JP2002144082A - 疲労強度に優れた軟鋼または490MPa級鋼の溶接継手およびその作製方法 - Google Patents
疲労強度に優れた軟鋼または490MPa級鋼の溶接継手およびその作製方法Info
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Abstract
た溶接止端部への圧縮応力の導入が困難である軟鋼およ
び490MPa級鋼の溶接継手において、従来に比べて
疲労強度に優れた軟鋼および490MPa級鋼の溶接継
手を提供する。 【解決手段】 軟鋼または490MPa級鋼の溶接継手
において、溶接止端部の溶接ビードに対して、化学成分
として、質量%で、C:0.02〜0.1%、Si:
0.1〜0.7%、Mn:0.1〜1.5%、P:0.
03%以下、S:0.02%以下、Cr:13〜16%
以下、Ni:10〜13%以下を含有し、残部が鉄およ
び不可避的不純物からなり、かつオーステナイトからマ
ルテンサイトに変態を開始する温度が125〜200℃
である溶接金属からなる付加溶接ビードが形成された疲
労強度に優れた軟鋼または490MPa級鋼の溶接継
手。
Description
性向上のために、疲労強度が高い溶接継手を提供する技
術に関し、より詳しくは、母材として軟鋼および490
MPa鋼材を用いた場合の疲労強度に優れた溶接継手お
よびその作製方法に関するものである。
体の信頼性に重大な影響を与えるため、その疲労特性を
向上させる手法は以前より試みられてきた。疲労亀裂が
発生しやすい部分は溶接止端部であるが、その理由とし
ては、溶接止端部には応力集中部が発生しやすく、引っ
張りの残留応力が生じやすい、などが挙げられる。これ
ら原因を解決することが疲労強度改善方法として有効で
ある。そのため、従来技術における疲労強度改善方法と
して、溶接止端部を研削により滑らかにする等の機械的
な方法あるいはTIG溶接により化粧溶接を施して応力
集中を減らす方法、またショットピーニングを用いて疲
労が発生する部位に打撃して圧縮残留応力を導入し同時
に応力集中を減らす方法、などがあった。これら継手
は、構造物作製コストを直接増大させるため、このよう
な方法を用いずに溶接継手の疲労強度が向上できる方法
が望まれていた。
し、残留応力を低減させ、これにより疲労強度を向上さ
せる手法が注目されている。例えば特開平11−138
290号公報では、溶接金属のマルテンサイト変態を利
用し、該溶接金属が室温においてマルテンサイト変態開
始時より膨張している状態とすることにより、溶接金属
部の引張残留応力を緩和する技術が開示されている。さ
らには、「溶接学会論文集」第18巻平成12年第1号
の141ページから145ページにおいて、太田らはC
rおよびNiを重量%にてそれぞれ10%含有する溶接
材料を用いて角回し溶接継手を作製すれば、疲労強度が
改善するという研究報告もなされている。特にこれら発
明および研究報告は、鋼材強度が高くなると鋼材の疲労
強度は上昇するが、溶接金属部の疲労強度は高くなら
ず、構造物の強度が疲労強度で支配されている場合には
母材の高張力化の利点が得られない、という産業界が抱
える問題点を指摘し、特に高張力鋼(例えば前記太田ら
の研究報告では780MPa級鋼材を用いて疲労強度改
善効果を確認している)での疲労強度改善に重点を置い
ている。
も、必ずしも全ての溶接継手の疲労強度改善に有効であ
るというわけではない。例えば、特開平11−1382
90号公報で開示されている技術によると、疲労強度を
改善するためには室温での溶接金属がマルテンサイト変
態開始時より膨張していなければならない。確かに、こ
の状態が実現すれば、溶接部には膨張による圧縮の残留
応力が導入され、溶接金属の引張残留応力が緩和される
ため疲労強度改善が期待できる。しかし、室温での溶接
金属がマルテンサイト変態開始時より膨張していなけれ
ばならないという条件は、実際の継手ではほとんど実現
不可能である。その理由はきわめて単純である。すなわ
ち、溶接部の温度分布は、アークの集中熱源により、溶
接金属およびその近傍は融点またはそれに近い温度まで
加熱されるが、それ以外のほとんどの部分は加熱されな
いため、溶接金属は加熱されていない部分から拘束を受
け、たとえ変態膨張しても変態膨張量とほぼ同じ量の圧
縮塑性ひずみが導入されてしまい、変態に伴う膨張を相
殺してしまうためである。すなわち、溶接金属がマルテ
ンサイト変態時より膨張していることは実質的に不可能
である。そのため、実際の溶接継手で特開平11−13
8290号公報が開示している条件を達成することは、
非常に特殊な継手に限った場合となり、実用的な観点か
らは問題が多い。太田らの溶接学会論文集の第18巻平
成12年第1号の研究報告も、実用的な観点からはまだ
問題がある。この研究報告では、母材として780MP
a級鋼材を用いた場合で疲労強度改善を確認している。
しかし、実際の構造物では、軟鋼および490MPa級
鋼材が使用される場合がほとんどであり、このような鋼
材を用いた溶接継手で太田らの疲労強度向上技術が適用
できるかどうかは明確ではない。なぜなら、母材強度が
高いほど溶接金属の変態膨張に対する拘束反力も大き
く、結果的に圧縮弾性歪みも大きくなるため、変態終了
後の熱収縮が発生しても圧縮応力状態にとどまっている
可能性が大きいからである。例えば、軟鋼の場合、低強
度であるが故に圧縮弾性歪みの最大値は780MPa級
鋼材の1/3程度しかない。このことは、圧縮応力状態
から引張り応力状態に変えてしまう熱収縮ひずみ量が、
780MPa級鋼材は軟鋼の3倍程度必要であることを
意味する。そのため、溶接金属が変態膨張した後の熱収
縮が多少大きくても780MPa鋼材の場合は、圧縮応
力状態のままであるため、軟鋼の場合よりも疲労強度を
改善することが容易であった。このことは、逆に軟鋼な
どの低強度鋼材を用いた溶接継手の疲労強度を改善させ
ることは、780MPa級鋼材の場合よりはるかに難し
い技術であることを意味する。
に鑑みて、本発明は、高強度鋼に比べて溶接金属の変態
膨張を利用した溶接止端部への圧縮応力の導入が困難で
ある軟鋼および490MPa級鋼の溶接継手において、
従来に比べて疲労強度に優れた軟鋼および490MPa
級鋼の溶接継手およびその作製方法を提供することを目
的とする。
うな事情を鑑み、軟鋼および490MPa級鋼材を用い
た溶接部の残留応力を低減させ疲労強度を向上させる技
術について種々検討し、これまで鋭意研究を重ねてきた
結果、疲労亀裂発生部位の残留応力を低減するメカニズ
ムを発見するに至り、さらに溶接継手疲労強度との関係
に関し鋭意研究を重ね、軟鋼および490MPa級鋼材
を用いた溶接継手の疲労強度を向上させる実用的な手法
を発見し、本発明を完成させたもので、その要旨は、次
の通りである。
接継手において、溶接止端部の溶接ビードの化学成分と
して、質量%で、C:0.02〜0.1%、Si:0.
1〜0.7%、Mn:0.1〜1.5%、P:0.03
%以下、S:0.02%以下、Cr:11〜15%、N
i:8〜12%を含有し、残部が鉄および不可避的不純
物からなり、かつオーステナイトからマルテンサイトに
変態を開始する温度が125〜225℃である溶接金属
からなることを特徴とする疲労強度に優れた軟鋼または
490MPa級鋼の溶接継手。
学成分として、さらに、質量%で、Mo:0.1〜1.
5%、Ti:0.01〜1%、Nb:0.01〜1%、
およびV:0.05〜0.5%のうちの1種または2種
以上を含有することを特徴とする上記(1)に記載の疲
労強度に優れた軟鋼または490MPa級鋼の溶接継
手。
学成分において、TiおよびNbの合計量が0.8〜
1.2%であることを特徴とする上記(2)に記載の疲
労強度に優れた軟鋼または490MPa級鋼の溶接継
手。
接金属組織として、残留オーステナイトを3〜50%含
有することを特徴とする上記(1)から(3)の内の何
れか1項に記載の疲労強度に優れた軟鋼または490M
Pa級鋼の溶接継手。
いて溶接継手を作製する方法において、化学成分とし
て、質量%で、C:0.02〜0.1%、Si:0.1
〜0.7%、Mn:0.1〜1.5%、P:0.03%
以下、S:0.02%以下、Cr:13〜18%、N
i:10〜14%を含有し、残部が鉄または不可避的不
純物からなり、かつオーステナイトからマルテンサイト
に変態を開始する温度が100〜200℃である溶接材
料を用いて、溶接止端部に溶接ビードを形成することを
特徴とする疲労強度に優れた軟鋼または490MPa級
鋼の溶接継手の作製方法。
に、質量%で、Mo:0.1〜1.7%、Ti:0.0
1〜1.2%、Nb:0.01〜1.2%、およびV:
0.05〜0.6%のうちの1種または2種以上を含有
することを特徴とする上記(5)に記載の疲労強度に優
れた軟鋼または490MPa級鋼の溶接継手の作製方
法。
iおよびNbの合計量が0.9〜1.4%であることを
特徴とする上記(6)に記載の疲労強度に優れた軟鋼ま
たは490MPa級鋼の溶接継手の作製方法。
溶接材料を用いて、溶接止端部に付加溶接ビードを形成
することを特徴とする上記(5)から(7)の内の何れ
か1項に記載の疲労強度に優れた軟鋼または490MP
a級鋼の溶接継手の作製方法。
ット、カバープレート、およびスタッドのうちの1種ま
たは2種以上とを回し溶接して溶接継手を作製すること
を特徴とする上記(5)から(8)の内の何れか1項に
記載の疲労強度に優れた軟鋼または490MPa級鋼の
溶接継手の作製方法。
る構造部材と構造部材とを回し溶接して溶接継手を作製
することを特徴とする上記(5)から(8)の内の何れ
か1項に記載の疲労強度に優れた軟鋼または490MP
a級鋼の溶接継手の作製方法。
る。
る。
ることができ、そのうち3つは残留応力低減を利用した
疲労強度改善に関するものであり、最後の1つは溶接割
れ防止に関するものである。
接止端部の疲労強度で決定される。疲労強度は、静的強
度と異なり、応力集中部近傍の応力状態で決定されるた
め、ここの残留応力を低減させることができれば、外部
応力が作用しているときでも、残留応力低減分だけ疲労
強度が向上することが期待できる。特に、圧縮の残留応
力を導入できればその効果が大きい。すなわち、本発明
では溶接金属の変態膨張を利用し、圧縮残留応力を導入
することにより疲労強度を改善するという第1の技術思
想がある。しかし、本発明が目的とするところの軟鋼お
よび490MPa級鋼材を用いた溶接継手では、強度が
比較的低いため、弾性ひずみの範囲が、例えば780M
Pa級鋼材と比べて狭いため、せっかく変態膨張したと
きに導入された圧縮残留応力が引張り応力状態になりや
すいという問題を抱える。このような問題を抱える溶接
継手では、これまでの技術、例えば特開平11−138
290号公報や、太田らの「溶接学会論文集」第18巻
平成12年第1号の141ページから145ページに開
示されている技術では疲労強度を向上させることが必ず
しもできない。
労試験結果を示した図である。角回し溶接継手の試験片
形状は図2に示した。図1では、付加ビードとして、○
で示す従来溶接材料と●で示す太田らが報告している低
温変態溶接材料(Crが10%、Niが10%含有して
いる溶接材料、マルテンサイト変態温度は230℃)を
用いた場合の疲労試験結果を示している。図1から、従
来溶接材料と低温変態溶接材料の疲労強度に格別の差異
がなく、角回し溶接継手の疲労強度が改善していないこ
とが理解できる。ちなみに、太田らのデータによれば、
母材として780MPa級鋼材を用いており、この場合
は角回し溶接部の疲労強度は改善できる。このように、
同じ低温変態溶接材料を用いても、用いられている鋼材
の強度により疲労強度が改善したりしなかったりするた
め、本発明には鋼材強度にあわせた低温変態溶接材料を
用いなければならないという第2の技術思想がある。一
方、比較的安価な方法で変態温度を下げることができる
のは溶接金属であり、もし鋼材の変態温度を下げようと
すると鋼材に高価な元素を多量に添加する必要が生じる
ため、構造物全体の費用が高くなりすぎ経済的に問題が
多い。しかし、溶接継手に生じる疲労亀裂は、必ずしも
低温変態膨張する溶接金属に発生するわけではなく、多
くの場合は溶接熱影響部、すなわち鋼材側に発生する。
実際、図1の疲労試験結果は、全て角回し溶接部の止端
部、すなわち鋼材の溶接熱影響部で発生していた。その
ため、溶接金属の変態膨張が、鋼材の熱影響部の残留応
力を低減する効果が期待できなければならない。本発明
における第3の技術思想は、溶接継手形状を限定するれ
ば溶接金属変態膨張に対する反力により鋼材側の溶接熱
影響部の残留応力を低減することができ、疲労強度が改
善できる、というものである。
問題となる溶接止端部を形成する低温変態溶接金属に、
残留オーステナイトを意識的に含有させ、溶接割れを防
ぐというものである。本発明では、溶接金属のマルテン
サイト変態膨張を利用し疲労強度を向上させることを目
的としている。しかし、マルテンサイト組織そのもの
は、硬くてもろい組織であり、残留応力を低減する目的
では有効活用したいが、溶接継手の靱性や割れ感受性の
観点からは、あまり導入したくないミクロ組織でもあ
る。特に、水素が起因となる低温割れは、マルテンサイ
ト組織で生じやすい。
ナイトがある程度残留するようにし、これら問題を解決
することとした。オーステナイトは、水素の溶解度が大
きく、水素割れすなわち低温割れを発生しないという特
長があるため、少量のオーステナイトを溶接金属中に残
留させるようにすれば溶接金属の低温割れを防ぐことが
可能である。一方、溶接部に引張り残留応力が存在しな
ければ低温割れも発生しないため、溶接金属の変態膨張
を利用し残留応力が圧縮になる技術なのであるから低温
割れの問題は解決できると主張する意見もあるが、本発
明ではこのような考えだけでは必ずしも低温割れを防ぐ
ことができないと考えている。その理由は、溶接特有の
移動熱源という特徴からくるものである。移動熱源のた
め、溶接ビード長さ方向において、溶接スタート側とそ
うでない部分とでは冷却のタイミングがずれてくる。そ
のため、先に冷却する溶接スタート側が変態膨張した
後、他の溶接金属部分が変態膨張する場合もあり得る。
この場合、溶接スタート側は、他の部分の変態膨張によ
り、せっかく導入された圧縮残留応力が引張り応力状態
に変化する場合もあり得る。このような引張り残留応力
が存在する部分に水素が存在すれば溶接金属低温割れを
おこす危険性も生じてくる。また、多層溶接を行う場合
は、後続溶接ビードの変態膨張は先行溶接ビードを引張
る、すなわち引張り残留応力を導入する働きもあり、こ
の場合も低温割れの危険性が生じる。疲労強度向上の観
点からは、疲労が問題となる部分の残留応力さえ低減す
るように溶接施工すればよいが、もし、問題としている
部分以外のところに低温割れが発生してしまうと、そこ
から疲労亀裂が発生する危険性が生じてしまうため、溶
接継手全体としては疲労強度向上は望めない。そのた
め、本発明では、残留オーステナイトの存在は必須であ
ると考えている。
労亀裂発生部位の残留応力を低減するメカニズムを発見
するに至り、さらに溶接継手疲労強度との関係に関し鋭
意研究を重ね、軟鋼および490MPa級鋼材を用いた
溶接継手の疲労強度を向上させる実用的な手法を発見す
るに至った。
(以降Ms温度)を限定した理由について述べる。
を対象としているため、より小さな熱収縮で圧縮残留応
力が相殺されてしまうという問題点を抱えている。その
ためには、溶接金属のMs温度範囲を従来技術より狭い
範囲でコントロールする必要がある。本発明では、Ms
温度の上限を225℃とした。この理由は、これを上回
るMs温度では、変態終了後の熱収縮により残留応力が
充分低減されず、疲労強度が改善しないためである。よ
り確実な疲労強度改善効果を目的とする場合は、この上
限を特に195℃未満とすることが望ましい。Ms温度
の下限を125℃と限定した理由は、Ms温度がこれよ
り下回ると、溶接継手が室温に達した場合でも、まだ変
態途中にあることとなり、溶接構造物使用中の温度変化
により溶接部の材質が変化する危険性があるためであ
る。
て述べる。
温度を下げる働きをする。しかし、その一方で、過度の
添加は、溶接割れの問題や靱性劣化の問題を引き起こす
ため、その上限を0.1%とした。しかし、Cが無添加
の場合は、マルテンサイトが得られにくく、また他の高
価な元素のみで残留応力低減を図らなければならず経済
的とはいえない。Cが0.02%以上添加する場合に限
定したのは、安価な元素であるCを利用し、その経済メ
リットが出る最低限の値として設定した。
は、溶接金属の酸素レベルを下げる効果がある。特に溶
接施工において、溶接中に空気が混入する危険性がある
ため、Si量を適切な値にコントロールすることはきわ
めて重要である。まず、Siの下限についてであるが、
溶接金属に添加するSi量として0.1%に満たない場
合、脱酸効果が薄れ溶接金属中の酸素レベルが高くなり
すぎ、機械的特性、特に靱性の劣化を引き起こす危険性
がある。そのため、溶接金属については、その下限を
0.1%とした。一方、過度のSi添加も靱性劣化を発
生せしめるため、その上限を0.7%とした。
る。そのため、本発明における第2の技術思想である変
態膨張時の降伏強度確保という観点から有効利用すべき
元素である。Mnの下限、0.1%は強度確保という効
果が得られる最低限の値として設定した。一方、過度の
添加は、溶接金属の靱性劣化を引き起こすためその上限
を1.5%とした。
し、これら元素は、溶接金属に多く存在すると、靱性が
劣化するため、その上限をそれぞれ0.03%、0.0
2%とした。
心構造を持つ金属である。鉄そのものは、高温域でオー
ステナイト構造になり、低温域でフェライトすなわち体
心構造になる。Niは、それを添加することにより、鉄
の高温域における面心構造をより安定な構造にするた
め、無添加の場合に比べ、より低温度域においても面心
構造となる。このことは、体心構造に変態する温度が低
くなることを意味する。また、Niはそれを添加するこ
とにより溶接金属の靱性を改善するという効果を持つ。
Cr系溶接金属におけるNi添加量の下限8%は、残留
応力低減効果が現れる最低限の添加量および靱性確保の
観点から決定した。Ni添加量の上限12%は、次に述
べるCr添加によりある程度Ms温度が低減されているこ
と、これ以上添加すると、Ms温度が低くなりすぎ変態
途中の段階で室温に達してしまい、構造物使用時に継手
の特性変化を引き起こしてしまう、また、これ以上添加
するとNiが高価であるという経済的デメリットが生じ
てくるためこの値を設定した。
マーである。しかし、Crは、それを鉄に添加すると、
高温度域ではフェライトであるものの、中温度域ではオ
ーステナイトを形成し、さらに温度が低くなると再びフ
ェライトを形成する。溶接部の場合、溶接入熱量により
熱履歴で、低い温度側のフェライトは一般的に得られ
ず、マルテンサイトが得られることになる。これは、C
rを添加することの利点は、焼入性の増加が原因である
ことを意味する。すなわち、Crを添加することによる
マルテンサイト変態は、焼入性が増加することによるフ
ェライト変態が生じない点と、Ms温度そのものが低く
なるという2つの点が存在する。これら両方の効果を満
たしながら残留応力を低減するための変態膨張を有効利
用するCr添加範囲として、下限11%を設定した。上
限15%は、これを上回る量を添加してもその効果が大
きくならない上、経済的にもデメリットが大きくなるた
め、この値を設定した。
いるが、必要に応じ、以下の成分も添加することができ
る。
炭化物を形成する。Nb炭化物は、少量で溶接金属の強
度を上げる働きがあり、従って、有効利用することの経
済メリットは大きい。しかし、一方で過度の炭化物形成
は、靱性劣化が発生するため自ずと上限が設定される。
Nbの下限は、炭化物を形成せしめ、強度増加効果が期
待できる最低の値として0.01%を設定した。上限
は、靱性劣化による溶接部の信頼性が損なわれない値と
して1%とした。
しかし、Nbと異なり、同じ析出効果を期待するために
は、Nbより添加量を多くする必要がある。V添加の下
限0.05%は、添加することにより析出硬化が期待で
きる最低値として設定した。Vの上限は、これより多く
添加すると析出硬化が顕著になりすぎ、靱性劣化を引き
起こすために0.5%とした。
出硬化を生じせしめる。しかし、Vの析出硬化がNbの
それと違っていたようにTiの析出硬化もまたNb、V
と異なる。そのため、Tiの添加量の範囲もNb、Vと
異なった範囲が設定される。Ti添加量の下限0.01
%は、その効果が期待できる最低量として、上限の1%
は靱性劣化を考慮して決定した。
待できる元素である。しかし、Moは、Nb、V、Ti
と同等な効果を得るためには、Nb、V、Ti以上に添
加する必要がある。Mo添加量の下限0.1%は、析出
硬化による降伏強度増加が期待できる最低値として設定
した。また、上限の1.5%は、Nb、V、Ti同様、
靱性劣化を考慮して決定した。
保する効果の他、溶接金属の結晶粒を微細化する効果も
ある。結晶粒の微細化には、溶接金属の靱性改善に有効
である。本発明は、疲労強度改善方法を提供することを
目的としているが、靱性改善が期待できる成分範囲を限
定することは有効なことと考えている。結晶粒の微細化
には、NbやTi単独の値よりもその合計、すなわちN
b+Tiの量が問題である。Nb+Tiの下限0.8%
は、これを下回る量では、結晶粒の微細化が充分に達成
されず、1.2%を超えると効果が飽和する。
について述べてきたが、溶接金属中の成分含有量を制御
する方法として、溶接に用いる溶接ワイヤ、充填フラッ
クスおよび溶接棒(溶接心線および被覆フラックス)な
どの溶接材料の成分を調整する必要がある。
0MPa級鋼を溶接する場合、溶接により形成された溶
接金属中の成分は、必ずしもその溶接材料の成分、すな
わちオールデポ試験における成分にならず、母材の成分
の溶け込み(母材希釈)によりその成分値が変わってし
まう。特に、本発明で対象とする被溶接材である軟鋼お
よび490MPa級鋼には、C、Si、Mnが基本成分
として含有し、不純物元素としてP、Sが含有されてお
り、これ以外の成分は通常添加されていない。
特に、CrおよびNiは溶接金属のMs温度を制御する
ために重要な元素であるため、本発明で規定する溶接金
属のMs温度にするためには、溶接材料中の成分、特
に、CrおよびNiの含有量を母材希釈を考慮した成分
含有量に規定しなければならない。また、溶接材料のM
s温度についても同様に溶接時の母材希釈の影響を考慮
して規定する必要がある。
0MPa級鋼の溶接の際に用いる溶接材料のMs温度お
よび成分を以下のように規定する。
わちオールデポ試験の溶接金属からフォーマスター試験
片を採取して測定したMs温度は、軟鋼または490M
Pa級鋼の母材希釈を考慮して、目標とする溶接金属の
Ms温度よりも25℃低い値にする必要がある。したが
って、本発明における溶接材料のMs温度を100〜2
00℃に規定する。なお、より確実に溶接継手の疲労強
度を向上させるためには、溶接材料のMs温度の上限を
170℃未満とすることが望ましい。
それぞれの成分の作用効果については上述の通りであ
り、また、溶接材料の成分の内、C、Si、Mn、P、
Sの各成分については、それぞれの成分含有量は上述の
溶接金属の含有量と同じでよい。しかしながら、軟鋼ま
たは490MPa級鋼の母材成分としては、通常含有し
ない溶接材料中のNi、Cr、Nb、V、Ti、Mo、
NbおよびTiの合計量については溶接時の母材希釈を
考慮して、Ni:10〜14%、Cr:13〜18%、
Nb:0.01〜1.2%、V:0.05〜0.6%、
Ti:0.01〜1.2%、Mo:0.1〜1.7%
(以上、Nb、V、TiおよびMoは、これら成分の内
の1種または2種以上を添加)、NbおよびTiの合計
量:0.9〜1.4%とそれぞれ規定する。
留オーステナイトを限定した理由について述べる。
うよりも、溶接割れを防ぐことを目的として導入するも
のである。割れを防ぐことができれば、割れによる疲労
強度低下を防止することができる。残留オーステナイト
の下限3%は、これを下回る残留オーステナイト量では
低温割れが発生する危険性が生じるためこの値を設定し
た。また、過度の残留オーステナイトは、溶接金属中に
未変態部分が多く存在することを意味し残留応力が充分
低減されない危険が生じてくる。さらに、多量の残留オ
ーステナイトを含有することは、室温において変態途中
段階であることを意味し、構造物使用中に外的要因例え
ば外からの衝撃により溶接金属が部分的に変態を開始
し、残留応力分布を変化させる危険性を高めてしまう。
残留オーステナイトの上限50%は、このような理由に
より設定した。
いて述べる。
ト、スタッド、が疲労荷重を受ける構造部材に溶接され
ている継手、スカラップの回し溶接継手が疲労荷重を受
ける構造部材に存在する場合などを考えている。本発明
においては、既に述べているように、溶接金属における
低Ms温度化を図り、この溶接金属の変態膨張に対する
反力を利用して鋼材HAZの残留応力低減使用という技
術である。この反力を利用する方法は、全ての溶接継手
に適用できるものではないため、この方法が有効になる
溶接継手に限定しなければならない。この技術は、図2
に示すような継手形状で有効になる。しかも、このよう
な継手は、溶接構造物でしばしば疲労が問題となる継手
である。本発明における溶接継手、すなわち面外ガセッ
ト1やカバープレート、またはスタッドが矢印の荷重負
荷方向2の疲労荷重を受ける構造部材3に回し溶接4さ
れている継手、あるいは、スカラップを有する構造部材
が回し溶接にて取り付けられている溶接継手である。こ
のような継手は、図3に示すように、溶接金属の変態膨
張に対する反力により鋼材側溶接熱影響部に圧縮残留応
力が主として図中AおよびBに導入される継手である。
すなわち、構造部材3の鋼材HAZの圧縮残留応力を溶
接金属変態膨張に対する反力の作用で低減できる溶接継
手であり、かつ、溶接構造物の疲労強度を決定する溶接
継手であるため、本発明ではこれら溶接継手に最適であ
る。
における溶接金属を形成せしめれば高疲労強度溶接継手
が実現するが、止端部溶接ビードが形成された後、さら
に図2に示すように他の付加ビード5が形成されると残
留応力の分布が変化する可能性がある。この付加ビード
5が新たに溶接止端部を形成するビードになる場合は、
このビードに対し本発明が提示する溶接金属になるよう
な材料選択を行った溶接継手を作製すればよい。しか
し、そうではない場合は、残留応力分布が変化する可能
性があるため、溶接止端部を形成する溶接ビードが、近
傍の他の溶接ビードと比べ最終凝固する、すなわち最終
ビードになるような溶接順序が選択された溶接継手にす
ることが望ましい。
の溶接ビードと比べ最終凝固するように溶接順序を設定
すれば残留応力低減が実現でき、疲労強度改善が期待で
きる。そのため、本発明における溶接金属を角回し継手
における付加ビードとして利用し、他の溶接ビードに対
しては、通常の軟鋼または490MPa級鋼材用の溶接
材料を用いても、疲労強度向上を達成することができ
る。このような溶接材料の組み合わせをすれば、実施工
上いくつかの利点を得ることができる。まず、低温変態
溶接材料は、合金元素を多く含むため、作業性の観点か
らは従来溶接材料より劣っているといわざるを得ない。
そのため、このような溶接材料の組み合わせは、ほとん
どの溶接金属を作業性が良好な従来溶材を使うことがで
きるという利点を生む。また、低温変態溶材は、合金元
素を多く含むが故に高価であるため、従来溶接材料との
組み合わせは、材料費を抑えることに有効である。
めに用いた溶接金属の成分値を示す。なお、表1におい
て、本発明例は本発明の規定範囲内の溶接材料を用いた
もの、比較例は本発明で規定する範囲外の溶接材料を用
いたものを示す。また、表1に、Ms温度(℃)を示し
ているが、これは各溶接金属より直接フォーマスター試
験片を採取し、それによりMs温度を測定した結果であ
る。
るために作製した溶接継手であって、面外ガセット1を
疲労荷重を受ける構造部材3に角回し溶接して溶接部6
を形成した角回し溶接継手の図を示している。溶接部本
ビード7は通常の溶接材料を用いているが、本溶接終了
後、付加ビード5として表1にある、WA、WBの溶接
金属を形成せしめた継手である。残留応力は、図4中の
残留応力測定位置8に示すような溶接止端部にゲージ長
さ2mmのひずみゲージを貼り付け、機械加工で応力を
緩和させる、いわゆる切断法で測定した。図5に残留応
力測定結果を示したが、図5より明らかなように、本発
明例ではWBは圧縮残留応力になっているのに対し、W
AはNi添加不足のため残留応力は引っ張りである。な
お、数値の単位はMPaである。
手の疲労試験結果を示す図であり、図4に示す面外ガセ
ットを角回し溶接で取り付けた溶接継手の疲労強度を示
している。疲労荷重負荷方向は、図4にある矢印方向、
すなわち、面外ガセット長手方向である。また、母材に
は軟鋼を用いた。付加ビードの用いた溶接金属は表1の
WB、WCおよびWDである。図6より、本発明例であ
るWB、WCは明らかに比較例であるWDより疲労寿命
および疲労限が向上している。
なる、カバープレートが疲労荷重を受ける構造部材に溶
接されている継手における疲労強度を調べた。図7は、
疲労強度をを調べたカバープレートが取り付けられた溶
接継手疲労試験片形状を示している。図中の付加ビード
5は、カバープレート9を溶接で接合した後の溶接部6
に形成されたビード、すなわち最終ビードである。疲労
荷重を受ける構造部材3の荷重負荷方向は、図中矢印の
方向である。また、この溶接継手では母材として490
MPa級鋼材を用いた。この付加ビードに対し、表1に
示す、WA、WB、WEの溶接金属を形成せしめ継手を
作製した。図8には、図7の溶接継手の疲労強度を示し
ている。すなわち、カバープレートが取り付けられた4
90MPa級鋼材を用いた溶接継手疲労試験結果を示し
ている。カバープレートを取り付けた溶接継手において
も、図8から明らかなように、本発明例の継手は比較例
と比べ疲労寿命、疲労限共に高いことが実証された。
部材に溶接されている継手において、表1にあるWFの
成分の溶接金属を形成せしめた場合の疲労強度を調べ
た。なお、WFの溶接金属を形成せしめた後、一部の試
験片はそのまますなわち溶接ままの状態で疲労試験を実
施した。図7と同じ形状の、490MPa級鋼材を用い
た溶接継手に、図9に示すように矢印の衝撃を加えた部
分10の範囲にわたって衝撃を加え、部分的に変態を促
進させた。図10は、このように付加ビードを形成する
溶接金属に衝撃を与えたときの疲労強度への影響を示し
た図である。図よりわかることは、溶接ままの方は、変
態温度も低く残留応力も低減されていて、疲労強度向上
が認められるが、部分的に衝撃を与えた試験片に対して
は、疲労強度が落ちていることが理解できる。これは、
衝撃を与えた部分が、変態が促進され、それに伴う膨張
により、他の部分に引張り残留応力を導入させてしまっ
たからである。これは、WFの溶接金属は、Ms温度が
100℃にも達しておらず、残留オーステナイト量は6
0%であり、本発明の範囲外であるからで、室温におい
て変態途中段階であるため、外的刺激により残留応力分
布が変化してしまうからである。実際の継手において、
わざとこのような外的刺激を与えることはないが、構造
物の使用中にどの様な外的負荷が作用するかは、必ずし
も予測できるものではない。例えば、地震などによる予
想外の衝撃が作用することもあり得る。従って、このよ
うな外的負荷が作用しても疲労強度改善効果が変わらな
いことが望ましい。実際、図8のWB、WEに図9に示
す範囲に衝撃を与えても疲労強度にほとんど影響を与え
なかった。
レート取り付け継手同様、疲労が問題となるスタッドが
取り付けられた溶接継手が疲労荷重を受ける部材に溶接
されている継手における疲労強度を調べた。図11は、
スタッド11が疲労荷重を受ける構造部材3に溶接部6
で溶接されている継手構造の疲労強度を調べた試験片形
状を示している。図中のハッチングを施した部分が溶接
ビードであり、この部分に表1に示しているWA、WB
の溶接金属を形成せしめ継手を作製した。母材に用いた
鋼材は軟鋼である。図12には、図11の溶接継手の疲
労試験結果を示している。図12で明らかなように、ス
タッドを取り付けた継手においても本発明例の溶接継手
は比較例と比べ疲労寿命、疲労限共に高い。
手形状を示している。すなわち、フランジ構造部材13
とウエブ構造部材14とを回し溶接4により接合し、付
加ビード5を形成した溶接継手である。図13中の付加
ビード部分に、表1に示すWA、WD、WB、WEの溶
接金属を形成せしめ継手を作製した。表1のWA、W
D、WB、WEの溶接金属は、図13のように付加ビー
ドとして形成せしめた。図14は、その疲労試験結果を
示している。図14より、本発明例の継手は、比較例よ
り、疲労限、疲労寿命ともに高い。
よび490MPa級鋼材を用いたときの溶接止端部の疲
労強度向上が実現でき、実用的な施工方法のみで作製可
能な疲労強度に優れた溶接継手およびその作製方法を提
供することが可能である。従って、本発明は工業的価値
のきわめて高い発明であるといえる。
て従来溶接材料とCr10%およびNi10%を含有す
る低温変態溶接材料を用いたときの疲労特性を示した図
である。
形状を示した図である。
残留応力が低減される鋼材HAZ領域を説明した図であ
る。
回し溶接で取り付け、さらに付加ビードを形成させた溶
接継手、およびその溶接継手における残留応力測定位置
を説明した図である。
表1に示すWA、WBの溶接金属を形成せしめたときの
残留応力測定結果を示した図である。
表1に示すWB、WC、WDの溶接金属を形成せしめた
ときの溶接継手における疲労強度を示した図である。
溶接にて取り付け、さらに付加ビードを形成させた溶接
継手を説明した図である。
表1に示すWA、WB、WEの溶接金属を形成せしめた
ときの溶接継手における疲労強度を示した図である。
溶接にて取り付け、さらに付加ビードを形成させ、その
付加ビードの一部に衝撃を加えた疲労試験片の形状を示
した図である。
ードとして表1のWFを用い、溶接金属への衝撃の有無
が与える疲労特性への影響を示した図である。
溶接して取り付けた溶接継手を説明した図である。
表1に示すWA、WBの溶接金属を形成せしめたときの
溶接継手における疲労強度を示した図である。
取り付け、さらに角回し部に付加ビードを形成させた継
手を説明した図である。
て、表1に示すWA、WB、WD、WEの溶接金属を形
成せしめたときの溶接継手における疲労強度を示した図
である。
Claims (10)
- 【請求項1】 軟鋼または490MPa級鋼の溶接継手
において、溶接止端部の溶接ビードの化学成分として、
質量%で、C:0.02〜0.1%、Si:0.1〜
0.7%、Mn:0.1〜1.5%、P:0.03%以
下、S:0.02%以下、Cr:11〜15%、Ni:
8〜12%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物か
らなり、かつオーステナイトからマルテンサイトに変態
を開始する温度が125〜225℃である溶接金属から
なることを特徴とする疲労強度に優れた軟鋼または49
0MPa級鋼の溶接継手。 - 【請求項2】 前記溶接止端部の溶接ビードの化学成分
として、さらに、質量%で、Mo:0.1〜1.5%、
Ti:0.01〜1%、Nb:0.01〜1%、および
V:0.05〜0.5%のうちの1種または2種以上を
含有することを特徴とする請求項1に記載の疲労強度に
優れた軟鋼または490MPa級鋼の溶接継手。 - 【請求項3】 前記溶接止端部の溶接ビードの化学成分
において、TiおよびNbの合計量が0.8〜1.2%
であることを特徴とする請求項2に記載の疲労強度に優
れた軟鋼または490MPa級鋼の溶接継手。 - 【請求項4】 前記溶接止端部の溶接ビードの溶接金属
組織として、残留オーステナイトを3〜50%含有する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の内の何れか1
項に記載の疲労強度に優れた軟鋼または490MPa級
鋼の溶接継手。 - 【請求項5】 軟鋼および490MPa級鋼を用いて溶
接継手を作製する方法において、化学成分として、質量
%で、C:0.02〜0.1%、Si:0.1〜0.7
%、Mn:0.1〜1.5%、P:0.03%以下、
S:0.02%以下、Cr:13〜18%、Ni:10
〜14%を含有し、残部が鉄または不可避的不純物から
なり、かつオーステナイトからマルテンサイトに変態を
開始する温度が100〜200℃である溶接材料を用い
て、溶接止端部に溶接ビードを形成することを特徴とす
る疲労強度に優れた軟鋼または490MPa級鋼の溶接
継手の作製方法。 - 【請求項6】 前記溶接材料の成分として、さらに、質
量%で、Mo:0.1〜1.7%、Ti:0.01〜
1.2%、Nb:0.01〜1.2%、およびV:0.
05〜0.6%のうちの1種または2種以上を含有する
ことを特徴とする請求項5に記載の疲労強度に優れた軟
鋼または490MPa級鋼の溶接継手の作製方法。 - 【請求項7】 前記溶接材料の成分において、Tiおよ
びNbの合計量が0.9〜1.4%であることを特徴と
する請求項6に記載の疲労強度に優れた軟鋼または49
0MPa級鋼の溶接継手の作製方法。 - 【請求項8】 溶接ビード形成後、さらに、前記溶接材
料を用いて、溶接止端部に付加溶接ビードを形成するこ
とを特徴とする請求項5から請求項7の内の何れか1項
に記載の疲労強度に優れた軟鋼または490MPa級鋼
の溶接継手の作製方法。 - 【請求項9】 荷重を受ける構造部材と面外ガセット、
カバープレート、およびスタッドのうちの1種または2
種以上とを回し溶接して溶接継手を作製することを特徴
とする請求項5から請求項8の内の何れか1項に記載の
疲労強度に優れた軟鋼または490MPa級鋼の溶接継
手の作製方法。 - 【請求項10】 スカラップを有する荷重を受ける構造
部材と構造部材とを回し溶接して溶接継手を作製するこ
とを特徴とする請求項5から請求項8の内の何れか1項
に記載の疲労強度に優れた軟鋼または490MPa級鋼
の溶接継手の作製方法。
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