JP3752545B2 - 溶接疲労強度を向上させる溶接方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は溶接方法に関し、さらに詳しくは、円管継手の作製において円周溶接を行う溶接疲労強度を向上させる溶接方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、小径管の突合わせ円周溶接を比較的大入熱条件で溶接する場合、溶接金属の溶落を防止するために裏当金を内径側に挿入することが行われてきた。
【0003】
図3は、従来の裏当金(12)を用いた円周溶接方法を例示したものであるが、この例では、たとえば、円管(11)に、外径90mm、肉厚6mmの熱間圧延チューブSTKM14B又は機械構造用鋼S45C旋削パイプを選択して用い、そして、裏当金(12)には肉厚5.5mm、長さ25mmの寸法を有し、円周方向一箇所に長手方向の切込み(12a)のある円環状の鋼パイプ(重量約300g)を用い、これを円管(11)内に挿入する。
【0004】
図3(b)に示すように、円管(11)からの裏当金(12)の突出部に他の円管(11)を嵌合突合せ配置し、切込み(12a)を、裏当金(12)の曲げ応力が0となる中立軸(X−X)に位置させ、溶接ルート間隔を2.5mmになるように、中立応力軸面(13a)(13b)と圧縮応力軸面(13c)の3箇所を溶接仮付け(ma,mb,mc)によって仮固定した後、両円管(11)の突合せにより形成された円周上の隙間を、1パスで自動溶接する。
【0005】
たとえば以上のような従来技術では、裏当金を用いているために、溶接ルート部に溶接欠陥が誘起されることや、従来溶接材料を用いているため、円周溶接の内側に引張残留応力が誘起され、引張残留応力場に欠陥が来るため、溶接疲労強度の著しい低下が引き起こされるという問題があった。
【0006】
また、平板や大口径の溶接には裏当金の代わりに、セラミックスの裏当材を用いる方法があった。しかし、セラミックス帯の撓曲性能が高くないため、従来では、小口径管の曲率に合わせることはできなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この出願の発明は、以上のような従来技術の問題点を解消し、溶接ルート部に溶接欠陥が誘起されることがなく、円周溶接の内側に引張残留応力が誘起されて、引張残留応力場に欠陥が来ることによる、溶接疲労強度の著しい低下が引き起こされることがなく、撓曲性能が高くないセラミックス帯を使用しても、小口径管の曲率に合わせることのできる、円周溶接を行う新しい溶接方法を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、第一には、円管の内側にまずセラミックス帯を挿入し、次いで金属薄板を、挿入されたセラミックス帯の中に入れられる外径のらせん状体として挿入し、金属薄板の弾性によって外径を拡大してセラミックス帯を円管内面に密着させ、この密着によって溶融金属の溶落を防いで円周溶接を行う溶接疲労強度を向上させる溶接方法を提供する。
【0009】
また、この出願の発明は、第2には、金属薄板にアルミニウムを用いて円周溶接を行う溶接疲労強度を向上させる溶接方法を提供する。
さらに、この出願の発明は、第3には、前記円管に変態特性を利用して溶接部に圧縮残留応力を導入することのできる変態温度の低い低変態温度溶接材料を用いて円周溶接を行う溶接疲労強度を向上させる溶接方法をも提供する。
この出願の発明によれば、従来技術で、裏当金を用いたために溶接ルート部に誘起された溶接欠陥を導入することを防止し、金属薄板の弾性力を利用してセラミックス帯の撓曲性能に打ち勝って小径管内面にセラミックスを密着せしめて溶接金属の溶落ちを防止し、健全な円周溶接を実現することによって、疲労強度等の高強度化を達成し、かつ裏当金の重量を軽減できる溶接方法を実現することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0011】
まず、この出願の発明の溶接方法において特徴的なことは、溶融金属の溶落を防ぐ着脱自在の溶落防止手段が、セラミック帯とアルミニウム等の金属板とから構成されることである。セラミックス帯を円管内側に当て、セラミックス帯の内側に金属薄板を順に当て、金属薄板の弾性を利用してセラミックス帯を円管内面に密着させる。セラミックス帯は、溶接金属と溶着しないので、溶接終了後にアルミニウム薄板と共に必要に応じて円管内から除去することもできる。
【0012】
この溶接方法は、通常の溶接材料を用いる場合でも有効であり、通常の溶接材料を使用した場合、内径側に欠陥を生じなくするように溶接が可能であるため、溶接疲労強度を向上させることが可能であり、裏当金を挿入しないので、軽量化が実現できる。
【0013】
また、溶接材料として、たとえば、特許第3010211号「溶接方法」等の低変態温度溶接材料を用いる場合には、溶接材料の変態特性を利用して溶接部に圧縮残留応力を導入することによって、疲労強度を向上させることができ、円周溶接に用いる際には、従来小径管内面側に裏当金を挿入したため溶接欠陥が避けられなかった円周溶接部の溶接に、裏当金の代わりにセラミックス帯を金属薄板の弾力性を利用して密着させ溶接金属の溶落ちを防止し、健全な溶接を実現すると共に内径側に圧縮残留応力を導入することより疲労強度を向上させ、疲労強度の向上率を更に一層増大させることができる。
【0014】
以下、この出願の発明についての実施例を示し、さらに詳細に説明する。
【0015】
【実施例】
図1は、この出願の発明の円周溶接する溶接方法の実施に当たって、円管溶接準備状態を示す概要図である。
円管(1)は、その内側にセラミックスの帯(2a)及びアルミニウム板(2b)が配置される。セラミックスの帯(2a)は、従来の裏当金(12)の代わりに、円管(1)内面に配置される部材で、アルミニウム板(2b)等の金属板の弾性で円管(1)内面に押付けて配置され、セラミックスの帯(2a)アルミニウム板(2b)とで、溶落防止手段(2)を構成する。セラミックスの帯(2a)を円管(1)内径側に押付けるアルミニウム板(2b)は板厚1mmのものを使用する。
【0016】
次いで、圧縮応力軸面(3c)と、圧縮応力軸面(3c)から円周方向100度離れた面(3a)(3b)を溶接仮付け(Ma)(Mb)(Mc)してルート間隔を所定の間隔に保持するようにする。なお、この場合、100度離れた面の片方(3a)は、セラミックス帯(2a)の継ぎ目に一致させる。
【0017】
この3点仮溶接を実施した後、1パスで自動溶接した。
【0018】
これによって、裏当金の代わりにセラミックスと金属薄板を組み合わせた溶落防止手段を使用することによって、溶接金属の溶落を防ぎ、熱の拡散を防いで、溶接ルート等の形成を防止し、内径側の溶接部の欠陥の発生を防止することができた。
【0019】
また、この出願の発明の溶接方法によれば、溶接後、溶落防止手段を除去することにより、また除去しない場合でも、セラミックスと金属薄板の重量は従来の裏当金よりも小さい重量で済ますことができるので、溶接継手の軽量化を図ることもできた。
【0020】
図2(a)は、この出願の発明の方法で、前記の低変態温度溶接材料を用いて溶接した場合の突合せ溶接部の断面を拡大して示す写真であり、図2(b)は従来の方法で製作した場合の同様の突合せ溶接部の断面を拡大して示す写真である。図2(b)では、溶接ルート部に溶接の溶込が不完全である部分が存在することが判る。これに対し、図2(b)から、この出願の発明の方法では、溶込部を含め健全な溶接がなされていることが判る。
【0021】
これらの継手を曲げ疲労試験して、疲労線図を求めた結果が次の表1に示される。
【0022】
【表1】
Figure 0003752545
【0023】
この出願の発明による継手の疲労強度は、低変態温度溶接材料を所定の応力範囲220MPaで繰り返し負荷を与えて変形するまでの回数を計測したところ、表2の値を得ることができた。これによれば、疲労寿命は、従来法の場合に比較して約3倍程度伸びることを示し、疲労強度が向上したことを示すものであった。
【0024】
低変態温度溶接材料としては次の表2の組成のものを用いた。
【0025】
【表2】
Figure 0003752545
【0026】
なお、裏当金の重量は、約300グラムであり、自動車のアクスルチューブの車輪付近に施す溶接施工を想定すれば、一車当たり約1.2キログラムの軽量化を達成することを意味し、したがって、車体軽量化によって燃費の向上が充分見込まれる。
【0027】
【発明の効果】
以上から、この出願の発明によれば、溶接欠陥の形成を防止するので、疲労強度等の高強度化を実現し、従来より一層高強度の円周継手を実現可能とすると共に裏当金を用いないので、溶接部の軽量化を図ることができ、溶接配管の経済性を向上ですることができる。
【0028】
具体的には、セラミックスの溶落防止帯をアルミニウム薄板の弾性を利用して管内面に押付けるという溶落防止手段を用いることにより、セラミックス帯を小口径管の曲率に添うように撓ませて管内径とセラミックス帯を密着させることによって、溶接金属の溶落を防ぎ、熱の拡散を防いで内径側の溶接部の欠陥の発生を防止することができるもので、裏当金を用いたために溶接ルート部に誘起されていた従来の溶接欠陥の発生を防止することができ、また、金属薄板の弾性力を利用してセラミックス帯の撓曲性能に打ち勝って小径管内面にセラミックスを密着せしめて溶接金属の溶落ちを防止し、健全な円周溶接を実現することによって、疲労強度等の高強度化を達成し、かつ裏当金の重量を軽減することができる。
【0029】
また、この出願の発明の溶接方法によれば、配管円周溶接に際して、溶接材料の変態特性を利用して溶接部の圧縮残留応力を導入することによって、一層有効に疲労強度を向上させた円周溶接を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の円周溶接する方法における突合せ溶接部の断面を示す模式図である。
【図2】突合せ溶接部の断面写真を示すもので、(a)は本願発明の方法で製作した場合の断面写真、(b)は従来の方法で製作したときの断面写真をそれぞれ示している。
【図3】従来の裏当金を用いた円周溶接方法を示す概要図であり、(a)その突合せ溶接部の(b)Y−Y線に沿った断面の模式図であり、(b)は突合せ溶接部の側面図をそれぞれ示している。
【符号の説明】
1 配管
2 溶落防止手段
2a セラミックシート
2b アルミニウム薄板
3 溶接仮付け位置
3a 100°離れた面
3b 100°離れた面
3c 圧縮応力軸面
4 溶接開始点及び終了点
Ma,Mb,Mc 溶接仮付け
A 溶接方向
11 配管
12 裏当金
13 溶接仮付け位置
13a 中立応力軸面
13b 中立応力軸面
13c 圧縮応力軸面
14 溶接開始点及び終了点
ma,mb,mc 溶接仮付け

Claims (3)

  1. 円管の内側にまずセラミックス帯を挿入し、次いで金属薄板を、挿入されたセラミックス帯の中に入れられる外径のらせん状体として挿入し、金属薄板の弾性によってその外径を拡大してセラミックス帯を円管内面に密着させ、この密着によって溶融金属の溶落を防いで円周溶接を行うことを特徴とする溶接疲労強度を向上させる溶接方法。
  2. 請求項1において、金属薄板にアルミニウムを用いて円周溶接を行うことを特徴とする溶接疲労強度を向上させる溶接方法。
  3. 請求項1または2において、前記円管に変態特性を利用して溶接部に圧縮残留応力を導入することのできる変態温度の低い低変態温度溶接材料を用いて円周溶接を行うことを特徴とする溶接疲労強度を向上させる溶接方法。
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