JP2004249360A - 疲労強度に優れた鋼管結合体及び加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】疲労強度に優れた鋼管結合体を提供する。
【解決手段】3本以上の鋼管の端部を結合する鋼管結合体であって、少なくとも3つの開口部を有する鋼管部材を少なくとも1つ有することを特徴とする疲労強度に優れた鋼管結合体。また、鋼管部材の開口部と前記鋼管の端部とが、差し込み状態又は突き合わせ状態で結合されている。また、鋼管部材の少なくとも一つの開口部の一部または全部が鋼管の側壁面における膨出部に位置する。また、鋼管部材の長手方向において、r値の平均が1.5以上及び/又はn値の平均が0.15以上であることを特徴とする。また、鋼管部材のミクロ組織が体積率で50%以上のフェライトを含み、平均結晶粒径が10μm以上であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車、船舶、橋梁、建設機械、建築構造物、海洋構造物、貯槽、各種プラント、ペンストック等で用いられる構造部材で鋼管または箱型断面の部材を用いた結合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車、建設機械、建築構造物等の鋼構造物では、図9に示すように鋼管3同士が溶接により直接接合されていることが多く、鋼管結合体に作用する荷重が溶接部4を伝わる際に、応力集中の大きな溶接部から疲労き裂9が発生するという問題があった。
【0003】
また、図10に示すように箱型鋼管3同士の力の流れを滑らかにするために補強材12を取り付ける場合も見られるが、この場合にも補強材12の溶接止端の応力集中は依然として大きく、疲労き裂9の発生を抑制することは難しかった。このため、鋼管と他部材の接合形状や方法についていくつかの技術が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1では自動車の箱型鋼管同士の接合部に滑らかな補強部材を取り付け、これら3部材の重ね合わせ部を溶接しないで接合部の疲労強度を向上させた構造が開示されている。
【0005】
また、特許文献2では同じく自動車のトレーリングアームとトーションビームを結合した部材を対象として、トーションビームに滑らかな形状のフランジを設ける構造が、特許文献3ではトレーリングアームと接合されるトーションビームの両端が滑らかに広がっている構造がそれぞれ開示されている。
【0006】
【特許文献1】
実開昭61−98608号公報
【特許文献2】
特開昭58−53504号公報
【特許文献3】
特開2000−158928号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術のうち、まず特許文献1では、アーム部材をインナーアームとアウターアームによる2枚のコの字形部材で構成し、かつインナーアームをトーションビームまで滑らかに延ばして接合することにより補強材の機能を付与した構造にしているが、インナーアームとトーションビームの溶接部、インナーアームとアウターアームの溶接部、およびアウターアームとトーションビームの溶接部などの応力集中部が存在する構造であり、3つ以上の開口部を有する鋼管を接合部に用いる本発明の構造とは異なる構造である。
【0008】
次に、特許文献2では、トーションビームの中央から端部にかけてビームにフランジを設けて、トレーリングアームとの接合部まで荷重伝達を滑らかにした構造にしているが、トーションビームとトレーリングアームは直接接合されるため溶接部の応力集中は大きい。
【0009】
また、特許文献3では、トーションビームの端部を閉断面のまま広げてトレーリングアームとの接合部の断面を大きくし、荷重伝達を滑らかにした構造が開示されているが、これもトーションビームとトレーリングアームは直接接合されるため溶接部の応力集中は大きい。これら特許文献2、3とも、本発明に示すように3つ以上の開口部を持つ鋼管を応力集中部に持つ構造とは異なる構造である。
本発明は、疲労強度に優れた鋼管結合体及びその加工方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の要旨とするところは、
(1)3本以上の鋼管の端部を結合する鋼管結合体であって、少なくとも3つの開口部を有する鋼管部材を少なくとも1つ有することを特徴とする疲労強度に優れた鋼管結合体、
(2)鋼管部材の開口部と前記鋼管の端部とが、差し込み状態又は突き合わせ状態で結合されていることを特徴とする上記(1)記載の疲労強度に優れた鋼管結合体、
(3)鋼管部材の少なくとも一つの開口部の一部または全部が鋼管の側壁面における膨出部に位置することを特徴とする上記(1)または(2)記載の疲労強度に優れた鋼管結合体、
(4)鋼管部材の長手方向において、r値の平均が1.5以上及び/又はn値の平均が0.15以上であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の疲労強度に優れた鋼管結合体、
(5)鋼管部材のミクロ組織が体積率で50%以上のフェライトを含み、平均結晶粒径が10μm以上であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の疲労強度に優れた鋼管結合体、
(6)鋼管部材が質量%で、
C:0.0005〜0.5%、Si:0.001〜2.0%、Mn:0.01〜3.0%、P:0.2%以下、N:0.03%以下を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の疲労強度に優れた鋼管結合体、
(7)鋼管部材が質量%で、さらに、
Ti:0.001〜0.5%、B:0.0001〜0.01%、Ni:0.001〜1.5%、Cu:0.001〜1.5%、Cr:0.001〜1.5%、Mo:0.001〜1.5%、Nb:0.001〜0.5%、V:0.001〜0.5%、Co:0.001〜1.5%、W:0.001〜1.5%、Al:0.0001〜1.5%、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(6)記載の疲労強度に優れた鋼管結合体、
(8)液体及び/又は気体を用いて、鋼管部材の開口部の一部または全部が膨出部に位置するように鋼管部材を加工した後、前記鋼管部材の開口部と鋼管と結合することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の疲労強度に優れた鋼管結合体の加工方法、
(9)鋼管部材に予加工を施した後、前記加工をすることを特徴とする上記(8)記載の疲労強度に優れた鋼管結合体の加工方法、
にある。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の鋼管結合体が疲労特性に優れているのは以下の理由による。
本発明者らは、図9および図10に示すような鋼管3または箱型鋼管3同士の接合部4での応力集中を低減する構造を検討した結果、本発明では図3に示す例のように鋼管部材1の側壁面に開口部2を設けて、両端の開口部2と合わせて少なくとも3つの開口部2を有する鋼管部材1を鋼管3の接合部に用いた結合体にすることにより、鋼管3を鋼管部材1に差し込む構造となり、開口部を作らずに突き合わせた状態で周囲を溶接するよりも特に曲げ荷重に対して高い剛性を有する結果、応力集中が小さくなり、疲労強度に優れた結合体となることを見出した。
【0012】
また、図1および図2に示すように、開口部2を形成する鋼管部材1の側壁の一部または全部を鋼管部材の側壁面よりも外側に張り出させて、膨出部5を有する形状にし、膨出部5に鋼管3を差し込む構造にすることにより、局部的応力集中を生じる溶接部4と、鋼管3同士の接合により生じる構造的応力集中部の位置が離れるため、さらに高い疲労強度を得ることが出来、軽量化が図れる結合体であることが判明した。
【0013】
また、さらに鋼管部材と他の部材との接合構造については、図4に示すように、鋼管3を鋼管部材1の開口部2に差し込んで周囲を溶接する構造、図5に示すように鋼管3を差し込まず鋼管部材1と突き合わせた状態で溶接する構造、図6に示すように開口部2にねじ部8を加工する構造またはピン孔7にピン6を差し込む機械的な接合構造のいずれかを用いるとさらに高い疲労強度が得られることを見出した。
【0014】
次に、本発明の鋼管結合体の構成要素である鋼管部材の特性について説明する。
まず、図1および図2に示すように鋼管部材1の側壁の一部または全部を鋼管側面よりも外側に膨出させる場合、そのような加工が施される鋼管の機械的特性については、長手方向のr値が影響を及ぼすことが、技術文献1(第50回塑性加工連合講演大会論文集:1999年447ページ)に示されている。本発明者は、このr値ならびに他の特性値に注目して検討した結果、長手方向のr値は平均値で1.5以上、及び/又は加工硬化指数n値が平均で0.15以上の鋼管であれば、十分な膨出部が得られることが判明した。r値の上限は特に規定するものではないが、r値を大きくしようとすると、集合組織の発達が避けられず、諸特性の異方性が顕著になって実用に耐えられなくなることから、3.0を上限の目安とする。測定方法は、薄板金属材料のJISZ2254塑性ひずみ比試験方法による。またn値の上限については、n値が大きすぎると降伏応力を下げなければならず、静的強度が不足することになるので上限の目安を0.3とする。
【0015】
このn値はJIS11号管状試験片またはJIS12号弧状試験片による引張試験によって測定されたデータをもとに、JISZ2253薄板金属材料の加工硬化指数試験法のうち、2点法によって評価する。2点のひずみは、5%および15%のひずみで評価するが、均一伸びが15%未満の場合には5%および10%のひずみで、また均一伸びが10%未満の場合には3%および5%のひずみで評価する。
【0016】
次に、組織に関する限定理由について述べる。本発明の鋼管結合体の構成要素である鋼管部材を形成する鋼管の組織は、体積率で50%以上のフェライト相から成ることが好ましい。50%未満では開口部の一部もしくは全部を鋼管側面よりも外側に膨出させるほど大きく変形させることが困難であるためである。さらに75%以上が好ましい。フェライト相の体積率は100%でも本発明で用いる鋼管部材を形成することができる。特に鋼管部材の強度を高める必要がある場合には、第二相を適度に分散させることが好ましい。フェライト相以外の第二相は、パーライト、セメンタイト、オーステナイト、ベイナイト、マルテンサイト、アシキュラーフェライト、炭窒化物、金属間化合物のうち、1種または2種以上からなるものである。
【0017】
なお、組織の体積率の測定方法は、第3版鉄鋼便覧、IV鉄鋼材料、試験分析(日本鉄鋼協会編)P.385〜386に記載の点分析もしくは線分析を用いる。またフェライトの平均粒径はJIS G0552鋼のフェライト結晶粒度試験方法の付属書2に記載の方法を用いる。
【0018】
また、鋼管部材を形成する鋼管のフェライトの平均結晶粒径は10μm以上であることが好ましい。10μm未満では同じく、開口部の一部もしくは全部を鋼管側面よりも外側に膨出させるほど大きく変形させることが困難であるためである。好ましくは30μm以上とする。フェライトの平均粒径の上限は特に定めないが、極端に大きすぎるとむしろ延性を損なって大変形に追従できなくなるため、200μm以下とすることが好ましい。
【0019】
次に鋼管部材を形成する鋼管の元素規定理由について述べる。
Cは高強度化に有効な元素であり、構造材料として必要な強度を得るためには0.0005%以上の添加が必要であるが、過度に添加すると変形能が劣化するため上限を0.5%とする。さらに0.001〜0.15%が好ましい。
【0020】
Siは安価に機械的強度を高めるのに有効な元素であるが、過度の添加は変形能を劣化させるので2.0%を上限とする。また下限を0.001%としたのは製鋼技術上、これ未満とすることが困難なためである。0.3〜1.5%が好ましい。
【0021】
Mnは高強度化に有効な元素であり、構造材料として必要な強度を得るためには0.01%以上の添加が必要であるが、過度に添加すると変形能が劣化するため上限を3.0%とする。0.05〜0.5%がより好ましい範囲である。またSに起因する熱間割れを防止する目的から、Mn/S≧15となるように添加することが好ましい。
【0022】
Pは0.2%を超えると熱間圧延時に欠陥が発生したり変形能が低下したりするので0.2%を上限とする。また下限は特に定めないが、0.005%未満にするには製鋼コストが高くなるので下限を0.005%とすることが好ましい。
【0023】
Nは高強度化に有効な元素であるが、変形能の低下を防ぐには上限を0.03%とする。下限は特に定めないが強度確保の観点から0.0001%以上は添加することが好ましい。
【0024】
Ti、Nb、Vはそれぞれ0.001%の添加で炭化物、窒化物もしくは炭窒化物を形成して高強度化に寄与するが、それぞれ0.5%を超えるとこれらの化合物が多量にフェライト粒内および粒界に析出して変形能を低下させるため、0.5%を上限とする。
【0025】
Cr、Mo、W、Coは強化元素であり、必要に応じてそれぞれ0.001%以上添加する。しかし過剰の添加は変形能を低下させるので、それぞれの上限を1.5%とする。
【0026】
Bは粒界の強化に有効な元素であり、その効果を発揮するには0.0001%以上の添加が必要であるが、添加量が0.01%を超えるとその効果が飽和するばかりか変形能を低下させるので0.01%を上限とする。
【0027】
NiおよびCuは強化元素であり、必要に応じてそれぞれ0.001%以上添加する。しかし過剰の添加は変形能を低下させるので、それぞれの上限を1.5%とする。
【0028】
Alは変形能の向上に寄与する元素であり、その効果を発揮するには0.0001%以上の添加が必要であるが、過剰添加は多量の酸化物、硫化物、窒化物等を晶出、析出させて変形能を低下させるので1.5%を上限とする。
【0029】
また、本発明の鋼管結合体の一部をなす鋼管部材を構成する鋼管は、不可避的不純物元素としてO、Sn、S、Zn、Pbなどそれぞれ0.01%以下の範囲で含んでも本発明の効果を失するものではない。
【0030】
次に、本発明の鋼管結合体の構成要素である鋼管部材の加工方法について述べる。
本発明ではまず図7に示すように鋼管部材1の一部が外側に変形できるように加工した金型10の中に鋼管部材1を挿入し、次に液体及び/又は気体11を鋼管部材1の内側に圧入して内圧を高め、塑性変形により鋼管部材1の一部を外側に変形させて膨出部5を作成する。次に外側に変形した部分の一部を切り取ることにより開口部2を作成し、少なくとも3つの開口部を有する鋼管部材を効率よく作成できることを見出した。本発明の加工方法のように液体及び/又は気体を用いると、膨出部5から鋼管部材1までの形状が滑らかで連続的であり、この構造的応力集中部と、局部的応力集中部である溶接部とが離れるため、疲労強度に優れた鋼管部材を効率よく得ることが出来る。
【0031】
また、本発明の方法は内圧を作用させる方法を用いているため、例えば図2に示すように同一の鋼管部材1に複数の膨出部5を一度に加工した鋼管部材1を製作することも可能である。
【0032】
また、鋼管部材1は直管のみならず、図8に示すように曲げ加工、内圧加工など事前に必要な加工をしたのち上述の加工方法を用いることにより、従来は4本程度の鋼管同士を直に溶接することにより製作していた部材を、より少数の鋼管部材により高い疲労強度を有する鋼管結合体を効率的に加工することが可能となる。
【0033】
加工に用いる液体及び/又は気体については特に限定するものではなく、水、油、水に油を混ぜたもの、空気などの1種以上の組合せ等で差し支え無い。
【0034】
なお、鋼管部材1の素管の断面形状は特に限定するものではなく、円形だけでなく楕円形でも多角形でも差し支え無い。また造管用の鋼板についても特に限定するものではなく、熱延板、冷延板又は冷延焼鈍板を用いることができる。またさらに造管の溶接方法についても特に限定するものではなく、電縫溶接、TIG、MIGなどのアーク溶接、レーザー溶接、シーム溶接、鍛接等の各種接合方法によって製造されたものでも、シームレス鋼管であっても差し支え無い。
【0035】
またさらに開口部を有する鋼管部材と接合する鋼管3については、単なる鋼管のみならず板材を組合せて接合した部材でも差し支えなく、例えばハット形断面の部材を対称に合わせて接合した箱型断面の部材やコの字形断面の部材など、閉断面のみならず開断面の部材であっても差し支え無い。
(技術文献1)
第50回塑性加工連合講演大会論文集(1999、447ページ)
【0036】
【実施例】
実施例として、表1に示す成分の鋼板から通常の電縫管工程またはレーザー溶接工程を経て造管したのち、800〜1050℃に加熱して外径95mm、管厚2.3mmに縮径加工を行い、鋼管部材の素管を製造した。さらに水を用いて水圧により外径を100mmとし、かつ長手方向中央部に膨出部を加工してその部分に開口部を設けて、上記と同じ成分で外径80mmに縮径加工した鋼管を差込構造にして周囲を溶接した鋼管結合体(図11)、突き合わせ状態で溶接した鋼管結合体(図12)、ねじ込み構造にした鋼管結合体(図13)、膨出部を設けずに差し込み構造にして周囲を溶接した鋼管結合体(図14)を製作し、これらの結合部に曲げ応力が作用するように部材の端部に片持ち梁形式で集中荷重を繰返し付与することにより疲労試験を行った。比較例として先の外径95mmの鋼管に、開口部を設けずに外径80mmの鋼管を直接溶接した結合体(図15)も製作して疲労試験を行った。表中に示すn値、r値、フェライト体積率、フェライト平均粒径、最大拡管率はすべて外径95mmの鋼管の値である。
【0037】
疲労試験条件は応力比(=最小荷重/最大荷重)を0.1とする荷重制御疲労試験であり、疲労き裂が進展して荷重の制御が困難になる寿命を破断寿命と定義し、この破断寿命が200万回となる荷重範囲で評価した。
【0038】
また、膨出部を加工する図11〜14に示すタイプの結合体の鋼管部材に用いる鋼管については、種々の押し込み量および内圧にてバーストもしくは座屈するまで拡管加工を行い、最大拡管率を求めて成形性を評価した。
【0039】
疲労試験結果を同じく表1に示す。本発明の部材No.1〜19は比較例No.20〜22に比べて全て1.5倍以上の疲労荷重範囲を示した。特に図11〜13のタイプの結合体では3倍以上の荷重範囲を示した。n値が0.15未満かつr値が1.5未満となるNo.18、19はフェライト粒も小さく拡管率も小さいが、本実施例では図11のタイプの膨出部形成に支障は無く、比較例よりも高い疲労荷重範囲を示した。
【0040】
【表1】
Figure 2004249360
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は鋼管に開口部を加工した鋼管部材に部材を差し込み構造または突き合わせ構造で接合することにより結合体の疲労強度を向上させているため、鋼構造物の種類によらず高い疲労強度を安定して向上させることが可能であり、その工業的意味は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明例の鋼管結合体を示す図である。
【図2】別の本発明例の鋼管結合体を示す図である。
【図3】別の本発明例の鋼管結合体を示す図である。
【図4】本発明の鋼管結合体における結合状況の例を示す図である。
【図5】本発明の鋼管結合体における結合状況の別の例を示す図である。
【図6】本発明の鋼管結合体における結合状況の別の例を示す図である。
【図7】本発明の鋼管結合体の構成要素である鋼管部材の加工方法である、鋼管に内圧を作用させて変形させ、その後開口部を形成する状況を示す図である。
【図8】本発明の鋼管結合体の構成要素である鋼管部材の加工方法である、予加工を施した鋼管に膨出部を設けて開口部を加工し、他の部材を結合する工程の図である。
【図9】従来の鋼管結合部材の例を示す図である。
【図10】従来の鋼管結合部材の別の例を示す図である。
【図11】実施例における本発明の鋼管結合体の疲労試験状況を示す図である。
【図12】別の実施例における本発明の鋼管結合体の疲労試験状況を示す図である。
【図13】別の実施例における本発明の鋼管結合体の疲労試験状況を示す図である。
【図14】別の実施例における本発明の鋼管結合体の疲労試験状況を示す図である。
【図15】比較例の鋼管結合体の疲労試験状況を示す図である。
【符号の説明】
1 鋼管部材
2 開口部
3 鋼管(箱型鋼管)
4 溶接部
5 膨出部
6 ピン
7 ピン孔
8 ねじ部
9 疲労き裂
10 金型
11 液体又は/および気体
12 補強材

Claims (9)

  1. 3本以上の鋼管の端部を結合する鋼管結合体であって、少なくとも3つの開口部を有する鋼管部材を少なくとも1つ有することを特徴とする疲労強度に優れた鋼管結合体。
  2. 鋼管部材の開口部と前記鋼管の端部とが、差し込み状態又は突き合わせ状態で結合されていることを特徴とする請求項1記載の疲労強度に優れた鋼管結合体。
  3. 鋼管部材の少なくとも一つの開口部の一部または全部が鋼管の側壁面における膨出部に位置することを特徴とする請求項1または2記載の疲労強度に優れた鋼管結合体。
  4. 鋼管部材の長手方向において、r値の平均が1.5以上及び/又はn値の平均が0.15以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の疲労強度に優れた鋼管結合体。
  5. 鋼管部材のミクロ組織が体積率で50%以上のフェライトを含み、平均結晶粒径が10μm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の疲労強度に優れた鋼管結合体。
  6. 鋼管部材が質量%で、
    C:0.0005〜0.5%、Si:0.001〜2.0%、Mn:0.01〜3.0%、P:0.2%以下、N:0.03%以下を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなるることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の疲労強度に優れた鋼管結合体。
  7. 鋼管部材が質量%で、さらに、
    Ti:0.001〜0.5%、B:0.0001〜0.01%、Ni:0.001〜1.5%、Cu:0.001〜1.5%、Cr:0.001〜1.5%、Mo:0.001〜1.5%、Nb:0.001〜0.5%、V:0.001〜0.5%、Co:0.001〜1.5%、W:0.001〜1.5%、Al:0.0001〜1.5%、
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項6記載の疲労強度に優れた鋼管結合体。
  8. 液体及び/又は気体を用いて、鋼管部材の開口部の一部または全部が膨出部に位置するように鋼管部材を加工した後、前記鋼管部材の開口部と鋼管と結合することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の疲労強度に優れた鋼管結合体の加工方法。
  9. 鋼管部材に予加工を施した後、前記加工をすることを特徴とする請求項8記載の鋼管結合体の加工方法。
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