JP3742829B2 - デアセチルセファロスポラン酸のカルバモイル化方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は経口セファロスポリン抗生物質として有用な7-アシルアミノ-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸エステルの製法、特に7-アミノ-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸の有機アミン塩をアシル化して7-アシルアミノ-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸有機アミン塩を製造する方法およびこの生成物をカルバモイル化して7-アシルアミノ-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸有機アミン塩とした後、エステル化して、7-アシルアミノ-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸エステルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
7-アシルアミノ-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸のエステルの代表例は次の化合物を含む。すなわち、7-(4-ブロモ-3-オキソブタナミド)-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ピバロイルオキシメチルエステル(特開昭63-277684号)、7-(フェニルアセトアミド)-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸アセトキシメチルエステル(独公開2203653号)、7-(p-ヒドロキシフェニル-2-(4-ヒドロキシ-1,5-ナフチリジン-3-カルボニルアミノアセトアミド)-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ピバロイルオキシメチルエステル(米国特許4138554号)、7-(2-フリル-2-オキソアセトアミド)-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸1-アセトキシエチルエステル(独公開3914672号)、7-(2-フリル-2-メトキシイミノアセトアミド)-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸1-アセトキシエチルエステル(独公開2706413号)、7-(2-フリル-2-メトキシイミノアセトアミド)-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸1-オキシド・1-アセトキシエチルエステル(英特許2218094号)、7-(2-(2-アミノ-4-チアゾリル)-2-ヒドロキシイミノアセトアミド)-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ピバロイルオキシメチルエステル(独公開2727753号)、7-(2-(2-アミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテンアミド)-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ピバロイルオキシメチルエステル(独公開3610581号)、7-(2-(2-アミノ-1,3,5-チアジアゾリル)-2-メトキシイミノアセトアミド)-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ピバロイルオキシメチルエステル(欧公開22245号)など。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
7-アシルアミノ-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸をカルバモイル化する従来法では反応系が酸性になるため3位のヒドロキシメチル基と4位のカルボキシ基が結合して部分的にラクトン化する結果、収率は低かった。
【0004】
【発明を解決するための手段】
今回、発明者は7-アシルアミノ-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸の有機アミン塩をカルバミン酸の反応性誘導体と反応させることにより、収率を向上させると共に、円滑な反応により、操作性の向上が達成できることを発見して、この発明に至った。
【0005】
[化合物]
(7位アシル基)
7-アシルアミノ-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸または7-アシルアミノ-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸の有機アミン塩における7位アシル基としては、以下の代表的アシル基を例示できる。アシル基は脂肪族、脂環式、芳香族などの系列に属するカルボン酸のアシル基で、天然または合成セフアロスポリンなどのアミド側鎖を構成するアシル基は、すべてこのアシル基に含まれる。下式のアシル基は代表例である。
1) R10CH2CO-
2) R10OCH2CO-
3) R10SCH2CO-
4) R10CH(-R11)CO-
5) R10C(=R12)CO-
6) R13CO-
(式中、R10は水素、脂肪族基、芳香族基、異項環基、脂環基など、R11は置換されたヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、メルカプト基、シアノ基など、R12はオキソ基、チオキソ基、イミノ基、ヒドロキシイミノ基、アルコキシイミノ基、アリ−ルオキシイミノ基、アルキリデン基など、R13は水素、アルコキシ、アラルコキシ、アリ−ルオキシ、異項環オキシ、芳香族基、異項環基などを示す)
【0006】
脂肪族基R10には置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基を含み、芳香族基R10には置換基を有していてもよいフエニル基、ナフチル基などを含み、異項環基にはヘテロ原子として窒素4個までと酸素原子、硫黄原子を有していてもよい五員環または六員環の単環または双環の異項環を含み、脂環基R10には四員環〜六員環の二重結合1または2を有しうるシクロアルキル基を含む。
【0007】
R11で表わされる基が保護されている場合、合成工程における不都合な変化を防ぐ合成用保護基と生理学的ないし薬学的性状を変化させる薬理学的活性基がある。
合成用保護基R11の代表例には、R11がヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリルである場合、アルキルまたは異項環(t−ブチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニルなど)、アルケニル(エノ−ルエーテル形成基、エナミン形成基など)、アルキルシリル、アルコキシシリル、スタニルなど、アラルキル(トリチル、ジフエニルメチル、フエナシルなど)、アシル(アルカノイル、アルケノイル、アロイル、炭酸アシルなど);R11がカルボキシ、スルホなどである場合、エステル形成基(アルキル、アラルキル、アリ−ルなど)、アミド形成基(アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルヒドラジノなど)などがあり、分子中の他の部分に悪影響なく除去できるものである。
後者の代表例としては、R11がヒドロキシの場合、スルホ、カルバモイル、スルフアモイル、カルボアルコキシ、カルボアラルコキシ、シアノ、アルカノイル、アラルカノイル、アロイル、異項環カルボニルなどである。さらに、R11がアミノの場合は、アルキルスルホニル、アルキル化オキソイミダゾリジニルカルボニル、ジケトピペラジニルカルボニル、アルキルウレイドカルボニル、チオウレイドカルボニルなどがある。R11がカルボキシまたはスルホの場合には、生体内で除去される形の保護基が薬理学的活性エステルとして利用できることもある。
【0008】
アルコキシイミノまたはアルキリデン基R12の置換基としてはカルボキシ、エステル化またはアミド化されたカルボキシ、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシなどがあり、いずれも飽和または不飽和の鎖状または環状であつてもよい。
R13基は置換基を有していてもよい単環または双環のアリ−ル基、異項環および対応するR13オキシ基である。R13が縮合環のとき、第二の環は芳香環でなくてもよい。また、R13がアルコキシ、アラルコキシ、アリ−ルオキシなどであって、アシル基が炭酸アシル基を構成するものであってもよい。
【0009】
これらR10〜R13基は、いずれもさらに置換基を有していてもよい。これらアシル基が目的抗菌性化合物に残存する場合、通常は炭素数20以下が好ましい。典型的なアシル基としては、炭素数1〜8のアルカノイル(ホルミル、アセチル、クロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチルなど)、アリ−ル部分が窒素、酸素、硫黄などの異原子を持つ複素環であってもよい単環アロイル(ベンゾイル、ニトロベンゾイルなど)、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル(ここにアルキル部分はメチル、エチル、プロピル、シクロプロピルエチル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソブチル、トリクロロエチル、ピリジルメチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどである)、炭素数8〜15のアラルコキシカルボニル(ここにアラルキル部分はベンジル、ジフェニルメチル、ニトロベンジルなど)、炭素数3〜10の二塩基性酸アシル(サクシニル、フタロイルなど)、ハロスルホニル、炭素数0〜10の燐酸アシル(ジアルコキシホスホリル、ジクロロホスホリルなど)などのアシル基を例示できる。
【0010】
(エステル基)
7-アシルアミノ-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸エステルの有機アミン塩におけるエステル基として、以下の薬理的活性エステル形成基を例示できる。
【0011】
代表例には、炭素数2〜15の1-酸素置換アルキル{直鎖、分枝、環状または部分環状のアルカノイルオキシアルキル(アセトキシメチル、アセトキシエチル、プロピオニルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、ピバロイルオキシエチル、シクロヘキサンアセトキシエチル、シクロヘキサンカルボニルオキシシクロヘキシルメチルなど)、炭素数3〜15のアルコキシカルボニルオキシアルキル(エトキシカルボニルオキシエチル、イソプロポキシカルボニルオキシエチル、イソプロポキシカルボニルオキシプロピル、t-ブトキシカルボニルオキシエチル、イソペンチルオキシカルボニルオキシプロピル、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシエチル、シクロヘキシルメトキシカルボニルオキシエチル、ボルニルオキシカルボニルオキシイソプロピルなど)、炭素数2〜8のアルコキシアルキル(メトキシメチル、メトキシエチルなど)、炭素数4〜8の2-オキサシクロアルキル(テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニルなど)など}、炭素数8〜12の置換アラルキル(フエナシル、フタリジルなど)、炭素数6〜12のアリ-ル(フエニル、キシリル、インダニルなど)、炭素数2〜12のアルケニル(アリル、2-オキソ-1,3-ジオキソリル)メチルなど)などがある。
【0012】
(有機アミン)
7-アシルアミノ-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸または7-アシルアミノ-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸の有機アミン塩における有機アミンとしては2級アミンまたは3級アミンが好ましく、特に2級アミンが好ましい。代表例としては炭素原子1〜18を持つ次の有機アミンを例示できる。
(1級アミン)メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、t-ブチルアミン、シクロヘキサンメチルアミン、テトラヒドロフルフリルアミン、ベンジルアミン、p-メトキシベンジルアミン、フェネチルアミン、p-メトキシフェネチルアミン、ホモベラトリルアミン、p-クロルフェネチルアミン、フェニルプロピルアミン、フルフリルアミン、アニリン、p-クロルアニリン、(1級および3級ジアミン)2-ピコリルアミン。
(2級アミン)ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジフェニルアミン、ピペリジン、ピペリジン、モルホリン。
(3級アミン)トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-n-ペンチルアミン、トリ-n-オクチルアミン、トリベンジルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジン、N,N-ジメチルアミノピリジン、α-ピコリン、β-ピコリン、2,6-ルチジン。
その他で代表される低級アルキルアミン、低級アラルキルアミン、シクロアルキルアミン、ジ低級アルキルアミン、アリ−ルアルキルアミン、含窒素飽和環化合物、飽和炭素環化低級アルキルアミン、ジ飽和炭素環化アミン、トリ低級アルキルアミン、アリ−ルジアルキルアミン、アラルキルジアルキルアミン、芳香族塩基など。
【0013】
前記アシル基、エステル基、有機アミンは後述の置換基を有していてもよい。なお、炭素数は置換基を含めたものである。
【0014】
(各基の範囲)
前記各基のアルキル部分は直鎖、分枝または環状のアルキルである。炭素数1〜12のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、第3級ブチル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、シクロプロピルエチル、ヘキシル、シクロヘキシル、シクロペンチルメチル、ヘプチル、シクロヘプチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、シクロオクチル、シクロヘキシルエチル、ノニル、ドデシルなど)が代表例である。これらは不飽和結合または後述するような置換基を有していてもよい。
【0015】
アラルキル部分はアルキル部分とアリ−ル部分の結合したものである。炭素数7〜14のアラルキル基(ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、フェニルイソプロピル、ジフェニルメチル、メトキシジフェニルメチル、ナフチルメチル、フリルメチル、チエニルプロピル、オキサゾリルメチル、チアゾリルメチル、イミダゾリルメチル、トリアゾリルメチル、ピリジルメチル、インドリルメチル、ベンゾイミダゾリルエチル、ベンゾチアゾリルメチル、キノリルメチルなど)が代表例である。これらは何れも後述するような置換基を有していてもよい。
【0016】
アシル部分は前記の如き構造のアシル基である。炭素数14までのアシル基、例えば、カルボン酸アシル(直鎖、分枝または環状のアルカノイル、単環または双環でヘテロ原子を有しうるアロイル、アラルカノイル、アリールアルケノイルなど)、スルホン酸アシル(アルキルスルホニル、アリールスルホニルなど)、炭酸アシル(カルバモイル、カルボアルコキシ、カルボアラルコキシなど)、スルホなどが代表例である。これらは何れも後述するような置換基を有していてもよい。
【0017】
アリ−ル部分は単環または双環で、5〜6員環の炭素環または異項環のアリール基である。この異項環基は異原子として酸素、窒素、硫黄を有しうる。炭素数1〜10のアリール基、例えば、炭素環のアリール基(フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニルなど)と異項環のアリール基(フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、チアトリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピラニル、インドリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラジニル、キノリル、ピリドピリジル基など)が代表例である。これらは何れも後述するような置換基を有していてよいものとする。
【0018】
(置換基例示)
前記のような各基に結合できる置換基の代表例としては炭素官能基(直鎖、分枝または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリ−ル、異項環基、カルボン酸アシル、カルバモイル、カルボキシ、保護カルボキシ、シアノなど);窒素官能基(アミノ、アシルアミノ、グアニジル、ウレイド、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、イソチオシアノ、イソシアノ、ニトロ、ニトロソなど);酸素官能基(ヒドロキシ、アルコキシ、アリ−ルオキシ、異項環オキシ、シアナト、オキソ、カルボン酸アシルオキシ、スルホン酸アシルオキシ、燐酸アシルオキシなど);硫黄官能基(メルカプト、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アリ−ルチオ、アリ−ルスルホニル、異項環チオ、異項環スルホニル、アシルチオ、チオキソ、スルホ、スルファモイルなど);ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨ−ドなど);シュ−ドハロゲン(低級アルカンスルホニル、ベンゼンスルホニル、置換ベンゼンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、トリフルオロアセトキシ、シアノ、チオシアナト、イソシアノなど);シリル基(トリアルキルシリル、ジアルキルアルコキシシリルなど);スタニル基(トリアルキルスタニルなど)などを例示できる。
【0019】
[製 法]
(アシル化反応)
この発明は7-アミノ-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸の有機アミン塩に該アシル基を持つカルボン酸の反応性誘導体を常法により作用させて目的とする7-アシルアミノ-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸の有機アミン塩を製造する方法を提供する。
【0020】
該アシル基を持つカルボン酸の反応性誘導体は酸無水物{対称酸無水物、混合酸無水物[鉱酸(りん酸、硫酸、炭酸半エステルなど)、有機酸(アルカン酸、アラルカン酸、スルホン酸など)との混合酸無水物など]、分子内無水物(ケテン、イソシアネ−トなど)、酸ハロゲン化物(ハロゲン化水素との混合酸無水物)など}、酸ハロゲン化物、活性エステル[エノ−ルエステル(ビニルエステル、イソプロペニルエステルなど)、アリ−ルエステル(フエニルエステル、ハロフエニルエステル、ニトロフエニルエステルなど)、異項環エステル(ピリジルエステル、ベンゾトリアゾリルエステルなど)、N−ヒドロキシ化合物とのエステル、ジアシルヒドロキシルアミンとのエステル(N−ヒドロキシスクシンイミドイルエステル、N−ヒドロキシフタルイミドイルエステルなど)、チオ−ルエステル(アラルキルチオ−ルエステル、異項環チオ−ルエステルなど)その他]、活性アミド[芳香族アミド(イミダゾ−ル、トリアゾ−ル、2−エトキシ−1、2−ジヒドロキノリンなどとのアミド)、ジアシルアニリドなど]、その他の反応性誘導体である。これら反応性誘導体は酸捕捉剤[無機塩基(アルカリ金属、アルカリ土類金属などの酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など)、有機塩基(第三級アミン、芳香族塩基など)、オキシラン(アルキレンオキシド、アラルキレンオキシドなど)、ピリジニウム塩(三塩化トリピリジニウムトリアジンなど)、吸着剤(セライトなど)、その他]の存在下に作用させる。
この反応は、好ましくは7-アミノ-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸の有機アミン塩に対して該アシル基を持つカルボン酸の反応性誘導体1〜2モルと酸捕捉剤0〜2モルを溶媒中で作用させる。酸ハライドなどは水性溶媒中でも反応できる。
【0021】
(付加的カルバモイル化反応とエステル化反応)
また、この発明は7-アシルアミノ-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸の有機アミン塩にカルバミン酸の反応性誘導体を常法により作用させて目的とする7-アシルアミノ-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸の有機アミン塩を製造する方法も提供する。
【0022】
カルバミン酸の反応性誘導体は分子内無水物であるイソシアネ−ト、酸ハロゲン化物などである。酸捕捉剤として第三級アミン、芳香族塩基などを追加することができる。カルバミン酸のアミノ基はアルカンスルホニル、アリ−ルスルホニル、アセチル、クロロアセチル、ブロモアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、ホスホ、アルキルホスホリル、ジアルキルホスホリル、トリアルキルホスホリルなどの保護基で保護しておいてもよい。
【0023】
この反応は、好ましくは反応性水素のない溶媒中、7-アシルアミノ-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸の有機アミン塩に対してカルバミン酸の反応性誘導体1〜2モルを作用させる。酸ハライドの場合は水性溶媒中でも反応できる。
【0024】
さらに、7-アシルアミノ-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸の有機アミン塩にエステル化剤を常法により作用させて最終目的物、7-アシルアミノ-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸の有機アミン塩を製造する方法も提供する。
【0025】
エステル化剤は該エステル基のハロゲン化物などの反応性誘導体である。これら反応性誘導体は酸捕捉剤の存在下にも使用できる。
【0026】
この反応は、好ましくは反応性水素のない溶媒中、7-アシルアミノ-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸の有機アミン塩に対してエステル化剤1〜2モルを作用させる。
【0027】
[反応条件等]
前記各合成法は通常−30〜100℃、とくに−20〜50℃の温度で10分間〜10時間反応させることが多い。生成物が反応液中で安定なときはさらに長時間放置してもよい。各反応には所望により反応溶媒、無水条件、不活性気体、撹拌などの常法を適用できる。
【0028】
反応溶媒としては、炭化水素(ペンタン、ヘキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなど)、エ−テル(ジエチルエ−テル、メチルイソブチルエ−テル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル(酢酸エチル、酢酸イソブチル、安息香酸メチルなど)、ニトロ炭化水素(ニトロメタン、ニトロベンゼンなど)、ニトリル(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、アミド(ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホロトリアミドなど)、スルホキシド(ジメチルスルホキシドなど)、カルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸など)、有機塩基(ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、コリジン、キノリンなど)、アルコ−ル(メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ヘキサノ−ル、オクタノ−ル、ベンジルアルコ−ルなど)、水、その他の系列に属する工業用溶媒またはその混合物を例示できる。
【0029】
目的とする生成物は反応液から夾雑物(未反応原料、副生成物、溶媒など)を常法(抽出、蒸発、洗浄、濃縮、沈殿、ロ過、乾燥など)により除去したのち、常用の後処理(吸着、溶離、蒸留、沈殿、析出、クロマトグラフィ−など)を組合せて処理すれば単離することができる。
【0030】
【効果・作用】
7-アミノ-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸に該アシル基を持つカルボン酸の反応性誘導体を常法により作用させて目的とする7-アシルアミノ-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸を製造する従来の技術によれば、7-アミノ-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸の分子内エステル化が進行して7-アミノ-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸4→3ラクトンが主成分となり、工業的利用はできない。本発明によれば、ラクトンの生成は1%未満である。上記の付加的カルバモイル化およびエステル化の2工程もそれぞれ高純度の生成物を高収率で与える。
【0031】
【実施例】
以下、実施例により本発明の態様を説明する。
実施例1(Boc−S−1108)
【0032】
A.(モルホリン塩)
1)アシル化:7-アミノデアセチルセファロスポラン酸61gをエタノール92mlとモルホリン45.6mlの混液に溶解し、−10℃の酢酸エチル910ml中、トリエチルアミン51.2mlの存在下、(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテン酸101.9gと塩化メタンスルホニル29.6mlから合成した(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテン酸メタンスルホン酸混合無水物の酢酸エチル950ml溶液を加え、1時間撹拌する。反応液を減圧濃縮してメタノ-ルを留去し、酢酸エチルで処理すれば、7β-[(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテノイルアミノ]-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸モルホリン塩を得る。
IR νmax cm-1: 1770, 1720, 1660, 1630, 1555.
2)カルバモイル化:塩化水素13.7gの酢酸エチル230ml溶液に7β-[(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテノイルアミノ]-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸モルホリン塩を含む残留物を窒素中約−40℃で滴下する。30分撹拌後、クロルスルホニルイソシアネート25.2mlを3時間かけて滴下後、1時間撹拌する。反応液を水200mlで薄め、1時間撹拌する。有機層を分取、水と重曹水を加えてpH2.4とし、アセトン85mlを加える。有機層を分取し、水で洗い、減圧濃縮する。残留液にモルホリン21.8mlを加え、酢酸エチルで薄め、30分間撹拌する。残留液を減圧濃縮すれば、7β-[(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテノイルアミノ]-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸モルホリン塩153gを得る。収率:91%。
IR νmax cm-1: 1775, 1720, 1700, 1680, 1630, 1560.
3)エステル化:7β-[(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテノイルアミノ]-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸モルホリン塩89.9gをメチルイソブチルケトン300mlと4.5%硫酸水150mlにとかす。有機層を分取し、7%炭酸水素ナトリウム水150mlを加えて数分撹拌後、水層を分取し、メチルイソブチルケトン35ml、臭化テトラ-n-ブチルアンモニウム5.9gおよびピバリン酸ヨードメチルエステル41.0gを順次加える。混合物を中性に保ちながら4時間撹拌後、メタノール280mlを加え、3時間撹拌し、析出する結晶を濾取する。結晶を冷メチルイソブチルケトンで洗い、減圧乾燥すれば、7β-[(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテノイルアミノ]-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ピバロイルオキシメチルエステル76.9gを得る。無色結晶。収率:82%。
NMR δ(CD3SOCD3)ppm: 1.07(t, J=7.5Hz, 3H), 1.23(s, 9H), 1.56(s, 9H),2.47(quint, J=7.5Hz, 2H), 3.40, 3.56(ABq,J=18.0Hz, 2H), 4.79, 5.07(ABq,J=13.5Hz, 2H), 5.02(d, J=5.0Hz, 1H), 5.03(s, 2H), 5.87(s, 2H), 5.90(dd,J=5.0Hz, J=8.5Hz, 1H), 6.41(t, J=7.5Hz, 1H), 6.76(s, 1H), 7.74(d, J=8.5Hz, 1H), 9.11(s, 1H).
【0033】
B.(ジエチルアミン塩)
1)アシル化:7-アミノデアセチルセファロスポラン酸33gをメタノール120mlとジエチルアミン29.6mlの混液にとかし、−10℃の酢酸エチル500ml中、トリエチルアミン29.3mlと(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテン酸55.6gと塩化メタンスルホニル14.6mlから合成した(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテン酸メタンスルホン酸混合無水物の酢酸エチル溶液を加え、1時間撹拌してアシル化すれば、7β-[(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテノイルアミノ]-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジエチルアミン塩を得る。
IR νmax cm-1: 1785, 1710, 1660, 1635, 1570.
2)カルバモイル化:これを塩化水素7.43gの酢酸エチル119ml混液に窒素中約−10℃でとかし、クロルスルホニルイソシアネート14.8mlを滴下後、1時間撹拌してカルバモイル化する。反応液を水200mlでうすめ、20℃で1時間撹拌して脱クロルスルホニル化する。反応液を重曹水でpH2.4とし、アセトン66mlを加え、有機層を分取、水洗後、減圧濃縮する。残留液を酢酸エチルで薄め、減圧濃縮後、ジエチルアミン13.5mlを加えれば、7β-[(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテノイルアミノ]-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジエチルアミン塩64.5gを得る。収率:72%。
IR νmax cm-1: 1785, 1725, 1660, 1565.
3)エステル化:7β-[(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテノイルアミノ]-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジエチルアミン塩50gをメチルイソブチルケトン100mlと4.5%硫酸水95mlにとかす。有機層を分取し、7%炭酸水素ナトリウム水95mlで逆抽出する。抽出液にメチルイソブチルケトン25ml、臭化テトラ-n-ブチルアンモニウム2.4gおよびピバリン酸ヨードメチルエステル21.6gを順次加え、中性に保ちながら20℃で4時間撹拌してエステル化し、メタノ−ルから結晶化すれば、前記A.の生成物と同一の化合物32.9gを得る。無色結晶。収率:65%。
【0034】
C.(ジプロピルアミン塩)
1)アシル化:7-アミノデアセチルセファロスポラン酸14.2gを95%エタノール75mlとジプロピルアミン20.9mlの混合物にとかし、−10℃の酢酸エチル500ml中、トリエチルアミン12.3mlと(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテン酸23.9gと塩化メタンスルホニル6.6mlから合成した(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテン酸メタンスルホン酸混合無水物の酢酸エチル200ml溶液を加え、1時間撹拌してアシル化すれば、7β-[(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテノイルアミノ]-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジプロピルアミン塩を得る。
IR νmax cm-1: 1790, 1695, 1660, 1630, 1565.
2)カルバモイル化:これを塩化水素3.19gの酢酸エチル64ml溶液に窒素中約−40℃で加え、クロルスルホニルイソシアネート6.6mlを滴下、1時間撹拌してカルバモイル化する。反応液を水4.2mlで薄め、20℃で1時間撹拌して脱クロルスルホニル化する。反応液を重曹水でpH2.4とし、アセトン14mlを加える。有機層を分取、水洗後、減圧濃縮する。残留液を酢酸エチルで薄め、減圧濃縮後、ジプロピルアミン8.2mlを加えれば、7β-[(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテノイルアミノ]-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジプロピルアミン塩27.4gを得る。収率:68%。
IR νmax cm-1: 1790, 1740, 1720, 1700, 1660, 1565.
3)エステル化:7β-[(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテノイルアミノ]-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジプロピルアミン塩21.5gをメチルイソブチルケトン65mlと4.5%硫酸水45mlにとかす。有機層を分取し、7%炭酸水素ナトリウム水45mlで逆抽出する。抽出液にメチルイソブチルケトン6ml、臭化テトラ-n-ブチルアンモニウム1.3gおよびピバリン酸ヨードメチルエステル9.1gを順次加え、中性に保ちながら10℃で4時間撹拌してエステル化し、メタノ−ルから結晶化すれば、前記A.の生成物と同一の化合物14.0gを得る。無色結晶。収率:64%。
【0035】
D.(ジイソプロピルアミン塩)
1)アシル化:7-アミノデアセチルセファロスポラン酸16.5gをメタノール50mlとジプロピルアミン22.1mlの混液にとかし、−10℃の酢酸エチル500ml中、トリメチルアミン15.4mlと(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテン酸27.8gと塩化メタンスルホニル7.7mlから合成した(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテン酸メタンスルホン酸混合無水物の酢酸エチル200ml溶液を加え、1時間撹拌してアシル化すれば、7β-[(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテノイルアミノ]-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジプロピルアミン塩を得る。
IR νmax cm-1: 1790, 1690, 1660, 1625, 1565.
2)カルバモイル化:これを−40℃に保った塩化水素3.72gの酢酸エチル80ml溶液に加え、クロルスルホニルイソシアネート7.6mlを滴下、1時間撹拌してカルバモイル化する。反応液を水98mlで薄め、20℃で1時間撹拌して脱クロルスルホニル化する。反応液を重曹水でpH2.4とし、アセトン33mlを加える。有機層を分取、水洗後、減圧濃縮する。残留液を酢酸エチルで薄め、減圧濃縮後、ジプロピルアミン9.8mlを加えれば、7β-[(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテノイルアミノ]-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジプロピルアミン塩28.0gを得る。収率:60%。
IR νmax cm-1: 1780, 1730, 1680, 1650, 1620, 1565.
同様の条件下に製造したイソプロピルアミン塩の赤外線吸収スペクトル。
IR νmax cm-1: 1760, 1720, 1700, 1650, 1620, 1555.
3)エステル化:7β-[(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテノイルアミノ]-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジプロピルアミン塩25.0gをメチルイソブチルケトン100mlと4.5%硫酸水50mlにとかす。有機層を分取し、7%炭酸水素ナトリウム水50mlで逆抽出する。抽出液にメチルイソブチルケトン25ml、臭化テトラ-n-ブチルアンモニウム1.6gおよびピバリン酸ヨードメチルエステル11.8gを順次加え、中性に保ちながら10℃で4時間撹拌してエステル化し、メタノ−ルから結晶化すれば、前記A.の生成物と同一の化合物14.8gを得る。無色結晶。収率:58%。
【0036】
E.(ジイソブチルアミン塩)
1)アシル化:7-アミノデアセチルセファロスポラン酸10.6gをメタノール32mlとジイソブチルアミン17.6mlの混合物に加えてとかし、−10℃の酢酸エチル150ml中、ジイソブチルアミン9.9mlと(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテン酸17.8gと塩化メタンスルホニル4.9gから合成した(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテン酸メタンスルホン酸混合無水物の酢酸エチル溶液を加え、1時間撹拌してアシル化すれば、7β-[(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテノイルアミノ]-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジイソブチルアミン塩を得る。
2)カルバモイル化:これを塩化水素2.38gの酢酸エチル50ml溶液に窒素中、冷時加え、クロルスルホニルイソシアネート6.4gを滴下後、1時間撹拌してカルバモイル化する。反応液を水60mlで薄め、20℃で1時間撹拌して脱クロルスルホニル化する。反応液を重曹水でpH2.4とし、アセトン25mlを加え、有機層を分取、水洗後、減圧濃縮する。残留液を酢酸エチルで薄め、減圧濃縮後、ジイソブチルアミン9.2mlを加えれば、7β-[(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテノイルアミノ]-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジイソブチルアミン塩19.4gを得る。収率:62%。
3)エステル化:7β-[(Z)-2-(2-t-ブトキシカルボニルアミノ-4-チアゾリル)-2-ペンテノイルアミノ]-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジイソブチルアミン塩52.1gをメチルイソブチルケトン80mlと4.5%硫酸水35mlにとかす。有機層を分取、7%炭酸水素ナトリウム水35mlで逆抽出する。抽出液にメチルイソブチルケトン10ml、臭化テトラ-n-ブチルアンモニウム0.77gおよびピバリン酸ヨードメチルエステル7.52gを順次加え、中性に保ちながら4時間撹拌してエステル化後、メタノ−ルから結晶化すれば、前記A.と同一の生成物9.29gを得る。無色結晶。収率:57%。
【0037】
F.(他の有機アミン塩)
モルホリン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミンまたはジイソブチルアミンの代わりに次の有機アミンを用いて実施例1のA.B.C.D.またはE.の反応を行なえば、前記A.と同一の生成物を得る。
ジメチルアミン、ジブチルアミン、メチルイソブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、ピペリジン、ジフェニルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-n-ペンチルアミン、トリ-n-オクチルアミン、N-メチルジイソプロピルアミン、N-メチルモルホリン、N-メチルピペリジン、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリベンジルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアミノピリジン、ピコリン、ルチジン。
【0038】
実施例2(セフロキシム・アクセチル)
A.(ジエチルアミン塩)
1)アシル化:7-アミノデアセチルセファロスポラン酸693mgをメタノール4mlとジエチルアミン0.69mlの混液にとかし、−10℃の酢酸エチル10ml中、トリエチルアミン0.94mlの存在下、(Z)-2-(2-フリル)-2-メトキシイミノ酢酸116mgと塩化メタンスルホニル0.36mlから合成した(Z)-2-(2-フリル)-2-メトキシイミノ酢酸メタンスルホン酸混合無水物の酢酸エチル2ml溶液を加え、−2.5℃で1時間撹拌する。反応液を減圧濃縮してメタノ-ルを留去し、酢酸エチルで処理すれば、7β-[(Z)-2-(2-フリル)-2-メトキシイミノアセトアミド]-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジエチルアミン塩を得る。
2)カルバモイル化:塩化水素156mgを酢酸エチル5mlにとかし、7β-[(Z)-2-(2-フリル)-2-メトキシイミノアセトアミド]-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジエチルアミン塩を含む残留物を窒素中−30℃で滴下する。30分撹拌後、クロルスルホニルイソシアネート0.61mlを3時間に滴下後、1時間撹拌する。反応液を水8mlで薄め、1時間撹拌する。有機層を分取、水と重曹水を加えてpH2.4とし、アセトン3mlを加える。有機層を分取、水で洗い、減圧濃縮する。残留液を酢酸エチルで薄め、減圧濃縮する。残留液にジエチルアミン0.28mlを加え、酢酸エチルで薄めて室温で30分間撹拌する。残留液を減圧濃縮すれば、7β-[(Z)-2-(2-フリル)-2-メトキシイミノアセトアミド]-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジエチルアミン塩1.05gを得る。収率:70%。
3)エステル化:7β-[(Z)-2-(2-フリル)-2-メトキシイミノアセトアミド]-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸・ジエチルアミン塩798mgをメチルイソブチルケトン7mlと4.5%硫酸水2mlの混液にとかす。有機層を分取し、7%炭酸水素ナトリウム水1.7mlを加え、数分撹拌する。水層を分取し、メチルイソブチルケトン1ml、臭化テトラ-n-ブチルアンモニウム101mgおよび酢酸1-ヨードエチルエステル928mgを順次加える。混合物をpH5に保ちながら20℃で4時間撹拌後、メタノール6mlを添加後、1時間と5℃で2時間撹拌し、析出する結晶を濾取する。結晶を冷メチルイソブチルケトンで洗い、減圧乾燥すれば、7β-[(Z)-2-(2-フリル)-2-メトキシイミノアセトアミド]-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸アセトキシエチルエステル588mgを得る。無色結晶。収率:72%。
NMR δ(CD3SOCD3)ppm: 1.51(d, J=6Hz, 3H), 2.08(s, 3H), 3.77, 3.55(ABq,J=18Hz, 2H), 3.92(s, 3H), 4.87, 4.65(ABq, J=12Hz, 2H), 5.31, 5.27(d, J=5Hz, 1H), 5.94(m, 1H), 6.6〜6.8(m, 2H), 6.8(m, 2H), 7.04, 6.94(m, 1H),7.89(m, 1H), 9.80(d, J=9Hz, 1H).
【0039】
B.(ジシクロヘキシルアミン塩)
1)アシル化:7-アミノデアセチルセファロスポラン酸429mgを5%含水プロパノール2.5mlとジシクロヘキシルアミン0.9mlの混液にとかし、−10℃の酢酸エチル12ml中、トリエチルアミン0.56mlと(Z)-2-(2-フリル)-2-メトキシイミノ酢酸722mgと塩化メタンスルホニル0.22mlから合成した(Z)-2-(2-フリル)-2-メトキシイミノ酢酸メタンスルホン酸混合無水物の酢酸エチル溶液を加え、1時間撹拌してアシル化すれば、β-[(Z)-2-(2-フリル)-2-メトキシイミノアセトアミド]-3-ヒドロキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジシクロヘキシルアミン塩を得る。
2)カルバモイル化:これを塩化水素97mgの酢酸エチル3ml溶液に約−40℃で加え、30分後、クロルスルホニルイソシアネート378mlを滴下、1時間撹拌してカルバモイル化する。反応液を水5mlで薄め、20℃で1時間撹拌して脱クロルスルホニル化する。反応液を重曹水でpH2.4とし、アセトン1.5mlを加える。有機層を分取し、水洗、減圧濃縮する。残留液を減圧濃縮後ジシクロヘキシルアミン0.35mlを加え、酢酸エチルで薄めれば、7β-[(Z)-2-(2-フリル)-2-メトキシイミノアセトアミド]-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジシクロヘキシルアミン塩710mgを得る。収率:63%。
3)エステル化:7β-[(Z)-2-(2-フリル)-2-メトキシイミノアセトアミド]-3-カルバモイルオキシメチル-3-セフェム-4-カルボン酸ジシクロヘキシルアミン塩600mgをメチルイソブチルケトン5mlと4.5%硫酸水1.5mlにとかす。有機層を分取し、7%炭酸水素ナトリウム水1mlで逆抽出する。抽出液にメチルイソブチルケトン0.55ml、臭化テトラ-n-ブチルアンモニウム72.8gと酢酸1-ヨードエチルエステル337mgを順次加え、中性に保ちながら4時間撹拌してエステル化し、メタノ−ルから結晶化すれば、実施例2のA.と同一の生成物313mgを得る。収率:62%。
【0040】
C.(他の有機アミン塩)
ジエチルアミンまたはジシクロヘキシルアミンの代わりに次の有機アミンを用いて実施例2のA.またはB.の反応を行なえば、実施例2のA.と同一の生成物を得る。
イソプロピルアミン、イソブチルアミン、t-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、メチルイソブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピロリジン、モルホリン、ピペリジン、ジフェニルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-n-ペンチルアミン、トリ-n-オクチルアミン、N-メチルジイソプロピルアミン、N-メチルモルホリン、N-メチルピペリジン、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリベンジルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアミノピリジン、ピコリン、ルチジン、2-ピコリルアミン。
Claims (4)
- 7β−[(Z)−2−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−チアゾリル)−2−ペンテノイルアミノ]−3−ヒドロキシメチル−3−セフェム−4−カルボン酸の2級アミン塩。
- ジイソプロピルアミン塩である、請求項1記載のアミン塩。
- 7β−[(Z)−2−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−4−チアゾリル)−2−ペンテノイルアミノ]−3−カルバモイルオキシメチル−3−セフェム−4−カルボン酸の2級アミン塩。
- ジイソプロピルアミン塩である、請求項3記載のアミン塩。
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