JP2002047531A - 溶接部の疲労特性に優れた溶接構造用高張力鋼およびその製造方法 - Google Patents

溶接部の疲労特性に優れた溶接構造用高張力鋼およびその製造方法

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JP2002047531A
JP2002047531A JP2001090344A JP2001090344A JP2002047531A JP 2002047531 A JP2002047531 A JP 2002047531A JP 2001090344 A JP2001090344 A JP 2001090344A JP 2001090344 A JP2001090344 A JP 2001090344A JP 2002047531 A JP2002047531 A JP 2002047531A
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steel
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Kiyotaka Nakajima
清孝 中島
Tadashi Koseki
正 小関
Shinichi Omiya
慎一 大宮
Shuji Aihara
周二 粟飯原
Yoshiyuki Watabe
義之 渡部
Akihiko Kojima
明彦 児島
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接部の疲労特性に優れた高張力鋼およびそ
の製造方法の提供。 【解決手段】 質量%で、C:0.005〜0.1、S
i:0.01〜1.6、Mn:0.5〜2、P:0.0
1以下、S:0.005以下、Al:0.001〜0.
05、Ti:0.001〜0.05、Mg:0.000
1〜0.01、O:0.0001〜0.008、N:
0.001〜0.008を含有し、更にNb:0.05
〜0.3、V:0.05〜0.3の1種又は2種を含有
し、残部Feと不可避不純物からなり、下記式で定義し
たCeqとPcmがCeq:0.24%超0.55%以下、P
cm:0.25%以下を満たす溶接構造用高張力鋼。Ceq
=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+(Cr+Mo
+V)/5+Nb/3、Pcm=C+Si/30+(Mn
+Cu+Cr)/20+Ni/60+Mo/15+V/
10+5B

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶接部の靭性と疲
労強度の両方が必要とされる建築、造船、橋梁、建設機
械、海洋構造物などの溶接構造部材に使用される溶接部
の疲労特性に優れた溶接構造用高張力鋼およびその製造
方法、さらに詳しくは、引張強さが570MPa 〜780
MPa 級の溶接構造用高張力鋼およびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】溶接構造物の大型化と環境保全に対する
要求の高まりに伴い、構造物部材は従来にも増した信頼
性が要求されるようになってきている。溶接構造物で想
定される破壊形態としては疲労破壊、脆性破壊、延性破
壊などがあるが、これらのうち、最も頻度が高い破壊形
態は、初期欠陥からの疲労破壊あるいは脆性破壊、さら
には疲労破壊の後に続く脆性破壊である。最近の橋梁や
大型タンカーにおける疲労き裂発生、海洋構造物におけ
る疲労き裂を発端とした倒壊など、疲労破壊が問題とな
った事例は少なくない。これらの破壊形態は、構造物の
設計上の配慮だけでは防止が困難であり、突然の構造物
崩壊の原因となることが多く、構造物の安全確保の観点
からはその防止が最も必要とされる破壊形態である。構
造物の大型化に伴い、使用される鋼材の高強度化に対す
る要求も強くなっており、従来は普通鋼から引張強さが
490MPa 級の高張力鋼が用いられていたものが、最近
は引張強さが570MPa 級から780MPa 級の高張力鋼
材の使用が増加しつつある。このように高強度化の傾向
にあるが、鋼材の強度が高くなると、溶接構造物での靭
性、疲労強度の確保は一層難しくなってくる。
【0003】これまでに、疲労強度向上に関する技術が
多数提案されているが、そのほとんどは薄鋼板の母材、
あるいはスポット溶接部の疲労強度向上に関するもので
ある。例えば、特開昭61−96057号公報において
は、ベイナイトの面積比率を5〜60%とすることで疲
労強度向上が図れることが開示されている。厚鋼板溶接
継手の疲労破壊に関する研究によれば、疲労き裂は溶接
部の応力集中部に発生する。この部分には残留応力も作
用しているため、応力集中と残留応力の重畳作用により
疲労き裂の発生が容易となることが明らかにされてい
る。
【0004】これまでに、溶接部材の疲労強度支配要因
と疲労強度改善に関する膨大な研究がなされているが、
溶接部疲労強度の改善は、グラインダー研削、溶接ビー
ド最終層を加熱・再溶融により止端部形状を整形するな
どの溶接止端部形状改善による応力集中の軽減によるも
のなど、力学的要因による改善がほとんどであった(例
えば、特開昭59−110490号公報、特開平1−3
01823号公報など)。また、溶接後熱処理による残
留応力低減効果も従来からよく知られたものである。
【0005】溶接熱影響部のミクロ組織と疲労強度の関
係はこれまでにほとんどあきらかにされていないが、特
開平5−345928号公報では、HAZ組織の疲労強
度は島状マルテンサイトの生成により向上することが開
示されている。すなわち、硬質の島状マルテンサイトが
HAZ組織中に存在すると、一旦発生したミクロな疲労
き裂は伝播を阻止または遅延され、実質的に疲労強度が
上昇することが記載されている。
【0006】溶接部の疲労き劣発生・伝播のミクロ組織
依存性に関する系統的な実験を実施した結果、特開平8
−73983号公報では疲労き裂の発生・伝播を最も効
果的に抑制するHAZ組織はフェライトであることが明
らかにされている。すなわち、炭素当量値(以下Ceq)
限定し、HAZフェライト組織分率を増加させることに
よって溶接部の疲労強度が向上することが開示されてい
る。
【0007】570〜780MPa 級高張力鋼のようにH
AZ組織がベイナイトとなる場合の疲労き裂発生・伝播
の抑制は、Si添加とCeqの限定や高Nb添加とCeqの
限定が有効であることが特開平7−15450号公報な
どに開示されている。すなわち、Si添加はマルテンサ
イト添加を抑えつつベイナイト中のフェライトの固溶強
化によって、また、高Nb添加はNb炭化物の固溶ある
いは析出強化によってラス境界を強化する効果があり、
Ceqの限定はベイナイト全体を強化することによって溶
接部の疲労強度が向上することが記載されている。
【0008】しかしながら、特開昭61−96057号
公報記載の発明では、母材のベイナイト面積率を特定範
囲に限定することにより疲労強度を向上させるものであ
るが、これは薄鋼板母材の疲労強度向上に関するもので
あり、本発明が対象とする厚鋼板の突合せ溶接、または
隅肉溶接などにおける溶接継手の疲労強度向上には効果
がない。また、特開昭59−110490号公報および
特開平1−301823号公報記載の発明では、溶接後
に特殊な施工をする必要があり、溶接ままで疲労強度を
改善することができない。
【0009】そして、特開平5−34592号公報記載
の発明では、島状マルテンサイトを生成するために、溶
接後に溶接部をAc1 〜Ac3 の中間温度域に加熱後冷
却する特殊な溶接後熱処理を施すものであり、溶接まま
で疲労強度を向上させることはできない。また島状マル
テンサイト生成によって著しく靭性が低下することがよ
く知られており、良好なHAZ靭性を得ることについて
は考慮していない。
【0010】さらに、特開平8−73983号公報記載
の発明では、Ceq値を限定しHAZフェライト分率を増
加させることによって溶接部の疲労強度を向上させるも
のであるが、この方法は溶接構造用軟鋼板と引張強さが
490MPa 級高張力鋼板でHAZ組織がフェライトの場
合であり、溶接入熱が小さく冷却速度が速い場合や、5
70〜780MPa 級高張力鋼板でHAZのミクロ組織が
ベイナイトやマルテンサイトとなる場合に対して特に改
善を目指したものではない。
【0011】また、0.6%以上のSi添加でベイナイ
ト中のフェライトを固溶強化したり、高Nb添加がNb
炭化物の固溶あるいは析出強化によってラス境界を強化
し疲労き裂発生・伝播を抑制することも試みられている
が、0.6%以上のSi添加や、高Nb添加はHAZ脆
化をもたらす。したがって、どちらの方法も疲労強度向
上を維持しつつ、良好な溶接性やHAZ靭性を得ること
については考慮していない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、応力集中度
の低減や溶接残留応力の低減を実現するための付加的な
溶接施工法による疲労強度向上ではなく、鋼材成分を制
御することにより、良好な溶接性を維持しつつ、疲労強
度の大幅に向上された溶接構造用高張力鋼板およびその
製造方法を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】発明者らは570〜78
0MPa 級を中心とする高張力鋼のHAZ組織をベイナイ
トとして靭性と疲労強度の向上を目的として詳細な検討
を行った結果、高Nbあるいは高V添加とCeqおよびP
cmの限定が溶接部疲労特性の向上に有効であり、またさ
らに、微細な酸化物あるいは窒化物を鋼中に均一分散さ
せればHAZ組織の細粒化が可能で、HAZ靱性の向上
をも可能であることを見出した。
【0014】本発明はかかる知見に基づいて完成された
もので、その要旨とするところは次の通りである。 (1)質量%で、C :0.005〜0.1%、Si:
0.01〜1.6%、Mn:0.5〜2%、P :0.
01%以下、S :0.005%以下、Al:0.00
1〜0.05%、Ti:0.001〜0.05%、M
g:0.0001〜0.01%、O :0.0001〜
0.008%、N :0.001〜0.008%を含有
し、Nb:0.05〜0.3%、V :0.05〜0.
3%の1種または2種を、さらに含有し、残部Feおよ
び不可避不純物からなり、かつ、下記式で定義されるC
eqとPcmが、Ceq:0.55%以下、Pcm:0.25%
以下を満たすことを特徴とする溶接部の疲労特性に優れ
た溶接構造用高張力鋼。ただし、 Ceq(%)=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+
(Cr+Mo+V)/5+Nb/3 Pcm(%)=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/
20+Ni/60+Mo/15+V/10+5B (2)質量%で、C :0.005〜0.1%、Si:
0.01%以上1%未満、Mn:0.5〜2%、P :
0.01%以下、S :0.005%以下、Al:0.
001〜0.05%、Ti:0.001〜0.05%、
Mg:0.0001〜0.01%、O :0.0001
〜0.008%、N :0.001〜0.008%を含
有し、Nb:0.05〜0.3%、V :0.05〜
0.3%の1種または2種を、さらに含有し、残部Fe
および不可避不純物からなり、かつ、下記式で定義され
るCeqとPcmが、Ceq:0.24%超0.55%以下、
Pcm:0.25%以下を満たすことを特徴とする溶接部
の疲労特性に優れた溶接構造用高張力鋼。ただし、 Ceq(%)=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+
(Cr+Mo+V)/5+Nb/3 Pcm(%)=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/
20+Ni/60+Mo/15+V/10+5B (3)質量%で、C :0.005〜0.1%、Si:
1〜1.6%、Mn:0.5〜2%、P :0.01%
以下、S :0.005%以下、Al:0.001〜
0.05%、Ti:0.001〜0.05%、Mg:
0.0001〜0.01%、O :0.0001〜0.
008%、N :0.001〜0.008%を含有し、
Nb:0.05〜0.3%、V :0.05〜0.3%
の1種または2種を、さらに含有し、残部Feおよび不
可避不純物からなり、かつ、下記式で定義されるCeqと
Pcmが、Ceq:0.275%超0.55%以下、Pcm:
0.25%以下を満たすことを特徴とする溶接部の疲労
特性に優れた溶接構造用高張力鋼。ただし、 Ceq(%)=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+
(Cr+Mo+V)/5+Nb/3 Pcm(%)=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/
20+Ni/60+Mo/15+V/10+5B (4)質量%で、Cu:0.1〜2.5%、Ni:0.
1〜5%、Cr:0.1〜1%、Mo:0.1〜2%、
B :0.0002〜0.005%の1種または2種以
上を、さらに含有することを特徴とする前記(1)乃至
(3)のいずれかに記載の溶接部の疲労特性に優れた溶
接構造用高張力鋼。 (5)質量%で、Ca:0.0005〜0.005% REM:0.0005〜0.005%の1種または2種
以上を、さらに含有することを特徴とする前記(1)乃
至(4)のいずれかに記載の溶接部の疲労特性に優れた
溶接構造用高張力鋼。 (6)溶接熱影響部の組織において、ベイナイト組織の
面積率が60%超であることを特徴とする前記(1)乃
至(5)のいずれかに記載の溶接部の疲労特性に優れた
溶接構造用高張力鋼。 (7)粒子径0.002〜2μmのAl、Ti、Mgの
一種または二種以上を含有する酸化物粒子の単独もしく
はこれらの酸化物粒子を内包するTiNが合計で100
00個/mm2 以上含有し、溶接熱影響部組織の旧γ粒径
が溶接入熱によらず、10〜200μmであることを特
徴とする前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の溶接
部の疲労特性に優れた溶接構造用高張力鋼。 (8)前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の溶接構
造用高張力鋼の製造に際し、鋼片をAc3 以上1250
℃以下の温度に加熱し、650℃以上1200℃以下の
温度で累積圧下率が30〜95%の熱間圧延し、冷却後
にAc3 以上1000℃以下に再加熱した後、水冷ある
いは空冷することを特徴とする、溶接部の疲労特性に優
れた溶接構造用高張力鋼の製造方法。 (9)前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の溶接構
造用高張力鋼の製造に際し、鋼片をAc3 以上1250
℃以下の温度に加熱後、650℃以上1200℃以下の
温度で累積圧下率が30〜95%の熱間圧延をした後、
引き続き1〜100℃/secの冷却速度で0〜600℃ま
で加速冷却することを特徴とする溶接部の疲労特性に優
れた溶接構造用高張力鋼の製造方法。 (10)冷却後に、300℃〜Ac1 の温度範囲で焼戻
しすることを特徴とする、前記(8)または(9)に記
載の溶接部の疲労特性に優れた溶接構造用高張力鋼の製
造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】発明者らは、まず溶接継手の疲労
試験片のき裂発生・伝播の状況をミクロ的に詳細に観察
を行った。その結果、ほとんどの疲労き裂は溶接金属と
HAZ(熱影響部)の境界部、すなわち、溶接融合線
(fusion line:溶接金属とHAZ境界)付
近から発生し、HAZ内を伝播し、さらに母材部に突入
して試験片の全体破壊に至ることを知見した。溶接融合
線付近は溶接止端部に一致し、この部分で最も応力集中
が高くなるためである。このように、疲労き裂は溶接融
合線付近から発生し、HAZ内を伝播するために、疲労
強度はHAZのミクロ組織に大きく影響することが明ら
かとなった。
【0016】上記のように、疲労き裂の発生部は溶接融
合線近傍であり、さらにき裂伝播の初期段階ではHAZ
内である。これらの領域は応力集中部に一致している。
HAZミクロ組織と応力集中の両因子を再現することに
よりHAZミクロ組織が疲労強度に及ぼす影響を調査す
ることができる。すなわち、再現溶接熱サイクルを与え
た鋼材から応力集中を設けた試験を加工し、疲労試験に
供してHAZミクロ組織と疲労強度の関係を求めた。試
験片の外形寸法10×10×55mm、切欠き深さは2m
m、切欠き先端半径は0.75mmで、支点間距離を40m
mとして3点曲げ繰返し荷重を与え、疲労破壊させた。
応力集中係数は2.6である。
【0017】図1は、軟鋼および引張強さが780MPa
級の強度を有する実験室真空溶解鋼を素材として、最高
加熱温度を1400℃、800〜500℃の冷却時間を
1〜30秒とした溶接再現熱サイクルを与えた再現HA
Z材の疲労限度比(疲労限/再現HAZ材の引張強さ)
の再現HAZ材の引張強さに対する依存性を示したもの
である。
【0018】この図から明らかなように、疲労限度比は
HAZミクロ組織に大きく依存し、マルテンサイト、下
部ベイナイト、下部ベイナイト+上部ベイナイトの混合
組織、上部ベイナイト、フェライトの順に高くなる。す
なわち応力集中を有する疲労試験においてはHAZ組織
が高温変態組織ほど疲労限度比は高くなり、低温変態組
織ほど低くなる。
【0019】このように疲労強度がミクロ組織に依存す
る原因は完全には解明されていないが、 低温変態組織ほど変態時に導入された転位密度が高
く、この転位は繰返し応力を受けると再配列されてしま
うために転位強化は疲労強度にあまり寄与しない。 低温変態組織になるとベイナイトやマルテンサイトの
ラス界面、あるいは旧オーステナイト粒界の強度が粒内
組織の強度に比べて相対的に低くなり、ラス界面や旧オ
ーステナイト粒界で疲労き裂が容易に発生する。 フェライト組織では伝播するき裂先端における塑性変
形が顕著で、塑性吸収エネルギーが増大し、その結果と
してき裂伝播を遅延させる。 などの理由が考えられる。応力集中の少ない平滑試験片
においては疲労強度のミクロ組織依存性は少なく、むし
ろ静的な引張強さと高い相関関係を有することが知られ
ている。
【0020】このように、再現HAZ材疲労強度がミク
ロ組織により影響を受け、特にフェライト主体組織で疲
労限度比が上昇することは応力集中部で特異的に生じる
現象であり、ミクロ組織をフェライト主体組織とするこ
とによる疲労強度向上の効果は溶接継手のように応力集
中が存在する場合に特に顕著に作用するものである。
【0021】したがって、HAZミクロ組織をフェライ
ト主体組織とすることが疲労強度向上の上で最も望まし
いが、HAZが連続的に受ける連続冷却変態で100%
フェライト組織にすることは、特に冷却速度が大きい小
・中入熱溶接では困難であり、本発明が対象としている
引張強さ570〜780MPa 級の強度を持つこともフェ
ライト主体組織では困難であるので、フェライトに次い
で疲労限度比が高い上部ベイナイト主体組織とした。
【0022】図2は、軟鋼および引張強さ490MPa
、Siを0.2%程度含んだ引張強さ570〜78
0MPa 、NbもしくはVを0.1%程度含んだ引張強
さ570〜780MPa 、NbもしくはVを0.1%程度
含み、Mgを添加し、HAZを細粒化した引張強さ57
0〜780MPa 、それぞれの実験室真空溶解鋼を素材と
して、最高加熱温度を1400℃、800〜500℃の
冷却時間を1〜30秒とした溶接再現熱サイクルを与
え、HAZ組織をベイナイト60%超としたものについ
ての疲労試験を実施した結果で、疲労限度比の各種鋼材
のCeqに対する依存性を示したものである。
【0023】ここで示したCeqは一般に使用されている
IIWの炭素当量式にNbの焼入れ性上昇効果を考慮し
た次式によるものである。 Ceq(%)=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+
(Cr+Mo+V)/5+Nb/3 この図から明らかなように、高Nbもしくは高V添加が
疲労限度比を高くし、Mg添加でのHAZ細粒化により
さらに上昇しているのがわかる。また、Ceqが0.3%
以上になると疲労限度比が高くなる。
【0024】疲労強度が同じベイナイト60%超のHA
Z組織にもかかわらず高Nbもしくは高V添加とCeqに
依存する原因については十分に解明されていないが、
Ceqが大きい領域ではベイナイト中のセメンタイトとラ
ス境界の強度差が小さくなり、ラス境界での疲労き裂の
発生を抑制する、高Nbもしくは高V添加は、ベイナ
イト中のラス境界にNbおよび微細なNb(CN)もし
くはVおよび微細なV(CN)あるいはV4 (CN)が
析出あるいは偏析してラス境界を強化し、疲労き裂の発
生を抑制する、などの理由が考えられる。
【0025】また、Mg添加によって、さらに疲労特性
の大幅な増加が得られたが、その理由としては、HA
Z細粒化による歪の分散効果に加えて、HAZ組織が強
化され、疲労き裂の発生を抑制する、HAZ細粒化に
よって増加した粒界あるいはラス境界等が障害となっ
て、疲労き裂の伝播を遅延する、集合組織の発達によ
って疲労き裂の伝播を抑制する、などの理由が考えられ
る。
【0026】また、NbやVを含む析出物の析出によっ
て低下するHAZ靭性も、HAZ細粒化によって通常の
鋼材以上に上昇し、入熱条件に依存せず、良好なHAZ
靭性を持つようになる。上記の検討結果から明らかなよ
うに、本発明の骨子は、HAZ組織がベイナイト60%
超、高Nbもしくは高V添加、Ceqの限定、HAZ細粒
化によって溶接部の靭性を維持しつつ、疲労強度を向上
するものである。
【0027】以上の基本思想に基づいて、各合金元素の
範囲を限定した理由を以下に述べる。なお、以下の%は
質量%を意味するものとする。Cは、鋼の強度を向上さ
せる有効な成分として含有するもので、0.005%未
満では母材強度を確保するのが困難である。0.1%超
では母材および溶接部の靭性や耐溶接割れ性を低下させ
るので、0.005〜0.1%とした。
【0028】Siは、強度確保のほか脱酸元素として必
須の元素であり、ベイナイト中のフェライトを固溶強化
してラス境界を強化させ疲労強度も向上する。その効果
を得るためには0.01%以上の添加が必要で、1.6
%を越えると逆にラス境界からき裂が発生しやすくな
り、HAZ靭性も低下する。したがって、その量は0.
01〜1.6%とした。
【0029】Mnは、強度を高めるために必須の元素で
あるが0.5%未満では母材強度を確保できない。一
方、2%を超えるとHAZ組織がマルテンサイト主体と
なって疲労強度が低下するため、その量を0.5〜2%
とした。
【0030】Pは、鋼の靭性に影響を与える元素であ
り、0.01%を超えると母材だけでなくHAZの靭性
を著しく阻害するので、極力少ないほうが良く、その量
を0.01%以下とした。
【0031】Sは、Pと同様に低いほど好ましく、0.
005%を超えるとMnS析出が顕著となり、母材のH
AZ靭性を阻害し、板厚方向の延性も低下させる。さら
に、MnS介在物が多量に存在すると、これが疲労き裂
の起点となり疲労強度のばらつきの原因となる。そのた
めその量を0.005%以下とした。
【0032】Alは、脱酸、オーステナイト粒径の細粒
化等に有効な元素である。また、後述するように、HA
Z靭性向上に必要なMgO、Mg含有酸化物の微細分散
に寄与する。効果を発揮するためには0.001%以上
含有する必要がある。一方、0.05%を超えると、粗
大な酸化物を形成して延性を極端に劣化させるとともに
疲労き裂の起点の原因となるため、その量を0.001
〜0.05%とした。
【0033】Tiは、析出強化により母材強度向上に寄
与するとともに、高温でも安定なTiNの形成により加
熱オーステナイト粒径微細化にも有効な元素である。ま
た、後述するように、HAZ靭性向上に必要なMgO、
Mg含有酸化物の微細分散に寄与する。効果を発揮する
ためには0.001%以上含有する必要がある。一方、
0.05%を超えると、粗大な酸化物を形成して延性を
極端に劣化させるとともに疲労き裂の起点の原因となる
ため、その量を0.001〜0.05%とした。
【0034】Mgは、本発明の主たる合金元素の一つ
で、0.01%を超えると、粗大な酸化物が生成しやす
くなり、母材およびHAZ靭性の低下をもたらす。しか
しながら、0.0001%未満の添加では、粒内変態お
よびピニング粒子として必要な酸化物の生成が十分に期
待できなくなるため、その量を0.0001〜0.01
%とした。
【0035】Oは、Mg含有酸化物を生成させるための
必須元素である。鋼中に最終的に残存する酸素量として
は、0.0001%未満では酸化物の個数が十分とはな
らないために、0.0001%を下限値とする。一方、
0.008%を越えて残存した場合は、粗大な酸化物が
多くなり、母材およびHAZ靭性の低下をもたらす。し
たがって上限値を0.008%とした。
【0036】Nは、AlやTiと化合してオーステナイ
ト粒微細化に有効に働くため、微量であれば機械的性質
向上に寄与する。また、工業的に鋼中のNを完全に除去
することは不可能であり、必要以上に低減することは製
造工程に過大な負荷をかけるため好ましくない。そのた
め工業的に制御が可能で、製造工程への負荷が許容でき
る範囲として下限を0.001%とする。過剰に含有す
ると、固溶Nが増加し、延性や靭性に悪影響を及ぼす可
能性があるため、許容できる範囲として上限を0.00
8%とした。
【0037】NbもしくはVは、本発明の成分として主
たる元素の一つであり、ベイナイト中のラス境界にNb
の微細な炭化物あるいは窒化物もしくはVの微細な炭化
物あるいは窒化物が析出してラス境界を強化し溶接継手
部の疲労強度が向上でき、Si添加が0.6%未満の場
合でも疲労強度は十分に向上できる。その効果を得るに
は0.05%超が必要である。一方、0.3%を超える
と析出物が粗大化し、それが起点となってき裂が発生し
やすくなり、疲労強度とHAZ靭性が低下する。したが
ってその添加量を0.05〜0.3%とする。なお、N
bとVは両方を同時にそれぞれ0.3%まで添加しても
良いが、NbとVの合計が0.5%を超えると粗大な析
出物が析出しやすくなるので、0.5%以下となるよう
に添加することが好ましい。
【0038】以上が本発明における基本成分系である
が、さらに本発明においては上記成分の添加量と溶接熱
影響部の焼入れ性となる硬化性Ceqと溶接性を考慮した
低温割れ感受性Pcmとの間にCeq≦0.55%およびP
cm≦0.25%を満たすことを重要な骨子としており、
溶接性および溶接部の靭性と疲労強度を向上させるもの
である。
【0039】すなわち、Ceqは強度向上のために高いほ
どよいが、0.55%を超えるとベイナイトからマルテ
ンサイト主体の組織になって疲労強度が低下する。した
がって上限値を0.55%とした。また、逆にCeqが低
すぎる場合は、フェライト主体の組織となり強度が不十
分となる。そのため、Siが1%未満の場合は0.24
%超、Siが1%以上の場合は0.275%超をCeqの
下限値とする。なお、570MPa 以上の強度を確実に得
ようとする場合はSi含有量を問わずCeqを0.3%以
上とすることが好ましい。また、Pcmが0.25%を超
えると低温割れを起こす可能性があり、溶接ままでHA
Z靭性および疲労強度を向上させることが困難になって
くる。したがって上限値を0.25%とした。なお、下
限値は特に限定しないが、本発明鋼の成分で0.1%を
下回ることはほとんどなく、強度を考慮すると0.12
%以上が好ましい。
【0040】選択的に添加するCu、Ni、Cr、M
o、Bは全て焼入れ性Ceqを高める元素であり、基本成
分に1種あるいは2種以上含有することが効果的であ
る。以下に、各元素の成分限定理由を述べる。
【0041】Cuは、靭性を低下させずに強度の上昇に
有効な元素であるが、0.1%未満では効果がなく、
2.5%を超えると鋼片加熱時や溶接時に割れを生じや
すくする。したがって、その量を0.1〜2.5%とす
る。
【0042】Niは、靭性および強度の改善に有効な元
素であり、その効果を得るためには0.1%以上の添加
が必要であるが、5%以上の添加では溶接性が低下する
ばかりか、HAZ組織はベイナイトからマルテンサイト
主体の組織となって疲労強度を低下させる。したがっ
て、その量を0.1〜5%とした。
【0043】Crは、焼入れ性を高めて強度を確保する
上で0.1%以上必要である。一方、1%を超えるとN
iの同様の理由で好ましくない。したがって、その量を
0.1〜5%とした。
【0044】Moは、焼入れ性向上、強度向上、耐焼戻
し脆化、再結晶抑制に有効な元素であり、その効果を得
るためには0.1%以上の添加が必要であるが、2%を
超えると靭性および溶接性が劣化する。したがって、そ
の量を0.1〜2%とした。
【0045】Bは、固溶状態でオーステナイト粒界に偏
析することで、微量で焼入れ性を高めることが可能な元
素であるが、粒界に偏析した状態では、オーステナイト
の再結晶抑制にも有効である。焼入れ性、再結晶抑制に
効果を発揮するためには0.0002%以上の添加が必
要であるが、一方、0.005%を超える過剰の添加で
は、BN、Fe23(C,B)6 等の粗大な析出物を生じ
て、靭性が劣化するため、0.0002〜0.005%
に限定する。
【0046】またさらに、延性の向上、継手靭性の向上
のために、必要に応じて、Ca、REMの1種または2
種以上を含有することができる。Ca、REMはいずれ
も硫化物の熱間圧延中の展伸を抑制して延性特性向上に
有効である。酸化物を微細化させて継手靭性の向上にも
有効に働く。Ca、REMともに0.0005%未満で
は、この効果が得られないので下限値を0.0005%
とした。逆に、0.005%を超えると、Ca、REM
の酸化物個数が増加し、超微細なMg含有酸化物の個数
が低下する、あるいは硫化物や酸化物の粗大化を生じ、
延性、靭性の劣化を招くため、その上限値を0.005
%とした。
【0047】本発明の高張力鋼板は、高張力鋼板として
の強度を確保するためベイナイト組織の面積率を60%
超とすることが好ましい。60%以下の場合は強度と疲
労特性を両立させることが困難となる。本発明の高張力
鋼板は、CeqとPcmの限定を含む上記成分要件を満たし
た上で、特定の粒子が分散していることによりHAZ靱
性を向上させることが出来る。本発明における特徴の一
つは、Nb(及び/又はV)を比較的多量に添加するこ
とにある。Nbを比較的多く添加した例として、例えば
特開平5−25542号公報、特開平5−209222
号公報に開示されているが、この場合、多量のNb添加
により大入熱溶接HAZの靱性は著しく劣化する。
【0048】低合金鋼の低温靱性は、(1)結晶粒のサ
イズ、(2)MAや上部ベイナイト(Bu)などの硬化
相の分散状態など種々の冶金学的要因に支配される。な
かでもHAZの結晶粒のサイズおよびMAは低温靱性に
大きな影響を与えることが知られている。そこで、本発
明ではHAZの結晶粒を微細化することにより、Nbが
多量に添加された厚鋼板のHAZ靱性の大幅な改善を図
った。溶接入熱量が増加すると、HAZにおいてγ粒が
粗大化し、その後の冷却速度の低下によりHAZ組織は
粗大化し、HAZ靱性は劣化する。
【0049】そこで、粒子径0.002〜2μmのA
l、Ti、Mgの一種または二種以上含有する酸化物粒
子またはこれらの酸化物粒子を内包する微細なTiNな
どの炭窒化物を合計で10000個/mm2 以上、鋼中に
生成させることによりHAZにおけるγ粒径を10〜2
00μmに抑制してHAZ靱性を向上させることができ
る。酸化物は高温でも化学的に安定で溶解しないため、
HAZにおいてγ粒の粗大化抑制効果が維持され、γ粒
径が10〜200μmであれば、良好なHAZ靱性を確
保できる。
【0050】次に、本発明の高張力鋼板製造方法におけ
る製造条件の限定理由を述べる。まず、圧延条件に関し
ては以下に説明する。上記の成分を含有する鋼は、製造
工程で溶製後、連続鋳造などを経て厚板加熱、圧延を施
される。この場合、圧延方法と加速冷却方法および熱処
理方法については、当該分野において従来から適用され
ている方法を用いても溶接部の靭性および疲労強度に関
しては、何ら差し支えない。母材強度および靭性を要求
する時にのみに限定する。
【0051】前記(8)において、熱間圧延・冷却後に
おける再加熱処理の温度をAc3 以上1000℃以下に
限定した理由は、母材組織をマルテンサイトを含んだベ
イナイト主体組織にし、かつ母材の強度・靭性バランス
を得るための温度範囲である。この温度以下では十分な
強度が得られないためである。
【0052】炭素当量値が低い場合や板厚が大きい場合
には、このような常法の圧延方法では必要とする強度が
得られない場合がある。このような場合には、前記
(9)に記載の制御圧延・加速冷却法により母材強度を
上昇させることができる。熱間圧延温度を1200℃の
高温域まで拡大した理由は圧延処理による細粒化効果が
期待でき再加熱処理に比べて強度・靭性の向上のためで
ある。
【0053】前記(10)に記載の圧延・冷却後に引き
続き実施する焼戻し処理は、回復による母材組織の靭性
向上を目的としたものであるから、加熱温度は逆変態が
生じない温度域であるAc1 以下でなければならない。
回復は転位の消滅・合体により格子欠陥密度を減少させ
るものであり、これを実現させるためには300℃以上
に加熱することが必要であるため、下限を300℃とし
た。
【0054】また、Cu、Mo、Nb、V、Bの析出元
素を含有している場合は、熱処理で微細析出物を生成さ
せることにより母材強度を向上させることができる。な
お、析出硬化を最も有効に作用させるための加熱温度は
析出硬化元素にも依存するが、400〜600℃の範囲
が好ましい。
【0055】
【実施例】以下に、本発明の実施例を述べる。連続鋳造
により製造したスラブから板厚が20〜40mmの鋼板を
製造した。表1に、化学成分を示す。鋼1〜35が本発
明鋼、鋼36〜45が比較鋼である。表2に、本発明鋼
における粒子の分散状態を示す。表3に、鋼板の製造条
件と引張特性を示す。本発明鋼1、2、6〜20、24
〜35、および比較鋼36、37、39〜44は本発明
請求項9に示した制御圧延・制御冷却法で製造した。他
の鋼板は常法の熱間圧延法により製造した。加熱温度は
全ての鋼でAc3 変態点以上である。また、冷却後に焼
戻し熱処理を実施した鋼の焼戻し温度は全て600℃以
下で、Ac1 変態点以下である。
【0056】これら供試鋼を用いてT字隅肉溶接継手を
作成した。表4に溶接条件を示す。溶接継手の疲労強度
は板厚依存性を示す。板厚依存性を取り除くために、板
厚が20mm超の鋼板は裏面を切削して20mm厚としてか
ら溶接を実施した。図3にT字隅肉溶接継手から作成し
た3点曲げ疲労試験片形状を示す。繰返し最大荷重と最
小荷重の比が0.1の条件で疲労試験を実施した。
【0057】表5に疲労試験結果、および表1に示す成
分の鋼板に、溶接入熱が17kJ/cmの小入熱、および1
50kJ/cm の大入熱溶接を付与し、シャルピー衝撃試験
によりHAZ靭性の入熱依存性を評価した結果を示す。
溶接継手疲労強度は106 回疲労強度、および疲労限を
指標として比較した。また、吸収エネルギーは0℃にお
ける3本の試験片について測定を行った平均値である。
これによりHAZ組織がベイナイト60%超からなる引
張強さ570〜780MPa 級高張力溶接構造用鋼板にお
いて、本発明鋼は比較鋼の溶接継手疲労強度およびHA
Z靭性より向上することが確認された。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】
【表7】
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明鋼はHAZ
組織がベイナイト60%超からなる引張強さ570〜7
80MPa 級高張力溶接構造用鋼板において、疲労き裂発
生・伝播の抑制に対して高Nb添加とCeqの限定、およ
びMg添加によるHAZ細粒化によって、付加的溶接に
よる応力集中低減などによらず溶接継手の疲労強度、お
よび靭性を向上することが可能であり、本発明鋼を用い
ることにより溶接構造物の疲労破壊、および脆性破壊に
対する信頼性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】疲労限度比(疲労限/再現HAZ材の引張強
さ)の再現HAZ材の引張強さに対する依存性を示した
図である。
【図2】疲労限度比の各種鋼材のCeqに対する依存性を
示した図である。
【図3】実施例においてT字隅肉溶接継手から作成した
3点曲げ疲労試験片形状を図示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大宮 慎一 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 粟飯原 周二 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 渡部 義之 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 (72)発明者 児島 明彦 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 Fターム(参考) 4K032 AA01 AA02 AA04 AA08 AA11 AA14 AA15 AA16 AA19 AA20 AA21 AA22 AA23 AA24 AA26 AA27 AA29 AA31 AA32 AA35 AA36 AA40 BA01 CA01 CA02 CA03 CB01 CB02 CD02 CD03 CF01 CF02 CF03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、 C :0.005〜0.1%、 Si:0.01〜1.6%、 Mn:0.5〜2%、 P :0.01%以下、 S :0.005%以下、 Al:0.001〜0.05%、 Ti:0.001〜0.05%、 Mg:0.0001〜0.01%、 O :0.0001〜0.008%、 N :0.001〜0.008%を含有し、 Nb:0.05〜0.3%、 V :0.05〜0.3%の1種または2種を、さらに
    含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ、
    下記式で定義されるCeqとPcmが、 Ceq:0.55%以下、 Pcm:0.25%以下を満たすことを特徴とする溶接部
    の疲労特性に優れた溶接構造用高張力鋼。 ただし、 Ceq(%)=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+
    (Cr+Mo+V)/5+Nb/3 Pcm(%)=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/
    20+Ni/60+Mo/15+V/10+5B
  2. 【請求項2】 質量%で、 C :0.005〜0.1%、 Si:0.01%以上1%未満、 Mn:0.5〜2%、 P :0.01%以下、 S :0.005%以下、 Al:0.001〜0.05%、 Ti:0.001〜0.05%、 Mg:0.0001〜0.01%、 O :0.0001〜0.008%、 N :0.001〜0.008%を含有し、 Nb:0.05〜0.3%、 V :0.05〜0.3%の1種または2種を、さらに
    含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ、
    下記式で定義されるCeqとPcmが、 Ceq:0.24%超0.55%以下、 Pcm:0.25%以下を満たすことを特徴とする溶接部
    の疲労特性に優れた溶接構造用高張力鋼。 ただし、 Ceq(%)=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+
    (Cr+Mo+V)/5+Nb/3 Pcm(%)=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/
    20+Ni/60+Mo/15+V/10+5B
  3. 【請求項3】 質量%で、 C :0.005〜0.1%、 Si:1〜1.6%、 Mn:0.5〜2%、 P :0.01%以下、 S :0.005%以下、 Al:0.001〜0.05%、 Ti:0.001〜0.05%、 Mg:0.0001〜0.01%、 O :0.0001〜0.008%、 N :0.001〜0.008%を含有し、 Nb:0.05〜0.3%、 V :0.05〜0.3%の1種または2種を、さらに
    含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ、
    下記式で定義されるCeqとPcmが、 Ceq:0.275%超0.55%以下、 Pcm:0.25%以下を満たすことを特徴とする溶接部
    の疲労特性に優れた溶接構造用高張力鋼。 ただし、 Ceq(%)=C+Mn/6+(Cu+Ni)/15+
    (Cr+Mo+V)/5+Nb/3 Pcm(%)=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/
    20+Ni/60+Mo/15+V/10+5B
  4. 【請求項4】 質量%で、 Cu:0.1〜2.5%、 Ni:0.1〜5%、 Cr:0.1〜1%、 Mo:0.1〜2%、 B :0.0002〜0.005%の1種または2種以
    上を、さらに含有することを特徴とする請求項1乃至3
    のいずれか1項に記載の溶接部の疲労特性に優れた溶接
    構造用高張力鋼。
  5. 【請求項5】 質量%で、 Ca:0.0005〜0.005% REM:0.0005〜0.005%の1種または2種
    以上を、さらに含有することを特徴とする請求項1乃至
    4のいずれか1項に記載の溶接部の疲労特性に優れた溶
    接構造用高張力鋼。
  6. 【請求項6】 溶接熱影響部の組織において、ベイナイ
    ト組織の面積率が60%超であることを特徴とする請求
    項1乃至5のいずれか1項に記載の溶接部の疲労特性に
    優れた溶接構造用高張力鋼。
  7. 【請求項7】 粒子径0.002〜2μmのAl、T
    i、Mgの1種または2種以上を含有する酸化物粒子の
    単独もしくはこれらの酸化物粒子を内包するTiNが合
    計で10000個/mm2 以上含有し、溶接熱影響部組織
    の旧γ粒径が溶接入熱によらず、10〜200μmであ
    ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記
    載の溶接部の疲労特性に優れた溶接構造用高張力鋼。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の
    溶接構造用高張力鋼の製造に際し、鋼片をAc3 以上1
    250℃以下の温度に加熱し、650℃以上1200℃
    以下の温度で累積圧下率が30〜95%の熱間圧延し、
    冷却後にAc 3 以上1000℃以下に再加熱した後、水
    冷あるいは空冷することを特徴とする、溶接部の疲労特
    性に優れた溶接構造用高張力鋼の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の
    溶接構造用高張力鋼の製造に際し、鋼片をAc3 以上1
    250℃以下の温度に加熱後、650℃以上1200℃
    以下の温度で累積圧下率が30〜95%の熱間圧延をし
    た後、引き続き1〜100℃/secの冷却速度で0〜60
    0℃まで加速冷却することを特徴とする、溶接部の疲労
    特性に優れた溶接構造用高張力鋼の製造方法。
  10. 【請求項10】 冷却後に、300℃〜Ac1 の温度範
    囲で焼戻しすることを特徴とする、請求項8または9に
    記載の溶接部の疲労特性に優れた溶接構造用高張力鋼の
    製造方法。
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