5g(0.42mol)を30分かけて滴下した。ついでこれを加熱し、65℃で4時間攪拌した。放冷後、28%アンモニア水15mlと水75mlを混合した水溶液を滴下し、室温で4時間攪拌した。さらに65℃で一昼夜攪拌し、熟成させた。これをエバポレーターで減圧留去し、白色の固体を得た。ついで2Nの塩酸200mlを加え、室温で30分間攪拌した。濾別後、イオン交換水500mlで洗浄する操作を10回繰り返して塩酸を取り除いた。最後に減圧下、100℃で6時間乾燥した。以上の操作によりスルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサン30gを得た。本触媒の固体酸量を測定したところ、0.98meq/gであった。
【0026】
[変性イオン交換樹脂の調製]
水で膨潤した交換容量1.9eq/lのスルホン酸型陽イオン交換樹脂(バイエル社製K1221)500mlを水500mlに加え85℃で攪拌した。このイオン交換樹脂のスラリーに、水50mlに対してシステアミン塩酸塩9.4gを溶解した水溶液を1時間で添加し、さらに、攪拌しながら85℃で16時間放置した。その後、イオン交換樹脂を濾過により分離し、十分に水洗を行った後、100℃で20時間真空乾燥を行った。ここで得られた変性イオン交換樹脂は、スルホン酸基の15%がシステアミンと結合した変性イオン交換樹脂であった。
【0027】
実施例1
変性イオン交換樹脂(変性IER)を水で膨潤した状態に換算して30ml充填した反応器と、有機高分子シロキサン触媒を30ml充填した内径20mmの円筒型反応器を変性イオン交換樹脂、有機高分子シロキサン触媒の順に2器直列に接続した。これらの反応器を75℃に保温しながら、フェノール95.1wt%とアセトン4.9wt%との混合物を50g/hで連続的に通過させ、反応を開始した。
【0028】
反応を開始してから24時間後、500時間後に、それぞれの反応器出口の反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果を表1に示す。また、変性イオン交換樹脂から脱離したシステアミンの指標として、24時間後の反応液中の窒素含有量を測定したところ、検出されなかった(10ppb以下)。
【0029】
実施例2
変性イオン交換樹脂の充填量を20mlとした他は、実施例1と同様に反応を行った。この結果を表1に示す。また、それぞれの反応液の窒素含有量を測定したが、いずれも検出されなかった。
【0030】
実施例3
変性イオン交換樹脂の充填量を10mlとした他は、実施例1と同様に反応を行った。この結果を表1に示す。また、それぞれの反応液の窒素含有量を測定したが、いずれも検出されなかった。
【0031】
比較例1
変性イオン交換樹脂を使用せず、有機高分子シロキサン触媒を30ml充填した反応器のみを使用した他は、実施例1と同様にして行った。この結果を表1に示す。有機高分子シロキサン触媒のみを使用した場合、500時間後ではアセトン転化率およびビスフェノールA(BPA)選択率とも、大きく低下していることがわかる。
【0032】
比較例2
変性イオン交換樹脂の代わりに有機高分子シロキサン触媒を10ml充填した反応器と、有機高分子シロキサン触媒を30ml充填した内径20mmの円筒型反応器を2基直列に接続した他は、実施例1と同様にして行った。この結果を表1に示す。500時間後ではアセトン転化率およびビスフェノールA(BPA)選択率とも、大きく低下していることがわかる。
【0033】
比較例3
変性イオン交換樹脂を30mlずつ充填した反応器を2器直列に接続した以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応開始24時間後、反応器2器合計でのアセトン転化率は74.8%であり、実施例1と反応器容量が同じにも関わらず、アセトン転化率は低い値を示した。また、反応液中の窒素含有量を測定したところ40ppbであった。
【0034】
【表1】
Figure 0003888799
【0035】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、高活性でかつ高選択率であるスルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水素基を共に有する有機高分子シロキサン触媒の劣化を防止でき、高転化率でしかも高収率なビスフェノールAの製造方法を提供でき、経済的に有利にビスフェノールAを製造することができる。

Claims (3)

  1. フェノールとアセトンを反応させてビスフェノールAを製造する方法において、フェノールとアセトンを、スルホン酸基の一部にメルカプト基含有化合物を結合させたスルホン酸型陽イオン交換樹脂と接触させた後、次いで、スルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水素基を共に有する有機高分子シロキサンと接触させることを特徴とするビスフェノールAの製造方法。
  2. スルホン酸基の一部にメルカプト基含有化合物を結合させたスルホン酸型陽イオン交換樹脂との接触による反応により、反応系に供給される全アセトン量に対して10〜80%の量のアセトンが消費される請求項1記載の方法。
  3. スルホン酸基含有炭化水素基とメルカプト基含有炭化水素基を共に有する有機高分子シロキサンと接触した後の未反応アセトンの量が、反応系に供給される全アセトンの量に対して20%以下である請求項1記載の方法。
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