JP2001087868A - 金属管接合体の製造方法 - Google Patents

金属管接合体の製造方法

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JP2001087868A
JP2001087868A JP26794299A JP26794299A JP2001087868A JP 2001087868 A JP2001087868 A JP 2001087868A JP 26794299 A JP26794299 A JP 26794299A JP 26794299 A JP26794299 A JP 26794299A JP 2001087868 A JP2001087868 A JP 2001087868A
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pipe
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Takao Hiyamizu
孝夫 冷水
Koji Horio
浩次 堀尾
Kazunari Kito
一成 鬼頭
Shigeyuki Inagaki
繁幸 稲垣
Ryuzo Yamada
龍三 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 拡管を適用した場合であっても、接合部にお
ける割れ等の欠陥が発生することがなく、しかも、拡管
後の接合部の機械的性質を劣化させることのない金属管
接合体の製造方法を提供すること。 【解決手段】 液相拡散接合法を用いて金属管接合体1
を製造する場合において、金属管2、3の接合面4に該
金属管の融点Tbより低い融点Tiを有するインサート
材を介挿し、Ti<T’<T−50(℃)<T<Tb
(Tは、接合温度)の関係を満たす中間保持温度T’に
加熱し、10秒以上保持した後、接合温度Tに昇温し、
接合温度Tで所定時間保持するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属管接合体の製
造方法に関し、更に詳しくは、化学工業、石油化学工業
等で用いられるプラント用配管、ラインパイプ、あるい
は油井、ガス井で用いられるケーシングチューブ、プロ
ダクションチューブ、コイルドチューブ等の油井管とし
て好適な金属管接合体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】油井、ガス井を掘削するに際しては、地
中に掘削された坑道の保護や原油、ガスの漏出防止等の
ために、坑道の中にケーシングチューブと呼ばれる鋼管
が埋設される。このケーシングチューブは、坑道がある
程度掘り進められる毎に埋設されるものであり、一般
に、1つの坑道に対して外径の異なる数本のケーシング
チューブが入れ子状に埋設される。従って、所定の生産
能率を確保するためには、油井、ガス井の深さが深くな
るほど地表付近に掘削される坑道の内径を大きくする必
要があった。また、これによって埋設されるケーシング
チューブの本数も増大し、石油、ガス等の生産コストを
増加させる原因となっていた。
【0003】そこで、この問題を解決するために、従来
よりも小径の坑道を地中に掘削し、そこに埋設したケー
シングチューブの内径を現地で拡管する方法が提案され
ている(例えば、World Oil:P.31、Ap
ril、1999)。地中に埋設されたケーシングチュ
ーブの拡管は、具体的には、ケーシングチューブ内にそ
の内径より大きい外径を有する工具を挿入し、その工具
を水圧等を用いてケーシングチューブ内を移動させるこ
とにより行われる。これにより、ケーシングチューブの
内径を坑道内で連続的に拡大させることができる。
【0004】この方法は、従来の埋設方法と比較して、
坑道の小径化による掘削コストの低減、坑道とケーシン
グチューブの間隔を狭隘化することによるセメンティン
グコストの低減、使用するケーシングチューブの削減等
が可能となるので、大幅な石油、ガスの生産コスト低減
が期待されているものである。
【0005】ところで、油田、ガス田等は、通常、地下
あるいは海底下数千mの位置にあるので、ケーシングチ
ューブには、長さ10〜15mの鋼管等の金属管を接合
した接合体(以下、これを「金属管接合体」という。)
が用いられる。このような金属管接合体に対して上述し
た拡管を適用した場合、接合部も母材と同様に拡管され
ることになる。従って、拡管によって健全なケーシング
チューブを得るためには、接合部は、母材と同等の拡管
性能を有していることが望ましい。また、接合部は、拡
管によって機械的性質が劣化するものであってはならな
い。
【0006】金属管の接合方法としては、ねじ締結法
(メカニカルカップ法)、溶接法(オービタルウェルデ
ィング法)、摩擦圧接法、拡散接合法などが知られてい
る。これらの接合方法の内、ねじ締結法は、金属管の端
部に形成されたねじを螺合させることにより、金属管同
士を接続する方法である。ねじ締結法は、一継手当たり
の接続時間が5〜10分程度と短く、作業能率が高いと
いう利点があるが、締結部から油やガスが漏れやすいと
いう欠点がある。
【0007】また、ねじ継手に対して拡管を適用した場
合には、接続部の変形によって緊締したねじに緩みが生
じ、さらに石油、ガス等が漏洩しやすくなるという欠点
がある。この問題を解決するために、ねじの形状を高精
度かつ特殊形状とすることも行われているが、必ずしも
十分な特性は得られていない。また、そのような特殊な
ねじの加工には多大なコストを要し、しかも、ねじ部の
損傷を避けるために、その輸送あるいは取り扱いに細心
の注意を要するという欠点があるため、その適用範囲は
制約されている。
【0008】溶接法は、金属管の端面に開先を設けて突
き合わせ、開先内を溶融金属で充填することにより、金
属管同士を接続する方法である。溶接法は、溶接部に融
合不良や気孔等の欠陥がない限り、気密性に優れ、母材
と同等の機械的特性が得られるという利点がある。しか
し、溶接法は、作業能率が低い、現地での溶接施工にお
いては天候、風速等、環境の影響を受けやすい、熟練し
た溶接技能を要する等の欠点がある。
【0009】また、溶接法を用いて金属管を接合する場
合、一般的には、溶接部の機械的性質を確保するため
に、溶接部の外側表面には余盛が、また溶接部の内側表
面には裏波ビードが、それぞれ形成される。そのため、
溶接継手に対して拡管を行うためには、少なくとも拡管
工具の通過の妨げとなる接合部内側の裏波ビードを除去
する必要があるが、裏波ビードの除去は、極めて困難で
ある。また、拡管工程における溶接部の割れ等の欠陥発
生防止の観点からは、応力集中源となる溶接部外側の余
盛を滑らかに加工するか、あるいは除去することが望ま
しいが、このような加工には、多大のコストを要すると
いう欠点がある。
【0010】摩擦圧接法は、圧力を加えつつ、突き合わ
せた金属管同士を相対的に回転、あるいは摺動させ、発
生した摩擦熱により軟化した金属管端部を圧接する方法
である。他の接合法に比べて、熟練を必要としない、短
時間で接合できる、作業環境の影響をほとんど受けない
等の利点はあるものの、圧接部内外表面のバリ発生が避
けられない。そのため、摩擦圧接継手に対して拡管を行
うためには、溶接継手と同様に、接合部内外面のバリを
除去する必要があり、その加工に多大のコストを要する
という欠点がある。
【0011】この欠点を解決する方法として、一対の金
属管端面同士の間に楔状断面を有するリングを介挿し、
一対の金属管は固定したままで、そのリングを回転させ
ながら金属管の中心方向に押し込むことにより圧接を行
うラジアル摩擦圧接法が開発されているが、圧接継手の
特性は、必ずしも十分ではなく、油井管等の接合に適用
された例は報告されていない。
【0012】これに対し、拡散接合法は、2本の金属管
を突き合わせ、接合面を加圧しながら、金属管の融点以
下の温度に加熱し、接合面において元素の拡散を行わせ
ることにより、2本の金属管を接合する方法である。拡
散接合法には、2本の金属管を直接突き合わせ、固相状
態を維持しながら元素の拡散を行わせる固相拡散接合
と、接合界面にインサート材を介挿し、インサート材を
溶融させると共に、その成分の一部を金属管側に拡散さ
せる液相拡散接合法がある。
【0013】拡散接合法は、適正な条件で接合されれ
ば、気密性及び機械的特性に優れた接合継手が得られる
点は、上述の溶接法と同様であるが、一継手当たりの接
合時間は、溶接法の1/3〜1/2程度と短く、高品質
の継手を高能率で製造することができるという利点があ
る。
【0014】また、拡散接合継手は、溶接継手のような
裏波ビード、あるいは、摩擦圧接継手のようなバリ等、
接合部内側に拡管工具の通過を妨げるような大きな凸部
が発生することはない。そのため、拡散接合継手に対し
て拡管を行う場合には、接合部内側の加工は不要であ
り、極めて能率的に拡管作業を実施できるという利点が
ある。さらに、液相拡散接合法は、固相拡散接合法と比
較して、高強度の継手が得られやすいという利点があ
る。従って、液相拡散接合法は、拡管用の金属管接合体
の製造方法として特に好適なものである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】液相拡散接合法を用い
た金属管の接合は、一般に、インサート材を接合面に介
挿した後、接合面を加圧し、所定の接合温度で所定時間
保持することにより行われる。この時、接合面に印加さ
れた加圧力により、溶融したインサート材が接合部外側
表面に押し出されて凝固することがある。
【0016】この押し出されて凝固したインサート材
は、接合部の外側表面に局部的な凸部を形成することが
ある。また、その部位の母材を局部的に溶融させ、溶接
の溶け込みに類似した楔形の異相を形成することもあ
る。このような凸部や異相が形成された金属管接合体に
対して拡管を適用すると、拡管中に凸部や異相から割れ
が発生する危険性がある。また、拡管によって欠陥が発
生しない場合であっても、拡管後の接合部の機械的性質
を劣化させる危険性がある。
【0017】特に、拡管中に、深さ数百mの坑道中に挿
入された長さ数百mの金属管接合体の接合部に割れが発
生した場合には、発生した割れから拡管用工具を加圧す
るための加圧用液体が漏洩し、拡管工具を推進させる圧
力が低下するという問題がある。推進圧力が低下する
と、割れが発生した部位より先に拡管用工具が進行しな
くなり、拡管作業の続行が不可能となる。
【0018】また、拡管中に接合部に割れが発生し、割
れが発生した部位より先の部分が脱落すると、拡管作業
の続行が不可能となるばかりでなく、その衝撃により坑
道が崩落したり、坑道と拡管された金属管接合体の隙間
から加圧用液体が噴出して極めて危険である。さらに、
拡管工具の推進圧力の低下あるいは金属管接合体の脱落
が生じた場合、その復旧は非常に困難で、最悪の場合に
は、油井、ガス井を放棄することとなり、その損失は膨
大となる。
【0019】本発明が解決しようとする課題は、拡管を
適用した場合であっても、接合部における割れ等の欠陥
が発生することがなく、しかも、拡管後の接合部の機械
的性質を劣化させることのない金属管接合体の製造方法
を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る金属管接合体の製造方法は、金属管の
接合面に該金属管の融点Tbより低い融点Tiを有する
インサート材を介挿し、次の数1の式を満たす中間保持
温度T’に加熱し、10秒以上保持する中間保持工程
と、次いで接合温度Tに昇温し、所定時間保持する接合
工程とを備えていることを要旨とするものである。
【0021】
【数1】Ti<T’<T−50(℃)<T<Tb
(但し、Tは接合温度)
【0022】上記構成を有する本発明に係る金属管接合
体の製造方法によれば、接合温度Tに加熱される前に中
間保持温度T’における加熱・保持が行われるので、接
合部の外側表面に溶融したインサート材が押し出された
場合であっても、インサート材が金属管の表面に濡れて
平坦化し、接合部の外側表面における凸部の形成が抑制
される。また、押し出されたインサート材の濡れを促進
させることによって、接合部近傍における楔形の異相の
形成も抑制される。
【0023】そのため、このような製造方法により得ら
れた金属管接合体に対して拡管を適用すれば、接合部に
割れ等の欠陥を発生させることなく拡管することができ
る。また、拡管後の接合部の機械的性質も良好であり、
金属管接合体の品質が安定化し、接合工程及び拡管工程
の作業能率も向上する。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて図面を参照しながら詳細に説明する。図1(a)
に、本発明に係る金属管接合体の製造方法において用い
られる接合時の昇温パターンの一例を示す。図1(a)
において、本発明に係る金属管接合体の製造方法は、中
間保持工程と接合工程とを備えている。
【0025】中間保持工程は、図1(a)に示すよう
に、接合に用いられる金属管の融点Tb(℃)より低い
融点Ti(℃)を有するインサート材を金属管の接合面
に介挿し、中間保持温度T’で所定時間保持する工程で
ある。また、接合工程は、中間保持工程終了後に、接合
温度Tに昇温し、所定時間保持する工程である。
【0026】ここで、中間保持工程は、金属管の外側表
面に押し出された溶融したインサート材の濡れを促進さ
せ、押し出されたインサート材を平坦化することを目的
とする。従って、中間保持温度T’は、少なくともイン
サート材の融点Tiより高いことが必要である。一方、
中間保持温度T’が高すぎると、溶融したインサート材
の濡れ性が低下し、押し出されたインサート材の平坦化
が不十分となるので好ましくない。中間保持温度T’と
接合温度Tの温度差は、具体的には、50℃より大きい
ことが必要がある。さらに、接合時に金属管の溶融を回
避するためには、接合温度Tは、金属管の融点Tbより
低くなければならない。すなわち、中間保持温度T’及
び接合温度Tは、次の数2の式を満たしている必要があ
る。
【0027】
【数2】Ti<T’<T−50(℃)<T<Tb
(但し、Tは接合温度)
【0028】また、中間保持温度T’における保持時間
は、少なくとも10秒以上とする必要がある。接合部の
外側表面に押し出されたインサート材を十分に平坦化す
るためには、中間保持温度T’における保持時間は、長
い方が望ましい。但し、保持時間が長すぎると、単に作
業能率を低下させるだけではなく、接合体の機械的性質
を劣化させるおそれがあるので、必要以上の加熱は避け
た方が良い。
【0029】なお、接合温度Tにおける保持時間は、接
合界面における元素の拡散が十分に行われるように、金
属管の材質、インサート材の材質、接合温度T、得られ
る接合継手の機械的特性等を考慮して定めればい。ま
た、元素の拡散を十分に行わせるためには、接合温度T
における保持時間は長い方がよいが、必要以上の加熱
は、接合体の機械的性質を劣化させるので好ましくな
い。
【0030】次に、本発明に係る金属管接合体の製造方
法の作用について説明する。液相拡散接合法を用いて金
属管を接合する場合、従来は、図2(a)に示すよう
に、融点がTb(℃)である金属管2、3の接合面4に
融点がTi(℃)であるインサート材(図示せず)を介
挿し、接合面4に所定の圧力を加えながら、接合温度T
(℃)まで加熱し、所定時間保持した後、冷却するのが
一般的である。
【0031】このような従来の工程によって得られた金
属管接合体1の接合部の外側表面には、図2(b)に示
すように、溶融したインサート材が押し出されて凝固し
た凸部5が形成される。また、金属管2、3の材質、イ
ンサート材の組成、接合条件等によっては、接合部の外
側表面近傍に、溶接の溶け込みに類似した楔形の異相6
が形成されることもある。
【0032】この凸部5あるいは異相6は、金属管接合
体1が接合されたままの状態で使用される場合には、必
ずしも接合継手の機械的性質に影響を及ぼすとは限らな
いが、得られた金属管接合体1に対して拡管を行った場
合には、凸部5や異相6が応力集中の起点となり、拡管
中に凸部5や異相6から割れ等の欠陥が発生するおそれ
がある。また、欠陥の発生に至らない場合であっても、
拡管後の金属管接合体1の機械的特性が不十分となる危
険性がある。
【0033】これに対し、本発明に係る金属管接合体の
製造方法によれば、図1(a)に示すように、接合温度
Tで加熱・保持する前に、接合温度Tより低い中間保持
温度T’で所定時間の加熱・保持が行われるので、溶融
したインサート材が接合部の外側に押し出された場合で
あっても、元素の拡散によってインサート材の融点が上
昇して固化する前に、押し出されたインサート材が金属
管2、3の表面に濡れて、比較的容易に平坦化する。そ
のため、図1(b)に示すように、接合部の外側表面に
凸部や異相のない金属管接合体1が得られる。
【0034】
【実施例】(実施例1)以下の手順により、5本の金属
管接合体を製造した。金属管として、日本工業規格の高
圧配管用炭素鋼管(JIS G3455、STS41
0、外径139.8mm、肉厚6.6mm)を用い、炭
素鋼管の接合界面にインサート材としてニッケルろうB
Ni−3(JIS Z3265)相当の組成を有する融
点1050℃、厚さ50μmのNi系合金箔を介挿し、
図1(a)に示す昇温パターンに従って炭素鋼管どうし
の液相拡散接合を行った。
【0035】なお、接合部の加熱方法には、周波数3k
Hzの高周波電流を用いた高周波誘導加熱法を用いた。
また、接合条件は、中間保持温度T’1200℃、中間
保持温度T’における保持時間10秒、接合温度T13
00℃、接合温度Tにおける保持時間60秒、加圧力3
MPaとし、Ar雰囲気中で接合を行った。さらに、得
られた金属管接合体に対し、拡管率が20%となるよう
にマンドレルを用いて拡管を行った。
【0036】(実施例2)中間保持温度T’を1150
℃、中間保持温度T’における保持時間を60秒とした
以外は、実施例1と同一の条件下で、金属管接合体の製
造及び拡管を行った。
【0037】(比較例1)図2(a)に示すように、中
間保持温度T’で加熱・保持することなく、接合温度T
まで直接昇温した以外は、実施例1と同一の条件下で、
金属管接合体の製造及び拡管を行った。
【0038】(比較例2)中間保持温度T’を1280
℃、中間保持温度T’における保持時間を15秒とした
以外は、実施例1と同一の条件下で、金属管接合体の製
造及び拡管を行った。
【0039】(比較例3)中間保持温度T’における保
持時間を5秒とした以外は、実施例1と同一の条件下
で、金属管接合体の製造及び拡管を行った。
【0040】実施例1〜2及び比較例1〜3で得られた
拡管後の金属管接合体について浸透探傷試験を行い、接
合部の内外表面における割れの有無を調べた。また、拡
管した金属管接合体をアムスラー式万能試験機(200
Tonf)を用いて引張試験を実施した。結果を表1に
示す。
【0041】
【表1】
【0042】接合温度1300℃まで直接昇温して接合
した比較例1では、接合部の外側表面には、溶融したイ
ンサート材が押し出されて凝固することにより形成され
た凸部が認められた。また、拡管後の浸透探傷試験にお
いて、5本のうち1本の金属管接合体には、接合部外側
表面の凸部に開口した割れが観察された。さらに、拡管
した金属管接合体の引張試験においては、5本の内4本
は接合界面以外の母材で破断し、その引張強度は562
MPa〜564MPaであったが、1本は接合界面で破
断し、その引張強度は513MPaまで低下した。
【0043】インサート材に含まれるボロンは、インサ
ート材の主要な融点降下元素であるが、接合部にボロン
が多量に残留すると、接合部を脆化させることが知られ
ている。比較例1において、拡管後の金属管接合体の一
部に開口した割れと引張強度の低下が生じたのは、接合
部外側表面に形成された凸部にボロンが残留して脆化す
るとともに、凸部が拡管時に応力集中源として作用した
ためと考えられる。
【0044】また、1280℃×15秒の中間保持を行
った後、1300℃×60秒の条件で接合した比較例2
では、一部の金属管接合体の接合部の外側表面には凸部
が形成されていた。また、拡管後の浸透探傷試験におい
て、5本の内2本の金属管接合体には、接合部の外側表
面に開口した割れが観察された。さらに、拡管した金属
管接合体の引張試験においては、5本の内3本は接合界
面以外の母材で破断し、その引張強度は562MPa〜
564MPaであったが、2本は接合界面で破断し、そ
の引張強度は、それぞれ、522MPa及び538MP
aまで低下した。
【0045】これは、中間保持工程における中間保持温
度T’が1280℃と高かったために、接合面から押し
出された溶融したインサート材の濡れ性が低下し、イン
サート材が十分に平坦化しなかったためと考えられる。
【0046】また、1200℃×5秒の中間保持を行っ
た後、1300℃×60秒の条件で接合した比較例3で
は、一部の金属管接合体の接合部の外側表面には凸部が
形成されていた。また、拡管後の浸透探傷試験におい
て、5本の内1本の金属管接合体には、接合部の外側表
面に開口した割れが観察された。さらに、拡管した金属
管接合体の引張試験においては、5本の内4本は接合界
面以外の母材で破断し、その引張強度は561MPa〜
566MPaであったが、1本は接合界面で破断し、そ
の引張強度は541MPaまで低下した。
【0047】これは、中間保持温度T’は適切であった
が、中間保持温度T’における保持時間が5秒と短いた
めに、接合部の外側表面に押し出された溶融したインサ
ート材が十分に平坦化しなかったためと考えられる。
【0048】これに対し、1200℃×10秒の中間保
持を行った実施例1及び1150℃×60秒の中間保持
を行った実施例2では、いずれも、接合部の外側表面に
は凸部は形成されなかった。また、拡管後の浸透探傷試
験において、接合部の内外表面には開口した割れは観察
されなかった。さらに、拡管した金属管接合体の引張試
験においては、すべて接合面以外の母材で破断し、その
引張強度は560MPaを超えていた。
【0049】これは、適正な条件下で中間保持を行った
後に接合することにより、溶融したインサート材が接合
部表面に押し出された場合であっても、インサート材が
接合部表面に濡れて均一に広がり、凸部が形成されなか
ったためと考えられる。また、これにより、拡管の際に
接合部での応力集中が回避され、欠陥の発生が抑制され
るとともに、拡管後の金属管接合体の引張強度が母材と
同等に維持されたと考えられる。
【0050】以上の結果から、インサート材の融点Ti
よりも高く、接合温度T−50℃より低い中間保持温度
T’で10秒以上保持した後、接合温度Tに昇温して接
合する本発明に係る製造方法によれば、母材と同等の拡
管性能及び機械的性質を備えた金属管接合体が得られる
ことがわかった。
【0051】以上、本発明の実施の形態につて詳細に説
明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の
改変が可能である。
【0052】例えば、上記実施例では、金属管として炭
素鋼管が用いられているが、本発明が適用される金属管
は、炭素鋼管に限定されるものではなく、ステンレス鋼
管、Ti合金管等、他の金属管に対しても適用できる。
【0053】また、本発明は、接合後に拡管して内径を
拡大して使用する金属管接合体の製造方法として特に好
適であるが、拡管することなくそのまま使用する金属管
接合体の製造方法としても用いることができる。
【0054】さらに、本発明に係る金属管接合体の製造
方法は、油井に用いられるケーシングチューブの製造方
法として特に好適であるが、本発明の用途は、油井管に
限定されるものではなく、ガス抗井、地熱抗井、温泉井
戸、水井戸等に用いられるケーシングチューブ、あるい
は、地表に敷設されるラインパイプや、プラント用配管
の製造方法としても用いることができ、これにより上記
実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
【発明の効果】本発明は、金属管の接合面に該金属管の
融点Tbより低い融点Tiを有するインサート材を介挿
し、Ti<T’<T−50(℃)<T<Tb(但し、T
は接合温度)の関係式を満たす中間保持温度T’に加熱
し、10秒以上保持する中間保持工程と、次いで接合温
度Tに昇温し、所定時間保持する接合工程とを備えてい
るので、接合部外側表面における凸部あるいは楔形の異
相の形成が抑制されるという効果がある。また、これに
よって、拡管性能及び機械的特性が、母材と同等である
金属管接合体が得られるという効果がある。
【0056】以上のように、本発明によれば、母材と同
等の拡管性能及び機械的性質を備えた金属管接合体が得
られるので、これを例えば、拡管して使用する油井管に
適用すれば、長さ数千mに及ぶ油井管の接合作業を効率
よく行えることに加え、拡管作業を安全かつ確実に行う
ことができ、これにより油井掘削コストの大幅な削減が
可能となるものであり、産業上その効果の極めて大きい
発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明で用いられる接合時の昇
温パターンの一例を示す図であり、図1(b)は、図1
(a)に示す昇温パターンで接合された金属管接合体の
接合部近傍の断面図である。
【図2】図2(a)は、従来一般に用いられる接合時の
昇温パターンの一例を示す図であり、図2(b)は、図
2(a)に示す昇温パターンで接合された金属管接合体
の接合部近傍の断面図である。
【符号の説明】
1 金属管接合体 2、3 金属管 4 接合面 5 凸部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲垣 繁幸 愛知県名古屋市南区天白町3−9−111 大同特殊鋼天白荘205 (72)発明者 山田 龍三 愛知県知多市大草四方田48番地の1 大同 特殊鋼臨海荘A−301 Fターム(参考) 4E067 AA01 AD02 BA05 DA00 DC06 DC07 EC06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属管の接合面に該金属管の融点Tbよ
    り低い融点Tiを有するインサート材を介挿し、次の関
    係式 Ti<T’<T−50(℃)<T<Tb (但し、Tは
    接合温度) を満たす中間保持温度T’に加熱し、10秒以上保持す
    る中間保持工程と、 次いで接合温度Tに昇温し、所定時間保持する接合工程
    とを備えていることを特徴とする金属管接合体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記金属管接合体は、該金属管接合体の
    内径より大きい外径を有する工具を用いて内径を拡大さ
    せる拡管加工に用いられるものであることを特徴とする
    請求項1に記載の金属管接合体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012055904A (ja) * 2010-09-06 2012-03-22 Toyota Motor Corp 液相拡散接合方法及び接合品
US10603765B2 (en) 2010-05-20 2020-03-31 Baker Hughes, a GE company, LLC. Articles comprising metal, hard material, and an inoculant, and related methods

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