JP2000071029A - 長尺二重金属管の製造方法 - Google Patents

長尺二重金属管の製造方法

Info

Publication number
JP2000071029A
JP2000071029A JP10246899A JP24689998A JP2000071029A JP 2000071029 A JP2000071029 A JP 2000071029A JP 10246899 A JP10246899 A JP 10246899A JP 24689998 A JP24689998 A JP 24689998A JP 2000071029 A JP2000071029 A JP 2000071029A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal pipe
inner metal
joining
joint
pipe joint
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10246899A
Other languages
English (en)
Inventor
Takao Hiyamizu
孝夫 冷水
Koji Horio
浩次 堀尾
Noboru Yamamoto
登 山本
Shigeyuki Inagaki
繁幸 稲垣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daido Steel Co Ltd filed Critical Daido Steel Co Ltd
Priority to JP10246899A priority Critical patent/JP2000071029A/ja
Publication of JP2000071029A publication Critical patent/JP2000071029A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造可能な長さに制限がなく、安定した品質
が得られ、厚肉の長尺二重金属管であっても安価に製造
することが可能であり、しかも、繰り返し応力が作用し
た場合であっても、内側金属管接合体の接合部に亀裂が
発生することのない長尺二重金属管の製造方法を提供す
ること。 【解決手段】 1ヶ所以上の接合部又は締結部(例え
ば、溶接部16)を有する外側金属管接合体10と、
外側金属管接合体10の内径よりも小さい外径を有し、
かつ、1ヶ所以上の接合部33を有する液相拡散接合
法により接合された内側金属管接合体30とを個別に作
製し、少なくとも内側金属管接合体30の外側表面に付
着している溶滴60を除去した後、内側金属管接合体3
0を外側金属管接合体10の内部に挿入し、内側金属管
接合体30を拡管することにより、長尺二重金属管50
を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長尺二重金属管の
製造方法に関し、更に詳しくは、化学工業、石油工業等
で用いられる、プラント用配管、ラインパイプ、油井管
等に好適な長尺二重金属管の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、化学工業、石油化学工業等の
分野においては、配管を用いて腐食性の流体を長距離に
亘って輸送することが行われている。そのような用途に
用いられる配管類は、腐食性流体に対する耐食性が高い
ことが必要である。配管類の耐食性を高める手段として
は、耐食性の高い材料をそのまま用いて配管類を作製す
る方法と、二重金属管を用いる方法が知られている。
【0003】耐食性の高い材料をそのまま用いて配管類
を作製する方法は、高い耐食性、信頼性が得られるとい
う点では理想的であるが、耐食性の高い材料は、一般に
Ni、Cr等の高価な合金元素が多量に含まれているた
め、コストが高くなるという欠点がある。そのため、化
学工業、石油化学工業等の分野においては、コストを低
減するために、耐食性が必要とされる管の内側のみ高価
な耐食材料とし、外側を安価な構造材料とした二重金属
管が耐食用の配管として多用されている。
【0004】ところで、高い耐食性が求められる二重金
属管には、一般にシームレス管が用いられているが、工
業的に生産されるシームレス管の長さは通常20〜30
mである。そのため、特に、配管の長さが数千mから数
十kmにも達する油井管やパイプライン等にあっては、
予め工場内で生産された長さ数十mの二重金属管を現場
において接合する作業が不可欠となっている。
【0005】二重金属管は、外側と内側の材質が異なる
ために、その接合には、特殊な技術を必要とする。例え
ば、接合方法として円周溶接法を用い、内側をステンレ
ス鋼等の耐食材料とし、外側を安価な炭素鋼等の構造材
料とした二重金属管を溶接する場合には、内側の耐食材
料を先に溶接した後、溶接条件を変えて、外側の構造材
料を溶接することが一般に行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、円周溶
接法により二重金属管の溶接を行う場合には、内側の耐
食材料を溶接した後、外側の構造材料を溶接する際に、
耐食材料の溶接部が再溶融し、耐食材料が構造材料で希
釈される場合がある。そのため、溶接部の耐食性が低下
したり、溶接部が硬化して亀裂が発生しやすくなるとい
う問題がある。
【0007】この問題を解決するために、例えば、特開
昭58−167094号公報には、合わせ材から母材の
側にかけて、合わせ材と同種の合金元素を含有する内
層、中間層、母材と同種の合金元素を含有する外層を順
番に形成させていく継手溶接法が開示されている。
【0008】しかしながら、特開昭58−167094
号公報に開示された方法では、内層、中間層、外層の順
で溶接材料、溶接条件を順次変えていく必要があり、溶
接作業が繁雑である。しかも、溶接継手の品質は、一般
に、溶接作業者の技量にも影響されるので、溶接作業が
繁雑になるほど品質が不安定になるという問題がある。
さらに、溶接欠陥の発生を防止するためには、溶接速度
を抑制する必要もあり、接合能率が極めて悪いという問
題がある。
【0009】これに対し、特公平8−13428号公報
には、クラッド鋼管の管端面に所定の組成を有するイン
サート材を介挿し、内管に耐食材料を用いた内面クラッ
ド鋼管の場合には、100〜400kHzの高周波を用
いて誘導加熱し、外管に耐食材料を用いた外面クラッド
鋼管の場合には、10kHz以下の高周波で誘導加熱す
る方法が開示されている。
【0010】特公平8−13428号公報に開示された
方法によれば、拡散接合法を用いて二重金属管の接合が
行われるので、溶接法と比較して接合作業は簡略化さ
れ、作業能率が高いという利点がある。しかしながら、
同公報に開示された方法では、内面クラッド鋼管を接合
する際には、内管の溶け落ちを防止するために100〜
400kHzの高周波を用いて誘導加熱をする必要があ
る。そのため、表皮効果が著しくなり、管厚方向の温度
分布が不均一となり、厚肉の二重金属管の接合には適用
できないという問題がある。
【0011】このような問題は、必要な長さの二重金属
管を製造できれば解決されるが、製造可能なシームレス
管の長さは、現状では100m前後が限界であり、それ
以上の長さを有する長尺二重管を製造することは技術的
に困難である。
【0012】さらに、接合された二重金属管は、使用環
境によっては、使用中に繰り返し応力を受ける場合があ
る。例えば、接合された二重金属管を、海底に敷設され
るパイプラインに用いる場合には、二重金属管は、潮流
によりゆっくりとした周期で繰り返し曲げ応力を受け
る。そのため、長期間が経過すると、接合部が疲労して
亀裂が発生し、腐食性の流体が漏出するおそれがあると
いう問題がある。
【0013】本発明が解決しようとする課題は、製造可
能な長さに制限がなく、かつ、耐食性の低下や亀裂の発
生等、品質が不安定になることもなく、しかも、厚肉の
長尺二重金属管であっても安価に製造することが可能な
長尺二重金属管の製造方法を提供することにある。
【0014】また、本発明が解決しようとする他の課題
は、接合部に繰り返し応力が発生した場合であっても、
接合部に亀裂が発生することのない長尺二重金属管の製
造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る長尺二重金属管の製造方法は、1ヶ所
以上の接合部又は締結部を有する外側金属管接合体の内
側に、該外側金属管接合体の内径よりも小さい外径を有
し、かつ、1ヶ所以上の接合部を有する内側金属管接合
体を挿入し、挿入された前記内側金属管接合体を拡管す
ることにより、二重金属管を製造する長尺二重金属管の
製造方法であって、前記内側金属管接合体を液相拡散接
合法を用いて接合し、前記内側金属管接合体の少なくと
も外側表面に付着している溶滴を、拡管が行われる前に
除去することを要旨とするものである。
【0016】ここで、外側金属管接合体は、所定の長さ
を有する金属管を管端面において接合又は締結すること
により得られるものであり、1ヶ所以上の接合部又は締
結部を有する接合体であることを要する。接合方法又は
締結方法は、特に限定されるものではなく、例えば、フ
ランジ継手、ねじ込み継手のような機械的な締結方法で
もよく、溶接法、摩擦圧接法、拡散接合法等の冶金的接
合法でもよい。また、外側金属管接合体を構成する各金
属管は、電縫管でもシームレス管でもよい。
【0017】内側金属管接合体は、外側金属管接合体と
同様、所定の長さを有する金属管を管端面において接合
することにより得られるものであり、1ヶ所以上の接合
部を有している。本発明では、内側金属管接合体の接合
には、液相拡散接合法が用いられる。
【0018】液相拡散接合法は、他の冶金的接合法に比
して、接合部におけるバリの発生や、接合部の変形を抑
制でき、接合能率が高いことに加え、母材と同等の耐食
性を有する接合部が得られるので、特に、配管の長さが
数千m〜数十kmに及ぶ油井管、ラインパイプ等、腐食
性流体の輸送に用いられる長尺二重金属管の内側金属管
の接合方法として好適である。なお、内側金属管接合体
を構成する各金属管は、電縫管でもよいが、耐食性及び
拡管の均一性の観点からすれば、シームレス管であるこ
とが望ましい。
【0019】また、前記内側金属管接合体を液相拡散接
合した場合、接合面近傍には溶滴が付着するが、前記内
側金属管接合体の少なくとも外側表面に付着した溶滴
は、拡管を行う前に、除去する必要がある。好ましく
は、外側表面に付着した溶滴と、内側表面に付着した溶
滴の双方を除去すると良い。
【0020】溶滴の除去方法としては、機械加工又は研
削加工が好適である。また、溶滴を除去する代わりに、
ショットピーニング処理により塑性変形させるようにし
ても良く、あるいは、機械加工又は研削加工により溶滴
を除去した後、さらにその部分をショットピーニング処
理により塑性変形させるようにしても良い。
【0021】さらに、内側金属管接合体は、前記外側金
属管接合体の内径より小さい外径を有することが必要で
ある。外側金属管の内径と内側金属管の外径との差は、
内側に挿入される接合管の加工性に応じて適宜選択すれ
ばよい。
【0022】なお、内側金属管接合体の拡管方法は特に
限定されるものではなく、例えば、マンドレル又はプラ
グを用いて拡管する方法、液圧により拡管する方法、プ
ランジャーを挿入して拡管する方法などが用いられる。
特に、液圧を用いて拡管する方法及びプランジャーを挿
入して拡管する方法は、実質的に製造可能な長さや径に
制限がないという利点がある。
【0023】上記構成を有する本発明に係る長尺二重金
属管の製造方法によれば、まず、予め接合又は締結され
た所定の長さを有する外側金属管接合体に、液相拡散接
合された所定の長さを有する内側金属管接合体であっ
て、少なくとも外側表面に付着している溶滴が除去され
たものを挿入し、内側金属管接合体を拡管させることに
より長尺二重金属管が製造される。そのため、拡管方法
によっては、製造可能な二重金属管の長さに実質的に制
限がない。
【0024】また、外側金属管接合体と内側金属管接合
体の接合作業が個別に行われるので、各金属管毎に、そ
の材質に応じた最適な接合条件を選択することができ
る。そのため、二重金属管を接合して長尺二重金属管と
する従来の方法と異なり、厚肉の長尺二重金属管も容易
に製造でき、さらに、溶着金属の再溶融に起因する接合
部の耐食性の低下や、溶接時の熱履歴に起因する硬化に
よる亀裂の発生を抑制することも可能となる。
【0025】さらに、液相拡散接合により内側金属管を
接合した場合、内側金属管接合体の外側表面及び内側表
面に溶滴が付着するが、溶滴には、インサート材中に含
まれる諸元素が濃縮され、脆化していることがある。特
に、外側表面に付着した溶滴には、繰り返し応力が作用
したときに大きな応力が発生し、亀裂発生の起点となり
やすい。
【0026】しかしながら、本発明によれば、内側金属
管接合体の拡管が行われる前に、機械加工等により、少
なくとも外側表面に付着している溶滴が除去される。そ
のため、得られた長尺二重金属管を繰り返し応力が作用
する条件下で使用した場合であっても、亀裂の発生を抑
制することができ、腐食性流体が漏出するおそれがな
い。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の一実施の形態に
ついて図面を参照しながら詳細に説明する。本発明に係
る長尺二重金属管の製造方法は、接合工程と、溶滴除去
工程と、内管挿入工程と、拡管工程とからなっている。
【0028】接合工程は、さらに、外側金属管を接合し
て外側金属管接合体を得る工程と、内側金属管を接合し
て内側金属管接合体を得る工程からなり、外側金属管と
内側金属管の接合が個別に行われる点に特徴がある。本
発明に係る長尺二重金属管の製造に用いられる外側金属
管の接合方法としては、具体的には、溶接法、摩擦圧接
法、拡散接合法等の冶金的接合法が挙げられる。
【0029】図1(a)は、溶接法により外側金属管接
合体10を作製した例である。溶接法は、各外側金属管
12、12N+1、…の管端面に形成した開先1
、14N+1、…を突き合わせて外側から溶融金属
を肉盛りし、溶接部16を形成して各外側金属管12
、12N+1、…を接合し、外側金属管接合体10を
得る方法である。溶接法は、図1(a)の点線で示した
ように、溶接後に溶接部16、…の外周面及び内周面
が盛り上がった状態になる。そのため、溶接後に、少な
くとも溶接部16、…の内周面を加工して、平坦にし
ておく必要がある。
【0030】なお、溶接方法は、特に限定されるもので
はなく、被覆アーク溶接、サブマージアーク溶接、MI
G溶接、炭酸ガスアーク溶接等の溶極式のアーク溶接
や、TIG溶接等の非溶極式のアーク溶接、プラズマ溶
接、電子ビーム溶接、レーザ溶接等、各種の溶接法を用
いることができる。
【0031】図1(b)は、摩擦圧接法により外側金属
管接合体10を作製した例である。摩擦圧接法は、外側
金属管12、12N+1、…の管端面18、18
N+1、…を管軸に対して直角となるように形成し、外
側金属管12、12N+1、…を管端面18、18
N+1、…で突き合わせ、加圧下で相対的に回転運動さ
せて、発生した摩擦熱により接合する方法である。
【0032】摩擦圧接法は、図1(b)の点線で示した
ように、圧接後に圧接部20、…近傍の外周面及び内
周面にバリが発生するので、圧接後に、少なくとも圧接
部20、…の内周面のバリの除去を行う必要がある。
なお、圧接方法は、一方を固定して他方を回転させる方
法、互いに逆回転させる方法、上下に振動させる方法
等、各種の方法を用いることができる。
【0033】さらに、図1(c)は、拡散接合法により
外側金属管接合体10を作製した例である。拡散接合法
は、外側金属管12、12N+1、…の管端面1
、18N+1、…を管軸に対して直角となるように
形成し、外側金属管12、12 N+1、…を管端面1
、18N+1、…で密着させ、外側金属管12
12N+1、…の融点以下の温度に加熱し、元素の拡散
を行わせて接合する方法であり、インサート材を用いな
い固相拡散接合法と、インサート材を用いる液相拡散接
合とがある。
【0034】特に、液相拡散接合法は、母材と同等の強
度、耐食性を有する気密性の高い接合体が得られること
に加え、固相拡散接合法に比較して、短時間で接合を行
うことができるという利点がある。また、溶接法等と異
なり、接合部21近傍に、拡管に支障をきたすような
大きなバリが発生することはなく、しかも接合作業に要
する時間も短いので、外側金属管接合体10の接合方法
として好適である。
【0035】また、一般に、二重金属管は、内側金属管
により耐食性、気密性を持たせ、外側金属管は、単に内
側金属管を支えているだけという場合が多い。従って、
そのような長尺二重金属管にあっては、外側金属管接合
体10の接合方法は、溶接法等の冶金的接合法に限定さ
れるものではなく、機械的締結法を用いてもよい。
【0036】例えば、図2(a)に示すように、外側金
属管接合体10を構成する各外側金属管12、12
N+1、…の両端にフランジ22、22N+1、…を
溶接し、該フランジ22、22N+1、…を突き合わ
せてボルトで締結したフランジ継手を用いてもよい。ま
た、図2(b)に示すように、外側金属管接合体10を
構成する外側金属管12の一端に雄ねじ24を形成
すると共に、外側金属管12N+1との一端に雌ねじ2
N+1を形成し、これらをねじ込んで締結したねじ込
み継手を用いてもよい。なお、外側金属管をどのような
方法により接合するかは、長尺二重金属管の用途、要求
特性等に応じて適宜選択すればよい。
【0037】次に、内側金属管の接合方法について説明
する。本発明では、内側金属管の接合方法として、液相
拡散接合法が用いられる。内側金属管を液相拡散接合法
により接合すれば、上述したように、母材と同等の強
度、耐食性を有し、気密性に優れた内側金属管接合体を
容易に得ることができる。しかも、固相拡散接合法に比
較して、短時間で接合を行うことができるので、品質の
高い長尺二重金属管を安価に製造することができるとい
う利点がある。
【0038】次に、溶滴除去工程について説明する。溶
滴除去工程では、内側金属管接合体の接合界面近傍に付
着している溶滴の除去が行われる。溶滴60、62は、
図3(a)に示すように、液相拡散接合を行った際、接
合界面に介在させたインサート材が接合界面から押し出
され、凝固することにより形成されるものであり、通常
は、内側金属管32、32N+1、…を接合して得ら
れる内側金属管接合体30の接合部33の外側表面
と、内側表面の双方に形成される。
【0039】ここで、溶滴60、62は、インサート材
の形状、厚さ等を最適化すれば、拡管に支障のない大き
さにすることもできる。従って、その場合には、溶滴6
0、62を除去することなく、内側金属管接合体の拡管
を行うことも可能である。
【0040】しかしながら、繰り返し応力が作用する面
に凸状の溶滴60、62を残したまま使用すると、凸部
の先端で応力集中が起きやすい。しかも、溶滴60、6
2には、インサート材に含まれる諸成分が濃縮されてお
り、脆化していることもある。そのため、溶滴60、6
2が拡管に支障のない大きさであっても、溶滴60、6
2を除去することなく拡管して使用すると、繰り返し応
力が作用したときに、溶滴60、62が亀裂発生の起点
となりやすい。
【0041】特に、外側表面に形成された溶滴60は、
内側表面に形成された溶滴62と比較して、中心線から
の距離が長いために大きな応力が発生する。そのため、
繰り返し応力が作用した場合には、溶滴60から亀裂が
発生することになる。
【0042】そこで、本発明では、内側金属管接合体3
0の拡管に先立ち、少なくとも内側金属管接合体30の
外側表面に形成された溶滴60の除去が行われる。好ま
しくは、図3(b)に示すように、内側金属管接合体3
0の接合部33の外側表面に形成された溶滴60と、
内側表面に形成された溶滴62の双方を除去すると良
い。
【0043】溶滴の除去方法としては、機械加工又は研
削加工が好適な一例として挙げられる。具体的には、グ
ラインダーがけやショットブラストにより溶滴60を除
去したり、あるいは、内側金属管接合体30の外周にレ
ールを設け、レール上に自走式の研削機を走行させなが
ら、溶滴60を研削除去するようにしても良い。
【0044】また、溶滴60、62は、機械加工又は研
削加工により除去する代わりに、ショットピーニングに
より、塑性変形させても良い。ショットピーニング処理
により、溶滴60、62を塑性変形させると、溶滴6
0、62の形状が平坦化され、応力集中が回避されると
共に、表面に圧縮の残留応力が発生するので、亀裂の発
生を抑制することができる。
【0045】あるいは、機械加工又は研削加工により、
溶滴60、62を除去した後、さらに、ショットピーニ
ング処理しても良い。機械加工又は研削加工により脆化
した溶滴60、62を除去し、さらにショットピーニン
グ処理により表面に圧縮の残留応力を発生させるように
すれば、亀裂発生に対する抵抗がさらに増大する。
【0046】次に、内管挿入工程について説明する。内
管挿入工程は、外側金属管接合体の内部に内側金属管接
合体を挿入する工程である。挿入手順には特に限定され
るものではなく、外側金属管接合体及び内側金属管接合
体を個別に接合した後、完成した内側金属管接合体を完
成した外側金属管接合体に挿入してもよい。
【0047】また、油井管、ラインパイプ等、二重金属
管の長さが数千mを越える場合には、完成した内側金属
管接合体を完成した外側金属管接合体に挿入するのは、
現実的には実施不可能である。そのような場合には、内
側金属管を外側金属管に挿入した状態で内側金属管の接
合と外側金属管の接合とを交互に行えばよい。このよう
にすれば、外側金属管接合体と内側金属管接合体が交互
に継ぎ足されていくので、数千mをこえる二重金属管で
あっても、製造することが可能となる。
【0048】次に、拡管工程について説明する。図4
(a)は、マンドレルによる拡管(以下、「マンドレル
法」という)の一例であり、外側金属管12、12
N+1、…が溶接部16、…を介して接合された外側
金属管接合体10内に、内側金属管32、3
N+1、…が接合部33、…を介して接合された内
側金属管接合体30を挿入し、内側金属管接合体30の
一端からマンドレル34を挿入し、マンドレル34を他
端に向かって押し込むことにより内側金属管接合体30
を拡管する方法である。マンドレル法による拡管では、
マンドレル34の軸34aの長さが製造可能な長さの限
界となる。
【0049】図4(b)は、プラグによる拡管(以下、
「プラグ法」という)の一例であり、外側金属管接合体
10内に挿入された内側金属管接合体30の一端からプ
ラグ36を挿入し、プラグ36を他端まで引き抜くこと
により内側金属管接合体30を拡管する方法である。プ
ラグ法による拡管では、プラグ36の軸36aの長さが
製造可能な長さの限界となる。
【0050】図4(c)は、液圧による拡管(以下、
「液圧法」という)の一例であり、外側金属管接合体1
0内に挿入された内側金属管接合体30の一端を密閉
し、他端から油圧ポンプ(図示せず)等の加圧手段を用
いて水等の液体38を内側金属管接合体30内部に圧入
し、液圧により内側金属管接合体30を拡管する方法で
ある。
【0051】液圧法は、拡管工程の終了後に、一端の密
閉を解除できるような配管構造であることが必要である
点以外に制約はなく、製造可能な長さに限界はない。そ
のため、配管の両端が地表にあり、しかも配管の長さが
数十kmに及ぶパイプライン等に用いる長尺二重金属管
の製造方法として好適である。また、マンドレル等の拡
管器を用いる必要がないので、大径の二重金属管であっ
ても製造ができるという利点がある。
【0052】図4(d)は、プランジャーによる拡管で
あり(以下、「プランジャー法」という)、外側金属管
接合体10内に挿入された内側金属管接合体30の一端
からプランジャー40を挿入すると共に、油圧ポンプ
(図示せず)等の加圧手段を用いて水等の液体38を内
側金属管接合体30内部に圧入し、プランジャー40の
端面40aに液圧を付与することにより、プランジャー
40を他端に向かって押し込み、プランジャー40によ
り内側金属管接合体30を拡管する方法である。
【0053】プランジャー法では、液圧を用いてプラン
ジャー40を押し込むので、二重金属管の製造可能な長
さに限界がないという利点がある。また、内側金属管3
0の一端から挿入され、他端まで押し込まれたプランジ
ャー40は、液圧により他端からそのまま押し出される
ことになる。そのため、液圧法と異なり、他端を密閉し
たり、その密閉を解除したりする作業が不要であるの
で、他端が地中深くに埋設される油井管等に用いる長尺
二重金属管の製造方法として特に好適である。
【0054】ここで、内側金属管接合体30は、外側金
属管接合体10内に挿入する必要があるので、当然、外
側金属管接合体10の内径より小さな外径を有すること
を要するが、内側金属管接合体30の外径は、内側金属
管接合体30の材質を考慮して、拡管率(=(拡管後の
外径−拡管前の外径)/拡管前の外径x100(%))
が所定の値以下となるように選択する必要がある。
【0055】拡管率が大きすぎると、内側金属管接合体
30を拡管した後に内側金属接合体30の長手方向に沿
ってミクロクラックが多数発生する場合があるからであ
る。ミクロクラックは、内側金属管接合体30の内周面
の表面積を増加させ、耐食性を低下させる原因となる。
例えば、内側金属管接合体30としてオーステナイト系
ステンレス鋼の一種であるSUS316TPを用いた場
合には、拡管率は30%以下とする必要がある。
【0056】次に、本発明に係る製造方法により、二重
金属管がどのように製造されるかを図5を参照しながら
説明する。図5(a)は、内管挿入工程であり、図示し
ない接合工程により接合された外側金属管接合体10内
に、接合された内側金属管接合体30が挿入されている
状態を示す。
【0057】なお、図5に示す例では、外側金属管接合
体10として、外側金属管12、12N+1、…が溶
接部16を介して接合されたものを用いている。ま
た、内側金属管接合体30は、液相拡散接合法を用いて
内側金属管32、32N+1、…を接合したものであ
り、内側金属管接合体30の接合部33近傍の外側表
面及び内側表面に付着していた溶滴は、外側金属管接合
体10に挿入する前に機械加工等の手段により除去され
ている。
【0058】図5(b)は、拡管工程であり、内管挿入
工程により外側金属管接合体10内に挿入された内側金
属管接合体30の拡管が一気に行われる。そして、内側
金属管接合体30の外径を塑性変形により拡大させ、外
側金属管接合体10の内周面と内側金属管接合体20の
外周面とを完全に密着させれば、図5(c)に示すよう
な長尺二重金属管50が得られるものである。
【0059】以上のように、本発明においては、外側金
属管と内側金属管は、個別に接合されるので、内側金属
管と外側金属管の材質が異なる場合であっても、各材料
毎に最適な接合条件を任意に選択することができる。そ
のため、例えば、外側金属管が厚肉管であっても、内側
金属管を溶融させることなく健全な外側金属管接合体を
得ることができる。
【0060】また、内側金属管を接合した後、外側金属
管を接合する際に、内側金属管接合体の接合部が再溶融
することも起こり得ない。そのため、二重金属管を接合
する従来の方法で問題となっていた、内側金属管接合体
の耐食性の低下や、硬化に起因する亀裂の発生を抑制す
ることが可能となる。
【0061】さらに、内側金属管の接合方法として液相
拡散接合法を用いているので、母材と同等の耐食性を有
する内側金属管接合体を安価に得ることができる。しか
も、拡管に先立ち、少なくとも外側表面に付着している
溶滴が除去されているので、亀裂発生に対する抵抗が増
大する。そのため、得られる二重金属管を繰り返し応力
が作用する条件下において使用した場合であっても、接
合部から腐食性流体が漏出おそれがない。
【0062】(実施例1)外側金属管として、外径16
5.2mm、内径143.2mm、長さ5mの高圧配管
用炭素鋼管STS480(JIS G3455)を用
い、内側金属管として、外径114.3mm、内径10
2.3mm、長さ5mのオーステナイト系ステンレス鋼
管SUS316TP(JIS G3459)を用いた。
なお、この場合、拡管率は25%となる。
【0063】この外側金属管10本をTIG溶接法によ
り溶接して、長さ50mの外側金属管接合体を作製し
た。また、内側金属管11本を、BNi−5(JIS
Z3625)相当の組成を有するNi系合金箔を用いた
液相拡散接合法(表1中、「液相拡散接合法(2)」と
表記)により接合して、長さ55mの内側金属管接合体
を作製した。
【0064】なお、内側金属管の液相拡散接合は、イン
サート材の厚さ40μm、内側金属管の接合面粗さRm
ax25μm以下、接合温度1300℃、保持時間60
秒、加圧力4MPa、接合雰囲気Arの条件下で行っ
た。
【0065】次いで、研削加工により、内側金属管接合
体の外側表面に付着している溶滴を除去した後、得られ
た内側金属管接合体を外側金属管接合体に挿入し、プラ
グ法を用いて内側金属管接合体を拡管することにより、
長さ50mの長尺二重金属管を製造した。
【0066】(実施例2)外側金属管の接合方法をBN
i−3(JIS Z3625)相当のNi系合金箔を用
いた液相拡散接合法(表1中、「液相拡散接合法
(1)」と表記)とし、内側金属管接合体の外側表面及
び内側表面に付着していた双方の溶滴を機械加工により
除去し、プランジャ法を用いて拡管した以外は、実施例
1と同様の手順に従い、長尺二重金属管を製造した。
【0067】なお、外側金属管の液相拡散接合は、イン
サート材の厚さ40μm、内側金属管の接合面粗さRm
ax25μm以下、接合温度1300℃、保持時間60
秒、加圧力4MPa、接合雰囲気Arの条件下で行っ
た。
【0068】(比較例1)外側金属管の接合方法をサブ
マージアーク溶接法(表1中、「SAW溶接法」と表
記)とし、内側金属管接合体の外側表面及び内側表面に
付着している溶滴を除去することなく、拡管を行った以
外は、実施例1と同様の手順に従い、長尺二重金属管を
製造した。
【0069】(比較例2)外側金属管の接合方法を、B
Ni−3(JIS Z3625)相当のNi系合金箔を
用いた液相拡散接合法とし、内側金属管接合体の内側表
面に付着した溶滴を研削加工により除去した以外は、実
施例1と同様の手順により、長さ50mの長尺二重金属
管を製造した。なお、外側金属管の液相拡散接合は、実
施例2と同様の条件下で行った。
【0070】実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた
各長尺二重金属管について、浸透探傷試験及び超音波探
傷試験を行い、内側金属管接合体の外側表面及び内側表
面における亀裂の有無を調べた。また、得られた長尺二
重金属管を切断して、中央部に接合部を有する長さ10
mの管状試験片とし、この管状試験片を用いて繰り返し
曲げ試験を行った。
【0071】なお、繰り返し曲げ試験は、内側金属管の
降伏強度に相当する荷重を、繰り返し速度1Hz、完全
片振りの条件で管状試験片に印加することにより行っ
た。また、繰り返し数が10に達したところ繰り返し
曲げ試験を中断し、浸透探傷試験及び超音波探傷試験に
より、内側金属管接合体の外側表面及び内側表面におけ
る亀裂の有無を調べた。結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】内側金属管接合体の外側表面及び内側表面
に付着している溶滴のいずれも除去しなかった比較例1
では、拡管後に、内側金属管接合体の外側表面及び内側
表面の双方に亀裂が認められた。また、この亀裂は、繰
り返し試験を行うことにより拡大していることが確認さ
れた。
【0074】また、内側金属管接合体の内側表面に付着
している溶滴のみを除去した比較例2では、拡管後にお
いては、内側金属管接合体の外側表面及び内側表面に亀
裂は認められなかったものの、繰り返し試験を行った場
合には、内側金属管接合体の外側表面に亀裂が認められ
た。
【0075】これに対し、内側金属管接合体の外側表面
に付着している溶滴のみを除去した実施例1、並びに外
側表面及び内側表面に付着している双方の溶滴を除去し
た実施例2では、いずれも、拡管後に内側金属管接合体
の外側表面及び内側表面に亀裂は認められなかった。ま
た、繰り返し試験を行った場合であっても、亀裂が生成
することはなかった。
【0076】以上の結果から、内側金属管接合体の外側
表面及び内側表面に付着している溶滴の内、少なくとも
外側表面に付着している溶滴を除去すれば、拡管後に内
側金属管接合体に亀裂が生成しないことがわかった。ま
た、繰り返し応力が作用した場合であっても、亀裂が生
成することはなく、溶滴の除去が亀裂の抑制に有効であ
ることがわかった。
【0077】(実施例3)外側金属管として、外径16
5.2mm、内径143.2mm、長さ5mの高圧配管
用炭素鋼管STS480(JIS G3455)を用
い、内側金属管として、外径114.3mm、内径10
2.3mm、長さ5mのオーステナイト系ステンレス鋼
管SUS316TP(JIS G3459)を用いた。
なお、この場合、拡管率は25%となる。
【0078】この外側金属管10本をTIG溶接法によ
り溶接して、長さ50mの外側金属管接合体を作製し
た。また、内側金属管11本を、BNi−5(JIS
Z3625)相当の組成を有するNi系合金箔を用いた
液相拡散接合法(表2中、「液相拡散接合法(2)」と
表記)により接合して、長さ55mの内側金属管接合体
を作製した。
【0079】なお、内側金属管の液相拡散接合は、イン
サート材の厚さ40μm、内側金属管の接合面粗さRm
ax25μm以下、接合温度1300℃、保持時間60
秒、加圧力4MPa、接合雰囲気Arの条件下で行っ
た。
【0080】次いで、ショットピーニングにより、内側
金属管接合体の外側表面に付着している溶滴を塑性変形
させた後、得られた内側金属管接合体を外側金属管接合
体に挿入し、液圧法を用いて内側金属管接合体を拡管す
ることにより、長さ50mの長尺二重金属管を製造し
た。
【0081】(実施例4)外側金属管の接合方法を、B
Ni−3(JIS Z3625)相当のNi系合金箔を
用いた液相拡散接合法(表2中、「液相拡散接合法
(1)」と表記)とし、内側金属管接合体の外側表面及
び内側表面の双方に付着した溶滴をショットピーニング
により塑性変形させ、プラグ法を用いて拡管した以外
は、実施例3と同様の手順により、長さ50mの長尺二
重金属管を製造した。
【0082】なお、外側金属管の液相拡散接合は、イン
サート材の厚さ40μm、内側金属管の接合面粗さRm
ax25μm以下、接合温度1300℃、保持時間60
秒、加圧力4MPa、接合雰囲気Arの条件下で行っ
た。
【0083】(実施例5)外側金属管の接合方法を、B
Ni−3(JIS Z3625)相当のNi系合金箔を
用いた液相拡散接合法とし、内側金属管接合体の外側表
面及び内側表面の双方に付着した溶滴を研削加工により
除去した後、さらに内側金属管接合体の外側表面及び内
側表面の双方をショットピーニングにより塑性変形さ
せ、プラグ法を用いて拡管した以外は、実施例3と同様
の手順により、長さ50mの長尺二重金属管を製造し
た。なお、外側金属管の液相拡散接合は、実施例4と同
様の条件下で行った。
【0084】(実施例6)外側金属管として、外径16
5.2mm、内径143.2mm、長さ5mの高圧配管
用炭素鋼管STS480(JIS G3455)を用
い、内側金属管として、外径110.2mm、内径10
6.2mm、長さ5mの配管用チタン管TTP270W
C(JIS H4630)を用いた。なお、この場合、
拡管率は30%となる。
【0085】この外側金属管10本をTIG溶接法によ
り溶接して、長さ50mの外側金属管接合体を作製し
た。また、内側金属管11本を、Ni−Cu−Ti−Z
r系合金箔を用いた液相拡散接合法(表2中、「液相拡
散接合法(3)」と表記)により接合して、長さ55m
の内側金属管接合体を作製した。
【0086】なお、内側金属管の液相拡散接合は、イン
サート材の厚さ40μm、内側金属管の接合面粗さRm
ax25μm以下、接合温度1300℃、保持時間60
秒、加圧力4MPa、接合雰囲気Arの条件下で行っ
た。
【0087】次に、機械加工により、内側金属管接合体
の外側表面に付着している溶滴を除去し、さらにその部
分をショットピーニングにより塑性変形させた。次い
で、得られた内側金属管接合体を外側金属管接合体に挿
入し、液圧法を用いて内側金属管接合体を拡管すること
により、長さ50mの長尺二重金属管を製造した。
【0088】(比較例3)内側金属管接合体の内側表面
に付着している溶滴のみをショットピーニングにより塑
性変形させ、プラグ法により拡管した以外は、実施例3
と同様の手順に従い、長尺二重金属管を製造した。
【0089】実施例3〜6及び比較例3で得られた各長
尺二重金属管について、実施例1〜2及び比較例1〜2
と同様の手順に従い、拡管後及び繰り返し曲げ試験後に
浸透探傷試験及び超音波探傷試験を行い、内側金属管接
合体の外側表面及び内側表面における亀裂の有無を調べ
た。結果を表2に示す。
【0090】
【表2】
【0091】内側金属管接合体の内側表面に付着してい
る溶滴のみをショットピーニングで塑性変形させた比較
例3では、拡管後に、内側金属管接合体の内側表面に亀
裂は認められなかったが、外側表面には亀裂が認められ
た。また、繰り返し試験を行うことにより、内側表面に
は亀裂が新たに発生し、外側表面の亀裂は拡大している
ことが確認された。
【0092】これに対し、内側金属管接合体の外側表面
に付着している溶滴のみを塑性変形させた実施例3、並
びに外側表面及び内側表面に付着している双方の溶滴を
塑性変形させた実施例4では、いずれも、拡管後に内側
金属管接合体の外側表面及び内側表面に亀裂は認められ
なかった。また、繰り返し試験を行った場合であって
も、亀裂が生成することはなかった。
【0093】さらに、研削加工により内側金属管接合体
の外側表面及び内側表面の双方の溶滴を除去した後、外
側表面及び内側表面の双方をショットピーニング処理し
た実施例5、並びに外側表面の溶滴のみを機械加工によ
り除去した後、その部分をショットピーニング処理した
実施例6も同様に、拡管後に内側金属管接合体の外側表
面及び内側表面に亀裂は認められなかった。また、繰り
返し試験を行った場合であっても、亀裂が生成すること
はなかった。
【0094】以上の結果から、内側金属管接合体の外側
表面及び内側表面に付着している溶滴の内、少なくとも
外側表面に付着している溶滴をショットピーニングによ
り塑性変形させれば、拡管後に内側金属管接合体に亀裂
が発生しないことがわかった。また、繰り返し応力が作
用した場合であっても、亀裂が生成することはなく、溶
滴を塑性変形させることが亀裂の抑制に有効であること
がわかった。
【0095】さらに、内側金属管接合体の少なくとも外
側表面に付着している溶滴を研削加工等により除去した
後 、その部分をショットピーニングにより塑性変形さ
せた場合であっても、内側金属管接合体に亀裂が生成す
ることはなく、亀裂発生に対する抵抗の大きな長尺二重
金属管が得られることがわかった。
【0096】以上、本発明の実施の形態につて詳細に説
明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の
改変が可能である。
【0097】例えば、長尺二重金属管50に耐食性のみ
が要求され、高い強度が要求されない場合には、拡管工
程により内側金属管接合体30と外側金属管接合体10
とを密着させた状態で、そのまま使用すればよい。しか
し、長尺二重金属管50に高い強度が要求される場合に
は、拡管工程による拡管の後、内側金属管接合体30と
外側金属管接合体10とを接合してもよい。
【0098】具体的には、内側金属管接合体30を拡管
した後、誘導コイルを用いて加熱し、内側金属管接合体
30の外周面と外側金属管接合体の内周面とを固相拡散
接合法により接合すればよい。あるいは、内側金属管接
合体30の外周面にテープ状のインサート材を螺旋状に
巻き付けた後に外側金属管接合体10内に挿入し、内側
金属管接合体30を拡管した後、誘導コイルを用いて加
熱することにより、内側金属管接合体30と外側金属管
接合体10とを液相拡散接合してもよい。
【0099】また、内側金属管が薄肉あるいは軟質金属
からなる場合には、液圧法又はプランジャー法におい
て、油圧ポンプ等を用いて内側金属管接合体30に液圧
を付与する代わりに、コンプレッサ等の加圧手段を用い
て空気等の気体を用いて加圧してもよく、これにより上
記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0100】
【発明の効果】本発明に係る長尺二重金属管の製造方法
によれば、1ヶ所以上の接合部を有する外側金属管接合
体の内側に、1ヶ所以上の接合部を有する内側金属管接
合体を挿入し、内側金属管接合体を拡管することにより
長尺二重金属管が製造されるので、拡管方法によって
は、製造可能な長さに制限がなく、数千m以上の長さを
有する長尺二重金属管が製造できるという効果がある。
【0101】また、外側金属管と内側金属管の接合を個
別に行うようにしたので、予め製造された二重金属管を
接合する従来の方法で問題となっていた、溶接時に内側
金属管が再溶融することに起因する、溶接部の耐食性の
低下や、硬化による亀裂の発生を抑制できるという効果
がある。また、接合条件も個別に最適化できるので、内
側金属管又は外側金属管のいずれか一方が厚肉であって
も、健全な長尺二重金属管を製造できるという効果があ
る。
【0102】さらに、長尺二重金属管を製造する場合に
おいて、内側金属管接合体を液相拡散接合法により接合
すると共に、少なくとも内側金属管接合体の外側表面に
付着している溶滴を除去又は塑性変形させるようにした
ので、耐食性、気密性に優れた長尺二重金属管を安価に
製造できると共に、得られた長尺二重金属管を繰り返し
応力が作用する条件下で使用した場合であっても、接合
部における亀裂の発生が抑制されるという効果がある。
【0103】以上のように、本発明に係る長尺二重金属
管の製造方法によれば、疲労特性に優れた長尺二重金属
管を安価に、かつ効率的に製造することが可能となるも
のであり、これを例えば、油井管、ラインパイプ等に応
用した場合には、掘削作業やパイプ敷設作業に要する時
間を大幅に短縮することが可能となるのみならず、亀裂
の発生に伴う腐食性流体の漏出の問題を解決することが
可能となるものであり、産業上その効果の極めて大きい
発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】冶金的接合法により接合された外側金属管接合
体の部分断面図である。
【図2】機械的締結法により接合された外側金属管接合
体の部分断面図及びそのA−A’線断面図である。
【図3】図3(a)は、液相拡散接合法により接合され
た内側金属管接合体の部分断面図であり、図3(b)
は、接合界面近傍に付着している溶滴が除去された後の
内側金属管接合体の部分断面図である。
【図4】内側金属管接合体の拡管方法を説明する図であ
る。
【図5】本発明に係る長尺二重金属管の製造方法を示す
工程図であり、左図は部分断面図、右図はそのA−A’
線断面図である。
【符号の説明】
10 外側金属管接合体 16 溶接部 30 内側金属管接合体 33 接合部 50 長尺二重金属管 60、62 溶滴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲垣 繁幸 愛知県名古屋市南区天白町3−9−111 大同特殊鋼天白荘205 Fターム(参考) 4E067 AA02 AA03 BA05 DA06 DC07 DD03 EB11 EC06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1ヶ所以上の接合部又は締結部を有する
    外側金属管接合体の内側に、該外側金属管接合体の内径
    よりも小さい外径を有し、かつ、1ヶ所以上の接合部を
    有する内側金属管接合体を挿入し、 挿入された前記内側金属管接合体を拡管することによ
    り、二重金属管を製造する長尺二重金属管の製造方法で
    あって、 前記内側金属管接合体を液相拡散接合法を用いて接合
    し、 前記内側金属管接合体の少なくとも外側表面に付着して
    いる溶滴を、拡管が行われる前に除去することを特徴と
    する長尺二重金属管の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記内側金属管接合体の少なくとも外側
    表面に付着している溶滴を、拡管が行われる前に機械加
    工又は研削加工により除去することを特徴とする請求項
    1に記載の長尺二重金属管の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記内側金属管接合体の少なくとも外側
    表面に付着している溶滴を、拡管が行われる前にショッ
    トピーニングにより塑性変形させることを特徴とする請
    求項1に記載の長尺二重金属管の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記内側金属管接合体の少なくとも外側
    表面に付着している溶滴を、拡管が行われる前に機械加
    工又は研削加工により除去した後、その部分をショット
    ピーニングにより塑性変形させることを特徴とする請求
    項1に記載の長尺二重金属管の製造方法。
JP10246899A 1998-09-01 1998-09-01 長尺二重金属管の製造方法 Pending JP2000071029A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10246899A JP2000071029A (ja) 1998-09-01 1998-09-01 長尺二重金属管の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10246899A JP2000071029A (ja) 1998-09-01 1998-09-01 長尺二重金属管の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000071029A true JP2000071029A (ja) 2000-03-07

Family

ID=17155408

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10246899A Pending JP2000071029A (ja) 1998-09-01 1998-09-01 長尺二重金属管の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000071029A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004122198A (ja) * 2002-10-03 2004-04-22 Hidehiko Ono 断面円形の被加工孔の内面への肉盛り装置
JP2010512498A (ja) * 2006-12-11 2010-04-22 スタトイル・アー・エス・アー 内側に耐食性被覆材を有するパイプラインの敷設方法
CN105817780A (zh) * 2016-04-21 2016-08-03 西安向阳航天材料股份有限公司 一种控制双金属复合管管端堆焊尺寸的方法
JP2016534880A (ja) * 2013-08-23 2016-11-10 ヴァルレック・トゥーボス・ド・ブラジル・ソシエダージ・アノニマVallourec Tubos do Brasil S.A. 拡張により多層パイプを製造するための方法および該方法によって製造される多層パイプ

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004122198A (ja) * 2002-10-03 2004-04-22 Hidehiko Ono 断面円形の被加工孔の内面への肉盛り装置
JP2010512498A (ja) * 2006-12-11 2010-04-22 スタトイル・アー・エス・アー 内側に耐食性被覆材を有するパイプラインの敷設方法
JP2016534880A (ja) * 2013-08-23 2016-11-10 ヴァルレック・トゥーボス・ド・ブラジル・ソシエダージ・アノニマVallourec Tubos do Brasil S.A. 拡張により多層パイプを製造するための方法および該方法によって製造される多層パイプ
CN105817780A (zh) * 2016-04-21 2016-08-03 西安向阳航天材料股份有限公司 一种控制双金属复合管管端堆焊尺寸的方法
CN105817780B (zh) * 2016-04-21 2018-06-05 西安向阳航天材料股份有限公司 一种控制双金属复合管管端堆焊尺寸的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20070132228A1 (en) Production of clad pipes
EP3389919B1 (en) Method for connection and tubular connection assembly for improved fatigue performance of metallic risers
JP2008504507A (ja) 管状本体および管状本体を形成する方法における改善
JP2001058279A (ja) 拡管に適した炭素鋼管接合体の製造方法および拡管方法
US7954221B2 (en) Electromagnetic mechanical pulse forming of fluid joints for high-pressure applications
JPH11290939A (ja) 長尺二重金属管の製造方法
JP2000071029A (ja) 長尺二重金属管の製造方法
JPH03243286A (ja) クラッド管の接合方法
CN110778804B (zh) 油气输送管及油气输送管的制作方法
CN107002914B (zh) 流体导管元件以及用于形成流体导管元件的方法
CN113474099B (zh) 金属管以及金属管的制造方法
JP2000107870A (ja) 拡管用金属管接合体及びその製造方法
JP2000176652A (ja) 金属管の接合方法
JP2001300743A (ja) 拡管用金属管接合体及びその製造方法
KR101017648B1 (ko) 이종 금속 부재로 이루어진 용접 배관 내벽의 인장 잔류응력 감소 및 제거 방법
JP3872742B2 (ja) 成形性に優れたuoe鋼管の製造方法
JP2005147144A (ja) 金属製の多層高圧導管
JPS6076290A (ja) クラツド鋼管の製造方法
CN216429809U (zh) 具有高频硬钎焊锥形密封面的船用柴油机高压油管
JPS58122198A (ja) 耐蝕管の溶接継手構造
RU2683099C1 (ru) Способ изготовления трубопроводов
JP2003053442A (ja) ハイドロフォーム加工用異材溶接金属管及びその製造方法
JP2001087868A (ja) 金属管接合体の製造方法
JPH0323066A (ja) 二重管の周継手溶接法
RU2484911C2 (ru) Способ закрепления теплообменных труб в трубных решетках

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051129

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070420

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070425

A02 Decision of refusal

Effective date: 20070816

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02