JP2944182B2 - 自動車触媒担体用耐熱ステンレス箔 - Google Patents

自動車触媒担体用耐熱ステンレス箔

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JP2944182B2
JP2944182B2 JP2263740A JP26374090A JP2944182B2 JP 2944182 B2 JP2944182 B2 JP 2944182B2 JP 2263740 A JP2263740 A JP 2263740A JP 26374090 A JP26374090 A JP 26374090A JP 2944182 B2 JP2944182 B2 JP 2944182B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は自動車排気ガス浄化装置用の触媒担体に使用
される耐熱ステンレス箔に関わる。さらに詳しくは、耐
酸化性に優れるだけでなく、触媒のハニカム体に使用し
た場合その構造上の耐久性に優れた効果を示す耐熱ステ
ンレス箔に関わる。
〔従来の技術〕
自動車等の燃焼排ガス浄化装置には、従来セラミック
ス製のハニカムが使用されてきたが、これを耐熱ステン
レスに代替することにより、ハニカム壁の肉厚を減ずる
ことが可能で、通気抵抗や熱容量の減少によりエンジン
性能の向上や高価な触媒貴金属の節約が実現できること
から、例えば、特開昭50−92286号、同51−48473号、お
よび同57−71898号の各公報に開示されているごとく、
このハニカム体をFe−Cr−Al系耐熱金属箔で構成する技
術が提案されている。この場合、として、一般に耐酸化
性、皮膜の密着性に優れ、電熱線や暖房器具の高温部材
として広く使用されてきたFe−Cr−Al系合金が使用さ
れ、これと活性アルミナ(γ−Al2O3)コート層との密
着性を改善した箔が用いられている。
一方、特開昭58−177437号公報にはFe−Cr−Al系合金
の主として酸化皮膜の剥離を防止するために0.002〜0.0
5重量%のLa,Ce,Pr,Ndからなる群の希土類元素を含む、
総量0.06重量%までの希土類元素を添加した合金、およ
び該合金の安定化のためにZrを、また高温のクリープ強
さの確保のためにNbをそれぞれC,N量との特定関係範囲
内で添加した合金が提案されている。
特開昭63−45351号公報には、同じくFe−Cr−Al系を
ベースとする合金においてYの添加は高価であるため、
Ceを除いたLn(ランタノイド)またはLaのみを0.05〜0.
2重量%の範囲で添加する事が提案されている。これ
は、Lnの添加による熱間加工性の低下原因がCeの存在に
あり、したがってCeだけを排除したLnを添加すれば熱間
加工が可能となり耐酸化性も向上するという知見に基づ
くものである。しかしながら、Lnは化学的に活性に富む
元素であり、かつ相互の化学的性質が類似しているため
に個々の元素の分離は簡単ではなく、Ceのみを分離除去
することも価格の上昇を避け得ない。さらに、同一出願
人による特開昭63−42356号公報には、耐酸化性と酸化
スケールの耐剥離性に優れたFe−Cr−Al系合金としてC
e,La,Pr、およびNdを総和で0.01%以上0.30%以下を含
む合金が開示されているが、この合金についての熱間加
工性の検討は全く行われていない。
以上のように、これらの従来技術は主として酸化皮膜
の密着性や耐酸化性については検討されているが、触媒
のハニカム体を構成する箔として実用上重要な他の要求
特性は十分検討されていない。
特に大きな要因である高温強度と酸化伸びについての
検討が、箔寿命の問題から重要となって来た。特に、本
願のいう酸化伸びは、次のように定義されるものであ
る。触媒含浸したγアルミナ被覆材を担持したステンレ
ス担体を高温酸化雰囲気に保持あるいは加熱冷却の繰り
返し熱サイクルを施した場合に、箔が酸化され表面酸化
皮膜が形成されるのに伴って、合金箔の面内方向に合金
箔の寸法が著しく増大することがある。これは酸化皮膜
の成長につられて下地金属が伸びる現象で、これは触媒
担持すると加速される。その機構はγアルミナ被覆材に
混入された助触媒としてのセリア(酸化セリウム)が下
地のFe−Cr−Al合金の酸化皮膜(Al2O3)中に侵入する
ために酸化皮膜が膨張するためで、温度が高いほど下地
が薄い程(箔)伸びの速さが大きい。したがって外周部
に比べて内周部の温度の高いステンレス担体では、内周
部のハニカムが外周部のハニカムから突き出るように伸
びるため、前記の熱応力による破壊に加えて、これが担
体の構造上の耐久性低下に付加的に影響を及ぼすもので
ある。
〔発明が解決しようとする課題〕
自動車の触媒担体では、通常の使用環境にあっては箔
の耐酸化性が不足することで、触媒担体が寿命に達する
ことは少なく、むしろ走行状態に連動した加熱・冷却の
繰り返しによる熱疲労によって破損し寿命に達する場合
が多い。
このことは、加熱の際にはハニカム体は高温・高速の
排ガス流によって内側から急速に加熱される一方、走行
風によって外側から強制冷却されるため、ハニカム体半
径方向には急激な温度勾配が生じ大きな熱歪みが発生す
ることによる。この熱歪みはハニカム体の半径方向に均
一に分布するのではなく最外周から数層内側に集中す
る。これは、ハニカム体半径方向の温度勾配が外層側と
内層側で大きく異なっていることと、箔材料の耐力の温
度に対する変化率が温度域によって大きく異なっている
ことに由来する。すなわちハニカムを構成するフェライ
ト系ステンレス箔の耐力が著しく低下し始める温度域
と、ハニカム体の半径方向に最も急峻な温度勾配が発生
する温度域とが最外周から数層の部分で合致するためで
ある。
このように、触媒担体のハニカム体はその内側に発生
する熱歪みの蓄積が主な原因で、セルの潰れや担体の極
度な変形等の構造上の寿命に達する場合がほとんどであ
る。これを回避するためには耐熱疲労性に優れた箔材を
用いる必要がある。
こうした場合には本発明者らの検討によれば、箔の高
温での耐力を向上することが必要であり、とりわけ上述
したようにハニカム体の中の急峻な温度勾配発生部分と
合致する温度領域、すなわち600〜850℃の温度域の箔素
材の耐力が高く、かつ600℃以上での温度上昇に伴う耐
力の低下の度合が可能な限り小さい場合に箔の耐熱疲労
特性が良好であり、ハニカム体の構造上の寿命を向上さ
せるのに有効であることが明らかになった。
さらに加えて、触媒担体の構造上の耐久性を向上する
ためには、触媒担体の破壊の主要因である熱疲労を抑制
するだけでなく、ハニカム体の破壊の高温域(900℃以
上)での要因である酸化伸びを抑制することにより酸化
に起因する破壊要因を除去しておく必要がある。
また、体積に対して表面積が著しく大きい箔の状態で
高温の排ガスに曝されるため、当然耐酸化性にも優れて
いなければならない。
本発明者らは、ステンレス担体用の箔材として具備す
べきことが知られている耐酸化性と高温強度に加えて、
新たに酸化伸びを抑制した触媒担体の構成箔を開発すべ
く種々検討し、本発明に至ったのである。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち、まず箔の耐酸化性を向上させるためには、
0.01%を越えるYの添加が有効で、Ln(Ce,La,Pr、およ
びNd)の場合に比べ飛躍的にその耐酸化性が向上するこ
とを見いだした。
次に、酸化伸びを抑止するためには、適量のMgまたは
/およびSiの添加が有効であることを見いだした。これ
により、まず、酸化に起因するハニカム構造体の不具合
発生要因を除去する。
さらに、箔材の600〜850℃の高温域での耐力を向上す
るためには、Nbおよび/またはTaの添加あるいはMoおよ
び/またはWの添加が有効であり、さらにTaおよび/ま
たはNbの添加と同時にMoおよび/またはWを添加すると
特に800℃以上の高温側の耐力がさらに向上することを
見いだした。
すなわち、本発明は以上の検討結果をもとに、高温の
排ガス中にあっても箔の耐酸化性や皮膜の密着性に優れ
るとともに、特に触媒担体の構造上の耐久性向上に有効
な耐熱ステンレス箔を提供することを目的に達成された
ものである。
しかして、その具体的な手段は以下のようなものであ
る。
重量%で Y:0.01%超0.5%以下、 Al:4.5%以上6.5%以下、 Cr:13%以上25%以下、 C:0.025%以下、 N:0.02%以下、 C+N:0.03%以下、 さらに、 Mg:0.03%超0.1%以下及びSi:1%以上2.5%以下の内
の1種または2種を含み、残部Feおよび不可避的不純物
からなることを特徴とする厚さ100μm以下で、900℃以
上での酸化伸びの抑制効果に優れた自動車排気ガス浄化
触媒担体用耐熱ステンレス箔であって、 さらに必要に応じて、重量%で Total量が3%以下でTa,Nbの1種または2種からなる
群と、Total量が4%以下でMo,Wの1種または2種から
なる群の片方または両方を含有することによって高温側
の耐力を向上できる。
〔作 用〕
次に本発明における成分の限定理由並びにその作用に
ついて詳しく説明する。なお、本明細書中の化学組成は
すべて重量%である。
(1)Y: Yは本発明にあっては箔の耐酸化性および異常酸化発
生に対する抵抗を向上させる。箔の異常酸化発生までの
寿命は、Yが0.01%を超えるとそれ以下の場合に比べて
著しく向上するが、0.5%を超えると再度低下し始め
る。したがって、その範囲は0.01%超0.5以下に限定さ
れる。
(2)Al: Alは本発明にあっては耐酸化性を確保する基本元素で
あって、4.5%未満では箔の場合、排ガス中での酸化皮
膜の保護性が悪く、たやすく異常酸化を発生するため、
触媒の担体としてその使用に耐えない。一方、6.5%を
超えて含まれると、熱延板の靭性が極度に低下し製造性
が損なわれることに加え、箔の熱膨張係数が大きくな
り、触媒担体として使用した場合には加熱・冷却の繰り
返しによる熱疲労が大きくなる。したがって、本発明に
あってはAlは4.5%以上6.5%以下がその範囲になる。
(3)Cr: Crはステンレス鋼の耐食性を確保する基本元素であ
る。本発明にあっては、耐酸化性の主体はAl2O3皮膜に
あるが、Crが不足するとその密着性や保護性が低下す
る。一方、Crが過剰となると熱延板の靭性が低下するた
め、その範囲は13%以上25%以下となる。
(4)C,N: C,Nはともに本発明にあっては、熱延板の靭性を著し
く低下させる。この悪影響をTaまたはNbの作用によって
抑えることができるが、Cが0.025%を超える場合、ま
たはNが0.02%を超える場合、もしくはC+Nの合計量
が0.03%を超える場合には靭性を回復させることが困難
になる。したがって、この点からは、 C:0.025%以下、 N:0.02%以下、でかつ C+N:0.03%以下、 がその範囲となる。
また、C,Nは炭窒化物として析出し、これが析出強化
作用により高温の耐力を向上するという望ましい作用効
果をも併せもつのであるが、上述したようにこれは析出
物が粗大化するとその効果が低下する。C,Nが多量に含
まれる場合には、たとえTaおよび/またはNbが上記下限
値以上添加されていても、この析出物の粗大化が促進さ
れ強化効果の減少速度が大きくなる。すなわち、C,Nが
多量に含まれる場合には、炭窒化物の平均粒子サイズが
大きくなるのであって、析出強化に有効な均一微細な析
出形態とはなり難いのである。この点から、C,Nの含有
量は制限され、本発明にあっては、C:0.025%以下、N:
0.02%以下でかつ、C+N:0.03%以下である。
以上の事情により、結局C,Nの範囲は、 C:0.025%以下、 N:0.02%以下、でかつ C+N:0.03%以下、となる。
(5)Mg: Mgは本発明にあっては箔の酸化伸びを抑制し、触媒担
体の構造上の耐久性を向上させるために重要な添加元素
である。Mgを0.03%超添加すると酸化伸びの抑制効果が
極めて顕著であるが、0.1%を超えると再度酸化伸び抑
制の効果は低下し始める。(実施例にある箔伸び0.2%
以下)したがって、その範囲は0.03%超0.1%以下に限
定される。
(6)Si: Siは本発明にあっては耐酸化性を向上させると同時
に、特に箔の酸化伸びを抑止し、触媒担体の構造上の耐
久性を向上させる重要な添加元素である。一方、Siは熱
延板の靭性を低下させる元素でもある。これらの点から
Siの含有量は制限され、1%以上2.5%以下である。な
お、Mg単独を添加することによって酸化伸びを抑制する
場合には、Siは不可避的不純物とみなす。この量は通常
のステンレス鋼に必然的に混入される程度である。
(7)Ta: Taは本発明にあっては箔の高温での耐力を向上させ、
触媒担体の構造上の耐久性を改善するために重要な添加
元素である。Taの作用は鋼中のCおよびNと結合して炭
窒化物を形成し、これがいわゆる析出強化作用を及ぼす
ことに加えて、さらに余剰の分が素地に固溶し固溶強化
作用を及ぼすために高温の耐力が改善されるのである。
この際、析出強化作用はその効果は大きいものの、例え
ば、750℃を超えるような温度域での長時間使用中に次
第に析出物が凝集粗大化することにより金属組織の変化
が生じ、その効果が低下する場合があるのに対し、固溶
強化作用は析出強化作用ほどは効果が大きくはないが、
長時間使用中においても金属組織の変化に起因する上述
した作用効果の低下がほとんどないのが特徴である。こ
のような析出強化作用と固溶強化作用の両者により高温
域における耐力が向上される一方、Taが過剰に添加され
るとLaves相が析出し、鋳造後の鋼塊が割れやすくなる
だけでなく、高温の耐力も低下する。こうした観点から
Taの添加量が決定され、本発明者の検討によれば3%以
下である。
さらに、TaはC,Nを固定するため熱延板の靭性を向上
させる効果があるが、上記添加範囲であればこの効果は
十分もたらされるのである。
(8)Nb: Nbは本発明にあっては、Taと同様、箔の高温での耐力
を向上させ、触媒担体の構造上の耐久性を改善すると同
時に、熱延板の靭性を改善するための重要な添加元素で
ある。Nbの作用はTaと同様の理由により析出強化作用と
固溶強化作用の両者により高温の耐力を改善する一方、
過剰に添加されるとLaves相を形成しTaの場合と同様の
弊害を引き起こす。また、Nbは熱延板の靭性を大幅に改
善する効果があるが、多量に添加するとその効果が飽和
する。こうした観点からNbの添加量が決定され、本発明
者の検討によれば3%以下である。
また、TaとNbを複合添加しても同様の効果が得られる
が、その際の添加量はTa+Nbで3%以下が望ましい。
(9)Mo,W: MoおよびWは本発明にあっては、特に高温の耐力を向
上させ、触媒担体の構造上の耐久性を改善するための重
要な添加元素である。MoおよびWの作用は鋼中の素地に
固溶し固溶強化作用により高温の耐力を改善することに
ある。その際MoおよびWはかなりの量まで有害な析出相
を形成せずに固溶し、大きな強化作用が得られる。ま
た、高温長時間の加熱に対しても金属組織変化がほとん
ど生じないため、強化作用の経時変化がほとんど起こら
ない。
一方、上述したように、本発明にあっては、高温の耐
力はTaおよび/またはNbの適量添加によって向上できる
のであるが、Ta,Nbの強化作用のうち析出強化による効
果は高温での使用中に次第に減少する場合があり、また
過剰の添加は逆に高温耐力を低下させる。しかしなが
ら、Moおよび/またはWは、Taおよび/またはNbの存在
下にあってもその効果がなんら影響されないのに加え
て、かなりの量まで有害な析出相を形成することなく素
地に固溶し大きな固溶強化効果が得られる。すなわち、
Taおよび/またはNb添加により高温強度を改善した合金
に、さらにMoおよび/またはWを添加することにより高
温における耐力をさらに一段向上させることが可能とな
るのである。
一方、Mo,Wともにそのほとんどが固溶するため添加量
の増加とともに金属素地が強化されるのであるが、過剰
に添加した場合には靭性が低下する。こうした観点か
ら、Moおよび/またはWの添加量が決定され、本発明者
の検討結果によれば、MoおよびWの添加量の上限値は両
者ともに4%である。また、MoとWを同時に複合添加し
ても同様の効果が得られるが、この際の上限値はMo+W
で4%以下が望ましい。
(10)その他の不純物: Mn: Mnは本発明にあっては、特に極初期の酸化皮膜中に濃
化し、以後のAl2O3皮膜の形成に害を及ぼし皮膜に構造
的欠陥を残存させる一因となるので0.3%以下に制限す
ることが望ましい。
P: Pにはフェライト系ステンレス鋼の靭性を低下させる
作用があるため、本来的な性質として靭性に劣るFe−Cr
−Al系ステンレスにあってはこの点から添加量は制限さ
れ、本発明にあってはその量は0.1%である。また、こ
のような範囲のPの添加は、耐酸化性に対し悪影響を及
ぼさない。
S: Sは耐酸化性を低下させるため、本発明にあっては0.
003%以下に抑えることが望ましい。
このような構造をもつ本発明Fe−Cr−Al系合金箔は、
耐酸化性および異常酸化発生に対する抵抗が大きいだけ
でなく、酸化伸びがほとんど生じず、加えて耐熱疲労性
を有する。さらに、該合金箔から構成された排ガス浄化
触媒担体および該触媒装置は、高温の燃焼排ガス雰囲気
中であっても異常酸化の発生に対する抵抗が著しく大き
いのみならず、ハニカム体としての構造上の耐久性に優
れている。
〔実施例〕
次に、実施例により本発明の効果をさらに詳しく説明
する。
(実施例1) 第1表に本発明の実施例および比較例の合金の化学成
分を示す。これらの鋼はいずれも真空高周波誘導炉によ
って25kg溶解し、インゴット鋳造した後、1200℃にて1
時間保定後直ちに熱間圧延を開始し厚さ4mmにまで圧延
した後、自然放冷した。
これら熱延板を1200℃で15分間焼鈍した後、厚さ3m
m、幅30mm、長さ100mmの引っ張り試験片を加工し、600
℃、700℃および800℃の温度域で引張試験を行った。そ
の結果を第2表の引張試験の欄に示す。高温強度化の達
成判定基準は、以下のようにした。すなわち、600℃で
の耐力が20kgf/mm2以上でかつ700℃での耐力が11kgf/mm
2以上でかつ800℃での耐力が4.5kgf/mm2のものを○印
で、それ以外のものを×印で示した。なお、耐力は各3
実験値の平均値とした。実施例の合金はいずれも良好な
高温耐力を示す。
実施例と比較例B1,B2およびB5は、熱間圧延後、脱ス
ケール、冷間圧延(一部の合金(B3,B6〜B9)は温間圧
延した。)、焼鈍を繰り返し、板厚50μm程度の箔にし
た。
これらの箔材を真空焼鈍(900℃)をし、厚さ50μ
m、幅20mm、長さ25mmの試験片を採取して、1150℃大気
中雰囲気で酸化試験を行った。この際、該温度で25時間
加熱後放冷し、箔材の寸法を測定して、箔材の酸化伸び
を評価する試験を各箔材に異常酸化が発生するまで行っ
た。これらの結果を第2表の異常酸化寿命および酸化伸
びの欄に示す。異常酸化寿命が200時間以上の箔材を○
印で、200時間未満の箔材を×印で示す。また、酸化伸
びが0.2%未満の箔試験片を○印で、0.2以上の試験片を
×印で示す。本実施例の各鋼箔はいずれも200時間以上
の長寿命であり、寸法変化も小さいことが分かる。
(実施例2) 第1表中、本発明例としてA1およびA2、また比較例と
してB6およびB8の合計5種類の厚さ50μmの箔を巾97mm
の鋼帯とし、これに周期3.5mm、振幅3.2mmの正弦波状の
付加加工したもの(波板)を、この加工なしの箔(平
板)帯と重ね合わせて巻き込み、見かけの直径42mm程
度、長さ97mm程度のハニカム状円筒体を作製し、波板/
平板接合部に適宜市販のNi基ロウ材粉末を付着せしめた
ものを、3×10-4Torr程度の真空中にて加熱し、ロウ付
処理した。
こうして得られたロウ付後のハニカム構造体を炉芯管
の内径45mmの横型炉状加熱炉に装置し、炉芯管の一方の
端からエンジン排ガスを流入量10/min導入しつつ1100
℃に加熱し、25時間ごとに取り出しハニカム体両端部中
央間の長さを測定すると同時に、異常酸化発生の有無お
よびハニカム体のセル変形、箔切れ等の不具合発生状況
の有無を目視にて行う操作を8回(200時間に相当す
る)繰り返した。
この際エンジン排ガスは排気量2000ccの4気筒のガソ
リンエンジンを回転数1500rpm負荷5kg・mの運転条件下
で空燃比13にて発生させ、150℃に保温した導管より加
熱炉内に導入した。得られた結果を第3表に示す。試験
後、異常酸化が発生しなかったハニカム体を○印で示
し、異常酸化が発生したものについては×印で示す。試
験後のハニカム体の長さの増加が試験前の長さ97mmに対
して0.2%未満のものを○印で、0.2%以上のものを×印
で示す。また、試験後ハニカム構造体上の不具合のない
ものについては○印で、不具合のあったものについては
×印で示す。実施例のハニカム体には、異常酸化および
ハニカム体の不具合は生じておらず、またハニカム体の
寸法変化も小さい。したがって、実施例のハニカム体は
いずれも異常酸化発生に対する抵抗力に優れるのみなら
ず、構造耐久性にも優れていることが分かる。
(実施例3) 第4表に示す成分の箔を100kg真空高周波炉にて溶
解、鋳造後、1200℃に加熱し熱間にて30%の圧延後空冷
し、さらに1150℃にて熱間圧延して厚さ2.5mmの熱延板
を得た。
さらに、これをショットブラスト、酸洗、冷間圧延、
焼鈍、脱脂、酸洗、箔圧延、脱脂、スリット、箔圧延、
真空焼鈍の手順にて厚さ50μm、巾97mmの箔コイルを作
製した。
この箔を前記したのとほぼ同様の手法により、直径10
0mm、長さ97mmの円筒状ハニカムとし、さらにこれを内
径100mm、長さ97mm、板厚1.5mmのフェライト系ステンレ
ス円筒状外筒内に装着後、箔同士および箔と外筒間をロ
ウ付接合してハニカム触媒担体とした。次に、前記エン
ジンの排気ガス経路に装着し、エンジンベンチ試験に供
した。エンジン試験は、実施例2のエンジンにて、触媒
担体入り側のガス温度を900℃とし9分間エンジンを運
転した後、エンジンを停止し強制的に冷却することによ
り、触媒担体温度が100℃以下になるまで冷却する加熱
・冷却のサイクルを1000回繰り返した。得られた結果を
第5表に示す。試験後、ハニカム体のガス入り側端面に
セルの潰れ、箔切れ、ガス流方向への端面のズレ等の不
具合の発生しなかったものについては○印で示し、不具
合の発生したものについては×印で示す。実施例のハニ
カム体においても、わずかなセル変形は生じたが、その
他の激しい損傷は生じなかったのに対し、比較例におい
ては、セルの潰れ、箔切れおよびガス流方向への端面の
一部の飛び出し等大きな損傷を受けていた。したがっ
て、実施例の箔材のハニカム体はいずれも構造耐久性に
優れていることが分かる。
〔発明の効果〕 実施例からも明らかなごとく、本発明によるFe−Cr−
Al系合金箔は、異常酸化発生に対する抵抗力に優れると
ともに、酸化伸びに対する抵抗が大きく、加えて耐熱疲
労性にも優れている。さらに合金箔のロウ付けによるハ
ニカム構造体としても排ガス中での耐酸化性および形状
変化等に対する構造耐久性に優れている。
したがって、本願発明のFe−Cr−Al系合金は排気ガス
浄化用の箔として好適であり、とりわけ自動車の排気ガ
ス浄化装置の触媒支持体として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山中 幹雄 神奈川県相模原市淵野辺5―10―1 新 日本製鐵株式会社第2技術研究所内 (72)発明者 札軒 富美夫 山口県光市大字島田3434番地 新日本製 鐵株式会社光製鐵所内 (72)発明者 住友 秀彦 山口県光市大字島田3434番地 新日本製 鐵株式会社光製鐵所内 (56)参考文献 特開 平4−128344(JP,A) 特開 昭62−278248(JP,A) 特開 平1−287253(JP,A) 特開 平1−99647(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 - 38/60 B01J 23/86,35/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、 Y:0.01%超0.5%以下、 Al:4.5%以上6.5%以下、 Cr:13%以上25%以下、 C:0.025%以下、 N:0.02%以下、 C+N:0.03%以下、 さらに、 Mg:0.03%超0.1%以下及びSi:1%以上2.5%以下の内の
    1種または2種を含み、残部Feおよび不可避的不純物か
    らなることを特徴とする厚さ100μm以下で、900℃以上
    での酸化伸びの抑制効果に優れた自動車排気ガス浄化触
    媒担体用耐熱ステンレス箔。
  2. 【請求項2】さらに、重量%で、 Total量が3%以下でTa,Nbの1種または2種からなる群
    と、Total量が4%以下でMo,Wの1種または2種からな
    る群の片方または両方を含有する請求項1記載の自動車
    排ガス浄化触媒担体用耐熱ステンレス箔。
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