JP3748290B2 - 玄関の防水構造及び玄関の施工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅の玄関、特に、二世帯住宅やアパート等における二階以上の階における玄関の防水構造及び玄関の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、アパートや二世帯住宅等においては、二階もしくはそれ以上の階に玄関が設けられる場合がある。
また、通常の住宅においても、一階部分の間取りや周辺の地盤の高低差などにより、二階部分に玄関を設ける場合がある。また、地下室の上部階においても二階部分の玄関と同様の納まりが発生する場合がある。
【0003】
そして、日本の住宅においては、玄関で靴を脱ぐことから、玄関の内側には、土間が必要となり、土間で靴を脱いで、上がり框に上がることになる。
従って、二階部分に玄関を設けた場合には、玄関の屋内側に二階の床よりも一段低くなった土間となる玄関の床を形成することになる。
【0004】
また、玄関内の土間部分は、濡れた靴等により水が侵入する可能性が高いとともに、泥汚れ等を水で洗い流したりする可能性があるが、一階部分に設けられた通常の玄関内の土間においては、その下が基本的に地盤であり、特に防水性を考慮する必要がなかった。
しかし、二階部分の玄関内の土間となる床においては、下に一階部分の構造物があるので、防水性を確保する必要がある。また、一階に設けられた玄関においても、下に地下室等がある場合には、防水性を確保する必要がある。
このような場合には、玄関内の土間となる床体と土間の床面となる床材との間に例えば、防水シートにより防水層を形成する必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、玄関の基本的構造は、玄関の開口部を有して外壁の一部を構成する壁体と、玄関内の土間となる床を構成する床体とからなることになり、上述のように防水層を形成する場合には、上記床体の上面だけではなく、上記壁体の開口部の内面の下部側においても防水層を形成する必要がある。
【0006】
この場合に、上記壁体側における防水層の形成は、基本的に壁体の外装の工事として行われることになり、上記玄関内の床体側における防水層の形成は基本的に防水専門業者の工事として行われることになる。
そして、外装の工事と防水専門業者の工事とは、それぞれ個別に行われることになるので、上記壁体側に防水層を形成する施工が開始可能となる日時と、上記床体側に防水層を形成する施工が開始可能となる日時とがずれる可能性がある。
【0007】
また、壁体側においては、防水層を形成した後に、開口部にドアサッシのドア枠を取り付ける施工を行う必要があり、床体側においては、防水層を形成した後に床材を取り付ける必要がある。
しかし、高い防水性を確保する上では、上記壁体側と上記床体側とに跨って防水層が形成されている方が好ましいので、そのように施工しようとした場合には、上記壁体と床体とにおいて、一方の防水層の施工が可能となった後に、他方の防水層の施工が可能となるまで、一方の施工を中断する必要があり、作業効率が低下するといった問題があった。
【0008】
また、壁や床や屋根等を予め工場で製造された壁パネル、床パネル、屋根パネルを用いて施工するパネル工法を用いた住宅においては、予め、壁パネルを製造するに際し、外装工事の少なくとも一部を工場で行うことにより、建築現場での作業の作業効率の向上、省力化、施工期間の短縮が図られている。
そして、上述のような玄関の壁体においても、壁体を工場で製造される壁パネルとするとともに、工場において、開口部の内面の下部側に防水層を形成したり、ドアサッシを取り付けたりすることが考えられるが、このようにした場合には、上記壁体側と上記床体側とに跨って防水層を形成して玄関内の防水性を高めることが困難である。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、上記玄関の開口部を有する壁体と玄関内の床体とからなる玄関を構築する場合に、高い防水性を確保するとともに作業効率を向上することが可能な玄関の防水構造及び玄関の施工方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の玄関の防水構造は、図1に示すように、玄関の開口部1を有して外壁の一部を構成する壁体2と、上記玄関内の土間を構成する床体10と、上記壁体2の開口部1の内面の少なくとも下部を被うように設けられた第一の防水シート(止水プレート3)と、上記玄関内の床体10の上面を被うように設けられた第二の防水シート11とを具備してなり、
上記壁体2は予め工場において製造されるものであり、
上記開口部1の内面の下部に予め上記第一の防水シート3とドア枠4とが設けられた上記壁体2が前記床体10に当接されており、
上記第一の防水シートは上記壁体10の正面側に回り込んで、上記開口部1の下部の正面側の周囲を被った状態で貼設されており、
上記第一の防水シート3と第二の防水シート11とのうちの少なくとも一方の防水シート3、11が他方の防水シート3、11側に延出して設けられることにより、第一の防水シート3の一部と第二の防水シート11の一部とが重ねて配置され、これら第一の防水シート3と第二の防水シート11とが、互いに重ねて配置された部分で溶着されていることを上記課題の解決手段とした。
【0011】
上記構成によれば、例えば、上記壁体2における施工の方が先に行われる場合には、まず、壁体2の開口部1の内面の下側に第一の防水シート3を貼設する。そして、この際に、第一の防水シート3は、床体10側に延出可能な形状と大きさを有するものとする。そして、第一の防水シート3を壁体2に貼設する際に、第一の防水シート3の床体10側に延出する部分をそのまま壁体2の開口部1から玄関内にはみ出した状態にしておく。
【0012】
次に、壁体2側においては、ドアサッシのドア枠4の取り付けや、外装仕上げ材の取り付け等の作業を行う。
一方、床体10側においては、床体10上に第二の防水シート11を貼設することにより、防水層を形成することになるが、この際には、既に、第一の防水シート3が壁体2側から延出した状態となっているので、この第一の防水シート3の延出部分を、例えば、上側に持ち上げた状態で、床体10に第二の防水シート11を貼設する。
【0013】
そして、第二の防水シート11を貼設した後に、第一の防水シート3の延出部分を下げて、床体10上において、第一の防水シート3の一部と第二の防水シート11の一部が重なった状態とする。
そして、第一の防水シート3と第二の防水シート11が重なった部分を加熱することにより、第一の防水シート3と第二の防水シート11とを溶着する。
【0014】
上述のように施工することで、壁体2側の工事が床体10側の工事より先に施工されるものとしても、床体10側の工事が壁体2側の工事に追い付くまで壁体2側の工事を中断する必要がなく、また、壁体2側から床体10側に延出する第一の防水シート3が壁体2側と床体10側とに跨って配置され、かつ、第一の防水シート3と第二の防水シート11が溶着されるので、壁体2と床体10とに跨る一体の防水層が形成されることになる。
【0015】
すなわち、作業効率を低下させることなく、壁体2と床体10とに跨る一体の防水層を形成することができる。また、床体10側の工事が先に施工される場合には、床体10に貼設される第二の防水シート11が壁体2側に延出されるようにすることで、同様に対応することができる。
また、上述のパネル工法による住宅において、壁体2側を壁パネルとして予め工場で製造する際などに、壁体2側に予め防水シート3を取り付けた状態としても、上述のように高い防水性能を確保することができるので、高い防水性能を確保した状態で玄関の現場施工の効率化、省力化、期間の短縮を図ることができる。なお、壁体2は、例えば、工場等において複数の壁パネルを連結することにより、一つの連結パネルとされたものでも良い。
【0016】
なお、上記第一及び第二の防水シート3、11は、各種合成樹脂やゴム等で構成され、かつ、防水性と、耐久性とを有し、重ねた状態で加熱することにより溶着可能なものならば良い。
また、上記壁体2は、玄関の開口部1を有する壁体2ならばどのような構成を有していても良く、上記床体10は、玄関内の土間の床を形成するためのものであればどのような構成を有していても良い。
【0017】
本発明の請求項2記載の玄関の防水構造は、上記玄関が下階に階を有する階に設けられていることを上記課題の解決手段とした。
上記構成によれば、下階に階を有する階、例えば、二階に設けられた玄関内の土間において、確実に防水性を確保することができるので、例えば、二階の玄関内の土間に水を流して、玄関内の土間を清掃するようなことが可能となる。
なお、下階に階を有する階とは、基本的には二階以上の階であるが、地下階がある場合には、一階も含まれるものであり、さらに、地下が複数階となっていれば、地下階も含まれるものである。
【0019】
本発明の請求項記載の玄関の防水構造は、上記玄関内の床体10の上面を被うように設けられた第二の防水シート11上に、玄関内の土間となる床面を構成する床材(テラスボード14)が配置され、かつ、上記第二の防水シート11と上記床材14とが着脱自在に接合されていることを上記課題の解決手段とした。上記構成によれば、例えば、玄関内の土間となる床において、重量物を落としたりすることにより、床材14が傷ついた場合に容易に防水シート11に着脱自在に接合された床材14を取り外して、新しい床材14と交換することができる。
【0020】
また、床体10上の第二の防水シート11が耐用年数を超える使用により劣化した場合や、上述のように床い重量物を落としたりした衝撃により破損したような場合に、床材14を取り外して、容易に第二の防水シート11の交換や補修を行うことができる。
なお、床体10と防水シート11とを着脱自在とするに際しては、防水シート11と床体10とにそれぞれ係合部材を設けて、これら係合部材同士を係合するものとすれば良い。
そして、こられ係合部材としては、例えば、面ファスナーを用いることができる。
【0021】
本発明の請求項記載の玄関の施工方法は、上記請求項1に記載の玄関の防水構造を用いたものであり、上記壁体2を予め工場において製造しておき、
この壁体2の上記開口部1の内面の少なくとも下部側に上記第一の防水シート3を上記壁体2の正面側に回り込んで、上記開口部1の下部の正面側の周囲を被った状態で貼設しておくとともに、ドア枠4を設けておき、
一方、上記第一の防水シート3の貼設とは別に、上記玄関内において、上記床体10の上面に上記第二の防水シート11を貼設し、
次に、上記第一の防水シート10とドア枠4とが設けられた上記壁体2を、前記床体10に当接し、
次に、前記第一の防水シート3と第二の防水シート11とを溶着することを上記課題の解決手段とした。
上記構成によれば、上記請求項1に記載の構成と同様の作用効果を得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態の一例の玄関の防水構造及び玄関の施工方法を図面を参照して説明する。
なお、この一例は、本発明の玄関の防水構造及び玄関の施工方法を、上述のパネル工法によって構築される住宅の二階の玄関に応用したものである。
図1は、この一例の玄関の防水構造を示すものであり、図1を参照して玄関の防水構造を説明する。
【0023】
図1に示すように、この一例の玄関の防水構造には、玄関の開口部(図2に全体を図示)1を有する壁体(図1において壁体の開口部の下枠部分となる下枠材2eだけを図示)2と、上記壁体2の開口部1の内面の下側に貼設された止水プレート3と、玄関内の土間の床のを形成する床体10と、上記床体10の上面に貼設された止水プレート11とが備えられている。
【0024】
上記壁体2は、予め、工場において製造されるものであって、図2に示すように、開口部1の左右に配置された壁パネル2a、2bと、これら壁パネル2a、2b間の上部に掛け渡された状態で配置される小壁パネル2cと、この小壁パネル2cの左右側縁部を下方から支持するとともに、壁パネル2a、2bの開口部1側の側縁部に接合された方立2d、2dと、開口部1の下枠部分となる下枠材2eとからなるものである。
【0025】
なお、上記壁パネル2a、2b及び小壁パネル2は、壁体2の下部を上部が切断された状態で図示した図3に示すように、矩形枠状の枠体wと該枠体wの両側面に貼設された面材m、mとからなるものである。また、枠体wの内部には、必要に応じて棧材(図示略)が配置されている。また、壁体2は、住宅の二階の外壁となるものである。
上記止水プレート3は、柔軟性を有する合成樹脂からなるものであり、図3に示すように、開口部1の内面の下側、すなわち、下枠材2eの上面と、方立2d、2dの下端部の内側の側面とが止水プレート3に被われるようになっている。
【0026】
また、止水プレート3は、壁体2の正面側に回り込んで、開口部1の下部の正面側の周囲を被った状態で貼設されるようになっている。
また、図1に示すように、止水プレート3と壁体2の開口部1の正面側のほぼ1/3の部分が接着され、止水プレート3と壁体2の開口部1の内面の後面側のほぼ2/3が接着されないようになっている。
【0027】
これは、止水プレート3と壁体2の開口部1の内面の後面側の部分との間に、床体10の後述する床下地調整材13が床体10から延出した状態に配置されるためである。
そして、上述のように止水プレート3を貼設した状態で壁体2の開口部1の正面側の部分に、ドアサッシのドア枠4が配置されるようになっている。
また、ドア枠4の下部が、上記壁体2の正面の開口部1の下側にアングル材5を介してビス6、6により接合されている。
【0028】
また、壁体2の正面側には、二階玄関のテラス(二階玄関に至る階段の踊り場)20が接合されている。
上記テラス20は、テラス20の壁体2側の側縁部を支持する受木21と、該受木21に取り付けられた受金物22と、受金物22に接合された底板23と、底板23上に配置された中空セメント板24と、図示しない外階段を構成する要素等からなるものである。
【0029】
また、中空セメント板24の上面のドア枠4側の側縁部と、ドア枠4の壁体2より外側に突出した部分の下面との間には、図1に示すように、止水材25、26により止水処理が施されている。
また、壁体2の開口部1の下側においては、壁体2の正面側に延出して配置された止水プレート3に重ねて水切り鉄板27が配置され、壁体2の開口部1の下側の正面から受木21の上部が水切り鉄板27に被われた状態となっている。
【0030】
上記床体10は、図1に示すように、床パネル12と、該床パネル12上に配置される床下地調整材13とからなるものである。
上記床パネル12は、矩形枠状の枠体wと枠体wの上面に貼設された面材mとからなるものである。
また、床パネル12は、上記壁体2の下側に配置される一階の図示しない壁体の側面に取り付けられた図示しない受木に支持されるようになっている。
また、床パネル12の上面が壁体2の下枠材2eの上面とほぼ面一になるように配置されている。
【0031】
上記床下地調整材13は、二層構造となっており、石膏ボード13b上に合板13aが配置されている。
また、床下地調整材13は。床パネル12上に配置されるものであるが、床下地調整材13の壁体2側の側縁部が壁体2の下枠材2e上に延出した状態となっている。
そして、床下地調整材13の側縁部が下枠材2eと止水プレート3との間に配置されるようになっている。
【0032】
また、床下地調整材13の上面には、その全面を被うように防水シート(塩ビシート)11が貼設されている。
そして、床下地調整材13の壁体2の下枠材2e上に載せられた側縁部においては、上記防水シート11上に壁体2側の止水プレート3が重ねた状態で配置され、かつ、止水プレート3と防水シート11が重なった部分が加熱処理されて、止水プレート3と防止シート11とが溶着されている。
【0033】
従って、この一例においては、床下地調整材13が壁体2側に延出していることにより、床下地調整材13の上面に貼設された防水シート11が床パネル12と壁体2とに跨って配置された状態となり、防水シート11が壁体2と床体10とに跨って配置されていることになる。
また、壁体2側のドア枠4と床下地調整材13との間を壁体2と床体10との境目と考えれば、壁体2側の止水プレート3が床下地調整材13の上面側に延出して床下地調整材13上の防水シート11に重ねて配置されているので、止水プレート3が壁体2と床体10とに跨って配置されていることになる。
【0034】
また、床体10の上面に貼設された防水シート11上には、玄関内の土間の床面を構成する床材としてテラスボード14が配置されている。
また、上記防水シート11の上面と、テラスボード14の下面とには、それぞれに対応する位置に、面ファスナー(マジックテープ)15a、15bが接着されており、床体10に貼設された防水シート11と、テラスボード14とが面ファスナー15a、15bにより着脱自在に接合されている。
【0035】
また、床体10上に貼設された防水シート11の上面の側縁部には、テラスボードのがたつきを防止するために一種のスペーサとなるテープ16が貼設されている。
また、上記テラスボード14の壁体2側の端面は、上記壁体2に設けられたドアサッシのドア枠4の下部の背面に当接した状態で配置されている。
また、上記テラスボード14の上面の壁体2側の側縁部には、端面と上面とに開口する切り欠き部14aが形成され、該切り欠き部14aに目地モルタル17が充填されて、ドア枠4とテラスボード14との隙間を塞ぐようになっている。
【0036】
次に、上述のような防水構造を有する玄関の施工方法を説明する。
まず、壁体2は、基本的に工場で製造されることになり、図2に示すように、各壁パネル2a、2b、小壁パネル2c、方立2d、2d及び下枠材2eが製造され、次いで、これらを互いに接合、連結することにより、玄関の開口部1を有する壁体2が製造される。
【0037】
次に、工場等において、図3に示すように、壁体2の開口部1の内面の下部側に止水プレート3が貼設される。
次に、図4、図5及び図6に示すように、止水プレート3が貼設された壁体2の開口部1にドアサッシのドア枠4を取り付ける。
なお、図4及び図5においては、ドア枠4を切断した状態で、ドア枠4の一部だけを図示した。
また、図5は、図4が壁体2を住宅の外側(正面側)から見た状態なのに対して、壁体2を住宅の内側(後面側)から見た状態で図示した。
【0038】
また、図5に示すように、止水プレート3と壁体2とは、壁体2の正面側の部分と、開口部1の内面のドア枠4が取り付けられる部分だけが互いに接着され、ドア枠4より住宅の内側の部分においては、壁体2と止水プレート3とが接着されていない状態となっている。
【0039】
そして、上記壁体2は、この状態で建築現場に搬送される。
従って、壁体2と床体10とは、全く別個に独立して構築されることになる。一方建築現場においては、周知のパネル工法により一階部分が構築されるとともに、上記床体10の床パネル12を含む二階の床が構築される。
そして、この状態で壁体2が住宅に設置され、図7に示すように、壁体2と床体10の床パネル12とが当接した状態に配置される。
【0040】
次に、図8及び図9に示すように、床パネル12の上面に石膏ボード13b及び合板13aからなる床下地調整材13を設置する。
この際には、床下地調整材13の側縁部を壁体2の開口部1内の下枠材2e上に延出させた状態とする。また、止水プレート3の接着されていない部分を引き上げておくことにより、床下地調整材13の側縁部が下枠材2eと止水プレート3とに挟まれた状態とする。
【0041】
次に、図9に示すように、床下地調整材13上に防水シート11を貼設する。なお、防水シート11は、床下地調整材13上だけではなく、玄関の内壁面の下部や、上がり框の側面も一体に防水するようにその側縁部が立ち上げられた状態となっている。
そして、床下地調整材13の側縁部上において、防水シート11の上に止水プレート3が重ねられた状態とされる。
なお、床下地調整材13の側縁部上において、止水プレート3の上に防水シート11が重ねられた状態としても良い。
【0042】
次に、止水プレート3と防水シート11とが重なった部分を熱風等により加熱処理することで、止水プレート3と防水シート11とを溶着する。
次に、図1に示すように、上記下地調整材13上において、上記防水シート11の上面の所定位置に面ファスナー15bを接着するとともに、上記下地調整材12の側縁部の防水シート11上(止水プレート3が重なっている部分において止水プレート3上)にテープ16を貼設する。
【0043】
次に、予め、下面に面ファスナー15aが取り付けられたテラスボード14を床下地調整材13に載置することにより、面ファスナー15a、15b及び防水シート11を介して、床下地調整材13と、テラスボード14とを接合する。
なお、テラスボード14が面ファスナー15aにより着脱自在に床下地調整材13に接合されているので、テラスボード14の交換、防水シート11の補修等を容易に行うことができる。
【0044】
以上のように、この一例によれば、玄関を構成する壁体2側の防水のための施工を、例えば、工場で行うようにし、玄関の床体10側の防水の施工を現場で行うようにすることで、玄関の壁体2と床体10との防水の施工を個別に行うようにしても、壁体2と床体10との接合部において、止水プレート3もしくは防水シート11が、壁体2と床体20とに跨って配置され、かつ、これらが溶着により一体にされるので、確実に玄関の下側を防水することができる。
【0045】
従って、玄関の壁体2と床体10とで防水のための施工の開始時期を合わせる必要がなく、玄関の下側を確実に防水するために、玄関の施工の作業効率が低下するのを防止することができる。
なお、この一例においては、玄関を有する建物を、二階に玄関を有してパネル工法で建築されるものとしたが、玄関の床部分において床体10と壁体2とが接合されている構造ならば、どのような建物にも応用することが可能である。
【0046】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の玄関の防水構造によれば、壁体側の工事が床体側の工事より先に施工されるもの、もしくは、床体側の工事が壁体側の工事より先に施工されるものとしても、一方の工事が他方の工事に追い付くまで他方の工事を中断する必要がなく、また、壁体側から床体側もしくは床体側から壁体側に延出する一方の防水シートが壁体と床体とに跨って配置され、かつ、第一の防水シートと第二の防水シートが溶着されるので、壁体と床体とに跨る一体の防水層が形成されることになる。すなわち、作業効率を低下させることなく、壁体と床体とに跨る一体の防水層を形成することができる。
また、上述のパネル工法による住宅において、壁体側を壁パネルとして予め工場で製造する際などに、壁体側に予め防水シートを取り付けた状態としても、上述のように高い防水性能を確保することができるので、高い防水性能を確保した状態で玄関の現場施工の効率化、省力化、期間の短縮を図ることができる。
【0047】
本発明の請求項2記載の玄関の防水構造によれば、二階に設けられた玄関内の土間において、確実に防水性を確保することができるので、例えば、玄関内の土間に水を流して、玄関内の土間を清掃するようなことが可能となる。
【0049】
本発明の請求項記載の玄関の防水構造によれば、例えば、玄関内の土間となる床において、重量物を落としたりすることにより、床材が傷ついた場合に容易に防水シートに着脱自在に接合された床材を取り外して、新しい床材と交換することができる。また、床体上の第二の防水シートが耐用年数を超える使用により劣化した場合や、上述のように床に重量物を落としたりした衝撃により第二の防水シートが破損したような場合に、上述のように床材を取り外して、容易に第二の防水シートの交換や補修を行うことができる。
本発明の請求項記載の玄関の施工方法によれば、上記請求項1に記載の構成と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の玄関の防水構造を示す要部断面図である。
【図2】上記例の玄関の防水構造における壁体を示す斜視図である。
【図3】上記例の玄関の防水構造における壁体、止水プレートを示す要部斜視図である。
【図4】上記例の玄関の防水構造における壁体、止水プレート、ドア枠を示す要部斜視図である。
【図5】上記例の玄関の防水構造における壁体、止水プレート、ドア枠を示す要部斜視図である。
【図6】上記例の玄関の防水構造における壁体、止水プレート、ドア枠を示す要部断面図である。
【図7】上記例の玄関の防水構造における壁体、止水プレート、ドア枠、床体の床パネルを示す要部断面図である。
【図8】上記例の玄関の防水構造における壁体、止水プレート、ドア枠、床体を示す要部斜視図である。
【図9】上記例の玄関の防水構造における壁体、止水プレート、ドア枠、床体を示す要部断面図である。
【図10】上記例の玄関の防水構造における壁体、止水プレート、ドア枠、床体、防水シートを示す要部斜視図である。
【符号の説明】
1 玄関の開口部
2 壁体
3 止水プレート(第一の防水シート)
10 床体
11 防水シート(第二の防水シート)
14 テラスボード(床材)
15a 面ファスナー
15b 面ファスナー

Claims (4)

  1. 玄関の開口部を有して外壁の一部を構成する壁体と、上記玄関内の土間を構成する床体と、上記壁体の開口部の内面の少なくとも下部を被うように設けられた第一の防水シートと、上記玄関内の床体の上面を被うように設けられた第二の防水シートとを具備してなり、
    上記壁体は予め工場において製造されるものであり、
    上記開口部の内面の下部に予め上記第一の防水シートとドア枠とが設けられた上記壁体が前記床体に当接されており、
    上記第一の防水シートは上記壁体の正面側に回り込んで、上記開口部の下部の正面側の周囲を被った状態で貼設されており、
    上記第一の防水シートと第二の防水シートとのうちの少なくとも一方の防水シートが他方の防水シート側に延出して設けられることにより、第一の防水シートの一部と第二の防水シートの一部とが重ねて配置され、これら第一の防水シートと第二の防水シートとが、互いに重ねて配置された部分で溶着されていることを特徴とする玄関の防水構造。
  2. 上記玄関が下階に階を有する階に設けられていることを特徴とする請求項1記載の玄関の防水構造。
  3. 上記玄関内の床体の上面を被うように設けられた第二の防水シート上に、玄関内の土間となる床面を構成する床材が配置され、かつ、上記第二の防水シートと上記床材とが着脱自在に接合されていることを特徴とする請求項1または2記載の玄関の防水構造。
  4. 上記請求項1に記載の玄関の防水構造を用いた玄関の施工方法であって、
    上記壁体を予め工場において製造しておき、
    この壁体の上記開口部の内面の少なくとも下部側に上記第一の防水シートを上記壁体の正面側に回り込んで、上記開口部の下部の正面側の周囲を被った状態で貼設しておくとともに、ドア枠を設けておき、
    一方、上記第一の防水シートの貼設とは別に、上記玄関内において、上記床体の上面に上記第二の防水シートを貼設し、
    次に、上記第一の防水シートとドア枠とが設けられた上記壁体を、前記床体に当接し、
    次に、前記第一の防水シートと第二の防水シートとを溶着することを特徴とする玄関の施工方法。
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