JP3751994B2 - 耐酸化性、耐久性に優れた触媒用メタル担体 - Google Patents

耐酸化性、耐久性に優れた触媒用メタル担体 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は内燃機関の排気ガス浄化用の触媒装置や化学プラントの触媒装置に用いられる触媒用メタル担体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、内燃機関とりわけ自動車用ガソリンエンジンの排気ガス浄化用触媒装置にメタルハニカムが用いられる場合が増えてきた。これは従来用いられてきたセラミックハニカムに比べてメタルハニカムの開孔率が大きい上、温度の上下が激しい環境下においてもメタルハニカムは耐久性に優れているなどの利点があるからである。このメタルハニカムは、耐熱性の優れたステンレス鋼箔で厚さ50μm程度の平箔と、これを波付け加工したものを重ね、これらを相互に接合したものである。
【0003】
ステンレス鋼箔としては特公昭58−23138号公報、特公昭54−15035号公報、特開昭56−96726号公報、特開昭58−177437号公報、特開昭63−45351号公報などに記載されているように、耐熱性に優れたFe−Cr−Al系合金箔が用いられている。これらの箔は高温で表面に酸化アルミニウム皮膜を生じて極めて優れた耐酸化性を保持する。
【0004】
上記各公報では、耐酸化性および酸化皮膜の密着性を向上・改善する手段としてYや希土類元素の添加が有効であることが開示されている。たとえば、特開昭58−177437号公報ではFe−Cr−Al系合金の主として酸化皮膜の剥離を防止するために0.002〜0.05重量%のLa,Ce,Pr,Ndを含む総量0.06重量%までの希土類元素を添加した合金が開示されている。
【0005】
また接合方法としては特開昭61−199574号公報の記載にあるようなろう付け、特開昭64−40180号公報の記載にあるような抵抗溶接、特開昭54−13462号公報の記載にあるようなレーザービーム溶接や電子ビーム溶接などの各種のものが用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ハニカム材として使用されているFe−Cr−Al合金箔たとえば20Cr−5Al鋼箔は表面に酸化アルミニウム皮膜を生じるので耐酸化性は優れている。通常メタル担体として使用されるFe−Cr−Al系合金箔には、少量のYや希土類元素が添加され酸化皮膜の密着性と耐酸化性を向上している。一般的にはFe−Cr−Al系合金の場合、酸化皮膜の成長によって鋼中のAlがAl2 3 として消費されていくが、箔材の場合には鋼中のAlが消費されつくすと、次にCrが酸化され、そしてついにはFeの酸化物が形成されて箔材がすべて酸化物と化すいわゆる異常酸化が発生し、箔材の健全性が失われてしまう。酸化物中でのCrやFeの拡散速度はAlに比較し非常に速いので、鋼中のAlが枯渇した後の異常酸化の進行は急速である。
以上がFe−Cr−Al合金箔の酸化の進行の一般的な特徴である。したがって、鋼中のAlが消費されつくすまでが酸化寿命の目安である。
【0007】
しかし、エンジン燃焼排ガスの特殊な雰囲気下においては、箔中のAlが十分あるにもかかわらず、20〜100ミクロンの箔中の粒界に酸化が進行することがあり、これが箔厚を貫通したりあるいは連結すると脱粒を引き起こすことがある。このため、ハニカム体の破壊に発展したりあるいは触媒が剥離したりするなど、メタル担体の構造耐久性あるいは触媒浄化性能に著しいダメージを引き起こす懸念がある。このような、Cr−Al鋼の粒界酸化は20〜100ミクロンの箔材に特有な現象である。
【0008】
本発明者は種々検討した結果、このような粒界酸化が発生する原因を見いだした。すなわち、メタル担体の平箔と波箔の接合は、10-4〜10-5Torr程度の真空中で1000〜1300℃程度でロウ付けや拡散接合あるいは液相接合によって行われる。この際、Cr−Al鋼箔の表面にはアルミナが形成されるが、このアルミナは安定なαアルミナではなく、準安定なθやδアルミナが形成される。あるいは接合完了後にN2 ガスなどで冷却する場合もある。この場合にはアルミニウムの酸化物だけでなくアルミニウムの窒化物も形成され、アルミニウムのオキシナイトライドが形成される。このため、通常950℃以下で燃焼排ガスの加熱冷却が繰り返されるので、準安定なアルミナあるいはアルミニウムのオキシナイトライドは最安定なαアルミナに変態しないことが多い。これはYやREMの希土類元素を添加して耐酸化性を改善したCr−Al鋼箔であっても同じである。
【0009】
このように均質なαアルミナではなく、アルミナとして欠陥が多い皮膜の場合、▲1▼エンジンの燃焼状態がリッチになった時に皮膜を通じ浸炭が生じ、▲2▼箔中の粒界にCr炭化物を多量に形成する。本来0.006%程度であった箔中のCの平均濃度は0.05〜0.1%にも達する。▲3▼そうすると粒界のCr炭化物近傍にCr欠乏層が形成される。▲4▼Cの浸炭により不健全になった皮膜から酸素が粒界拡散し、アルミナの粒界酸化が進行する。▲5▼これが箔厚を貫通したり箔中で連結されると脱粒が生じ、メタル担体の構造耐久性が失われ、ひいては排気ガスの浄化能が低下する。
【0010】
一方、上記雰囲気中で接合熱処理を施したメタル担体においては、皮膜の健全性が劣り、このためγアルミナを主体とする触媒担持物質の密着性が著しく悪い場合がある。触媒担持物質の担持性を向上するために、たとえば特開昭57−71898号公報に開示されるように通常アルミナウィスカー形成処理を施して密着性の向上をはかっている。
【0011】
以上のように、Fe−Cr−Al系合金箔の耐酸化性や酸化皮膜の密着性を向上する手段としてのYや希土類元素の活用だけでは、エンジン燃焼排ガス中での粒界酸化の発生を未然に防止することができない。またウィスカー形成処理を施さない場合には、触媒担持物質の密着性が著しく劣る場合があった。
【0012】
本発明はこの点を解決するためになされたもので、Yや希土類元素を合金として添加し耐酸化性を改善するだけでは有効ではないので、これとは別の手法によりFe−Cr−Al系合金箔の粒界酸化の発生を防止し耐久性を向上すると同時に触媒担持物質の密着性を向上したメタル担体を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するためになされたもので、その要旨とするところは以下の通りである。
(1)γアルミナを主体とする触媒担持物質を担持するメタル担体において、該触媒担持物質を形成する前の段階で、メタルハニカムを構成する20〜100ミクロン厚のCr−Al系ステンレス鋼箔の表面に、1×10−3Torr〜1×10−6Torrの雰囲気で1000〜1300℃の温度範囲に加熱あるいは加熱保持することにより、アスペクト比2以下の塊状酸化物を形成し、ついで大気中で950℃以上に加熱保持することにより前記塊状酸化物を核とした均質なαアルミナ皮膜を形成し、しかる後γアルミナを主体とする触媒担持物質を担持してなることを特徴とする耐酸化性、耐久性に優れた触媒用メタル担体。
(2)メタルハニカム構成材料として、重量%で、
Al :2〜6.5%、 Cr:13〜25%、
C :0.025%以下、 N :0.02%以下、
C+N:0.03%以下
を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるCr−Al系ステンレス鋼箔を用いることを特徴とする前項(1)記載の耐酸化性、耐久性に優れた触媒用メタル担体。
(3)前項(2)の成分の他に、重量%でさらに
Ti :0.02〜0.3%、 Nb:0.05〜1%、
V :0.03〜0.5%、 Mo:0.3〜3%、
W :0.5〜3%、 Ta:0.05〜3%
の1種または2種以上を含むCr−Al系ステンレス鋼箔を用いることを特徴とする前項(2)記載の耐酸化性、耐久性に優れた触媒用メタル担体。
(4)前項(2)または(3)の成分の他に、重量%でさらに
REM:0.03〜0.2%、 Y :0.03〜0.2%、
Zr :0.03〜0.2%
の1種または2種以上を含むCr−Al系ステンレス鋼箔を用いることを特徴とする前項(2)または(3)記載の耐酸化性、耐久性に優れた触媒用メタル担体。
【0014】
【作用】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明者は種々検討した結果、触媒用メタル担体を構成するメタルハニカムの耐酸化性・耐久性を向上するためには、触媒担持物質を担持する前の状態のCr−Al系ステンレス鋼箔から構成されるメタルハニカム体の表面に均質なαアルミナを主体とする皮膜を形成することにより、いかなる燃焼排ガス雰囲気においても粒界酸化の発生を未然に防止し耐久性を向上することができることを見いだした。
さらに、触媒担持前にαアルミナを形成することにより、γアルミナを主体とする触媒担持物質の密着性を著しく改善できることを見いだした。
【0015】
これを具現化するためには、大気中で950℃以上に保持することが有効である。欠陥の少ないαアルミナを主体とする均質な皮膜を形成すると、ガソリンエンジンの燃焼排ガス中などにおいても、燃焼雰囲気中の炭素の皮膜中への侵入を阻止するため、皮膜の健全性が損なわれない。これにより、浸炭も阻止されるのである。粒界におけるCr炭化物の形成に起因するCr欠乏層も形成されない。以上の作用により粒界酸化の発生を阻止し、メタル担体の耐久性を向上するのである。
【0016】
αアルミナの皮膜を予め形成しておくと、γアルミナを主体とする触媒担持物質を塗布する際の焼結工程において加熱に伴う皮膜の構造変化がないので、密着性に優れ、ウィスカー形成処理を施すことなく、触媒担持特性に優れたメタルハニカムが得られる。
【0017】
本発明ではαアルミナを形成するにあたっては、予めメタルハニカム体を構成するステンレス鋼箔の表面に1×10-3Torr〜1×10-6Torrの雰囲気で1000〜1300℃の温度範囲に加熱あるいは加熱保持することによりアスペクト比2以下の塊状酸化物を形成しておき、これを大気中で950℃以上に加熱保持すると塊状酸化物を核にして極めて容易に均質なαアルミナ皮膜が形成される。さらにTi,REMなどのいわゆる酸素活性元素を含有する鋼では、塊状酸化物にも酸素活性元素が含有されこれを核に形成されるαアルミナを安定化する。
【0018】
次に本発明において適用されるCr−Al系ステンレス鋼箔の各合金成分について述べる。
(1)Cr:
Crはステンレス鋼の耐食性を確保する基本元素である。本発明にあっては、耐酸化性の主体はAl2 3 皮膜にあるが、Crが不足するとその密着性や保護性が低下する。一方Crが過剰になると熱延板の靭性が低下するため、その範囲は13%以上、25%以下とする。
【0019】
(2)Al:
Alは本発明にあっては耐酸化性を確保する基本元素であって、2%未満では箔の場合、たやすく異常酸化を発生し箔材の健全性を失われてしまうため、触媒の担体としてその使用に耐えない。一方6.5%を超えて含まれると、熱延板の靭性が極度に低下し製造性が損なわれることに加え、箔の熱膨張係数が大きくなり、触媒担体として使用した場合に加熱・冷却の繰り返しにより熱疲労が大きくなる。したがって、本発明にあってはAlは2%以上、6.5%以下をその範囲とする。
【0020】
(3)C,N:
C,Nは共に本発明にあっては、熱延板の靭性を著しく低下させる。この悪影響を後述するTi,Nbの作用により極力抑えることができるが、Cが0.025%を超える場合またはNが0.02%を超える場合、もしくはC+Nの総量が0.03%を超えると靭性を回復させることが著しく困難になる。したがって、C:0.025%以下、N:0.02%以下、かつC+N:0.03%以下に限定する。
【0021】
(4)Ti:
Tiは本発明にあってはNbなどと共に選択的に添加され、上述したCおよびNの熱延コイル靭性に与える悪影響を防止し、併せて特に排ガス中で耐酸化性をも向上する有用な元素である。熱延板靭性を改善するためには少なくとも0.02%以上の添加が必要である。一方、Ti添加と共に靭性は一旦は著しく向上するが、逆にCおよびNに対しTiが過剰に含まれるとかえって靭性が極度に低下するようになってしまう。すなわち、これはTiが過剰に含まれる場合には10μmを超えるような多数の粗大な角型のTiNを(一部Ti(C,N))を主とした析出物あるいは介在物が鋳造時あるいは、それに続く1350℃を超えるような高温時にすでに形成されており、これが熱延後も脆性的な破壊に対する材料の感受性を著しく高めているためである。したがって、Ti量はこの意味から上限値が存在し、本発明にあってはその上限値は0.3%である。したがって本発明にあってはTiは0.02%以上、0.3%以下がその範囲である。
さらに本発明にあっては、Tiはこのような比較的微量な添加であっても、耐酸化性特に排ガス中での耐異常酸化性の向上効果を有する。この場合、(4C+24N/7)%以上の添加で効果があるが、過剰に添加してもTiによる耐酸化性の向上効果が急速に飽和するため、熱延コイルの靭性を考慮した範囲がTiの添加範囲となる。したがって本発明のTiは0.02%以上、0.3%以下とする。
【0022】
(5)Nb,V,Mo,W,Ta:
Nb,V,Mo,WおよびTaはそれぞれ箔材の高温強度を改善するため、Tiと共に選択的に添加する。したがって、本発明で添加する場合は
Nb:0.05〜1%、 V:0.03〜0.5%、
Mo:0.3〜3%、 W:0.5〜3%、
Ta:0.05〜3%に限定して含有させる。
各々下限以下では添加効果が不十分で、上限を超えると材質が硬くなり、熱間加工性、熱延板の靭性などの製造性も悪くなる。
【0023】
本発明にあっては、これらのうちNbは箔材の高温強度を改善するだけでなく、CおよびNの熱延コイル靭性に与える悪影響を防止して熱延板靭性を向上し、併せて特に排ガス中での耐酸化性をも向上する有用な元素である。靭性確保の点からは少なくとも0.05%以上が必要であるが、Nbの添加量の上限はC,Nとの量的関係が存在し、(0.2+93×C/12+93×N/14)%を超えて添加しても靭性向上効果を飽和してしまう。耐酸化性の点からは、(93×C/12+93×N/14)%以上の添加で効果があるが、過剰に添加してもNbによる耐酸化性の向上効果が急速に飽和する。したがって、熱延コイルの靭性や耐酸化性を考慮した範囲、すなわち(93×C/12+93×N/14)%以上(0.2+93×C/12+93×N/14)%以下がより好ましいNbの添加範囲である。
【0024】
(6)REM,Y,Zr:
本発明にあっては、これらの元素は耐酸化性および皮膜の密着性を向上する元素であり、それぞれについて、下記範囲で選択的に添加することができる。
すなわち、REM:0.03〜0.2%、Y:0.03〜0.2%、Zr:0.03〜0.2%の1種または2種以上とし、0.03%以上の添加で効果が現れるが、0.2%を超える場合にはその効果は飽和する。したがって、その範囲は0.03%以上、0.2%以下とする。
【0025】
(7)他の元素:
本発明に使用される箔材の化学組成のうち、Si,Mn,P,Sについては特に規定していないが、これらは通常のステンレス鋼に含有されるレベルであれば問題ない。
【0026】
【実施例】
次に実施例により、本発明の効果を説明する。
〔実施例1〕
表1に本発明の実施例のステンレス鋼箔の化学成分を示す。
これらの鋼はいずれも高周波真空溶解炉にて25kg溶製し、インゴット鍛造した後、1200℃で1hr保定後直ちに熱間圧延を開始し厚さ4mmになるまで圧延した後、自然放冷し、板の表面温度が500℃になったところで450℃の加熱炉中に挿入し1hrの保定後炉冷した。こうして得られた熱延板をデスケ後冷間圧延(一部のものは温間圧延した)し1mmにした。さらに900℃で焼鈍の後デスケしさらに冷間圧延により50μmの箔を作製した。
【0027】
次に、図1に示すメタル担体を製造するために、表1の化学組成よりなる50μm厚の箔の一部を波付け加工して波箔3を得、平箔2と重ねて巻回して外径97mmφ、長さ100mmのハニカムを作製した。さらに外筒1として19%Cr鋼の厚さ1.5mmのステンレス鋼板で外径100mmφ、長さ100mmの円筒を作り、この中に前記のハニカムを挿入した。この際、接合すべき部位にはNiロウを塗布し、これを真空中で1200℃×30分間の熱処理を行い、外筒とハニカム最外周およびハニカム内の波板と平板を相互にロウ付けで接合させた。次に大気中1000℃で15分の加熱処理を施した。
比較例として前記ハニカム体に大気中1000℃×15分の加熱処理を施さないものを用意した。表2に比較例を示す。
【0028】
上記のメタル担体を排気容量2000cc、4気筒のエンジンのエギゾーストパイプの途中に装着して、5000mpm で全負荷運転し、理論空燃比よりも燃料過剰となる燃焼条件にて900℃×10分加熱・エンジン停止20分冷却の冷熱試験を10回行った後、メタル担体の入り側から強制的に空気を吹き込み900℃×10分加熱・エンジン停止20分冷却の冷熱試験を10回行った。この後、メタルハニカムの断面組織を観察し、粒界酸化の発生の有無を確認した。
【0029】
大気中1000℃×15分の加熱処理を施した箔材には粒界酸化の発生は認められなかった。すなわちαアルミナ形成処理により粒界酸化の発生が回避された。図2は酸化皮膜中の粒界酸化の形成の様子を模式的に示す。図2(b)の模式図のように、酸化が箔中の粒界から進行し、ついには、図2(c)のように脱粒8する。
【0030】
次にこのようにして製造したメタル担体に通常の方法により触媒担持物質(γ−Al2 3 ,CeO2 ,Ptなどの貴金属元素からなる。)を担持した。担持物質の密着性は、エアー圧5〜6kg/cm2 のエアーブロアー試験で評価した。αアルミナ化処理を施すと剥離はほとんどなく、触媒担持物質の密着性が改善された。
【0031】
【表1】
Figure 0003751994
【0032】
【表2】
Figure 0003751994
【0033】
〔実施例2〕
実施例1のA〜Dのメタル担体を排気容量2000cc、4気筒のエンジンのエギゾーストパイプの途中に装着して、5000mpm で全負荷運転して900℃×10分加熱・エンジン停止20分冷却の冷熱試験を900回行った。その際、理論空燃比よりも燃料過剰となる燃焼条件にてエンジンを稼働させ、メタル担体の入り側から強制的に空気を吹き込み操作を50サイクルに1回実施した。その結果、実施例、比較例ともに熱疲労破壊は発生せず、外観上は異常酸化発生による箔材の劣化は認められなかった。また箔中のAlの消費量も2%程度であった。
【0034】
メタルハニカムの断面組織を観察すると、大気中1000℃×15分の前処理担体では粒界酸化の発生はなかった。しかしながら、上記前処理なしの担体においては、粒界酸化が発生し、場所によっては脱粒が発生していた。
【0035】
〔実施例3〕
表1のA〜DおよびI〜Oの化学組成よりなる50μm厚の箔を実施例1と同様の方法によりメタル担体を作製した。ただし、この場合の接合ではロウ材を使用しなかった。すなわち、接合すべき波箔の頂点にはグラファイト粉をペースト状にして塗布し、真空熱処理は1250℃で行った。これは拡散接合あるいは液相接合と呼ばれる方法で、波板の頂部と平板の接触面が固相のまま相互拡散を生じて接合するものである。この場合、グラファイト粉の作用により、真空熱処理中に箔表面に形成されるアルミナ皮膜を還元して金属面を露出させると共に、さらにその結果箔中のカーボン濃度が上昇することにより箔材の融点が降下し液相を析出させ接合を容易にするのである。
次にこのようにして製造したメタル担体に大気中1000℃×15分の前処理をしたうえ、触媒担持物質(γ−Al2 3 ,CeO2 ,Ptなどの貴金属元素からなる。)を担持した。
【0036】
前記ハニカム体に大気中1000℃×15分の前処理を施さないものを比較材とし、実施例2と同様のエンジン試験を施した。その結果、実施例1と同様に、実施例、比較例共に熱疲労破壊は発生せず、外観上は異常酸化発生による箔材の劣化は認められなかった。また箔中のAlの消費量も2%程度であった。メタルハニカムの断面組織を観察すると、大気中1000℃×15分の前処理担体では粒界酸化の発生はなかった。しかしながら、上記前処理なしの担体においては、粒界酸化が発生し、場所によっては脱粒が発生していた。
【0037】
〔実施例4〕
表1のA〜Hの化学組成よりなる50μm厚の箔を実施例1と同様の方法によりメタル担体を作製した。ただし、この場合の接合ではロウ材を使用しなかった。すなわち、接合すべき頂点を拡散接合により接合した。真空熱処理は1250℃で行った。
次にこのようにして製造したメタル担体に大気中1000℃×15分の前処理をしたうえ、触媒担持物質(γ−Al2 3 ,CeO2 ,Ptなどの貴金属元素からなる。)を担持した。
【0038】
前記ハニカム体に大気中1000℃×15分の前処理を施さないものを比較材とし、実施例2と同様のエンジン試験を施した。その結果、実施例1と同様に、実施例、比較例共に熱疲労破壊は発生せず、外観上は異常酸化発生による箔材の劣化は認められなかった。また箔中のAlの消費量も2%程度であった。メタルハニカムの断面組織を観察すると、大気中1000℃×15分の前処理担体では粒界酸化の発生はなかった。しかしながら、上記前処理なしの担体においては、粒界酸化が発生し、場所によっては脱粒が発生していた。
【0039】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、触媒担持物質を担持する前の状態のCr−Al系ステンレス鋼箔から構成されるメタルハニカム体の表面にαアルミナを主体とする皮膜を形成することにより、いかなる燃焼排ガス雰囲気においてもメタル担体を構成するCr−Al系ステンレス鋼箔の粒界酸化の発生を未然に防止し耐久性を向上することができる。この結果、各種排ガス規制や燃費向上に伴う排ガス温度の高温化や複雑な燃焼制御に対応することができる。さらに、触媒担持前にαアルミナを形成することにより、γアルミナを主体とする触媒担持物質の密着性を著しく改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】メタル担体の外観図を示す。
【図2】(a),(b),(c)は粒界酸化の形成と脱粒発生の様子を示す模式図。
【符号の説明】
1 外筒
2 平箔
3 波箔
4 皮膜
5 箔
6 粒界
7 粒界酸化
8 脱粒部

Claims (4)

  1. γアルミナを主体とする触媒担持物質を担持するメタル担体において、該触媒担持物質を形成する前の段階で、メタルハニカムを構成する20〜100ミクロン厚のCr−Al系ステンレス鋼箔の表面に、1×10−3Torr〜1×10−6Torrの雰囲気で1000〜1300℃の温度範囲に加熱あるいは加熱保持することにより、アスペクト比2以下の塊状酸化物を形成し、ついで大気中で950℃以上に加熱保持することにより前記塊状酸化物を核とした均質なαアルミナ皮膜を形成し、しかる後γアルミナを主体とする触媒担持物質を担持してなることを特徴とする耐酸化性、耐久性に優れた触媒用メタル担体。
  2. メタルハニカム構成材料として、重量%で、
    Al :2〜6.5%、
    Cr :13〜25%、
    C :0.025%以下、
    N :0.02%以下、
    C+N:0.03%以下
    を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるCr−Al系ステンレス鋼箔を用いることを特徴とする請求項1記載の耐酸化性、耐久性に優れた触媒用メタル担体。
  3. 請求項2の成分の他に、重量%でさらに
    Ti :0.02〜0.3%、
    Nb :0.05〜1%、
    V :0.03〜0.5%、
    Mo :0.3〜3%、
    W :0.5〜3%、
    Ta :0.05〜3%
    の1種または2種以上を含むCr−Al系ステンレス鋼箔を用いることを特徴とする請求項2記載の耐酸化性、耐久性に優れた触媒用メタル担体。
  4. 請求項2または3の成分の他に、重量%でさらに
    REM:0.03〜0.2%、
    Y :0.03〜0.2%、
    Zr :0.03〜0.2%
    の1種または2種以上を含むCr−Al系ステンレス鋼箔を用いることを特徴とする請求項2または3記載の耐酸化性、耐久性に優れた触媒用メタル担体。
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