JP4857855B2 - 継手疲労強度に優れた溶接用耐疲労亀裂鋼板 - Google Patents

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本発明は、溶接継手部での疲労強度が必要とされる造船、建設構造物、橋梁などの分野において用いられる構造用鋼板、特に引張強さが490MPa級から570MPa級の構造用鋼板に関する。
近年、構造物の使用期間を延長することと同時に構造物の軽量化が指向されている。この軽量化は、使用条件の過酷化を招くので溶接構造物における疲労破壊が懸念され、その早急な解決が求められている。社会基盤を支えている溶接構造物の疲労破壊を確実に防止することは、構造物の安全性を高めるためにきわめて重要である。
上記の要請に応えるためには、構造設計面だけでなく、材料面からも疲労強度を向上させる工夫をしなければならない。しかしながら、鋼板そのものの疲労強度は鋼板の高強度化によりある程度可能であるのに対し、最も必要とされる溶接継手部の疲労強度増大は、鋼板自体の改善だけでは実現できないと言われてきた。その理由として、溶接継手の場合には鋼板を高強度化しても、溶接残留応力のレベルが高まること、および切欠き感受性が高まることが挙げられる。事実、継手疲労強度は、どのような鋼板を適用してもほとんど変わらないとの実験結果が数多く報告されてきた。
このような状況に対し、これまでにも多くの疲労強度改善技術が提案されている。ただし、疲労強度健全性向上に関する技術の多くは、薄鋼板を母材とする継手におけるものであったり、あるいはそれらを溶接母材とするスポット溶接部を対象とするものである。もっとも、本発明が対象としている厚鋼板の分野においても、下記のようにいくつかの改善技術が公開されている。
例えば、特許文献1では、高温強度を低下させることにより溶接継手内の溶接残留応力を緩和する手段が提案されており、具体的には、同じ温度であればオーステナイト相よりも強度が低いフェライト相を活用している。すなわち、溶接部における溶接後の冷却過程では冷却速度が速いため、オーステナイト単相の温度域が広く、溶接金属の熱収縮に伴い高いレベルの残留応力が発生してしまう。そこで鋼中にフェライト生成元素としてAlを0.5〜2.0%含有させておき、800℃から600℃の温度範囲でフェライトを生成させて、低強度のフェライトを塑性変形させることにより残留応力を緩和している。
また、特許文献2に開示される発明では、引張強度490〜780MPaの高張力鋼板のHAZ(溶接熱影響部)の組織をベイナイト主体とし、オーステナイト粒界から生成する粒界フェライトを抑制することにより疲労強度を向上させようとしている。これを実現するため、粒界フェライトの生成を抑制すべくBを0.0005〜0.01%添加し、さらにベイナイトとマルテンサイトを含んだ組織全体を強化すべく炭素当量(Ceq)の限定を設けている。
特開2004-211150号公報 特開2003-171731号公報
上記の特許文献1で開示されている技術は、フェライト相をより広い温度範囲で存在させるため高濃度のAl添加を必須要件としている。Alは、フェライト相生成に寄与する一方で、構造用鋼板が備えなければならない基本的特性のひとつである靭性を著しく損なうことが知られている。したがって、この技術では溶接部の残留応力が抑制できて疲労強度の向上が期待できるとしても、静的負荷に対する靭性そのものが不足してしまうこととなる。構造材料の形状・寸法の設計は、疲労強度の観点からだけではなく、静的負荷に対する脆性破壊防止の観点からも行われており、特許文献1の技術では強度健全性をバランスよく向上させることができない。
一方、特許文献2の技術では、粒界フェライトの生成を抑制するためにBの添加が必須となっている。確かに、Bは粒界において焼入れ性を高め、粒界フェライトを効率良く抑制することができる。しかしながら、他方においてBは溶接熱影響部の靭性を低下させる元素であるから、その使用には注意を要する。
溶接継手部に要求される特性は、前述したように、繰返し荷重に対する疲労特性だけでなく、静的荷重による脆性破壊を防止するための靭性確保もまた同じく重要である。部材寸法の大部分は、後者の靭性で決定されており、必要な部分に対し、疲労破壊防止を確認する疲労調査が行われている現状の疲労設計体系においては、疲労特性と同様に靭性も重要である。この意味において、溶接条件、例えば溶接入熱が変動した場合をも考えると、粒界フェライトの生成と溶接熱影響部靭性とをBの添加という手法だけで両立させることは極めて困難であると言える。
上記のような背景に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、靱性を阻害することが知られている多量のAlを添加したり、あるいは多量のBを添加することなく、溶接継手の疲労強度に優れる鋼板を提供することである。
本発明者らは、溶接継手の疲労試験を多数実施し、その試験結果と鋼板中に存在する介在物の清浄度との相関に着目して検討した。その結果、鋼板断面全体の清浄度と継手疲労特性の間には何ら相関が無かった。それに対して、介在物分析を鋼板表面から板厚方向に2mmの深さまでの領域に限定して鋼板毎に清浄度を求め、継手疲労特性との相関を調べたところ、極めて強い相関のあることが認められた。
上記のような相関が認められた理由として、溶接継手では溶接余盛り止端を起点として疲労亀裂が発生し疲労破断に到るが、溶接余盛り止端近傍における高応力域が鋼板表面から板厚方向に2mmまでの深さの領域まで及び、この領域の清浄度が継手疲労強度を律則するためと考えられる。
そして、この2mmの深さまでの領域での清浄度は、鋼の組成と連続鋳造時のフラックスの巻き込みに起因することがわかった。
本発明は、上記の諸知見を基礎として完成されたものであって、その要旨は、下記(1)および(2)の溶接用耐疲労亀裂鋼板にある。
(1)質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.04〜0.6%、Mn:0.50〜2.0%、P:0.006%以下、S:0.003%以下、Al:0.003〜0.06%、Ti:0.001〜0.10%およびN:0.0020〜0.0120%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、不純物としてのBが0.0007%以下、O(酸素)が0.0030%以下で、炭素当量(Ceq)値が0.28〜0.65%であって、鋼板表面から板厚方向に2mmの深さまでの領域における下記の(a)式で定義される清浄度が0.005〜0.1%であることを特徴とする溶接用耐疲労亀裂鋼板。
(A系介在物の清浄度)×1+(B系介在物の清浄度)×3
+(C系介在物の清浄度)×1.5 ・・・(a)
ただし、A系介在物、B系介在物およびC系介在物は、JIS G0555に定義されるものであり、それぞれの清浄度はJIS G0555の附属書1に定められる評価法によって求める。また、Ceqは、「C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14」によって求める。

(A系介在物の清浄度)×1+(B系介在物の清浄度)×3
+(C系介在物の清浄度)×1.5 ・・・(a)
ただし、A系介在物、B系介在物およびC系介在物は、JIS G0555に定義されるものであり、それぞれの清浄度はJIS G0555の附属書1に定められる評価法によって求める。
(2)質量%で、さらにCu:1.5%以下、Ni:1.5%以下、Cr:1.2%以下、Mo:1.0%以下およびV:0.1%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(1)の溶接用耐疲労亀裂鋼板。
本発明の鋼板は、疲労強度に優れた溶接継手を実現できる耐疲労亀裂鋼板である。この鋼板は、造船、建設構造物、橋梁などの溶接構造物用の素材として用い、これらの構造増物の安全性を高めるのにきわめて有用である。
本発明者らは、まず、溶接継手の疲労試験体の亀裂発生・伝播の状況をミクロ的およびマクロ的視野のもとで詳細に観察した。その結果、以下の2点を確認した。
(1)疲労亀裂は、溶接余盛り止端から発生する。
(2)疲労亀裂が発生した後、亀裂は主応力に垂直な方向に進展する。
このように破壊起点が溶接余盛り止端であるため、従来は、溶接余盛り止端での局所的な材料特性が継手疲労強度を律則しているように考えられていた。しかしながら、詳細に考察を進めた結果、余盛り止端という切欠き先端の局部的な材料部分だけで溶接継手の疲労特性が決まっているのではなく、実は、ある広がりを有する領域全体の材料特性で継手疲労強度が律則されていることが判明した。
つまり、溶接余盛り止端での応力集中が影響を及ぼす領域、具体的には鋼板表面から2mmの深さまでの領域における材料の清浄度(介在物の存在形態)が溶接継手の疲労強度を律則していることが明らかになった。
以下、本発明の要件をさらに詳しく説明する。
一般に、鋼板が溶接された場合、溶接部はビード形状によって生じる応力集中によりビード止端部が高応力域になり、止端部から疲労亀裂が鋼板表面に垂直に進展する。その状態を図1に模式的に示す。図1において、1と2は母材鋼板、3が余盛り止端、4が亀裂である。
このような破壊形態に対し、本発明者らは溶接部の疲労強度を高めるべく研究開発を進め、溶接部の止端部近傍、つまり鋼板表面下2mmの深さまでの領域に存在する非金属介在物が溶接止端部の応力集中による高応力の影響を受け疲労亀裂発生を助長することを見出した。
疲労亀裂発生を律則する局所的応力は、溶接余盛り止端によるマクロ的な応力集中と、介在物の輪郭形状に起因するミクロ的な応力集中の積によって決定される。
ここで、溶接余盛り止端によるマクロ的な応力集中は、通常、応力集中係数を3程度として見積もることができる。このマクロ的な応力は、鋼板自体の特性に依存するものではなく、むしろ溶接余盛形状自体に依存する。このため、溶接施工の工夫により最大応力の低減を図らざるを得ない。
一方、介在物の輪郭形状に起因するミクロ的な応力集中は、鋼板自体の介在物特性に依存する。すなわち、この応力集中は、溶接止端部の高応力域の中に存在する介在物とマトリックス(matrix)のと界面での応力集中によって発生する。
そこで本発明者らは、鋼板中に存在する介在物の輪郭形状に起因するミクロ的な応力の応力集中係数について検討し、鋼板表面から2mmの深さまでの領域に存在する非金属介在物と溶接継手の疲労強度について多重回帰分析などを行った結果、下記のような多項式と、この式で定義される清浄度(重み付清浄度)の適正範囲とを見出した。
(A系介在物の清浄度)×1+(B系介在物の清浄度)×3
+(C系介在物の清浄度)×1.5 ・・・(a)
ここで、上記の多項式の係数について考察する。疲労亀裂は、図1に示したように、鋼板表面に垂直に入っていくのが一般的である。この場合の主応力方向を考え、その主応力により介在物に起因する応力集中を考える。
介在物の輪郭形状に起因する応力集中係数は、A系介在物、即ち、圧延方向に直線状に延ばされた介在物の場合は、継手の主応力負荷方向と介在物の延ばされた方向が平行であるため、その応力集中係数はほぼ1となると解される。A系介在物は主として硫化物系介在物である。
B系介在物、即ち、圧延方向に点列状に存在する介在物の場合、隣接する介在物間の界面の応力集中が大きくなるため応力集中係数はほぼ3になると解される。B系介在物は主としてAl23系介在物である。
C系介在物、即ち、ランダムに分散し点在する介在物の場合、球状の介在物が多い。一方、球状ではなく角部を有する介在物も考えられるが、介在物の向きと負荷方向との関係で角部での応力状態は変化する。介在物の向きはランダムであり、平均的には応力集中係数は1.5になると解される。C系介在物は主としてCaO、CaSである。
このようにJISの評価法により介在物の輪郭形状パターンと清浄度が提示されたならば、前述のミクロ的な応力集中係数を重みとして使用することにより、前記の多項式、即ち、(a)式によって溶接継手部の耐疲労損傷の程度を評価できる。
前記の多項式で得られた値が0.1%を超えると、ミクロ的な応力集中が大きくなって溶接部の疲労強度が極めて低くなる。一方、その多項式で得られる値が0.005%を下回ると、溶接施工時の高温環境下で結晶粒成長が介在物で阻害されることなく非常に大きな粒に成長し、結果として溶接部の衝撃特性が著しく劣化してしまう。
次に本発明鋼の化学組成について述べる。本発明鋼板の成分の作用効果および含有量の限定理由は下記のとおりである。ここで成分含有量を表す%は、特に断らない限り質量%を意味する。なお、“溶接用鋼板”とは、溶接されることを前提とし、鋼の溶接性をも考慮した鋼板の意味である。
C:0.01〜0.10%
Cは、構造部材の強度確保に有効な元素である。その含有量が0.01%未満では強度向上の効果が得がたい。一方、Cの含有量が0.10%を超えると鋼板の焼入れ性が高まり継手の硬度分布が不均一となり、継手疲労強度に悪影響を及ぼす。したがって、Cの含有量を0.01〜0.10%とした。なお、強度を確保するとともに継手疲労特性をも確保するためには、C含有量は0.02〜0.08%とすることが望ましい。
Si:0.04〜0.6%
Siは脱酸作用を有する。含有量が0.04%未満では脱酸作用が不十分である。しかし、その含有量が0.6%を超えると靭性が劣化する。したがって、Siの含有量を0.04〜0.6%
とした。なおSiの含有量は0.05〜0.5%とするのがさらに望ましい。
Mn:0.50〜2.0%
Mnは強度の確保に有効な元素である。しかし、その含有量が0.50%未満ではその効果が十分ではない。一方、Mnの含有量が2.0%を超えると靭性が劣化する。したがって、Mnの含有量を0.50〜2.0%とした。なお、Mnの含有量のさらに望ましい範囲は0.70〜1.8%である。
P:0.006%以下
Pは、鋼中へ不可避的に混入されてしまう不純物元素である。破壊靱性面からは少ないほど望ましいが、経済性を考慮して許容上限を0.006%とした。
S:0.003%以下
Sも鋼中に不可避的に混入される不純物である。Sは偏析率が高く、かつ低融点物質を形成して凝固割れの原因となるため、極力少ない方がよい。さらに、Caとともに鋼板表面から板厚方向に深さ2mmまでの領域における介在物の清浄度に極めて強く影響するため、0.003%以下でなければならない。なお、Sの含有量は0.002%以下であることがさらに望ましい。
Al:0.003〜0.06%
Alは脱酸作用を有する。しかし、その含有量が0.003%未満ではその効果が十分ではなく、鋼中の酸化物が増加するため靭性が劣化する。一方、Alの含有量が0.06%を超えると靭性が低下する。したがって、Alの含有量を0.003〜0.06%とした。なお、Alの含有量は0.010〜0.050%とすることが一層望ましい。
Ti:0.001〜0.10%
Tiは、Nと結合してTiNを形成し溶接熱影響部における組織を細粒化する作用がある。細粒化は破壊単位の微細化にも繋がり、破壊抵抗を高めるのに有効である。含有量が少ないと細粒化の効果が不十分なため、最低含有量を0.001%とする必要がある。しかしながら、Tiの含有量が過多になると母材靱性を劣化させてしまい、かえって特性を劣化させてしまう。そこで上限値を0.10%とした。
N:0.0020〜0.0120%
Nは、Tiと結合してTiNを形成し溶接熱影響部における組織を細粒化する作用がある。細粒化は破壊単位の微細化にも繋がり、破壊抵抗を高めるのに有効である。含有量が少ないと細粒化の効果が不十分なため、最低含有量を0.0020%とする必要がある。しかしながら、Nの含有量が過多になると鋳片の表面性状を劣化させてしまい、製造効率を阻害させてしまう。そこで上限値を0.0120%とした。なお、Nの含有量は0.0070〜0.0120%とすることが一層望ましい。
B:0.0007%以下
Bは、鋼の焼入れ性を高め、フェライト量を抑制する元素である。そのため、その含有量が0.0007%を超えると溶接部の硬度分布を不均一にしてしまう。均質な熱影響部を得て溶接継手の疲労強度特性を高めるためには0.007%以下で極力少ない方が望ましい。硬度分布を効果的に均一にするためには、Bの含有量は0.0003%未満であることが一層望ましい。
O(酸素):0.0030%以下
酸素は、介在物の生成に極めて重要な働きをなす。本発明では表面下2mmまでの深さの領域における介在物を制御しているが、酸素は鋼板全体の介在物に影響し、その含有量が少ない方が介在物の制御には有利である。ここでは経済性を考慮して上限値を0.0030%としている。
Ceq:0.28〜0.65%
Ceq(炭素当量)は、「C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14」で表される。このCeqの値は、鋼板の焼入れ性や溶接性を評価する指標であり、一般に広く使われている。しかしながら、Ceqは、所望の機械的特性や溶接性を有する鋼板を得るための指標としてのみ使われており、溶接継手の疲労特性との関係を調査した研究はない。
本発明者らは、溶接継手の疲労特性を向上させ、かつ構造用鋼として一般的な引張強さ(TS)が500N/mm2以上、0℃におけるシャルピー吸収エネルギー値vE0が27J以上であるという要求を満たすための必要条件を探求した。その結果、Ceqが0.28%未満では、強度が低下し、一方、Ceqが0.65%を超えると、鋼板の焼入れ性が高まり継手の硬度分布が不均一となって継手疲労強度に悪影響を及ぼすことが判明した。また、Ceqが大きすぎると溶接性の劣化を引き起こし、溶接施工が困難になり、鋼板の用途が著しく制限されてしまう。したがってCeqの範囲を0.28〜0.65%とした。なお、Ceqの範囲は0.30〜0.63%がさらに望ましい。
本発明の鋼板の一つは、上記の成分のほか、残部がFeと不純物からなるものである。本発明の鋼板の他の一つは、上記の成分元素に加えてさらにCu、Ni、Cr、Mo、V、Nb、REMおよびMgの中から選んだ1種または2種以上の成分を含有するものである。Cu、Ni、Cr、MoおよびVは主に強度の向上に、Nbは靱性の改善に、REMおよびMgは溶接部の靱性改善に、それぞれ寄与する。以下、これらの成分の作用効果と含有量の限定理由を述べる。
Cu:1.5%以下
Cuは強度の確保および耐食性の改善に有効な元素である。しかし、Cu含有量が1.5%を超えると靱性の劣化を引き起こすのでその含有量を1.5%以下とした。なおCuの含有量のより望ましい範囲は0.1〜1.0%である。
Ni:1.5%以下
Niは強度の確保および靭性改善に有効な元素である。しかし、Ni含有量が1.5%を超えてもその効果が飽和するばかりか、コストの上昇を招く。したがって、その含有量を1.5%以下とした。なお、Niのより望ましい含有量は0.05〜1.3%である。
Cr:1.2%以下
Crも、Cuと同様に強度の確保と耐食性の改善に有効な元素である。しかし、Cr含有量が1.2%を超えると靱性の劣化を引き起こすので、その含有量を1.2%以下とした。なお、Crのより望ましい含有量は0.1〜1.0%である。
Mo:1.0%以下、
Moは、焼入れ性を高め強度を改善するのに有効な元素である。しかし、Mo含有量が1.0%を超えると靱性の劣化を引き起こすばかりでなく、コストの上昇を招くためその含有量を1.0%以下とした。なお、Moのより望ましい含有量は0.05〜0.8%である。
V:0.1%以下
Vは、強度を高める作用があるので、構造物に大きな強度を確保する目的で含有させるが、その含有量が0.1%を超えると靭性の劣化を引き起こすため、その含有量を0.1%とした。なお、Vのより望ましい含有量は0.01〜0.08%である。
Nb:0.10%以下
Nbは、靭性を確保するのに有効な元素である。しかし、その含有量が0.10%を超えるとかえって靭性が低下してしまう。したがって、Nbの含有量を0.10%以下とした。なお、Nbのより望ましい含有量は0.020〜0.050%である。
REM:0.0010%以下
REMは溶接部靱性を改善する効果があるので添加してもよい。この効果を得るために添加する場合、含有量の望ましい下限は0.0002%である。ただし、多量に含有させると母材靱性を損なうおそれがあるから、その含有量は0.0010%以下としなければならない。なお、REMとは、前記のとおり、ランタニドの15元素とYおよびScを合わせた17元素を意味する。
Mg:0.0010%以下
Mgにも溶接部靱性を改善する効果があるので添加してもよい。ただし、多量に含有させると母材靱性を損なうおそれがある。したがって、その含有量は0.0010%以下としなければならない。なお、上記の効果を得るべくMgを添加する場合、その含有量の下限は0.0003%とするのが望ましい。
次に本発明の鋼板の製造方法について述べる。
本発明に係る疲労特性に優れた溶接継手が実現できる鋼板は、例えば、特殊な条件を課した連続鋳造を経て、加速冷却装置を備えた熱間圧延設備を使用して製造することができる。その製造条件は以下に述べる条件で実施するのが好適である。
一般に鋼中の介在物は、精錬プロセスで溶鋼中に生成する場合と、連続鋳造時に鋳型内でモールドフラックスの溶融層が溶鋼中に巻き込まれる場合に発生することが知られている。
本発明で着目している表層の介在物は、前記の2つの原因のうち、モールドフラックスの巻き込まれによるものである。この巻き込まれを防止する対策としては、連続鋳造の際の鋳型内の溶鋼流動を適正な状態に維持すること、あるいはモールドフラックスの化学組成を適正な値に設計することが考えられる。
本発明者らは、本発明で注目しているスラブの極表層、つまり圧延後の鋼板表面から2mmの深さまでの領域という表層での介在物を抑制するには、モールドフラックスの化学組成を適正なものにすることが極めて効果的であることを見出した。具体的には、下記の表1に示すフラックスAが望ましい。即ち、通常のモールドフラックス(表1のフラックスB)の化学組成に対し、SiO2、Al23、MgO、Na2Oを抑制する一方で、CaOならびにFを増すことが必要である。
Figure 0004857855
上記のフラックスを用いて、連続鋳造法にてスラブを製造する。スラブサイズは、例えば、鋳込み厚250mm、鋳込み幅2300mmとし、鋳込み速度は1.1m/minとする。タンデッシュでのシールドガスとしては100%Arガスを使用し、ガス流量は100L/minに設定するのがよい。スラブ品質向上のため電磁ブレーキを用い、浸漬ノズルの吐出孔近傍にスラブ全幅に対し4機を連続配置するのが望ましい。
このようにして得られた連続鋳造スラブを1000〜1250℃に加熱した後に熱間圧延を施す。次いで、これを冷却するに際し、その冷却工程において650〜400℃の間の平均冷却速度を5℃/s以上(より好ましいのは8〜25℃/s)とする加速冷却を施し、この加速冷却を400℃以下の温度で停止する。その後、復熱温度幅が70℃以下となるようにして冷却を終了する。ここで、復熱温度幅とは、冷却を停止した時の到達温度と、冷却停止後に鋼板内部の熱で表面の温度が上昇し、安定した時の温度との差を意味する。
鋳造スラブの加熱温度が1000℃に満たない場合には圧延効率が悪くなり、一方、1250℃を超えると組織が粗大になり、靱性が劣化する。冷却過程の650〜400℃の間での平均冷却速度が5℃/sに満たない場合には、フェライト率が高くなり強度靱性バランスが芳しくない。好ましいのは25℃/s以下である。加速冷却停止後、冷却終了までの間の復熱温度幅が70℃を超える場合には、鋼板の板厚方向の均質性に欠ける。加速冷却停止温度が400℃を超える温度の場合には、フェライト率が高くなり、やはり強度靱性バランスが劣る。好ましい停止温度は350℃以上である。
復熱温度幅を小さくするには、冷却中の鋼板表層と中心部の温度差を小さくするとともに、冷却終了時において、少なくとも表層部の相変態を終了させておく必要がある。鋼板表層と中心部の温度差を小さくするには、冷却帯の前段より後段の冷却速度を大きくするのがよい。また、加速冷却停止時に表層部の相変態を完了させるには、加速冷却の停止温度を400℃以下にする必要がある。
表2に示す化学組成の鋼を転炉で溶製し、表1に示したフラックスAとBを用い、前述の条件で連続鋳造を行ってスラブを作り、さらに各スラブを適当な板厚まで熱間圧延した。表3に鋼板の製造条件を示す。
上記のようにして準備した鋼板を用いて、荷重非伝達型の十字溶接継手をCO2溶接で作製し、疲労試験に供した。継手試験体の形状と寸法を図2に示す。継手は隅肉溶接で製作した。1と2が母材鋼板、5が溶接部である。表4には溶接条件を示す。
この試験体に対し、繰返し軸力負荷を与え、溶接余盛り止端における疲労亀裂の発生寿命、つまり疲労破断寿命を測定した。表5には疲労試験条件を示す。また、HAZ部の靭性値も測定した。
表6に連続鋳造に用いたフラックス、表面から2mmの深さまでの領域の清浄度、前記(a)式で算出される重み付清浄度の値、鋼板の製造条件、溶接継手の疲労破断寿命およびHAZ1mmの靭性の測定結果を記す。なお、「HAZ1mm」とは、溶接熱影響部(HAZ)の特性を評価するに当たり、溶接による溶融線(Fusion Line)から1mmの位置を評価対象位置としたことを意味する。
Figure 0004857855
Figure 0004857855
Figure 0004857855
Figure 0004857855
Figure 0004857855
図3は、鋼板表面から2mmの深さまでの領域の清浄度((a)式で算出した清浄度)と疲労破断強度の関係を示した図である。同図において、白丸は本発明で規定する鋼材の化学成分の範囲外のものを、黒丸は本発明で定める鋼の化学組成の範囲内のものを示す。この図から、本発明で定める範囲外の化学組成を有するものは比較的清浄度が悪化する傾向があることがわかる。しかし、本発明で定める範囲内の化学組成を有するものであっても、必ずしも清浄度がよくなるわけではない。
図3に見られるように、本発明で定める範囲内の化学組成を有し、かつ、(a)式で算出される清浄度が0.1%以下のものにおいて、疲労破断強度が向上することが明らかである。しかし、(a)式で算出される清浄度が0.005%よりも小さくなると、表6に示すようにHAZ1mmの靭性が低下する(No.16参照)。したがって、(a)式で算出される清浄度は0.005〜0.1%とすることが重要である。
図4は、特に本発明の範囲内の化学成分を有し、かつ、(a)式で算出される清浄度が0.005〜0.1%のものにつき、特にBの含有量に着目して疲労破断強度との関係を示した図である。この図からBの含有量を0.0003%未満にすると、さらに疲労破断強度が向上することがわかる。また、特にNの含有量を0.0070〜0.0120%とすると、一層の疲労破断強度が向上することがわかる。
本発明の鋼板は、疲労強度に優れた溶接継手を実現できる耐疲労亀裂鋼板である。即ち、この鋼板から製作された溶接構造物は、その継手性能がきわめて優れている。したがって、本発明の鋼板は、造船、建設構造物、橋梁などの産業分野で使用することにより、これら溶接構造物の長期使用を可能とし、メンテナンスの費用や工数の軽減に大きく寄与する。
溶接余盛りの止端での亀裂発生を模式的に示す図である。 継手試験体の形状・寸法を示す図である。 継手疲労強度に及ぼす重み付清浄度((a)式で算出される値)の影響を示す図である。 継手疲労強度に及ぼすB含有量の影響(組成が本発明の範囲内のもののみをピックアップした)を示す図である。
符号の説明
1、2:母材鋼板
3:余盛り止端
4:亀裂
5:溶接部

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.04〜0.6%、Mn:0.50〜2.0%、P:0.006%以下、S:0.003%以下、Al:0.003〜0.06%、Ti:0.001〜0.10%およびN:0.0020〜0.0120%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、不純物としてのBが0.0007%以下、O(酸素)が0.0030%以下で、炭素当量(Ceq)値が0.28〜0.65%であって、鋼板表面から板厚方向に2mmの深さまでの領域における下記の(a)式で定義される清浄度が0.005〜0.1%であることを特徴とする溶接用耐疲労亀裂鋼板。
    (A系介在物の清浄度)×1+(B系介在物の清浄度)×3
    +(C系介在物の清浄度)×1.5 ・・・(a)
    ただし、A系介在物、B系介在物およびC系介在物は、JIS G0555に定義されるものであり、それぞれの清浄度はJIS G0555の附属書1に定められる評価法によって求める。また、Ceqは、「C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14」によって求める。
  2. 質量%で、さらにCu:1.5%以下、Ni:1.5%以下、Cr:1.2%以下、Mo:1.0%以下およびV:0.1%以下のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の溶接用耐疲労亀裂鋼板。
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