JP3744128B2 - 鍵盤装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子鍵盤楽器に用いられる鍵盤装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子ピアノなどの電子鍵盤楽器では、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得るために、鍵の下方に所定の重量を有するハンマーアームを上下方向に回動自在に設け、鍵の押鍵動作に伴ってハンマーアームがそれ自身の重量に抗して回動変位することにより、鍵に所定のアクション荷重を付与するようにしたものがある。
このような電子鍵盤楽器は、一般に、多数の鍵が配列された鍵盤シャーシに支持軸を固定し、この支持軸にハンマーアームを各鍵に対応させて回動自在に取り付け、各ハンマーアームの上端部が常に鍵のほぼ所定位置に当接することにより、各ハンマーアームのアクション荷重が各鍵に伝達されるように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような電子鍵盤楽器では、ハンマーアームの支持軸が鍵盤シャーシに固定されているため、鍵の押鍵動作時にハンマーアームが常に一定の回動支点を中心に回動し、かつハンマーアームの上端部が鍵のほぼ所定位置に当接しているため、鍵に付与されるアクション荷重が一定となり、このためハンマーアームの重量を変えなければ、予め定められた鍵タッチ感しか得られず、演奏者に合った鍵タッチ感を得ることができないという問題があった。
この発明の課題は、ハンマーアームの重量を変えずに、演奏者が簡単に鍵タッチを調節でき、演奏者に合った鍵タッチ感が得られるようにすることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は、鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に上下方向に回動可能に取り付けられた鍵と、上端部が前記鍵の下側にピン部材により上下方向に回動自在に取り付けられるとともに下端部にアクション加重を付与するための錘が設けられたハンマーアームと、押鍵時に前記ハンマーアームの回動支点となるように前記ハンマーアームの上端部及び下端部の間の中間部を支持する支点部材と、を備え、前記支点部材は前記鍵盤シャーシに前記鍵の長手方向に沿って移動可能に設けられることにより、前記鍵に付与されるアクション荷重を変位させることを特徴とする。したがって、この発明によれば、変位手段によって鍵に付与されるアクション荷重を変位させることにより、アクション荷重を調節することができ、このためハンマーアームの重量を変えなくても、ハンマーアームの慣性モーメントを調節することができ、鍵に付与されるアクション荷重を調節することができる。このため、演奏者が簡単に鍵タッチを調節することができるとともに、演奏者に合った鍵タッチ感を得ることができる。
【0006】
また本発明は、鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に上下方向に回動可能に取り付けられた鍵と、上端部に前記鍵の下側に当接する作用点部材が設けられているとともに、下端部にアクション加重を付与するための錘が設けられたハンマーアームと、押鍵時に前記ハンマーアームの回動支点となるように前記ハンマーアームの上端部及び下端部の間の中間部を支持する支点部材と、を備え、前記作用点部材は、前記鍵盤シャーシに前記鍵の長手方向に沿って移動可能に設けられることにより、前記鍵に付与されるアクション荷重を変位させることを特徴とする。したがってハンマーアームの重量を変えなくても、ハンマーアームから鍵に伝達される慣性モーメントを調節することができ、鍵に付与されるアクション荷重を調節することができる。
【0007】
さらに、請求項4に記載のごとく、ハンマーアームによって鍵が押し上げられた初期状態において、鍵の長手方向に沿って移動可能に設けられ、ハンマーアームの下端部が当接する制動部材を備えた構成であれば、支点部材の移動または作用点部材の移動によってハンマーアームの下端部の上下位置が変位しても、鍵の初期状態でハンマーアームの下端部を制動部材に確実に当接させることができ、このため押鍵された鍵が初期位置に回動復帰する際にハンマーアームの不要な跳ね返りを防ぐことができる。
さらにまた、請求項5に記載のごとく、支点部材または作用点部材を鍵の長手方向に沿って移動させる第1の駆動手段と、制動部材を鍵の長手方向に沿って移動させる第2の駆動手段とを備えていれば、演奏者に合った鍵タッチ感を自動的に調節することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図7を参照して、この発明の鍵盤装置の第1実施形態について説明する。
図1は電子鍵盤楽器の鍵盤装置の断面図である。この鍵盤装置は、楽器本体ケース1上に合成樹脂製または板金製の鍵盤シャーシ2が取り付けられ、この鍵盤シャーシ2上に合成樹脂製の複数の鍵(白鍵と黒鍵、ただし白鍵のみについて説明する。)3が並列に配置された構造になっている。この場合、鍵3は、その後端部(同図では右端部)に取付部4が形成され、この取付部4の下端部に形成された逆V字状の嵌合凹部5が鍵盤シャーシ2の後端部に設けられた軸6に嵌合し、これにより軸6を中心に上下方向に回動可能となっている。
【0009】
鍵3の中間部における下端部間には、スイッチ押圧部7が形成されている。このスイッチ押圧部7に対応する個所の鍵盤シャーシ2の下面には、回路基板8が取り付けられている。この回路基板8の上面には、鍵3のスイッチ押圧部7に対応するゴムスイッチ9が鍵盤シャーシ2に設けられた各開口孔10を通してその上方に突出した状態で設けられている。
鍵3は、後述するハンマーアーム11によって上方に付勢されているが、通常は鍵3の前部に垂設されたほぼL字状のストッパ片12が鍵盤シャーシ2の下面に設けられたフェルトなどの上限ストッパ部材13に当接することにより、所定の初期位置(上限位置)に位置規制されている。鍵盤シャーシ2の前端部には、鍵3の左右の横振れを阻止するとともに鍵3の上下動をガイドするための鍵ガイド14が設けられている。また、上限ストッパ部材13の上方における鍵盤シャーシ2の上面には、鍵3の下限位置を規制するためのフェルトなどの下限ストッパ部材15が設けられている。
【0010】
鍵3の中間部におけるほぼ上面とスイッチ押圧部7との間の前側には、ハンマーアーム11の上端部11aがピン部材16によって上下方向に回動自在に取り付けられている。このハンマーアーム11は、上端部11a、中間部11b、および下端部11cとからなり、下端部11cが鍵盤シャーシ2に設けられた挿入孔17を通して鍵盤シャーシ2の下側に配置され、この下端部11cに錘18が設けられ、この錘18の重量によって図1において時計方向に付勢された構造になっている。
【0011】
鍵盤シャーシ2の挿入孔17の前側に位置する上面には、ハンマーアーム11の中間部11bを支持する支点部材(変位手段)19が鍵3の長手方向に沿って移動可能に設けられている。この支点部材19は、図3および図4に示すように、鍵盤シャーシ2上に鍵3の配列方向に所定間隔で設けられた複数のガイドレール20と、これらガイドレール20上にスライド可能に載置された支持棒21とからなり、支持棒21が鍵3の配列方向に沿って配置され、この支持棒21の両端が第1の駆動装置22によって駆動される構造になっている。この場合、ガイドレール20は、鍵盤シャーシ2の前側が低く、後側が高くなるように傾斜している。
第1の駆動装置22は、支持棒21の両端にガイドレール20と同じ傾きをもって設けられた取付板23と、この取付板23上に鍵3の長手方向に沿って設けられたラック24と、このラック24に噛み合って回転するウォームホイル25と、このウォームホイル25を回転させるステッピングモータ26とからなり、これらが鍵盤シャーシ2の左右両側に配置された構造になっている。
【0012】
また、ハンマーアーム11の下端部11cの下方に対応する楽器本体ケース1上には、鍵3が初期状態のときにハンマーアーム11の下端部11cが当接する制動部材27が鍵3の長手方向に沿って移動可能に設けられている。この制動部材27は、図3および図4に示すように、楽器本体ケース1上に鍵3の配列方向に所定間隔でほぼ水平に設けられた複数のガイドレール28と、これらガイドレール28上に鍵3の配列方向に沿ってスライド可能に載置された載置板29と、この載置板29上に設けられたゴムやフェルトなどのダンパ部材30とからなり、載置板29の両端が第2の駆動装置31によって駆動される構造になっている。
第2の駆動装置31は、第1の駆動装置22とほぼ同様、載置板29の両端部の上面に鍵3の長手方向に沿ってほぼ水平に設けられたラック24と、このラック24に噛み合って回転するウォームホイル25と、このウォームホイル25を回転させるステッピングモータ26とからなり、これらが鍵盤シャーシ2の左右両端に配置された構造になっている。
なお、鍵盤シャーシ2の後部の下面には、押鍵時にハンマーアーム11の下端部11cの上限位置を規制するゴムやフェルトなどの緩衝部材32が設けられている。
【0013】
次に、鍵3を鍵盤シャーシ2に組み付ける場合について、図2および図5を参照して説明する。
まず、図2に示すように、鍵3の中間部におけるスイッチ押圧部7の前側上方にハンマーアーム11の上端部11aをピン部材8によって上下方向に回動可能に取り付ける。この状態では、ハンマーアーム11が下端部11cの錘18の重量によってピン部材8を中心に時計方向に回動するが、図5に示すように、ハンマーアーム11の中間部11bがスイッチ押圧部7に当接し、その回動動作が規制され、ハンマーアーム11が所定角度に保持される。このため、鍵3を持ち上げて、ハンマーアーム11の下端部11cを鍵盤シャーシ2の挿入孔17に挿入する際、ハンマーアーム11が所定角度に保持されているので、ハンマーアーム11の下端部11cを鍵盤シャーシ2の挿入孔17に容易に挿入することができる。この後、鍵3の取付部4の嵌合凹部5を鍵盤シャーシ2の軸6に嵌合させることにより、鍵3を鍵盤シャーシ2に容易に組み付けることができる。なお、鍵3が組み付けられたときには、ハンマーアーム11の中間部11bが支点部材19の支持棒21に当接して支持されるとともに、ハンマーアーム11の下端部11cが制動部材27のダンパ部材30に当接する。
【0014】
このような鍵盤装置では、鍵3を押鍵操作すると、鍵3が後端部の軸6を中心に下方に回動し、スイッチ押圧部7がゴムスイッチ9をオンさせる。このときには、ハンマーアーム11の上端部11aが鍵3と共に下方に移動するので、ハンマーアーム11はその中間部11bが支持された支点部材19の支持棒21を中心に図1において反時計方向に回動し、下端部11cが錘18の重量に抗して上方に移動することになる。このため、鍵3には錘18の重量が作用し、鍵タッチ感が重くなり、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感が得られる。
【0015】
次に、このような鍵タッチを調節する場合について説明する。
まず、鍵タッチを軽くする場合には、図示しない調整用スイッチを操作して第1、第2の駆動装置22、31を駆動して、図6に示すように支点部材19および制動部材27を鍵3の後方に向けて所定量移動させれば良い。すなわち、第1の駆動装置22のステッピングモータ26を駆動してウォームホイル25を所定量回転させると、このウォームホイル25の回転に従ってラック24が鍵3の後方に向けて移動し、これにより支点部材19の支持棒21が鍵3の後方に移動する。このため、支点部材19の支持棒21がハンマーアーム11の上端部11aのピン部材16から離れるので、ハンマーアーム11の慣性モーメントが小さくなり、ハンマーアーム11が鍵3に付与するアクション荷重が小さくなり、鍵タッチが軽くなる。このときには、支点部材19の支持棒21の後方への移動に伴って、ハンマーアーム11の下端部11cが上方に変位する。このため、第2の駆動装置31のステッピングモータ26を駆動し、上記と同様に、制動部材27のダンパ部材30を鍵3の後方に移動させ、ハンマーアーム11の下端部11cにダンパ部材30を当接させる。これにより、ハンマーアーム11の下端部11cが上方に変位しても、鍵3の初期位置でダンパ部材30がハンマーアーム11の下端部11cに確実に当接するので、押鍵された鍵3が初期位置に回動復帰する際にハンマーアーム11の不要な跳ね返りを防ぐことができる。
【0016】
また、鍵タッチを重くする場合には、上記とは逆に第1、第2の駆動装置22、31を駆動して、図7に示すように支点部材19および制動部材27を鍵3の前方に向けて所定量移動させれば良い。このときには、支点部材19の支持棒21が鍵3の前方に移動し、支点部材19の支持棒21がハンマーアーム11の上端部11aのピン部材16に近づくので、ハンマーアーム11の慣性モーメントが大きくなり、ハンマーアーム11が鍵3に付与するアクション荷重が大きくなり、鍵タッチが重くなる。このように支点部材19の支持棒21が鍵3の前方に移動すると、これに伴ってハンマーアーム11の下端部11cが下方に変位するので、第2の駆動装置31のステッピングモータ26を駆動し、制動部材27のダンパ部材30を鍵3の前方に移動させ、初期状態におけるハンマーアーム11の下端部11cにダンパ部材30を当接させる。このため、ハンマーアーム11の下端部11cが下方に変位しても、鍵3の初期位置でダンパ部材30がハンマーアーム11の下端部11cに確実に当接するので、押鍵された鍵3が初期位置に回動復帰する際にハンマーアーム11の不要な跳ね返りを防ぐことができる。
【0017】
このように、この鍵盤装置では、支点部材19を鍵3の長手方向に沿って移動させ、ハンマーアーム11に対する支点部材19の支点位置を変位させることにより、ハンマーアーム11の慣性モーメントを調節することができ、鍵3に付与されるハンマーアーム11のアクション荷重を調節することができ、このためハンマーアーム11の重量を変えなくとも、演奏者が簡単に鍵タッチを調節することができ、演奏者に合った鍵タッチ感を得ることができる。
【0018】
なお、上記第1実施形態では、支点部材19および制動部材27をそれぞれ第1、第2の駆動装置22、31で駆動するようにしたが、これに限らず、操作レバーによって移動させるようにしても良い。
【0019】
次に、図8〜図12を参照して、この発明の鍵盤装置の第2実施形態について説明する。これらの図において、図1〜図7と同一名称部分には同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
図8は電子鍵盤楽器の鍵盤装置の断面図である。この鍵盤装置では、ハンマーアーム11の中間部11bに取付部41が設けられ、取付部41の下端部に形成された逆U字状の嵌合凹部42が鍵盤シャーシ2の中間部に設けられた支持軸43に嵌合し、これによりハンマーアーム11が支持軸43を中心に上下方向に回動自在となっている。ハンマーアーム11の上端部11aは、鍵3の初期位置において鍵3の下面とほぼ平行になっている。ハンマーアーム11の上端部11aにおける両側部の左端部、中間部、右端部の3個所には嵌合凹部44a、44b、44cが相対向して設けられている。ハンマーアーム11の上端部11aには鍵3に当接して作用点となる作用点部材(変位手段)45が長手方向に沿って移動可能に設けられている。作用点部材45は、図9(A)及び(B)に示すようにその側面にハンマーアーム11の上端部11aが挿入される挿入孔46が形成され、挿入孔46の中間部に嵌合突部47が相対向して設けられている。そして、作用点部材45はその嵌合突部47がハンマーアーム11の上端部11aに設けられた嵌合凹部44a、44b、44cに嵌合されることにより、ハンマーアーム11の上端部11aにおける左端部、中間部、右端部の3個所で係止されるようになっている。ハンマーアーム11の下端部11cの下方に対応する楽器本体ケース1上には、鍵3が初期状態のときにハンマーアーム11の下端部11cが当接するゴムやフェルトなどの制動部材48が設けられている。鍵盤シャーシ2の後部の下面には、押鍵時にハンマーアーム11の下端部11cの上限位置を規制するゴムやフェルトなどの緩衝部材32が設けられている。なお、ハンマーアーム11の下端部11cには、図11及び図12に示すように、ハンマーアーム11の下端部11cを緩衝部材32に当接させるためのストッパ部材49が適宜取り付けられている。
【0020】
この鍵盤装置では、鍵3を押鍵操作すると、図10に示すように鍵3が後端部の軸6を中心に下方に回動し、スイッチ押圧部7がゴムスイッチ9をオンさせる。このときには、ハンマーアーム11の上端部11aが作用点部材45を介して鍵3と共に下方に移動するので、ハンマーアーム11はその中間部11bの取付部41が支持された支持軸43を中心に図10において反時計方向に回動し、下端部11cが錘18の重量に抗して上方に移動することになる。このため、鍵3には錘18の重量が作用し、鍵タッチ感が重くなり、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感が得られる。
【0021】
次に、鍵タッチを調節する場合について説明する。
まず、鍵タッチを重くする場合には、図8に示すように作用点部材45をハンマーアーム11の上端部11aの右端部に移動し、作用点部材45の嵌合突部47を嵌合凹部44cに嵌合する。すると、作用点部材45が支持軸43に近づき、作用点部材45の上端部が鍵3と当接する位置が支持軸43に近づくので、ハンマーアーム11から鍵3に伝達される慣性モーメントが大きくなり、ハンマーアーム11が鍵3に付与するアクション荷重が大きくなり、鍵タッチが重くなる。
【0022】
また、鍵タッチを軽くする場合には、図11に示すように作用点部材45をハンマーアーム11の上端部11aの中央部に移動し、作用点部材45の嵌合突部47を嵌合凹部44bに嵌合する。すると、作用点部材45が支持軸43から離れ、作用点部材45の上端部が鍵3と当接する位置が支持軸43から離れるので、ハンマーアーム11から鍵3に伝達される慣性モーメントが小さくなり、ハンマーアーム11が鍵3に付与するアクション荷重が小さくなり、鍵タッチが軽くなる。
【0023】
また、鍵タッチをさらに軽くする場合には、図12に示すように作用点部材45をハンマーアーム11の上端部11aの左端部に移動し、作用点部材45の嵌合突部47を嵌合凹部44aに嵌合する。すると、作用点部材45が支持軸43からさらに離れ、作用点部材45の上端部が鍵3と当接する位置が支持軸43からさらに離れるので、ハンマーアーム11から鍵3に伝達される慣性モーメントがさらに小さくなり、ハンマーアーム11が鍵に付与するアクション荷重がさらに小さくなり、鍵タッチがさらに軽くなる。
【0024】
ところで、ハンマーアーム11の回動支点は固定されており、またハンマーアーム11の上端部11aは、鍵3の初期位置において鍵3の下面とほぼ平行となっているので、作用点部材45を鍵3の長手方向に沿って移動させ、鍵3に対する作用点部材45の当接位置を変位させてもハンマーアーム11の下端部11cの位置は変位しない。したがって、制動部材48が移動しなくても、鍵3の初期位置においてハンマーアーム11の下端部11cが制動部材48に確実に当接し、押鍵された鍵3が初期位置に回動復帰する際にハンマーアーム11の不要な跳ね返りを防ぐことができる。
【0025】
このように、この鍵盤装置では、作用点部材45を鍵3の長手方向に沿って移動させ、鍵3に対する作用点部材45の当接位置を変位させることにより、ハンマーアーム11から鍵3に伝達される慣性モーメントを調節することができ、鍵3に付与されるアクション荷重を調節することができ、このためハンマーアーム11の重量を変えなくても、演奏者が簡単に鍵タッチを調節でき、演奏者に合った鍵タッチ感を得ることができる。
すなわち、この鍵盤装置では、図8に示すように、鍵支点から作用点までの距離をLとし、ハンマーアーム支点から作用点までの距離をRとし、鍵3の慣性モーメントをI1とし、ハンマーアーム11の慣性モーメントをI2とすると、全体の慣性モーメントIは、
I=I1+(l2/r2)×I2
で表される。このため、作用点部材45を鍵3の長手方向に沿って移動させ、鍵3に対する作用点部材45の当接位置を変位させることにより、ハンマーアーム11から鍵3に伝達される慣性モーメントを調節することができ、鍵3に付与されるアクション荷重を調節することができる。
【0026】
なお、上記第2実施形態では、作用点部材45の移動手段について説明していないが、第1実施形態において説明した第1の駆動装置22と同様の装置によって移動させるようにしても良い。
また、上記第2実施形態では、ゴムやフェルトなどからなる固定された制動部材48について説明したが、これに限らない。例えば、鍵3の初期位置においてハンマーアーム11の上端部11aが鍵3に対して平行でなくなり、ハンマーアーム11の下端部11cの位置が作用点部材45の位置に応じて変位するような場合には、制動部材を第1実施形態において説明した制動部材27と同様の構造としても良い。また、制動部材を第1実施形態において説明した第2の駆動装置31と同様の装置によって移動させるようにしても良い。
さらに、上記第1及び第2実施形態では、ハンマーアーム11の錘18の位置を固定した場合について説明したが、これに限らず、ハンマーアーム11の錘18の位置を移動させるようにしても良い。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、変位手段によって鍵に付与されるアクション荷重を変位させることにより、アクション荷重を調節することができ、このためハンマーアームの重量を変えなくても、演奏者が簡単に鍵タッチを調節することができるとともに、演奏者に合った鍵タッチ感を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の鍵盤装置の第1実施形態を示した断面図。
【図2】図1の鍵にハンマーアームを取り付ける状態を示した分解図。
【図3】図1の鍵およびハンマーアームを取り外した状態の概略平面図。
【図4】図3の側面図。
【図5】図2のハンマーアームが取り付けられた鍵を鍵盤シャーシに取り付ける状態を示した分解図。
【図6】図1の鍵盤装置において鍵タッチを軽くしたときの状態を示した断面図。
【図7】図1の鍵盤装置において鍵タッチを重くしたときの状態を示した断面図。
【図8】この発明の鍵盤装置の第2実施形態を示した断面図。
【図9】(A)はハンマーアームに設けられ、鍵に当接して作用点となる作用点部材を示した正面図、(B)はその右側面図。
【図10】図8の鍵が押鍵された状態を示した断面図。
【図11】図8の鍵盤装置において鍵タッチを軽くしたときの状態を示した断面図。
【図12】図8の鍵盤装置において鍵タッチをさらに軽くしたときの状態を示した断面図。
【符号の説明】
2 鍵盤シャーシ
3 鍵
7 スイッチ押圧部
11 ハンマーアーム
11a 上端部
11b 中間部
11c 下端部
19 支点部材
22 第1の駆動装置
27 制動部材
31 第2の駆動装置
Claims (4)
- 鍵盤シャーシと、
この鍵盤シャーシ上に上下方向に回動可能に取り付けられた鍵と、
上端部が前記鍵の下側にピン部材により上下方向に回動自在に取り付けられるとともに下端部にアクション加重を付与するための錘が設けられたハンマーアームと、
押鍵時に前記ハンマーアームの回動支点となるように前記ハンマーアームの上端部及び下端部の間の中間部を支持する支点部材と、
を備え、前記支点部材は前記鍵盤シャーシに前記鍵の長手方向に沿って移動可能に設けられることにより、前記鍵に付与されるアクション荷重を変位させることを特徴とする鍵盤装置。 - 鍵盤シャーシと、
この鍵盤シャーシ上に上下方向に回動可能に取り付けられた鍵と、
上端部に前記鍵の下側に当接する作用点部材が設けられているとともに、下端部にアクション加重を付与するための錘が設けられたハンマーアームと、
押鍵時に前記ハンマーアームの回動支点となるように前記ハンマーアームの上端部及び下端部の間の中間部を支持する支点部材と、
を備え、前記作用点部材は、前記鍵盤シャーシに前記鍵の長手方向に沿って移動可能に設けられることにより、前記鍵に付与されるアクション荷重を変位させることを特徴とする鍵盤装置。 - 前記ハンマーアームによって前記鍵が押し上げられた初期状態において、前記鍵の長手方向に沿って移動可能に設けられ、前記ハンマーアームの下端部が当接する制動部材を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の鍵盤装置。
- 前記支点部材または前記作用点部材を前記鍵の長手方向に沿って移動させる第1の駆動手段と、前記制動部材を前記鍵の長手方向に沿って移動させる第2の駆動手段とを備えたことを特徴とする請求項3記載の鍵盤装置。
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1997
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