JP5343486B2 - 大入熱溶接用鋼材 - Google Patents

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Description

本発明は、船舶や建築・土木等の各種鋼構造物に用いられる、表面性状が良好で、降伏応力が460N/mm以上の強度を有する板厚40mm以上の溶接用鋼材に関し、特に、入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接を行っても、溶接熱影響部の靭性やCTOD特性に優れる大入熱溶接用鋼材に関するものである。
船舶や建築・土木等の各種鋼構造物に用いられる鋼材の高強度化、厚肉化に伴い、それらの組み立てに用いられる溶接施工には、サブマージアーク溶接やエレクトロガス溶接、エレクトロスラグ溶接などの生産能率に優れる大入熱溶接が適用されることが多くなっている。
鋼材を大入熱溶接した場合、一般に溶接熱影響部の靭性は低下する。そこで、鋼中にTiNを微細に分散させて、溶接熱影響部のオーステナイト粒の粗大化を抑制した鋼や、TiNを溶接熱影響部におけるフェライトの生成核として利用してフェライト変態を促進した鋼が開発、実用化されている。しかしながら、このTiNを利用する鋼は、溶接時に、TiNが溶解する温度域にまで加熱される熱影響部では、所望の効果が得られず、さらに、固溶したTiおよびNによって地の組織が脆化し、靭性が著しく低下するという問題を抱えていた。
そこで、上記問題の解決を目的とした技術が幾つか提案されている。例えば、特許文献1には、Ti酸化物(オキシサイド)を溶接熱影響部に分散させる技術が開示されている。しかし、このTi酸化物を利用する技術は、酸化物を均一微細に分散させることが難しいという問題がある。この問題に対しては、酸化物を複合化する等の方法で、分散能を改善することが検討されているが、入熱量が300kJ/cmを超えるような大入熱溶接では、溶接熱影響部におけるオーステナイト粒の成長を抑制することは困難である。
また、特許文献2には、BNのフェライト核生成能を利用して溶接熱影響部の靭性を向上させる技術が提案されている。さらに、特許文献3には、Caを添加して硫化物(サルファイド)の形態を制御し、溶接熱影響部の靭性を向上させる技術が、特許文献4には、同様の目的で、REMを添加する技術が提案されている。
また、特許文献5には、溶接熱影響部におけるフェライト変態を促進するため、Ca,S,Oの含有量を適正に制御することによって、Ca系非金属介在物を鋼中に微細に分散させ、靭性を向上する技術が開示されている。
特開昭57−051243号公報 特開昭62−170459号公報 特開昭60−204863号公報 特公平04−014180号公報 特許第3546308号公報
ところで、近年、降伏応力YSが460MPa以上のクラスの高強度鋼に、大入熱溶接が適用されることが増加している。しかし、特許文献2や特許文献5に記載された旧オーステナイト粒内へのフェライトの生成により溶接熱影響部の靭性を改善する技術は、もっぱら降伏応力が390MPaクラスの鋼材を対象とするものである。そのため、合金元素を多量に含んで炭素当量が高い、降伏応力が460MPa以上の高強度の鋼材に、これらの技術を適用した場合には、大入熱溶接のような遅い冷却速度でも、粒内はフェライトとベイナイトの混合組織となるため、高い靭性を得ることが難しいという問題がある。
さらに、CaやREMを添加する特許文献3や4の技術は、酸素(O)や硫黄(S)をコントロールしていないことから、均一微細な介在物分布を得ることが難しく、溶接熱影響部(HAZ)の組織制御を安定して達成することが難しいという問題がある。
また、大入熱溶接部の靭性評価の手法としては、従来、主としてシャルピー衝撃試験が用いられてきた。しかし、近年では、より評価精度を高めるため、CTOD試験が適用されることが多くなってきている。このCTOD試験は、疲労予き裂を靭性評価部に発生させた試験片を3点曲げし、破壊が起こる直前のき裂底の口開き量を測定することにより、脆性破壊の発生抵抗を評価するものであり、シャルピー衝撃試験と比較し、より厳しい試験方法である。
また、降伏応力YSが460MPa以上の鋼材は、比較的多量の合金元素を含むことから、スラブの表面性状に劣るため、表面傷除去などの手入工程に大きな負荷がかかっていた。特に、Cが0.07〜0.12mass%の範囲は、亜包晶領域と呼ばれ、シェルの不均一成長に起因した縦割れが起こりやすいことが知られている。その理由は、この領域では、凝固時に液相と初晶のδ相からγ相を生成する変態が起こり、この変態に伴う収縮によって、凝固シェルが鋳型表面から離れ、抜熱が不均一となることに起因していると考えられている。
そこで、本発明の目的は、表面品質に優れると共に、降伏応力が460N/mm以上でかつ板厚が40mm以上の鋼板であって、入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接を行っても、溶接熱影響部の靭性やCTOD特性に優れる鋼材を提供することにある。
発明者らは、上記課題を解決するべく種々の検討を重ねた。その結果、大入熱溶接した熱影響部の靭性を向上するには、溶接時に高温に加熱された際のオーステナイト粒の粗大化を抑制し、その後の冷却過程における粒内フェライトの生成を促進することに加えてさらに、ベイナイト中の島状マルテンサイト量を低減させることが重要であり、そのためには、CとPの含有量の低減が有効であること、また、スラブの表面性状、ひいては鋼材の表面品質の改善を図るには、亜包晶領域を回避する必要があり、そのためには、フェライト安定化元素であるCrを適正量添加することが有効であることを見出した。
そして、本発明は、上記知見にさらに検討を加えて完成したものである。
すなわち、本発明は、C:0.03〜0.09mass%、Si:0.20mass%以下、Mn:0.8〜2.0mass%、P:0.012mass%以下、S:0.0005〜0.0050mass%、Al:0.005〜0.1mass%、Cr:0.7mass%超え2.0mass%以下、Ni:2.0mass%以下、Nb:0.03mass%以下、Ti:0.004〜0.03mass%、B:0.0003〜0.0025mass%、N:0.0020〜0.0070mass%、Ca:0.0005〜0.0030mass%、O:0.0040mass%未満を含有し、かつ、Ca,SおよびOが下記(1)式;
0<(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S<1.0 ・・・(1)
ここで、Ca,SおよびOは、各成分の含有量(mass%)
を満たして含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接用鋼材である。
本発明の鋼材は、上記成分組成に加えてさらに、V:0.2mass%以下、Cu:1.0mass%以下、Mo:0.7mass%以下およびW:1.5mass%以下から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする。
本発明によれば、表面性状に優れ、しかも、溶接入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接を行っても、溶接熱影響部の靭性やCTOD特性が良好な、降伏応力が460MPa以上でかつ板厚が40mm以上の溶接用鋼材を安定して得ることができる。したがって、本発明の鋼材は、船舶や建築、土木等の各種鋼構造物に用いて好適である。
本発明の鋼材の成分組成を限定する理由について説明する。
C:0.03〜0.09mass%
Cは、鋼の強度を高める成分であり、構造用鋼として必要な強度(YS≧460MPa)を得るためには、0.03mass%以上添加する必要がある。しかし、0.09mass%を超えて添加すると、大入熱溶接した熱影響部に島状マルテンサイトが生成して熱影響部の靭性の低下を招いたり、スラブ表面性状の低下を招いたりする。よって、Cの含有量は0.03〜0.09mass%とする。好ましくは0.03〜0.07mass%の範囲である。
Si:0.20mass%以下
Siは、脱酸材として、また、鋼を高強度化するために添加される成分である。しかし、Siを0.20mass%超え添加すると、大入熱溶接を行った場合、溶接熱影響部に島状マルテンサイトが生成して靭性を低下させる。よって、Siは0.20mass%以下とする。
Mn:0.8〜2.0mass%
Mnは、母材の強度を確保するために、0.8mass%以上添加する。しかし、2.0mass%を超える添加は、溶接部の靭性を著しく劣化させる。よって、Mnは0.80〜2.0mass%の範囲とする。
P:0.012mass%以下
Pは、鋼中に不可避的に混入してくる不純物成分であり、0.012mass%を超えて含有すると、大入熱溶接した熱影響部に島状マルテンサイトが生成して、靭性やCTOD特性を低下させる。よって、Pは0.012mass%以下とする。
S:0.0005〜0.0050mass%
Sは、本発明においては、CaS,MnSを生成させて、溶接熱影響部の靭性を向上させるために必要な成分である。斯かる効果を得るためには、Sは0.0005mass%以上含有させる必要がある。一方、0.0050mass%超え含有すると、母材の靭性を低下させる。よって、本発明では、Sは0.0005〜0.0050mass%の範囲とする。
Al:0.005〜0.1mass%
Alは、鋼の脱酸剤として0.005mass%以上添加する必要がある。しかし、0.1mass%を超える添加は、母材の靭性を低下させるとともに、溶接時に溶接金属部に混入して靭性を低下させる。よって、Alは0.005〜0.1mass%の範囲とする。
Cr:0.3〜2.0mass%
Crは、フェライト安定化元素であり、δフェライト領域を拡大し、亜包晶領域を高C側に移行させることによりスラブ表面性状を改善する、本発明においては重要な成分である。この効果を得るには、0.3mass%以上の添加が必要である。特に、0.7mass%を超える添加により、その効果は顕著となる。しかし、2.0mass%を超える過剰の添加は、溶接熱影響部の靭性が劣化を招く。よって、Crは0.3〜2.0mass%の範囲とする。好ましくは、Crは0.7mass%超〜1.6mass%である。
Ni:2.0mass%未満
Niは、母材の靭性向上や溶接熱影響部のCTOD特性の向上に有効である他、鋼の強度を高める成分である。しかし、Niを2.0mass%超え添加しても、その効果が飽和するだけである。よって、Niは2.0mass%以下とする。
Nb:0.03mass%以下
Nbは、母材の強度、靭性および溶接継手の強度を確保するために添加する。しかし、Nbの0.03mass%を超える添加は、溶接熱影響部の靭性の低下を招くため、0.03mass%以下とする。
Ti:0.004〜0.03mass%
Tiは、溶鋼が凝固する際、TiNを生成して析出し、溶接熱影響部におけるオーステナイト粒の粗大化を抑制すると共に、フェライト変態の核となってフェライトの生成を促進し、靭性を向上させるため、0.004mass%以上添加する必要がある。一方、Tiを0.03mass%超え添加すると、TiN粒子が粗大化し、却って靭性が低下する。よって、Tiは0.004〜0.03mass%の範囲で添加する。
B:0.0003〜0.0025mass%
Bは、溶接熱影響部でBNを生成して固溶Nを低減し、また、フェライト変態の核となってフェライトの生成を促進し、靭性を向上させる効果があるので、0.0003mass%以上添加する必要がある。一方、0.0025mass%を超えて添加すると、焼入れ性が高くなりすぎ、靭性が低下する。よって、Bは0.0003〜0.0025mass%の範囲で添加する。
N:0.0020〜0.0070mass%
Nは、Tiと結合してTiNを生成し、溶接熱影響部におけるオーステナイト粒の粗大化を抑制すると共に、フェライト変態を促進し、靭性を向上させる効果があるため、0.0020mass%以上とする。一方、0.0070mass%を超えると、溶接時の入熱によってTiNが溶解を起こす領域において、固溶Nが増大し、靭性を劣化させる。よって、Nは0.0020〜0.0070mass%の範囲とする。
Ca:0.0005〜0.0030mass%
Caは、CaSを形成してSを固定し、靭性を改善する元素である。斯かる効果は、Caを0.0005mass%以上添加することにより得られる。一方、0.0030mass%を超える添加は、その効果が飽和するだけである。よって、Caは0.0005〜0.0030mass%の範囲で添加する。
O:0.0040mass%未満
Oは、後述するように、鋼中に析出したCaS上にさらにMnSが析出した複合硫化物(サルファイド)の生成に間接的に影響を与える成分である。斯かる効果を得るためには、Oは0.0040mass%未満、好ましくは0.0030mass%以下とする。
0<(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S<1.0 ・・・(1)
ここで、Ca,S,O:各元素の含有量(mass%)
上記パラメータ式(1)は、上述した成分組成を満たす鋼を大入熱溶接した際、溶接熱影響部の靭性を良好たらしめる条件を規定したもので、上記式を満たすようCa,S,Oを制御することで、鋼中に析出したCaS上に、さらにMnSが析出した複合硫化物(サルファイド)が生成し、これが鋼中に微細に分散することにより、溶接熱影響部の靭性を向上させることができる。上記(1)式中の(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/(1.25/S)は、硫化物形態制御に有効なCaとSの原子濃度の比を示す値であり、この値から、硫化物の形態を推定することができる(持田他、「鉄と鋼」、日本鉄鋼協会、第66年(1980)、第3号、P354〜362)。
すなわち、(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/Sの値が0以下の場合、CaSが晶出しないため、SはMnS単独の形態で析出するので、本発明の主眼である溶接熱影響部でのフェライト生成核の微細分散を実現することができない。また、単独で析出したMnSは鋼板製造時に圧延方向に伸長して、母材の靭性を低下させる。また、溶接熱影響部において、MnSが溶融し、微細分散しないため、優れた靭性が得られない。
一方、(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/Sの値が1.0以上では、SがほとんどCaによって固定され、フェライトの生成核となるMnSがCaS上に析出しないため、複合硫化物が形成されない。そのため、溶接熱影響部にフェライトが生成することができず、靭性向上効果が得られない。
これに対して、Ca,SおよびOが、上記(1)式を満たした場合には、CaS上にMnSが析出して複合硫化物を形成し、フェライト生成核として有効に機能することができる。なお、好ましくは、((Ca−(0.18+130×Ca)×O)/(1.25/S)の値は0.2〜0.8の範囲である。
本発明の鋼材は、上記基本成分以外に、さらに強度および靭性を高めるため、V,Cu,Cr,MoおよびWの1種または2種以上を下記の範囲で添加することができる。
V:0.2mass%以下
Vは、母材の強度、靭性を向上すると共に、VNを生成してフェライトの生成核となるので添加することができる。しかし、0.2mass%を超える添加は、靭性を低下させるので、添加する場合は0.2mass%以下とする。
Cu:1.0mass%以下
Cuは、Niと同様の効果を有するが、1.0mass%を超えて添加すると、熱間脆性を引き起こし、鋼板の表面性状を悪化させる。よって、添加する場合は1.0mass%以下とする。
Mo:0.7mass%以下
Moは、母材の高強度化に有効な成分であるが、多量に添加すると靭性を劣化させるので、添加する場合は0.7mass%以下とする。
W:1.5mass%以下
Wは、母材の高強度化に有効な成分であるが、多量に添加すると靭性を劣化させるので、添加する場合は1.5mass%以下とする。
次に、本発明の鋼材の製造方法について説明する。
本発明の鋼材は、常法により鋼を溶製し、鋼素材としたのち、この鋼素材を熱間圧延して、または熱間圧延後、焼戻し処理して製造する。例えば、溶銑を転炉で精錬して溶鋼を得た後、RH脱ガス処理して成分組成を上記適正範囲に調整後、連続鋳造または造塊−分塊圧延工程を経て鋼素材(鋼スラブ)とする。
この鋼スラブを再加熱後、熱間圧延し、制御圧延、加速冷却等を適宜施し、所望の板厚の鋼材とするのが好ましい。この際の鋼スラブの加熱温度は950〜1250℃の範囲とすることが好ましい。また、熱間圧延終了温度は、700〜850℃の範囲とし、熱間圧延後の冷却は、加速冷却とし、600℃以下の冷却停止温度まで、3〜20℃/secの冷却速度で冷却することが好ましい。さらに、本発明の鋼材は、残留する内部応力を低減する目的で、上記冷却後の鋼材に、450〜600℃の温度で焼戻処理を施すことが好ましい。
表1に示した成分組成に調整したNo.1〜27の鋼を溶製し、これを鋼スラブとした後、スラブの表面を目視観察し、割れ等の発生の有無を調査した。その結果を、表1中に示したが、本発明の成分組成を満たす鋼スラブは、いずれも表面品質が良好であるのに対して、本発明範囲を外れるNo.20,23および27の鋼スラブ表面には割れが認められ、圧延して製品化することができなかった。これは、 No.20の鋼は、Cr量が低く、亜包晶凝固したため、No.25の鋼は、Vが過剰で、旧オーステナイト粒界が脆化したため、また、No.27の鋼は、Vが過剰で、V系析出物が旧オーステナイト粒界上のフェライト中に析出し、ここに応力集中した結果、割れが促進されたためと考えられる。
その後、割れの認められなかった鋼スラブを、表2に示した条件で、再加熱し、熱間圧延し、加速冷却し、450℃以下の温度域まで冷却して、板厚が50〜80mmの鋼板とした。なお、一部の鋼板については、その後、450〜600℃の温度域で焼戻し処理を施した。
Figure 0005343486
上記のようにして得た各鋼板からサンプルを採取し、下記の引張試験、シャルピー衝撃試験およびCTOD試験に供した。
<引張試験>
各鋼板の板厚中央部から、圧延幅方向にJIS4号引張試験片を採取し、引張試験を行い、降伏応力(YS)、引張強さ(TS)を測定した。
<シャルピー衝撃試験>
各鋼板の母材の板厚中央部から、圧延幅方向にJIS4号衝撃試験片を採取し、0〜−100℃の温度範囲でシャルピー衝撃試験を行い、延性−脆性の破面遷移温度(vTrs)を求めた。また、各鋼板から得たサンプルにV開先を加工し、入熱量を320〜550kJ/cmとした大入熱のエレクトロガスアーク溶接により継手を作製し、この溶接ボンド部からシャルピー衝撃試験片を採取し、−40℃の温度でシャルピー衝撃試験を行い、吸収エネルギー(vE−40)を測定した。
<CTOD試験>
上記エレクトロガスアーク溶接で、靭性が良好(vTrs≦−40℃)であった母材を用いて作製した溶接継手から、溶接ボンド部をノッチ位置とし、板厚方向全厚にノッチ加工したCTOD試験片を作製し、BS7448規格に準じて、−10℃でCTOD試験を行い、限界CTOD値を測定した。
上記試験の結果を表2に示した。表2から、本発明例の鋼材(母材)は、いずれも降伏応力YSが460MPa以上の高強度を有し、シャルピー破面遷移温度vTrsも−60℃以下と優れた靭性を有している。また、本発明の鋼材を大入熱溶接した継手ボンド部の−40℃でのシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーはいずれも100J以上であり、また、−10℃でのCTOD値も0.2mm以上であり、溶接熱影響部の靭性やCTOD特性にも優れていることがわかる。これに対して、比較例の鋼材は、母材の特性が、降伏応力YSが460MPa以下か、シャルピー破面遷移温度vTrsが−40℃以上であり、または、溶接継手ボンド部のシャルピー衝撃値が32J以下か、CTOD値が0.074mm以下である。
これらの結果から、本発明の鋼材は、母材の強度、靭性特性および溶接部の靭性特性のいずれにおいても優れていることがわかる。
Figure 0005343486
本発明鋼材は、船舶や建築・土木等の各種鋼構造物の他に、海洋構造物や圧力容器にも好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. C:0.03〜0.09mass%、
    Si:0.20mass%以下、
    Mn:0.8〜2.0mass%、
    P:0.012mass%以下、
    S:0.0005〜0.0050mass%、
    Al:0.005〜0.1mass%、
    Cr:0.7mass%超え2.0mass%以下
    Ni:2.0mass%以下、
    Nb:0.03mass%以下、
    Ti:0.004〜0.03mass%、
    B:0.0003〜0.0025mass%、
    N:0.0020〜0.0070mass%、
    Ca:0.0005〜0.0030mass%、
    O:0.0040mass%未満を含有し、かつ、Ca,SおよびOが下記(1)式を満たして含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接用鋼材。

    0<(Ca−(0.18+130×Ca)×O)/1.25/S<1.0 ・・・(1)
    ここで、Ca,SおよびOは、各成分の含有量(mass%)
  2. 上記成分組成に加えてさらに、V:0.2mass%以下、Cu:1.0mass%以下、Mo:0.7mass%以下およびW:1.5mass%以下から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の入熱量が300kJ/cmを超える大入熱溶接用鋼材。
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