JP3742448B2 - 射出成形機における圧力検出器の零点調整方法及び装置 - Google Patents

射出成形機における圧力検出器の零点調整方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形機における圧力検出器の零点調整方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
可動部材に対応して設けられた圧力検出器によって可動部材にかかる圧力を検出するようにした射出成形機は公知であり、例えば、スクリューの基部に取り付けられた圧力検出器により射出保圧圧力や計量時の背圧をサンプリングするもの等がよく知られている。圧力検出器として最も一般に使用されるのが、いわゆるロードセル、つまり、可動部材と該可動部材の駆動源との間の動力伝達経路上に位置する弾性部材とストレインゲージとによって構成される圧力検出器である。
【0003】
ストレインゲージは圧力による金属線の変形を電気抵抗の変化に変えて測定するものであるから、このストレインゲージを可動部材と駆動源との間の動力伝達経路上に位置する機能上必要な必須の弾性部材もしくは可動部材そのもの等に直接貼着することによっても可動部材に作用する圧力を検出することは可能であるが、弾性部材の剛性が著しく高く圧力による変形が少ないような場合では、高精度の圧力検出が難しくなる場合もあるので、動力伝達経路上に起歪体と称する弾性変形し易い部材を介装し、この部材にストレインゲージを貼着して圧力検出器として構成するのが普通である。
【0004】
一般に起歪体またはロードセル本体といえば前記した弾性変形し易い部材のことであるが、無論、ストレインゲージ自体も起歪体の一種である。
【0005】
ロードセルを利用した圧力検出器の一例として、スクリュー軸に作用する圧力を検出するようにした圧力検出器の一般的な構造について、射出機構の要部断面を示す図1を参照して簡単に説明する。
【0006】
図1において、符号1は射出ユニットのフロントプレートである。フロントプレート1には図中右側に位置する図示しないリアプレートとの間に2本もしくは4本のタイロッド2が固設され、このタイロッド2にブッシュ等を介して摺動自在にスクリュープッシャープレート3が取り付けられている。
【0007】
スクリュースリーブ4はスクリュープッシャープレート3に2つのアンギュラベアリングを介して回転自在に取り付けられており、該スリーブ4に固着された歯付プーリ5および該プーリ5に巻回された図示しないタイミングベルト等を介して、スクリュープッシャープレート3の側に固設された図示しない計量用モータにより回転駆動されるようになっている。
【0008】
また、フロントプレート1の前面に固設された射出シリンダ6には計量および射出のためのスクリュー7が内嵌され、該スクリュー7の基部が前記スクリュースリーブ4に回転および軸方向移動不能に固着され、スクリュースリーブ4の回転動作に応動して計量混練りのためのスクリュー回転が行われるようになっている。
【0009】
更に、図示しないリアプレートには運動用ネジとしてのボールネジ8が軸方向移動不能かつ回転可能に取り付けられ、リアプレートの側に固設された射出用モータによりタイミングベルト等を介して回転駆動されるようになっている。リアプレートからフロントプレート1に向けて突出したボールネジ8の先端は、スクリュープッシャープレート3の裏面に回転不能に固設されたボールナット9(ソケットともいう)に螺合され、ボールネジ8の回転により、スクリュープッシャープレート3および該プレート3に取り付けられた部材の全てがフロントプレート1に対して全体的に接離移動し、スクリュースリーブ4に固着されたスクリュー7が射出シリンダ6内で前後退する。
【0010】
スクリュー7に作用する射出保圧圧力や背圧を検出するための圧力検出器となるロードセル10は、スクリュー7の基部、厳密には、スクリュープッシャープレート3とボールナット9との間に介装され、ボルト13,14でそれぞれスクリュープッシャープレート3およびボールナット9に固着されたロードセル本体11(起歪体ともいう)と該ロードセル本体11に貼着されたストレインゲージ12とで構成される。ロードセル本体11の形状は、図1に側断面を示す通り、径方向中央部に周溝状の肉薄部11aを備えた円環体であり、ボールナット9とスクリュープッシャープレート3との間に作用する力、つまり、ロードセル本体11の外周部と内周部との間でスクリュー軸の方向に沿って互いに逆向きに作用する力と反力、要するに、スクリュー7に作用する射出保圧圧力や背圧の影響を受けて肉薄部11aが容易に変形し、スクリュー7に作用する樹脂反力を検出できるようになっている。
【0011】
スクリュー7に作用する樹脂反力を適確に検出するためには、ロードセル10の圧力検出の繰り返し精度を向上させることが重要であり、周囲温度の影響による検出誤差を抑制するための温度補償回路や湿度の影響による検出誤差を抑制するためのコーティング処理等がロードセル10に対して施されている。
【0012】
しかし、ロードセル10の取り付け位置が熱源となるシリンダ6に接近しており、また、射出機構全体が計量用モータや射出用モータと共に射出ユニットのハウジング内に収められている関係から、実際の射出成形作業中におけるロードセル10の周囲温度はロードセル10が製造された時の周囲温度に比べて相当に高くなる場合が多く、温度補償回路による誤差補正だけでは対処しきれなくなる場合がある。
【0013】
また、湿度による悪影響を抑制する必要上ロードセル10に防湿のためのコーティング処理を施すことは重要ではあるが、このコーティング処理の際にコーティング材の内部やロードセル10との界面に気泡が侵入したりすると、この気泡が温度変化によって膨脹または収縮し、ロードセル10に対して変形の影響を与えて圧力の検出精度が不正確となる場合がある。無論、熱膨脹係数の異なる異種素材をロードセル10にコーティングしたことにより生じる温度変化の際の内部応力の影響も無視はできない。
【0014】
更に、ロードセル10に荷重による歪みが生じた際にコーティング材が塑性変形してしまうと、このコーティング材がロードセル10の弾性復帰を妨げることになるので、ロードセル10から荷重が取り除かれてもロードセル10の検出圧力が零に復帰しなくなってしまうといった場合がある。
【0015】
これらの問題はコーティング材に限ったものではなく、ストレインゲージ12をロードセル本体11に貼り付ける接着剤にも同様の問題があり、特に、接着剤の膨脹や収縮または塑性変形等はストレインゲージ12自体の歪みに直接の影響を与えるといった意味で深刻である。
【0016】
結果的に、温度補償回路やコーティングによる防湿処理等の手段を講じたとしても、ロードセル10の圧力検出の繰り返し精度を完全に補償するといったことは事実上不可能である。
【0017】
スクリュー7と射出用モータとの間の動力伝達経路上にロードセル10を1組のみ配備する場合、このロードセル10が検出しなければならない最大の圧力は、射出成形機の最大射出保圧圧力にもよるが、例えば、2000Kg/cm 2 等ということになる。前述した温度補償回路や防湿処理を適用した場合であってもロードセル10の検出精度には最終的に数%の誤差が残るので、ロードセル10によって最終的に検出され得る圧力の単位は、検出精度の誤差を仮に1%としても(既に述べた通り実際には数%である)、20Kg/cm 2 程度になってしまう。
【0018】
一方、計量時の背圧は20Kg/cm 2 ,30Kg/cm 2 ,・・・等と10Kg/cm 2 のオーダーを単位として設定するのが普通であるから、射出保圧圧力の検出に用いるのと同じロードセル10を用いて計量時の背圧制御を行おうとすると、誤差の占める割合が大きくなり過ぎ、適切な背圧制御が行えなくなってしまうという問題がある。
【0019】
従って、ロードセル10の温度が高くなって温度補償回路による誤差補正では間に合わなくなったような場合、または、コーティング材に塑性変形等が生じてロードセル10の弾性変形に影響を与えるようになった場合では、その周囲温度やコーティング材の塑性変形等によって生じる誤差に応じ、改めてロードセル10の零点補正を行う必要があるが、この際、温度変化やコーティング材の塑性変形による誤差を除く他の外乱要素の全てを排除してやらねば、正確な零点補正を行うことはできない。言い換えれば、温度変化やコーティング材の塑性変形による応力のみが作用している状態でロードセル10の検出圧力が零となるような補正を行う必要があるということである。
【0020】
コーティング材の塑性変形等により生じる誤差は、シリンダ6等から比較的離れて温度の影響を受けにくいエジェクタロッドや可動プラテンの圧力検出器の場合も無縁ではなく、特に、エジェクタロッドによりエジェクタピンやその他金型内に突出する可動部材を動かして型内容積や型内圧力を調整するようにした構造を有する射出成形機の場合では、このエジェクタロッドの圧力検出器に高い検出精度が要求され、また、強大な型締力が作用する可動プラテンの圧力検出器のコーティング材の塑性変形等による検出誤差も問題となることがあり、同様な補正作業が必要となる場合がある。
【0021】
ここで問題となるのは、前述した他の外乱要素の全てを如何にしてロードセル10から取り除くかである。
【0022】
図1の構成例におけるスクリュー軸の圧力検出器の場合において最も確実なのは、ロードセル10をスクリュープッシャープレート3に取り付けているボルト13を取り外してボールナット9およびロードセル10を図中右側に後退させるか、または、ボルト13を取り外してスクリュープッシャープレート3を図中左側に前進させるかしてロードセル10を他の部材から切り離し、ロードセル10自体を完全な自由状態にしてしまうことである。
【0023】
しかし、このような作業は極めて面倒である。更に、ロードセル10と共にスクリュープッシャープレート3から切り離されたボールナット9を不用意に手で回転させてしまったりすると、パルスコーダ等の回転位置検出器に生じる位置ずれにより、スクリュー7の位置制御に支障を生じる恐れもある。
【0024】
そこで、射出機構を分解せず、そのままの状態でロードセル10から外乱要素を取り除くための方法が求められる。
【0025】
しかし、図1に示す通りタイロッド2とスクリュープッシャープレート3との間にはスクリュープッシャープレート3を現在位置に保持しようとする摩擦力A1,A2、つまり、スクリュープッシャープレート3に後退力が作用するときに反力として働く摩擦力A1と、スクリュープッシャープレート3に前進力が作用するときに反力として働く摩擦力A2とが存在する。
【0026】
また、スクリュー7と射出シリンダ6との間にはスクリュー7を現在位置に保持しようとする摩擦力が存在し、更に、樹脂が固化している場合では、射出シリンダ6の内壁に固着した樹脂とスクリュー7との間にスクリュー7を現在位置に保持しようとする抵抗が存在する。一方、樹脂が溶融している状態では、スクリュー7と樹脂との間にスクリュー7を後退させようとする樹脂反力が存在する場合と、また、これとは逆に、溶融した樹脂が固化しつつその体積を減少させているような状態では、スクリュー7と樹脂との間にスクリュー7を前進させようとする力が存在する場合もある。なお、図1ではスクリュー7を前進させようとする全体的な樹脂反力をB1、また、スクリュー7を後退させようとする全体的な樹脂反力をB2として便宜的に示している。
【0027】
一見すると、ボールネジ8を回転駆動する射出用モータの駆動を解除してボールネジ8の回転を自在とすれば、ロードセル10に作用するテンション(B1−A2)、または、ロードセル10に作用するストレス(B2−A1)等の力に応動してボールナット9が自由に前後退し、更に、ボールナット9の前後退動作に応動してボールネジ8の側が自在に回転して、このテンション(B1−A2)やストレス(B2−A1)等を解消し、ロードセル10に作用する外乱要素を完全に取り除けるように見える。
【0028】
しかし、実際には、射出用モータの駆動を解除してもボールネジ8とボールナット9との間にはある程度の摩擦があり、この摩擦がボールネジ8の自由回転を妨げる方向に作用してボールネジ8上のボールナット9の現在位置を保持しようとする力が働くため、ロードセル10に作用するテンションやストレスに応動させてボールナット9を自由に前後退させるというわけにはいかず、ロードセル10から外乱要素を完全に取り除くことはできない。当然、射出用モータのロータ部分における摩擦抵抗等も問題となるところである。
【0029】
また、スクリュー7に所定の推力を与えてロードセル10によりその反力を検出し、与えた推力とロードセル10の検出値とが一致するようにロードセル10の零点補正を行う調整方法が本出願人により特開平7−205229号として提案され、射出保圧圧力や計量時の背圧の検出精度向上には十分な成果を収めているが、この構成においてはロードセル10がスクリュー7に与えられた推力の他、駆動系各部に作用する摩擦抵抗による外乱等を拾うので、最終的に補正されるのは外乱を含んだ検出値であり、ロードセル10単体での零点補正を行うことはできない。
【0030】
以上に述べたように、ロードセル10の零点調整に際し、射出機構を分解してロードセル10を他の部材から切り離して外乱要素を取り除くのでは手間が掛かり過ぎるし、また、ボールネジ8を駆動する射出用モータの磁励を解除した程度のことでは、ロードセル10に作用する負荷の外乱要素を完全に取り除くことはできないという問題がある。また、外乱要素を含めてロードセル10の零点補正を行った場合では、ロードセル10自体の異常を確認することが難しい場合がある。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の欠点を解消し、射出機構の分解作業を必要とせず、圧力検出器に作用する外的な負荷を完全に取り除いた状態で圧力検出器の零点調整を適確に行うことのできる射出成形機における圧力検出器の零点調整方法及び装置を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明は、射出成形機の可動部材にかかる圧力を検出する圧力検出器の零点調整方法及び装置であって、前記可動部材を駆動し、任意の位置で減衰振動を開始させ、振動の振幅が所定値以下になったときに振動を停止させる手段と、該減衰振動が停止した時に圧力検出器の出力を読み、読んだ値を基に圧力検出器の出力を補正する手段を有することにより前記目的を達成した。
【0033】
つまり、可動部材を駆動する駆動源を正逆に駆動して可動部材の振幅が所定値以下となるまで減衰振動を行わせることにより、可動部材の振動の中心に駆動源の正逆駆動の中心を合わせることにより、可動部材と駆動源との間に正逆両方向のバックラッシを生じさせ、可動部材を動力伝達経路から実質的に切り離し、可動部材に作用する外的な負荷を完全に取り除いた状態で圧力検出器の零点調整を行うのである。
【0034】
従って、減衰振動を開始させるに際しては、予め振動の中心をバックラッシの中央に合わせておく方が、より効果的である。固化した樹脂により移動を制限されるスクリュー軸等のように、何らかの理由で可動部材の移動、つまり、振動の範囲自体が制限される場合があるからである。
【0035】
これを実現するため、前記可動部材を駆動する駆動源の出力を低出力の状態にして、前記可動部材の現在位置を基準に前記可動部材を所定量移動させる指令を駆動源に出力した後、前記可動部材の停止位置を検出して第1停止位置として記憶し、更に、前記可動部材の現在位置を基準に前記可動部材を前記所定量だけ逆方向に移動させる指令を前記駆動源に出力した後、前記可動部材の停止位置を検出して第2停止位置として記憶し、前記第1停止位置と第2停止位置との中間部の1点を振動の中心として前記減衰振動を行わせるようにした。
【0036】
また、可動部材の移動自体が完全に固定されてしまうような状況下においては、可動部材自体を振動させようとすることには意味がないので、前記第1停止位置と第2停止位置との間の距離の1/2以下で、かつ、前記可動部材と駆動源との間に生じるバックラッシの量の1/2以上の値を振幅の初期値として減衰振動を行わせるようにする。
【0037】
一方、溶融した樹脂がシリンダ内に残留したままでスクリュー軸の圧力検出器の零点補正を行うような場合やガイドロッド等に対して粘着的な摺動抵抗を有する可動部材に対して設けられた圧力検出器の零点補正を行うような場合においては、可動部材と動力伝達経路との接続部に加え、樹脂の圧力や粘性等が可動部材に作用して圧力検出器に影響を与える場合があるので、前記第1停止位置と第2停止位置との間の距離の1/2に所定値を加算した値、もしくは、前記第1停止位置と第2停止位置との間の1/2の距離に1よりも大きな数を乗じた値を振幅の初期値として前記減衰振動を行わせることにより、減衰振動の初期段階で積極的に可動部材を振動させて樹脂や摺動部の油等を馴染ませ、樹脂の圧力や粘性および摺動部の油の粘性等による外力を作動部材から取り除くようにする。
【0038】
可動部材と駆動源との間に正逆両方向のバックラッシを生じさせ、可動部材を動力伝達経路から実質的に切り離すことにより、可動部材に作用する外的な負荷を取り除く構成であるから、最終的に、駆動源の振幅が可動部材と駆動源との間に生じる総合的なバックラッシの量の1/2よりも小さくなるまで、つまり、可動部材と動力伝達経路との接続が切れるまで、前記の減衰振動を行わせることが望ましい。
【0039】
可動部材を駆動する駆動源は、出力制限手段を有するサーボモータにより構成することができる。
【0040】
スクリュー軸に作用する圧力を検出する圧力検出器の場合においては、パージングの自動運転と共に前記圧力検出器の零点補正を自動的に行わせることにより、成形材料の入れ替え等の適当な時間間隔で、忘れずに圧力検出器の零点補正を行うことができる。
【0041】
また、圧力検出器の出力の補正量の絶対値が所定量を越えると異常検出信号を出力することにより、零点補正のみでは対処し得ないような圧力検出器の重大な異常を発見することができる。
【0042】
更に、調整の日付と補正量を含む零点調整の履歴を射出成形機の制御装置に記憶し、記憶した履歴を表示させることにより、圧力検出器の性能の劣化や重大な異常の発見を一層容易に行うことができる。
【0043】
次に、スクリューに作用する圧力を検出する圧力検出器を例にとって全体的な作用について述べる。
【0044】
まず、最初に、スクリュー現在位置を基準としてスクリュー7を所定量移動させる指令を駆動源に出力し、スクリュー7を僅かな力(低出力)で前後退させて移動可能な限界位置にまで移動させる。
【0045】
この際、射出シリンダ6内の樹脂が少しでも溶融していて正逆に圧縮可能な状態にあれば、駆動源は少なくともバックラッシ量を越えて作動し、スクリュー7は前記所定量の範囲内で、ある程度前後退することができる。
【0046】
より厳密にいえば、射出シリンダ6内の樹脂が相当に粘性の低い状態にまで溶融している状態では、スクリュー7は最初のスクリュー現在位置を基準に前記所定量の分だけ前進し、かつ、後退することができ、また、樹脂の溶融が不十分でその粘性が相当に高ければ、駆動源は前記僅かな力でスクリュー7を前記所定量の分だけ移動させることは不可能で、スクリュー7は最初のスクリュー現在位置を基準に前記所定量未満の量で前進し、かつ、後退することになる。
【0047】
樹脂の粘性が低い場合、つまり、スクリュー7が前記所定量の分だけ移動できる場合には、樹脂反力が外乱要素として大きな問題となることはない。樹脂反力が外乱要素として問題となるのは、樹脂の粘性が高く、最初のスクリュー現在位置においてスクリュー7が停止している状態でスクリュー7と樹脂との間にスクリュー7を後退させようとする樹脂反力(B2)が働いている場合、例えば、スクリュー7を前進させる行為を中断することにより樹脂に正の圧縮力を残したままの状態で最初のスクリュー現在位置にスクリュー7を停止させたような場合と、最初のスクリュー現在位置においてスクリュー7が停止している状態でスクリュー7と樹脂との間にスクリュー7を前進させようとする樹脂反力(B1)が働いている場合、例えば、スクリュー7を後退させる行為を中断することにより樹脂に負の圧縮力を残したままの状態で最初のスクリュー現在位置にスクリュー7を停止させたような場合等である。
【0048】
一例として、最初のスクリュー現在位置においてスクリュー7が停止している状態でスクリュー7と樹脂との間にスクリュー7を後退させようとする樹脂反力(B2)が働いている場合について考えてみる。
【0049】
前述したように、最初のスクリュー現在位置を基準としてスクリュー7を僅かな力で前進させれば、スクリュー7の前進による樹脂の体積圧縮に比例して増大するスクリュー7を後退させようとする樹脂反力(B2)と、スクリュー7を前進させようとする駆動源の前記僅かな力とが釣り合った状態でスクリュー7の前進が停止し、この位置が第1停止位置として記憶される。
【0050】
また、最初のスクリュー現在位置を基準としてスクリュー7を僅かな力で後退させれば、スクリュー7の後退による樹脂の体積膨脹に比例して増大するスクリュー7を前進させようとする樹脂反力(B2)と、スクリュー7を後退させようとする駆動源の前記僅かな力とが釣り合った状態でスクリュー7の後退が停止し、この位置が第2停止位置として記憶される。
【0051】
スクリュー7に作用する樹脂反力(B2)が実質的に零となるときのスクリュー7の位置は、スクリュー7を所定の力で前進させた時にスクリュー7が進む限界位置と、これとは逆に、スクリュー7をこれと同じ所定の力で引いた時にスクリュー7が後退する限界位置との中点、つまり、前記した第1停止位置と第2停止位置との中間位置である。従って、まず最初にこの中間位置を求め、この位置にスクリュー7を移動させてスクリュー7に対する樹脂反力の影響を取り除く。
【0052】
結果的に、最初のスクリュー現在位置においてスクリュー7が停止している状態でスクリュー7と樹脂との間にスクリュー7を後退させようとする樹脂反力(B2)が働いていた場合では、前記中間位置が最初のスクリュー現在位置よりも後方よりに移動し、また、最初のスクリュー現在位置においてスクリュー7が停止している状態でスクリュー7と樹脂との間にスクリュー7を前進させようとする樹脂反力(B1)が働いていた場合では、前記中間位置が最初のスクリュー現在位置よりも前方よりに移動することになる。
【0053】
一方、樹脂の粘性が低い場合、つまり、スクリュー7が前記所定量の分だけ自由に移動できる場合には、スクリュー7の前進限界位置は最初のスクリュー現在位置から前記所定量の分だけ前方よりの位置となり、また、スクリュー7の後退限界位置は最初のスクリュー現在位置から前記所定量の分だけ後方よりの位置となるので、結果的に、前記中間位置の演算結果は最初のスクリュー現在位置と一致することになる。既に述べた通り、このような場合においては樹脂反力が外乱要素として大きな問題となることはない。
【0054】
しかし、樹脂反力の影響をよりなくすために、具体的には後述するようにスクリューを前記中間部の1点を振動中心として振動させることにより、前記中間位置でスクリューに加わる樹脂からの力をなくすようにする。
【0055】
そして、スクリューを駆動する駆動源の振動のストロークがバックラッシより小さくなるまで減衰させると、スクリューが移動しなくなり、駆動源のみが振動することになり、この段階で振動を停止させると、スクリューには樹脂からも駆動源からも力が加えられなく、圧力検出器には何ら圧力が加えられないことになる。
【0056】
一方、射出シリンダ6内の樹脂が全く溶融していず、スクリュー7が射出シリンダ6に対して完全に固定された状態にあれば、駆動源はバックラッシ量を越えて作動することはできず、当然、スクリュー7は移動しない。
【0057】
従って、この場合の第1停止位置は、駆動源がスクリュー7を前進させる方向に作動してスクリュー7と駆動源との間のバックラッシがなくなり駆動源の駆動力が直接スクリュー7に前進力として伝達されるようになるときの駆動源の位置であり、また、第2停止位置は、駆動源がスクリューを後退させる方向に作動してスクリュー7と駆動源との間のバックラッシがなくなり駆動源の駆動力が直接スクリュー7に後退力として伝達されるようになるときの駆動源の位置である。
【0058】
従って、射出シリンダ6内の樹脂が全く溶融していず、スクリュー7が射出シリンダ6に対して完全に固定された状態にある場合では、前記中間位置への移動指令により、バックラッシの中間部位置、つまり、駆動源の駆動力が直接スクリュー7に前進力として伝達されることもなければ、また、駆動源の駆動力が直接スクリュー7に後退力として伝達されることもないような位置へと駆動源が移動されることになる。一見すると、この様な状況下ではスクリュー7と駆動源との間の接続が切れており、圧力検出器10に作用する外力が完全に取り除かれているようにも見える。
【0059】
しかし、駆動源からスクリュー7に至る動力伝達経路が複雑な場合においては動力伝達経路の構成要素の各部でバックラッシが生じるのであって、スクリュー7と駆動源との間の全体的なバックラッシの中間部位置に駆動源を移動させたからといって、各構成要素毎のバックラッシの全てが各々の中間部位置に移動するということにはならない。
【0060】
つまり、樹脂がある程度溶融している状態においてスクリュー7を後退限界位置である第2停止位置から中間部位置にまで移動させたときの前記の状況と同じように、スクリュープッシャープレート3とボールナット9との間の圧力検出器10には、ある程度の外力が作用している可能性があるということである。
【0061】
例えば、図1の例において、ボールナット9とボールネジ8との間のバックラッシの大きさと、ボールネジ8とこれを駆動するタイミングベルトとの間のバックラッシの大きさ、および、該タイミングベルトとこれを駆動する射出用モータとの間のバックラッシの大きさを共にCとするなら、駆動源から圧力検出器10に至る動力伝達経路全体のバックラッシの量は3Cということになる。
【0062】
そこで、スクリュー7の前進方向に対するバックラッシがなくなる位置、つまり、射出用モータの駆動力が直接スクリュー7に前進力として伝達されるようになる位置を第1停止位置とし、また、スクリュー7の後退方向に対するバックラッシがなくなる位置、つまり、射出用モータの駆動力が直接スクリュー7に後退力として伝達されるようになる位置を第2停止位置として、第1停止位置から第2停止位置への移動を行った後、この第2停止位置から射出用モータを(3/2)・Cだけ回転させ、第1停止位置と第2停止位置との間の中点、つまり、全体的なバックラッシの中間位置にまで射出用モータを移動させた場合について考えてみる。
【0063】
つまり、スクリュー7の後退方向に対するバックラッシが全くなく、スクリュー7の前進方向に対するバックラッシが最大となっている第2停止位置から中間位置への移動動作である。
【0064】
当然、この時に射出用モータの回転によってスクリュー7の前進方向に対するバックラッシが解消されてゆく順序は、各部の構成要素の組を単位として見ると、最初に、ボールネジ8を駆動するタイミングベルトと射出用モータとの間のバックラッシ、次に、ボールネジ8とタイミングベルトとの間のバックラッシ、そして最後に、ボールナット9とボールネジ8との間のバックラッシの順である。
【0065】
この際、射出用モータの移動量(3/2)・Cは、ボールネジ8を駆動するタイミングベルトと射出用モータとの間のバックラッシCよりは大きいから、タイミングベルトと射出用モータとの間にあるスクリュー7の前進方向に対するバックラッシは射出用モータがCだけ移動した時点で完全に解消される。そして、この結果、タイミングベルトは〔(3/2)・C−C=(1/2)・C〕の分だけスクリュー7の前進方向に移動され、これと同時に、射出用モータは指令された(3/2)・Cの移動を終了して停止することになる。
【0066】
しかし、タイミングベルトの回転量(1/2)・Cは、ボールネジ8とタイミングベルトとの間のバックラッシ量Cに満たないので、ボールネジ8とタイミングベルトとの間にあるスクリュー7の前進方向に対するバックラッシは完全には解消されず、ボールネジ8自体は全く回転しない。
【0067】
従って、ボールナット9とボールネジ8との相互関係は、第1停止位置から第2停止位置に向けて射出用モータを回転させたときと同じ状態、つまり、スクリュー7の後退方向に対するバックラッシを完全になくしてボールネジ8でボールナット9を引張したときのままの状態に保持されることになり、圧力検出器10に作用するテンションを取り除くことはできない。
【0068】
つまり、射出用モータを第1停止位置から第2停止位置に向けて逆転させてから、総合的なバックラッシ量の1/2だけ正転させて第1停止位置と第2停止位置との中間点まで移動させたとしても、それだけではボールネジ8とボールナット9との間のテンションは取り除けない場合があるということである。
【0069】
ボールナット9とボールネジ8との間のバックラッシの大きさと、ボールネジ8とタイミングベルトとの間のバックラッシの大きさ、および、タイミングベルトと射出用モータとの間のバックラッシの大きさを共にCとした前述の例に関してのみいうなら、タイミングベルトと射出用モータとの間のバックラッシの大きさCにボールネジ8とタイミングベルトとの間のバックラッシの大きさCを加え、更に、これにボールナット9とボールネジ8との間のバックラッシの大きさの半量(1/2)・Cを加えた値(5/2)・Cだけ射出用モータを正転させて第2停止位置から第1停止位置に向けて移動させることにより、圧力検出器10に直接影響するストレスなりテンションなりを取り除くことは可能である。
【0070】
しかし、実際には、動力伝達経路の各部のバックラッシ量は機械の磨耗程度等によっても様々に変化するので、ボールナット9とボールネジ8との間のバックラッシを中立位置に移動させるための駆動源の移動量を設定値等により一義的に決めることはできず、ボールナット9とボールネジ8との間のバックラッシを中立位置に移動させるための一定のアルゴリズムに基づく処理操作が必要となる。
【0071】
なお、スクリュー7の前進および後退のいずれの動作を先に行うかは任意であり、前記とは逆に、スクリュー7の後退動作を先に行った場合では、後退停止位置が第1停止位置として、また、前進停止位置が第2停止位置として記憶されることになるが、中間位置に関する演算結果は同一である。
【0072】
そこで、本発明においては、このような要請に対し、前記中間部の1点を振動中心とし、第1停止位置と第2停止位置との間の距離の1/2以下で、かつ、スクリューと駆動源との間に生じるバックラッシの総量の1/2以上の値を振幅の初期値として、少なくとも振幅が前記バックラッシの量の1/2よりも小さくなるまでの間、前記駆動源に減衰振動を行わせることにより対処する。このアルゴリズムによって生じる現象を図1の構成例に基いて説明すれば、以下に示す通りである。
【0073】
まず、減衰振動開始の初期段階における振幅の大きさは、第1停止位置と第2停止位置との間の距離の1/2、要するに、総合的なバックラッシの量の大きさの1/2、例えば(3・C)/2と同値またはそれ以上に大きな値である。この値は、ボールナット9とボールネジ8との間のバックラッシの大きさと、ボールネジ8とタイミングベルトとの間のバックラッシの大きさ、および、タイミングベルトと射出用モータとの間のバックラッシの大きさとを合算した大きさに相当する量よりも大きいから、ボールネジ8は、ボールナット9との間でスクリュー7の前進方向に対応するバックラッシがなくなりボールネジ8の正転がボールナット9に直接スクリュー7の前進力として伝達されるようになるときの位置と、ボールナット9との間でスクリュー7の後退方向に対応するバックラッシがなくなりボールネジ8の逆転がボールナット9に直接スクリュー7の後退力として伝達されるようになるときの位置との間を越え、繰り返し正逆に回転することになる。
【0074】
そして、振幅の大きさが徐々に減衰して、総合的なバックラッシ量の1/2の大きさ、例えば、(3・C)/2よりも小さくなると、ボールネジ8は、ボールネジ8の正転がボールナット9に直接スクリュー7の前進力として伝達されるようになるときの位置や、ボールネジ8の逆転がボールナット9に直接スクリュー7の後退力として伝達されるようになるときの位置まで回転することができなくなり、ボールネジ8とボールナット9との間の実質的な接触が断たれることになる。
【0075】
この状態ではボールネジ8がボールナット9から完全に切り離された状態、つまり、接触していない状態となっているので、ボールナット9が圧力検出器10を押そうとする力も、また、ボールナット9が圧力検出器10を引こうとする力も全く作用しない状態となり、実質的に圧力検出器10に作用する外乱は零となる。
【0076】
無論、このような状態でも、スクリュー7に樹脂圧力等が作用してスクリュープッシャープレート3を押し引きする力が働き、スクリュープッシャープレート3自体が移動する可能性があるならばこれを無視するわけにはいかないが、既に述べた通り、本発明においては、前記第2停止位置から中間位置までの駆動源の移動により、スクリュー7に作用する樹脂反力自体は予め取り除かれているので、この点に関しては問題がない。
【0077】
従って、図1の例に示すように、圧力検出器10が動力伝達経路上の最終的な位置、例えば、ボールナット9とスクリュープッシャープレート3との間に配備されているのであれば、振幅の大きさが総合的なバックラッシ量の1/2の大きさ(3・C)/2を下回った段階で、直ちに減衰振動を止めて圧力検出器10の零点補正を行うことができる。当然、この状態では圧力検出器10に作用する外的な負荷は零である。
【0078】
更に、振幅の大きさが総合的なバックラッシ量の1/2の大きさ(3・C)/2よりも小さくなっても振動を停止させずにそのまま減衰振動を続けて行くとするなら、前記の例においては、次いで、振幅がCまで減衰した時点、つまり、ボールネジ8とタイミングベルトとの間のバックラッシの大きさとタイミングベルトと射出用モータとの間のバックラッシの大きさとの総和を振幅が下回った時点で、ボールネジ8の正逆回転は完全に停止する。ボールネジ8とタイミングベルトとの間のバックラッシとタイミングベルトと射出用モータとの間のバックラッシとにより駆動源の振動が完全に吸収され、駆動源の駆動力がボールネジ8にまで伝達されなくなるからである。ボールネジ8の正逆回転が停止する位置は当然ボールネジ8の振動の中心であり、ボールネジ8の正転がボールナット9に直接スクリュー7の前進力として伝達されるようになるときの位置とボールネジ8の逆転がボールナット9に直接スクリュー7の後退力として伝達されるようになるときの中間位置にある。
【0079】
そして、更に、そのまま減衰振動を続けて行くとするなら、前記の例においては、次いで、振幅がC/2まで減衰した時点、つまり、タイミングベルトと射出用モータとの間のバックラッシの大きさを振幅が下回った時点で、タイミングベルトの正逆回転は完全に停止する。タイミングベルトと射出用モータとの間のバックラッシにより駆動源の振動が完全に吸収され、駆動源の駆動力がタイミングベルトにまで伝達されなくなるからである。タイミングベルトの正逆回転が停止する位置は当然タイミングベルトの振動の中心であり、タイミングベルトの正転がボールナット8に直接ボールナット8の正回転力として伝達されるようになるときの位置とタイミングベルトの逆転がボールナット8に直接ボールナット8の逆転力として伝達されるようになるときの位置との中間位置にある。
【0080】
最終的に、射出用モータの振幅が零まで減衰して射出用モータが停止したときの射出用モータの位置は射出用モータ自体の振動の中心であり、射出用モータの正転がタイミングベルトに直接タイミングベルトの正回転力として伝達されるようになるときのモータ位置と射出用モータの逆転がタイミングベルトに直接タイミングベルトの逆転力として伝達されるようになるときのモータ位置との中間位置にある。
【0081】
つまり、本発明によれば、振幅の大きさが最終的に零もしくは零に近似する値に収束するまで減衰振動を行わせることにより、各構成要素毎のバックラッシの全てを各々のバックラッシの中立位置に移動させることができるのである。
【0082】
前述した図1の例においてボールナット9とスクリュープッシャープレート3との間以外の位置、例えば、ボールネジ8とこれを駆動するタイミングベルトとの間や、タイミングベルトとこれを駆動する射出用モータとの間に圧力検出器10を取り付けることは全く考えられないが、これとは異なる構成要素からなる動力伝達経路により構成される射出機構においては、図1の例におけるボールナット9とスクリュープッシャープレート3との間とは異なる動力伝達経路上の位置に圧力検出器10を介装することが可能な場合もある。
【0083】
減衰振動を利用した本発明によれば、動力伝達経路の構成によらず、最終的に、各構成要素毎のバックラッシの全てを各々のバックラッシの中立部位置に移動させることができるので、圧力検出器10がどのような位置に取り付けられているような場合であっても、これに直接の負荷を与える構成要素と圧力検出器10との実質的な接続を断って、圧力検出器10の外乱を取り除くことができる。
【0084】
なお、射出シリンダ6内の樹脂が溶融している場合では振幅の初期値が機械系のバックラッシ量の1/2の総和よりも大きくなるが、その場合はスクリュー7の移動自体も許容されるので問題はない。このような場合においては、スクリュー7の移動自体を総合的なバックラッシの一部として考えることも可能であり、スクリュー7自体も、前記した各構成要素と同様、振動の中心、つまり前記の中間位置で停止することになる。
【0085】
最終的な零点補正は、減衰振動終了後に圧力検出器の現在値、つまり、無負荷状態における圧力検出器の出力を読み、この現在値が零となるように圧力検出器の出力を補正することにより行う。
【0086】
また、スクリュー7を駆動する駆動源の出力を低出力の状態にしてスクリュー7を移動させるための手段としては、出力制限手段を有するサーボモータを利用することができる。
【0087】
更に、振幅の初期値として、前記第1停止位置と第2停止位置との間の距離の1/2に所定値を加算した値、もしくは、前記第1停止位置と第2停止位置との間の距離の1/2に1よりも大きな数を乗じた値を用いることにより、機械の磨耗でバックラッシが増大したような場合であっても、これに適確に対処することができる。
【0088】
エジェクタロッドや可動プラテンの圧力検出器の場合も基本的に前記と同様である。
【0089】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、射出成形機における射出機構の構成に関しては何ら新しい構成要素は必要でなく、図1に示した従来例と全く同様の構成を適用できるので、ここでは機械的な構成に関する説明は省略する。
【0090】
図2は射出成形機の各部を駆動制御する制御装置としての数値制御装置100の要部を示すブロック図である。
【0091】
数値制御装置100は、数値制御用のマイクロプロセッサであるCNC用CPU115、プログラマブルマシンコントローラ用のマイクロプロセッサであるPMC用CPU108、サーボ制御用のマイクロプロセッサであるサーボCPU110、および、A/D変換器106を介して射出成形機本体側のロードセル10から射出保圧圧力や計量時の背圧を検出してサンプリング処理を行うための圧力モニタ用CPU107を有し、バス112を介して相互の入出力を選択することにより各マイクロプロセッサ間での情報伝達が行えるようになっている。
【0092】
PMC用CPU108には射出成形機のシーケンス動作を制御するシーケンスプログラム等を記憶したROM103および演算データの一時記憶等に用いられるRAM104が接続され、CNC用CPU115には、射出成形機の各軸を駆動制御する制御プログラム等を記憶したROM117および演算データの一時記憶等に用いられるRAM118が接続されている。
【0093】
また、サーボCPU110および圧力モニタ用CPU107の各々には、サーボ制御専用の制御プログラムを格納したROM111やデータの一時記憶に用いられるRAM109、および、射出保圧圧力や背圧のサンプリング処理等に関する制御プログラムを格納したROM101やデータの一時記憶に用いられるRAM102が接続されている。なお、RAM102は不揮発性のメモリであり、ロードセル10の補正値を記憶するための記憶領域を有する。圧力モニタ用CPU107が射出保圧圧力や背圧として検出するのは、A/D変換器106の出力に補正値を加算した値である。但し、後述する零点補正処理の実行時においては前述の加算処理はキャンセルされ、A/D変換器106の出力がそのまま検出圧力として読み込まれるようになっている。
【0094】
更に、サーボCPU110には、該CPU110からの指令に基いて型締め用,エジェクタ用,射出用,スクリュー回転用等の各軸のサーボモータを駆動するサーボアンプが接続され、各軸のサーボモータに取付けられたパルスコーダからの出力がサーボCPU110に帰還されるようになっている。各軸の現在位置はパルスコーダからのフィードバックパルスに基いてサーボCPU110により算出され、各軸の現在位置記憶レジスタに更新記憶される。
【0095】
図2においては1軸分のサーボアンプ105と射出機構のボールネジ8を駆動する射出用サーボモータM1およびこれに対応するパルスコーダP1についてのみ示しているが、型締用,エジェクタ用,スプルーブレイク用等の各軸の構成は皆これと同様である。但し、スクリュー回転用のものに関しては現在位置を検出する必要はなく、速度のみを検出すればよい。
【0096】
インターフェイス113は射出成形機本体の各部に配備したリミットスイッチや操作盤からの信号を受信したり射出成形機の周辺機器等に各種の指令を伝達したりするための入出力インターフェイスである。
【0097】
ディスプレイ付手動データ入力装置119はCRT表示回路116を介してバス112に接続され、グラフ表示画面や機能メニューの選択および各種データの入力操作等が行えるようになっており、数値データ入力用のテンキーおよび各種のファンクションキー等が設けられている。
【0098】
不揮発性メモリ114は射出成形作業に関する成形条件と各種設定値,パラメータ,マクロ変数等を記憶する成形データ保存用のメモリである。
【0099】
以上の構成により、PMC用CPU108が射出成形機全体のシーケンス動作を制御し、CNC用CPU115がROM117の各軸毎の運転プログラムや不揮発性メモリ114の成形条件等に基いて各軸のサーボモータに対してパルス分配を行い、サーボCPU110は各軸に対してパルス分配された移動指令とパルスコーダ等の検出器で検出された位置および速度のフィードバック信号に基いて、従来と同様に位置ループ制御,速度ループ制御さらには電流ループ制御等のサーボ制御を行い、いわゆるディジタルサーボ処理を実行して、射出成形作業を行う。
【0100】
図4〜図7はロードセル10の零点補正を自動的に行うための零点補正処理の概略を示すフローチャートである。この露点補正処理のプログラムは、機能メニューから“ロードセルの零点補正”を選択することによりCNC用CPU115によって実行される。
【0101】
零点補正処理を開始したCNC用CPU115は、まず、スプルーブレイク用モータの現在位置Bを読み(ステップS1)、射出ユニットがパージングの設定後退位置にまで後退しているか否かを判別する(ステップS2)。そして、もし、射出ユニットが設定後退位置にまで後退していなければ、スプルーブレイク用モータに後退指令を出力し(ステップS3)、射出ユニットをパージングの設定後退位置にまで後退させ(ステップS4)、設定後退位置に停止させる(ステップS5)。
【0102】
この処理は、スクリュー7を前進させたときに溶融樹脂が排出されて金型やステーショナリープラテンに付着するのを防止するために行うものであるから、自動パージを実行したときのように、射出ユニットが既にパージングの設定後退位置にまで後退している場合、つまり、ステップS2の判別結果が真となった場合には、当然、非実行とされる。
【0103】
次いで、CNC用CPU115は、樹脂の固化状態を記憶するフラグFに溶融を示す値である零を初期設定し(ステップS6)、射出用サーボモータM1の現在位置Ps、要するに、スクリュー7の現在位置を読み込んで記憶する(ステップS7)。この値Psが課題を解決するための手段における作用説明で述べた最初のスクリュー現在位置であるが、既に述べた通り、射出用サーボモータM1とスクリュー7との間にはある程度のバックラッシが介在するので、射出用サーボモータM1の位置によって示されるスクリュー現在位置と実際のスクリュー現在位置との間にはバックラッシ相当量の範囲内で誤差を生じる場合がある。
【0104】
例えば、スクリュー7を前進させる行為を中断することにより樹脂に正の圧縮力を残したままの状態で最初のスクリュー現在位置にスクリュー7を停止させたような場合では射出用サーボモータM1の位置によって示されるスクリュー現在位置に比べて実際のスクリュー現在位置が僅かに後退している場合があり、また、スクリュー7を後退させる行為を中断することにより樹脂に負の圧縮力を残したままの状態で最初のスクリュー現在位置にスクリュー7を停止させたような場合では射出用サーボモータM1の位置によって示されるスクリュー現在位置に比べて実際のスクリュー現在位置が僅かに前進している場合があるということである。
【0105】
射出シリンダ6の先端を原点としてスクリュー7の位置を示す図3の数直線上に最初のスクリュー現在位置Psの一例を示す。
【0106】
射出用サーボモータM1の最初の現在位置Psを記憶したCNC用CPU115は、次いで、射出用サーボモータM1の駆動力を低出力に制限するためのトルクリミットT1をサーボCPU110に設定し(ステップS8)、スクリュー7の往復動作回数を数えるカウンタCに零を初期設定した後(ステップS9)、カウンタCの値を1インクリメントして(ステップS10)、スクリュー7を最初のスクリュー現在位置Psから射出シリンダ6の先端(以下、原点という)にまで移動させるに必要とされる移動指令を射出用サーボモータM1に対して出力する(ステップS11、図3に示すa1の移動)。
【0107】
次いで、CNC用CPU115は、カウンタCの値が1であるか否か、つまり、今回の原点移動指令が最初の往復動作における原点移動指令であるか否かを判別し(ステップS12)、最初の原点移動指令であれば、タイマTに所定の作動時間を設定して計時を開始させる(ステップS13)。なお、この作動時間は、ある程度粘性の高い溶融樹脂が射出シリンダ6内に残留していてもスクリュー7が原点にまで到達できる程度の時間である。
【0108】
以下、CNC用CPU115はステップS14〜ステップS16の判別処理を繰り返し実行し、タイマTの作動時間が経過する前にスクリュー7が原点に到達するか否か、要するに、射出シリンダ6内の樹脂が溶融していてスクリュー7の移動が可能であるか(射出シリンダ6内に樹脂がない場合を含む)、または、射出シリンダ6内の樹脂が完全に固化していてスクリュー7の移動が全く不能であるかを判別する(ステップS14〜ステップS16)。
【0109】
なお、ステップS14〜S16による樹脂が溶融しているか否かの判断の代りに、射出シリンダ6の温度を検出し、樹脂が溶融する温度か否かによって樹脂が溶融しているか否かを判断してもよい。
【0110】
まず、射出シリンダ6内の樹脂が溶融していてスクリュー7の移動が可能である場合(射出シリンダ6内に樹脂がない場合を含む)、つまり、タイマTの作動時間が経過する前にスクリュー7が原点に到達してステップS15の判別結果が真となった場合は、CNC用CPU115は、続けて、スクリュー7を原点から後退限度(以下、後退限という)にまで移動させるに必要とされる移動指令を出力し(ステップS17,図3に示すa2の移動)、後退限への移動を確認した後(ステップS18)、改めて、スクリュー7を後退限から最初のスクリュー現在位置Psまで移動させる移動指令を出力し(ステップS19,図3に示すa3の移動)、最初のスクリュー現在位置Psへの移動を確認した後(ステップS20)、スクリュー7の往復動作回数を数えるカウンタCの値が設定往復回数Cxに達しているか否かを判別する(ステップS21)。
【0111】
設定往復回数Cxを2以上の値に設定すれば、前述したステップS10〜ステップS21までの繰り返し処理によりスクリュー7を射出シリンダ6内でフルストロークで複数回往復動作させて射出シリンダ6内の溶融樹脂のかなりの量を排出することができる(射出シリンダ6内に樹脂がある場合)。但し、第2回目以降の往復動作ではカウンタCの値が2以上となるので、スクリュー7の移動可否の判別に必要とされるステップS13およびステップS14の処理は非実行とされる。最初の原点移動が可能であれば樹脂が溶融していることは明らかであるから(射出シリンダ6内に樹脂がない場合を含む)、敢えてステップS13およびステップS14の処理を繰り返す必要はない。
【0112】
一方、最初の原点移動において樹脂の固化(若しくは非常に粘性が高いこと)が確認された場合、つまり、タイマTの作動時間が経過してもスクリュー7が原点に到達せず、ステップS14の判別結果が真となった場合では、スクリュー7の移動自体が不能若しくはわずかな移動しかできないから、スクリュー後退指令を出力することには意味がない。従って、この場合、CNC用CPU115は、実行中である原点へのスクリュー移動と後退限へのスクリュー移動に関する処理を共に放棄し、最初のスクリュー現在位置Psへの移動指令を出力して最初のスクリュー現在位置Psへのスクリュー移動を確認し(ステップS48,ステップS49)、樹脂の固化状態を記憶するフラグFに1を設定して樹脂が完全に固化していることを記憶する(ステップS50)。
【0113】
樹脂の溶融状態に応じ、スクリュー7の前後退動作と最初のスクリュー現在位置Psへの復帰動作(樹脂が溶融しており結合子▲2▼を通る経路の処理が行われた場合)、もしくは、原点移動を放棄しての最初のスクリュー現在位置Psへの復帰動作(樹脂が固化しており結合子▲1▼を通る経路の処理が行われた場合)を行わせたCNC用CPU115は、次いで、射出用サーボモータM1の駆動力を低出力に制限するためのトルクリミットT2をサーボCPU110に設定する(ステップS22)。
【0114】
但し、前述のトルクリミットT1は樹脂が固化していた場合に移動指令を出力してもスクリュー7やその駆動系に損傷を生じさせず、かつ、射出シリンダ6内に溶融樹脂が残留している場合であってもフルストロークでスクリュー7を移動させることができる程度の力であり、また、今回のトルクリミットT2は樹脂の粘性抵抗等の反力を確かめるために必要とされる程度の力であるから、T1>T2の関係となる。
【0115】
トルクリミットT2を設定したCNC用CPU115は、スクリュー7を最初のスクリュー現在位置Psから所定量Sだけ前進させる移動指令を出力し(ステップS23,図3に示すa4の移動)、タイマTに所定の作動時間を設定して計時を開始させ(ステップS24)、タイマTの作動が完了するまで待機し(ステップS25)、所定の作動時間経過後、スクリュー現在位置Qfを読み込んで第1停止位置として記憶する(ステップS26)。
【0116】
射出シリンダ6内の樹脂が相当に溶融している場合または射出シリンダ6内に樹脂がない場合には、スクリュー7が樹脂の抵抗に打ち勝って移動指令の量Sだけ前進することができるが(この場合の移動位置を図3にPfで示す)、射出シリンダ6内の樹脂の溶融が不十分で樹脂反力や粘性抵抗が大きい場合では、スクリュー7が樹脂の抵抗に打ち勝って移動指令の量Sだけ前進することはできず、スクリュー7の前進による樹脂の体積圧縮に比例して増大するスクリュー7を後退させようとする樹脂反力や粘性抵抗等とスクリュー7を前進させようとする駆動トルクとが釣り合う位置でスクリュー7の前進が停止することになる(この場合の移動位置の例を図3にQfで示す)。
【0117】
また、射出シリンダ6内の樹脂が完全に固化している場合ではスクリュー7自体は実質的に移動せず、射出用サーボモータM1のみがバックラッシの許容範囲内で回転することになる。
【0118】
いずれの場合も、実際にQfとして検出されるのはスクリュー7自体の位置ではなく射出用サーボモータM1の回転位置である。
【0119】
このようにして第1停止位置を検出したCNC用CPU115は、スクリュー7を最初のスクリュー現在位置Psに一旦戻して移動指令出力時の条件を均一化した後(ステップS27,ステップS28,図3に示すa5の移動)、今度は、スクリュー7を最初のスクリュー現在位置Psから所定量Sだけ後退させる移動指令を出力し(ステップS29,図3に示すa6の移動)、タイマTに所定の作動時間を設定して計時を開始させ(ステップS30)、タイマTの作動が完了するまで待機し(ステップS31)、所定の作動時間経過後、スクリュー現在位置Qbを読み込んで第2停止位置として記憶する(ステップS32)。
【0120】
前記と同様、射出シリンダ6内の樹脂が相当に溶融している場合または射出シリンダ6内に樹脂がない場合には、スクリュー7はスクリュー7の前進方向に作用する樹脂の負の抵抗に打ち勝って移動指令の量Sだけ後退することができるが(この場合の移動位置を図3にPbで示す)、射出シリンダ6内の樹脂の溶融が不十分な場合では、スクリュー7が樹脂の負の抵抗に打ち勝って移動指令の量Sだけ後退することはできず、スクリュー7の後退による樹脂の体積膨脹に比例して増大するスクリュー7を前進させようとする負の樹脂反力や粘性抵抗等とスクリュー7を後退させようとする駆動トルクとが釣り合う位置でスクリュー7の後退が停止することになる(この場合の移動位置の例を図3にQbで示す)。
【0121】
また、射出シリンダ6内の樹脂が完全に固化している場合ではスクリュー7自体は実質的に移動せず、射出用サーボモータM1のみがバックラッシの許容範囲内で回転することになる。
【0122】
いずれの場合も、実際にQbとして検出されるのはスクリュー7自体の位置ではなく射出用サーボモータM1の回転位置である。
【0123】
以上のようにして第1停止位置Qfと第2停止位置Qbを検出したCNC用CPU115は、スクリュー7の実位置を樹脂反力が均衡する位置に移動させるための処理、もしくは、射出用サーボモータM1の回転位置をバックラッシの中間位置に移動させるための処理を行う。
【0124】
CNC用CPU115は、まず、QfとQbの和を2で除し、樹脂反力が均衡するスクリュー7の実位置に対応する射出用サーボモータM1の回転位置Pmを求める(ステップS33)。
【0125】
つまり、スクリュー7と射出用サーボモータM1との間にDaのバックラッシが存在するとするなら、数直線上におけるスクリュー7の第1停止位置Qfの値は実際にはQfではなくQf+Daであり(PsからQfへ向かう移動は負の方向への移動であるため数直線上でのバックラッシ量Daは正方向に作用する)、また、数直線上におけるスクリュー7の第2停止位置Qbの値は実際にはQbではなくQb−Daであって(PsからQbへ向かう移動は正方向への移動であるため数直線上におけるバックラッシ量Daは負の方向に作用する)、スクリュー7に作用する樹脂反力が均衡するスクリュー7の実位置を求めるためにはQfとQbの真の位置の平均をとる必要があるが、既に述べた通り、バックラッシDaは正逆双方向に打ち消しあう方向に作用するので、実際の計算上においては、バックラッシ量Daを考慮する必要はない。
【0126】
要するに、〔(Qf+Da)+(Qb−Da)〕/2も、(Qf+Qb)/2も結果的に同一であり、樹脂反力が均衡するスクリュー7の真の位置は射出用サーボモータM1の回転位置を基準とした読みから(Qf+Qb)/2で求めることができる。
【0127】
次いで、CNC用CPU115は求めた回転位置Pmを移動指令として出力して射出用サーボモータM1を回転させスクリュー7を中間位置Pmに移動させる(ステップS34,S35)。
【0128】
以上の処理によれば、樹脂が溶融していて何らかの樹脂反力が作用していた場合であっても、スクリュー7を樹脂反力の均衡位置に移動させてこの樹脂反力を取り除き、スクリュー7と射出用サーボモータM1との間の動力伝達系における総合的なバックラッシの中間位置に射出用サーボモータM1を移動させることができる。また、樹脂が完全に固化してスクリュー7が固定されていた場合においては、スクリュー7には樹脂反力が作用していず、これを無視して、単に、射出用サーボモータM1をスクリュー7と射出用サーボモータM1との間の動力伝達系における総合的なバックラッシの中間位置に移動させることができる。
【0129】
そして、この2つの状況は、射出用サーボモータM1がスクリュー7の動作に影響を与えることなくバックラッシの範囲内で自由に回転できる点においては同じであり、いずれの場合においても、射出用サーボモータM1はスクリュー7と射出用サーボモータM1との間の動力伝達系における総合的なバックラッシの中間位置に位置決めされることになる。つまり、射出用サーボモータM1は、スクリュー7の位置に対して全く影響を与えることなく、言い換えれば、スクリュー7に新たな樹脂反力を生じさせることなく、総合的なバックラッシ量の半量、例えば、Da/2だけ正逆に回転できることになる。
【0130】
しかし、課題を解決するための手段における作用説明でも既に述べた通り、スクリュー7への樹脂反力の影響をより確実にするため、さらに、実際には、射出用サーボモータM1とスクリュー7とが直に接続されているわけではなく、両者間の動力伝達経路上にはボールネジ8を駆動するタイミングベルトやボールネジ8およびボールナット9等の様々な構成要素があり、各構成要素間で発生するバックラッシの累積値が総合的なバックラッシ量として作用するのであるから、例えば、スクリュー7を第2停止位置から中間位置Pmにまで移動させてから射出用サーボモータM1を総合的なバックラッシ量の半量分だけ逆転させたとしても、ボールネジ8とボールナット9との間の軸方向の接触状態が解除されるとは限らず、ボールネジ8とボールナット9との間の接触がそのまま維持される場合もある。
【0131】
射出用サーボモータM1を逆転させた場合には、ボールネジ8を駆動するタイミングベルトと射出用サーボモータM1との間のバックラッシ、タイミングベルトとボールネジ8との間のバックラッシ、ボールネジ8とボールナット9との間のバックラッシの順でバックラッシが解消され、ボールネジ8とボールナット9との間のバックラッシの解消が最後になるため、ボールネジ8が十分に逆転しない場合があるからである。
【0132】
特に、この実施形態においては中間位置Pmへの位置決めの最終動作が負の方向へのスクリュー移動によって行われているので、バックラッシ量の半量分だけ射出用サーボモータM1を逆転させた状態でボールネジ8とボールナット9との間の軸方向の接触状態が保持されていれば、ロードセル10にストレスが作用している可能性がある。当然、ロードセル10から全ての外力を除去するためには、ボールネジ8とボールナット9との間の軸方向の接触状態を断ち切る必要がある。
【0133】
そこで、樹脂圧力の作用しない中間位置Pmへのスクリュー移動を完了させたCNC用CPU115は、フラグFが「0」で樹脂が溶融状態にある場合には(ステップS36)、射出用サーボモータM1のトルクリミットを解除し(ステップS37)、総合的なバックラッシ量の中間位置に対応する射出用サーボモータM1の位置を基準として該モータM1が正逆に回転することのできる移動量の大きさ(Qb−Pm)値に所定値αを加算して、減衰振動における振幅の初期値Aを求める(ステップS38)。
【0134】
なお、(Qb−Pm)=(Pm−Qf)であるから、A=Qb−Pm+α=Pm−Qf+αである。
【0135】
樹脂が溶融していてスクリュー7の移動が可能であった場合には(Qb−Qf)の値が総合的なバックラッシ量Daよりも大きくなるので、その場合は、実際にスクリュー7自体が振動することになる。スクリュー7自体を振動させるこの動作は、スクリュー7を樹脂反力の均衡する位置Pmに位置決めすることによりスクリュー7からスクリュープッシャープレート3に作用する外力を取り除いてスクリュープッシャープレート3を安定的に停止させ、射出用サーボモータM1とボールナット9との間の総合的なバックラッシを利用してボールネジ8とボールナット9との間の軸方向の接触状態を断ち切ることによりロードセル10に作用する一切の外力を取り除くといった技術思想と一見して背反するように見えるが、実際には、この動作にはスクリュー7に作用する樹脂反力をより確実に取り除くことができるといった効果がある(なお、既に述べた通り、この段階では射出用サーボモータM1のトルクリミットは解除されているので、スクリュー7はトルクリミットT2時における前進限度Qfや後退限度Qbを越えて移動することが可能である)。
【0136】
つまり、理論上は、第1停止位置Qfと第2停止位置Qbとの中間位置Pmにスクリュー7を移動させることにより該スクリュー7に作用する樹脂反力を完全に取り除くことができるわけであるが、最初のスクリュー現在位置Psから第1停止位置Qfへのスクリュー移動(図3に示すa4の移動)、第1停止位置Qfから最初のスクリュー現在位置Psへのスクリュー移動(図3に示すa5の移動)、最初のスクリュー現在位置Psから第2停止位置Qbへのスクリュー移動(図3に示すa6の移動)、更には、第2停止位置Qbから中間位置Pmへのスクリュー移動(図3に示すa7の移動)の各工程において、特に、樹脂が完全に固化していない状態においては、スクリュー7の移動自体が、射出シリンダ6およびスクリュー7と樹脂との関係に変動をもたらすので、最終的に、樹脂圧力が均衡を保つはずの中間位置Pmにスクリュー7を移動させた場合でも、実際には、スクリュー7に樹脂反力が作用するのを完全に防止することができないといった場合があるのである。
【0137】
要するに、樹脂圧力が均衡するスクリュー位置を求めるためにはスクリュー7を移動させて前進可能な限界位置Qfや後退可能な限界位置Qbを検出する必要があるのだが、これに必要とされるスクリュー7の移動操作それ自体によって樹脂の環境が変化してしまうといった問題があるということである。
【0138】
そこで、中間位置Pmを中心として微小な振幅でスクリュー7を積極的に振動させ、溶融樹脂を射出シリンダ6やスクリュー7に馴染ませることにより、スクリュー7に作用している残留樹脂反力をより確実に取り除くのである。振動の中心は飽くまで中間位置Pmであるから、スクリュー7がPmに位置する状態で該スクリュー7に作用する樹脂圧力が零となる方向で、溶融樹脂の態様が変化させられることになる。なお、第1停止位置と第2停止位置との間の距離の1/2の(Qb−Qf)よりも僅かに大きな値を振幅の初期値として設定するための値Aを求めるための手段としては、(Qb−Pm)+αの演算処理を行う他、(Qb−Pm)・βの演算処理を行う方法もある(但し、βは1よりも僅かに大きな値)。
【0139】
またステップS36でフラグFが「1」と判断され樹脂が固化若しくは粘性が高いと判断されたときにはトルクリミット値をT3として射出用サーボモータM1の出力を低出力に制限し、振巾Aを(Qb−Pm)とする(ステップS39,S40)。なおトルクリミット値T3はT3>T2とする。
【0140】
減衰振動の振幅Aの初期値を求めたCNC用CPU115は、次いで、中間位置Pmから振幅Aだけスクリュー7を前進させる移動指令を出力して指令位置へのスクリュー7の移動を確認した後(ステップS41,ステップS42,図3に示すa8の移動)、中間位置Pmから振幅Aだけスクリュー7を後退させる移動指令を出力して指令位置へのスクリュー7の移動を確認する(ステップS43,ステップS44,図3に示すa9の移動)。
【0141】
これら、ステップS41〜ステップS44の処理によって中間位置Pmを振動の中心とする1回の振動動作が行われるのであって、その振幅の大きさはA、つまり、初期値(Qb−Pm)+αである。
【0142】
次いで、CNC用CPU115は、振幅Aの現在値が設定値δよりも小さくなっているか否かを判別するが(ステップS45)、小さくなっていなければ、この振幅Aに設定値Bを乗じて減衰振動の新たな振幅Aを算出し(ステップS46)、再び、この振幅Aに基いてステップS41以降の処理を前記と同様に繰り返し実行し、中間位置Pmを振動の中心とするスクリュー7の1回の振動動作を行わせる(図3に示すa10およびa11の移動)。
【0143】
設定値Bはスクリュー7の振動を徐々に減衰させていくための設定値であるから、当然、その許容設定範囲は0<B<1であり、この実施形態においては0.9を採用している。また、この減衰振動は、その振幅がバックラッシ量Daの1/2よりも小さくなるまでは継続して行う必要があるので、設定値δはDa/2以下の値でなければならない。
【0144】
ステップS41〜ステップS46の処理を繰り返し実行する間に、振幅Aの値は徐々に減少してゆき、この値がバックラッシ量Daの1/2を下回ると、スクリュー7自体の振動は振動の中心である中間位置Pmで停止し、溶融樹脂が射出シリンダ6やスクリュー7に馴染んでスクリュー7には樹脂反力が全く作用しない状態となり、スクリュープッシャープレート3がこの位置に完全に安定して停止する。
【0145】
また、振幅Aの値がバックラッシ量の半分Da/2を下回れば、ボールネジ8の正転がボールナット9に直接スクリュー7の前進力として伝達されるようになるバックラッシ解消位置や、ボールネジ8の逆転がボールナット9に直接スクリュー7の後退力として伝達されるようになるバックラッシ解消位置までボールネジ8が回転することができなくなるので、ボールネジ8とボールナット9との間の軸方向の実質的な接触は断たれる。
【0146】
この状態ではボールネジ8がボールナット9から完全に軸方向に切り離された状態、つまり、接触していない状態となっているので、ボールナット9がロードセル10を押そうとする力も、また、ボールナット9がロードセル10を引こうとする力も全く作用しない状態となり、更に、スクリュー7自体にも樹脂反力は全く作用していずロードセル10を固定したスクリュープッシャープレート3が完全に安定的に静止しているので、実質的にロードセル10に作用する外乱は零となる。
【0147】
従って、ロードセル10が動力伝達経路上の最終的な位置であるボールナット9とスクリュープッシャープレート3との間に配備されているこの実施形態においては、振幅の大きさが総合的なバックラッシの量の大きさDaを下回った段階で、直ちに減衰振動を止めてロードセル10の零点補正を行うことができるが、実際には、ある程度の安全を見込んで、設定値δの値はDa/2よりも小さな値で設定するようにしている。
【0148】
振幅Aの現在値が設定値δを下回って減衰振動が終了したことをステップS45の判別処理で検出したCNC用CPU115は、圧力モニタ用CPU107を介してロードセル10の検出圧力の現在値を読み込み、その値を符号を反転してRAM100の補正値記憶領域に記憶して(ステップS47)、零点補正処理を終了する。
【0149】
例えば、振幅Aの現在値が設定値δを下回り、ロードセル10に作用する外乱が零となっているにも関わらずロードセル10の検出圧力の値が10Kg/cm 2 となっているとするなら、コーティング材の塑性変形や気泡の態様変化等を始めとするロードセル10自体の誤差原因によりロードセル10に10Kg/cm 2 分のストレスが作用していることを意味するので、RAM100の補正値記憶領域には−10Kg/cm 2 を記憶し、ロードセル10に作用する外乱が零のとき、つまり、ロードセル10から10Kg/cm 2 の値が出力されているときに、圧力モニタ用CPU107によって検出される圧力が零となるような補正を行うのである。既に述べた通り、射出保圧圧力や背圧のサンプリング処理において圧力モニタ用CPU107によって樹脂反力として検出される値は、A/D変換器106の出力に補正値を加算した値であるから、コーティング材の塑性変形や気泡の態様変化等を始めとするロードセル10自体の誤差原因には関わりなく、正確に樹脂反力を検出することができる。
【0150】
但し、ここでいう樹脂反力とはロードセル10自体に作用する外乱のことであって、スクリュー7に作用する樹脂反力そのものではない。スクリュー7に作用する樹脂反力そのものを精密に検出しようとする場合には、タイロッド2とスクリュープッシャープレート3との間に作用する摩擦抵抗A1,A2やスクリュー7と射出シリンダ6との間の摩擦抵抗等が邪魔になるので、スクリュー7の前後退動作、つまり、ロードセル10に作用するストレスやテンションの方向性に応じ、これらの摩擦抵抗等による誤差を解消する方向に補正値をオフセットする必要がある。
【0151】
なお、ステップS47の処理で検出されたロードセル10の検出圧力が零を基準として極端にずれているような場合では、ロードセル本体11自体に座屈等の重大な異常が発生している場合があり、このような状態で零点補正を行ってもロードセル10の所期の機能を達成することはできないので、零点補正の変わりに異常検出信号の出力処理等を行うべきである。
【0152】
また、ステップS47の処理で読み込まれたロードセル10の検出圧力の絶対値が所定値以下であって零点のずれが無視できる程度であれば、補正値の更新記憶、つまり、実質的な補正操作を行わないようにしてもよい。
【0153】
更に、この実施形態においては、不揮発正メモリ114に補正の履歴を記憶するためのファイルを設けており(図8参照)、補正量や補正日時およびこの時のショット数や射出成形機の積算稼働時間等を、ステップS47の処理が終了した時点でこのファイルに記憶させるようにしている。ファイルの内容は機能メニューの選択操作によりディスプレイ付手動データ入力装置119の画面に表示できるので、適宜参照することができる。
【0154】
以上、1つの実施形態として、ロードセル10が動力伝達経路上の最終的な位置であるボールナット9とスクリュープッシャープレート3との間に配備されている場合について述べたが、射出機構の構成如何によっては、動力伝達経路上において更に射出用サーボモータM1寄りの位置にロードセル10を取り付けることが可能な場合もある。
【0155】
動力伝達経路上の最終的な位置にロードセル10がある場合と射出用サーボモータM1寄りの位置にロードセル10がある場合とでは、ロードセル10の配備位置で分割される動力伝達経路の前後の区間で総合的なバックラッシ量の振り分けの割合が大幅に相違し、例えば、前述の例ではロードセル10の配備位置とスクリュー7との間の区間に殆どバックラッシがないのに対し、射出用サーボモータM1寄りの位置にロードセル10を取り付けた場合では、ロードセル10の配備位置とスクリュー7との間の区間に大きなバックラッシ量が存在するといった違いがある。
【0156】
射出用サーボモータM1寄りの位置にロードセル10がある場合では振幅Aの値が総合的なバックラッシ量Daの1/2を下回ったからといってロードセル10に作用する外力が直ちに零になるとはいえないが、既に、課題を解決するための手段における作用説明でも述べた通り、振幅の大きさが総合的なバックラッシ量の1/2の大きさよりも小さくなってからも減衰振動を停止させず、更にそのまま減衰振動を続けて行くことにより、動力伝達経路を構成する各構成要素毎のバックラッシの全てを各々のバックラッシの中立位置に移動させて各構成要素間の力学的な接続を断ち切ることができるので、δさえ小さな値に設定すれば、ロードセル10が動力伝達経路上のどのような位置に取り付けられていようとも、このロードセル10に外部から作用する力を取り除いて零点補正を行うことが可能である。無論、検出精度上の点から見れば、動力伝達経路上でスクリュー7に直近する位置にロードセル10を取り付けるに越したことはない。
【0157】
また、ディスプレイ付手動データ入力装置119の操作による機能メニューの選択で自動パージの項目が選択された時点で前述の零点補正処理を実行させるようにすれば、成形材料の入れ替え等の適当な時間間隔で、忘れずにロードセル10の零点補正を行うことができる。パージングの処理を行って射出シリンダ6内の樹脂を完全に排出してから零点補正処理を行わせることが望ましいが、射出成形機の全機能を停止させる非常停止スイッチの操作によって自動パージを中途停止させることができるような構成の場合では、オペレータの都合によって自動パージを停止された場合に零点補正処理の実行が不能となる場合があるので、自動パージの開始前、または、必ず実行される1回目もしくは2回目等の自動パージが終了した段階でパージ動作に割り込んで零点補正処理を実行させるようなシーケンスを組むことが望ましい。
【0158】
その他、エジェクタロッドや可動プラテンの圧力検出器に対しても同様の処理操作を適用することができる。
【0159】
【発明の効果】
本発明は、可動部材の駆動源を減衰振動させることにより、可動部材に直接作用する外力を完全に取り除き、更に、駆動源から可動部材に至る動力伝達経路上において可動部材を直接駆動する動力伝達経路上の構成要素と可動部材との間に、可動部材の各移動方向の各々に対して等しい遊びを有するバックラッシを生じさせ、これにより可動部材と前記構成要素との間の実質的な力の伝達を断ち、圧力検出器に外部から作用する圧力を完全に取り除いて外乱零の状態で圧力検出器の零点補正を行うようにしたので、射出成形機の分解作業を行って圧力検出器と他部材との係合を解除するといった面倒な作業を行わなくても、圧力検出器の零点補正を簡単かつ確実に実施することができる。
【0160】
また、圧力検出器の補正に必要とされる処理操作を射出成形機の制御装置に記憶させておき、パージングの自動運転と共に圧力検出器の補正処理を実行させるようにしたので、成形材料の入れ替え等の適当な時間間隔で忘れずに圧力検出器の零点補正を行うことができ、常に、適確に校正された圧力検出器により射出保圧圧力や計量時の背圧をサンプリングすることができる。
【0161】
更に、圧力検出器の出力の補正量の絶対値が所定量を越えると異常検出信号を出力するようにしているので、零点補正のみでは対処し得ないような圧力検出器の重大な異常を発見することもできる。
【0162】
また、調整の日付と補正量を含む零点調整の履歴を射出成形機の制御装置に記憶させると共に、記憶した履歴を表示できるようにしているので、圧力検出器の性能の劣化や重大な異常の発見を一層容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロードセルを利用した圧力検出器の一般的な構造について示した要部断面図である。
【図2】射出成形機の各部を駆動制御する制御装置の要部を示すブロック図である。
【図3】射出シリンダの先端を原点として、零点補正処理の処理動作に対応してスクリュー位置を示す概念図である。
【図4】零点補正を自動的に行うための零点補正処理を示すフローチャートである。
【図5】零点補正処理を示すフローチャートの続きである。
【図6】零点補正処理を示すフローチャートの続きである。
【図7】零点補正処理を示すフローチャートの続きである。
【図8】調整履歴を記憶するファイルを概念的に示した図である。
【符号の説明】
1 フロントプレート
2 タイロッド
3 スクリュープッシャープレート
4 スクリュースリーブ
5 歯付プーリ
6 射出シリンダ
7 スクリュー
8 ボールネジ
9 ボールナット
10 ロードセル
11 ロードセル本体
11a 肉薄部
12 ストレインゲージ
13 ボルト
14 ボルト
100 制御装置
102 RAM
105 サーボアンプ
106 A/D変換器
107 圧力モニタ用CPU
110 サーボCPU
115 CNC用CPU
M1 射出用サーボモータ

Claims (24)

  1. 射出成形機の可動部材にかかる圧力を検出する圧力検出器の零点調整方法であって、前記可動部材を駆動し、任意の位置で減衰振動を開始させ、振動の振幅が所定値以下になったときに振動を停止し、圧力検出器の出力を読み、読んだ値を基に圧力検出器の出力を補正することを特徴とする射出成形機における圧力検出器の零点調整方法。
  2. 前記可動部材を駆動する駆動源の出力を低出力の状態にして、前記可動部材の現在位置を基準に前記可動部材を所定量移動させる指令を駆動源に出力した後、前記可動部材の停止位置を検出して第1停止位置として記憶し、
    更に、前記可動部材の現在位置を基準に前記可動部材を前記所定量だけ逆方向に移動させる指令を前記駆動源に出力した後、前記可動部材の停止位置を検出して第2停止位置として記憶し、
    前記第1停止位置と第2停止位置との中間部の1点を振動の中心として前記減衰振動を行わせるようにしたことを特徴とする請求項1記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整方法。
  3. 前記第1停止位置と第2停止位置との間の距離の1/2以下で、かつ、前記可動部材と駆動源との間に生じるバックラッシの量の1/2以上の値を振幅の初期値として、前記減衰振動を行わせるようにしたことを特徴とする請求項2記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整方法。
  4. 前記第1停止位置と第2停止位置との間の距離の1/2に所定値を加算した値、もしくは、前記第1停止位置と第2停止位置との間の1/2の距離に1よりも大きな数を乗じた値を振幅の初期値として、前記減衰振動を行わせるようにしたことを特徴とする請求項2記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整方法。
  5. 振幅が前記可動部材と駆動源との間に生じるバックラッシの量の1/2よりも小さくなった時点で振動を停止させるようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整方法。
  6. 前記可動部材を駆動する駆動源は、出力制限手段を有するサーボモータにより構成されている請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整方法。
  7. 前記可動部材は射出スクリューである請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整方法。
  8. 自動パージングを行うと共に自動的に請求項7記載の圧力検出器の零点調整方法を実行するようにした圧力検出器の零点調整方法。
  9. 前記可動部材はエジェクタロッドである請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整方法。
  10. 前記可動部材は型締機構の可動プラテンである請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整方法。
  11. 圧力検出器の出力の補正量の絶対値が所定量を越えると異常検出信号を出力するようにした請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整方法。
  12. 少なくとも、調整の日付と補正量を含む零点調整の履歴を射出成形機の制御装置に記憶し、記憶した履歴を表示できるようにした請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整方法。
  13. 射出成形機の可動部材を駆動する駆動源と、前記可動部材にかかる圧力を検出する圧力検出器とを備える射出成形機において、
    前記可動部材を前記駆動源で駆動し、任意の位置で減衰振動を開始させ、振動の振幅が所定値以下になったときに振動を停止する手段と、該減衰振動が停止した時に前記圧力検出器の出力を読み、読んだ値を基に圧力検出器の出力を補正する手段とを有することを特徴とする射出成形機における圧力検出器の零点調整装置。
  14. 前記可動部材を駆動する駆動源の出力を低出力の状態にして、前記可動部材の現在位置を基準に前記可動部材を所定量移動させる指令を駆動源に出力した後、前記可動部材の停止位置を検出して第1停止位置として記憶 し、
    更に、前記可動部材の現在位置を基準に前記可動部材を前記所定量だけ逆方向に移動させる指令を前記駆動源に出力した後、前記可動部材の停止位置を検出して第2停止位置として記憶し、
    前記第1停止位置と第2停止位置との中間部の1点を振動の中心として前記減衰振動を行わせるようにしたことを特徴とする請求項13記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整装置。
  15. 前記第1停止位置と第2停止位置との間の距離の1/2以下で、かつ、前記可動部材と駆動源との間に生じるバックラッシの量の1/2以上の値を振幅の初期値として、前記減衰振動を行わせるようにしたことを特徴とする請求項14記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整装置。
  16. 前記第1停止位置と第2停止位置との間の距離の1/2に所定値を加算した値、もしくは、前記第1停止位置と第2停止位置との間の1/2の距離に1よりも大きな数を乗じた値を振幅の初期値として、前記減衰振動を行わせるようにしたことを特徴とする請求項14記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整装置。
  17. 振幅が前記可動部材と駆動源との間に生じるバックラッシの量の1/2よりも小さくなった時点で振動を停止させるようにしたことを特徴とする請求項13ないし請求項16のいずれか1項に記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整装置。
  18. 前記可動部材を駆動する駆動源は、出力制限手段を有するサーボモータにより構成されている請求項13ないし請求項17のいずれか1項に記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整装置。
  19. 前記可動部材は射出スクリューである請求項13ないし請求項18のいずれか1項に記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整装置。
  20. 自動パージングを行うと共に自動的に請求項19記載の圧力検出器の零点調整を実行するようにした圧力検出器の零点調整装置。
  21. 前記可動部材はエジェクタロッドである請求項13ないし 請求項18のいずれか1項に記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整装置。
  22. 前記可動部材は型締機構の可動プラテンである請求項13ないし請求項18のいずれか1項に記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整装置。
  23. 圧力検出器の出力の補正量の絶対値が所定量を越えると異常検出信号を出力するようにした請求項13ないし請求項22のいずれか1項に記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整装置。
  24. 少なくとも、調整の日付と補正量を含む零点調整の履歴を射出成形機の制御装置に記憶し、記憶した履歴を表示できるようにした請求項13ないし請求項23のいずれか1項に記載の射出成形機における圧力検出器の零点調整装置。
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