JP3752778B2 - 中空射出成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、車両用の樹脂製のバンパやインストルメントパネルのように剛性向上のために部分的に厚肉部を有する製品の該厚肉部に対してヒケ防止を目的として中空部を形成するような中空射出成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両用の樹脂製のバンパやインストルメントパネル等の樹脂製品の剛性を向上させるためには、樹脂製品にリブ(部分的な厚肉部)を一体成形すればよいが、単に一体成形したのでは、ヒケによって表面形状が悪化するので、樹脂材料の射出工程中に高圧のガス(N2ガスなど)を溶融樹脂内部に注入して、中空部を形成するという中空射出成形手段が用いられ、これによってヒケを防止すべく構成している。
【0003】
ところで、図10(但し、図10は従来例の説明と本発明の実施例の説明とを兼用する)に示す如く、車両用樹脂バンパ91の剛性を向上させるためには、同図に点線で示す如く、バンパフェース92の背面で、かつ横リブ93,94間にX字状に交差した中空厚肉部95(X字状リブ)を形成すると、ねじれ剛性が向上してバンパ91の変形量を低減することができる。
【0004】
このような、X字状リブ95を成形するには、図11に示す如く中空射出成形装置のキャビティ型(固定型)とコア型(可動型)との間の成形キャビティ(但し、図11はコア型側から見た状態を示す)に上述の横リブ93,94およびX字状リブ95に対応する通路96を形成し、例えばX字状に交差した通路の中心にガス注入口97を配置して、このガス注入口97より樹脂射出完了時において高圧ガスを溶融樹脂内部に注入することが考えられる。
【0005】
しかし、この場合、図11の矢印a方向と矢印b方向との両側から流れてくるガス圧力が共に等しいので、ガス合流部分付近において左右から流れてくるガス圧力が均衡し、範囲βで示す部分に中実状の樹脂溜りが形成され、この部分βが樹脂の冷却過程においてヒケることにより、外観形状が悪化する。このため、上述の如き中空のX字状リブ95を成形することが不可能であって、従来においては、上下の横リブ93,94間に金属製のレインフォースメントを用いて、車両用樹脂バンパ91のねじれ剛性の向上を図っている現状である。
【0006】
一方、特願平6−293736号には長さの長い通路と、長さが短い通路とを有する成形キャビティを備えたものにおいて、長い通路の方からかN2ガスを注入する技術思想が開示されているが、通路の両側からガスが注入されてくるものにおいてガス合流部分に中空部を形成することは不可能であった。
【0007】
また特願平4−179721号には1つの通路においてガス圧を注入初期に低圧とし、注入後期に高圧とする技術思想が開示されているが、通路の両側からガスが注入されてくるものに適用すべく、一方からのガス圧を強く設定すると、ガス合流点がガス圧の弱い側へずれるため、本来の形成したい部位による中空部を形成することができない問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、樹脂の通過する通路の両側からガスを注入するものであって、ガスの合流部分近傍にこの合流部分の樹脂圧力を低下させる圧力低下手段を設けると共に、両側から侵入するガスのうちガス侵入速度が早い方の通路を狭くするガス規制手段を設けることで、両側から注入されてくるガスの侵入速度の如何にかかわらず予め設定された圧力低下手段の配置部にガスで押出される溶融樹脂圧力を低下させて、両側からのガスを良好に合流させて、ガス合流部を完全に中空状と成し、ヒケを確実に防止することができる中空射出成形装置の提供を目的とする。
【0009】
この発明の一実施態様は、上述のガス規制手段は侵入方向通路をしゃ断することで、このガスしゃ断手段にてガス侵入速度が早い方の通路をしゃ断規制することができる中空射出成形装置の提供を目的とする。
【0010】
この発明の一実施態様は、X字状(クロス状)に交差した通路の中心(交点部)からガスを注入することで、単一のガス注入口からガスを注入することができ、ガス注入手段の簡略化を図ることができる中空射出成形装置の提供を目的とする。
【0011】
この発明の一実施態様は、上述の通路のガス圧力を検出して、ガス規制手段を駆動する圧力手段を設けることで、ガス侵入速度が早い方の侵入方向通路をそのガス圧力により確実に検出することができる中空射出成形装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明による中空射出成形装置は、型内に樹脂を射出して部分的に厚肉部を有する製品の該厚肉部にガスを注入することで中空部を形成する中空射出成形装置であって、樹脂の通過する通路の両側からガスを注入するガス注入手段と、ガスの合流部分近傍に設けられて該合流部分の樹脂圧力を低下させる圧力低下手段と、上記両側から侵入するガスのうちガス侵入速度が早い方の通路を狭くするガス規制手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
この発明の一実施態様は、上記ガス規制手段は侵入方向通路をしゃ断するものである。
【0014】
この発明の一実施態様は、また、X字状に交差した通路の中心からガスを注入するものである。
【0015】
この発明の一実施態様は、さらに、上記通路のガス圧力を検出して、上記ガス規制手段を駆動する圧力検出手段が設けられたものである。
【0016】
【発明の作用及び効果】
この発明によれば、上述のガス注入手段で樹脂の通過する通路の両側からガスを注入する時、ガスの合流部分近傍に設けられた圧力低下手段は、合流部分の樹脂圧力を低下するように作動し、またガス規制手段は、両側から注入されてくるガスのうちガス侵入速度が早い方の侵入方向通路を狭くする。
【0017】
このため、例えば、主としてガス侵入速度が早い方のガスで押出される合流部分の溶融樹脂圧力を低下した後に、ガス規制手段にてガス侵入速度が早い方の侵入方向通路を狭くして、ガス侵入速度が遅い方の通路から注入されてくるガスを合流部分において確実に合流させることができる。
この結果、両側から注入されてくるガスの侵入速度の如何にかかわらず予め設定された圧力低下手段配置部位においてガスで押出される溶融樹脂を逃がし、両側から侵入するガスを良好に合流させて、ガス合流部を完全に中空状と成し、ヒケを確実に防止することができる効果がある。
【0018】
この発明の一実施態様においては、上述のガス規制手段は侵入方向通路をしゃ断するので、このガスしゃ断手段にてガス侵入速度が早い方の通路をしゃ断規制することができる効果がある。
【0019】
この発明の一実施態様においては、X字状に交差した通路の中心(交点部)からガスを注入するので、単一のガス注入口からガスを注入することができて、ガス注入手段(ガスノズル等)の簡略化を図ることができる効果がある。
【0020】
この発明の一実施態様においては、ガス注入手段で樹脂の通過する通路の両側からガスを注入する時、上述の圧力検出手段は通路のガス圧力を検出することによりガス侵入速度が早い方の侵入方向通路を確実に検出することができる。
この結果、圧力検出手段からの検出結果(検出信号等)により前述のガス規制手段を正確に駆動することができる効果がある。
【0021】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は中空射出成形装置を示し、図1乃至図4において、この中空射出成形装置1は型板2,3にそれぞれ取付けられて互に接離可能(型締め、型開き可能)に設けられたキャビティ型(固定型)4とコア型(可動型)5とを備えている。
【0022】
これら両型4,5の型締め時には製品としての車両用バンパ91(図10参照)を成形するための成形キャビティ6と溶融樹脂の通路となるゲート部7およびランナ部8が形成される。
上述のキャビティ型4の内部には、バルブ機構9をもった溶融樹脂射出用の樹脂ノズル10が設けられ、この樹脂ノズル10のインレット側は型板2に形成されたホットランナに接続され、バルブ機構9の開時に、射出成形機から射出されたポリプロピレン、ポリカーボネート、ABSその他の溶融樹脂がホットランナ、樹脂ノズル10、ランナ部8、ゲート部7をこの順に介して上述の成形キャビティ6に充填される。
【0023】
一方、上述のコア型5内には、その先端を形状面まで臨設したガスノズル11を配設し、この各ガスノズル11の上流端には、N2ガス等の不活性高圧ガスの流通をON、OFF制御する電磁弁12を取付けている。
またガス供給源としてのガスボンベ13を設け、このガスボンベ13とガス計量シリンダ14(いわゆる圧縮シリンダ)とを接続するガス吐出ライン15には減圧弁16および流量制御弁17を介設し、上述のガス計量シリンダ14の計量室18と上述の各電磁弁12とを結ぶガス配管19には開閉弁20を介設している。
【0024】
そして、上述のガスボンベ13から吐出される不活性高圧ガスを減圧弁16で減圧し、かつ流量制御弁17で流量制御した後に、ガス計量シリンダ14の計量室18に供給し、サーボモータや流体シリンダなどのアクチュエータ21でピストン22を駆動した時、必要量の不活性高圧ガスを開閉弁20およびガス配管19を介して上述の電磁弁12のインレット側に供給すべく構成している。
【0025】
図3は通路としての成形キャビティ6におけるX字状リブ95(図10参照)を成形する部位を、コア型5側から見た状態で示す図面で、この成形キャビティ6は図10の上側の横リブ93に相当する第1通路31と、図10の下側の横リブ94に相当する第2通路32と、図10のX字状リブ95に相当して、これら上下の各通路31,32間に設けられてX字状に交差した第3通路33および第4通路34とを備えている。
【0026】
上述の第3通路33と第4通路34とがX字状に交差した通路33,34の中心(交点)に前述のガスノズル11におけるガス注入口23を配置して、X字状交点部から不活性高圧ガスを注入すべく構成している。このように、X字状交点部から不活性高圧ガスを注入した場合、第1通路31と第2通路32との交差範囲α内にあっては通路31,32の左右両側からガスが注入されてくることになる。
【0027】
また上述の第1通路31と第2通路32とにおける交差範囲α内の中間、望ましくは中央(ガスの合流部分)には該合流部分の樹脂圧力を低下させる圧力低下手段の一例としての樹脂逃し部を構成する可動ピン24を配設し、この可動ピン24をコア型5側に設けられた油圧シリンダ25(アクチュエータ)で駆動して、容積を初期時の零から大に変化させて溶融樹脂を逃す(樹脂圧力を低下させる)容積室26(図5参照)を形成すべく構成している。
【0028】
さらに上述の第1通路31と第2通路32とにおける交差範囲α内の可動ピン24を隔てた両サイドには、両側から注入されてくるガスのうちガス侵入速度が早い方の侵入方向通路を狭くすべくしゃ断するガスしゃ断手段(ガス規制手段)としての押出しピン27をそれぞれ配設し、これらの押出しピン27をコア型5側に設けられた油圧シリンダ28(アクチュエータ)で駆動すべく構成している。
【0029】
加えて、上述の可動ピン24の配設部位と押出しピン27の配設部位との間、望ましくは可動ピン24の両脇部位には、通路31,32のガス圧力を検出して、その検出信号(検出結果)にてガスしゃ断手段(ガス規制手段)としての押出しピン27を駆動する左右の圧力センサ29,30(圧力検出手段)を配設している。これらの各圧力センサ29,30も図2に示す如くコア型5側に設けられている。なお、上述の圧力センサ29,30の出力信号を、例えばCPUやシーケンス回路に入力し、CPU出力またはシーケンス回路出力にて押出しピン27を駆動制御すればよい。
このように構成した中空射出成形装置1を用いて、中空射出成形品の一例としての車両用バンパ91を成形する中空射出成形方法について、以下に詳述する。
【0030】
まず、図3、図4、図5を参照して両側から注入されてくるガスの侵入速度(到達タイミング)が等しい場合について述べる。なお、この実施例では樹脂としてはポリプロピレン等を用い、不活性高圧ガスとしてはN2ガスを用いる。
【0031】
図1に示すように、まずキャビティ型4とコア型5とを型締めして、両型4,5間に車両用バンパ91に相当する成形キャビティ6を形成し、この成形キャビティ6に対して、ホットランナ、樹脂ノズル10、ランナ部8、ゲート部7を介してポリプロピレン等の溶融樹脂を射出充填する。
【0032】
上述の溶融樹脂の射出後に、ガス計量シリンダ14で予め計量されたN2ガスを、開閉弁20、ガス配管19、電磁弁12、ガスノズル11およびガス注入口23を介してX字状交点部から成形キャビティ6内の溶融樹脂内部に射出注入し、ガス射出完了後1〜2秒間をタイムラグをもって可動ピン24を後退させる。
【0033】
図3のガス注入口23からN2ガスを溶融樹脂の内部に注入すると、このN2ガスは矢印aで示すように第3通路33から第1通路31に注入されると同時に、矢印bで示すように第4通路34から第1通路31に注入され、交差範囲α内においては図4に示す如く第1通路31の左右両側からN2ガスが注入されてくることになる。
【0034】
上述の矢印a,b方向から注入されてくるN2ガスの圧力は共に等しく、本来ならばガス合流付近において樹脂溜りが形成されるが、上述の如くガス射出完了後1〜2秒間のタイムラグをもって可動ピン24を図4に示す状態から図5に示す如く後退させて、この可動ピン24により樹脂圧力を低下させるための容積室26を形成するので、N2ガスで押圧される合流部分の溶融樹脂を上述の容積室26内部に逃して、左右両側からのガスを図5に示すように良好に合流させることができる。
この結果、ガス合流部35を完全に中空状と成し、ヒケを確実に防ぐことができる効果がある。
【0035】
ここで、車両用バンパ91の中空射出成形後においては、キャビティ型4とコア型5とを型開きし、成形品としての車両用バンパ91が中空射出成形装置1内から取出されると共に、ゲート部7およびランナ部8に対応して車両用バンパ91の一端側に形成されるカル部(残渣部、不要部分)、並びに上述の容積室26に相当する樹脂は切断分離して削除されるので、図10に示すようにX字状に交差した中空厚肉部(X字状リブ95参照)を備えた所期の車両用バンパ91が成形される。なお図10におけるCはN2ガスの注入により厚肉部に形成された中空部である。
【0036】
以上の説明においては左右両側から注入されてくるN2ガスの侵入速度(到達タイミング)が互に等しい場合について述べたが、ガスチャンネル寸法の加工誤差、樹脂圧力、樹脂温度その他に起因してN2ガスの成長タイミングが変動し、左右両側から注入されてくるN2ガスの侵入速度が異なる場合の中空射出成形方法について、図6、図7、図8を参照して以下に詳述する。
【0037】
例えば図6において、成形キャビティ6の第1通路31においてその左側(矢印a参照)から注入されてくるN2ガスの侵入速度(到達タイミング)が同右側(矢印b参照)から注入されてくるN2ガスの侵入速度(到達タイミング)よりも早い場合、矢印a側のN2ガス圧力がガスの通過と共に急激に上昇するので、同側のガスおよび溶融樹脂を図6示す如く容積室26内に注入した後に、このガス圧力上昇を図6の圧力センサ29で検出し、この圧力センサ29の出力により油圧シリンダ28を介して図7に示す如く左側の押出しピン27を押出して、侵入速度が早い方の侵入方向通路(第1通路31の可動ピン24を隔てた左側)を狭くするようにしゃ断する。
【0038】
この状態で、さらにN2ガスを注入すると、図7の部位a´の圧力に対して矢印b方向からの圧力が強くなるので、この矢印b方向から注入されてくるN2ガスは図8に示すように、部位a´のガスと合流した後に容積室26内に流入して、ガス合流部35を完全に中空状と成して、ヒケを確実に防止することができる効果がある。
【0039】
なお、上述のN2ガスの侵入速度(到達タイミング)が異なる場合の中空射出成形方法にあっても、型締め工程、溶融樹脂射出工程、N2ガス注入工程、型開き工程、型開き後の容積室26に相当する樹脂の削除工程についてはN2ガスの侵入速度(到達タイミング)が等しい場合の中空射出成形方法と同様であるから、図6乃至図8において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0040】
このように上記実施例の中空射出成形装置によれば、型内4,5に樹脂を射出して部分的に厚肉部を有する製品の該厚肉部にガスを注入することで中空部を形成する中空射出成形装置であって、樹脂の通過する通路(成形キャビティ6の第1通路31参照)の両側からN 2 ガスを注入するガス注入手段(ガスノズル11参照)と、ガスの合流部分近傍に設けられて該合流部分の樹脂圧力を低下させる圧力低下手段(可動ピン24参照)と、上記両側から侵入するガスのうちガス侵入速度が早い方の通路を狭くするガス規制手段(押出しピン27参照)とを備えたものであるから、上述のガス注入手段(ガスノズル11)で樹脂の通過する通路の両側からガスを注入する時、ガスの合流部分近傍に設けられた圧力低下手段(可動ピン24)は、合流部分の樹脂圧力を低下するように作動し、またガス規制手段(押出しピン27)は、両側から注入されてくるガスのうちガス侵入速度が早い方の侵入方向通路を狭くする。
【0041】
このため、例えば、主としてガス侵入速度が早い方のガスで押出される合流部分の溶融樹脂圧力を低下した後に、ガス規制手段(押出しピン27)にてガス侵入速度が早い方の侵入方向通路を狭くして、ガス侵入速度が遅い方の通路から注入されてくるガスを合流部分において確実に合流させることができる。
この結果、両側から注入されてくるガスの侵入速度の如何にかかわらず予め設定された圧力低下手段配置部位においてガスで押出される溶融樹脂を逃がし、両側から侵入するガスを良好に合流させて、ガス合流部を完全に中空状と成し、ヒケを確実に防止することができる効果がある。
【0042】
また図6〜図8で示したように、上述のガスノズル11で樹脂の通過する通路(成形キャビティ6の第1通路31参照)の両側からガスを注入する時、ガス規制手段としてのガスしゃ断手段(押出しピン27参照)は両側から注入されてくるガスのうちガス侵入速度(ガス到達タイミング)が早い方の通路をしゃ断する。
【0043】
このため、両側からのガスが合流するポイントを任意に設定することができ、中実状の樹脂溜りがない完全な中空部を形成することができる効果がある。
【0044】
しかも、図3で示したように、X字状に交差した通路(第3通路33、第4通路34参照)の中心(交点部)からガスを注入するので、単一のガス注入口23からガスを注入することができて、ガス注入手段(ガスノズル11参照)の簡略化を図ることができる効果がある。
【0045】
さらに、ガスノズル11で樹脂の通過する通路の両側からガスを注入する時、上述の圧力検出手段(圧力センサ29,30参照)は通路のガス圧力を検出することにより、ガス侵入速度(ガス到達タイミング)が早い方の通路を確実に検出することができる。
この結果、圧力検出手段(圧力センサ29,30参照)からの検出結果(検出信号等)により前述のガス規制手段としてのガスしゃ断手段(押出しピン27参照)を正確に駆動することができる効果がある。
【0046】
また、実施例で開示したように、上述のガス注入手段(ガスノズル11参照)で樹脂の通過する通路の両側からガスを注入する時、ガスの合流部分近傍に設けられた圧力低下手段としての樹脂逃し部(可動ピン24参照)は容積室26の容器を零から大に変化するように作動し、またガス規制手段としてのガスしゃ断手段(押出しピン27参照)は両側から注入されてくるガスのうちガス侵入速度(ガス到達タイミング)が早い方の侵入方向通路をしゃ断する。
【0047】
このため、例えば主としてガス侵入速度が早い方のガスで押出される合流部分の溶融樹脂を図6に示すように容積室26内に逃がした後に、図7に示す如くガス規制手段としてのガスしゃ断手段(押出しピン27参照)にてガス侵入速度が早い方の通路を狭くなるようにしゃ断して、ガス侵入速度が遅い方の通路から注入されてくるガスを図8で示したように合流部分において確実に合流させることができる。
この結果、両側から注入されてくるガスの侵入速度(到達タイミング)の如何にかかわらず予め設定された圧力低下手段としての樹脂逃し部(可動ピン24参照)で形成される容積室26の内部にガスで押出される溶融樹脂を逃がし(圧力を低下し)、両側からのガスを良好に合流させて、ガス合流部35を完全に中空状と成し、ヒケを確実に防止することができる効果がある。
【0048】
また、実施例で開示したように、上述の圧力低下手段としての樹脂逃し部を可動ピン24で構成すると、零から大に変化する容積室26の形成が容易で、しかも容積の調整も簡単なうえ、樹脂逃し部の構造の簡略化を図ることができる効果がある。
【0049】
さらに、実施例で開示したように、X字状に交差した中空厚肉部(X字状リブ95参照)を備えた製品(車両用バンパ91参照)を成形した場合には、別部材の金属製レインフォースメントを一切使用することなく、成形された製品のねじれ剛性の向上を図ることができる効果がある。
【0050】
なお、図3に示す構成に代えて図9に示す如く各通路36,37,38,39が配置された構成にも適用することができるので、図9において前図と同一の部分においては同一符号を付けして、その詳しい説明を省略するが、図3、図9の何れの実施例においても中空部が全て連続した状態となる。
【0051】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の部分的な厚肉部は、横リブ93,94およびX字状リブ95に対応し、
以下同様に、
型は、キャビティ型4とコア型5に対応し、
製品は、車両用バンパ91に対応し、
中空部は、中空部Cに対応し、
樹脂の通過する通路は、成形キャビティ6および各通路31〜34、通路36〜39に対応し、
ガス注入手段は、ガスノズル11に対応し、
ガスは、高圧不活性ガスとしてのN2ガスに対応し、
圧力低下手段としての樹脂逃し部は、可動ピン24に対応し、
ガス規制手段としてのガスしゃ断手段は、押出しピン27に対応し、
X字状に交差した通路は、各通路33,34に対応し、
圧力検出手段は、圧力センサ29,30に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0052】
例えば、上記実施例においては、主として1つのガス注入口23からのガス流を分流して、特定の通路31,32の交差範囲αにおいて両側からガスが注入されるものを例示したが、左右両側に設けられた2つのガス注入口から通路に対してガスを注入するものに適用してもよい。
【0053】
また上述の圧力低下手段としての樹脂逃し部は、可動ピンに代えて最初は容積室の容積が零で樹脂逃し時に容積が大となるように容積室を弁部材(弁手段)にて開閉すべく構成してもよい。
さらに製品は、実施例で例示した車両用バンパ(樹脂バンパ)に代えて、インストルメントパネル等の他の中空射出成形品であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の中空射出成形装置を示す系統図。
【図2】 図1のA−A線に沿う概略断面図。
【図3】 通路に対する可動ピン、圧力センサ、押出しピンの配置構造を示す説明図。
【図4】 図3のB−B線に沿う断面図。
【図5】 樹脂逃し時の説明図。
【図6】 容積室形成時の説明図。
【図7】 通路しゃ断時の説明図。
【図8】 ガス合流部形成時の説明図。
【図9】 通路の他の実施例を示す説明図。
【図10】 車両用バンパの概略斜視図。
【図11】 従来の中空射出成形方法の欠点を示す説明図。
【符号の説明】
4…キャビティ型(型)
5…コア型(型)
6…成形キャビティ(通路)
11…ガスノズル(ガス注入手段)
24…可動ピン(圧力低下手段)
27…押出しピン(ガス規制手段)
29,30…押圧センサ(押圧検出手段)
31〜34…通路
36〜39…通路
91…車両用バンパ(製品)
93,94…横リブ(厚肉部)
95…X字状リブ(厚肉部)
C…中空部
Claims (4)
- 型内に樹脂を射出して部分的に厚肉部を有する製品の該厚肉部にガスを注入することで中空部を形成する中空射出成形装置であって、
樹脂の通過する通路の両側からガスを注入するガス注入手段と、
ガスの合流部分近傍に設けられて該合流部分の樹脂圧力を低下させる圧力低下手段と、
上記両側から侵入するガスのうちガス侵入速度が早い方の通路を狭くするガス規制手段とを備えた
中空射出成形装置。 - 上記ガス規制手段は侵入方向通路をしゃ断する
請求項1記載の中空射出成形装置。 - X字状に交差した通路の中心からガスを注入する
請求項1または2記載の中空射出成形装置。 - 上記通路のガス圧力を検出して、上記ガス規制手段を駆動する圧力検出手段が設けられた
請求項1〜3の何れか1に記載の中空射出成形装置。
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JP11873297A JP3752778B2 (ja) | 1997-04-21 | 1997-04-21 | 中空射出成形装置 |
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JP11873297A JP3752778B2 (ja) | 1997-04-21 | 1997-04-21 | 中空射出成形装置 |
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JPH10291226A JPH10291226A (ja) | 1998-11-04 |
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JP11873297A Expired - Fee Related JP3752778B2 (ja) | 1997-04-21 | 1997-04-21 | 中空射出成形装置 |
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- 1997-04-21 JP JP11873297A patent/JP3752778B2/ja not_active Expired - Fee Related
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