JP2002096192A - 高疲労強度溶接継手 - Google Patents

高疲労強度溶接継手

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JP2002096192A
JP2002096192A JP2000287503A JP2000287503A JP2002096192A JP 2002096192 A JP2002096192 A JP 2002096192A JP 2000287503 A JP2000287503 A JP 2000287503A JP 2000287503 A JP2000287503 A JP 2000287503A JP 2002096192 A JP2002096192 A JP 2002096192A
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weld metal
weld
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temperature
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JP2000287503A
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Noriyoshi Tominaga
知徳 冨永
Tadashi Kasuya
正 糟谷
Koji Honma
宏二 本間
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便な溶接施工方法で作成できる孔あき鋼板
ジベルが溶接接合された高疲労強度継手の提供。 【解決手段】 疲労を受ける構造部材に孔あき鋼板ジベ
ルを溶接する継手構造での疲労が問題となる角回し溶接
部の止端部において、それを形成する溶接ビードが、オ
ーステナイトからマルテンサイトに変態を開始する温度
が350度以下150度以上となる溶接金属で形成され
ていることを特徴とする高疲労強度溶接継手。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成構造の信頼性
向上のための、疲労強度が高いずれ止めである孔あき鋼
板ジベルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼とコンクリートの合成化に用いられる
孔あき鋼板ジベルは、高強度、高剛性のために近年、橋
梁構造を中心によく用いられるようになってきている。
合成構造物のずれ止めに破壊が生じると、その構造にと
って致命的な機能損失につながる。しかも、ずれ止めは
コンクリート等の中に埋め込まれているため、検査、補
修ともに極めて困難である。このずれ止めが従来の1本
が柔らかく弱いジベルのスタッドジベルから、剛で強い
ジベルな孔あき鋼板ジベルに変わることにより、地震な
どの最大荷重による破壊よりも、車両通行荷重などによ
る疲労破壊に関する可能性が相対的に高まってきている
と同時に、ジベルの総数が減っているために、相対的な
リダンダンシーはむしろ低下している。
【0003】そのためこれまで、この孔あき鋼板ジベル
を用いた構造に関する疲労実験も実施されてきてはいる
が、それはコンクリート側に着目したものばかりであ
り、従来は鋼板ジベル側は実験的に疲労破壊しないよう
に鋼板の溶接面全長にわたってカイ先をもうけて全強ま
たは全強相当の溶接としていた。
【0004】しかしながら、孔あき鋼板ジベルは溶接面
から見ると角回し溶接部を持つ面外ガセットと同じ様な
ものであるため、その端溶接部には応力集中部および引
っ張りの残留応力が生じており、その部分で疲労亀裂が
発生しやすくなっている。そのため、部材溶接面全長に
わたってルートをなくしても、止端部側からの疲労亀裂
は抑制されない。
【0005】また、孔あき鋼板ジベルはスタッドジベル
と比較すると剛性が大きいために複数孔を持つ場合は端
部の孔にずれ力が集中することも近年知られてきてお
り、従来の予想以上に疲労破壊の可能性は大きいと言え
る。さらに、実際の孔あき鋼板ジベルの施工にあたって
は、補剛版の縦リブと同様に多電極の溶接機を用いて溶
接を行うために、カイ先を取って全強または全強相当の
溶接を行うことは施工コストの大幅な増大につながる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】疲労強度が残留応力に
影響を受けることは容易に推察されることである。しか
し、実施工に適用可能な簡便な施工方法を用いて作製で
きる高疲労強度孔あき鋼板ジベルはまだ確立されていな
い。孔あき鋼板ジベルにカイ先を用いて全強または全強
相当の溶接をすることは、角回し溶接部の止端部からの
亀裂発生を抑制し得ない上に、それ自体溶接の施工コス
トを大幅に増加させる要因となる。簡便な施工で溶接部
に圧縮残留応力を導入しそれを用いて高疲労強度が達成
された孔あき鋼板ジベルが確立されれば、合成構造の信
頼性向上の観点からその効果は絶大なものとなる。
【0007】本発明は、低温変態膨張またはピーニング
を利用し、かつ簡便な溶接施工方法で作製できる鋼板ジ
ベルの溶接された高疲労強度溶接継手を提供することを
目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、以下の構成を要旨とする。 (1)疲労を受ける構造部材に孔あき鋼板ジベルを溶接
する継手構造での疲労が問題となる角回し溶接部の止端
部において、それを形成する溶接ビードが、オーステナ
イトからマルテンサイトに変態を開始する温度が350
度以下150度以上となる溶接金属で形成されているこ
とを特徴とする高疲労強度溶接継手。
【0009】(2)疲労を受ける構造部材に孔あき鋼板
ジベルを溶接する継手構造での疲労が問題となる角回し
溶接部の止端部において、それを形成する溶接ビードに
対し、ハンマーピーニング、ニードルピーニング、ショ
ットピーニングなどのピーニングを実施することによっ
て圧縮力を導入したことを特徴とする高疲労強度溶接継
手。
【0010】(3)疲労荷重を受ける構造部材に孔あき
鋼板ジベルが溶接されている場合で、ジベル両端部にお
いて、端部より5mm以上の範囲にわたり開先をもうけ、
開先をもうけた範囲におけるジベルとジベルを取り付け
る構造部材の間に存在する未溶着部分の面積を、開先を
もうけない場合における未溶着部分の面積に対して10
%以上減少させたことを特徴とする前記(1)または
(2)記載の高疲労強度溶接継手。
【0011】(4)オーステナイトからマルテンサイト
に変態を開始する温度において、降伏強度が392MP
a(40kg/mm2 )以上、1177MPa(120kg/
mm2 )以下となる溶接金属が形成されていることを特徴
とする前記(1)記載の高疲労強度溶接継手。
【0012】(5)C,Ni,CrおよびMoを、それ
ぞれの成分の質量%とし、下記(1)式で定義されるパ
ラメーターPaの範囲が、0.85以上1.30以下で
ある溶接金属が形成されていることを特徴とする前記
(1),(3)または(4)記載の高疲労強度溶接継
手。 Pa=C+Ni/12+Cr/24+Mo/19 ・・・(1)
【0013】(6)質量%で、 C :0.01〜0.2%、 Si:0.1〜0.5%、 Mn:0.01〜1.5%、 P :0.03%以下、 S :0.02%以下、 Ni:8〜12% を含有し、残部が鉄および不可避不純物からなる溶接金
属が形成されていることを特徴とする前記(1),
(3),(4)または(5)記載の高疲労強度溶接継
手。
【0014】(7)質量%で、 Ti:0.01〜0.4%、 Nb:0.01〜0.4%、 V :0.1〜1.0% の1種または2種以上をさらに含有する溶接金属が形成
されてることを特徴とする前記(6)記載の高疲労強度
溶接継手。
【0015】(8)質量%で、 Cu:0.05〜0.4%、 Cr:0.1〜3.0%、 Mo:0.1〜3.0%、 Co:0.1〜2.0% の1種または2種以上をさらに含有する溶接金属が形成
されていることを特徴とする前記(6)または(7)記
載の高疲労強度溶接継手。
【0016】(9)質量%で、 C :0.001〜0.05%、Si:0.1〜0.7%、 Mn:0.4〜2.5%、 P :0.03%以下、 S :0.02%以下、 Ni:4〜8%、 Cr:8〜15%、 N :0.001〜0.05% を含有し、 C+N:0.001〜0.06% であり、残部が鉄及び不可避不純物からなる溶接金属が
形成されていることを特徴とする前記(1),(3),
(4)または(5)記載の高疲労強度溶接継手。
【0017】(10)質量%で、 Mo:0.1〜2.0%、 Ti:0.005〜0.3%、 Nb:0.005〜0.3%、 V :0.05〜0.5% の1種または2種以上をさらに含有する溶接金属が形成
されていることを特徴とする前記(9)記載の高疲労強
度溶接継手。
【0018】
【発明の実体の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。初めに、本発明の技術思想について述べる。本発明
における第1の技術思想は、疲労亀裂が発生する角回し
溶接部のビード止端部での残留応力を低減すれば高疲労
強度孔あき鋼板ジベルが得られる思想である。
【0019】溶接金属が冷却過程でオーステナイトから
マルテンサイトに変態するとき、体積が増加、すなわち
膨張する。このとき、溶接金属には、まわりの部分から
拘束されているため圧縮の応力が発生する。しかし、変
態膨張にともなうこの圧縮応力導入も、その後の熱収縮
が大きければ、室温までに冷却されるうちに引っ張り応
力状態に戻る。ステンレス鋼材の一部を除き、通常の鋼
材に用いられる溶接材料は、必ずある温度で変態膨張が
発生するが、その温度が高いため、その後の熱収縮によ
り最終的には引っ張りの残留応力が発生する。
【0020】熱収縮は、温度変化に熱膨張係数をかけた
ものであるから、残留応力をできるだけ小さく、場合に
よっては圧縮状態にするためには、この温度変化を小さ
くすればよいことになる。この温度変化を小さくする方
法は2つ考えられる。1つは、Ms温度が低くなるよう
な材料を用いる方法、もう1つは板を予熱する方法であ
る。
【0021】板を予熱する方法は、最終的には外気温度
まで冷却されてしまうため、一見温度変化を小さくしな
いように考えられる。しかし、予熱を行えば、板の温度
分布が室温より高い温度領域で均一になり、その後の冷
却過程では均一温度が保たれるため熱応力を発生せず、
従って、Ms温度と板の温度分布が均一になったときの
温度の差がこの場合の温度変化となる。これは、板の温
度分布が均一ならば、加熱または冷却しても熱応力が発
生しないという事実による。通常の材料では、Ms温度
が450℃近辺であるが、予熱をそれに近い値にするこ
とは実用的ではない。
【0022】従って、温度変化を小さくする、すなわち
変態後の熱収縮を小さくする方法としては、Ms温度が
低い材料を用いるという選択は不可欠であることがわか
る。しかし、Ms温度の値が不適切であれば、あるいは
材料選択が不適切であれば、材料のみで残留応力を低減
することはできず、予熱を併用するなどの追加対策が必
要となる。
【0023】実施工に対して、低Ms温度材料を適用さ
せようとすると、予熱なしで施工して残留応力を低減さ
せ孔あき鋼板ジベルが溶接された高疲労強度溶接継手を
達成できることが望ましい。それは、単に施工コストの
みならず、疲労試験片の場合と異なり、実構造物の予熱
は溶接部近傍のみ行う、いわゆる局部予熱にならざるを
得ず、予熱施工そのものによる残留応力や変形の導入が
懸念されるからである。そのため、本発明では、予熱な
しで高疲労強度が期待できる程度に残留応力が低減され
た溶接で孔あき鋼板ジベルが取り付けられた溶接継手を
提供することを目的としている。
【0024】本発明においては、以上述べてきたように
溶接金属の低Ms温度化による変態膨張を用いて疲労強
度を向上させることを目的としているが、これに加え、
より残留応力低減を確実にするため、本発明における第
2の技術思想として、Ms温度における溶接金属の降伏
強度を適切な値に設定するという思想がある。一般に、
低Ms温度である材料は、C,NiやCr等を添加する
必要があり、そのためある程度の強度は確保されている
と考えられる。
【0025】しかし、鋼板ジベルが溶接された高疲労強
度継手を確実に達成するためには、強度も適切な範囲に
設定することが望ましい。この、強度を制御する技術思
想は、たとえ変態膨張が発生しても、それにより生じる
圧縮弾性ひずみには限界があり、その値は降伏強度をヤ
ング率で割った値であるという事実からくるものであ
る。 ここで、例えば、溶接金属の変態膨張量が3%で
ある場合について考察してみる。溶接金属が周囲から完
全に拘束されているとすれば、3%の変態膨張量は、3
%の圧縮ひずみの導入となり結果として全ひずみは0%
となる。このとき、3%の圧縮ひずみは、塑性ひずみと
弾性ひずみに分類できるが、既に述べたように弾性ひず
みには限界があるため、残りは塑性ひずみにならざるを
得ない。その後溶接金属には熱収縮が進むが、それによ
り今度は溶接金属に引っ張りのひずみが導入される。こ
の引っ張りひずみにより、変態膨張時に導入された弾性
圧縮ひずみ量が減少し、熱収縮量によっては引っ張りひ
ずみになってしまう場合もあり得る。
【0026】この考察よりわかることは、熱収縮量を小
さくしても、すなわちMs温度を低くしても圧縮弾性ひ
ずみ限界(最大値)が小さければ残留応力を低減するこ
とができないということである。このことは、逆に圧縮
弾性ひずみ限界を大きくすることにより、確実に残留効
力を低減、ひいては圧縮状態にすることができ、本発明
の目的である孔あき鋼板ジベルが溶接された高疲労強度
継手をより確実に達成することができることを意味して
いる。
【0027】なお、このような議論が常に成立する理由
は、変態膨張ひずみが、つねに弾性ひずみ限界より大き
いという事実からくる。弾性ひずみ限界を大きくするに
は、降伏強度を増加させればよい。そのためには溶接金
属の降伏強度を適切な値に設定しなければならない。こ
れが本発明における第2の技術思想である。
【0028】本発明には、これまで述べてきた2つの技
術思想、すなわち低Ms温度を有する溶接金属の利用お
よび溶接金属の降伏強度を増加させることによる弾性ひ
ずみ限界の増大に加え、鋼材の溶接熱影響部(HAZ)
の残留応力を溶接金属の変態膨張を利用することにより
低減するという第3の技術思想が有る。
【0029】疲労亀裂は、疲労が発生するビード止端部
から、必ずしも溶接金属ではなく、むしろ鋼材HAZに
進展していくが、本発明では鋼材そのものは必ずしも低
Ms温度材料ではない。しかし、本発明では止端部を形
成するビードに低Ms温度溶接金属を形成することによ
り、その反力として鋼材HAZに溶接金属と同等な残留
応力を導入させることができると考えている。残留応力
は、外力が作用しないという状況での応力分布であるた
め、全体としては合力は0であるという特徴がある。し
たがって、圧縮残留応力の導入は、溶接部のどこか別の
領域に引っ張りの残留応力を導入することをも意味す
る。しかし、疲労発生は、主として表面の応力集中部
(ビード止端部)から発生し、そこの残留応力の値が重
要であるため、疲労発生部の残留応力を低減させ、高い
残留応力は疲労発生の危険がない部分に分布させれば孔
あき鋼板ジベルが溶接された高疲労強度継手が実現す
る。
【0030】また、特に第1および第3の技術思想の目
的をある程度達成するために、従来の圧縮応力を鋼材表
面に付与する方法であるハンマーピーニング、ショット
ピーニング、ニードルピーニングなどの各種ピーニング
手法を用いてもよい。
【0031】図1は、孔あき鋼板ジベルが溶接された溶
接継手を示している。図1のハッチングを施した部分で
溶接ビードが低温で変態膨張をすると、図からわかるよ
うに、鋼材HAZ、例えば図1中のAおよびBの領域に
はその反力として圧縮応力が導入されることが理解でき
る。ここで、鋼材HAZの圧縮応力は、鋼材そのものが
変態膨張したために導入されたものではなく、溶接金属
の変態膨張に対する反力である点に注意すべきである。
従って、図1中の領域Aの部分では溶接ビード直角方向
の残留応力が低減でき、領域Bの部分では溶接ビード方
向、ビード直角方向の両方向の残留応力が低減できる。
疲労亀裂は、ビード止端部より発生するので、ここでの
残留応力は低減されていることになる。一方、溶接ビー
ドの下に位置する、すなわち鋼材内部に存在するHAZ
は、逆にビードの膨張により引っ張り応力が導入され
る。しかし、この部分は、疲労亀裂発生部位ではないた
め、孔あき鋼板ジベルが溶接された溶接継手全体として
は疲労強度向上が期待できる。 また、この部分に前述
のような各種ピーニングを実施することによってもある
程度同様の効果が期待できる。
【0032】次に、本発明における第4の技術思想につ
いて述べる。本発明では、既に述べた第1、第2及び第
3の技術思想により、ビード止端部の疲労強度を向上さ
せている。しかし、溶接で取り付けられた孔あき鋼板ジ
ベル全体としては、ビード止端部の疲労強度が向上して
も、他部位で疲労亀裂が発生してしまえば、孔あき鋼板
ジベル全体としてはそこでの疲労強度で決定されてしま
う。通常、疲労亀裂はビード止端部から発生するが、そ
れは、そこの疲労強度がもっとも低いからであり、それ
故、本発明でにおいては、第1、第2および第3の技術
思想によりビード止端部の疲労強度向上を目的とした。
これだけで、溶接部の疲労強度向上は十分期待できる
が、ビード止端部の疲労強度が向上したことにより、他
の部位の疲労強度が孔あき鋼板ジベルが溶接された溶接
継手全体としての疲労強度を決定する可能性がある。孔
あき鋼板ジベルが溶接された溶接継手としての疲労強度
をより向上させるために、止端部位外で疲労亀裂が発生
する危険がある部位の疲労強度を向上させることが望ま
しい。
【0033】本発明で取り扱っている継手で、ビード止
端部以外でこの疲労亀裂が発生する危険がある部位は、
回し溶接部内部に存在する未溶着部分である。孔あき鋼
板ジベルを回し溶接にて構造部材に取り付けたときの孔
あき鋼板ジベルと構造部材との間に存在する未溶着部
分、特に、角回し部近くの未溶着部分は、それ自身応力
集中部を形成しているため、そこから疲労亀裂が発生す
る危険がある。そこで、本発明では、角回し部近傍の未
溶着部分を減少させ、そこでの疲労強度を向上させると
いう第4の技術思想が存在する。
【0034】この第4の技術思想は、通常の孔あき鋼板
ジベルで疲労亀裂が発生するビード止端部の疲労強度を
必ずしも向上させるものではないため、本発明における
第1、第2および第3の技術思想と併用することにより
効果が期待できる技術である。逆に、これらの技術思想
を併用することにより、鋼板ジベルが溶接された高疲労
強度溶接継手を確実に実現することが可能となる。
【0035】本発明者らは、以上述べてきたような、疲
労亀裂発生部位の残留応力を低減するメカニズムを発見
するに至り、さらに溶接継手疲労強度との関係に関し鋭
意研究を重ね、ついに実用的な孔あき鋼板ジベルが溶接
された高疲労強度溶接継手を発見するに至った。
【0036】次に、Ms温度範囲とMs温度における溶
接金属の降伏強度範囲を限定した理由を述べる。Ms温
度は、通常の鋼材および溶接金属においても、500℃
以下の値を示しており、多くの場合は450℃以下であ
る。この値は、成分に依存し、例えば日本鉄鋼協会が出
している溶接構造用鋼の溶接CCT図集からわかるよう
に、Niを5%程度添加すればMs温度を350℃程度
まで下げることができる。しかし、Ms温度が350℃
より高い場合は、残留応力低減効果が十分ではなく、疲
労強度向上効果は期待できるものではない。一方、Ms
温度を150〜350℃にするには、工業的価値のある
材料で実現可能であり、かつ、残留応力低減による疲労
強度向上が期待できる範囲である。Ms温度の下限15
0℃は、工業的価値のある材料で実現可能である下限値
として設定した。Ms温度の上限350℃は、本発明に
おける第2の技術思想によれば、この値が350℃より
高くとも降伏強度が充分高ければ残留応力低減効果が期
待でき、結果として疲労強度の向上も期待できるが、高
すぎる降伏強度もまた工業的価値のある材料で実現可能
かどうかという問題もあるため、その上限を350℃と
した。なお、Ms温度はより低い方が残留応力低減には
好ましくことから、好ましくは300℃以下になるよう
に設定することが望ましい。
【0037】次に、孔あき鋼板ジベルの端部からの開先
の範囲を限定した理由について述べる。端部に存在する
応力集中部は、ビード止端部と回し溶接部内部に存在す
る未溶着部分の2個所がある。疲労という観点からは、
通常はビード止端部の方が厳しい部位であるが、本発明
によりこの部位の疲労強度向上は達成されている。そこ
でもう1つの応力集中部である端部近傍の未溶着部分、
すなわちルート部の疲労強度を改善すればより高疲労強
度が実現することが明白である。孔あき鋼板ジベルを有
する構造部材の端部より開先をもうけるのは、この未溶
着部分を減らし応力集中を低く押さえるためのものであ
る。従って、この開先は、継手の静的強度向上を目的と
するものではないため、必ずしも溶接部全体に対して開
先をもうける必要はない。しかし、開先の範囲がせます
ぎれば、応力集中を押さえることができず、開先をもう
けない場合と同様な疲労強度になる可能性がある。開先
範囲を5mm以上としたのは、開先をもうけることの効果
が期待できる最低の値として設定した。なお、応力集中
を押さえるという観点からは、この開先範囲は好ましく
は2cm以上に設定することが望ましい。
【0038】次に、孔あき鋼板ジベルの端部から開先を
もうけた場合で、開先をもうけた範囲における回し溶接
部内側の未溶着部分の面積の開先をもうけない場合に対
する減少量を限定した理由について述べる。孔あき鋼板
ジベルの端部から開先をもうけるのは、本発明における
第1、第2および第3の技術思想によりビード止端部の
高疲労強度が達成しているため、相対的に疲労強度が低
くなった回し溶接部内側の未溶着部分が形成する応力集
中部、すなわちルート部の疲労強度を向上させる、とい
う理由による。そのため、疲労強度向上効果が顕著にな
るまでに応力集中を抑えなければ、この目的を達成し得
ない。この理由により、本発明では開先範囲を限定した
ことは既に述べた。しかし、開先形状が不適切なため、
未溶着部分が開先をもうけない場合と同程度残った場合
は、たとえ開先範囲が適切であったとしても応力集中を
抑えることはできず、継手全体としての疲労強度をさら
に高めるまでには至らない。開先をもうけない場合に対
する、未溶着部分の面積の減少量の下限を10%とした
のは、開先をもうけた効果が認められる最低の条件とし
て設定した。なお、応力集中を抑えルート部の疲労強度
を向上させるという観点からは、この減少量の下限は、
好ましくは20%と設定することが望ましい。
【0039】次に、降伏強度の範囲を限定した理由につ
いて述べる。下限の392MPa(40kg/mm2 )は、
降伏強度がこれ未満であると、残留応力低減効果が確実
に期待できるようになるためには、Ms温度が150℃
より低くならなければならない。Ms温度がこれより低
い場合は、工業的価値に低い材料に限定されてしまい、
このことは本発明の本意に反するため、下限を392M
Paとした。なお好ましくは、降伏強度の下限は490
MPa(50kg/mm2)以上であることが望ましい。上
限の1177MPa(120kg/mm2 )は、これ以上高
い降伏強度を得るためには、多くの特殊合金元素を添加
しなければならず、やはり工業的価値が低くなるため上
限を1177MPaとした。
【0040】次に、下記式に示されるパラメーターPを
導入し、その値の範囲を限定した理由について述べる。 Pa=C+Ni/12+Cr/24+Mo/19 ・・・(1) パラメーターPaは,C,Ni,CrおよびMoの成分
値で計算される。これら成分は、溶接金属に添加するこ
とにより強度を向上させ、かつMs温度を低下させる働
きを持つ。特に、Ms温度を低減させる元素という意味
では、これらC,Ni,CrおよびMoは、最も有効利
用すべき元素である。強度を向上させるという観点から
は、Ti,NbおよびVなどのような炭化物を形成する
元素の有効利用も考えられるが、Ti,NbおよびVな
どでMs温度が充分低くなるほど添加すると、継手特性
上大きな問題が生じ好ましくない。一方、C,Ni,C
rおよびMoのMs温度を低減し残留応力を下げる働き
は、必ずしも同一ではないため、それぞれの働きに応じ
た係数を定め、4つの元素全体としてその効果を表す指
標を作成することは、工業的価値が高いと判断し、式
(1)で示されるようなPaを作成したものである。
【0041】但し、Paの値にもその適正範囲がある。
例えば、Paが小さすぎるとMs温度を低減することが
難しく、たとえ他の元素を添加することにより可能にな
ったとしても、溶接継手特性の確保の点から好ましくな
い。逆に、Paが大きいことは、Ms温度がより低くな
ることを意味するが、大きすぎるPaは、それだけ合金
元素の添加を増加させなければならず不経済である。以
上のことにより、Paの範囲を0.85以上、1.30
以下とした。なお、より孔あき鋼板ジベルが溶接された
高疲労強度溶接継手を確実なものとするためには、Pa
の下限を0.95に設定することが望ましい。
【0042】また、本発明においては、溶接金属の降伏
強度を増加させ、残留応力をより確実に低減させるとい
う技術を併用しているため、Ms温度における溶接金属
の降伏強度が490MPa(50kg/mm2 )以上である
場合は、溶接金属に残留オーステナイトが存在する可能
性や経済性の観点から、Paの上限は好ましくは1.2
5に設定することが望ましい。さらに、Ms温度におけ
る溶接金属の降伏強度が588MPa(60kg/mm2
以上である場合は、経済性の観点から、Paの上限は好
ましくは1.20に設定することが望ましい。
【0043】次に溶接金属の成分を限定した利用を述べ
る。既に述べてきたMs温度や降伏強度を得るための成分
系は、実は必ずしも1つではない。本発明における溶接
金属は、前記(6),(7),(8)に記述されている
Niを主として用いる成分系と、前記(9),(10)
に記述されているCrを主として用いる成分系の2つに
分けることができ、以降、前者をNi系溶接金属、後者
をCr系溶接金属と呼ぶことにする。
【0044】まず、Ni系溶接金属について、その成分
範囲限定理由について説明する。Cは、それを鉄に添加
することによりMs温度を下げる働きをする。しかし、
その一方で、過度の添加は、溶接金属の靭性劣化および
溶接金属割れの問題を引き起こすため、その上限を0.
2%とした。しかし、Cが無添加の場合は、マルテンサ
イトが得られにくく、また他の高価な元素のみで残留応
力低減を図らなければならず経済的とはいえない。Cが
0.01%以上添加する場合に限定したのは、安価な元
素であるCを利用し、その経済メリットが出る最低限の
値として設定した。なお、Cの上限は、溶接金属割れの
観点から、好ましくは0.15%に設定することが望ま
しい。
【0045】Siは、脱酸元素として知られる。Si
は、溶接金属の酸素レベルを下げる効果がある。特に溶
接施工中においては、溶接中に空気が混入する危険性が
あるため、Si量を適切な値にコントロールすることは
きわめて重要である。まず、Siの下限についてである
が、溶接金属に添加するSi量として0.1%に満たな
い場合、脱酸効果が薄れ溶接金属中の酸素レベルが高く
なりすぎ、機械的特性、特に靭性の劣化を引き起こす危
険性がある。そのため、溶接金属については、その下限
を0.1%とした。一方、過度のSi添加も靭性劣化を
発生せしめるため、その上限を0.5%とした。
【0046】Mnは、強度を上げる元素として知られ
る。そのため、本発明における残留応力低減メカニズム
である変態膨張時の降伏強度確保という観点から有効利
用すべき元素である。Mnの下限、0.01%は強度確
保という効果が得られる最低限の値として設定した。一
方、過度の添加は、母材および溶接金属の靭性劣化を引
き起こすためその上限を1.5%とした。
【0047】PおよびSは、本発明では不純物である。
しかし、これら元素は、溶接金属に多く存在すると、靭
性が劣化するため、その上限をそれぞれ0.03%、
0.02%とした。
【0048】Niは、単体でオーステナイトすなわち面
心構造を持つ金属であり、溶接金属に添加することによ
りオーステナイトの状態をより安定な状態にする元素で
ある。鉄そのものは、高温域でオーステナイト構造にな
り、低温域でフェライトすなわち体心構造になる。Ni
は、それを添加することにより、鉄の高温域における面
心構造をより安定な構造にするため、無添加の場合に比
べ、より低温度域においても面心構造となる。このこと
は、体心構造に変態する温度が低くなることを意味す
る。Niの下限、8%は、残留応力低減効果が現れる最
低限の添加量という意味で決定した。Niの上限、12
%は、残留応力低減の観点からはこれ以上添加してもあ
まり効果が変わらない上、これを超えて添加するとNi
が高価であるという経済的デメリットが生じてくるため
である。
【0049】Cuは、溶接ワイヤにメッキすることによ
り通電性をよくする効果があるため、溶接作業性を改善
するために有効な元素である。また、Cuは焼入性元素
でもあるため、溶接金属に添加することによりマルテン
サイト変態を促進させるという効果も期待できる。Cu
の下限0.05%は作業性改善やマルテンサイト変態促
進のために必要な最低限の値として設定した。しかし、
過度の添加は、作業性改善の効果がないだけでなく、ワ
イヤ製造コストを上げるため産業上も好ましくはない。
Cuの上限、0.4%はこのような理由により設定し
た。
【0050】Nbは、溶接金属中においてCと結合し、
炭化物を形成する。Nb炭化物は、少量で溶接金属の強
度を上げる働きがあり、従って、有効利用することの経
済メリットは大きい。また、本発明における第2の技術
思想である、Ms温度における降伏強度を高める意味か
らもメリットは大きい。しかし、一方で過度の炭化物形
成は、靭性劣化が発生するため自ずと上限が設定され
る。Nbの下限は、炭化物を形成せしめ、強度増加効果
が期待できる最低の値として0.01%を設定した。上
限は、靭性劣化による溶接部の信頼性が損なわれない値
として0.4%とした。
【0051】VもNbと同様な働きをする元素である。
しかし、Nbと異なり、同じ析出効果を期待するために
は、Nbより添加量を多くする必要がある。V添加の下
限0.3%は、添加することにより析出硬化が期待でき
る最低値として設定した。Vの上限は、これより多く添
加すると析出硬化が顕著になりすぎ、靭性劣化を引き起
こすために1.0%とした。
【0052】Tiも、Nb,V同様、炭化物を形成し析
出硬化を生じせしめる。しかし、Vの析出硬化がNbの
それと違っていたようにTiの析出硬化もまたNb、V
と異なる。そのため、Tiの添加量の範囲もNb,Vと
異なった範囲が設定される。Ti添加量の下限0.01
%は、その効果が期待できる最低量として、上限の0.
4%は靭性劣化を考慮して決定した。
【0053】Crは、Nb,V,Ti同様析出硬化元素
である。また、CrはMs温度を低減する効果も合わせ
持つので有効活用すべき元素である。しかし、本発明に
おけるNi系溶接金属は、主としてNi添加によりMs
温度低減を達成しているため、Cr添加量はNiより少
なくすべきである。過度のCr添加は必ずしも残留応力
低減効果を向上させず、Crが高価であるため産業上好
ましくはない。Cr添加量の下限0.1%は、これを添
加し、残留応力低減効果が得られる最低限の値として設
定した。Cr添加量の上限3.0%は、Ni系溶接金属
については、Ms温度がNi添加によりすでに低減され
ていること、他の析出元素により強度も確保されている
ことから、これ以上添加しても残留応力低減効果があま
り変わらなくなる、靭性劣化が顕著になることにより設
定した。
【0054】MoもCr同様の効果を持つ元素である。
しかし、Moは、Cr以上に析出硬化が期待できる元素
である。そのため、添加範囲はCrより狭く設定した。
下限の0.1%は、Mo添加の効果が期待できる最低限
の値として設定した。上限の3.0%は、これ以上添加
すると、硬化しすぎるため靭性劣化が顕著になってくる
ため設定した。
【0055】Coは、Ti等と異なり、強い析出硬化を
生じせしめる元素ではない。しかし、Coは、それを添
加することにより強度増加をもたらし、かつ強度増加を
期待しながら靭性を確保するという観点からは、Niよ
り好ましい元素であることから有効利用すべき元素であ
る。しかし、Niは、残留応力低減効果を期待できる程
度の低Ms温度を確保するために溶接金属に添加してい
るため、Co添加量の下限0.1%は、Co添加の効果
が期待できる最低限の値として設定した。一方、過度の
添加は、強度増加が過大となり靭性劣化をもたらすため
その上限を2.0%とした。
【0056】次に、Cr系溶接金属について、その成分
範囲限定理由について説明する。Cは、それを鉄に添加
することによりMs温度を下げる働きをする。しかし、
その一方で、過度の添加は、溶接割れの問題や靭性劣化
の問題を引き起こすため、その上限を0.05%とし
た。しかし、Cが無添加の場合は、マルテンサイトが得
られにくく、また他の高価な元素のみで残留応力低減を
図らなければならず経済的とはいえない。Cが0.00
1%以上添加する場合に限定したのは、安価な元素であ
るCを利用し、その経済メリットが出る最低限の値とし
て設定した。
【0057】Siは、脱酸元素として知られる。Si
は、溶接金属の酸素レベルを下げる効果がある。特に溶
接施工において、溶接中に空気が混入する危険性がある
ため、Si量を適切な値にコントロールすることはきわ
めて重要である。まず、Siの下限についてであるが、
溶接金属に添加するSi量として0.1%に満たない場
合、脱酸効果が薄れ溶接金属中の酸素レベルが高くなり
すぎ、機械的特性、特に靭性の劣化を引き起こす危険性
がある。そのため、溶接金属については、その下限を
0.1%とした。一方、過度のSi添加も靭性劣化を発
生せしめるため、その上限を0.7%とした。
【0058】Mnは、強度を上げる元素として知られ
る。そのため、本発明における第2の技術思想である変
態膨張時の降伏強度確保という観点から有効利用すべき
元素である。Mnの下限、0.4%は強度確保という効
果が得られる最低限の値として設定した。一方、過度の
添加は、溶接金属の靭性劣化を引き起こすためその上限
を2.5%とした。
【0059】PおよびSは、本発明では不純物であしか
し、これら元素は、溶接金属に多く存在すると、靭性が
劣化するため、その上限をそれぞれ0.03%、0.0
2%とした。
【0060】Niは、単体でオーステナイトすなわち面
心構造を持つ金属である。鉄そのものは、高温域でオー
ステナイト構造になり、低温域でフェライトすなわち体
心構造になる。Niは、それを添加することにより、鉄
の高温域における面心構造をより安定な構造にするた
め、無添加の場合に比べ、より低温度域においても面心
構造となる。このことは、体心構造に変態する温度が低
くなることを意味する。また、Niはそれを添加するこ
とにより溶接金属の靭性を改善するという効果を持つ。
Cr系溶接金属におけるNi添加量の下限4%は、残留
応力低減効果が現れる最低限の添加量および靭性確保の
観点から決定した。Ni添加量の上限8%は、Cr系溶
接金属においては、次に述べるCr添加によりある程度
Ms温度が低減されていること、および残留応力低減の
観点からはこれ以上添加してもあまり効果が変わらない
上、これ以上添加するとNiが高価であるという経済的
デメリットが生じてくるためこの値を設定した。
【0061】Crは、Niと異なり、フェライトフォー
マーである。しかし、Crは、それを鉄に添加すると、
高温度域ではフェライトであるものの、中温度域ではオ
ーステナイトを形成し、さらに温度が低くなると再びフ
ェライトを形成する。溶接部の場合、溶接入熱量により
熱履歴で、低い温度側のフェライトは一般的に得られ
ず、マルテンサイトが得られることになる。これは、C
rを添加することの利点は、焼入性の増加が原因であ
る。すなわち、Crを添加することによるマルテンサイ
ト変態は、焼入性が増加することによるフェライト変態
が生じない点と、Ms温度そのものが低くなるという2
つの点が存在する。これら両方の効果を満たしながら残
留応力を低減するための変態膨張を有効利用するCr添
加範囲として、下限8%を設定した。上限15%は、こ
れを上回る量を添加してもその効果が大きくならない
上、経済的にもデメリットが大きくなるため、この値を
設定した。
【0062】Nは、オーステナイトフォーマーとして知
られている元素である。Nも添加することによりマルテ
ンサイトが得られやすくなるため、最低限の添加は必要
である。Nの下限、0.001%は、C同様、低Ms温
度が得られるための最低値として定めた。しかし、過大
な添加は窒化物を形成し、靭性劣化や延性劣化の問題が
発生するためその上限を0.05%とした。
【0063】CとNは、それぞれ炭化物、窒化物を形成
する、オーステナイトフォーマーであるなど、その働き
が似ており、それら合計、すなわちC+Nの量も上限、
下限を設定する必要がある。C+Nの下限、0.001
%は、マルテンサイトを得やすくし、かつMs温度を低
くするための最低限の値として、また上限の0.06%
は、炭化物、窒化物による靭性劣化および延性劣化の問
題が発生しない限界値として定めた。
【0064】Cuは、溶接ワイヤにメッキすることによ
り通電性をよくする効果があるため、溶接作業性を改善
するために有効な元素である。また、Cuは焼入性元素
でもあるため、溶接金属に添加することによりマルテン
サイト変態を促進させるという効果も期待できる。Cu
の下限0.05%は作業性改善やマルテンサイト変態促
進のために必要な最低限の値として設定した。しかし、
過度の添加は、作業性改善の効果がないだけでなく、ワ
イヤ製造コストを上げるため産業上も好ましくはない。
Cuの上限、0.4%はこのような理由により設定し
た。
【0065】Nbは、溶接金属中においてCと結合し、
炭化物を形成する。Nb炭化物は、少量で溶接金属の強
度を上げる働きがあり、従って、有効利用することの経
済メリットは大きい。また、本発明における残留応力低
減技術である、Ms温度における降伏強度を高める意味
からもメリットは大きい。しかし、一方で過度の炭化物
形成は、靭性劣化が発生するため自ずと上限が設定され
る。Nbの下限は、炭化物を形成せしめ、強度増加効果
が期待できる最低の値として0.005%を設定した。
上限は、靭性劣化による溶接部の信頼性が損なわれない
値として0.3%とした。
【0066】VもNbと同様な働きをする元素である。
しかし、Nbと異なり、同じ析出効果を期待するために
は、Nbより添加量を多くする必要がある。V添加の下
限0.05%は、添加することにより析出硬化が期待で
きる最低値として設定した。Vの上限は、これより多く
添加すると析出硬化が顕著になりすぎ、靭性劣化を引き
起こすために0.5%とした。
【0067】Tiも、Nb,V同様、炭化物を形成し析
出硬化を生じせしめる。しかし、Vの析出硬化がNbの
それと違っていたようにTiの析出硬化もまたNb,V
と異なる。そのため、Tiの添加量の範囲もNb,Vと
異なった範囲が設定される。Ti添加量の下限0.00
5%は、その効果が期待できる最低量として、上限の
0.3%は靭性劣化を考慮して決定した。
【0068】Moも、Nb,V,Ti同様析出硬化が期
待できる元素である。しかし、Moは、Nb,V,Ti
と同等な効果を得るためには、Nb,V,Ti以上に添
加する必要がある。Mo添加量の下限0.1%は、析出
硬化による降伏強度増加が期待できる最低値として設定
した。また、上限の2.0%は、Nb,V,Ti同様、
靭性劣化を考慮して決定した。
【0069】以上、溶接金属の成分についてその範囲限
定理由について述べてきたが、これらの範囲に溶接金属
成分を制御する方法として、溶接ワイヤの成分を制御す
る方法や、溶接ワイヤおよびフラックスの成分を制御す
る方法、あるいは溶接心線および被覆フラックスの成分
を制御する方法などがあるが、本発明においては、これ
ら方法に限定されることなく、溶接金属の成分が前述の
範囲内に設定されれば孔あき鋼板ジベルが溶接された高
疲労強度溶接継手が実現できる。さらに、本発明におけ
る成分範囲となる溶接金属を形成するような溶接ワイ
ヤ、溶接ワイヤとフラックスの組み合わせ、または溶接
心線と被覆フラックスの組み合わせ等は、当該技術者な
らば容易に成し得るものである。
【0070】溶接止端部を形成する溶接ビードに本発明
における溶接金属を形成せしめれば孔あき鋼板ジベルが
溶接された高疲労強度溶接継手が実現するが、止端部溶
接ビードが形成された後、さらに他のビードが形成され
ると残留応力の分布が変化する可能性がある。このビー
ドが新たに溶接止端部を形成するビードになる場合は、
このビードに対し本発明が提示する溶接金属になるよう
な材料選択を行った孔あき鋼板ジベルが溶接された溶接
継手を作製すればよい。しかし、そうではない場合は、
残留応力分布が変化する可能性があるため、溶接止端部
を形成する溶接ビードが、近傍の他の溶接ビードと比べ
最終凝固する、すなわち最終ビードになるような溶接順
序が選択された孔あき鋼板ジベルが溶接された溶接継手
にすることが望ましい。また、残留応力を実現する各種
ピーニングを止端部に施す場合も、全ての溶接が修了し
た後に、前述の止端部最終ビードに相当する部分に対し
て実施するものである。
【0071】
【実施例】表1に、残留応力および疲労強度を調べるた
めに用いたNi系およびCr系溶接金属の成分値を示
す。表1に、Ms温度(℃)およびMs温度における降
伏強度を示しているが、これは各溶接金属より直接フォ
ーマスター試験片と引っ張り試験片を採取し、初めにM
s温度を測定し、次にその温度で引っ張り試験を行った
結果である。
【0072】図2は、ビード止端部の残留応力を測定す
るために作製した荷重を受ける構造部材に孔あき鋼板ジ
ベルの溶接された溶接継手の図を示している。図2の孔
あき鋼板ジベルが溶接された継手は、孔あき鋼板ジベル
の両端部より5cmの範囲内において図3に示す開先を設
けて回し溶接を行っている。溶接部本ビードは通常の溶
接材料を用いているが、本溶接終了後、付加ビードとし
て表1にある、WF,WA,WB,WHの溶接金属を形
成せしめた継手である。残留応力は、図中に示すような
溶接止端部に、ゲージ長さ2mmのひずみゲージ(図示せ
ず)を貼り付け、機械加工で応力を緩和させる、いわゆ
る切断法で測定した。図4(1)〜(5)に残留応力測
定結果を示したが、図4より明らかなように、本発明例
ではWA,WB,WHは圧縮残留応力になっているのに
対し、WFはNi添加不足のため残留応力は引っ張りで
ある。また、他の残留圧縮応力を導入する方法であるハ
ンマーピーニングを施した例をPとして示している。
【0073】図5は、図2に示す角回し溶接で取り付け
た孔あき鋼板ジベルが溶接された溶接継手の疲労強度を
示している。疲労荷重付加方向は、図2にある矢印方
向、すなわち、孔あき鋼板ジベル長手方向である。疲労
強度を調査する場合は、開先をもうけた場合とそうでな
い場合の比較も行えるようにするため、孔あき鋼板ジベ
ル端部より5cmの範囲内に図3に示す開先をもうけた場
合とそうでない場合の2種類の継手を作製し、図2に示
す付加ビードとしてWAの溶接金属を形成せしめた。表
1のWF,WB,WHについては、開先をもうけた継手
に対して付加ビードとして形成させた。疲労は、開先を
もうけた継手では、付加ビードが形成している溶接止端
部より発生し鋼材HAZに亀裂が伝播し、開先をもうけ
ない場合は、角回し溶接部内側の未溶着部分の応力集中
部が存在する端部より伝播した。図5には、点線および
実線で疲労寿命を示した。
【0074】図5より、本発明例であるWA,WB,W
Hは明らかに比較例であるWFより疲労寿命および疲労
限が向上しており、かつ、同じ本発明例の溶接金属で
も、WAの実施例からわかるように、開先をもうけた場
合の方が寿命は長い。また、ピーニングを施した開先を
持たない本発明例のPも、比較例WFよりは疲労寿命が
向上していることがわかる。
【0075】図6は、図2と同様な形状を示している孔
あき鋼板ジベルが角回し溶接にて取り付けられた溶接継
手を示している。しかし、図6の孔あき鋼板ジベルに
は、疲労荷重として、孔あき鋼板ジベル直角方向(図5
中矢印の方向)に荷重を付加して疲労試験を行った。な
お、図6では、孔あき鋼板ジベルについては特に開先を
もうけていない。この場合、疲労が問題となる溶接止端
部を形成する溶接ビードは溶接部の本ビードそのもので
ある。そこで、図6の継手では、表1に示すWF,W
A,WB,WHの溶接金属を本ビードに形成せしめ、継
手を作製した。図7は、その疲労強度を示しているが、
明らかに本発明例のほうが疲労強度が高い。
【0076】次に、孔あき鋼板ジベルの角回し溶接にて
疲労加重を受ける構造部材の取り付けた継手に対し、表
1に示す溶接金属、WJ,WK,WL,WM,WNを付
加ビードとして形成せしめた孔あき鋼板ジベルの疲労強
度を調べた。このとき、孔あき鋼板ジベルには図3に示
す開先をもうけたものともうけないものがあるが、開先
をもうけた範囲を種々変化させ、その効果も比較できる
ようにした。疲労加重として、公称応力範囲を200M
Paとし、そのときの疲労寿命を表2に示した。表2の
結果から、付加ビードの効果や開先の効果が理解でき
る。
【0077】表2の、No.1〜4は、表1の溶接金属
WIを付加ビードとして形成せしめた場合の疲労寿命を
示している。No.1〜4を比較すると、開先がないN
o.1の疲労寿命と開先範囲を5cm、3cmとしたNo.
2,3の疲労寿命は、明らかにNo.2,3の方が長
く、開先を孔あき鋼板ジベルにもうけた場合の方が疲労
強度が向上していることがわかる。これは、No.1で
は、疲労亀裂が回し溶接内側の未溶着部分端の応力集中
部、すなわちルート部より発生していることによる。し
かし、No.4のように開先範囲が4mmと狭い場合は、
開先をもうけないNo.1と大差ない結果であった。な
お、No.1〜4は、比較例であるNo.10〜16の
いずれの場合より疲労寿命が長かった。
【0078】No.5,6,7は付加ビードとして表1
のWJの溶接金属を形成せしめた場合の疲労寿命を調べ
た結果である。No.1〜4同様、開先をもうけなかっ
たNo.5の寿命は、No.6の場合より短い。しか
し、それでもNo.5の寿命は、比較例であるNo.1
0〜16のいずれの場合より疲労寿命が長かった。N
o.7は、開先を3cmの範囲でもうけた場合であるが、
未溶着部分の幅が5%しか減少しておらず、この場合、
No.5と同様な疲労寿命であった。
【0079】表2のNo.8,9は、付加ビードとして
表1の溶接金属WKを形成せしめた場合の継手における
疲労寿命を示しているが、いずれも比較例であるNo.
10〜16より寿命が長い。
【0080】No.10〜16は、表1の溶接金属W
L,WM,WNを付加ビードとして形成せしめた場合の
疲労寿命を示している。表2よりわかるように、本発明
例であるNo.1〜9の疲労寿命より短い。
【0081】さらに、比較例では、孔あき鋼板ジベルに
開先をもうけた場合とそうでない場合とでほぼ同じ疲労
寿命であることがわかる。これは、疲労亀裂発生箇所が
溶接ビード止端部であるため、回し溶接内側のルート部
の応力集中を抑えても継手の疲労強度はビード止端部で
決定されているためである。一方、本発明例No.1〜
9では、開先をもうけない場合でも疲労寿命が向上で
き、さらに開先をもうけることにより継手全体としての
疲労寿命がより向上することがわかった。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、溶接止
端部の疲労強度向上が実現でき、実用的な施工方法のみ
で作製可能な孔あき鋼板ジベルが溶接された高疲労強度
溶接継手を提供することが可能である。したがって、本
発明は工業的価値の極めて高い発明であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶接金属の変態膨張方向およびその反力により
残留応力が低減される鋼材HAZ領域を説明した図であ
る。
【図2】角回し溶接で取り付け、さらに付加ビードを形
成させた孔あき鋼板ジベルが溶接された溶接継手、およ
びその孔あき鋼板ジベルが溶接された溶接継手における
残留応力測定位置を説明した図である。
【図3】孔あき鋼板ジベルの端部にもうけた開先形状を
示した図である。
【図4】図2の孔あき鋼板ジベルの溶接された溶接継手
において、付加ビードとして、表1に示すWF,WA,
WB,WHの溶接金属を形成せしめたときの残留応力測
定結果を示した図である。
【図5】図2の孔あき鋼板ジベルの溶接された溶接継手
において、付加ビードとして、表1に示すWF,WA,
WB,WHの溶接金属を形成せしめたときの孔あき鋼板
ジベルの溶接された溶接継手における疲労強度を示した
図である。
【図6】孔あき鋼板ジベルを角回し溶接にて疲労荷重を
受ける構造部材に取り付け時の継手を示した図である。
【図7】図6の孔あき鋼板ジベルにおいて、溶接部に表
1に示すWF,WA,WB,WHの溶接金属を形成せし
めたときの孔あき鋼板ジベルの溶接された溶接継手にお
ける疲労強度を示した図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) E04B 1/41 502 E04B 1/41 502E E04C 5/18 102 E04C 5/18 102 // C21D 7/06 C21D 7/06 B (72)発明者 本間 宏二 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 2E125 AA56 AA57 AF01 AG57 BA02 BA32 BB02 BB09 BB29 BD01 BE07 BF01 CA82 CA90 2E164 AA02 BA11 BA24 BA25 CB01 CB21 4E081 YB01 YB02 YB03 YB05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疲労を受ける構造部材に孔あき鋼板ジベ
    ルを溶接する継手構造での疲労が問題となる角回し溶接
    部の止端部において、それを形成する溶接ビードが、オ
    ーステナイトからマルテンサイトに変態を開始する温度
    が350度以下150度以上となる溶接金属で形成され
    ていることを特徴とする高疲労強度溶接継手。
  2. 【請求項2】 疲労を受ける構造部材に孔あき鋼板ジベ
    ルを溶接する継手構造での疲労が問題となる角回し溶接
    部の止端部において、それを形成する溶接ビードに対
    し、ハンマーピーニング、ニードルピーニング、ショッ
    トピーニングなどのピーニングを実施することによって
    圧縮力を導入したことを特徴とする高疲労強度溶接継
    手。
  3. 【請求項3】 疲労荷重を受ける構造部材に孔あき鋼板
    ジベルが溶接されている場合で、ジベル両端部におい
    て、端部より5mm以上の範囲にわたり開先をもうけ、開
    先をもうけた範囲におけるジベルとジベルを取り付ける
    構造部材の間に存在する未溶着部分の面積を、開先をも
    うけない場合における未溶着部分の面積に対して10%
    以上減少させたことを特徴とする請求項1または請求項
    2記載の高疲労強度溶接継手。
  4. 【請求項4】 オーステナイトからマルテンサイトに変
    態を開始する温度において、降伏強度が392MPa
    (40kg/mm2 )以上、1177MPa(120kg/mm
    2 )以下となる溶接金属が形成されていることを特徴と
    する請求項1記載の高疲労強度溶接継手。
  5. 【請求項5】 C,Ni,CrおよびMoを、それぞれ
    の成分の質量%とし、下記(1)式で定義されるパラメ
    ーターPaの範囲が、0.85以上1.30以下である
    溶接金属が形成されていることを特徴とする請求項1,
    3または4記載の高疲労強度溶接継手。 Pa=C+Ni/12+Cr/24+Mo/19 ・・・(1)
  6. 【請求項6】 質量%で、 C :0.01〜0.2%、 Si:0.1〜0.5%、 Mn:0.01〜1.5%、 P :0.03%以下、 S :0.02%以下、 Ni:8〜12% を含有し、残部が鉄および不可避不純物からなる溶接金
    属が形成されていることを特徴とする請求項1,3,4
    または5記載の高疲労強度溶接継手。
  7. 【請求項7】 質量%で、 Ti:0.01〜0.4%、 Nb:0.01〜0.4%、 V :0.1〜1.0% の1種または2種以上をさらに含有する溶接金属が形成
    されてることを特徴とする請求項6記載の高疲労強度溶
    接継手。
  8. 【請求項8】 質量%で、 Cu:0.05〜0.4%、 Cr:0.1〜3.0%、 Mo:0.1〜3.0%、 Co:0.1〜2.0% の1種または2種以上をさらに含有する溶接金属が形成
    されていることを特徴とする請求項6または7記載の高
    疲労強度溶接継手。
  9. 【請求項9】 質量%で、 C :0.001〜0.05%、 Si:0.1〜0.7%、 Mn:0.4〜2.5%、 P :0.03%以下、 S :0.02%以下、 Ni:4〜8%、 Cr:8〜15%、 N :0.001〜0.05% を含有し、 C+N:0.001〜0.06% であり、残部が鉄及び不可避不純物からなる溶接金属が
    形成されていることを特徴とする請求項1,3,4また
    は5記載の高疲労強度溶接継手。
  10. 【請求項10】 質量%で、 Mo:0.1〜2.0%、 Ti:0.005〜0.3%、 Nb:0.005〜0.3%、 V :0.05〜0.5% の1種または2種以上をさらに含有する溶接金属が形成
    されていることを特徴とする請求項9記載の高疲労強度
    溶接継手。
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