JP3751080B2 - 電子部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、リード線形式の電子部品のプリント基板への取付を容易にするために、その端面に実装用の絶縁板を取付けた、いわゆるリードレスの電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のリードレス電子部品として、例えば特開昭59−211213号公報に示されているような電解コンデンサが存在する。
このリードレスアルミ電解コンデンサは、図2に示すように、コンデンサ素子1を金属ケース2内に収納し、コンデンサ素子1より伸びるリード3、3をケース2の開口端を封口する封口部材4を通して引き出してなるコンデンサ本体5と、このコンデンサ本体5のリード3、3を引き出した端面に当接され、かつリード3、3が貫通する貫通孔6、6及び外表面に設けた貫通孔6、6につながる凹溝7、7を有する絶縁性取付板8とからなり、貫通孔6、6を貫通したリード3、3の先端部を丸棒のまま、又は偏平加工を施して凹溝7、7内に納めるように折曲げ、この折曲げ部から先をプリント基板への半田付部とするものである。
【0003】
しかし、このコンデンサでは、凹溝7、7内に折曲げて納めたリード3、3の周面の外側部分のみが基板への半田付面となるために半田付面積が小さくなり、コンデンサをプリント基板に面実装する工程において、プリント基板に対するコンデンサの位置決めが困難である。そして、コンデンサとプリント基板の導体との接触面積が狭いために相互間に付着する溶融半田量が少なく、従って、接着強度を十分にとることができない。また、リード3、3を折曲げる際に内部のコンデンサ素子1にストレスが加わって特性を劣化させ易く、これを軽減するためにリード3、3の折曲げ予定箇所に切り込みを入れるなど、予め折曲げ易くすることも行われているが、これにより、プリント基板に実装したコンデンサに衝撃や振動が加わった場合に、リードが折曲げ部で断線することがある。
【0004】
更にこのようなコンデンサには、コンデンサ素子に取付板を結合する際に、リードを小径の貫通孔に挿通しなければならぬ問題がある。この挿通作業は、手作業で行えば極めて非能率的なものとなり、自動化しようとすればコンデンサ素子と取付板の相互関係に非常な高精度を要し、特にリードが細線の場合は2本のリードが必ずしも平行になっていないので、その取扱いが困難である。そのためにこのような作業を自動化すると、装置が如何に精巧であっても、リードが貫通孔に挿通されずにコンデンサ本体端面と取付板との間で偏平な塊状に圧縮された形となり、このようなものが完成品として送出されることがある。量産工程では、このような不良品が1個でも発見されると、そのロットの製品の全てを廃棄することになるので、これによる損害は非常に大きい。
【0005】
上述のような取付板付きの電解コンデンサの問題点を解決するために、図3に示すように貫通孔6、6の代わりにスリット9、9を取付板8に設けることが考えられる。同図において、取付板8の外表面には、インサート成形により金属板端子10、10が接合されており、取付板8の一側縁8aから金属板端子10、10へ向けて互いに平行なスリット9、9が設けられている。コンデンサ本体5のリード3、3の長さは取付板8の厚さにほぼ等しく、その間隔はスリット9、9の間隔にほぼ等しい。
【0006】
上述の取付板8とコンデンサ本体5とを結合する際は、リード3、3を取付板側縁8aからスリット9、9内へ導入し、取付板8とコンデンサ本体5との位置を所定関係に保ち、リード3、3をそれぞれ金属板端子10、10へレーザー溶接する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図3に示したコンデンサは、リードを小径の貫通孔へ挿通しなくてよいので生産が容易であり、リードを折曲げなくてよいのでコンデンサ素子への悪影響やリードの断線を回避することができる。また面積が広い金属板端子が存在するため、プリント基板導体への半田付が容易である。例えば、このコンデンサのような電子部品をプリント基板に面実装する場合、プリント基板表面にクリーム半田をスクリーン印刷で所定箇所に塗布し、その上に電子部品を載せ、加熱炉内を通過させることによってクリーム半田を溶解し、金属板端子をプリント基板に半田付けすることができる。しかし、このような半田付けの加熱工程において、金属板端子は取付板とプリント基板との間にあり、これは比較的加熱されにくい所である。一方、過度な加熱は電子部品の特性、例えばコンデンサ特性に悪影響を与えることがあり、炉内温度は少しでも低く、炉内通過時間は少しでも短いことが望まれる。よって、本発明は、半田付けの加熱の際に電子部品取付板とプリント基板の半田付け部に、炉内温度が伝わり易くすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子部品は、複数のリードを同一端面より引き出した電子部品本体と、この電子部品本体の前記端面に一方の面を当接し他方の面に前記リードが夫々電気的に接続されている金属板端子を設けられた絶縁物製の取付板とよりなる。また、前記取付板は、前記複数のリードに夫々対応する位置に前記リードを挿通でき且つ一側縁より夫々前記リードに達している互いにほぼ平行な第2スリットを有する。
【0009】
本発明の特徴として、前記金属板端子の両側位置に前記取付板の端縁から金属板端子の中途位置まで第1スリットを設けてある。また、前記金属板端子の前記第1スリット間に位置する端縁が、前記取付板の端縁に達している。
【0010】
このように本発明はプリント基板に電子部品を面実装する際に、プリント基板側の電子部品を接続する位置の導体部分にクリーム半田を塗布し、この部分に所定の位置関係で金属板端子が当接するように電子部品を載置し、炉内を通過させて半田付けするとき、金属板端子のリード接続位置まで取付板に第2のスリットを設け、かつ金属板端子の両側の取付板部分に第1スリットを設けたことによって、プリント基板と取付板の接触面の内部に炉内雰囲気が流入し易くなり、半田が溶接し易くなる。なお、電子部品の取付板は合成樹脂により金属板端子をインサートして一体成形され、金属板端子はプリント基板の導体面に対向する面が樹脂面と同じ面に露出し、金属板端子厚さ分が合成樹脂内に埋設状態とされる場合があり、これは端子板が取付板の合成樹脂部分と強固に結合する上で好ましいことであるが、反面、半田付け加熱の際にプリント基板と取付板の接触面の内部に炉内雰囲気が流入する部分が殆どないが、このような場合に前記第1スリット及び第2スリットが存在していればこれらに炉内雰囲気が流入して半田が熔融し易くなる。
【0011】
また、金属板端子の前記第1スリット間に位置する端縁が、前記取付板の端縁に達していることにより、熱伝導率の高い金属板端子の端縁が炉内雰囲気に晒されて昇温し、その熱が急速に端子全体に伝わり、半田が溶融し易くなると共に、半田付け完了後に金属板端子の端縁のプリント基板の導体に対する半田付けの良否を目視により観察できるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1を用いて説明する。この実施の形態の電子部品は円筒形アルミ電解コンデンサである。同図(a)、(b)において、コンデンサ本体5の端面に絶縁物製の取付板8が当接している。この取付板8は、同図(c)、(d)、(e)に単独で示すように、概略四辺形をなし、上面に凸縁部20、21が設けられ、下面には対向する側縁8b、8cよりそれぞれ中心方向に向けて金属板端子10、10が設けられ、更に対向平面を半田付けする際の半田層の厚みに相当する突出量の凸部22、23、24、25、26が下面の四隅及び金属板端子10と10との間に挟まれた位置に突設されている。そして取付板8の1側縁8 a から金属板端子10、10へ向けて互に平行な第2のスリット9、9が形成され、更に別の相対する側縁8b、8cより夫々に金属板端子10、10の両側に沿って第1スリット30、30が金属板端子10、10の途中位置まで形成されている。同図(a)に示すように、コンデンサ本体5の端面からは、取付板8の厚さにほぼ等しい長さのリード3、3が第2スリット9、9の間隔に等しい間隔で導出されており、これらリード3、3はそれぞれ第2スリット9、9の最奥部において金属板端子10、10にレーザー溶接されている。図中、10 a 、10 a は金属板端子10、10の端縁であり取付板8の側縁8b、8cよりもそれぞれ僅かに突出している。
【0013】
前記凸縁部20、21は、取付板8をコンデンサ本体5に結合する際に利用される。すなわち、リード3、3が第2スリット9、9に沿って導入されて金属板端子位置へ到達し、コンデンサ本体5の端面の周縁部分が凸縁部20、21に当接することによってリード3、3がその位置に規制され、その上で金属板端子10、10に溶接される。これによってリード3、3に過大な力を与えないで溶接できる。また、第2スリット9、9は、図3を用いて前述したスリット9、9に幅が大部分の領域で一定であったのに対し、本実施形態では取付板の側縁8aに向かって幅が次第に広大している点で少し相違する。
【0014】
図1(d)における11は金属板端子10に穿設された結合孔であり、取付板8を型成形する際に、インサートされる金属板端子と絶縁物(耐熱性合成樹脂)からなる取付板本体との結合を強化する。
【0015】
このように構成された電子部品、すなわちアルミ電解コンデンサは、プリント基板31に面実装する場合、図1(f)に示すように、プリント基板31側の電子部品を接続する位置の導体32の部分にクリーム半田33を、例えばスクリーン印刷によって塗布し、この部分に所定の位置関係で金属板端子10、10が当接するように電子部品を載置し、炉内を通過させて半田付けする。電子部品を載置したとき、プリント基板表面には凸部22〜26の下面が当接しており、これによって金属板端子10、10と導体32の間の寸法が規制されてクリーム半田33が適当な厚さの層として存在し、クリーム半田33の極端なはみ出しが防止され、また凸部26は金属板端子10、10間を区画して半田による電気的な導通を防止する。半田の融点は220〜230°Cであり、炉温は280°C前後で、この中を10〜20秒かけて基板を通過させると、半田付けが完了する。
【0016】
プリント基板31が炉内を通過するとき、金属板端子10、10の両側の取付板部分に第1スリット30を設けてあることによって、第1スリット30内を通ってプリント基板31と取付板8の接触面の内部に炉内雰囲気が流入し易くなり、すなわち第1スリット30内を通って熱ガスの接触伝熱や熱源からの放射伝熱による熱の移動が行われやすくなり、第1スリット30がないものよりも短い時間で半田が溶融する。従って、炉内通過時間が短縮され、その分電子部品が受ける熱による悪影響を軽減できる。これに加え、第2スリット9が取付板の側縁8aから金属板端子10に達しているから、この第2スリット9内を通っても炉内雰囲気が流入し、この部分からも加熱が進行する。そして前述したように第2スリット9は取付板の側縁8aに向かって幅が広くなっていることにより、炉内雰囲気がより流入し易いから、加熱がより急速に進行し、従って、このように幅が広がった第2スリット9を有する構成にすれば、より炉内通過時間が短縮される。
【0017】
また、金属板端子10、10の端縁10a、10aが取付板8の側縁8b、8cを越えて突出させれば、半田付けを終了した状態は図1(f)に示すクリーム半田33が溶融してほぼそのまま凝固した状態であり、同図に見られるように金属板端子10、10の端縁10a、10aの目視による、半田付けの良否の判断が容易になる。
【0018】
上述した実施の形態は、本発明を円筒形アルミ電解コンデンサに実施したものであるが、本発明は同様に一端面よりリードが導出されている他の電子部品にも実施できる。
【0019】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、第1及び第2の双方のスリットによる金属板端子と炉内雰囲気との接触が促進されるので、半田付けのための加熱炉内通過時間を短縮できるから、電子部品の熱による悪影響を軽減できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示し、(a)は部分破断正面図、(b)は平面図、(c)は取付板のみの平面図、(d)は取付板のみの底面図、(e)は(d)のE−E断面図、(f)は(a)のF−F断面部分拡大図である。
【図2】従来の面実装型電子部品の一例を示し、(a)は部分破断正面図、(b)は底面図である。
【図3】本発明によらない改良された面実装型電子部品を示し、(a)は部分破断正面図、(b)は底面図である。
【符号の説明】
1 コンデンサ素子
3 リード
5 コンデンサ本体
8 取付板
8a〜8c 取付板の側縁
9 第2スリット
10 金属板端子
10a 金属板端子の端縁
30 第1スリット
Claims (1)
- 複数のリードを同一端面より引出した電子部品本体と、この電子部品本体の上記端面に一方の面を当接し他方の面に上記リードが夫々電気的に接続されている金属板端子を有し概略四辺形をなしている絶縁物製の取付板とよりなり、上記金属板端子は上記各リードの接続位置から上記取付板の相対する第1及び第2の二辺まで伸延しており、上記取付板には上記各リードから上記二辺とは別の第3の辺へ向けて互に平行な第2のスリットが形成されており、かつ上記取付板の上記各金属板端子の両側には上記第1及び第2の辺から上記各金属板端子の中途位置まで第1のスリットが夫々形成されていることを特徴とする電子部品。
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