JP2012207237A - 多層盛溶接部の靭性に優れた降伏強さ500MPa級厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】造船、海洋構造物、鋼管、タンク、橋梁、土木、建築、建産機械等に供して好適な多層盛溶接部の靭性に優れた降伏強さ(YS)が500MPa以上の鋼板を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.03〜0.20%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.50〜1.8%、P:0.020%以下、S:0.005%以下、Al:0.1〜1.8%Cr:0.25〜3.0%を含有し、必要に応じて、Ti:0.005〜0.030%、N:0.0010〜0.0070%を含有し、更にCu、Ni、Mo、Nb、V、REM、Ca、Mgの1種または2種以上を含有し、多層盛溶接部のICCGHAZの構成組織として、残留オーステナイトが4%以上で、残部がフェライト、パーライト、ベイナイトおよびマルテンサイトとなることを特徴とする降伏強さ(YS)が500MPa以上の厚鋼板。
【選択図】なし
【解決手段】質量%で、C:0.03〜0.20%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.50〜1.8%、P:0.020%以下、S:0.005%以下、Al:0.1〜1.8%Cr:0.25〜3.0%を含有し、必要に応じて、Ti:0.005〜0.030%、N:0.0010〜0.0070%を含有し、更にCu、Ni、Mo、Nb、V、REM、Ca、Mgの1種または2種以上を含有し、多層盛溶接部のICCGHAZの構成組織として、残留オーステナイトが4%以上で、残部がフェライト、パーライト、ベイナイトおよびマルテンサイトとなることを特徴とする降伏強さ(YS)が500MPa以上の厚鋼板。
【選択図】なし
Description
本発明は、造船、海洋構造物、鋼管、タンク、橋梁、土木、建築、建産機械等に供して好適な多層盛溶接部靭性に優れた降伏強さ(YS)が500MPa以上の厚鋼板およびその製造方法に関し、特に板厚12mm以上のものに関する。
造船、海洋構造物、鋼管、タンク、橋梁、土木、建築、建産機械等に熱間圧延鋼板が用いられ、所望の形状に組み立てる際には、溶接接合により仕上る場合が非常に多く、安全性の観点から、使用される鋼材の母材靭性は勿論のこと、溶接熱影響部の靭性に優れることが要求される。
一般に、板厚の厚い鋼材を溶接接合する場合には、多層盛での溶接施工が施される。この際、最も問題となるのは、先行する溶接パスによる溶融境界近傍の溶接熱影響部(以下、HAZともいう)のボンド部が、後続の溶接によりオーステナイト(以下、γ)とフェライト(以下、α)の2相領域に再加熱される位置(Inter Critically−reheated Coarse Grain HAZ、以下、ICCGHAZ)において、最も靱性の劣化が顕著になることである。
ボンド部は、溶接時に溶融点直下の高温に曝されて、オーステナイトの結晶粒が最も粗大化し易い位置である。結晶粒粗大化を抑制する対策として、ピンニング粒子を分散する技術が広く知られている。
例えば、特許文献1には、鋼板中に微細な(Mg、Al)酸化物とTiNをピンニング粒子として複合析出させる技術が記載されている。特許文献2には、鋼板中にTiNをピンニング粒子として分散させるとともに、CaSをフェライト変態核として分散させる技術が記載されている。
また、特許文献3には、鋼板中にTi−Mg酸化物をピンニング粒子として析出させるとともに、MnS、BNをフェライト変態核として分散させる技術が記載されているが、これらの効果は限定的であり、ボンド部ではピンニング粒子の一部が溶解し、ピンニング効果が消失して、結晶粒の粗大化が不可避である。
更に、1層目の溶接で結晶粒が粗大化したボンド部が、後続の溶接によりα+γ2相領域に再加熱される多層盛溶接部では避けることのできないICCGHAZの場合、γに逆変態した領域に鋼板中に固溶した炭素が濃化し、引き続く冷却過程において、粗大な島状マルテンサイトが生成して靭性が劣化する。
特に、鋼材に高強度が要求される場合には、鋼板に炭素をはじめとする合金元素を添加することが一般的であり、島状マルテンサイトの生成が助長され、一層、靭性が低下し、鋼板の降伏強度が500MPaを超えると顕著になる。
上述したように、特許文献1〜3等で提案されている鋼板では、ボンド部での結晶粒の粗大化を十分抑制できず、また、ICCGHAZに生成する島状マルテンサイトの抑制効果についても不明であり、更に降伏強度500MPa以上を安定して満足できない。
そこで、本発明では、降伏強さ(YS)が500MPa以上で多層盛溶接を行った際に、多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成するため、厚鋼板を対象に、降伏強度500MPa以上の母材強度と、優れた多層盛溶接部の靱性を両立するため、鋼板の化学成分、製造方法、および多層盛溶接部におけるICCGHAZのミクロ組織を決定する各種要因に関して鋭意研究を行い、以下の知見を得た。
1.ICCGHAZで優れた靭性を確保するためには、島状マルテンサイトの生成を抑制することが重要である。多層盛溶接の後続溶接でα+γの2相領域に再加熱された場合、γに逆変態した領域に鋼板中に固溶した炭素が濃化することは不可避であるが、その後の冷却過程で島状マルテンサイトに変態することを抑制し、室温に至るまで未変態オーステナイトの状態で残留させることが靭性向上に有効である。
2.ICCGHAZで島状マルテンサイトの変態を抑制し、未変態オーステナイトを確保するためには、鋼板の化学組成のうち、特にAlを厳格に管理するとともに、Mn、Crなど合金元素の添加バランスを管理することが重要である。
3.優れた多層盛溶接部の靱性を確保するためには、溶接熱影響部における結晶粒の粗大化を抑制することも有効で、鋼板中に微細なTiNを分散し、ピンニング効果を活用するため、成分組成におけるTi、Nの管理が重要である。
1.ICCGHAZで優れた靭性を確保するためには、島状マルテンサイトの生成を抑制することが重要である。多層盛溶接の後続溶接でα+γの2相領域に再加熱された場合、γに逆変態した領域に鋼板中に固溶した炭素が濃化することは不可避であるが、その後の冷却過程で島状マルテンサイトに変態することを抑制し、室温に至るまで未変態オーステナイトの状態で残留させることが靭性向上に有効である。
2.ICCGHAZで島状マルテンサイトの変態を抑制し、未変態オーステナイトを確保するためには、鋼板の化学組成のうち、特にAlを厳格に管理するとともに、Mn、Crなど合金元素の添加バランスを管理することが重要である。
3.優れた多層盛溶接部の靱性を確保するためには、溶接熱影響部における結晶粒の粗大化を抑制することも有効で、鋼板中に微細なTiNを分散し、ピンニング効果を活用するため、成分組成におけるTi、Nの管理が重要である。
本発明は、得られた知見に、更に検討を加えてなされたもので、すなわち、本発明は、
1.鋼組成が、mass%で
C:0.03〜0.20%、
Si:0.10〜1.0%、
Mn:0.50〜1.8%
P:0.020%以下、
S:0.010%以下、
Al:0.1〜1.8%、
Cr:0.25〜3.0%、
を含有し、下記に定義する(1)式が16〜30(%)を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板。
27C+9Mn+4(Cu+Ni)+8(Cr+Mo) (1)
但し、C、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo:各元素の含有量(質量%)で含有しない元素は0とする。
2.鋼組成に、mass%で更に、
Ti:0.005〜0.030%、
N:0.0010〜0.0070%、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする1記載の降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板。
3.鋼組成に、mass%で更に、
Cu:1.5%以下、
Ni:3.0%以下、
Mo:1.0%以下、
Nb:0.1%以下、
V:0.1%以下、
B:0.0050%以下、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする1または2に記載した降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板。
4.鋼組成に、mass%で更に、
REM:0.007%以下、
Ca:0.005%以下、
Mg:0.005%以下、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする1乃至3のいずれか一つに記載した降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板。
5.前記多層盛溶接部がICCGHAZにおいて、残留オーステナイトの体積分率が4%以上で、残部がフェライト、パーライト、ベイナイトおよびマルテンサイトの1種または2種以上からなるミクロ組織を備えていることを特徴とする1乃至4の何れか一つに記載の降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板。
6.1乃至4のいずれか一つに記載した鋼組成からなる鋳片または鋼片を、1000〜1250℃に加熱後、圧延仕上温度をAr3点以上とする熱間圧延を行い、続いて空冷または100℃/s以下の冷却速度で加速冷却を行うことを特徴とする降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板の製造方法。
7.加速冷却後、400℃以上、Ac1変態点以下で焼戻しを行うことを特徴とする6記載の降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板の製造方法。
8.1乃至4のいずれか一つに記載した鋼組成からなる鋳片または鋼片を、1000〜1250℃に加熱後、圧延仕上温度をAr3点以上とする熱間圧延を行い、圧延終了後、Ac3〜1100℃に再加熱し、焼ならし、もしくは焼入れを行うことを特徴とする降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板の製造方法。
9.焼ならし、もしくは焼入れ後、400℃以上、Ac1変態点以下で焼戻しを行うことを特徴とする8記載の降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板の製造方法。
1.鋼組成が、mass%で
C:0.03〜0.20%、
Si:0.10〜1.0%、
Mn:0.50〜1.8%
P:0.020%以下、
S:0.010%以下、
Al:0.1〜1.8%、
Cr:0.25〜3.0%、
を含有し、下記に定義する(1)式が16〜30(%)を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板。
27C+9Mn+4(Cu+Ni)+8(Cr+Mo) (1)
但し、C、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo:各元素の含有量(質量%)で含有しない元素は0とする。
2.鋼組成に、mass%で更に、
Ti:0.005〜0.030%、
N:0.0010〜0.0070%、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする1記載の降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板。
3.鋼組成に、mass%で更に、
Cu:1.5%以下、
Ni:3.0%以下、
Mo:1.0%以下、
Nb:0.1%以下、
V:0.1%以下、
B:0.0050%以下、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする1または2に記載した降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板。
4.鋼組成に、mass%で更に、
REM:0.007%以下、
Ca:0.005%以下、
Mg:0.005%以下、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする1乃至3のいずれか一つに記載した降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板。
5.前記多層盛溶接部がICCGHAZにおいて、残留オーステナイトの体積分率が4%以上で、残部がフェライト、パーライト、ベイナイトおよびマルテンサイトの1種または2種以上からなるミクロ組織を備えていることを特徴とする1乃至4の何れか一つに記載の降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板。
6.1乃至4のいずれか一つに記載した鋼組成からなる鋳片または鋼片を、1000〜1250℃に加熱後、圧延仕上温度をAr3点以上とする熱間圧延を行い、続いて空冷または100℃/s以下の冷却速度で加速冷却を行うことを特徴とする降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板の製造方法。
7.加速冷却後、400℃以上、Ac1変態点以下で焼戻しを行うことを特徴とする6記載の降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板の製造方法。
8.1乃至4のいずれか一つに記載した鋼組成からなる鋳片または鋼片を、1000〜1250℃に加熱後、圧延仕上温度をAr3点以上とする熱間圧延を行い、圧延終了後、Ac3〜1100℃に再加熱し、焼ならし、もしくは焼入れを行うことを特徴とする降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板の製造方法。
9.焼ならし、もしくは焼入れ後、400℃以上、Ac1変態点以下で焼戻しを行うことを特徴とする8記載の降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板の製造方法。
本発明によれば、多層盛溶接部の靱性を有する降伏強さ(YS)が500MPa以上の厚鋼板およびその製造方法が得られ、鋼構造物の製造効率や安全性の向上に大きく寄与し、産業上格段の効果を奏する。
[成分組成] 以下の説明において%はmass%とする。
C:0.03〜0.20%
Cは、鋼の強度を増加させ、構造用鋼材として必要な強度を確保するために必要な元素で、降伏強さ(YS)として500MPa以上を得るため、0.03%以上の含有を必要とする。一方、0.20%を超えて含有すると溶接性が劣化するだけでなく、多層盛溶接熱影響部におけるボンド部の靱性が著しく劣化する。このため、0.03〜0.20%の範囲に限定する。好ましくは、0.05〜0.18%である。
C:0.03〜0.20%
Cは、鋼の強度を増加させ、構造用鋼材として必要な強度を確保するために必要な元素で、降伏強さ(YS)として500MPa以上を得るため、0.03%以上の含有を必要とする。一方、0.20%を超えて含有すると溶接性が劣化するだけでなく、多層盛溶接熱影響部におけるボンド部の靱性が著しく劣化する。このため、0.03〜0.20%の範囲に限定する。好ましくは、0.05〜0.18%である。
Si:0.10〜1.0%
Siは、脱酸材として作用するため製鋼に必要で、また、鋼に固溶して固溶強化により鋼板の強度を高める効果を有する。更に、多層盛溶接部におけるICCGHAZでは、残留オーステナイトの生成を助長し、靱性劣化を抑制する効果を有する。このような効果を得るためには、0.10%以上の含有を必要とする。一方、1.0%を超えて含有すると、母材およびボンド部の靱性が顕著に劣化するため、0.10〜1.0%の範囲に限定する。好ましくは、0.15〜0.8%である。
Siは、脱酸材として作用するため製鋼に必要で、また、鋼に固溶して固溶強化により鋼板の強度を高める効果を有する。更に、多層盛溶接部におけるICCGHAZでは、残留オーステナイトの生成を助長し、靱性劣化を抑制する効果を有する。このような効果を得るためには、0.10%以上の含有を必要とする。一方、1.0%を超えて含有すると、母材およびボンド部の靱性が顕著に劣化するため、0.10〜1.0%の範囲に限定する。好ましくは、0.15〜0.8%である。
Mn:0.50〜1.8%
Mnは、鋼の焼入れ性を増加させる効果を有し、母材の降伏強さ(YS)が500MPa以上を確保するために有効で0.50%以上は必要である。一方、1.8%を超えて含有すると、母材の靭性、延性および溶接性が劣化するだけでなく、元素の偏析が顕著になり、溶接時やガス切断時の低温割れの原因となる。このため、0.50〜1.8%の範囲に限定する。好ましくは、0.60〜1.7%である。
Mnは、鋼の焼入れ性を増加させる効果を有し、母材の降伏強さ(YS)が500MPa以上を確保するために有効で0.50%以上は必要である。一方、1.8%を超えて含有すると、母材の靭性、延性および溶接性が劣化するだけでなく、元素の偏析が顕著になり、溶接時やガス切断時の低温割れの原因となる。このため、0.50〜1.8%の範囲に限定する。好ましくは、0.60〜1.7%である。
P:0.020%以下
Pは、鋼の強度を増加させ靭性を劣化させる元素で、特にHAZ部では島状マルテンサイトの生成を助長する効果を有し、靭性を劣化させるとともに、元素の偏析が顕著になり、溶接時やガス切断時の低温割れの原因となるため、0.020%を上限とし、可能なかぎり低減することが望ましい。尚、過度のP低減は精錬コストを高騰させ経済的に不利となるため、0.002%以上とすることが望ましい。
Pは、鋼の強度を増加させ靭性を劣化させる元素で、特にHAZ部では島状マルテンサイトの生成を助長する効果を有し、靭性を劣化させるとともに、元素の偏析が顕著になり、溶接時やガス切断時の低温割れの原因となるため、0.020%を上限とし、可能なかぎり低減することが望ましい。尚、過度のP低減は精錬コストを高騰させ経済的に不利となるため、0.002%以上とすることが望ましい。
S:0.010%以下
Sは母材の低温靭性や延性を劣化させるため、0.010%を上限として低減することが望ましい。
Sは母材の低温靭性や延性を劣化させるため、0.010%を上限として低減することが望ましい。
Al:0.1〜1.8%
Alは、本発明において重要な合金元素であり、脱酸剤として作用し、鋼板の溶鋼脱酸プロセスに於いて、もっとも汎用的に使われるだけでなく、ICCGHAZでの島状マルテンサイトの生成を抑制し、残留オーステナイトを生成させる効果を有することにより、靱性劣化を抑制する効果を有する。
Alは、本発明において重要な合金元素であり、脱酸剤として作用し、鋼板の溶鋼脱酸プロセスに於いて、もっとも汎用的に使われるだけでなく、ICCGHAZでの島状マルテンサイトの生成を抑制し、残留オーステナイトを生成させる効果を有することにより、靱性劣化を抑制する効果を有する。
Alの添加量を変化させ、その他の合金元素の添加量を一定とした表1に示す成分組成の鋼を製造し、表2に示す大入熱溶接(溶接入熱50kJ/cmのサブマージアーク溶接に相当し、初層の最高加熱温度は1350℃、2層目の最高加熱温度は800℃)の多層盛溶接を模擬した再現熱サイクル試験を行った後、シャルピー衝撃試験を行って各鋼の靭性について調査した。
表3に、シャルピー衝撃試験結果を示す。−40℃における吸収エネルギー(vE−40)の3本の個値と平均値を示したもので、Al量の多い鋼No.Aの場合に、ICCGHAZにおいて優れた高靭性が得られている。
Al量の少ない鋼No.Bの場合、ICCGHAZに粗大な島状マルテンサイトが生成し、Al量の多い鋼No.Aの場合はICCGHAZでの島状マルテンサイトの生成が抑制され、残留オーステナイトが存在するため、優れた靭性を有する。
このような効果を得るためには、0.1%以上の含有が必要である。一方、1.8%を超えて含有すると、溶接時に溶接金属部に混入して、溶接金属の靭性を劣化させるため、1.8%以下に限定する。好ましくは、0.3〜1.5%である。
Cr:0.25〜3.0%
Crは、鋼の焼入れ性を増加させることにより、鋼板の強度を向上させる効果を有するだけでなく、多層盛溶接部の変態温度を低下させることにより、残留オーステナイトの生成を助長し、高靭性を達成するために重要な元素である。
Crは、鋼の焼入れ性を増加させることにより、鋼板の強度を向上させる効果を有するだけでなく、多層盛溶接部の変態温度を低下させることにより、残留オーステナイトの生成を助長し、高靭性を達成するために重要な元素である。
このような効果を得るためには、0.25%以上の含有を必要とする。一方、3.0%を超えて含有すると、母材の靭性および溶接部の低温割れ性が著しく劣化するため、0.25〜3.0%の範囲に限定する。好ましくは、0.3〜2.8%である。
27C+9Mn+4(Cu+Ni)+8(Cr+Mo):30〜42% (1)
但し、C、Mn、Cu、Ni、Cr、Moは各元素の含有量(質量%)で含有しない元素は0とする。
但し、C、Mn、Cu、Ni、Cr、Moは各元素の含有量(質量%)で含有しない元素は0とする。
本発明では、上記(1)式の値が30〜42%となるように、後述する選択成分も含めた成分組成の範囲内で含有量を調整する。
(1)式の値が30%未満では、大入熱溶接熱影響部の焼入れ性が不足し、ICCGHAZのミクロ組織が、島状マルテンサイト含む脆弱な上部ベイナイト組織に変態し、多層盛溶接部の靭性が低下し、母材の強度低下や継手部の軟化も顕著となる。
一方、(1)式の値が42%を超えると、母材靭性が著しく劣化するとともに、耐溶接割れ性が劣化するため、30〜42%の範囲に限定する。好ましくは、31〜40%である。
以上が本発明の基本成分系で、更に特性を向上させる場合、Ti、N、Cu、Ni、Mo、Nb、V、B、REM、Ca、Mgの1種または2種以上を含有することができる。
Cu、Ni、Mo、Nb、V、Bは、いずれも鋼の強度向上に寄与する元素であり、所望する強度に応じて適宜含有できる。REM、CaおよびMgは、いずれも靭性向上に寄与し、所望する特性に応じて選択して添加する。上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
Ti:0.005〜0.030%
Tiは、固溶Nを固定してTiNを形成することにより、溶接熱影響部のボンド部における結晶粒の粗大化を抑制する効果を有するとともに、固溶N低減による靱性劣化を抑制する効果を有する。このような効果を得るためには、0.005%以上の含有が必要である。一方、0.030%を超えて含有すると、TiCを析出し母材靱性を劣化させる。このため、0.005〜0.030%の範囲に限定する。
Tiは、固溶Nを固定してTiNを形成することにより、溶接熱影響部のボンド部における結晶粒の粗大化を抑制する効果を有するとともに、固溶N低減による靱性劣化を抑制する効果を有する。このような効果を得るためには、0.005%以上の含有が必要である。一方、0.030%を超えて含有すると、TiCを析出し母材靱性を劣化させる。このため、0.005〜0.030%の範囲に限定する。
N:0.0010〜0.0070%
NはTiと結合してTiNとして析出して、HAZでのオーステナイト粒の粗大化を抑制し高靭化に寄与する.このような効果を有するTiNの必要量を確保するために、0.0010%以上のNを含有する必要がある.一方、0.0070%を超えて含有すると、溶接時にTiNが溶解する温度まで加熱される領域では、固溶N量が増加し、靱性劣化が顕著になる.このため、Nは0.0010〜0.0070%に限定する.
Cu:1.5%以下
Cuを添加する場合は、1.5%を超えると熱間脆性を生じて鋼板の表面性状を劣化させるため、1.5%以下とする。
NはTiと結合してTiNとして析出して、HAZでのオーステナイト粒の粗大化を抑制し高靭化に寄与する.このような効果を有するTiNの必要量を確保するために、0.0010%以上のNを含有する必要がある.一方、0.0070%を超えて含有すると、溶接時にTiNが溶解する温度まで加熱される領域では、固溶N量が増加し、靱性劣化が顕著になる.このため、Nは0.0010〜0.0070%に限定する.
Cu:1.5%以下
Cuを添加する場合は、1.5%を超えると熱間脆性を生じて鋼板の表面性状を劣化させるため、1.5%以下とする。
Ni:3.0%以下
Niを添加する場合は、3.0%を超えると効果が飽和し、経済的に不利になるため、3.0%以下とする。
Niを添加する場合は、3.0%を超えると効果が飽和し、経済的に不利になるため、3.0%以下とする。
Mo:1.0%以下
Moを添加する場合は、1.0%を超えると、母材靭性、延性および耐溶接割れ性に悪影響を及ぼすため、1.0%以下とする。
Moを添加する場合は、1.0%を超えると、母材靭性、延性および耐溶接割れ性に悪影響を及ぼすため、1.0%以下とする。
Nb:0.1%以下
Nbを添加する場合は、0.1%を超えると、靭性を劣化させるので、0.1%以下とする。
Nbを添加する場合は、0.1%を超えると、靭性を劣化させるので、0.1%以下とする。
V:0.1%以下
Vを添加する場合は、0.1%を超えると、靭性を劣化させるので、0.1%以下とする。
Vを添加する場合は、0.1%を超えると、靭性を劣化させるので、0.1%以下とする。
B:0.0050%以下
Bを添加する場合は、0.0050%を超えると、母材靭性、延性および耐溶接割れ性に悪影響を及ぼすため、0.0050%以下とする。
本発明では、必要に応じ、更に、REM、Ca、Mgの1種または2種以上を含有することができる。
Bを添加する場合は、0.0050%を超えると、母材靭性、延性および耐溶接割れ性に悪影響を及ぼすため、0.0050%以下とする。
本発明では、必要に応じ、更に、REM、Ca、Mgの1種または2種以上を含有することができる。
REM
REMを添加する場合は、0.001%以上とすることが好ましいが、0.007%を超えても効果が飽和するため、0.007%を上限とする。
REMを添加する場合は、0.001%以上とすることが好ましいが、0.007%を超えても効果が飽和するため、0.007%を上限とする。
Ca
Caを添加する場合は、0.0005%以上とすることが好ましいが、0.005%を超えても効果が飽和するため、0.005%を上限とする。
Caを添加する場合は、0.0005%以上とすることが好ましいが、0.005%を超えても効果が飽和するため、0.005%を上限とする。
Mg
Mgを添加する場合は、0.001%以上とすることが好ましいが、0.005%を超えても効果が飽和するため、0.005%を上限とする。
Mgを添加する場合は、0.001%以上とすることが好ましいが、0.005%を超えても効果が飽和するため、0.005%を上限とする。
[製造条件] 以下、本発明に係る厚鋼板の好ましい製造方法について説明する。説明において、温度に関する「℃」表示は、板厚の1/2位置における温度を意味するものとする。
本発明に係る厚鋼板は、上記した組成の溶鋼を、公知の溶製方法で溶製し、連続鋳造法あるいは造塊−分塊圧延法により、所定寸法のスラブ等の鋼素材とすることが好ましい。
次いで、得られた鋼素材を、冷却することなく直後に、または冷却した後に1000〜1250℃に再加熱した後、熱間圧延し、所望の板厚の鋼板とする。
再加熱温度が1000℃未満では、熱間圧延での変形抵抗が高くなり、1パス当たりの圧下量が確保できなくなることから、圧延パス数が増加し、圧延能率の低下を招くとともに、鋼素材(スラブ)中の鋳造欠陥を圧着することができない場合がある。
一方、再加熱温度が1250℃を超えると、加熱時のスケールによって表面疵が生じやすく、圧延後の手入れ負荷が増大する。このため、鋼素材の再加熱温度は1000〜1250℃の範囲とする。
再加熱された鋼素材は、所定の板厚になるまで、圧延終了温度をAr3以上となる熱間圧延を施す。熱間圧延条件は、所定の板厚および形状を満足できればよく、圧下率、パス数はとくに限定しない。
圧延終了温度がAr3未満の場合、変形抵抗が高くなるため圧延荷重が増大し、圧延機への負担が大きくなることや、厚肉材の温度を低下させるためには、圧延途中で待機する必要があり、生産性を大きく阻害するため、圧延終了温度はAr3以上とする。
なお、板厚が70mmを超える極厚鋼板の場合には、ザク圧着のために1パスあたりの圧下率が15%以上となる圧延パスを少なくとも1パス以上確保することが望ましい。
熱間圧延後、空冷、もしくは冷却速度100℃/s以下での加速冷却を実施する。冷却速度が100℃/sを超えると、鋼板位置による温度制御が困難となり、材質ばらつきが生じ、また、条切り歪を低減するという観点から100℃/s以下とする。
本発明では、熱間圧延後の鋼板を再加熱し、焼きならし、もしくは焼入れ処理を施してもよい。厚鋼板をAc3以上、1100℃以下の温度域に再加熱して保持することにより、厚鋼板内部まで均一なオーステナイト相となり、その後、焼きならし、もしくは焼入れ処理を行うと、厚鋼板内の組織が一層、均質化および微細化され、母材の強度や靭性が向上する。
なお、再加熱温度は、1100℃を超えると鋼板表面性状が劣化するために、1100℃以下とする。保持時間については規定していないが、1hr以上になるとオーステナイト粒の粗大化により、母材の靭性が劣化するので1hr以内が望ましく、熱処理炉内の均熱が良ければ、短時間の保持でも良い。焼きならし、もしくは焼入れ処理は、所望する機械的特性に応じて、適宜選定する。
本発明では、熱間圧延後の処理が上記のいずれであっても、更に、焼戻し処理を施してもよい。母材の靭性および延性を向上させる効果を得るためには、焼戻し温度を400℃以上とする必要があるが、Ac1を超えると母材強度が大幅に低下する。このため、焼戻し処理は、400〜Ac1℃で行う。
保持時間について規定しないが、1hr以上になると、母材強度が大幅に低下するので、1hr以内が望ましく、熱処理炉内の均熱が良ければ、短時間の保持でもかまわない。
本発明に係る鋼板を多層盛溶接すると、以下のミクロ組織を備えたICCGHAZが得られる。説明において%は体積%とする。
ICCGHAZの構成組織は、残留オーステナイトが4%以上で、残部がフェライト、パーライト、ベイナイトおよびマルテンサイトからなる。
残留オーステナイトは軟質で延靭性に優れる組織であり、ICCGHAZの靭性向上に極めて有効である。
残留オーステナイトが4%未満であると、ICCGHAZの靭性改善効果が得られない。残留オーステナイト量が、25%を超えると、ICCGHAZの靭性改善効果が飽和し、経済的に不利になる。
残留オーステナイト以外の主要構成組織は、フェライト、パーライト、ベイナイトおよびマルテンサイトのうち、1種または2種以上からなる。なお島状マルテンサイトなど、上記以外の組織は、2%未満である。
転炉−取鍋精錬−連続鋳造法で、表4に示す種々の成分組成に調製した鋼スラブを、1000〜1250℃に加熱した後、熱間圧延を施した。一部の鋼板には圧延後に加速冷却を行った。更に、一部の鋼板には、再加熱焼ならし、再加熱焼入れおよび再加熱焼戻し処理のいずれか、もしくは複数を実施した。表5に供試鋼板の製造条件を示す。
得られた鋼板について、母材引張特性、母材靭性、多層溶接再現熱サイクル試験および多層盛溶接継手のCTOD試験を下記の要領で実施した。
各鋼板の板厚1/4位置の圧延方向と垂直な方向から、JIS4号引張試験片を採取し、JIS Z 2241(1998年)の既定に準拠して引張試験を実施し、引張特性(降伏強度(YS)、引張強さ(TS)、降伏比(YR)を調査した。降伏強度(YS)が500MPa以上を母材強度に優れるもの(本発明範囲内)とした。
各鋼板の板厚1/4位置の圧延方向と垂直な方向から、JIS Z 2202(1998年)の規定に準拠してVノッチ試験片を採取し、JIS Z 2242(1998年)の規定に準拠して各鋼板について3本のシャルピー衝撃試験を実施し、−40℃での吸収エネルギーを求め、母材靭性を評価した。3本の吸収エネルギー(vE−40)の平均値が100J以上を母材靭性に優れるもの(本発明範囲内)とした。
多層溶接部の再現熱サイクル試験は、表2に示す条件で行った。再現熱サイクル試験後、各鋼板の板厚1/4位置の圧延方向と垂直な方向から、JIS Z 2202(1998年)の規定に準拠してVノッチ試験片を採取し、JIS Z 2242(1998年)の規定に準拠して各鋼板について3本のシャルピー衝撃試験を実施し、−40℃での吸収エネルギーを求め、母材靭性を評価した。3本の吸収エネルギー(vE−40)の平均値が50J以上をICCGHAZ靭性に優れるもの(本発明範囲内)とした。
また、再現熱サイクル試験後、各鋼板の板厚1/4位置の圧延方向と垂直な方向から、ミクロ観察用サンプルを採取した。残留オーステナイト量はX線回折法により同定した。また、構成組織は走査型電子顕微鏡により、500倍で撮影して特定した。
多層盛溶接熱影響部のCTOD試験は、BS7448に準拠して実施した。得られた鋼板をサブマージアーク溶接で、K開先、入熱50kJ/cmの多層盛溶接し、ストレート開先側のボンド部を、CTOD試験片のノッチ位置とし、試験前に疲労予き裂加工を行い、3点曲げによるCTOD試験を−10℃で実施した。
−10℃でのCTOD値(δ−10)が0.50mm以上のものを多層盛溶接部の靭性に優れるもの(本発明範囲内)とした。
表6に上記試験結果を示す。本発明例は、母材のシャルピー吸収エネルギー(vE−40)の平均値が100J以上を有し、多層溶接部のICCGHAZを模擬した再現熱サイクル試験後のシャルピー吸収エネルギー(vE−40)の平均値が50J以上を有し、かつ、サブマージアーク溶接のボンド部のCTOD値(δ−10)が0.50mm以上を有している。
一方、比較例は、母材のシャルピー吸収エネルギー、再現熱サイクル試験後のシャルピー吸収エネルギーおよびサブマージアーク溶接ボンド部のCTOD値のいずれか、あるいはその複数が目標性能を満足できない。
一方、比較例は、母材のシャルピー吸収エネルギー、再現熱サイクル試験後のシャルピー吸収エネルギーおよびサブマージアーク溶接ボンド部のCTOD値のいずれか、あるいはその複数が目標性能を満足できない。
Claims (9)
- 鋼組成が、mass%で
C:0.03〜0.20%、
Si:0.10〜1.0%、
Mn:0.50〜1.8%、
P:0.020%以下、
S:0.010%以下、
Al:0.1〜1.8%、
Cr:0.25〜3.0%、
を含有し、下記(1)式が16〜30(%)を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板。
27C+9Mn+4(Cu+Ni)+8(Cr+Mo) (1)
但し、C、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo:各元素の含有量(質量%)で含有しない元素は0とする。 - 鋼組成に、mass%で更に、
Ti:0.005〜0.030%、
N:0.0010〜0.0070%、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板。 - 鋼組成に、mass%で更に、
Cu:1.5%以下、
Ni:3.0%以下、
Mo:1.0%以下、
Nb:0.1%以下、
V:0.1%以下、
B:0.0050%以下、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載した降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板。 - 鋼組成に、mass%で更に、
REM:0.007%以下、
Ca:0.005%以下、
Mg:0.005%以下、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載した降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板。 - 前記多層盛溶接部がICCGHAZにおいて、残留オーステナイトの体積分率が4%以上で、残部がフェライト、パーライト、ベイナイトおよびマルテンサイトの1種または2種以上からなるミクロ組織を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板。
- 請求項1乃至4のいずれか一つに記載した鋼組成からなる鋳片または鋼片を、1000〜1250℃に加熱後、圧延仕上温度をAr3点以上とする熱間圧延を行い、続いて空冷または100℃/s以下の冷却速度で加速冷却を行うことを特徴とする降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板の製造方法。
- 加速冷却後、400℃以上、Ac1変態点以下で焼戻しを行うことを特徴とする請求項6記載の降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板の製造方法。
- 請求項1乃至4のいずれか一つに記載した鋼組成からなる鋳片または鋼片を、1000〜1250℃に加熱後、圧延仕上温度をAr3点以上とする熱間圧延を行い、圧延終了後、Ac3〜1100℃に再加熱し、焼ならし、もしくは焼入れを行うことを特徴とする降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板の製造方法。
- 焼ならし、もしくは焼入れ後、400℃以上、Ac1変態点以下で焼戻しを行うことを特徴とする請求項8記載の降伏強さ(YS)が500MPa以上の多層盛溶接部の靭性に優れた厚鋼板の製造方法。
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