JP2018076563A - 高強度鋼 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶接継手の溶接熱影響部における予測最低CTOD値を高くできる鋼を提供する。
【解決手段】本発明の鋼は、C:0.01〜0.15質量%、Si:0.5質量%以下(0質量%を含む)、Mn:0.6〜2.0質量%、P:0質量%超、0.03質量%以下、S:0質量%超、0.025質量%以下、Al:0.01〜0.07質量%、Cu:0質量%超、1.0質量%以下、Ni:0質量%超、1.8質量%以下、Ti:0.003〜0.03質量%、N:0.001〜0.01質量%、Nb:0.003質量%以上、0.05質量%未満、およびCr:1.2質量%以下(0質量%を含む)を含み、残部が鉄及び不可避不純物からなる鋼であって、溶接した際に、MAおよび当該MAを囲む周囲組織を含む溶接熱影響部が形成され、前記溶接熱影響部が下記式(1)を満足することを特徴とする。
MHhr=MAの硬さ/周囲組織の硬さ≦1.72・・・(1)
【選択図】図1
【解決手段】本発明の鋼は、C:0.01〜0.15質量%、Si:0.5質量%以下(0質量%を含む)、Mn:0.6〜2.0質量%、P:0質量%超、0.03質量%以下、S:0質量%超、0.025質量%以下、Al:0.01〜0.07質量%、Cu:0質量%超、1.0質量%以下、Ni:0質量%超、1.8質量%以下、Ti:0.003〜0.03質量%、N:0.001〜0.01質量%、Nb:0.003質量%以上、0.05質量%未満、およびCr:1.2質量%以下(0質量%を含む)を含み、残部が鉄及び不可避不純物からなる鋼であって、溶接した際に、MAおよび当該MAを囲む周囲組織を含む溶接熱影響部が形成され、前記溶接熱影響部が下記式(1)を満足することを特徴とする。
MHhr=MAの硬さ/周囲組織の硬さ≦1.72・・・(1)
【選択図】図1
Description
本発明は、溶接熱影響部(Heat Affected Zone:HAZ)のき裂先端開口変位(Crack Tip Opening Displacement:CTOD)特性が優れた鋼に関し、特に、小入熱溶接から中入熱溶接のHAZのCTOD特性に優れた鋼に関する。
近年、船舶、海洋構造物、鋼管、タンクおよび橋梁等の構造物、並びに土木機械、建築機械および建産機械等は大型化が進んでいる。それらの軽量化の観点から、使用する鋼材の板厚を薄肉化するために、鋼材の高強度化が要求される。
また、船舶等で万一事故が発生した場合、人的被害や経済的被害は大きい。船舶等の事故原因となる船体の大規模破壊(マクロ破壊)を抑制するためには、マクロ破壊の原因となる脆性亀裂の発生を抑制する必要がある。船舶等を所望の形状に組み立てる際には鋼材の溶接継手を多用するが、脆性亀裂の多くは、溶接継手の溶接接合部から発生する。溶接接合部には、低温環境においても脆性亀裂が発生しにくいように高い低温靱性が求められる。
また、船舶等で万一事故が発生した場合、人的被害や経済的被害は大きい。船舶等の事故原因となる船体の大規模破壊(マクロ破壊)を抑制するためには、マクロ破壊の原因となる脆性亀裂の発生を抑制する必要がある。船舶等を所望の形状に組み立てる際には鋼材の溶接継手を多用するが、脆性亀裂の多くは、溶接継手の溶接接合部から発生する。溶接接合部には、低温環境においても脆性亀裂が発生しにくいように高い低温靱性が求められる。
脆性亀裂とマクロ破壊との関係について、非特許文献1には、下記条件式(X)を満足すると、「発生した脆性亀裂が隣接する結晶粒へ伝播」し、そして「伝播した亀裂が隣接粒界を突破」して、マクロな破壊に至ることが開示されている。
破壊の限界条件:σMAX≧σF・・・(X)
ここでσMAX:亀裂先端の最大主応力、σF:局所破壊応力である。
破壊の限界条件:σMAX≧σF・・・(X)
ここでσMAX:亀裂先端の最大主応力、σF:局所破壊応力である。
構造物の安全性を評価する指標として、CTOD試験による限界CTOD値が用いられている(例えば、非特許文献2)。式(X)において、σFが小さくなると、CTOD値が低下する。
一般に限界CTOD値は、鋼材の様々な組織因子によってばらつくことが知られている。また非特許文献4には、多層盛溶接熱影響部を対象としたCTOD試験は、各試験温度の最低試験本数が3本と規定されている。
一般に限界CTOD値は、鋼材の様々な組織因子によってばらつくことが知られている。また非特許文献4には、多層盛溶接熱影響部を対象としたCTOD試験は、各試験温度の最低試験本数が3本と規定されている。
従来より、溶接熱影響部のCTOD値を向上するために、様々な試みがされている。例えば、溶接熱影響部の組織の硬化を抑制すること、溶接熱影響部に生成するMAは破壊の起点となるためMA生成を抑制すること、または溶接熱影響部の結晶粒径の微細化することなどが挙げられる(例えば、特許文献1〜5)。
具体的には、特許文献1では、鋼成分硬さパラメータCeqHを0.235以下に制御することにより、溶接熱影響部(特に、ICHAZ:Intercritical HAZ)の硬さを低く抑えることができ、これによりCTOD値を向上させるものである。
特許文献2では、脆弱化に影響する合金元素のパラメータCeHを0.05以下に制御することにより、CTOD値を向上させている。
特許文献2では、脆弱化に影響する合金元素のパラメータCeHを0.05以下に制御することにより、CTOD値を向上させている。
特許文献3は、Cu−Ni−Mo−Nb−Ti−Al含有鋼材について開示しており、Cuを析出させ、Al量を低減することにより、MA生成を抑制している。
特許文献4の鋼材は、Si量とAl量を共に低減することにより、MA生成を抑制するものである。
特許文献5の鋼材は、Si量とAl量を共に低減することによりMA生成を抑制し、さらに、Ti添加と共にN量及びB量を低減することにより、HAZの結晶粒径を微細化している。
特許文献4の鋼材は、Si量とAl量を共に低減することにより、MA生成を抑制するものである。
特許文献5の鋼材は、Si量とAl量を共に低減することによりMA生成を抑制し、さらに、Ti添加と共にN量及びB量を低減することにより、HAZの結晶粒径を微細化している。
平出隆志、他「フェライト・パーライト鋼のへき開破壊靱性予測モデルの構築」、鉄と鋼 Tetsu-to-Hagane Vol. 101 (2015) No. 7
WES1108:1995 日本溶接協会
今村駿吾、他「ベイナイト・マルテンサイト鋼におけるへき開破面下部組織の検討」、第168回秋季講演大会 (2014)
WES1109:1995 日本溶接協会
BS7448-1:1991 BRITISH STANDARD
API RECOMMENDED PRACTICE 2Z:2005 Sep. American Petroleum Institute
上述した通り、限界CTOD値は鋼材の様々な組織因子によってばらつくため(非特許文献4)、構造物としての十分な安全性を確保するためには、予測されうる最低のCTOD値(「予測最低CTOD値」)を高くすることが重要となる。
しかしながら、CTOD試験は試験負荷が高く、上述の通り、最低試験本数は3本である。そのため、より多くの試験本数(例えば6本以上)を必要とする予測最低CTOD値については、特許文献1〜5および非特許文献1〜3のいずれにおいても考慮されていない。
しかしながら、CTOD試験は試験負荷が高く、上述の通り、最低試験本数は3本である。そのため、より多くの試験本数(例えば6本以上)を必要とする予測最低CTOD値については、特許文献1〜5および非特許文献1〜3のいずれにおいても考慮されていない。
また、予測最低CTOD値は、複数のCTOD値を用いて累積頻度により求める。そのため、CTOD値のばらつきが大きいと、予測最低CTOD値が小さくなる。
例えば特許文献1では、鋼成分硬さパラメータCeqHを低減することによりHAZ全体の硬さを低減している。そのため、HAZ内部に生成するMAと、その周囲組織との硬さの差が大きくなり、MAと周囲組織との境界に応力が集中しやすくなることが想定される。結果として、特許文献1では、CTOD値がばらついて、予測最低CTOD値が低下すると考えられる。
また、特許文献2〜5においては、鋼材に合金元素を添加する限りHAZ内からMAを完全に無くすことは不可能である。そのため、MAを原因としてCTOD値がばらついて、予測最低CTOD値が低下すると考えられる。
例えば特許文献1では、鋼成分硬さパラメータCeqHを低減することによりHAZ全体の硬さを低減している。そのため、HAZ内部に生成するMAと、その周囲組織との硬さの差が大きくなり、MAと周囲組織との境界に応力が集中しやすくなることが想定される。結果として、特許文献1では、CTOD値がばらついて、予測最低CTOD値が低下すると考えられる。
また、特許文献2〜5においては、鋼材に合金元素を添加する限りHAZ内からMAを完全に無くすことは不可能である。そのため、MAを原因としてCTOD値がばらついて、予測最低CTOD値が低下すると考えられる。
そこで本発明は、溶接継手の溶接熱影響部におけるCTOD値を高くでき、さらに、CTOD値のばらつきを低減することにより予測最低CTOD値を高くできる鋼を提供することを目的とする。
本発明の態様1は、
C :0.01〜0.15質量%、
Si:0.5質量%以下(0質量%を含む)、
Mn:0.6〜2.0質量%、
P :0質量%超、0.03質量%以下、
S :0質量%超、0.025質量%以下、
Al:0.01〜0.07質量%、
Cu:0質量%超、1.0質量%以下、
Ni:0質量%超、1.8質量%以下、
Ti:0.003〜0.03質量%、
N :0.001〜0.01質量%、
Nb:0.003質量%以上、0.05質量%未満、および
Cr:1.2質量%以下(0質量%を含む)を含み、
残部が鉄及び不可避不純物からなる鋼であって、
溶接した際に、MAおよび当該MAを囲む周囲組織を含む溶接熱影響部が形成され、
前記溶接熱影響部が下記式(1)を満足することを特徴とする鋼である。
MHhr=MAの硬さ/周囲組織の硬さ≦1.72・・・(1)
C :0.01〜0.15質量%、
Si:0.5質量%以下(0質量%を含む)、
Mn:0.6〜2.0質量%、
P :0質量%超、0.03質量%以下、
S :0質量%超、0.025質量%以下、
Al:0.01〜0.07質量%、
Cu:0質量%超、1.0質量%以下、
Ni:0質量%超、1.8質量%以下、
Ti:0.003〜0.03質量%、
N :0.001〜0.01質量%、
Nb:0.003質量%以上、0.05質量%未満、および
Cr:1.2質量%以下(0質量%を含む)を含み、
残部が鉄及び不可避不純物からなる鋼であって、
溶接した際に、MAおよび当該MAを囲む周囲組織を含む溶接熱影響部が形成され、
前記溶接熱影響部が下記式(1)を満足することを特徴とする鋼である。
MHhr=MAの硬さ/周囲組織の硬さ≦1.72・・・(1)
本発明の態様2は、さらに、前記溶接熱影響部が下記式(2)を満足することを特徴とする態様1に記載の鋼である。
GMsp=0.065×MAS+0.02×GS≦2.00・・・(2)
ただし、MAS:溶接熱影響部におけMAの最大サイズ[μm]であり、GS:溶接熱影響部における結晶粒径の最大サイズ[μm]。
GMsp=0.065×MAS+0.02×GS≦2.00・・・(2)
ただし、MAS:溶接熱影響部におけMAの最大サイズ[μm]であり、GS:溶接熱影響部における結晶粒径の最大サイズ[μm]。
本発明の態様3は、
Mo:0.5質量%以下(0質量%を含む)、
V :0.1質量%以下(0質量%を含む)、
B :0.005質量%以下(0質量%を含む)、および
Ca:0.0003〜0.006質量%
の少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする態様1または2に記載の鋼である。
Mo:0.5質量%以下(0質量%を含む)、
V :0.1質量%以下(0質量%を含む)、
B :0.005質量%以下(0質量%を含む)、および
Ca:0.0003〜0.006質量%
の少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする態様1または2に記載の鋼である。
本発明の態様4は、さらに、下記式(3)を満足することを特徴とする態様1〜3のいずれか1つに記載の鋼である。
0.10≦HRi=−1.0[C]+0.17[Mn]+0.1[Ni]+0.05[Cr]−0.25[Mo]−4.0[Al]≦0.40・・・(3)
但し、[C],[Mn],[Ni],[Cr],[Mo]および[Al]は、夫々C,Mn,Ni,Cr,MoおよびAlの質量%での含有量を示す。
0.10≦HRi=−1.0[C]+0.17[Mn]+0.1[Ni]+0.05[Cr]−0.25[Mo]−4.0[Al]≦0.40・・・(3)
但し、[C],[Mn],[Ni],[Cr],[Mo]および[Al]は、夫々C,Mn,Ni,Cr,MoおよびAlの質量%での含有量を示す。
本発明の態様5は、さらに、下記式(4)を満足することを特徴とする態様1〜4のいずれか1つに記載の鋼である。
GMsdf=−50[C]+90[Mn]+37[Ni]+75[Cu]+80[Cr]−70≧110・・・(4)
但し、[C],[Mn],[Ni],[Cu]および[Cr]は、夫々C,Mn,Ni,CuおよびCrの質量%での含有量を示す。
GMsdf=−50[C]+90[Mn]+37[Ni]+75[Cu]+80[Cr]−70≧110・・・(4)
但し、[C],[Mn],[Ni],[Cu]および[Cr]は、夫々C,Mn,Ni,CuおよびCrの質量%での含有量を示す。
本発明の態様6は、
C :0.01〜0.15質量%、
Si:0.5質量%以下(0質量%を含む)、
Mn:0.6〜2.0質量%、
P :0質量%超、0.03質量%以下、
S :0質量%超、0.025質量%以下、
Al:0.01〜0.07質量%、
Cu:0質量%超、1.0質量%以下、
Ni:0質量%超、1.8質量%以下、
Ti:0.003〜0.03質量%、
N :0.001〜0.01質量%、
Nb:0.003質量%以上、0.05質量%未満、および
Cr:1.2質量%以下(0質量%を含む)を含み、残部が鉄及び不可避不純物からなり、下記式(3)を満足する溶湯を調製する工程と、
前記溶湯からスラブを作製する工程と、
前記スラブを圧延する工程と、を含み、
前記溶湯を調製する工程において、Alを添加してから10分以上経過後に、Tiを添加することを特徴とする、鋼の製造方法である。
0.10≦HRi=−1.0[C]+0.17[Mn]+0.1[Ni]+0.05[Cr]−0.25[Mo]−4.0[Al]≦0.40・・・(3)
但し、[C],[Mn],[Ni],[Cr],[Mo]および[Al]は、夫々C,Mn,Ni,Cr,MoおよびAlの質量%での含有量を示す。
C :0.01〜0.15質量%、
Si:0.5質量%以下(0質量%を含む)、
Mn:0.6〜2.0質量%、
P :0質量%超、0.03質量%以下、
S :0質量%超、0.025質量%以下、
Al:0.01〜0.07質量%、
Cu:0質量%超、1.0質量%以下、
Ni:0質量%超、1.8質量%以下、
Ti:0.003〜0.03質量%、
N :0.001〜0.01質量%、
Nb:0.003質量%以上、0.05質量%未満、および
Cr:1.2質量%以下(0質量%を含む)を含み、残部が鉄及び不可避不純物からなり、下記式(3)を満足する溶湯を調製する工程と、
前記溶湯からスラブを作製する工程と、
前記スラブを圧延する工程と、を含み、
前記溶湯を調製する工程において、Alを添加してから10分以上経過後に、Tiを添加することを特徴とする、鋼の製造方法である。
0.10≦HRi=−1.0[C]+0.17[Mn]+0.1[Ni]+0.05[Cr]−0.25[Mo]−4.0[Al]≦0.40・・・(3)
但し、[C],[Mn],[Ni],[Cr],[Mo]および[Al]は、夫々C,Mn,Ni,Cr,MoおよびAlの質量%での含有量を示す。
本発明の態様7は、前記溶湯が、さらに下記式(4)を満足することを特徴とする態様6に記載の製造方法である。
GMsdf=−50[C]+90[Mn]+37[Ni]+75[Cu]+80[Cr]−70≧110・・・(4)
但し、[C],[Mn],[Ni],[Cu]および[Cr]は、夫々C,Mn,Ni,CuおよびCrの質量%での含有量を示す。
GMsdf=−50[C]+90[Mn]+37[Ni]+75[Cu]+80[Cr]−70≧110・・・(4)
但し、[C],[Mn],[Ni],[Cu]および[Cr]は、夫々C,Mn,Ni,CuおよびCrの質量%での含有量を示す。
本発明によれば、溶接継手の溶接熱影響部におけるCTOD値を高くでき、さらに、CTOD値のばらつきを低減することにより予測最低CTOD値を高くできる鋼を提供することができる。
本発明は、溶接熱影響部のCTOD特性が優れた鋼に関するものである。
本発明の鋼は、小入熱溶接および中入熱溶接において特に劣化が著しい溶接熱影響部の靭性について、小〜中入熱溶接であっても靭性低下を抑制できる、という特徴を有する。よって、本発明の鋼は、小〜中入熱溶接(例えば、溶接入熱0.5〜15kJ/mm)に好適である。
また、厚鋼板では、多層盛溶接が多用されており、複数回の加熱を受けた溶接熱影響部(例えば、Intercritically Reheated Coarse Grain HAZ:IRCG HAZなど)が形成される。そのような熱影響部は劣化が著しいが、本発明の鋼では、その劣化を抑制することができる。よって、本発明の鋼は、多層盛溶接にも好適である。
以下に、本発明の実施形態に係る鋼について詳述する。
本発明の鋼は、小入熱溶接および中入熱溶接において特に劣化が著しい溶接熱影響部の靭性について、小〜中入熱溶接であっても靭性低下を抑制できる、という特徴を有する。よって、本発明の鋼は、小〜中入熱溶接(例えば、溶接入熱0.5〜15kJ/mm)に好適である。
また、厚鋼板では、多層盛溶接が多用されており、複数回の加熱を受けた溶接熱影響部(例えば、Intercritically Reheated Coarse Grain HAZ:IRCG HAZなど)が形成される。そのような熱影響部は劣化が著しいが、本発明の鋼では、その劣化を抑制することができる。よって、本発明の鋼は、多層盛溶接にも好適である。
以下に、本発明の実施形態に係る鋼について詳述する。
<実施の形態1>
小入熱溶接または中入熱溶接で多層盛溶接を行うと、溶接部のFL部(Fusion Line)の靭性が最も劣化する。本実施形態に係る鋼は、多層盛溶接して製造した構造物のCTOD値を向上でき、かつそのCTOD値のばらつきを低減できる高強度鋼を提供する。CTOD値が全体的に高く、かつそれらのばらつきが少ないことにより、予測最低CTOD値を向上できる。すなわち、本発明の鋼を使用することにより、多層盛溶接して製造した構造物は、高い安全性を確保できる。
小入熱溶接または中入熱溶接で多層盛溶接を行うと、溶接部のFL部(Fusion Line)の靭性が最も劣化する。本実施形態に係る鋼は、多層盛溶接して製造した構造物のCTOD値を向上でき、かつそのCTOD値のばらつきを低減できる高強度鋼を提供する。CTOD値が全体的に高く、かつそれらのばらつきが少ないことにより、予測最低CTOD値を向上できる。すなわち、本発明の鋼を使用することにより、多層盛溶接して製造した構造物は、高い安全性を確保できる。
本発明者らは、溶接熱影響部の破壊メカニズムについて詳細に検討した。
溶接熱影響部(HAZ)に存在するMAは、周囲の組織と比較して硬い。この硬度差が原因で、HAZに外力が付与されたときにMAと周囲組織の境界に応力が集中し、その結果、MAを起点として脆性亀裂が生じる(非特許文献3)。そこでMAを起点とした脆性亀裂の発生を抑制することが重要となる。
溶接熱影響部(HAZ)に存在するMAは、周囲の組織と比較して硬い。この硬度差が原因で、HAZに外力が付与されたときにMAと周囲組織の境界に応力が集中し、その結果、MAを起点として脆性亀裂が生じる(非特許文献3)。そこでMAを起点とした脆性亀裂の発生を抑制することが重要となる。
また、上述した通り、下記の式(X)を満足することで、「発生した脆性亀裂が隣接する結晶粒へ伝播」し、そして「伝播した亀裂が隣接粒界を突破」して、マクロな破壊に至る(非特許文献1)。
破壊の限界条件:σMAX≧σF・・・(X)
ここでσMAX:亀裂先端の最大主応力、σF:局所破壊応力である。
マクロ破壊の破壊条件となるσFは、MA部に生じた亀裂サイズ(つまりMAの直径に相当)が大きいほど、小さくなる。さらに、脆性亀裂の発生部分に隣接する結晶粒の粒径(つまり、溶接熱影響部の粒径に相当)が大きいほど、σFは小さくなる。σFは小さくなることは、CTOD値が低下することを意味する。
つまり、脆性亀裂の伝播を抑制するためには、MAサイズおよび溶接熱影響部の粒径の双方の粗大化を抑制することが重要となる。
破壊の限界条件:σMAX≧σF・・・(X)
ここでσMAX:亀裂先端の最大主応力、σF:局所破壊応力である。
マクロ破壊の破壊条件となるσFは、MA部に生じた亀裂サイズ(つまりMAの直径に相当)が大きいほど、小さくなる。さらに、脆性亀裂の発生部分に隣接する結晶粒の粒径(つまり、溶接熱影響部の粒径に相当)が大きいほど、σFは小さくなる。σFは小さくなることは、CTOD値が低下することを意味する。
つまり、脆性亀裂の伝播を抑制するためには、MAサイズおよび溶接熱影響部の粒径の双方の粗大化を抑制することが重要となる。
このような破壊メカニズムを考慮して、本発明者らは、溶接熱影響部中において、MAと、MAを囲む組織(周囲組織について検討した。特に、「MAと周囲組織の硬さの差」および「MAと周囲組織の粗大化」に注目し、「MAと周囲組織の硬さの差の低減」および「MAと周囲組織の粗大化の抑制」について鋭意研究を行った。その結果、小〜中入熱の多層盛溶接時に最も靭性が劣化する溶接部のFL部において、CTOD値のばらつきを低減させ、累積頻度による予測最低CTOD値を向上させることについて、以下の知見を得た。
1.溶接熱影響部
(1)MAと周囲組織の硬さの差
本発明者らは、MAの硬さを低減すると共に、MAの周囲組織の硬さを向上させることでMAと周囲組織との硬度差を低減させることを検討した。
本発明では、溶接熱影響部の組織において、式(1)で示すように、MHhr(MAとHAZの硬さ比:MA HAZ hardness ratio)を1.72以下に制御する。MHhrを1.64以下に制御するのが好ましい。なお、MHhrの下限は特に限定されず、例えば1未満であってもよい。
MHhr=MAの硬さ/周囲組織の硬さ≦1.72・・・(1)
(1)MAと周囲組織の硬さの差
本発明者らは、MAの硬さを低減すると共に、MAの周囲組織の硬さを向上させることでMAと周囲組織との硬度差を低減させることを検討した。
本発明では、溶接熱影響部の組織において、式(1)で示すように、MHhr(MAとHAZの硬さ比:MA HAZ hardness ratio)を1.72以下に制御する。MHhrを1.64以下に制御するのが好ましい。なお、MHhrの下限は特に限定されず、例えば1未満であってもよい。
MHhr=MAの硬さ/周囲組織の硬さ≦1.72・・・(1)
なお、式(1)における「MAの硬さ」および「周囲組織の硬さ」は、溶接熱影響部内におけるMAおよびその周囲組織で測定する。しかしながら、多層盛溶接においては、様々な熱履歴を有する溶接熱影響部が存在する。本発明においては、多層盛溶接を行った場合には、溶接熱影響部のうちでもIRCG HAZ部のMAおよび周囲組織の硬さを測定した。なお溶接熱影響部のIRCG HAZ部は非特許文献6に準拠して同定した。
発明者らは、式(3)に示すように、HRi(硬さ比インデックス:Hardness Ratio Index)を0.10以上、0.40以下に制御すると、上述のMHhrを1.72以下に制御しやすいことを見いだした。
0.10≦HRi=−1.0[C]+0.17[Mn]+0.1[Ni]+0.05[Cr]−0.25[Mo]−4.0[Al]≦0.40・・・(3)
但し、[C],[Mn],[Ni],[Cr],[Mo]および[Al]は、夫々C,Mn,Ni,Cr,MoおよびAlの質量%での含有量を示す。
溶接熱影響部組織の硬さは、例えばC、Mn、Ni、Cr、Moの添加によって上昇させることができる。またMAの硬さは、MA中のオーステナイトの割合を増加させることでMAの硬さを低減させることができる。オーステナイトの割合を増加させる、つまりオーステナイトを安定化させる代表的な元素としてMn、Niが挙げられる。上記各元素の効果を考慮するとMn、Ni、Crの添加によりMAの硬さを低減させつつMA周囲の硬さを向上させ、結果としてMHhrを1.72以下に制御するのが容易になる。
0.10≦HRi=−1.0[C]+0.17[Mn]+0.1[Ni]+0.05[Cr]−0.25[Mo]−4.0[Al]≦0.40・・・(3)
但し、[C],[Mn],[Ni],[Cr],[Mo]および[Al]は、夫々C,Mn,Ni,Cr,MoおよびAlの質量%での含有量を示す。
溶接熱影響部組織の硬さは、例えばC、Mn、Ni、Cr、Moの添加によって上昇させることができる。またMAの硬さは、MA中のオーステナイトの割合を増加させることでMAの硬さを低減させることができる。オーステナイトの割合を増加させる、つまりオーステナイトを安定化させる代表的な元素としてMn、Niが挙げられる。上記各元素の効果を考慮するとMn、Ni、Crの添加によりMAの硬さを低減させつつMA周囲の硬さを向上させ、結果としてMHhrを1.72以下に制御するのが容易になる。
一方でMo、Alはフェライト生成元素でありオーステナイトを安定化させにくい元素でありMAの硬さが上昇しやすいため、添加しない方が好ましい。しかし例えばAlは脱酸元素として有用であり、Moも強度を向上させるのに有用な元素である。そこでこれら元素を添加してもMHhrを1.72以下とするためにHRiを指標として用いた。
HRiが0.10未満では、熱影響部組織の硬さが不十分になる可能性、またはMAの硬さが高くなり過ぎる可能性がある。その結果、硬さ比の指標であるMHhrが1.72を超えるおそれがある。HRiが0.40を超えると、熱影響部組織の硬さが必要以上に上昇しCTOD値が劣化するおそれがあるため好ましくない。
さらに、HRiは、0.12以上、0.38以下であるのがより好ましく、0.20以上、0.35以下であるのが特に好ましい。
HRiが0.10未満では、熱影響部組織の硬さが不十分になる可能性、またはMAの硬さが高くなり過ぎる可能性がある。その結果、硬さ比の指標であるMHhrが1.72を超えるおそれがある。HRiが0.40を超えると、熱影響部組織の硬さが必要以上に上昇しCTOD値が劣化するおそれがあるため好ましくない。
さらに、HRiは、0.12以上、0.38以下であるのがより好ましく、0.20以上、0.35以下であるのが特に好ましい。
ここで、MHhrを1.72以下に制御するためには、HRiだけでなく、製鋼段階において、AlとTiの添加のタイミングを制御することが有効である。具体的には、Alを添加した後、10分以上経過した後にTi添加を添加するのが好ましい。
先にTiを添加し、後からAlと添加した場合、またはAlを添加してから10分未満でTiを添加した場合、Alが溶鋼中の酸素と十分反応しない場合がある。そのため、Alが固溶Al(s−Al)となり、オーステナイトが安定せず、MAの硬さを十分に低減できないおそれがある。
そこで製鋼段階においてAlを添加してからTi添加し、かつAl添加からTi添加までの時間を10分以上とするのが好ましい。Al添加からTi添加までのさらに好ましい時間は15分以上である。
先にTiを添加し、後からAlと添加した場合、またはAlを添加してから10分未満でTiを添加した場合、Alが溶鋼中の酸素と十分反応しない場合がある。そのため、Alが固溶Al(s−Al)となり、オーステナイトが安定せず、MAの硬さを十分に低減できないおそれがある。
そこで製鋼段階においてAlを添加してからTi添加し、かつAl添加からTi添加までの時間を10分以上とするのが好ましい。Al添加からTi添加までのさらに好ましい時間は15分以上である。
(2)MAと周囲組織の粗大化
MAと周囲組織の硬さの差を低減した上で、さらに、MAと周囲組織の粗大化を抑制することで、予測最低CTOD値をさらに向上することができる。MAと周囲組織の粗大化は、GMsp(HAZ粒径×MAサイズパラメータ:Grain MA size parameter)で規定することができる。
MAと周囲組織の硬さの差を低減した上で、さらに、MAと周囲組織の粗大化を抑制することで、予測最低CTOD値をさらに向上することができる。MAと周囲組織の粗大化は、GMsp(HAZ粒径×MAサイズパラメータ:Grain MA size parameter)で規定することができる。
式(2)で示すように、GMsp(HAZ粒径×MAサイズパラメータ:Grain MA size parameter)が2.00以下であると、溶接熱影響部におけるMAの最大サイズおよび結晶粒径の最大サイズの粗大化が低減されて、マクロ破壊を抑制できる。
GMsp=0.065×MAS+0.02×GS≦2.00・・・(2)
ここで、MAS:溶接熱影響部におけるMAの最大サイズ [μm]
GS:溶接熱影響部における結晶粒径の最大サイズ [μm]
GMsp=0.065×MAS+0.02×GS≦2.00・・・(2)
ここで、MAS:溶接熱影響部におけるMAの最大サイズ [μm]
GS:溶接熱影響部における結晶粒径の最大サイズ [μm]
式(2)において、「溶接熱影響部におけるMAの最大サイズ」および「溶接熱影響部における結晶粒径の最大サイズ」は、多層盛溶接で形成されるIRCG HAZ部(非特許文献6)に形成されたMAの粒径および結晶粒径の円相当径から求めた。また、「結晶粒径」は、方位差が15度以上の粒界を対象とした。
GMspは、2.00以下であるのが好ましく、1.80以下であるのがより好ましく、1.20以下であるのが特に好ましい。
GMspは、2.00以下であるのが好ましく、1.80以下であるのがより好ましく、1.20以下であるのが特に好ましい。
発明者らは、式(4)に示すように、GMsdf(HAZ粒状MAサイズ駆動力:Grain MA size driving force)を110以上に制御すると、GMspを2.00以下に制御しやすくなることを見いだした。
GMsdf=−50[C]+90[Mn]+37[Ni]+75[Cu]+80[Cr]−70≧110・・・(4)
但し、[C],[Mn],[Ni],[Cu]および[Cr]は、夫々C,Mn,Ni,CuおよびCrの質量%での含有量を示す。
GMsdf=−50[C]+90[Mn]+37[Ni]+75[Cu]+80[Cr]−70≧110・・・(4)
但し、[C],[Mn],[Ni],[Cu]および[Cr]は、夫々C,Mn,Ni,CuおよびCrの質量%での含有量を示す。
溶接熱影響部のMAは溶接熱影響部の結晶粒界にそって生成することから、生成するMAの粗大化を抑制するには、溶接熱影響部の結晶粒径を微細化することが重要となる。溶接熱影響部組織を微細化させるには変態駆動力を上昇させることが効果的であり、例えばC、Mn、Ni、Cr、Moの添加によって上昇させることができる。一方で、上述した通りMo、Alはフェライト生成元素でありオーステナイトを安定にする元素ではないためMAの硬さが上昇しやすいため、添加しない方が好ましい。そこで溶接熱影響部のMAの硬さ上昇を抑えつつ、溶接熱影響部の組織(周囲組織)およびMAを微細化させるためには、Mn、Ni、Cu、Crを主体とした成分設計が必要であり、本発明では制御指標としてGMsdfを用いた。
GMsdfは、110以上であるのが好ましく、120以上であるのがより好ましく、170以上であるのが特に好ましい。
GMsdfは、110以上であるのが好ましく、120以上であるのがより好ましく、170以上であるのが特に好ましい。
2.成分組成
上述のように、鋼の成分組成は、HRiおよびGMsdfが所定の値となるように制御する。さらに、以下の理由から、鋼の成分組成の含有量を個々に制御する。
まず、基本となる元素について説明し、さらに選択的に添加してよい元素について説明する。なお、成分組成について単位の%表示は、すべて質量%を意味する。
上述のように、鋼の成分組成は、HRiおよびGMsdfが所定の値となるように制御する。さらに、以下の理由から、鋼の成分組成の含有量を個々に制御する。
まず、基本となる元素について説明し、さらに選択的に添加してよい元素について説明する。なお、成分組成について単位の%表示は、すべて質量%を意味する。
(C:0.01〜0.15%)
Cは強度を得るため0.01%以上は必要であるが、0.15%超では溶接HAZの特性を劣化させ、−20℃のCTOD特性を満足できないため0.15%を上限とする。C量の下限は、好ましくは0.02%であり、上限は、好ましくは0.08%である。
Cは強度を得るため0.01%以上は必要であるが、0.15%超では溶接HAZの特性を劣化させ、−20℃のCTOD特性を満足できないため0.15%を上限とする。C量の下限は、好ましくは0.02%であり、上限は、好ましくは0.08%である。
(Si:0.5%以下(0%を含む))
Siは良好なHAZ靭性を得るために少ない方が好ましい。しかしながら、0.5%超ではHAZ靭性を害するため、0.5%を上限とする。Si量の上限は、好ましくは0.4%である。
Siは良好なHAZ靭性を得るために少ない方が好ましい。しかしながら、0.5%超ではHAZ靭性を害するため、0.5%を上限とする。Si量の上限は、好ましくは0.4%である。
(Mn:0.6〜2.0%)
Mnは、HAZ靭性に対して有害な粒界からの変態を抑制する効果を有する。しかし2.0%超では熱影響部硬さが増加し、靭性が劣化するため2.0%を上限とした。Mn量の下限は、好ましくは1.3%であり、上限は、好ましくは1.9%である。
Mnは、HAZ靭性に対して有害な粒界からの変態を抑制する効果を有する。しかし2.0%超では熱影響部硬さが増加し、靭性が劣化するため2.0%を上限とした。Mn量の下限は、好ましくは1.3%であり、上限は、好ましくは1.9%である。
(P:0%超、0.03%以下)
Pは、不可避不純物として含有され、粒界に偏析して鋼の靱性を劣化させるので、できるだけ低減することが望ましいが、工業生産的な制約もあり、0.03%を上限とした。P量の上限は、好ましくは0.02%である。
Pは、不可避不純物として含有され、粒界に偏析して鋼の靱性を劣化させるので、できるだけ低減することが望ましいが、工業生産的な制約もあり、0.03%を上限とした。P量の上限は、好ましくは0.02%である。
(S:0%超、0.025%以下)
Sは、不可避不純物として含有され、母材靭性、HAZ靭性の観点からともに少ない方がよいが、工業生産的な制約もあり、0.025%を上限とした。S量の上限は、好ましくは0.010%である。
Sは、不可避不純物として含有され、母材靭性、HAZ靭性の観点からともに少ない方がよいが、工業生産的な制約もあり、0.025%を上限とした。S量の上限は、好ましくは0.010%である。
(Al:0.01〜0.07%)
Alは、MAを生成させるために少ない方が好ましいが、脱酸元素として有用であるため0.07%を上限とした。Al量の下限は、好ましくは0.02%であり、上限は、好ましくは0.05%である。
Alは、MAを生成させるために少ない方が好ましいが、脱酸元素として有用であるため0.07%を上限とした。Al量の下限は、好ましくは0.02%であり、上限は、好ましくは0.05%である。
(Cu:0%超、1.0%以下)
Cuは、HAZ靭性の劣化が少なく、母材の強度を向上させる効果があり有効である。しかし1.0%超では熱影響部硬さが増加し、靭性が劣化するため1.0%を上限とした。Cu量の下限は、好ましくは0.15%であり、上限は、好ましくは0.85%である。
Cuは、HAZ靭性の劣化が少なく、母材の強度を向上させる効果があり有効である。しかし1.0%超では熱影響部硬さが増加し、靭性が劣化するため1.0%を上限とした。Cu量の下限は、好ましくは0.15%であり、上限は、好ましくは0.85%である。
(Ni:0%超、1.8%以下)
Niは、HAZ靭性の劣化が少なく、母材の強度を向上させる効果があり有効で、ICHAZの硬さの増加も少なく有効であるが、高価な合金であるため、1.8%未満を制
限範囲とした。Ni量の下限は、好ましくは0.15%であり、上限は、好ましくは1.6%である。
Niは、HAZ靭性の劣化が少なく、母材の強度を向上させる効果があり有効で、ICHAZの硬さの増加も少なく有効であるが、高価な合金であるため、1.8%未満を制
限範囲とした。Ni量の下限は、好ましくは0.15%であり、上限は、好ましくは1.6%である。
(Ti:0.003〜0.03%)
Tiは、Ti酸化物を生成させミクロ組織を微細化させるが、多すぎるとTiCを生成し、HAZ靭性を劣化させるため、0.003〜0.03%が適正範囲である。Ti量の下限は、好ましくは0.01%であり、上限は、好ましくは0.02%である。
Tiは、Ti酸化物を生成させミクロ組織を微細化させるが、多すぎるとTiCを生成し、HAZ靭性を劣化させるため、0.003〜0.03%が適正範囲である。Ti量の下限は、好ましくは0.01%であり、上限は、好ましくは0.02%である。
(N:0.001〜0.01%)
Nは、Ti窒化物生成に必要であるが、0.001%未満では効果が少なく、0.01%超ではHAZ靭性を劣化させるため0.01%を上限とした。N量の下限は、好ましくは0.03%であり、上限は、好ましくは0.08%である。
Nは、Ti窒化物生成に必要であるが、0.001%未満では効果が少なく、0.01%超ではHAZ靭性を劣化させるため0.01%を上限とした。N量の下限は、好ましくは0.03%であり、上限は、好ましくは0.08%である。
(Nb:0.003%以上、0.05%未満)
Nbは、母材の強度と靭性の観点から有益であるが、HAZ靭性には有害である。このため、HAZ靭性を著しく低下しない範囲である0.05%未満まで添加できる。Nb量の下限は、好ましくは0.006%であり、上限は、好ましくは0.04%である。
Nbは、母材の強度と靭性の観点から有益であるが、HAZ靭性には有害である。このため、HAZ靭性を著しく低下しない範囲である0.05%未満まで添加できる。Nb量の下限は、好ましくは0.006%であり、上限は、好ましくは0.04%である。
(Cr:1.2%以下(0%を含む))
Crは、鋼の焼入れ性の向上を介して強度を向上させる元素であるが、過剰に添加すると継手CTOD特性を低下させるため、1.2%を上限とした。Cr量の下限は、好ましくは0.01%であり、上限は、好ましくは1.1%である。
Crは、鋼の焼入れ性の向上を介して強度を向上させる元素であるが、過剰に添加すると継手CTOD特性を低下させるため、1.2%を上限とした。Cr量の下限は、好ましくは0.01%であり、上限は、好ましくは1.1%である。
(残部)
好ましい1つの実施形態では、残部は、鉄および不可避不純物である。不可避不純物としては、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる微量元素(例えば、As、Sb、Snなど)の混入が許容される。なお、例えば、PおよびSのように、通常、含有量が少ないほど好ましく、従って不可避不純物であるが、その組成範囲について上記のように別途規定している元素がある。このため、本明細書において、残部を構成する「不可避不純物」という場合は、別途その組成範囲が規定されている元素を除いた概念である。
好ましい1つの実施形態では、残部は、鉄および不可避不純物である。不可避不純物としては、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる微量元素(例えば、As、Sb、Snなど)の混入が許容される。なお、例えば、PおよびSのように、通常、含有量が少ないほど好ましく、従って不可避不純物であるが、その組成範囲について上記のように別途規定している元素がある。このため、本明細書において、残部を構成する「不可避不純物」という場合は、別途その組成範囲が規定されている元素を除いた概念である。
しかし、この実施形態に限定されるものではない。本発明の鋼の特性を維持できる限り、任意のその他の元素を更に含んでよい。そのように選択的に含有させることができるその他の元素を以下に例示する。
(Mo:0.5質量%以下(0質量%を含む)、V:0.1質量%以下(0質量%を含む)、B:0.005質量%以下(0質量%を含む)、およびCa:0.0003〜0.006質量%の少なくとも1種)
本実施の形態に係る鋼は、Mo、V、BおよびCaのいずれか1種以上を含有してもよい。各合金元素について詳述する。
本実施の形態に係る鋼は、Mo、V、BおよびCaのいずれか1種以上を含有してもよい。各合金元素について詳述する。
(Mo:0.5%以下(0%を含む))
Moは、鋼の焼入れ性の向上を介して強度を向上させる元素であるが、過剰に添加すると継手CTOD特性を低下させるため、添加する場合は0.50%を上限とした。Mo量の上限は、好ましくは0.3%である。
Moは、鋼の焼入れ性の向上を介して強度を向上させる元素であるが、過剰に添加すると継手CTOD特性を低下させるため、添加する場合は0.50%を上限とした。Mo量の上限は、好ましくは0.3%である。
(V:0.1%以下(0%を含む))
Vは、母材の強度を向上させる元素であるが、0.1%を超えるとHAZ靭性の低下を招くため、添加する場合は、0.1%を上限とした。V量の上限は、好ましくは0.08%である。
Vは、母材の強度を向上させる元素であるが、0.1%を超えるとHAZ靭性の低下を招くため、添加する場合は、0.1%を上限とした。V量の上限は、好ましくは0.08%である。
(B: 0.005%(0%を含む))
Bは、極微量の含有で焼入れ性を向上させ、それにより鋼板の強度を向上させるのに有効な元素であるが0.0050%を超えて含有すると、HAZ靭性が低下するようになるため、添加する場合は、0.0050を上限とした。B量の上限は、好ましくは0.003%である。
Bは、極微量の含有で焼入れ性を向上させ、それにより鋼板の強度を向上させるのに有効な元素であるが0.0050%を超えて含有すると、HAZ靭性が低下するようになるため、添加する場合は、0.0050を上限とした。B量の上限は、好ましくは0.003%である。
(Ca:0.0003〜0.006%)
Caは、多層盛溶接HAZの靭性を向上させるための介在物に必要な元素であり、0.0003%以上の含有が必要である。一方、0.006%を超える含有は、かえって継手CTOD特性が低下するため、0.006を上限とした。Ca量の下限は、好ましくは0.0008%であり、上限は、好ましくは0.005%である。
Caは、多層盛溶接HAZの靭性を向上させるための介在物に必要な元素であり、0.0003%以上の含有が必要である。一方、0.006%を超える含有は、かえって継手CTOD特性が低下するため、0.006を上限とした。Ca量の下限は、好ましくは0.0008%であり、上限は、好ましくは0.005%である。
3.製造方法
次に本発明に係る鋼の製造方法について説明する。
圧延方法は特に規定するものではないが、鋼の降伏強度(YS)が420N/mm2以上、引張強度(TS)が510N/mm2以上で、靭性(vTrs:シャルピー破面遷移温度)が−60℃以下を確保するために加熱温度、未再結晶温度域での圧下率、冷却条件等を管理することが好ましい。以下に一例を示す。
次に本発明に係る鋼の製造方法について説明する。
圧延方法は特に規定するものではないが、鋼の降伏強度(YS)が420N/mm2以上、引張強度(TS)が510N/mm2以上で、靭性(vTrs:シャルピー破面遷移温度)が−60℃以下を確保するために加熱温度、未再結晶温度域での圧下率、冷却条件等を管理することが好ましい。以下に一例を示す。
所定の成分組成の鋼を溶製して、スラブを作製する。このとき、先にAlを添加し、その後にTi添加する。また、Al添加からTi添加までの時間を10分以上、好ましくは15分以上とする。TiとAlの添加について、そのように制御することにより、Alが溶鋼中の酸素と十分反応でき、鋼中の固溶Al(s−Al)が低減されて、オーステナイトを安定化できる。その結果、MAの硬さを十分に低減できる。
AlおよびTiは、転炉で添加しても、炉外精錬の際に添加してもよい。
AlおよびTiは、転炉で添加しても、炉外精錬の際に添加してもよい。
スラブの圧延に際し、その再加熱温度は950〜1250℃とする。再加熱温度が1250℃を超えると、Ti窒化物が粗大化して、母材の靭性劣化やHAZ靭性改善効果が期待できないためである。また、950℃未満の再加熱温度では、圧延の負荷が大きく、生産性を著しく阻害するためである。
再加熱後に、加工熱処理を行う。この熱処理により、オーステナイト粒の微細化、およびミクロ組織の微細化を行うことができる。これにより、鋼板母材の強度向上や靭性を向上させることができる。本発明の鋼においては、優れたHAZ靭性が得られるが、加工熱処理を行うことにより、母材の靭性も向上できる。なお、加工熱処理法の条件として、未再結晶域温度における累積圧下率が30%以上であるのが望ましい。
所定の強度を確保するために、圧延を完了した後、Ar3変態点以上から冷却することが好ましい。この冷却では、650℃以下まで冷却する。冷却した後、Ar3変態点以下の温度に再加熱してもよい。そのような再加熱により本発明の鋼の特徴は損なわれない。上記Ar3変態点は、下記式(5)によって求められる値である。尚、本発明で規定する成分組成では、Ar3変態点は690〜780℃程度となる。
Ar3変態点=910−230×[C]+25×[Si]−74×[Mn]−56×[Cu]−16×[Ni]−9×[Cr]−5×[Mo]−1620×[Nb]・・・(5)但し、[C],[Si],[Mn],[Cu],[Ni],[Cr],[Mo]および[Nb]は、夫々C,Si,Mn,Cu,Ni,Cr,MoおよびNbの質量%での含有量を示す。
Ar3変態点=910−230×[C]+25×[Si]−74×[Mn]−56×[Cu]−16×[Ni]−9×[Cr]−5×[Mo]−1620×[Nb]・・・(5)但し、[C],[Si],[Mn],[Cu],[Ni],[Cr],[Mo]および[Nb]は、夫々C,Si,Mn,Cu,Ni,Cr,MoおよびNbの質量%での含有量を示す。
以上に説明した本発明の実施形態に係る鋼の製造方法に接した当業者であれば、試行錯誤により、上述した製造方法と異なる製造方法により本発明に係る鋼を得ることができる可能性がある。
4.溶接方法
上述の通り、本発明の鋼は、アーク溶接、ガス溶接、レーザービーム溶接等の一般的な溶接方法によって溶接することができる。具体的には、例えばSAW溶接(Submerged arc welding法)が挙げられる。溶接入熱は、小入熱〜中入熱での範囲(0.5〜15kJ/mm)が適している。適している入熱量は13kJ/mm以下の入熱量であり、特に、約7.0kJ/mm以下の入熱量での溶接が好適である。
上述の通り、本発明の鋼は、アーク溶接、ガス溶接、レーザービーム溶接等の一般的な溶接方法によって溶接することができる。具体的には、例えばSAW溶接(Submerged arc welding法)が挙げられる。溶接入熱は、小入熱〜中入熱での範囲(0.5〜15kJ/mm)が適している。適している入熱量は13kJ/mm以下の入熱量であり、特に、約7.0kJ/mm以下の入熱量での溶接が好適である。
以下に、実施例について詳述する。なお、表1〜表4において、下線を付した数値は、本発明の範囲から外れていることを示している。
(厚鋼板の製造)
150kg真空溶製で、表1に記載の試料No.1〜10の成分組成を溶製し、仕上厚25mmとして厚鋼板を製造した。製造条件を表2に記載する。
表1の成分組成のうち、Tiを除く全ての合金元素(Alを含む)を添加して溶融した。その後、所定時間(表2の「Ti添加までの時間」)経過後に、Tiを添加し、スラブを作製した。スラブを、表2の「加熱温度」に加熱した後、圧延開始温度まで温度制御した。その後温調圧延により、未再結晶γ域での累積圧下率が表2の「累積圧下率」となる圧延を実施し、表2に記載の仕上厚まで圧下した。なお、仕上厚となったときの鋼板の表面温度を表2の「仕上圧延温度」(Finish Rolling Temperature:FRT)に記載した。表2の仕上厚まで圧延した後、表2に記載したように、冷却開始温度(Start Cooling Temperature:SCT)から冷却停止温度(Finish Cooling Temperature:FCT)の間の温度域において、約10〜16℃/sの平均冷却速度で冷却した。表2には、鋼の成分組成(表1)と上述した式(5)とを用いて求めたAR3変態点も記載した。表2から分かるように、いずれの試料でも、SCTはAr3変態点以上であった。
得られた厚鋼板について、(1)母材引張試験および(2)母材衝撃試験を行った。
150kg真空溶製で、表1に記載の試料No.1〜10の成分組成を溶製し、仕上厚25mmとして厚鋼板を製造した。製造条件を表2に記載する。
表1の成分組成のうち、Tiを除く全ての合金元素(Alを含む)を添加して溶融した。その後、所定時間(表2の「Ti添加までの時間」)経過後に、Tiを添加し、スラブを作製した。スラブを、表2の「加熱温度」に加熱した後、圧延開始温度まで温度制御した。その後温調圧延により、未再結晶γ域での累積圧下率が表2の「累積圧下率」となる圧延を実施し、表2に記載の仕上厚まで圧下した。なお、仕上厚となったときの鋼板の表面温度を表2の「仕上圧延温度」(Finish Rolling Temperature:FRT)に記載した。表2の仕上厚まで圧延した後、表2に記載したように、冷却開始温度(Start Cooling Temperature:SCT)から冷却停止温度(Finish Cooling Temperature:FCT)の間の温度域において、約10〜16℃/sの平均冷却速度で冷却した。表2には、鋼の成分組成(表1)と上述した式(5)とを用いて求めたAR3変態点も記載した。表2から分かるように、いずれの試料でも、SCTはAr3変態点以上であった。
得られた厚鋼板について、(1)母材引張試験および(2)母材衝撃試験を行った。
また、表1には、各厚鋼板の成分組成から求めたパラメータ(HRi、GMsdfおよびCeq)も記載した。各パラメータは、以下の式により求めた。但し、[C],[Mn],[Ni],[Cr],[Cu],[Mo]および[V]は、夫々、C,Mn,Ni,Cr,Cu,MoおよびVの質量%での含有量を示す。
HRi=−1.0[C]+0.17[Mn]+0.1[Ni]+0.05[Cr]−0.25Mo−4.0Al
GMsdf=−50[C]+90[Mn]+37[Ni]+75[Cu]+80[Cr]−70
Ceq=[C]+[Mn]/6+([Cu]+[Ni])/15+([Cr]+[Mo]+[V])/5
HRi=−1.0[C]+0.17[Mn]+0.1[Ni]+0.05[Cr]−0.25Mo−4.0Al
GMsdf=−50[C]+90[Mn]+37[Ni]+75[Cu]+80[Cr]−70
Ceq=[C]+[Mn]/6+([Cu]+[Ni])/15+([Cr]+[Mo]+[V])/5
(厚鋼板の溶接)
厚鋼板を多層盛溶接して、溶接熱影響部の各種試験用試料を調製した。溶接は、一般的に試験溶接として用いられている炭酸ガス溶接(FCAW)法で、溶接溶け込み線(FL)が垂直になるようにK開先で実施した。また溶接入熱は、溶接後の冷却速度が速くMAが生成しやすい条件となる1.5〜2.0kJ/mmで実施した。適用される溶接法については、上記のような条件で多層盛溶接が実施できるものであれば何ら限定されず、代表的な溶接法として、MIG溶接(inert−gas metal−arc welding法)、炭酸ガスアーク溶接、およびMAG溶接(metal active−gas shielded arc welding法)等が挙げられる。
得られた試料を用いて、(3)溶接熱影響部CTOD値の測定、(4)溶接熱影響部の硬さ測定、(5)F溶接熱影響部のMAの平均円相当径の測定、および(6)溶接熱影響部の組織粒径の測定を行った。
厚鋼板を多層盛溶接して、溶接熱影響部の各種試験用試料を調製した。溶接は、一般的に試験溶接として用いられている炭酸ガス溶接(FCAW)法で、溶接溶け込み線(FL)が垂直になるようにK開先で実施した。また溶接入熱は、溶接後の冷却速度が速くMAが生成しやすい条件となる1.5〜2.0kJ/mmで実施した。適用される溶接法については、上記のような条件で多層盛溶接が実施できるものであれば何ら限定されず、代表的な溶接法として、MIG溶接(inert−gas metal−arc welding法)、炭酸ガスアーク溶接、およびMAG溶接(metal active−gas shielded arc welding法)等が挙げられる。
得られた試料を用いて、(3)溶接熱影響部CTOD値の測定、(4)溶接熱影響部の硬さ測定、(5)F溶接熱影響部のMAの平均円相当径の測定、および(6)溶接熱影響部の組織粒径の測定を行った。
(1)母材強度の測定
各厚鋼板から、JISZ 2201の4号試験片を作製した。厚鋼板の厚さをtとしたとき、試験片は、厚鋼板の表面から深さt/4の位置から、圧延方向と垂直方向に切り出した。試験片を用いて、JIS Z 2241に従って各1回の引張試験を行い、降伏強度YS(Yield Strength)および引張強度TS(Tensile Strength)を測定した。降伏強度(YS)が420N/mm2以上かつ引張強度(TS)が510N/mm2以上で、「良好」であると評価した。
各厚鋼板から、JISZ 2201の4号試験片を作製した。厚鋼板の厚さをtとしたとき、試験片は、厚鋼板の表面から深さt/4の位置から、圧延方向と垂直方向に切り出した。試験片を用いて、JIS Z 2241に従って各1回の引張試験を行い、降伏強度YS(Yield Strength)および引張強度TS(Tensile Strength)を測定した。降伏強度(YS)が420N/mm2以上かつ引張強度(TS)が510N/mm2以上で、「良好」であると評価した。
(2)母材靭性の測定
各厚鋼板から、JIS Z2242のVノッチシャルピー衝撃試験片を3本ずつ採取した。試験片は、厚鋼板の表面から深さt/2の位置から、圧延方向と垂直方向に切り出した。このとき、試験片の軸心(長手軸)が、厚鋼板の深さt/2の位置となるように採取した。3本の試験片を用いて、−80℃でシャルピー衝撃試験を3回実施した。各々のシャルピー衝撃試験片の脆性破面率を測定し、その平均値を求めた。平均脆性破面率が50%以下であるとき、即ち破面遷移温度が−60℃以下であるとき、母材靭性がより優れていると評価した。
各厚鋼板から、JIS Z2242のVノッチシャルピー衝撃試験片を3本ずつ採取した。試験片は、厚鋼板の表面から深さt/2の位置から、圧延方向と垂直方向に切り出した。このとき、試験片の軸心(長手軸)が、厚鋼板の深さt/2の位置となるように採取した。3本の試験片を用いて、−80℃でシャルピー衝撃試験を3回実施した。各々のシャルピー衝撃試験片の脆性破面率を測定し、その平均値を求めた。平均脆性破面率が50%以下であるとき、即ち破面遷移温度が−60℃以下であるとき、母材靭性がより優れていると評価した。
(3)溶接熱影響部CTODの測定
CTOD試験は、BS7448−1(非特許文献5)に準拠して行った。試験片のサイズは板厚t(=25mm)×幅W(=2t:50mm)×長さL(=4.6W:230mm)とした。ノッチは、圧延方向に垂直な面に、板厚方向に沿って導入した。ノッチは疲労き裂により導入した。ノッチ位置は、溶接熱影響部において最も低靭性になると考えられているIRCG HAZ(Intercritically Reheated Coarse Grain HAZ)部がノッチ先端に含まれるように設定した。具体的にはAPI RP2Z(非特許文献6)の規定に従ってIRCG HAZ部を同定し、板厚方向中心部2/3の領域(つまり、板厚方向において、鋼板の表面および裏面から1/6の範囲を除いた中央の領域)において、CTOD試験後のセクショニング時に、ノッチ先端に含まれるIRCG HAZ部の面積率が15%以上となるようにノッチを導入した。
CTOD試験は、BS7448−1(非特許文献5)に準拠して行った。試験片のサイズは板厚t(=25mm)×幅W(=2t:50mm)×長さL(=4.6W:230mm)とした。ノッチは、圧延方向に垂直な面に、板厚方向に沿って導入した。ノッチは疲労き裂により導入した。ノッチ位置は、溶接熱影響部において最も低靭性になると考えられているIRCG HAZ(Intercritically Reheated Coarse Grain HAZ)部がノッチ先端に含まれるように設定した。具体的にはAPI RP2Z(非特許文献6)の規定に従ってIRCG HAZ部を同定し、板厚方向中心部2/3の領域(つまり、板厚方向において、鋼板の表面および裏面から1/6の範囲を除いた中央の領域)において、CTOD試験後のセクショニング時に、ノッチ先端に含まれるIRCG HAZ部の面積率が15%以上となるようにノッチを導入した。
なおIRCG HAZが最も低靭性となると考えられているのは、他のHAZ部と比較してMAが多く生成するためである。本実施例は、当該IRCG HAZにノッチを導入してCTOD試験を実施している。よって、他のHAZ部にノッチを導入してCTOD測定を行った場合には、本実施例の結果よりも良好な結果が得られると考える。すなわち、本実施例では、極めて厳しい条件でCTOD測定を行っているため、この試験で良好な結果となった鋼であれば、IRCG HAZ以外の他のHAZ部にノッチを導入した場合にも良好なCTOD値を有する鋼であることを保証し得る。なお、他のHAZ部としては、例えばSC HAZ(Subcritically HAZ)が挙げられる。
各鋼材で8本以上の試験用試料を準備して、溶接継手のCTOD測定を行った。CTOD測定試験の試験温度は−20℃とした。なおCTOD試験後に、試験用試料を非特許文献6の規定に従ってセクショニングして、板厚方向中心部2/3の領域において、IRCG HAZの面積率が、疲労ノッチ先端の15%以上となっているかどうか検証した。「IRCG HAZの面積率15%以上」の要件を満たした試験用試料を8本確保して、それらの測定結果(8つ)から予測最低CTOD値を算出した。
表4には、測定で得られた8つの限界CTOD値を、累積頻度により整理して記載すると共に、累積確率10%における値(これを「予測最低CTOD値」とした)を記載した。図1のグラフは、表4の試料No.6について、縦軸を累積頻度、横軸を限界CTOC値としてプロットしたものである。近似曲線が類似頻度10%のときの値が、予測最低CTOD値(図1では、0.90)である。
また、BS7448−1(非特許文献5)に従って、CTOD測定の際に、荷重-ノッチ開口変位(notch opening displacement)曲線を作成した。当該曲線を、BS7448−1(非特許文献5)の判定基準に従って破壊パターン(パターン1〜6)に分類し、表4の「破壊パターン」の欄に1〜6のいずれかの番号を記載した。各試料No.の厚鋼板で8つの試料を準備してCTOD測定を行ったので、表4では、各試料No.で8つの破壊パターンの番号を記載した。
パターン6は、最大荷重を示した後に脆性破壊が生じることを示し、靭性の観点から最も好ましい。パターン4は、疲労亀裂先端からすべり変形とその後に微小空洞合体型の延性亀裂が発生し、荷重増加に伴い延性亀裂が安定的に成長したのち、最終的に脆性破壊が生じることを示す。一方、パターン2は、パターン4よりも早期に脆性破壊が生じることを示し、靭性の観点から好ましくない。
パターン6は、最大荷重を示した後に脆性破壊が生じることを示し、靭性の観点から最も好ましい。パターン4は、疲労亀裂先端からすべり変形とその後に微小空洞合体型の延性亀裂が発生し、荷重増加に伴い延性亀裂が安定的に成長したのち、最終的に脆性破壊が生じることを示す。一方、パターン2は、パターン4よりも早期に脆性破壊が生じることを示し、靭性の観点から好ましくない。
(4)溶接熱影響部の硬さの測定
硬さ測定は、板厚をtとしたとき、各鋼板の表面から深さt/4の箇所で、板厚方向±3mmの範囲内にあるIRCG HAZ部で行った。上述した通り、IRCG HAZ部が最も低靭性であり、MAと周囲組織との硬さの差が大きいと考えられるためである。非特許文献6の規定に従ってIRCG HAZ部を同定し、当該IRCG HAZ部の硬さを下記要領で測定した。
硬さ測定は、板厚をtとしたとき、各鋼板の表面から深さt/4の箇所で、板厚方向±3mmの範囲内にあるIRCG HAZ部で行った。上述した通り、IRCG HAZ部が最も低靭性であり、MAと周囲組織との硬さの差が大きいと考えられるためである。非特許文献6の規定に従ってIRCG HAZ部を同定し、当該IRCG HAZ部の硬さを下記要領で測定した。
溶接熱影響部のMAの硬さは、マイクロビッカース試験機を用いて、溶接継手のIRCG HAZ部におけるMAに、荷重1gで圧痕を5点打ち込み、その平均値を「溶接熱影響部のMAの硬さ」とした。
同様に、IRCG HAZ部におけるMA周囲の組織(フェライトまたはベイナイト)の硬さも、マイクロビッカース試験機を用いて、IRCG HAZ部における周囲組織に、荷重1gで圧痕を5点打ち込み、その平均値を「溶接熱影響部の周囲組織の硬さ」とした。
それらの平均値を下記の式に代入して、MHhrを算出した。
MHhr=MAの硬さ/周囲組織の硬さ
同様に、IRCG HAZ部におけるMA周囲の組織(フェライトまたはベイナイト)の硬さも、マイクロビッカース試験機を用いて、IRCG HAZ部における周囲組織に、荷重1gで圧痕を5点打ち込み、その平均値を「溶接熱影響部の周囲組織の硬さ」とした。
それらの平均値を下記の式に代入して、MHhrを算出した。
MHhr=MAの硬さ/周囲組織の硬さ
また、MHhrの計算結果を用いて、試料No.1〜10について、MHhrと予測最低CTOD値との関係を図2にプロットした。図2では、縦軸を予測最低CTOD値、横軸をMHhrとした。試料No.1〜3を×印、試料No.4〜7を●印、試料No.8〜10を○印とした。図2から、MHhrの低減により、予測最低CTOD値を向上できることがわかる。
さらに、MHhrの計算結果を用いて、試料No.1〜10について、HRi(表1)とMHhrとの関係を図3にプロットした。図3では、縦軸をMHhr、横軸をHRiとした。図3から、HRiの増加によりMHhrを低減できることがわかる。
(5)溶接熱影響部のMAの平均円相当径の測定
MAの平均円相当径の測定は、板厚をtとしたとき、各鋼板の表面から深さt/4の箇所で、板厚方向±3mmの範囲(この部分を「測定領域」とする)内にあるIRCG HAZ部 に形成されたMAについて行った。
各鋼板溶接継手材(試験用試料)について、圧延方向に垂直な面で切断し、その断面をレペラ試薬で腐食し、上記測定領域内のIRCG HAZ部を1000倍にて光学顕微鏡で観察した。なお、観察位置は、表面から深さt/4の位置かつFL部の位置とした。5600μm2の面積を有する視野を2視野撮影し、画像解析によりMAの円相当径(以下、「MA平均円相当径」と呼ぶ)を算出した。2視野から得られた2つの「MA平均円相当径」のうち大きい値を、その鋼板溶接継ぎ手材における「MAの最大サイズ」とした。
MAの平均円相当径の測定は、板厚をtとしたとき、各鋼板の表面から深さt/4の箇所で、板厚方向±3mmの範囲(この部分を「測定領域」とする)内にあるIRCG HAZ部 に形成されたMAについて行った。
各鋼板溶接継手材(試験用試料)について、圧延方向に垂直な面で切断し、その断面をレペラ試薬で腐食し、上記測定領域内のIRCG HAZ部を1000倍にて光学顕微鏡で観察した。なお、観察位置は、表面から深さt/4の位置かつFL部の位置とした。5600μm2の面積を有する視野を2視野撮影し、画像解析によりMAの円相当径(以下、「MA平均円相当径」と呼ぶ)を算出した。2視野から得られた2つの「MA平均円相当径」のうち大きい値を、その鋼板溶接継ぎ手材における「MAの最大サイズ」とした。
(6)溶接熱影響部の結晶粒径の測定
結晶粒径の測定は、板厚をtとしたとき、各鋼板の表面から深さt/4の箇所で、板厚方向±3mmの範囲(この部分を「測定領域」とする)内にあるIRCG HAZ部で行った。
各鋼板溶接継手材について、圧延方向に垂直な面で切断し、その断面を走査型電子顕微鏡を用いてEBSP法により100μm×100μmの視野を0.2μmのステップ間隔で結晶方位を測定した。方位差が15度以上の粒界を対象として測定して、最大粒径をその鋼の「結晶粒径の最大サイズ」とした。
結晶粒径の測定は、板厚をtとしたとき、各鋼板の表面から深さt/4の箇所で、板厚方向±3mmの範囲(この部分を「測定領域」とする)内にあるIRCG HAZ部で行った。
各鋼板溶接継手材について、圧延方向に垂直な面で切断し、その断面を走査型電子顕微鏡を用いてEBSP法により100μm×100μmの視野を0.2μmのステップ間隔で結晶方位を測定した。方位差が15度以上の粒界を対象として測定して、最大粒径をその鋼の「結晶粒径の最大サイズ」とした。
得られた「MAの最大サイズ(MAS)」と「結晶粒径の最大サイズ(GS)」を下記の式に代入して、GMspを算出した。
GMsp=0.065×MAS+0.02×GS
GMsp=0.065×MAS+0.02×GS
また、GMspの計算結果を用いて、試料No.1〜10について、GMspと予測最低CTOD値との関係を図4にプロットした。図4では、縦軸を予測最低CTOD値予測最低CTOD値、横軸をGMspとした。試料No.1〜3を×印、試料No.4〜7を●印、試料No.8〜10を○印とした。図4から、GMspの低減により予測最低CTOD値を向上できることがわかる。
さらに、GMspの計算結果を用いて、試料No.1〜10について、GMsdf(表
1)とGMspとの関係を図5にプロットした。図5では、縦軸をGMsp、横軸をGMsdfとした。図5から、HRiの増加によりGMsdfを低減できることがわかる。
1)とGMspとの関係を図5にプロットした。図5では、縦軸をGMsp、横軸をGMsdfとした。図5から、HRiの増加によりGMsdfを低減できることがわかる。
表3および表4の結果を考察する。
(発明例および比較例の評価)
試料No.4〜10は、本発明で規定する要件(成分組成およびMHhr≦1.72)を満たしており、−20℃における予測最低CTOD値が0.25mm以上と良好な破壊靭性を示した。また、破壊パターンはパターン6またはパターン4であり、パターン2のものはなかった。このことからも、良好な靭性を有していることがわかる。さらに、降伏強度(YS)が420N/mm2以上、引張強度(TS)が510N/mm2以上でと、優れた機械的特性も有していた。
特に試料No.8〜10の鋼材は、MHhrが1.64以下で、且つGMspが1.20以下であるため、予測最低CTOD値が1.1以上と特に高くなった。そして、破壊パターンは全てパターン6であり、優れた靭性を有することがわかった。
試料No.4〜10は、本発明で規定する要件(成分組成およびMHhr≦1.72)を満たしており、−20℃における予測最低CTOD値が0.25mm以上と良好な破壊靭性を示した。また、破壊パターンはパターン6またはパターン4であり、パターン2のものはなかった。このことからも、良好な靭性を有していることがわかる。さらに、降伏強度(YS)が420N/mm2以上、引張強度(TS)が510N/mm2以上でと、優れた機械的特性も有していた。
特に試料No.8〜10の鋼材は、MHhrが1.64以下で、且つGMspが1.20以下であるため、予測最低CTOD値が1.1以上と特に高くなった。そして、破壊パターンは全てパターン6であり、優れた靭性を有することがわかった。
試料No.1および2の鋼材は、HRi、GMsdfが好ましい範囲から外れており、MHhrが本発明の範囲外になった。そのため、予測最低CTOD値が低い値となった。また、破壊パターンはパターン2のものが存在し、パターン6のものはなかった。これらの結果から、試料No.1および2の鋼材は、靭性が低いことがわかった。
試料No.3の鋼材は、製造条件において、Al添加後にTi添加するまでの時間が短かったため、MHhrが本発明の範囲外になった。そのため、予測最低CTOD値が低い値となった。また、破壊パターンはパターン2またはパターン4であり、パターン6のものはなかった。これらの結果から、試料No.3の鋼材は、靭性が低いことがわかった。
試料No.3の鋼材は、製造条件において、Al添加後にTi添加するまでの時間が短かったため、MHhrが本発明の範囲外になった。そのため、予測最低CTOD値が低い値となった。また、破壊パターンはパターン2またはパターン4であり、パターン6のものはなかった。これらの結果から、試料No.3の鋼材は、靭性が低いことがわかった。
このように、本発明に係る鋼は、予測最低CTOD値が高く、低温環境での使用に好適であることがわかった。
Claims (7)
- C :0.01〜0.15質量%、
Si:0.5質量%以下(0質量%を含む)、
Mn:0.6〜2.0質量%、
P :0質量%超、0.03質量%以下、
S :0質量%超、0.025質量%以下、
Al:0.01〜0.07質量%、
Cu:0質量%超、1.0質量%以下、
Ni:0質量%超、1.8質量%以下、
Ti:0.003〜0.03質量%、
N :0.001〜0.01質量%、
Nb:0.003質量%以上、0.05質量%未満、および
Cr:1.2質量%以下(0質量%を含む)を含み、
残部が鉄及び不可避不純物からなる鋼であって、
溶接した際に、MAおよび当該MAを囲む周囲組織を含む溶接熱影響部が形成され、
前記溶接熱影響部が下記式(1)を満足することを特徴とする鋼。
MHhr=MAの硬さ/周囲組織の硬さ≦1.72・・・(1) - さらに、前記溶接熱影響部が下記式(2)を満足することを特徴とする請求項1に記載の鋼。
GMsp=0.065×MAS+0.02×GS≦2.00・・・(2)
ただし、MAS:溶接熱影響部におけMAの最大サイズ[μm]であり、GS:溶接熱影響部における結晶粒径の最大サイズ[μm]。 - Mo:0.5質量%以下(0質量%を含む)、
V :0.1質量%以下(0質量%を含む)、
B :0.005質量%以下(0質量%を含む)、および
Ca:0.0003〜0.006質量%
の少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載の鋼。 - さらに、下記式(3)を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋼。
0.10≦HRi=−1.0[C]+0.17[Mn]+0.1[Ni]+0.05[Cr]−0.25[Mo]−4.0[Al]≦0.40・・・(3)
但し、[C],[Mn],[Ni],[Cr],[Mo]および[Al]は、夫々C,Mn,Ni,Cr,MoおよびAlの質量%での含有量を示す。 - さらに、下記式(4)を満足することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋼。
GMsdf=−50[C]+90[Mn]+37[Ni]+75[Cu]+80[Cr]−70≧110・・・(4)
但し、[C],[Mn],[Ni],[Cu]および[Cr]は、夫々C,Mn,Ni,CuおよびCrの質量%での含有量を示す。 - C :0.01〜0.15質量%、
Si:0.5質量%以下(0質量%を含む)、
Mn:0.6〜2.0質量%、
P :0質量%超、0.03質量%以下、
S :0質量%超、0.025質量%以下、
Al:0.01〜0.07質量%、
Cu:0質量%超、1.0質量%以下、
Ni:0質量%超、1.8質量%以下、
Ti:0.003〜0.03質量%、
N :0.001〜0.01質量%、
Nb:0.003質量%以上、0.05質量%未満、および
Cr:1.2質量%以下(0質量%を含む)を含み、残部が鉄及び不可避不純物からなり、下記式(3)を満足する溶湯を調製する工程と、
前記溶湯からスラブを作製する工程と、
前記スラブを圧延する工程と、を含み、
前記溶湯を調製する工程において、Alを添加してから10分以上経過後に、Tiを添加することを特徴とする、鋼の製造方法。
0.10≦HRi=−1.0[C]+0.17[Mn]+0.1[Ni]+0.05[Cr]−0.25[Mo]−4.0[Al]≦0.40・・・(3)
但し、[C],[Mn],[Ni],[Cr],[Mo]および[Al]は、夫々C,Mn,Ni,Cr,MoおよびAlの質量%での含有量を示す。 - 前記溶湯が、さらに下記式(4)を満足することを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
GMsdf=−50[C]+90[Mn]+37[Ni]+75[Cu]+80[Cr]−70≧110・・・(4)
但し、[C],[Mn],[Ni],[Cu]および[Cr]は、夫々C,Mn,Ni,CuおよびCrの質量%での含有量を示す。
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