JP2885497B2 - 製造性に優れた高温高強度、高耐熱性Fe―Cr―Al係合金 - Google Patents

製造性に優れた高温高強度、高耐熱性Fe―Cr―Al係合金

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JP2885497B2 JP2238879A JP23887990A JP2885497B2 JP 2885497 B2 JP2885497 B2 JP 2885497B2 JP 2238879 A JP2238879 A JP 2238879A JP 23887990 A JP23887990 A JP 23887990A JP 2885497 B2 JP2885497 B2 JP 2885497B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、燃焼排ガス浄化装置用の触媒担体に使用さ
れる耐熱ステンレス箔に関わる。さらに詳しくは、耐酸
化性、製造性に優れるのみならず、高温での強さに優れ
るため、触媒のハニカム体に用いた場合その構造上の耐
久性を向上させる効果の大きい耐熱ステンレス箔に関わ
る。
〔従来の技術〕
自動車等の燃焼排ガス浄化装置には従来セラミック製
ハニカムが使用されてきたが、これを耐熱ステンレス箔
に代替することによりハニカム壁の肉厚を減ずることが
可能で、通気抵抗や熱容量の減少によりエンジン性能の
向上や高価な触媒貴金属の節約が実現できることから、
例えば特開昭50−92286号、同51−48473号及び同57−71
898号の各公報に開示されている如く、このハニカム体
をFe−Cr−Al系耐熱金属箔で構成する技術が提案されて
いる。
この場合、該合金に要求される特性として、耐酸化性
及び酸化皮膜の密着性が注目され、それゆえその素材と
しては一般に耐酸化性、酸化皮膜の密着性に優れている
ために旧来より熱電線や暖房器具の高温部品として広く
使用されてきたFe−Cr−Al系合金をベースに、その耐酸
化性あるいは触媒の直接担持体である活性アルミナ(r
−Al2O3)コート層との密着性を改善した箔が用いられ
ている。上記各公報に開示された技術はいずれも素材の
耐酸化性を改善する手段としてYを利用しているが、Y
は極めて高価な元素であるために利用範囲が限られる。
一方、特開昭58−177437号公報にはFe−Cr−Al系合金
の主として酸化皮膜の剥離を防止するために0.002〜0.0
5重量%のLa,Ce,Pr,Ndからなる群の希土類元素を含む、
総量0.06重量%までの希土類元素を添加した合金、及び
該合金の安定化のためにZrを、また高温のクリープ強さ
確保のためにNbをそれぞれC,N量との特定関係範囲内で
添加した合金が提案されている。この特許では希土類元
素の合計が0.06重量%を超えるような合金では、それ以
下の場合に比べて耐酸化性が殆ど改善されないばかり
か、通常の熱間加工温度では加工することが不可能であ
ると述べている。
特開昭63−45351号公報には、同じくFe−Cr−Al系を
ベースとする合金においてYの添加は高価なものとなる
として、Ceを排除したLnまたはLaのみを0.05〜0.2重量
%の範囲で添加することが提案されている。これはLnの
添加による熱間加工性の低下原因がCeの存在にあり、さ
らにCeには耐酸化性をも低下させる作用があるためとし
ており、従ってCeだけを排除したLnを添加すれば熱間加
工が可能となり耐酸化性も向上するという知見に基づく
とも述べている。しかしながら、Lnは化学的に活性に富
む元素であり、かつ相互の化学的性質が類似しているた
めに個々の分離は簡単ではなく、従って実質的に純粋な
LaはYに比べれば安価ではあるものの、Lnの一般的な混
合物であるミッシュメタルに対しては非常に高価である
ことに変わりはない。また、同様にCeのみを分離除去す
ることも価格の上昇を避け得ない。さらにこれと同一出
願人による特開昭63−42356号公報には、耐酸化性と酸
化スケールの耐剥離性に優れたFe−Cr−Al系合金として
La,Ce,Pr及びNdを総和で0.01%以上、0.30%以下を含む
合金が開示されているが、この合金についての熱間加工
性の検討は全く行われていない。
また、これらの従来技術は主として酸化皮膜の密着性
や耐酸化性について検討はされているが、触媒のハニク
ム体を構成する箔として実用上重要な要求特性である、
ハニカム体の構造上の耐久性に及ぼす箔素材の高温強度
の影響については十分検討されていない。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、例えば自動車の触媒担体では、通常の使用
環境にあっては箔の耐酸化性が不足しているために触媒
担体が寿命に達することは希であり、むしろ走行状態に
連動した加熱・冷却の繰り返しによる熱疲労によって破
損し寿命に達することが殆どである。即ち、加速の際に
はハニカム体は高温・高速の排ガス流によって内側から
急速に加熱される一方走行風によって外側からは強制冷
却されるため、ハニカム体内には急激な温度勾配が生じ
大きな熱歪みが発生する。この熱歪みはハニカム体の半
径方向に均一に分布するのではなく最外周から数層内側
に集中する。これは、外周側ほど材料温度が低くその時
点での箔の耐力が高いことと、内側層では高温ではある
が温度勾配が小さいことに由来し、ハニカムを構成する
フェライト系ステンレス箔の耐力が著しく低下し始める
温度域と最も急峻な温度勾配が発生する領域とが最外周
から数層の部分で合致するためである。また、定速走行
の際にも、外側から走行風による冷却があるため、その
程度は緩和されるが依然として最外周から数層の領域に
歪みが集中する状態が続く。さらに、減速あるいは空走
のときには比較的低温のガスが流れるためハニカム体は
外側と同時に中側からも冷却され、最外周から数層内側
の部分が最も高温の状態が生ずるためやはりこの部分に
熱歪みが集中する。
即ち、触媒担体のハニカム体はこうした加熱・冷却の
繰り返しによって、その内部に発生する熱歪みの蓄積が
原因でセルの潰れや極度な変形等の構造上の寿命に達す
る場合が殆どである。こうした場合には箔の高温での機
械的性質としては、クリープ強度よりも耐力が重要であ
り、とりわけ上述したようにハニカム体の中の急峻な温
度勾配域と合致するところ、即ち本発明者らの測定によ
ると600〜850℃の温度域の箔素材の耐力が高く、かつ60
0℃以上での温度による耐力の低下の度合いが可能な限
り小さいことが、ハニカム体の構造上の寿命を向上させ
るのに有効なのである。また、このような高温での使用
中に箔の金属組織が変化し、次第に高温での強度が低下
する場合もあり、これを可及的に防止することが、触媒
担体の構造上の耐久性を向上させる上で重要である。
さらに、例えば乗用車のように広く一般の使用に供す
るにあたっては、安価でかつ安定供給可能であることが
望まれ、従って素材としては成分コストが低いことはも
とより、製造性に優れることが望まれる。
また、体積に対して表面積が著しく大きい箔の状態で
高温の排ガスに曝されるため、当然耐酸化性にも優れて
いなければならない。
本発明者らは、このような現状の課題を踏まえ、上述
した特性を具備するような触媒担体の構成箔を開発すべ
く種々検討し、本発明に到ったのである。
〔課題を解決するための手段〕
即ち、まず箔の成分コストを可能な限り低く抑えつつ
耐酸化性を向上させるためには、0.06%を超えるLnの添
加が有効で、0.06%以下の場合に比べ飛躍的にその耐酸
化性が向上し、尚かつこの場合前述した特開昭58−1774
37号及び同63−45351号の各公報がいうような熱間加工
性の低下は、PをLnと組み合わせて含有せしめれば全く
起こらないのである。
さらに、前述したように加熱・冷却に伴う触媒担体の
構造上の耐久性向上にはそのハニカム体を構成する箔の
600〜850℃での耐力の向上が重要であり、この目的から
種々検討の結果、Ti及びNbを複合添加すると特に700℃
を超える高温側の耐力が向上し、長時間使用後もその強
度低下が極めて小さいことが明らかとなった。
さらに、この種のフェイライト系ステンレス鋼の製造
上の問題点である熱延板の靱性を調査した結果、C及び
N量を低く抑える必要があり、またTiをC,N量とある特
定関係の比較的微量な範囲で添加すると著しく改善可能
で、通常のステンレス鋼の製造工程で十分大量生産可能
なレベルにまで引き上げ得ることが明らかとなった。
即ち本発明は以上のような検討結果をもとに、高温の
排ガス中にあっても箔としての耐酸化性や皮膜の密着
性、あるいは熱間加工性等の製造性に優れることは当然
として、さらに、触媒担体の構造上の耐久性向上に不可
欠な、優れた高温強度を有するフェライト系の耐熱ステ
ンレス箔を提供することを目的に達成されたものであ
る。しかして、その具体的手段は以下のようなものであ
る。即ち、本発明の箔は材料成分が、重量%にて、 Cr: 18〜28%、 Al:4.5〜6.5%、 P:31/233×(Ln+0.021)〜0.1%、 Ln:0.06超〜0.15%、 Ti:0.02〜(0.03+4×C+24/7×N)%、 Nb:(0.1+93/12×C+93/14×N)超〜2.0%、 を含有し、不純物として C:0.02%以下、 N:0.02%以下 でかつ、 C+N:0.03%以下、 S:0.003%以下 Si:0.5%以下 Mn:1.0%以下 Ni:0.3%以下 残部実質的にFe,以上よりなるFe−Cr−Al系合金で構
成されている。
〔作用〕
次に本発明における成分の限定理由並びにその作用に
ついて詳しく説明する。尚、本明細書中の化学組成はす
べて重量%である。
(1)Cr: Crはステンレス鋼の耐食性を確保する基本元素であ
る。本発明にあっては、耐酸化性の主体はAl2O3皮膜に
あるが、Crが不足するとその密着性や保護性が低下す
る。一方Crが過剰になると熱延板の靱性が低下するた
め、その範囲は18%以上、28%以下となる。
(2)Al: Alは本発明にあっては耐酸化性を確保する基本元素で
あって、4.5%未満では箔の場合、排ガス中での酸化皮
膜の保護性が悪く、たやすく異常酸化を発生するため、
触媒の担体としてその使用に耐えない。一方、6.5%を
超えて含まれると、熱延板の靱性が極度に低下し製造性
が損なわれることに加え、箔の熱膨張係数が大きくな
り、触媒担体として使用した場合に加熱・冷却の繰り返
しによる熱疲労が大きくなる。従って、本発明にあって
はAlは4.5%以上、6.5%以下がその範囲となる。
(3)P: Pは本発明にあってはLnとの関わりにおいて、熱間で
の加工性を改善することを目的とした重要な元素であ
る。
即ち、本発明は上述した範囲のLnの添加によって箔の
耐酸化性を著しく向上させることが可能となるのである
が、従来このような比較的多量のLnの添加は熱間での加
工性を低下させ、熱延コイルによる通常のステンレス鋼
板の量産工程では製造困難とされていた。そして、その
原因として、ミッシュメタルを添加した場合の主成分で
あるCeが低融点のFeとの金属間化合物を形成し易いため
と考えられていた。しかしながら、多量のLnを添加する
場合にPを組み合わせて添加すれば、例えばCe及びLaの
一部は3μm以下の比較的微細に粒状の高融点燐化物と
して鋼中に存在するようになり、熱間加工性の低下は全
く起こらないのである。このために必要なPの含有量は
本発明者らの検討によれば、Lnが0.06%超0.15%以下の
範囲において、偏析の大きい工場での量産規模の大型鋼
塊を前提とした場合は、その下限値は31/233×(Ln+0.
021)となる。
一方、Pにはフェライト系ステンレス鋼の靱性を低下
させる作用があるため、もともと靱性の劣るFe−Cr−Al
系ステンレスにあってはこの点から添加量が制限され、
本発明にあってはその量は0.1%である。また、このよ
うな範囲のPの添加は、耐酸化性に対し悪影響を及ぼさ
ない。
(4)Ln(Lanthanoide): 先ず、Ln(Lanthanoide)とは周期律表中のLa以降、L
uまでの16元素の総称であり、本発明の場合、実際の添
加原料としては、より安価ないわゆるメッシュメタルを
用いることができる。このとき、分析の結果として検出
されるのはLa,Ce,Pr,Ndの4元素であり他の元素は極微
量であるため無視できる。従って、本発明のLnとは上記
4元素の混合物のことであり、添加原料としてはミッシ
ュメタルである。
さて、Lnは前述したように、第一に排ガス中での箔の
異常酸化発生に対する抵抗を向上させる効果があり、箔
の排ガス中での異常酸化発生までの寿命は、Lnが0.06%
を超えるとそれ以下の場合に比べて著しく増大するが、
0.15%を超えると再度低下し始める。従ってその範囲
は、0.06%超、0.15%以下に限定される。
(5)Ti,Nb: Ti及びNbは本発明にあっては、特に高温の耐力を向上
させるための最重要な添加元素である。
前述したとおり触媒担体の構造上の耐久性向上のため
には、先ず箔の高温の耐力向上を図ることに加えて、長
時間加熱された後もなおその耐力低下が抑制されること
が重要なのであるが、こうした場合に例えば特開昭58−
177437号公報に開示されているような、ZrあるいはNbの
単独添加によってもクリープ強度ともに触媒担体の構造
上の耐久性にとって最も重要な高温での耐力も一旦は向
上するのであるが、このZrあるいはNbの添加による強化
は主としてC及びNと結合して析出する炭窒化物の析出
によってもたらされるものであるため、高温長時間の使
用中にこうした炭窒化物が次第に凝集粗大化し、それに
伴って強化作用が低下するのである。従って、Zr,Nb等
の添加による析出強化では使用中の金属組織変化による
強度低下が起こり、ここに問題が残るのである。
ところが、Tiを微量添加した後、更にNbをかなりの量
を添加することにより、C,NをTi系炭窒化物として析出
させるため、Nbが炭窒化物をほとんど形成することなく
固溶できると考えられる。このため、特に高温側で比較
的大きな強化作用が安定的に得られる。また高温長時間
の加熱に対しても金属組織変化が殆ど起こらないため、
この強化作用が経時的に低下することがほとんどないの
である。更に、Tiは前述したように固溶C,Nを固定する
ため、熱延板の靱性を向上させる。
こうした観点からTi及びNbの複合添加量が決定され、
本発明者らの検討結果では、十分な固溶強化作用を得る
ためにはTiは0.02%以上、かつNbは(0.1+93/12×C+
93/14×N)%を超える添加量が必要である。しかしな
がら、Tiは添加量が過剰になると10μmを超えるような
多数の粗大な角型のTi系析出物を形成し、NbはNb系金属
間化合物を生成するため、熱間加工性や熱延板の靱性が
低下する。Ti,Nbの添加量はこの点から制限され、上限
はそれぞれ(0.03+4×C+24/4×N)%、2.0%であ
る。尚、Ti,Nbのこのような範囲の添加量では、箔の耐
酸化性に何ら悪影響を及ぼさない。また、Tiの添加は溶
製の際Nbより以前に添加することが望ましい。
(6)C、N: C,Nはともに本発明にあっては、熱延板の靱性を著し
く低下させるため低く抑える必要がある。また、この悪
影響をTcの作用によってさらに抑えることが出来るが、
Cが0.02%超える場合、またはNが0.02%を超える場
合、もしくはC+Nの合計量が0.03%を超える場合には
靱性を回復させることが困難になる。従ってこの点から C:0.02%以下、 N:0.02%以下、でかつ C+N:0.03%以下、がその範囲となる。更に、その好
ましい範囲はC+N:0.015%以下である。
(7)その他の不純物: S:SはPと同様Lnとの高融点の化合物を形成し易い
が、同時に耐酸化性を低下させるため、本発明にあって
は0.003%以下に抑えることが望ましい。
Si:Siは耐酸化性を向上させる元素であるが同時に熱
延板の靱性を大きく低下させる。本発明のような高Alフ
ェライトステンレス鋼は本来耐酸化性に優れているため
Siは靱性の点から少量に抑えることが望ましく、その範
囲は0.5%以下である。
Mn:Mnは本発明にあっては、特に極初期の酸化皮膜中
に濃化し、以後のAl2O3皮膜の形成に害を及ぼし、皮膜
中に構造的欠陥を残存させる一因となるので1.0%以下
に制限することが望ましい。更に、好ましくは0.3%以
下が良い。
Ni:NiはAlとの結合力の強い元素でありFe−Cr−Al系
合金を著しく脆化させるため、本発明にあっては0.3%
以下とする。
このような構成をもつ本発明のFe−Cr−Al合金は、通
常のフェライトステンレス鋼の量産工程と同様の溶解、
熱間圧延、冷間圧延の工程に、必要に応じて適宜焼鈍工
程を組み合わせることによって50μm程度の箔にまで製
造可能である。また、こうして製造された箔、及びこの
箔を用いて構成された排ガス浄化触媒担体及び該触媒装
置は、高温の燃焼排ガス雰囲気中でも異常酸化の発生に
対する抵抗が著しく大きいのみならず、箔の高温での耐
力が高いためにハニカム体としての熱疲労に対する抵抗
が大きく、加熱・冷却を繰り返す使用条件下にあっても
その構造上の耐久性に優れているのである。
〔実施例〕
次に、実施例により本発明の効果をさらに詳しく説明
する。
実施例1 第1表に本発明に関わる鋼の熱間加工性、箔の耐酸化
性、及び高温での耐力を評価した際に用いた鋼の化学成
分を示す。また溶製に際して用いたLnの添加原料である
ミッシュメタルの化学組成はCe:49〜54%、La:19〜27
%、Nd:16〜24%、Pr:5〜8%、Sm:0.2%以下、他のLn
はいずれも検出限界以下であった。
これらの鋼はいずれも真空溶製し、40kgインゴットに
鋳造した後、1150℃に1時間保定後直ちに熱間圧延し、
4mmに仕上げた後、直ちに水冷し板の表面温度が400℃に
なったところで350℃の加熱炉に装入し、1時間保定後
炉冷した。この熱間圧延での割れの発生状態を観察した
ところ、比較例のQ6は第一バスですでに激しい横割れが
耳部や表面に多数発生したため圧延を途中で中止した。
また、Q3の熱延板の耳部に割れの発生が認められた。一
方、他のものはいずれも良好な形状の熱延板が得られ
た。この結果を第2表の熱間加工性の欄にQ6は××印、
Q3は×印、他の熱間加工性が良好と判断できたものに○
印で示す。この実施例から明らかなようにLnを過剰に含
むQ6は熱間加工は困難であり、またTi,Nbを過剰に含むQ
3では熱間加工性が低下している。
こうして得られた熱間板から1/4サブサイズのVノッ
チシャルビー試験片を採取し、靱性を調査した結果を第
2表中熱延板靱性の欄に示す。判断指標としては、一試
験温度における衝撃吸収エネルギーの3点の平均値が3k
gf・m/cm2を超える温度とし、これが50℃以下のものを
○印、50℃超100℃以下のものを△印、100℃を超えるも
のを×印で示した。○印のものは比較的容易に工場での
大量生産が可能であり、△印は若干の加熱処理を必要と
する場合もあるが基本的には大量生産が可能である。一
方×印のものは工場生産が事実上困難と判断できる。本
発明鋼はいずれも工場生産可能と判断された。
実施例2 次に、実施例1で得られたQ3,Q6,Q7を除く熱延板をデ
スケールし、厚さ0.8mmまで冷間圧延した後900℃で焼鈍
し、さらに50μmの箔にまで圧延した。
こうして作製した箔を、ガソリンエンジンの排ガスを
導入した加熱炉中で、1150℃に25時間加熱する操作を箔
に異常酸化が発生するまで繰り返した。なお、この際の
異常酸化の発生の有無の判定は目視にて行った。供試箔
はいずれも50±2μmで、各成分系について3体試験し
その平均値を該成分箔の異常酸化寿命とした。この値が
150時間未満のものを××印、150〜200時間未満のもの
を×印、200〜250時間未満のものを△印、250時間以上
のものを○印として、第2表の箔の異常酸化寿命の欄に
示す。
本発明例の箔はいずれも250時間以上の寿命を有する
が、比較例のQ1は200時間未満であり、またQ5も150時間
未満と短寿命であった。
実施例3 実施例1で得られた熱延板を実施例2と同様にして厚
さ1.5mmに冷間圧延した後、真空中1200℃にて10分間熱
処理したものから、板状の引張試験片を採取し、600,70
0及び800℃における耐力を測定した。この結果を第2表
の高温強度欄に示す。各3体の平均値をその温度での耐
力とし、判定基準としては600℃では20kgf/mm2以上、70
0℃では13kgf/mm2以上、さらに800℃では4.5kgf/mm2
上とし、これらの基準をクリアーしたものを○印、クリ
アーしなかったものを×印で表した。本発明例のPシリ
ーズではいずれも上記基準以上の耐力を有し、高温の耐
力が高いのに対し、Ti,Nbの添加量の少ない比較例のQ1,
Q2では高温の耐力向上が達成できていない。
次に長時間の使用中の強度低下の程度を調査するため
に、上記と同様にして作製した板状の引張試験片を850
℃にて900時間時効処理した後、高温の耐力を測定し
た。結果を第2表の時効後の耐力の欄に示す。Nbの単独
添加によるQ4は、初期の高温耐力は高いものの、長時間
使用中に特に高温側で耐力が低下する傾向にあるが、T
i,Nbを本発明の範囲内で含むものはPシリーズ、Qシリ
ーズとともに、高温の耐力が高くかつ時効による耐力低
下がほとんどない。
以上の結果から、本発明の範囲の鋼は、熱間加工性及
び耐酸化性に優れており、同時に高温の耐力が高く、そ
れが高温長時間使用後も低下しないのである。
実施例4 次に、触媒担体の構造上の耐久性について調査した結
果を説明する。
実施例1で得られた熱延板を用いて、デスケール、冷
間圧延、焼鈍を繰り返して50μmの箔を作製した。これ
らの箔に周期3.5mm、振幅3.2mmの正弦波状の波付け加工
したもの(波板)と加工なしの箔(平板)帯とを重ねて
巻き込み、見掛けの外径110mm、長さ110mmのハニカム状
円筒体としたものを、外径110mm、長さ110mm、板厚1.7m
mのtype434系フェライトステンレス製の円筒(外筒)に
挿入して、各接点を市販のNi基ロウ材を用いて真空中に
てロウ付けし、触媒担体を作製した。
次にこれらの触媒担体を、軽油バーナーに直結した排
ガス経路に取りつけ、バーナーからの排ガスが全量この
ハニカム体内部を通過するようにして、この時の入り側
端面付近のガス温を1000℃〜1030℃の範囲として、ハニ
カム体を3分間加熱した。つぎに、バーナーを止め、直
ちに冷風を導入してハニカム体を3分間冷却した後、再
度同様にして加熱・冷却を繰り返す、担体の構造耐久試
験を750回行った。この時のハニカム体のガス入り側端
面の損傷状況を観察した結果を第3表に記す。
本発明の範囲内のPシリーズで作製した担体はいずれ
も、上記試験後も若干のセル変形や箔切れは認められる
ものの比較的良好な外観形状を示し、損傷状況は比較的
軽微と判断できるのに対し、比較例の高温の耐力の低い
素材で作製したものはセル潰れによる部分的な閉塞やセ
ル壁の大きな変形による箔切れ、さらにはガス流の上流
方向へ端面の一部が飛び出す損傷や、ハニカム体の端面
の一部分が欠落する現象(欠け)も認められた。
以上のことからも、本発明による箔が担体の構造上の
耐久性を向上させる効果が大きいことが明らかである。
〔発明の効果〕 実施例からも明らかな如く、本発明によるFe−Cr−Al
系ステンレス箔は、エンジン排ガス中の異常酸化発生に
対する抵抗力が高いのみならず、熱間での加工性等の製
造性に優れたものであり、なおかつその高温での耐力が
非常に高いためハニカム体としての熱疲労に対する抵抗
力が高く、従って触媒担体の構造上の耐久性を向上させ
る効果が大きいものである。こうした作用効果により、
本発明のステンレス箔は自動車等の触媒担体を構成する
のに好適である。
フロントページの続き (72)発明者 山中 幹雄 神奈川県相模原市淵野辺5―10―1 新 日本製鐵株式会社第2技術研究所内 (72)発明者 大村 圭一 神奈川県相模原市淵野辺5―10―1 新 日本製鐵株式会社第2技術研究所内 (72)発明者 深谷 益啓 神奈川県相模原市淵野辺5―10―1 新 日本製鐵株式会社第2技術研究所内 (56)参考文献 特開 平2−185962(JP,A) 特開 平2−254136(JP,A) 特開 平1−255648(JP,A) 特開 平1−287253(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 302

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】材料成分が、重量%にて、 Cr: 18〜28%、 Al:4.5〜6.5%、 P:31/233×(Ln+0.021)〜0.1%、 Ln:0.06超〜0.15%、 Ti:0.02〜(0.03+4×C+24/7×N)%、 Nb:(0.1+93/12×C+93/14×N)超〜2.0%、 を含有し、不純物として C:0.02%以下、 N:0.02%以下でかつ、 C+N:0.03%以下、 S:0.003%以下 Si:0.5%以下 Mn:1.0%以下 Ni:0.3%以下 残部実質的にFeよりなることを特徴とする製造性に優れ
    た高温高強度、高耐熱性Fe−Cr−Al系合金。
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