JP3744178B2 - 鍵盤装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子ピアノなどの鍵盤楽器における鍵盤装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子ピアノなどの鍵盤楽器では、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得るために、鍵の下方に所定の重量を有するハンマーアームを上下方向に回動可能に設け、鍵の押鍵操作に伴ってハンマーアームがそれ自身の重量に抗して回動することにより、鍵に所定のアクション荷重を付与するようにしたものがある。
このような鍵盤楽器では、鍵を回動可能に支持する鍵盤シャーシにハンマーアームをただ単に回動可能に取り付けた場合、鍵に所定のアクション荷重を付与することはできるが、アコースティックピアノで得られる抜ける感じの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができない。
そこで、従来では、このような鍵タッチ感が得られるように、クリック感付与手段を備えた鍵盤装置が開発されている。
【0003】
図15はその一例を示した図である。この鍵盤装置は、楽器ケース内に組み込まれる鍵盤シャーシ1を備えている。この鍵盤シャーシ1は、前端部(同図では左端部)1aが凹部状に折り曲げられた上、その前端上部が更にL字状に折り曲げられ、かつ後端部(同図では右端部)1bがコ字状に折り曲げられ、前端部1aの凹部状の部分の底部と後端部1bのコ字状の部分の底部とがほぼ同じ高さに形成されている。この鍵盤シャーシ1上には、合成樹脂製の複数の鍵(白鍵と黒鍵、ただしここでは黒鍵について説明する。)2が並列に配置されている。この場合、各鍵2は、その後端部(同図では右端部)の下部が鍵盤シャーシ1の後端部1b上に設けられた鍵支持部3の軸4に回動自在に取り付けられ、この軸4を中心に上下方向に回動するように構成されている。
【0004】
また、鍵2の中間部に対応する鍵盤シャーシ1上には、ハンマーアーム5を上下方向に回動自在に支持するハンマー支持軸6が設けられている。ハンマーアーム5は、上端部5a、中間部5b、および下端部5cからなり、中間部5bがハンマー支持軸6に回動自在に支持され、下端部5cが鍵盤シャーシ1の開口部1cを通して鍵盤シャーシ1の後端部1b内に配置され、この下端部5cに錘7が設けられ、この錘7の重量によって図15において時計方向に付勢され、これにより上端部5aが鍵2の下面に当接し、鍵2を上方に付勢している。また、このハンマーアーム5は、図15に示すように、通常は錘7の重量によって下方に付勢され、下端部5cの先端に設けられた突起部5dの下面が鍵盤シャーシ1の後端部1bの底部上に設けられたフェルトなどの下限ストッパ8に当接し、これにより所定の下限位置に位置規制されており、また錘7の重量に抗して鍵2が押鍵された際には、ハンマーアーム5の下端部5cの突起部5dの上面が鍵盤シャーシ1の後端部1bの上部内面に設けられたフェルトなどの上限ストッパ9に当接し、これにより所定の上限位置に位置規制されている。
【0005】
このハンマーアーム5の下端部5cの後方(同図では右方)における鍵盤シャーシ1の後端部1bの底部上には、鍵2にアコースティックピアノで得られる抜ける感じの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を付与するクリック感付与部材10が設けられている。このクリック感付与部材10は、図15および図16に示すように、鍵盤シャーシ1の後端部1bの底部上に固定された合成樹脂製のローラ支持体11を備えている。このローラ支持体11は、各鍵2に対応する個所に板ばね部11aがほぼL字形状に形成されて上方に延び、この板ばね部11aの上端部にローラ12が回転自在に取り付けられる取付枠11bが形成された構造になっている。このクリック感付与部材10は、押鍵時にハンマーアーム5の下端部5cに設けられた突起部5dの先端がローラ12に当接した後、ローラ支持体11の板ばね部11aのばね力に抗してローラ12を乗り越えたときに、鍵2に抜ける感じの鍵タッチ感を付与する。
【0006】
なお、各鍵2は、ハンマーアーム5によって上方に付勢されているが、通常は各鍵2の前端部に垂設されたL字状のストッパ片13が鍵盤シャーシ1の前端部1aにおける凹部状の部分の両側下面にそれぞれ設けられたフェルトなどの上限ストッパ14に当接することにより、所定の初期位置(上限位置)に位置規制されている。また、各鍵2には、押鍵時にゴムスイッチ15を押圧するためのスイッチ押圧部16が設けられている。ゴムスイッチ15は、その内部に固定接点と可動接点が2組設けられたものであり、鍵盤シャーシ1の中間部の下面に設けられた回路基板17上に配設され、鍵盤シャーシ1の開口部1dを通して上方に突出し、これにより鍵2のスイッチ押圧部16が押圧可能に離間対向している。
【0007】
このような鍵盤装置では、ハンマーアーム5の錘7の重量に抗して鍵2が押鍵されると、鍵2がその後端部の軸4を中心に下方に回動するとともに、ハンマーアーム5がその中間部5bのハンマー支持軸6を中心に図15において反時計方向に回動し、この後、鍵2のスイッチ押圧部16がゴムスイッチ15を押圧した後、ハンマーアーム5の突起部5dがクリック感付与部材10のローラ12を乗り越えて鍵2に抜ける感じのクリック感を与え、この後、突起部5dが上限ストッパ9に当接することにより、ハンマーアーム5および鍵2の回動が停止する。この後、ハンマーアーム5が錘7の重量により図15において時計方向に回動し、上記と逆の動作を行って、鍵2が図15に示す初期位置に戻る。
【0008】
このときの鍵ストロークに対する鍵荷重について、図17を参照して詳細に説明する。
まず、鍵2が押鍵されて下方に回動する行き行程では、鍵2が回動を開始するときに、ハンマーアーム5の錘7の重量が鍵2に作用するため、鍵荷重が急激に重くなり、A点に到達するとハンマーアーム5の回動速度がほぼ一定になるため、鍵荷重もほぼ一定になり、この状態で鍵2が回動してB点に到達すると、鍵2のスイッチ押圧部16がゴムスイッチ15に当接して押圧するので、鍵荷重が更に重くなる。そして、鍵2が回動してC点に到達すると、ハンマーアーム5の下端部5cの突起部5dの先端がクリック感付与部材10のローラ12に下方から当接してローラ支持体11の板ばね部11aを撓ませるので、鍵荷重が急に重くなる。すなわち、板ばね部11aが撓むときには、板ばね部11aの反発力がハンマーアーム5を押し下げる方向に作用するため、鍵荷重が急に重くなる。
【0009】
この後、D点に到達するとハンマーアーム5の突起部5dが板ばね部11aのばね力に抗してローラ12を乗り越えるので、鍵荷重が急激に軽くなる。このときには、板ばね部11aの撓みによる反発力がハンマーアーム5を押し上げる方向に作用するため、鍵荷重が急激に軽くなる。この結果、鍵2に抜ける感じのクリック感が付与される。そして、鍵2が更に回動してE点に到達すると、ハンマーアーム5の突起部5dが上限ストッパ9に当接するので、鍵荷重が急激に重くなり、ハンマーアーム5および鍵2の回動が停止する。
【0010】
また、鍵2が下限位置に到達して上方に回動する戻り行程では、ハンマーアーム5の錘7の重量によりハンマーアーム5が下方に回動するため、鍵荷重が急激に降下して軽くなり、行き行程でのE点よりも鍵荷重が軽いF点に到達する際、ハンマーアーム5の突起部5dの先端がクリック感付与部材10のローラ12に上方から当接してローラ支持体11の板ばね部11aを撓ませるので、更に鍵荷重が軽くなる。すなわち、このときには、板ばね部11aの撓みによる反発力がハンマーアーム5を押し上げる方向に作用するため、ハンマーアーム5が鍵2に作用する鍵荷重は軽くなる。そして、ハンマーアーム5の突起部5dが板ばね部11aのばね力に抗してローラ12を乗り越えると、板ばね部11aの撓みによる反発力がハンマーアーム5を押し下げる方向に作用するため、このハンマーアーム5によって鍵2が押し上げられることになり、これにより鍵荷重が急に重くなる。
【0011】
この後、G点に到達するとハンマーアーム5の突起部5dが板ばね部11aから離間し、板ばね部11aの反発力がハンマーアーム5に作用しないため、鍵荷重は急激に軽くなる。この結果、鍵2が上方に回動する戻り行程においても、鍵2にクリック感が付与される。このG点は行き行程のD点に比べて、ヒステリシスの時間差Tだけ遅れて発生する。そして、鍵2が回動してH点に到達すると、スイッチ押圧部16がゴムスイッチ15によって押し上げられる反発力により、鍵荷重が更に軽くなり、I点に到達するとスイッチ押圧部16がゴムスイッチ15から離間し、ハンマーアーム5がほぼ一定速度で回動するので、鍵荷重はほぼ一定となる。この状態で、ハンマーアーム5および鍵2が回動してJ点に到達すると、ハンマーアーム5の突起部5dが下限ストッパ8に当接して回動が停止するので、鍵荷重が急激に軽くなり、鍵2のストッパ片13が上限ストッパ14に当接して鍵2が初期位置に戻る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このような鍵盤装置では、押鍵時に鍵2が下方に回動する行き行程のときに、ハンマーアーム5が上方に回動してその突起部5dがクリック感付与部材10のローラ12に当接した後、ローラ支持体11の板ばね部11aのばね力に抗してローラ12を乗り越えることにより、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した抜ける感じのクリック感を鍵2に付与することができる。しかし、ハンマーアーム5が下方へ回動して鍵2が上方に回動する戻り行程のときにも、ハンマーアーム5の突起部5dがローラ12に当接して板ばね部11aのばね力に抗してローラ12を乗り越えるため、鍵2にクリック感を付与してしまうことになり、本来アコースティックピアノには無い戻り行程でのクリック感が発生してしまうという問題がある。また、このように戻り行程でクリック感が発生すると、ハンマーアーム5の復帰速度が遅くなり、これに伴って鍵2の初期位置への復帰の遅くなるため、連打性が悪くなるという問題も生じる。
【0013】
この発明の課題は、押鍵時に鍵が下方に回動する行き行程で鍵に抜ける感じの鍵タッチ感を良好に付与し、戻り行程で鍵に対するクリック感を軽減し、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感が得られるようにすることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に上下方向に回動可能に設けられた複数の鍵と、これら複数の鍵それぞれに対応して設けられて前記鍵を上方に付勢し、前記鍵の押鍵動作に伴って回動変位して前記鍵にアクション荷重を付与するためのハンマーアームと、前記複数の鍵それぞれにクリック感を付与するクリック感付与部材とを備え、前記クリック感付与部材は、所定個所にレバー突起が設けられて押鍵時に上下方向に回動する回動レバーと、この回動レバーの前記レバー突起が当接して乗り越える規制部材とを備え、前記回動レバーは、押鍵時に前記鍵が下方に回動する行き行程で前記鍵の一部または前記ハンマーアームの一部が下方から当接する第1当接部と、前記鍵が上方に回動する戻り行程で前記鍵の一部または前記ハンマーアームの一部が上方から当接する第2当接部とを有し、前記第1当接部が前記第2当接部から上方に所定間隔離れた構成であることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、押鍵時に鍵が下方に回動する行き行程では、鍵の一部またはハンマーアームの一部が回動レバーの第1当接部に下方から当接して回動レバーが回動し、この回動レバーのレバー突起が規制部材に当接して乗り越える際、規制部材による反発力がハンマーアームを押し下げる方向に作用するため、鍵荷重が急激に重くなり、レバー突起が規制部材を乗り越えると、鍵荷重が急に軽くなり、これにより鍵にアコースティックピアノの抜ける感じの鍵タッチ感を付与することができる。また、鍵が上方に回動する戻り行程では、ハンマーアームがその重量で鍵を上方に押し上げながら回動し、鍵の一部またはハンマーアームの一部が回動レバーの第2当接部に上方から当接して回動レバーが逆方向に回動し、この回動レバーのレバー突起が規制部材に当接して乗り越える際、規制部材による反発力がハンマーアームを押し上げる方向に作用するため、鍵荷重が軽くなる。すなわち、このときには、第2当接部が第1当接部の下方に所定間隔だけ離れているので、ハンマーアームがその重量により速度をもって回動し、このハンマーアームの速度に伴って鍵の一部またはハンマーアームの一部が第2当接部に衝突し、その衝撃により回動レバーが急激に回動してレバー突起が規制部材を急激に乗り越えるため、鍵荷重が一瞬だけ軽くなる。これにより、戻り行程での鍵に対するクリック感が軽減され、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができる。
【0016】
請求項2記載の発明は、鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に上下方向に回動可能に設けられた複数の鍵と、これら複数の鍵それぞれに対応して設けられて前記鍵を上方に付勢し、前記鍵の押鍵動作に伴って回動変位して前記鍵にアクション荷重を付与するためのハンマーアームと、前記複数の鍵それぞれにクリック感を付与するクリック感付与部材とを備え、前記クリック感付与部材は、外周面に突起が設けられて押鍵時に上下方向に回動する回動体と、この回動体の前記突起が当接して乗り越える規制部とを備え、これらが前記鍵または前記ハンマーアームに設けられ、前記回動体は、押鍵時に前記鍵が下方に回動する行き行程で前記鍵盤シャーシ側に設けられた回動体用上限ストッパに下方から当接する第1当接部と、前記鍵が上方に回動する戻り行程で前記鍵盤シャーシ側に設けられた回動体用下限ストッパに上方から当接する第2当接部とを有することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、押鍵時に鍵が下方に回動する行き行程では、鍵またはハンマーアームの回動に伴って回動体が上方に移動し、この回動体の第1当接部が回動体用上限ストッパに下方から当接して回動体が回動し、この回動体の突起が規制部に当接して乗り越える際、規制部による反発力がハンマーアームを押し下げる方向に作用するため、鍵荷重が急激に重くなり、突起が規制部を乗り越えると、鍵荷重が急に軽くなり、これにより鍵にアコースティックピアノの抜ける感じの鍵タッチ感を付与することができる。また、鍵が上方に回動する戻り行程では、ハンマーアームがその重量で鍵を押し上げながら回動し、これに伴って回動体が下方に移動して第2当接部が回動体用下限ストッパに上方から当接し、これにより回動体が逆方向に回動して回動体の突起が規制部に当接して乗り越える際、規制部による反発力がハンマーアームを押し上げる方向に作用するため、鍵荷重が軽くなる。すなわち、このときには、ハンマーアームがその重量により速度をもって回動し、このハンマーアームの速度に伴って回動体が降下して第2当接部が回転体用下限ストッパに衝突し、その衝撃により回動体が急激に回動して突起が規制部を急激に乗り越えるため、鍵荷重が一瞬軽くなる。これにより、戻り行程での鍵に対するクリック感が軽減され、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができる。
【0018】
請求項3記載の発明は、鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に上下方向に回動可能に設けられた複数の鍵と、これら複数の鍵それぞれにクリック感を付与するクリック感付与部材とを備え、前記クリック感付与部材は、外周面に複数の規制突起が設けられて押鍵時に上下方向に回転する回転体と、この回転体が取り付けられ、押鍵時に前記鍵が下方に回動する行き行程で前記回転体の回転を阻止し、かつ前記鍵が上方に回動する戻り行程で前記回転体を回転可能な状態にするクラッチ部材と、押鍵時に前記回転体の複数の規制突起のいずれかに当接する弾性突起とを備えたことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、押鍵時に鍵が下方に回動する行き行程では、クラッチ部材により回転体の回転が阻止されるため、弾性突起と回転体の規制突起とが相対的に当接しても、回転体は回転せず、弾性突起が弾性変形して規制突起を乗り越えることになり、このときに弾性突起の弾性力による反発力がハンマーアームを押し下げる方向に作用するため、鍵荷重が急激に重くなり、弾性突起が規制突起を乗り越えると、鍵荷重が急に軽くなり、これにより鍵にアコースティックピアノの抜ける感じの鍵タッチ感を付与することができる。また、鍵が上方に回動する戻り行程では、クラッチ部材により回転体が回転可能な状態になるため、ハンマーアームがその重量で鍵を押し上げながら回動して弾性突起と回転体の規制突起とが相対的に当接すると、弾性突起が弾性変形することなく、弾性突起により回転体が回転して弾性突起が規制突起を乗り越えるので、鍵荷重が重くなることがない。これにより、戻り行程での鍵に対するクリック感がほとんど生じることがなく、より一層、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、図1〜図4を参照して、この発明の鍵盤装置の第1実施形態について説明する。なお、図15〜図17に示された従来例と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
この鍵盤装置では、クリック感付与部材20が従来例と異なり、これ以外は従来例と同じ構成になっている。このクリック感付与部材20は、図1および図2に示すように、ハンマーアーム5の後方(同図では右方)における鍵盤シャーシ1の後端部1b内の底部に設けられた支持体21を備えている。
この支持体21の上部には、回動レバー22がレバー軸23によって上下方向に回動自在に取り付けられており、支持体21の底部には、板ばね部(規制部材)24がその上部をレバー軸23に接近させた状態で立設されている。
【0021】
回動レバー22は、押鍵時に鍵2が下方に回動する行き行程でハンマーアーム5の下端部5cの先端部25が下方から当接する第1当接部26と、鍵2が上方に回動する戻り行程でハンマーアーム5の先端部25が上方から当接する第2当接部27とを有し、第1当接部26が第2当接部27から上方に所定間隔だけ離れ、これら第1、第2当接部26、27がほぼコ字状に形成され、その中間部のほぼ中心部にアーム部28が後方(図1では右方)に延出して形成され、このアーム部28の後端部がレバー軸23に回動自在に取り付けられ、このレバー軸23の周囲に位置するアーム部28の外周面にレバー突起29が設けられた構成になっている。この場合、下側の第2当接部27は、上側の第1当接部26よりも長さが長く形成されている。一方、板ばね部24の上部には、アーム部28のレバー突起29が当接し、板ばね部24のばね力に抗して乗り越える規制突起30が設けられている。なお、鍵盤シャーシ1の後端部1bにおける上部内面には、回動レバー22の第1当接部26が当接するレバー用ストッパ31が設けられている。また、この回動レバー22は、押鍵されない初期状態では図1に示す所定位置に保持されている。
【0022】
このような鍵盤装置では、従来例と同様、ハンマーアーム5の錘7の重量に抗して鍵2が押鍵されると、鍵2が軸4を中心に下方に回動するとともに、ハンマーアーム5がハンマー支持軸6を中心に図1において反時計方向に回動した後、鍵2のスイッチ押圧部16がゴムスイッチ15を押圧する。この後、図2に示すように、ハンマーアーム5の先端部25が回動レバー22の第1当接部26に下方から当接し、これにより第1当接部26が押し上げられて回動レバー22がレバー軸23を中心に図1において時計方向に回動する。このときには、図3(a)に示すように、回動レバー22のレバー突起29が板ばね部24の規制突起30に当接し、板ばね部24のばね力に抗して規制突起30を乗り越える際に、板ばね部24のばね力による反発力がハンマーアーム5を押し下げる方向に作用するため、図4のC点からD点に示すように、鍵荷重が急激に重くなり、図3(b)に示すようにレバー突起29が規制突起30を乗り越えると、図4のD点からE点に示すように、鍵荷重が急に軽くなる。これにより、鍵2にアコースティックピアノの抜ける感じの鍵タッチ感が付与される。この後、回動レバー22の第1当接部26がレバー用ストッパ31に当接し、ハンマーアーム5の下端部5cの上面が上限ストッパ9に当接して、ハンマーアーム5および鍵2の回動が停止する。
【0023】
この後、ハンマーアーム5が錘7の重量により図2において時計方向に回動すると、これに伴って鍵2が上方に回動し、ハンマーアーム5の先端部25が回動レバー22の第2当接部27に上方から当接し、これにより第2当接部27が押し下げられて回動レバー22が図2において反時計方向に回動し、回動レバー22のレバー突起29が板ばね部24の規制突起30に当接し、板ばね部24のばね力に抗して規制突起30を乗り越える。このときには、板ばね部24のばね力による反発力がハンマーアーム5を押し上げる方向に作用するため、図4のG点に示すように、鍵荷重は軽くなる。すなわち、このときには、第2当接部27が第1当接部26の下方に所定間隔だけ離れているので、ハンマーアーム5がその重量により速度をもって回動し、このハンマーアーム5の速度によりハンマーアーム5の先端部25が第2当接部27に衝突し、その衝撃により回動レバー22が急激に回動し、レバー突起29が規制突起30を急激に乗り越えるため、図4のG点に示すように、鍵荷重が一瞬だけ軽くなる。この場合、特に第1当接部26に対し第2当接部27の長さが長く形成されているので、行き行程に比べて戻り行程の方がレバー突起29に大きな力が作用することになり、これによってもレバー突起29が規制突起30を急激に乗り越えることになり、鍵荷重が一瞬だけ軽くなる。このため、鍵2にはほとんどクリック感が付与されない。なお、この後は、回動レバー22が図1に示す初期位置に戻るとともに、従来例と同様、ハンマーアーム5および鍵2が回動して図1に示す初期位置に戻る。
【0024】
このように、この鍵盤装置では、押鍵時に鍵2が下方に回動する行き行程では、ハンマーアーム5の先端部25が回動レバー22の第1当接部26に下方から当接して第1当接部26を押し上げ、これにより回動レバー22が回動して回動レバー22のレバー突起29が板ばね部24のばね力に抗して規制突起30を乗り越えるので、鍵2にアコースティックピアノの抜ける感じの鍵タッチ感を付与することができ、また鍵2が上方に回動する戻り行程では、ハンマーアーム5がその重量で鍵2を押し上げながら回動し、ハンマーアーム5の先端部25が回動レバー22の第2当接部27に上方から当接するときに、ハンマーアーム5の速度によりハンマーアーム5の先端部25が第2当接部27に衝突し、その衝撃により回動レバー22が急激に回動してレバー突起29が規制突起30を急激に乗り越えるため、鍵荷重が一瞬だけ軽くなり、これにより戻り行程での鍵2に対するクリック感が軽減され、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができる。また、鍵2の戻り行程で鍵2に対するクリック感が軽減されると、ハンマーアーム5の復帰速度が従来のものよりも早くなり、これに伴って鍵2の初期位置への復帰も早くなるため、連打性が向上する。
【0025】
なお、上記第1実施形態では、ハンマーアーム5の先端部25が回動レバー22の第1、第2当接部26、27に当接して回動レバー22を回動させるようにしたが、これに限らず、例えば図5に示すように、鍵2の後端部に突起部32を設け、この突起部32が回動レバー22の第1、第2当接部26、27に上下方向から当接して回動レバー22を上下方向に回動させるようにしてもよい。この場合には、鍵盤シャーシ1の後端部1b上に支持体21を設け、この支持体21に第1実施形態と同様、回動レバー22および板ばね部24を取り付ければ良い。このようにしても、第1実施形態と同様の作用効果があることは言うまでもない。
【0026】
また、上記第1実施形態では、回動レバー22の第1、第2当接部26、27がコ字状に形成され、その中間部のほぼ中心部にアーム部28が設けられているが、これに限らず、第1、第2当接部26、27がコ字状に形成された中間部の上部側にアーム部28を設けて、レバー軸23から第1当接部26の先端までの距離よりも第2当接部27の先端までの距離を長く形成しても良い。このようにすれば、レバー軸23から第1当接部26の先端までの距離よりも第2当接部27の先端までの距離が長いので、押鍵時における行き行程に比べて戻り行程の方がレバー突起29に大きな力を作用させることができ、これにより戻り行程での鍵2に対するクリック感を更に軽減することができ、より一層、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができる。
【0027】
[第2実施形態]
次に、図6〜図9を参照して、この発明の鍵盤装置の第2実施形態について説明する。この場合には、図1〜図4に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
この鍵盤装置では、クリック感付与部材35が第1実施形態と異なり、これ以外は第1実施形態と同じ構成になっている。
このクリック感付与部材35は、図6および図7に示すように、上下方向に回動する回動体36、およびこの回動体36の回動を規制する規制部37を有し、これらがハンマーアーム5の下端部5cの先端部25に設けられた構成になっている。
【0028】
回動体36は、合成樹脂製の円板であり、その中心が支持軸38によりハンマーアーム5の先端部25に回動自在に取り付けられている。この回動体36の外周部には、その一部に形成された円弧状のスリット孔39に対応して弾性突起40が設けられている。この弾性突起40は、規制部37に当接して弾性変形することにより規制部37を乗り越えるように構成されている。また、この弾性突起40と対応する回動体36の外周部には、第1、第2当接部41、42が後方(図6および図7では右方)に突出して設けられている。第1当接部41は、押鍵時に鍵2が下方に回動する行き行程のときにハンマーアーム5の回動に伴って上方に移動して、鍵盤シャーシ1の後端部1b内における上部内面に設けられた回動体用上限ストッパ43に下方から当接する。また、第2当接部42は、鍵2が上方に回動する戻り行程のときにハンマーアーム5の回動に伴って下方に移動して、鍵盤シャーシ1の後端部1b内における底部に設けられた回動体用下限ストッパ44に上方から当接する。
【0029】
このような鍵盤装置では、従来例と同様、ハンマーアーム5の錘7の重量に抗して鍵2が押鍵されると、鍵2が軸4を中心に下方に回動するとともに、ハンマーアーム5がハンマー支持軸6を中心に図6において反時計方向に回動した後、鍵2のスイッチ押圧部16がゴムスイッチ15を押圧する。この後、図7に示すように、ハンマーアーム5の先端部25に設けられた回動体36が上方に移動し、この回動体36の第1当接部41が鍵盤シャーシ1の回動体用上限ストッパ43に下方から当接し、これにより回動体36が支持軸38を中心に回動する。このときには、回動体36の弾性突起40が規制部37に当接し、回動体36の回動に伴って弾性突起40が弾性変形して規制部37を乗り越える際に、弾性突起40の弾性変形による反発力がハンマーアーム5を押し下げる方向に作用するため、図9のC点からD点に示すように、鍵荷重が急激に重くなり、図8(b)に示すように弾性突起40が規制部37を乗り越えると、図9のD点からE点に示すように、鍵荷重が急に軽くなる。これにより、鍵2にアコースティックピアノの抜ける感じの鍵タッチ感が付与される。この後は、ハンマーアーム5の下端部5cの上面が上限ストッパ9に当接して、ハンマーアーム5および鍵2の回動が停止する。
【0030】
この後、ハンマーアーム5が錘7の重量により図7において時計方向に回動すると、これに伴って鍵2が上方に回動し、ハンマーアーム5の先端部25に設けられた回動体36が下方に移動する。このときには、従来例と同様、鍵荷重が急激に降下して軽くなり、行き行程でのE点よりも鍵荷重の軽いF点を経てH点に移行し、鍵2のスイッチ押圧部16がゴムスイッチ15によって押し上げられ、これにより鍵荷重が更に軽くなり、I点に到達してスイッチ押圧部16がゴムスイッチ15から離間すると、ハンマーアーム5がほぼ一定速度で回動するので、鍵荷重がほぼ一定となる。この後、回動体36の第2当接部42が鍵盤シャーシ1の回動体用下限ストッパ44に上方から当接し、図8(a)に示すように、回動体36が回動して回動体36の弾性突起40が規制部37に当接し、この弾性突起40が弾性変形して規制部37を乗り越える。このときには、弾性突起40の弾性力による反発力がハンマーアーム5を押し上げる方向に作用するため、図9のG点に示すように、鍵荷重は一瞬だけ軽くなる。すなわち、回動体36はハンマーアーム5の上限位置から下限位置まで回動し、この回動速度で第2当接部42が下方に移動して下限ストッパ44に衝突するため、その衝撃により回動体36が急激に回動し、弾性突起40が弾性変形して規制部37を急激に乗り越えることになり、これにより図9のG点に示すように、鍵荷重が一瞬だけ軽くなる。このため、鍵2にはほとんどクリック感が付与されない。なお、この後は、従来例と同様、ハンマーアーム5および鍵2が回動して図6に示す初期位置に戻る。
【0031】
このように、この鍵盤装置では、押鍵時に鍵2が下方に回動する行き行程では、ハンマーアーム5に伴って回動体36が上方に移動し、この回動体36の第1当接部41が回動体用上限ストッパ43に下方から当接して回動体36を回動させることにより、回動体36の弾性突起40が弾性変形して規制部37を乗り越えるので、鍵2にアコースティックピアノの抜ける感じの鍵タッチ感を付与することができ、また鍵2が上方に回動する戻り行程では、ハンマーアーム5と共に回動体36が下方に移動し、回動体36の第2当接部42が回動体用下限ストッパ44に上方から当接するときに、ハンマーアーム5の回動速度に伴って回動体36が降下して第2当接部42が回動体用下限ストッパ44に衝突し、その衝撃によって回動体36が急激に回動して弾性突起40が規制部37を急激に乗り越えるため、鍵荷重が一瞬だけ軽くなり、これにより戻り行程での鍵2に対するクリック感が軽減され、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができる。また、戻り行程で鍵2に対するクリック感が軽減されると、第1実施形態と同様、ハンマーアーム5の復帰速度が従来のものよりも早くなり、これに伴って鍵2の初期位置への復帰も早くなるため、連打性が向上する。
【0032】
なお、上記第2実施形態では、ハンマーアーム5の先端部25に回動体36および規制部37を設けたが、これに限らず、例えば図10に示すように、鍵2の後端部に突起部32を設け、この突起部32に回動体36および規制部37を設けた構成でも良い。この場合には、鍵盤シャーシ1の後端部1b上に支持部材45を設け、この支持部材45の上部下面に回動体36の第1当接部41が下方から当接する回動体用上限ストッパ43を設け、支持部材45の下部上面に回動体36の第2当接部42が上方から当接する回動体用下限ストッパ44を設ければ良い。このようにしても、第2実施形態と同様の作用効果があることは言うまでもない。
【0033】
また、上記第2実施形態では、回動体36の第1、第2当接部41、42をほぼ同じ長さに形成したが、これに限らず、第2当接部42を第1当接部41よりも長く形成しても良い。このようにすれば、支持軸38から第1当接部41の先端までの距離よりも第2当接部42の先端までの距離が長くなるため、行き行程に比べて戻り行程の方が弾性突起40に大きな力を作用させることができ、これにより戻り行程での鍵2に対するクリック感を更に軽減することができ、より一層、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができる。
【0034】
さらに、上記第2実施形態では、回動体36に弾性突起40が設けられ、この弾性突起40が規制部37に当接して弾性変形するように構成されているが、これに限らず、例えば規制部を弾性変形可能な構造にし、回動体36に弾性変形しない突起を設けた構造にしても良い。このようにしても、第2実施形態と同様の作用効果があることは言うまでもない。
【0035】
[第3実施形態]
次に、図11〜図13を参照して、この発明の鍵盤装置の第3実施形態について説明する。この場合には、図1〜図4に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
この鍵盤装置では、クリック感付与部材50が第1実施形態と異なり、これ以外は第1実施形態と同じ構成になっている。このクリック感付与部材50は、図11および図12に示すように、ハンマーアーム5の後方(同図では右方)における鍵盤シャーシ1の後端部1bの底部に設けられた支持体51を備えている。この支持体51の上部には、クラッチ部材52を介して回転体53が一方向のみに回転可能に取り付けられている。このクラッチ部材52は、ワンウェイクラッチやラチェット車などであり、支持体51の上部に設けられ、図11および図12において反時計方向にのみ回転し、時計方向には回転しない構造になっている。
【0036】
回転体53は、クラッチ部材52に取り付けられ、このクラッチ部材52によって回転方向が規制されている。すなわち、この回転体53は、押鍵時に鍵2が下方に回動する行き行程でハンマーアーム5の先端部25が上方に移動するときに、その方向への回転がクラッチ部材52によって阻止され、鍵2が上方に回動する戻り行程でハンマーアーム5の先端部25が下方に移動するときに、その方向への回転がクラッチ部材52により可能となるように規制されている。また、回転体53の外周面には、複数の突起54がほぼ等間隔に設けられている。
一方、ハンマーアーム5の下端部5cの先端部25には、回転体53の突起54に当接する弾性突起55が設けられている。この弾性突起55は、ハンマーアーム5の先端部25の一部に形成されたスリット孔56により弾性変形が可能な構成になっている。
【0037】
このような鍵盤装置では、従来例と同様、ハンマーアーム5の錘7の重量に抗して鍵2が押鍵されると、鍵2が軸4を中心に下方に回動するとともに、ハンマーアーム5がハンマー支持軸6を中心に図11において反時計方向に回動した後、鍵2のスイッチ押圧部16がゴムスイッチ15を押圧する。この後、図12に示すように、ハンマーアーム5の先端部25が上方に移動して弾性突起55が回動体53の突起54に下方から当接する。このときには、クラッチ部材52によって回転体53の回転が阻止されているため、弾性突起55が弾性変形して突起54を乗り越えることになり、このとき、弾性突起55の弾性変形による反発力がハンマーアーム5を押し下げる方向に作用するため、図13のC点からD点に示すように、鍵荷重が急激に重くなり、弾性突起55が回転体53の突起54を乗り越えると、図13のD点からE点に示すように、鍵荷重が急に軽くなる。これにより、鍵2にアコースティックピアノの抜ける感じの鍵タッチ感が付与される。この後、ハンマーアーム5の下端部5cの上面が上限ストッパ9に当接して、ハンマーアーム5および鍵2の回動が停止する。
【0038】
この後、ハンマーアーム5が錘7の重量により図12において時計方向に回動すると、これに伴って鍵2が上方に回動し、ハンマーアーム5の弾性突起55が回動体53の突起54に上方から当接する。このときには、クラッチ部材52によって回転体53が図12において反時計方向に回転可能となっているので、ハンマーアーム5の弾性突起55により回転体53の突起54が押されて回転体53が回転し、弾性突起55が弾性変形することなく回転体53の突起54を乗り越える。このため、弾性突起55がハンマーアーム5の回動をほとんど妨げることがないので、図13のF点からH点に示すように、鍵荷重はそのままの状態で軽くなる。これにより弾性突起55が回転体53の突起54を乗り越えても、鍵荷重が重くならず、鍵2にクリック感が付与されることがない。なお、この後は、従来例と同様、ハンマーアーム5および鍵2が回動して図11に示す初期位置に戻る。
【0039】
このように、この鍵盤装置では、押鍵時に鍵2が下方に回動する行き行程では、クラッチ部材52によって回転体53の回転が阻止されているため、ハンマーアーム5の回動に伴って弾性突起55が回転体53の突起54に下方から当接すると、弾性突起55が弾性変形して突起54を乗り越えることになり、このため鍵2にアコースティックピアノの抜ける感じの鍵タッチ感を付与することができ、また鍵2が上方に回動する戻り行程では、クラッチ部材52によって回転体53が回転可能となっているので、ハンマーアーム5がその重量で鍵2を押し上げながら回動し、ハンマーアーム5の先端部25の弾性突起55が回転体53の突起54に当接すると、弾性突起55によって回転体53が回転し、これにより弾性突起55が弾性変形することなく回転体53の突起54を乗り越えるので、鍵荷重が重くならない。このため、戻り行程で鍵2に対するクリック感がなく、アコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができる。また、戻り行程で鍵2に対するクリック感がないため、第1実施形態のものよりも、ハンマーアーム5の復帰速度が早くなり、これに伴って鍵2の初期位置への復帰も早くなるので、より一層、連打性が向上する。
【0040】
なお、上記第3実施形態では、ハンマーアーム5の先端部25に弾性突起55を設け、この弾性突起55を回転体53の突起54に当接させるようにしたが、これに限らず、例えば図14に示すように、鍵2の後端部に突起部32を設け、この突起部32に板ばね状の弾性突起57を設け、この弾性突起57の先端が回転体53の突起54に上下方向から当接するようにしても良い。この場合には、鍵盤シャーシ1の後端部1b上に支持体51を設け、この支持体51にクラッチ部材52を介して回転体53を取り付ければ良い。このようにしても、第3実施形態と同様の作用効果があることは言うまでもない。
【0041】
また、上記第3実施形態では、クリック感付与部材50のクラッチ部材52および回転体53を鍵盤シャーシ1側に設け、弾性突起55をハンマーアーム5側に設けたが、これに限らず、例えばハンマーアーム5の下端部5cの先端部25にクラッチ部材52を介して回転体53を取り付け、鍵盤シャーシ1の後端部1bに回転体53の突起54に上下方向から当接する弾性突起を設けた構成でも良い。また、鍵2の後端部の突起部32にクラッチ部材52を介して回転体53を取り付け、鍵盤シャーシ1の後端部1b上に回転体53の突起54に上下方向から当接する弾性突起を設けた構成でも良い。いずれの場合にも、第3実施形態と同様の作用効果があることは言うまでもない。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、押鍵時に鍵が下方に回動する行き行程では、クリック感付与部材によって鍵にアコースティックピアノの抜ける感じの鍵タッチ感を付与することができ、また鍵が上方に回動する戻り行程では、クリック感付与部材によって鍵に対するクリック感を軽減でき、これによりアコースティックピアノの鍵タッチ感に近似した鍵タッチ感を得ることができ、しかも戻り行程で鍵に対するクリック感が軽減されるので、鍵およびハンマーアームの復帰速度が従来のものよりも早くなり、連打性の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の鍵盤装置の第1実施形態を示した断面図。
【図2】図1の鍵盤装置の鍵を押鍵した状態の要部を示した断面図。
【図3】図1および図2における回動レバーの突起と板ばねの突起との当接状態を示し、(a)は図1の非押鍵状態における要部の拡大図、(b)は図2の押鍵状態における要部の拡大図。
【図4】図1の鍵盤装置における鍵ストロークに対する鍵荷重の特性を示した図。
【図5】第1実施形態の変形例を示した図。
【図6】この発明の鍵盤装置の第2実施形態を示した断面図。
【図7】図6の鍵盤装置の鍵を押鍵した状態の要部を示した断面図。
【図8】図6および図7における回動体の動作状態を示し、(a)は図6の非押鍵状態における回動体の要部拡大図、(b)は図2の押鍵状態における回動体の要部拡大図。
【図9】図6の第2実施形態における鍵盤装置の鍵ストロークに対する鍵荷重の特性を示した図。
【図10】第2実施形態の変形例を示した図。
【図11】この発明の鍵盤装置の第3実施形態を示した断面図。
【図12】図11の鍵盤装置の鍵を押鍵した状態の要部を示した断面図。
【図13】図11の第3実施形態における鍵盤装置の鍵ストロークに対する鍵荷重の特性を示した図。
【図14】第3実施形態の変形例を示した図。
【図15】従来の鍵盤装置を示した断面図。
【図16】図15の従来のクリック感付与部材を示した拡大断面図。
【図17】図15の従来の鍵盤装置における鍵ストロークに対する鍵荷重の特性を示した図。
【符号の説明】
1 鍵盤シャーシ
2 鍵
3 鍵支持部
4 軸
5 ハンマーアーム
20、35、50 クリック感付与部材
22 回動レバー
24 板ばね部
25 ハンマーアームの先端部
26、41 第1当接部
27、42 第2当接部
29 レバー突起
30 規制突起
32 突起部
36 回動体
37 規制部
40、55、57 弾性突起
43 回動体用上限ストッパ
44 回動体用下限ストッパ
52 クラッチ部材
53 回転体
54 突起

Claims (5)

  1. 鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に上下方向に回動可能に設けられた複数の鍵と、これら複数の鍵それぞれに対応して設けられて前記鍵を上方に付勢し、前記鍵の押鍵動作に伴って回動変位して前記鍵にアクション荷重を付与するためのハンマーアームと、前記複数の鍵それぞれにクリック感を付与するクリック感付与部材とを備え、
    前記クリック感付与部材は、所定個所にレバー突起が設けられて押鍵時に上下方向に回動する回動レバーと、この回動レバーの前記レバー突起が当接して乗り越える規制部材とを備え、
    前記回動レバーは、押鍵時に前記鍵が下方に回動する行き行程で前記鍵の一部または前記ハンマーアームの一部が下方から当接する第1当接部と、前記鍵が上方に回動する戻り行程で前記鍵の一部または前記ハンマーアームの一部が上方から当接する第2当接部とを有し、前記第1当接部が前記第2当接部から上方に所定間隔離れた構成であることを特徴とする鍵盤装置。
  2. 鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に上下方向に回動可能に設けられた複数の鍵と、これら複数の鍵それぞれに対応して設けられて前記鍵を上方に付勢し、前記鍵の押鍵動作に伴って回動変位して前記鍵にアクション荷重を付与するためのハンマーアームと、前記複数の鍵それぞれにクリック感を付与するクリック感付与部材とを備え、
    前記クリック感付与部材は、外周面に突起が設けられて押鍵時に上下方向に回動する回動体と、この回動体の前記突起が当接して乗り越える規制部とを備え、これらが前記鍵または前記ハンマーアームに設けられ、
    前記回動体は、押鍵時に前記鍵が下方に回動する行き行程で前記鍵盤シャーシ側に設けられた回動体用上限ストッパに下方から当接する第1当接部と、前記鍵が上方に回動する戻り行程で前記鍵盤シャーシ側に設けられた回動体用下限ストッパに上方から当接する第2当接部とを有することを特徴とする鍵盤装置。
  3. 鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に上下方向に回動可能に設けられた複数の鍵と、これら複数の鍵それぞれにクリック感を付与するクリック感付与部材とを備え、
    前記クリック感付与部材は、外周面に複数の規制突起が設けられて押鍵時に上下方向に回転する回転体と、この回転体が取り付けられ、押鍵時に前記鍵が下方に回動する行き行程で前記回転体の回転を阻止し、かつ前記鍵が上方に回動する戻り行程で前記回転体を回転可能な状態にするクラッチ部材と、押鍵時に前記回転体の複数の規制突起のいずれかに当接する弾性突起とを備えたことを特徴とする鍵盤装置。
  4. 前記クリック感付与部材は、前記回転体および前記クラッチ部材が前記鍵盤シャーシに設けられ、前記弾性突起が前記鍵、または前記鍵の押鍵動作に伴って回動変位して前記鍵にアクション荷重を付与するためのハンマーアームに設けられていることを特徴とする請求項3記載の鍵盤装置。
  5. 前記クリック感付与部材は、前記回転体および前記クラッチ部材が前記鍵、または前記鍵の押鍵動作に伴って回動変位して前記鍵にアクション荷重を付与するためのハンマーアームに設けられ、前記弾性突起が前記鍵盤シャーシに設けられていることを特徴とする請求項3記載の鍵盤装置。
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