JP3744181B2 - 鍵盤装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子ピアノなどの鍵盤楽器における鍵盤装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子ピアノなどの鍵盤楽器では、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得るために、鍵の下方に所定の重量を有するハンマーアームを上下方向に回動可能に設け、鍵の押鍵操作に伴ってハンマーアームがそれ自身の重量に抗して回動することにより、鍵に所定のアクション荷重を付与するようにしたものがある。
このような鍵盤楽器では、鍵を回動可能に支持する鍵盤シャーシにハンマーアームをただ単に回動可能に取り付けた場合、鍵に所定のアクション荷重を付与することはできるが、アコースティックピアノで得られる抜ける感じの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができない。
そこで、従来では、このような鍵タッチ感が得られるように、クリック感付与手段を備えた鍵盤装置が開発されている。
【0003】
図16はその一例を示した図である。この鍵盤装置は、楽器ケース内に組み込まれる鍵盤シャーシ1を備えている。この鍵盤シャーシ1は、前端部(同図では左端部)1aが凹部状に折り曲げられた上、その前端上部が更にL字状に折り曲げられ、かつ後端部(同図では右端部)1bがコ字状に折り曲げられ、前端部1aの凹部状の部分の底部と後端部1bのコ字状の部分の底部とがほぼ同じ高さに形成されている。この鍵盤シャーシ1上には、合成樹脂製の複数の鍵(白鍵と黒鍵、ただしここでは黒鍵について説明する。)2が並列に配置されている。この場合、各鍵2は、その後端部(同図では右端部)の下部が鍵盤シャーシ1の後端部1b上に設けられた鍵支持部3の軸4に回動自在に取り付けられ、この軸4を中心に上下方向に回動するように構成されている。
【0004】
また、鍵2の中間部に対応する鍵盤シャーシ1上には、ハンマーアーム5を上下方向に回動自在に支持するハンマー支持軸6が設けられている。ハンマーアーム5は、上端部5a、中間部5b、および下端部5cからなり、中間部5bがハンマー支持軸6に回動自在に支持され、下端部5cが鍵盤シャーシ1の開口部1cを通して鍵盤シャーシ1の後端部1b内に配置され、この下端部5cに錘7が設けられ、この錘7の重量によって図16において時計方向に付勢され、これにより上端部5aが鍵2の下面に当接し、鍵2を上方に付勢している。また、このハンマーアーム5は、図16に示すように、通常は錘7の重量によって下方に付勢され、下端部5cの先端に設けられた突起部5dの下面が鍵盤シャーシ1の後端部1bの底部上に設けられたフェルトなどの下限ストッパ8に当接し、これにより所定の下限位置に位置規制されており、また錘7の重量に抗して鍵2が押鍵された際には、ハンマーアーム5の下端部5cの突起部5dの上面が鍵盤シャーシ1の後端部1bの上部内面に設けられたフェルトなどの上限ストッパ9に当接し、これにより所定の上限位置に位置規制されている。
【0005】
このハンマーアーム5の下端部5cの後方(同図では右方)における鍵盤シャーシ1の後端部1bの底部上には、鍵2にアコースティックピアノで得られる抜ける感じの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を付与するクリック感付与部材10が設けられている。このクリック感付与部材10は、図16および図17に示すように、鍵盤シャーシ1の後端部1bの底部上に固定された合成樹脂製のローラ支持体11を備えている。このローラ支持体11は、各鍵2に対応する個所に板ばね部11aがほぼL字形状に形成されて上方に延び、この板ばね部11aの上端部にローラ12が回転自在に取り付けられる取付枠11bが形成された構造になっている。このクリック感付与部材10は、押鍵時にハンマーアーム5の下端部5cに設けられた突起部5dの先端がローラ12に当接した後、ローラ支持体11の板ばね部11aのばね力に抗してローラ12を乗り越えたときに、鍵2に抜ける感じの鍵タッチ感を付与する。
【0006】
なお、各鍵2は、ハンマーアーム5によって上方に付勢されているが、通常は各鍵2の前端部に垂設されたL字状のストッパ片13が鍵盤シャーシ1の前端部1aにおける凹部状の部分の両側下面にそれぞれ設けられたフェルトなどの上限ストッパ14に当接することにより、所定の初期位置(上限位置)に位置規制されている。また、各鍵2には、押鍵時にゴムスイッチ15を押圧するためのスイッチ押圧部16が設けられている。ゴムスイッチ15は、その内部に固定接点と可動接点が2組設けられたものであり、鍵盤シャーシ1の中間部の下面に設けられた回路基板17上に配設され、鍵盤シャーシ1の開口部1dを通して上方に突出し、これにより鍵2のスイッチ押圧部16が押圧可能に離間対向している。
【0007】
このような鍵盤装置では、ハンマーアーム5の錘7の重量に抗して鍵2が押鍵されると、鍵2がその後端部の軸4を中心に下方に回動するとともに、ハンマーアーム5がその中間部5bのハンマー支持軸6を中心に図16において反時計方向に回動し、この後、鍵2のスイッチ押圧部16がゴムスイッチ15を押圧した後、ハンマーアーム5の突起部5dがクリック感付与部材10のローラ12を乗り越えて鍵2に抜ける感じのクリック感を与える。そして、突起部5dが上限ストッパ9に当接することにより、ハンマーアーム5および鍵2の回動が停止する。この後、ハンマーアーム5が錘7の重量により図16において時計方向に回動し、上記と逆の動作を行って、鍵2が図16に示す初期位置に戻る。
【0008】
このときの鍵ストロークに対する鍵荷重について、図18を参照して詳細に説明する。まず、鍵2が押鍵されて下方に回動する行き行程では、鍵2が回動を開始するときに、ハンマーアーム5の錘7の重量が鍵2に作用するため、鍵荷重が急激に重くなり、A点に到達するとハンマーアーム5の回動速度がほぼ一定になるため、鍵荷重もほぼ一定になり、この状態で鍵2が回動してB点に到達すると、鍵2のスイッチ押圧部16がゴムスイッチ15に当接して押圧するので、鍵荷重が更に重くなる。そして、鍵2が回動してC点に到達すると、ハンマーアーム5の下端部5cの突起部5dの先端がクリック感付与部材10のローラ12に下方から当接してローラ支持体11の板ばね部11aを撓ませるので、鍵荷重が急に重くなり、D点に到達するとハンマーアーム5の突起部5dが板ばね部11aのばね力に抗してローラ12を乗り越えるので、鍵荷重が急激に軽くなる。このときに、鍵2に抜ける感じのクリック感が付与される。この後、鍵2が更に回動してE点に到達すると、ハンマーアーム5の突起部5dが上限ストッパ9に当接するので、鍵荷重が急激に重くなり、ハンマーアーム5および鍵2の回動が停止する。
【0009】
また、鍵2が下限位置に到達して上方に回動する戻り行程では、ハンマーアーム5の錘7の重量によりハンマーアーム5が下方に回動するため、鍵荷重が急激に降下して軽くなり、行き行程でのE点よりも鍵荷重が軽いF点に到達すると、ハンマーアーム5の突起部5dの先端がクリック感付与部材10のローラ12に上方から当接してローラ支持体11の板ばね部11aを撓ませてローラ12を乗り越えるときに、鍵荷重が急に重くなり、G点に到達するとハンマーアーム5の突起部5dがローラ12から離脱するので、鍵荷重が急激に軽くなる。このときにも、鍵2にクリック感が付与される。このG点は行き行程のD点に比べて、ヒステリシスの時間差THだけ遅れて発生する。そして、鍵2が回動してH点に到達すると、スイッチ押圧部16がゴムスイッチ15によって押し上げられる反発力により、鍵荷重が更に軽くなり、I点に到達するとスイッチ押圧部16がゴムスイッチ15から離間し、ハンマーアーム5がほぼ一定速度で回動するので、鍵荷重がほぼ一定になり、この状態でハンマーアーム5および鍵2が回動し、J点に到達するとハンマーアーム5の突起部5dが下限ストッパ8に当接して回動が停止するので、鍵荷重が急激に軽くなり、鍵2のストッパ片13が上限ストッパ14に当接して鍵2が初期位置に戻る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このような鍵盤装置では、押鍵時に鍵2が下方に回動する行き行程のときに、ハンマーアーム5が上方に回動してその突起部5dがクリック感付与部材10のローラ12に当接した後、ローラ支持体11の板ばね部11aのばね力に抗してローラ12を乗り越えるので、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した抜ける感じのクリック感を鍵2に付与することができる。しかし、ハンマーアーム5が下方へ回動して鍵2が上方に回動する戻り行程のときにも、ハンマーアーム5の突起部5dがローラ12に当接して板ばね部11aのばね力に抗してローラ12を乗り越えるため、鍵2にクリック感を付与してしまうことになり、本来アコースティックピアノには無い戻り行程でのクリック感が発生してしまうという問題がある。また、このように戻り行程でクリック感が発生すると、ハンマーアーム5の復帰速度が遅くなり、これに伴って鍵2の初期位置への復帰も遅くなるため、連打性が悪くなるという問題が生じる。
【0011】
この発明の課題は、押鍵時に鍵が下方に回動する行き行程で鍵に抜ける感じの鍵タッチ感を良好に付与し、戻り行程で鍵に対するクリック感が生じないようにし、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感が得られるようにすることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に上下方向に回動可能に設けられた複数の鍵と、これら複数の鍵それぞれに対応して設けられて鍵を上方に付勢し、鍵の押鍵動作に伴って回動変位して鍵にアクション荷重を付与するためのハンマーアームと、複数の鍵それぞれにクリック感を付与するクリック感付与手段とを備え、このクリック感付与手段は、押鍵時に鍵が下方に回動する行き行程でハンマーアームの一部が当接移動する傾斜部材を有し、押鍵時の行き行程でハンマーアームの一部が傾斜部材に当接して移動する際に、ハンマーアームと傾斜部材とが相対的に鍵の前後方向に変位し、鍵が上方に回動する戻り行程でハンマーアームの一部が傾斜部材から離脱することを特徴とする。
この発明によれば、押鍵時に鍵が下方に回動する行き行程では、ハンマーアームの一部が傾斜部材に当接して移動する際に、ハンマーアームと傾斜部材とが相対的に鍵の前後方向に変位することにより、鍵荷重が重くなり、ハンマーアームの一部が傾斜部材を移動して乗り越えると鍵荷重が軽くなり、これにより鍵に抜ける感じの鍵タッチ感が付与されることになり、また鍵が上方に回動する戻り行程では、ハンマーアームの一部が傾斜部材から離脱するので、鍵に対しクリック感が付与されることがなく、これによりアコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に上下方向に回動可能に設けられた複数の鍵と、これら複数の鍵それぞれにクリック感を付与するクリック感付与手段とを備え、このクリック感付与手段は、突起片と、この突起片が乗り越えて係合する係合部を有する回転体と、この回転体の回転角を規制する回転規制部材とを備え、押鍵時に鍵が下方に回動する行き行程で係合部に突起片が係合するときに回転体の回転が回転規制部材によって規制され、鍵が上方に回動する戻り行程で係合部から突起片が離脱するときに回転規制部材による回転体に対する規制が解除されて回転体が回転することを特徴とする。
この発明によれば、押鍵時に鍵が下方に回動する行き行程で突起片が回転体の係合部に係合するときに、回転規制部材によって回転体の回転が規制されるため、回転体の係合部に突起片が乗り越えて係合することになり、このため突起片が乗り越えるときに鍵荷重が重くなり、乗り越えて係合部に係合したときに鍵荷重が軽くなり、これにより鍵に抜ける感じの鍵タッチ感が付与されることになり、また鍵が上方に回動する戻り行程では、係合部から突起片が離脱するときに回転規制部材による回転体に対する規制が解除されて回転体が回転するので、鍵に対しクリック感が付与されることがなく、これによりアコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができる。
【0014】
請求項6記載の発明は、鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に上下方向に回動可能に設けられた複数の鍵と、これら複数の鍵それぞれに対応して設けられて鍵を上方に付勢し、鍵の押鍵動作に伴って回動変位して鍵にアクション荷重を付与するためのハンマーアームと、複数の鍵それぞれにクリック感を付与する第1、第2クリック感付与手段とを備え、第1クリック感付与手段は、押鍵時に鍵が下方に回動する行き行程でハンマーアームの一部が当接移動する傾斜部材を有し、押鍵時の行き行程でハンマーアームの一部が傾斜部材に当接して移動する際に、ハンマーアームと傾斜部材とが相対的に鍵の前後方向に変位し、鍵が上方に回動する戻り行程でハンマーアームの一部が傾斜部材から離脱するように構成され、第2クリック感付与手段は、突起片と、この突起片が乗り越えて係合する係合部を有する回転体と、この回転体の回転角を規制する回転規制部材とを備え、押鍵時に鍵が下方に回動する行き行程で係合部に突起片が係合するときに回転体の回転が回転規制部材によって規制され、鍵が上方に回動する戻り行程で係合部から突起片が離脱するときに回転規制部材による回転体に対する規制が解除されて回転体が回転するように構成されていることを特徴とする。
この発明によれば、押鍵時に鍵が下方に回動する行き行程では、第1クリック感付与手段および第2クリック感付与手段の両者により、請求項1記載の発明および請求項3記載の発明と同様、鍵に抜ける感じの鍵タッチ感を付与することができ、鍵が上方に回動する戻り行程では、第1クリック感付与手段および第2クリック感付与手段の両者が、請求項1記載の発明および請求項3記載の発明と同様、鍵に対しクリック感を付与しないため、より一層、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることが可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、図1〜図5を参照して、この発明の鍵盤装置の第1実施形態について説明する。なお、図16〜図18に示された従来例と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
この鍵盤装置は、クリック感付与部材20が従来例と異なり、これ以外は従来例と同じ構成になっている。このクリック感付与部材20は、図1に示すように、ハンマーアーム5の上限ストッパ9の後方(同図では右方)における鍵盤シャーシ1の後端部1b内の上部内面に設けられた傾斜部材21を備えている。この傾斜部材21には、図1〜図4に示すように、押鍵時に鍵2が下方に回動する行き行程で、ハンマーアーム5の下端部5cの後端に設けられた突起部22の先端が下方から当接して移動する傾斜段部23が設けられている。この傾斜段部23は、ハンマーアーム5の突起部22が当接して移動する傾斜部23aと、この傾斜部23aのほぼ中間部に設けられた段差部23bとからなり、押鍵時にハンマーアーム5の突起部22の先端が下方から段差部23bに当接するように構成されている。
【0016】
一方、ハンマーアーム5は、鍵盤シャーシ1上に設けられたハンマー支持軸6に回動可能で、かつ鍵2の前後方向に向けて移動可能に取り付けられている。すなわち、ハンマーアーム5には、ハンマー支持軸6が移動可能に挿入する長孔24が設けられている。この長孔24は、押鍵時にハンマーアーム5が回動してその突起部22が傾斜段部23に下方から当接するときに、ほぼ水平な状態となるように形成されている。従って、このハンマーアーム5は、押鍵時に突起部22が下方から傾斜段部23に当接し、この傾斜段部23に沿って移動するときに、ハンマー支持軸6が長孔24内を相対的に移動することにより、鍵2の前方(図4に示す左方)に移動し、また鍵2が上方に回動する戻り行程で突起部22が下方に移動するときに、突起部22が傾斜部材21から離脱し、下限ストッパ8に当接する前に、ハンマーアーム5の錘7の重量によってハンマー支持軸6が長孔24内を相対的に逆方向に移動することにより、鍵2の後方(図1に示す右方)に移動して初期状態に戻るように構成されている。
【0017】
このような鍵盤装置では、従来例と同様、ハンマーアーム5の錘7の重量に抗して鍵2が押鍵されると、鍵2が軸4を中心に下方に回動するとともに、ハンマーアーム5がハンマー支持軸6を中心に図1において反時計方向に回動した後、鍵2のスイッチ押圧部16がゴムスイッチ15を押圧する。この後、図3に示すように、ハンマーアーム5の突起部22が傾斜部材21の傾斜段部23の段差部23bに下方から当接し、この段差部23bから上側の傾斜面23aに沿って移動する。このときには、ハンマーアーム5の長孔24がほぼ水平となり、ハンマーアーム5の突起部22が傾斜段部23に沿って移動するのに伴ってハンマー支持軸6が長孔24内をハンマーアーム5の重量に抗して相対的に移動し、これによりハンマーアーム5が図4に示すように鍵2の前方に移動する。このときに、図5のC点からD点に示すように、鍵荷重が急激に重くなる。そして、図4に示すようにハンマーアーム5の突起部22が傾斜段部23を乗り越えると、図5のD点からE点に示すように、鍵荷重は急激に軽くなる。これにより、鍵2に抜ける感じのクリック感が与えられる。この後は、従来例と同様、ハンマーアーム5の突起部22の上面が上限ストッパ9に当接して、ハンマーアーム5および鍵2の回動が停止する。
【0018】
この後、ハンマーアーム5が錘7の重量により図4において時計方向に回動すると、これに伴って鍵2が上方に回動する。この戻り行程のときには、ハンマーアーム5が前方に移動した状態、つまりハンマー支持軸6がハンマーアーム5の長孔24内の右端部に位置した状態で回動するので、ハンマーアーム5の突起部22は、傾斜部材21の傾斜段部23に沿って移動せず、傾斜部材21からそのまま離脱する。このため、図5のF点からH点に示すように、鍵荷重が重くなることがなく、鍵2にクリック感が付与されることがない。なお、この後は、従来例と同様、ハンマーアーム5および鍵2が回動して図1に示す初期位置に戻るのであるが、このときには、ハンマーアーム5が回動して長孔24が右下がりに傾くので、ハンマーアーム5の錘7の重量によりハンマー支持軸6が長孔24内を相対的に逆方向に移動することになり、これによりハンマーアーム5が後方(図1では右側)に移動し、この後、ハンマーアーム5の突起部22の下面が下限ストッパ8に当接して、ハンマーアーム5が初期位置に戻る。
【0019】
このように、この鍵盤装置では、押鍵時に鍵2が下方に回動する行き行程では、ハンマーアーム5の突起部22が傾斜部材21の傾斜段部23に当接し、この傾斜段部23に沿って移動するときに、ハンマーアーム5がその錘7の重量に抗して鍵2の前方に移動するので、鍵荷重が急激に重くなり、突起部22が傾斜段部23を乗り越えると、鍵荷重が軽くなり、これにより鍵2に抜ける感じの鍵タッチ感を付与することができ、また鍵2が上方に回動する戻り行程では、ハンマーアーム5の突起部22が傾斜段部23に沿って移動せず、そのまま傾斜部材21から離脱するため、鍵2に対しクリック感が付与されることがなく、このためアコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができる。また、戻り行程では、鍵2にクリック感が付与されないため、ハンマーアーム5の復帰速度が従来のものよりも早くなり、これに伴って鍵2の初期位置への復帰が早くなるため、連打性が向上する。
【0020】
なお、上記第1実施形態では、ハンマーアーム5の突起部22が傾斜部材21の傾斜段部23に当接し、この傾斜段部23に沿って移動するときに、ハンマーアーム5が鍵2の前方に移動するように構成したが、これに限らず、例えば図6に示すように、鍵盤シャーシ1の後端部1b内の上部内面に長孔25を鍵2の前後方向に沿って設け、この長孔25に傾斜部材21をスライド可能に取り付け、この傾斜部材21をばねなどの復帰部材26により初期位置に復帰するように付勢した構造でも良い。この場合には、ハンマーアーム5は鍵2の前後方向に移動することなくハンマー支持軸6に回動のみ可能に取り付けられている。このようにすれば、押鍵時に鍵2が下方に回動する行き行程でハンマーアーム5の突起部22が傾斜部材21の傾斜段部23に当接し、この傾斜段部23に沿って移動して傾斜部材21を乗り越えるときに、復帰部材26の復帰力に抗して傾斜部材21が長孔25に沿って鍵2の後方に移動するので、第1実施形態と同様、鍵2に抜ける感じの鍵タッチ感を付与することができ、また鍵2が上方に回動する戻り行程ではハンマーアーム5の突起部22が傾斜部材21からそのまま離脱するので、第1実施形態と同様、鍵2に対しクリック感が付与されることがなく、このためアコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができる。
【0021】
また、上記第1実施形態およびその変形例では、傾斜部材21をハンマーアーム5の後方に設け、ハンマーアーム5の下端部5cの後端に設けられた突起部22が傾斜部材21の傾斜段部23に当接するように構成したが、これに限らず、例えばハンマーアーム5の前方に傾斜部材21を設けるとともに、ハンマーアーム5の上端部5aの先端に突起部22を設け、この突起部22が傾斜部材21の傾斜段部23に当接するようにしても良い。この場合には、傾斜部材21を上下反転させて鍵盤シャーシ1上に取り付ければ良い。このようにしても、第1実施形態およびその変形例とほぼ同様の作用効果がある。
【0022】
[第2実施形態]
次に、図7〜図9を参照して、この発明の鍵盤装置の第2実施形態について説明する。この場合には、図1〜図5に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
この鍵盤装置は、クリック感付与部材30が第1実施形態と異なり、これ以外は第1実施形態と同じ構成になっている。このクリック感付与部材30は、図7に示すように、ハンマーアーム5の上端部5aの先端に設けられて外周面が鍵2の内面を摺動する回転体31と、この回転体31の外周面が摺動する鍵2の内面に設けられた突起片32とを備えている。回転体31は、ハンマーアーム5の上端部5aの先端に軸33により回転自在に取り付けられ、その外周面に鍵2の突起片32が乗り越えて係合する係合凹部31aが設けられ、回転規制部材34によってその回転角が規制されるように構成されている。
【0023】
回転規制部材34は、回転体31の外周面に設けられた規制凹部34aと、ハンマーアーム5に設けられたストッパ片34bとを有し、このストッパ片34bの先端部が規制凹部34a内に移動可能に挿入して規制凹部34a内の両側のいずれかの端面に当接することにより、回転体31の回転角を規制している。すなわち、回転体31は、押鍵時に鍵2が下方に回動する行き行程で突起片32が係合凹部31aに係合するときに、回転規制部材34のストッパ片34bが規制凹部34aの端面34cに当接することにより、その方向(図8(a)に示す矢印X方向)への回転が規制され、逆に鍵2が上方に回動する戻り行程で突起片32が係合凹部31aから離脱するときに、規制凹部34aがストッパ片34bから離間することにより、その方向(図8(c)に示す矢印Z方向)に回転するように構成されている。
【0024】
このような鍵盤装置では、従来例と同様、ハンマーアーム5の錘7の重量に抗して鍵2が押鍵されると、図7に示す状態で、鍵2が軸4を中心に下方に回動するとともに、ハンマーアーム5がハンマー支持軸6を中心に図7において反時計方向に回動する。このときには、ハンマーアーム5に取り付けられた回転体31の外周面が鍵2の内面を図8(a)に示す矢印Y方向に摺動し、これにより回転体31が同図に示す矢印X方向に回転しながら鍵2の突起片32に接近する。そして、鍵2のスイッチ押圧部16がゴムスイッチ15を押圧した後は、図8(b)に示すように、回転規制部材34のストッパ片34bに回転体31の規制凹部34bの端面34cが当接し、これにより回転体31の回転が規制され、この状態で図8(c)に示すように鍵2の突起片32が回転体31の外周面を乗り越えて回転体31の係合凹部31aに係合する。このように突起片32が回転体31の外周面を乗り越えて係合凹部31aに係合するときに、図9のC点からD点に示すように、鍵荷重が重くなり、突起片32が係合凹部31aに係合すると、図9のD点からE点に示すように、鍵荷重が軽くなる。これにより、鍵2に抜ける感じのクリック感が与えられる。この後、ハンマーアーム5の突起部22が上限ストッパ9に当接して、従来例と同様、ハンマーアーム5および鍵2の回動が停止する。
【0025】
この後、ハンマーアーム5が錘7の重量により図8(c)において時計方向に回動すると、これに伴って鍵2が上方に回動するともに、回転体31が鍵2の内面に沿って上記と逆方向(矢印Y方向と逆方向)に摺動を開始する。このときには、鍵2の突起片32が係合凹部31aの縁に当接して回転体31を図8(c)において左側に押すので、回転体31の規制凹部34aの端面34cがストッパ片34bから離間して回転体31が図8(c)に示す矢印Z方向に回転する。これにより、突起片32が回転体31の外周面を乗り越えることなく係合凹部31aから離脱する。このため、図9のF点からH点に示すように、鍵荷重が重くならず、鍵2にクリック感が付与されることがない。なお、この後は、従来例と同様に、ハンマーアーム5および鍵2が回動して図7に示す初期位置に戻る。
【0026】
このように、この鍵盤装置によれば、押鍵時に鍵2が下方に回動する行き行程では、回転規制部材34によって回転体31の回転が規制されるため、回転体31の外周面を鍵2の突起片32が乗り越えて係合凹部31aに係合することになり、このときに鍵荷重が重くなり、突起片32が係合凹部31aに係合したときに鍵荷重が軽くなり、これにより鍵2に抜ける感じの鍵タッチ感を付与することができ、また鍵2が上方に回動する戻り行程では、回転体31の係合凹部31aから突起片32が離脱するときに、回転規制部材34のストッパ片34bから規制凹部34aの端面34cが離れるので、回転体31が回転することになり、これにより鍵2に対しクリック感が付与されることがなく、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができる。また、戻り行程でクリック感が付与されないため、ハンマーアーム5の復帰速度が従来のものよりも早くなり、これに伴って鍵2の初期位置への復帰が早くなるため、連打性が向上する。
【0027】
なお、上記第2実施形態では、鍵2の内面に突起片32を設け、ハンマーアーム5に回転体31を設けたが、これに限らず、例えば図10に示すように、鍵2の後端部に支持部35を設け、この支持部35に回転体31を軸33により回転可能に取り付け、鍵盤シャーシ1上に回転体31の係合凹部31aに係合する弾性突起片36を設けた構成でも良い。この場合には、回転規制部材34の規制凹部34aを回転体31に設け、ストッパ片34bを鍵2の支持部35に設け、押鍵時に突起片32が係合凹部31aに係合するときに、回転規制部材34が回転体31の回転を規制し、突起片32が係合凹部31aから離脱するときに、回転規制部材34による回転体31の規制を解除して回転体31が回転するように構成すれば良い。このようにしても、第2実施形態と同様の作用効果があることは言うまでもない。
【0028】
また、上記第2実施形態およびその変形例では、回転体31に係合凹部31aを設け、鍵2に突起片32または鍵盤シャーシ1に弾性突起片36を設けたが、これに限らず、例えば回転体2に突起片を設け、鍵2に係合凹部または鍵盤シャーシ1に弾性係合凹部を設けるようにしても良い。また、回転規制部材34の規制部として、規制凹部34aを回転体31に設け、ストッパ片34bをハンマーアーム5側または鍵2側に設けたが、これに限らず、回転体31に規制突起を設け、ハンマーアーム5側または鍵2側に規制突起の先端部が移動可能に挿入するストッパ凹部を設けた構成にしても良い。このようにしても、第2実施形態およびその変形例と同様の作用効果があることは言うまでもない。
【0029】
[第3実施形態]
次に、図11〜図15を参照して、この発明の鍵盤装置の第3実施形態について説明する。この場合には、図1〜図5に示された第1実施形態、および図7〜図9に示された第2実施形態と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
この鍵盤装置は、第1実施形態のクリック感付与部材(以下、第1クリック感付与部材20という)と、第2実施形態のクリック感付与部材(以下、第2クリック感付与部材30という)とを組み合わせたものであり、これら以外は第1、第2実施形態と同じ構成になっている。
【0030】
すなわち、第1クリック感付与部材20は、図11および図12に示すように、ハンマーアーム5の上限ストッパ9の後方(同図では右方)における鍵盤シャーシ1の後端部1b内の上部内面に第1実施形態と同様に設けられた傾斜部材21を備えている。また、ハンマーアーム5は、第1実施形態と同様、鍵盤シャーシ1上に設けられたハンマー支持軸6に回動可能で、かつ鍵2の前後方向に向けて移動可能に取り付けられている。すなわち、ハンマーアーム5は、回動中心部分にハンマー支持軸6が移動可能に挿入する長孔24が設けられ、押鍵時にハンマーアーム5の突起部22が下方から傾斜段部23に当接して、この傾斜段部23に沿って移動するときに、ハンマー支持軸6が長孔24内を相対的に移動し、これにより鍵2の前方に移動し、また鍵2が上方に回動する戻り行程で突起部22が下方に移動するときに、突起部22が傾斜部材21から離脱し、下限ストッパ8に当接する前に、ハンマーアーム5の錘7の重量によってハンマー支持軸6が長孔24内を相対的に逆方向に移動し、これにより鍵2の後方に移動して初期状態に戻るように構成されている。
【0031】
一方、第2クリック感付与部材30は、図11および図12に示すように、ハンマーアーム5の上端部5aの先端に設けられて外周面が鍵2の内面を摺動する回転体31と、この回転体31が摺動する鍵2の内面に設けられた突起片32とを備えている。回転体31は、第2実施形態と同様、ハンマーアーム5の上端部5aの先端に軸33により回転自在に取り付けられ、その外周面に鍵2の突起片32が乗り越えて係合する係合凹部31aが設けられ、回転規制部材34によってその回転角が規制されている。回転規制部材34も、第2実施形態と同様、回転体31の外周面に設けられた規制凹部34aと、ハンマーアーム5に設けられたストッパ片34bとを有し、このストッパ片34bの先端部が規制凹部34a内に移動可能に挿入して規制凹部34a内の端面に当接することにより、回転体31の回転角を規制している。
【0032】
このような鍵盤装置では、従来例と同様、ハンマーアーム5の錘7の重量に抗して鍵2が押鍵されると、鍵2が軸4を中心に下方に回動するとともに、ハンマーアーム5がハンマー支持軸6を中心に図12において反時計方向に回動した後、鍵2のスイッチ押圧部16がゴムスイッチ15を押圧する。この後、図13に示すように、ハンマーアーム5の突起部22が第1クリック感付与部材20の傾斜段部23に下方から当接し、この傾斜段部23の段差部23bから上側の傾斜面23aに沿って移動する。このときには、ハンマー支持軸6が長孔24内をハンマーアーム5の重量に抗して相対的に移動することにより、図14に示すように、ハンマーアーム5が鍵2の前方に移動する。すると、第2クリック感付与部材30の回転体31が図13に示すように鍵2の内面を摺動しながら回転して、回転規制部材34のストッパ片34bに回転体31の規制凹部34bの端面34cが当接し、これにより回転体31の回転が規制され、この状態で鍵2の突起片32が図14に示すように回転体31の外周面を乗り越えて回転体31の係合凹部31aに係合する。
【0033】
このように鍵2が下方に回動する行き行程では、第1クリック感付与部材20のハンマーアーム5の突起部22が傾斜段部23に当接して、この傾斜段部23に沿って移動し、ハンマーアーム5がその重量に抗して鍵2の前方に移動するときに、鍵荷重が重くなり、かつ第2クリック感付与部材30の回転規制部材34により回転体31の回転が規制された状態で、鍵2の突起片32が回転体31の外周面を乗り越えて係合凹部31aに係合するときにも、鍵荷重が重くなり、これら第1、第2クリック感付与部材20、30の両者がほぼ同時に動作することにより、図15のC点からD点に示すように、第1、第2実施形態に比べて鍵荷重がかなり重くなり、また第1クリック感付与部材20のハンマーアーム5の突起部22が傾斜段部23を乗り越えたときに、鍵荷重が軽くなり、かつ第2クリック感付与部材30の突起片32が回転体31の係合凹部31aに係合したときにも、鍵荷重が軽くなり、これら第1、第2クリック感付与部材20、30の両者によって、図15のD点からE点に示すように、鍵2に抜ける感じのクリック感が大きく付与される。この後は、従来例と同様、ハンマーアーム5の突起部22の上面が上限ストッパ9に当接して、ハンマーアーム5および鍵2の回動が停止する。
【0034】
この後、ハンマーアーム5が錘7の重量により図14において時計方向に回動すると、これに伴って鍵2が上方に回動する。この戻り行程のときには、第1クリック感付与部材20の傾斜段部23によってハンマーアーム5が前方に移動した状態、つまりハンマー支持軸6がハンマーアーム5の長孔24内の右端部に位置した状態で回動するので、ハンマーアーム5の突起部22は、傾斜部材21の傾斜段部23に沿って移動せず、傾斜部材21からそのまま離脱する。このため、鍵荷重が重くなることがなく、鍵2にクリック感が付与されることがない。この後は、従来例と同様、ハンマーアーム5および鍵2が回動して図11および図12に示す初期位置に戻るのであるが、このときには、ハンマーアーム5の回動により長孔24が右下がりに傾くので、ハンマーアーム5の錘7の重量によりハンマー支持軸6が長孔24内を相対的に逆方向に移動し、これによりハンマーアーム5が後方に移動する。このときには、第2クリック感付与部材30の回転体31が鍵2の内面に沿って摺動を開始し、鍵2の突起片32が係合凹部31aの縁に当接して回転体31を回転させ、これにより突起片32が回転体31の外周面に接触することなく係合凹部31aから離脱する。このため、図15のF点からH点に示すように、鍵2にクリック感が付与されることがない。この後、ハンマーアーム5の突起部22の下面が下限ストッパ8に当接して初期位置に戻る。
【0035】
このように、この鍵盤装置によれば、押鍵時に鍵2が下方に回動する行き行程では、第1、第2クリック感付与部材20、30の両者によって、鍵2に抜ける感じのクリック感を大きく付与することができ、また鍵2が上方に回動する戻り行程では、第1、第2クリック感付与部材20、30の両者がそれぞれ鍵2に対するクリック感を付与することがないため、第1、第2実施形態のものよりも、より一層、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができ、しかも戻り行程でクリック感が付与されないため、ハンマーアーム5の復帰速度が従来のものよりも早くなり、これに伴って鍵2の初期位置への復帰が早くなるため、連打性が向上する。
【0036】
なお、上記第3実施形態では、ハンマーアーム5の突起部22が傾斜部材21の傾斜段部23に当接して移動するときに、ハンマーアーム5が鍵2の前方に移動するように、第1クリック感付与部材20を構成し、ハンマーアーム5の上端部5aの先端に回転体31を設け、この回転体31の係合凹部31aに鍵2の内面に設けられた突起片32が係合するように、第2クリック感付与部材30を構成したが、これに限らず、例えば図6に示す第1実施形態の変形例のように、傾斜部材21を鍵盤シャーシ1上に鍵2の前後方向にスライド可能に取り付け、この傾斜部材21をばねなどの復帰部材26により傾斜部材21を初期位置に付勢するように、第1クリック感付与部材を構成し、かつ図10に示す第2実施形態の変形例のように、回転体31を鍵2の後端部に設けられた支持部35に軸33により回転可能に取り付け、鍵盤シャーシ1上に回転体31の係合凹部31aに係合する突起片32を設け、押鍵時に突起片32が回転体31の係合凹部31aに係合するように、第2クリック感付与部材を構成しても良い。このようにしても、第3実施形態とほぼ同様の作用効果があることは言うまでもない。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、押鍵時に鍵が下方に回動する行き行程では、ハンマーアームの一部が傾斜部材に当接して移動する際に、ハンマーアームと傾斜部材とが相対的に鍵の前後方向に変位することにより、鍵荷重が重くなり、ハンマーアームの一部が傾斜部材を移動して乗り越えると鍵荷重が軽くなり、これにより鍵に抜ける感じの鍵タッチ感を付与することができ、また鍵が上方に回動する戻り行程では、ハンマーアームの一部が傾斜部材から離脱するので、鍵に対しクリック感が付与されることがなく、このためアコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができる。
【0038】
請求項3記載の発明によれば、押鍵時に鍵が下方に回動する行き行程で突起片が回転体の係合部に係合するときに、回転規制部材によって回転体の回転が規制されるため、回転体の係合部に突起片が乗り越えて係合することになり、このため突起片が乗り越えるときに鍵荷重が重くなり、乗り越えて係合部に係合したときに鍵荷重が軽くなり、これにより鍵に抜ける感じの鍵タッチ感を付与することができ、また鍵が上方に回動する戻り行程では、係合部から突起片が離脱するときに回転規制部材による回転体に対する規制が解除されて回転体が回転するので、鍵に対しクリック感が付与されることがなく、このためアコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができる。
【0039】
請求項6記載の発明によれば、請求項1記載のクリック感付与手段を第1クリック感付与手段とし、また請求項3記載のクリック感付与手段を第2とクリック感付与手段として、その両者を組み合わせたので、押鍵時に鍵が下方に回動する行き行程では、第1クリック感付与手段および第2クリック感付与手段の両者により、鍵に抜ける感じの鍵タッチ感を大きく付与することができ、鍵が上方に回動する戻り行程では、第1クリック感付与手段および第2クリック感付与手段の両者が鍵に対しクリック感を付与しないため、より一層、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の鍵盤装置の第1実施形態を示した断面図。
【図2】図1の鍵盤装置の傾斜部材を示した拡大断面図。
【図3】図1の鍵盤装置の鍵を押鍵してハンマーアームの突起部が傾斜部材に下方から当接した状態を示した一部省略した断面図。
【図4】図1の鍵盤装置の鍵を押鍵してハンマーアームの突起部が傾斜部材を乗り越えた状態を示した一部省略した断面図。
【図5】図1の鍵盤装置における鍵ストロークに対する鍵荷重の特性を示した図。
【図6】第1実施形態の変形例を示した図。
【図7】この発明の鍵盤装置の第2実施形態を示した断面図。
【図8】図7の鍵盤装置のクリック感付与部材の動作状態を示し、(a)は鍵を押鍵する前の状態を示した要部の拡大断面図、(b)は鍵を押鍵して回転体が鍵の突起片に接近した状態を示した要部の拡大断面図、(c)は鍵が押鍵されて鍵の突起片が回転体の係合凹部に係合した状態を示した要部の拡大断面図。
【図9】図7の第2実施形態における鍵盤装置の鍵ストロークに対する鍵荷重の特性を示した図。
【図10】第2実施形態の変形例を示した図。
【図11】この発明の鍵盤装置の第3実施形態を示した断面図。
【図12】図11の鍵盤装置の要部を拡大した断面図。
【図13】図12の状態で鍵が押鍵されてハンマーアームの突起部が傾斜部材に下方から当接した状態を示した要部拡大断面図。
【図14】図13の状態で更に鍵が回動してハンマーアームの突起部が傾斜部材を乗り越え、かつハンマーアームが鍵の前方に移動して鍵の突起片が回転体の係合凹部に係合した状態を示した要部拡大断面図。
【図15】図11の第3実施形態における鍵盤装置の鍵ストロークに対する鍵荷重の特性を示した図。
【図16】従来の鍵盤装置を示した断面図。
【図17】図16の従来のクリック感付与部材を示した拡大断面図。
【図18】図16の従来の鍵盤装置における鍵ストロークに対する鍵荷重の特性を示した図。
【符号の説明】
1 鍵盤シャーシ
2 鍵
3 鍵支持部
4 軸
5 ハンマーアーム
6 ハンマー支持軸
20、30 クリック感付与部材
21 傾斜部材
22 ハンマーアームの突起部
23 傾斜段部
24、25 長孔
26 復帰部材
31 回転体
31a 係合凹部
32 突起片
34 回転規制部材
34a 規制凹部
34b ストッパ片
36 弾性突起片
Claims (6)
- 鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に上下方向に回動可能に設けられた複数の鍵と、これら複数の鍵それぞれに対応して設けられて前記鍵を上方に付勢し、前記鍵の押鍵動作に伴って回動変位して前記鍵にアクション荷重を付与するためのハンマーアームと、前記複数の鍵それぞれにクリック感を付与するクリック感付与手段とを備え、
前記クリック感付与手段は、押鍵時に前記鍵が下方に回動する行き行程で前記ハンマーアームの一部が当接移動する傾斜部材を有し、
前記行き行程で前記ハンマーアームの一部が前記傾斜部材に当接して移動する際に、前記ハンマーアームと前記傾斜部材とが相対的に前記鍵の前後方向に変位し、前記鍵が上方に回動する戻り行程で前記ハンマーアームの一部が前記傾斜部材から離脱することを特徴とする鍵盤装置。 - 前記ハンマーアームは、前記鍵盤シャーシのハンマー支持軸に回転自在で、かつ前記鍵の前後方向に向けて移動可能に取り付けられ、
前記傾斜部材は、前記鍵盤シャーシ側に固定され、押鍵時に前記鍵が下方に回動する行き行程で前記ハンマーアームの一部が当接して移動する際、前記ハンマーアームを前記ハンマー支持軸に沿って前記鍵の前後方向に移動させることを特徴とする請求項1記載の鍵盤装置。 - 鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に上下方向に回動可能に設けられた複数の鍵と、これら複数の鍵それぞれにクリック感を付与するクリック感付与手段とを備え、
前記クリック感付与手段は、突起片と、この突起片が乗り越えて係合する係合部を有する回転体と、この回転体の回転角を規制する回転規制部材とを備え、押鍵時に前記鍵が下方に回動する行き行程で前記係合部に前記突起片が係合するときに前記回転体の回転が前記回転規制部材によって規制され、前記鍵が上方に回動する戻り行程で前記係合部から前記突起片が離脱するときに前記回転規制部材による前記回転体に対する規制が解除されて前記回転体が回転することを特徴とする鍵盤装置。 - 前記突起片は前記鍵に設けられ、前記回転体は前記鍵の押鍵動作に伴って回動変位して前記鍵にアクション荷重を付与するためのハンマーアームに設けられ、前記回転規制部材は、前記回転体に設けられた規制部と、前記ハンマーアームに設けられたストッパ部とからなり、前記鍵の行き行程で前記ストッパ部が前記規制部に当接し、前記鍵の戻り行程で前記ストッパ部が前記規制部から離間することを特徴とする請求項3記載の鍵盤装置。
- 前記突起片は前記鍵盤シャーシに設けられ、前記回転体は前記鍵に設けられ、前記回転規制部材は、前記回転体に設けられた規制部と、前記鍵に設けられたストッパ部とからなり、前記鍵の行き行程で前記ストッパ部が前記規制部に当接し、前記鍵の戻り行程で前記ストッパ部が前記規制部から離間することを特徴とする請求項3記載の鍵盤装置。
- 鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に上下方向に回動可能に設けられた複数の鍵と、これら複数の鍵それぞれに対応して設けられて前記鍵を上方に付勢し、前記鍵の押鍵動作に伴って回動変位して前記鍵にアクション荷重を付与するためのハンマーアームと、前記複数の鍵それぞれにクリック感を付与する第1、第2クリック感付与手段とを備え、
前記第1クリック感付与手段は、押鍵時に前記鍵が下方に回動する行き行程で前記ハンマーアームの一部が当接移動する傾斜部材を有し、押鍵時の前記行き行程で前記ハンマーアームの一部が前記傾斜部材に当接して移動する際に、前記ハンマーアームと前記傾斜部材とが相対的に前記鍵の前後方向に変位し、前記鍵が上方に回動する戻り行程で前記ハンマーアームの一部が前記傾斜部材から離脱するように構成され、
前記第2クリック感付与手段は、突起片と、この突起片が乗り越えて係合する係合部を有する回転体と、この回転体の回転角を規制する回転規制部材とを備え、押鍵時に前記鍵が下方に回動する行き行程で前記係合部に前記突起片が係合するときに前記回転体の回転が前記回転規制部材によって規制され、前記鍵が上方に回動する戻り行程で前記係合部から前記突起片が離脱するときに前記回転規制部材による前記回転体に対する規制が解除されて前記回転体が回転するように構成されていることを特徴とする鍵盤装置。
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