JP7210021B2 - 電磁力を利用した回転式トルク変換器のトルク校正装置およびトルク校正方法 - Google Patents

電磁力を利用した回転式トルク変換器のトルク校正装置およびトルク校正方法 Download PDF

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本発明は、回転式トルク変換器のトルクの校正装置に関し、精密機器分野・計測機器分野・医療機器分野など、トルクを微少な値に、しかも厳格に管理しなければならない分野で用いられているトルク計測機器を校正するためのトルク校正装置及び校正方法に関する。
従来、トルク計測機器の校正(または試験)は、レバーの先端に重力を負荷することにより発生するトルクとの比較によって行う重力方式が一般的である。
重力方式は、現在最も高度なトルクを実現できる有効な方式であり、産業技術総合研究所計量標準総合センター(NMIJ)をはじめ、ドイツ・フランス・中国・韓国など各国家計量研(NMI)で、トルクの国家標準を実現する方法として採用されている。
特許文献1には、レバーの先端に重錘を付加することによって発生させたトルクを利用してトルク校正を行う際、長周期のゆれが発生した場合、トルク校正を中断することが記載されている。
非特許文献1には,ドイツNMIにより開発された、1mN・m~1N・mの微小トルクの校正を可能にした実荷重式トルク標準機について記載されており、現在、これが1N・m以下のトルクに対しては最も精度の高いトルク標準機とされている。
特開2001-133351号公報
IPO science 「Metrological characterization of a 1 N m torque standard machine at PTB, Germany」(D. Roske 2014年5月20日 投稿)
例えば、精密機器、微小機器を製造する際、規定締め付けトルク値はきわめて微小であり、しかも、厳格に維持管理することが求められている。
しかし、この重力による方法では、載荷するおもりの質量を小さくしたり、レバーの長さを短くすることには、製作精度上限界があり、さらに、各レバーの支点部に作用する摩擦力の影響や、空気の流れ、緯度の相違に基づく重力加速度の影響等を受ける。非特許文献1には、実荷重式によりトルク値1mN・m~10mN・mの校正を0.1%の不確かさで実現することが記載されているが、トルク標準機としては不確かさが十分ではなく、実荷重式では、1mN・m 未満の微小トルクを正確に校正することは非常に困難である。
一方、現在日本国内で提案されているトルクのSIトレーサビリティ体系では、NMIJが保有する重力方式のトルク標準機(実荷重式トルク標準機)と、第一階層の校正事業者が採用しているトルク校正装置間で比較をすることが必要であるが、各装置の構造、重量、そしてトルク発生の原理上、わずかな振動が精度に影響を及ぼすため、トルク校正装置を安易に運搬し、移設することができない。
このため、仲介器(トルク計測機器)を使用せざるを得ず、必然的に使用した仲介器の性能に結果が大きく影響されてしまうため、仲介器の影響が及ばない、新たな校正装置及び校正方法が求められている。
そこで、こうした課題を克服するため、発明者らは、特許6479605号において、従来の実荷重式に代え、電磁力によって発生するトルクを利用することを提案し、微小トルクに対しても高精度の校正を可能とした。これにより、トルク校正装置本体のコンパクト化、運搬・設置の容易化を実現し、トルクの国家標準レベルでの校正(または試験)を製造現場等でも行えるようになった。
このトルク校正装置では、校正対象のトルク変換器を異極対向型磁気回路に設置されたコイルに接続し、このコイルに電流を流した際に発生するトルクに抗して、このコイルを予め測定された角度位置(コイル自身をモータで同じ異極対向磁気回路内で一定角速度で回転させた際に生じる誘導起電力Vが最大値となる角度位置に静止させることで、校正対象のトルク変換器に入力するトルクを高精度に特定している。そのため、校正を行う際のトルクは静的なものに限られていた。
しかし、回転式トルク変換器をより高精度に校正するためには、回転を伴わない静的なトルクばかりではなく、実際に回転している状態での回転トルクに基づいて校正を行うことが必要である。
このように、回転式トルク変換器に対して、回転させながら校正を実施することは、検定バーとおもりにより構成される従来トルクの校正装置でも不可能である。
また、トルクと同時に回転数(回転速度)の計測も可能な回転式トルク変換器に対しても、トルクと回転数(回転速度)を同時に校正(または試験)することができない。
そこで、本発明の目的は、実際の使用条件に近い状態で回転させながらトルクと回転数(回転速度)を国際単位系SIにトレーサブルな校正を可能とし、回転式トルク変換器の高精度化を実現することにある。
本発明に係る、回転式トルク変換器のトルク校正装置は、
磁束密度Bの磁場を形成する異極対向型磁気回路と、
前記異極対向型磁気回路の内部に挿入されたコイルと、
第1ロータリエンコーダと、
前記第1ロータリエンコーダを介して前記異極対向型磁気回路の回転軸の一方に連結され、前記異極対向型磁気回路を回転させるとともに、特定の角度位置で静止させる第1サーボモータと、
前記コイルの回転軸の他方に連結された第2ロータリエンコーダと、
第3ロータリエンコーダと、
第2サーボモータと、
前記第2ロータリエンコーダと校正対象である回転式トルク変換器の入力軸、前記第3ロータリエンコーダの一方と前記回転式トルク変換器の出力軸、及び前記第3ロータリエンコーダの他方と前記第2サーボモータとをそれぞれ連結するカップリングと、
前記第1サーボモータ及び前記第2サーボモータを制御する制御ユニットと、
前記コイルに供給する電流Iを制御する電流制御装置とを備える。
そして、前記第1サーボモータを機械的にロックした状態で前記第2サーボモータを駆動し、前記異極対向型磁気回路内部で前記コイルを回転させることで前記コイルに発生する誘導起電力Vが最大値V max となる角度位置p に基づき、
前記第1サーボモータをロックした状態で前記電流制御装置により前記コイルに電流Iを流し、前記コイルに発生するトルクに抗して、前記第1及び第2ロータリエンコーダの計測結果に基づき前記コイルを前記角度位置p に静止させるように前記第2サーボモータを前記制御ユニットにより制御し、
前記第1サーボモータのロックを解除した状態で、前記第1及び第2ロータリエンコーダの計測結果に基づき前記コイルが前記角度位置p に静止した状態を維持するよう、前記第1サーボモータと前記第2サーボモータを前記制御ユニットにより同期回転させ、
前記第1サーボモータのロックを解除した状態で、前記電流制御装置により前記コイルに供給する電流Iを変化させて、当該電流Iの変化により生ずる前記角度位置p からの前記コイルのずれをゼロにするように前記制御ユニットにより前記第1サーボモータあるいは前記第2サーボモータによる位置決め制御を行い、
前記第1サーボモータのロックを解除した状態で前記回転式トルク変換器の回転速度を前記第3ロータリエンコーダにより計測する。
また、本発明に係る、回転式トルク変換器のトルク校正方法は、
磁束密度Bの磁場を形成する異極対向型磁気回路に連結された第1サーボモータを機械的にロックした状態で第2サーボモータを駆動し、前記異極対向型磁気回路内部でコイルを回転させ、前記コイルに発生する誘導起電力Vの最大値V max と、前記誘導起電力Vが最大値V max となる角度位置p を特定する工程と、
前記第1サーボモータをロックした状態で前記コイルに電流Iを流し、前記第2サーボモータにより、前記コイル及び当該コイルに連結される校正対象の回転式トルク変換器を回転させ、前記コイルに発生するトルクに抗して前記コイルを前記角度位置p に静止させる工程と、
前記第1サーボモータのロックを解除した状態で前記コイルが前記角度位置p に静止した状態を維持するよう、前記第1サーボモータと前記第2サーボモータの同期回転制御を行う工程と、
前記コイルに供給する電流Iを変化させて、当該電流Iの変化により生ずる前記角度位置p からのずれをゼロにするように前記第1サーボモータあるいは前記第2サーボモータによって位置決め制御を行い前記回転式トルク変換器の校正を行う工程と、
前記第1サーボモータのロックを解除した状態で前記回転式トルク変換器の回転速度を計測する工程と、
を含む。
実際の使用条件に近い状態で回転させながらトルクと回転数(回転速度)を国際単位系SIにトレーサブルな校正を可能とし、回転式トルク変換器の高精度化を実現できるようになる。
図1は、磁束密度Bの磁場中でコイルCに電流Iを流したときに、コイルCが磁場から受ける力を示す斜視図である。 図2は、磁束密度Bの磁場中でコイルCに電流Iを流したときに、コイルCが磁場から受ける力を回転軸方向から見た図である。 図3は、磁束密度Bの磁場中でコイルCを回転角速度ωで回転させたときに、発生する誘導起電力を示す斜視図である。 図4は、磁束密度Bの磁場中でコイルCを回転角速度ωで回転させたときに、t秒後に発生する誘導起電力を回転軸方向から見た図である。 図5は、本発明の実施例の全体構成を示すものである。
まず、本発明の基本原理を説明する。
図1に示すように、磁束密度Bの鉛直上向きの一様な磁場内に、水平軸の周りに回転できる矩形のコイルC(長さL、高さh、水平軸に対して対称形状)を設置して電流Iを流すと、磁束密度と直行する2つの辺が磁場から受ける力Fは、
F=I・B・L、または、F=-I・B・L・・・・・・・・・・・式(1)
となる。つまり、磁束密度と直行する2つの辺に働く力は、大きさが等しくて向きが逆であるので、偶力が生じる。
図2は、矩形コイルCが磁力線の方向に対し、θ(以下、「角度位置」という。)傾斜している状態を示しており、このとき、コイルCに作用するトルクTは、
T=I・B・L・h・cosθ=I・B・A・cosθ・・・・・・式(2)
と表すことができる。
ここでA=L・h、すなわちAをコイルの面積とし、コイルCがN巻きのときは、
T=N・I・B・A・cosθ・・・・・・・・・・・・・・・・・式(3)
となる。
式(3)より、トルクTの最大値(絶対値)maxは、|cosθ|=1、すなわち、コイルCの面が、磁力線に対し平行となθ=nπ(n=0、1、2、3・・・・)のときに発生し、
max=N・A・B・I・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式(4)
となる。
トルクを高精度に実現するためには、式(4)右辺の各パラメータを高精度に設定あるいは計測することが求められる。
角度位置θや電流Iは比較的高精度に計測できるものの、コイルCの形状(巻数Nや面積A)や磁束密度Bを高い精度で計測することは極めて困難である。
そこで、磁束密度B、コイルCの面積A及び巻数Nを相殺するため、図3に示すように、同じ磁束密度Bの磁場中で、同じコイルCをモータMにより回転角速度ωで回転させた場合に生じる誘導起電力Vを予め計測しておく。
すなわち、トルクを発生する場合と同じ磁束密度Bの磁場中で、コイルCをモータMにより一定の回転角速度ω(π/s)で回転させることで、コイルCには誘導起電力Vが発生する。
コイルCの法線ベクトルが磁力線の方向と一致するときを原点(t=0)とすると、図4に示すように、t秒後、コイルCの法線が磁力線に対し角度ωtとなるとき、誘導起電力Vは、
V=N・A・B・ω・sinωt・・・・・・・・・・・・・・・・式(5)
で表される。
ここで、誘導起電力Vの最大値(絶対値)Vmaxは、sinωt=1、やはり、コイルCの面が磁力線に対して平行となωt=-(n+1/2)π(n=0、1、2、3・・・)のときに発生し、
max=N・A・B・ω・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式(6)
となる。
これは、前述のように、磁束密度Bの磁場内にあるコイルCに電流Iを流したとき、発生するトルクが最大値であるTmaxとなるときと同じ角度位置である。
そこで、予め、磁束密度Bの中でコイルCをモータMにより様々な回転速度ωiで回転させ、回転速度毎に、最大誘導起電力Vmax_iと、そのときのコイルCの角度位置p0_iを記録する。
そして、横軸にωi、縦軸にVmax_iをとり、その傾きであるN・A・Bを近似式で求める。
なお、p0_iの平均値をp0/とする。
次にモータMによって角度位置p0/にコイルを保持したまま、コイルCに電流Iを流す。
このとき、式(4)により、
max/I=N・A・B・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式(7)
そして、式(6)により、
max/ω=N・A・B・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式(8)
さらに、式(7)、(8)により、
max・ω=Vmax・I・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式(9)
となる。
式(9)は、力学的仕事率と電気的仕事率が等しいことを示しており、N、A、Bがすべて消去され、Vmax(電圧値)、I(電流値)、ω(回転角速度)、そして、コイルCの位置決め精度により、Tmaxの精度を非特許文献1に記載された、現在最も高性能な実荷重式トルク標準機レベルに高めることが可能となる。
具体的には、本発明では、予め、磁束密度Bの磁場の中で、モータMによりコイルCを回転角速度ωiで回転させ、発生する誘導起電力の最大値Vmax_iとその時の角度位置
0_iを繰り返し測定し、記録する。
回転角速度ωiを様々に変更して、以上の測定、記録を繰り返して、ωi、Vmax_iの関係を求め、その傾きを最小二乗法等により算出することで、式(6)に示すとおり、磁束密度BとコイルCの形状(巻き数N及び面積A)を評価することができる。また、どの回転角速度においても、Vmaxとなる角度位置は厳密には変わらないはずであり、p0_iの測定結果は正規分布になると考えられるので、精度向上の観点から、p0_iの平均値p0/を誘導起電力が最大となる角度位置とする。
次に、同じ磁束密度Bの磁場の中で、モータMによりコイルCの角度位置を平均値p0/に保持し、コイルCに電流Iを流すことで、
max=I・Vmax/ω ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式(10)
となる。
すなわち、あらかじめ評価されたVmax/ω(装置特有の定数)と、電流Iを計測することにより、Tmaxを特定することができ、このトルクを被校正対象に入力することで、被校正対象の校正が可能となる。
この基本原理に基づいて、以下に本発明の実施例を説明する。
図5は、本実施例の全体構成を示すものである。
第1サーボモータ(1)の出力軸は、第1カップリング(2a)、第1ロータリエンコーダ(3)を介して、異極対向型磁気回路(4)に連結されている。
一方、第2サーボモータ(9)の出力軸は、第4カップリング(2d)、第3ロータエンコーダ(8)、第3カップリング(2c)を介して、校正対象の回転式トルク変換器(7)の入力軸に接続されている。
また、校正対象の回転式トルク変換器(7)の出力軸は、第2カップリング(2b)、第2ロータリエンコーダ(6)を介して、異極対向型磁気回路(4)内に配置されたコイル(5)に接続されている。
以上の構成により、第1サーボモータ(1)の出力軸の回転角度、すなわち、異極対向型磁気回路(4)の回転角度は、第1ロータリエンコーダ(3)により、また、コイル(5)の回転角度は、第ロータリエンコーダ(6)により計測される。さらに、回転式トルク変換器(7)の回転角度は第3ロータリエンコーダ(8)により計測される。第1ロータエンコーダ(3)と第2ロータエンコーダ(6)の計測値はモータ同期制御ユニットを含むプログラムコントローラPLC(10)に入力される。なお、計測精度を向上させる上で、第3ロータリエンコーダ(8)として、自己校正型ロータエンコーダを用いており、カウンター及び端子台(14)が図示されているが、要求される精度によっては、第1ロータエンコーダや第2ロータエンコーダと同様に、通常のロータエンコーダを採用してもよい。
コイル(5)には、スリップリング(11)を介して、精密可変電流源(ソースメジャーユニット)(12)からの電流が供給されるようになっている。
第1サーボモータ(1)、第2サーボモータ(9)は、それぞれサーボアンプを介して、SSCNET II/IIIやMECHATROLINK-II/IIIなど、複数のサーボモータ間の精密な同期制御や高速性に重点を置いたネットワークを介して、制御ユニットを構成するプログラムコントローラPLC(10)に接続され、その回転数、出力トルクが個別に制御されるようになっている。
図において、(13)は回転式トルク変換器用指示計器、(14)は自己校正型ロータエンコーダ(8)用のカウンター及び端子台、(15)は計測結果の分析、表示を行うPCである。
回転式トルク変換器(7)の校正を行う際は、まず、特許6479605号で提案しているように、第2サーボモータ(9)の出力軸を、第4カップリング(2d)、第3ロータエンコーダ(8)、第3カップリング(2c)、回転式トルク変換器(7)、第2カップリング(2b)、第2ロータリエンコーダ(6)を介して矩形コイル(5)に接続して回転駆動する。これにより、異極対向型磁気回路(4)と、その内部に配置された矩形コイル(5)のパラメータ、すなわち、異極対向型磁気回路(4)による磁束(B)の中に設置された面積A、巻き数Nの矩形コイル(5)を貫く全磁束(NAB)の評価を行う。
具体的には、矩形コイル(5)を、第2サーボモータ(9)により角速度ωで回転させたときに生じる誘導起電力Vを測定し、V(V=NABω)が最大値Vmaxとなるときの矩形コイル(5)の角度位置p0を計測する。なお、このとき、異極対向型磁気回路(4)が回転しないよう、第1サーボモータ(1)の出力軸を電磁ブレーキなどで機械的にロックしておく。
第2カップリング(2b)と第3カップリング(2c)の間に回転式トルク変換器(7)が装着された状態で、異極対向型磁気回路(4)が矩形コイル(5)に対して角度位置p0となるように第2サーボモータ(9)により位置決め制御を行い、角度位置p0となったときに第1ロータリエンコーダ(3)と第2ロータリエンコーダ(6)の差をゼロにリセットする。
この状態で、スリップリング(11)を介して矩形コイル(5)に精密可変電流源(12)により電流Iを供給すると、図中破線で示す測定軸上にトルクが生じ、矩形コイル(5)はΔpだけねじられる。
第1ロータリエンコーダ(3)と第2ロータリエンコーダ(6)よりその角度位置のずれを計測し(差をとり)、第2サーボモータ(9)を用いて第1ロータリエンコーダ(3)と第2ロータリエンコーダ(6)の差が0となるように制御する。このとき、破線で示す測定軸上に生じるトルクは、厳密にT=NAB・I(Tω=VI)で定義され、回転式トルク変換器(7)にこのトルクTの負荷がかかる。
この状態で、第1サーボモータ(1)のロックを解除し、プログラムコントローラPLC(10)を用いて第1サーボモータ(1)と第2サーボモータ(9)の同期制御を行い、回転式トルク変換器(7)に上記のように厳密に定義されるTの負荷を与えながら回転させる。
これと同時に、第3ロータエンコーダ(自己校正型ロータエンコーダ)(8)で単位時間あたりの角度位置の変化(回転速度)を評価する。回転中に精密可変電流源(12)から供給される電流Iを変化させ、さらに第1サーボモータ(1)または第2サーボモータ(9)のいずれか一方あるいは両者によって、第1ロータリエンコーダ(3)と第2ロータリエンコーダ(6)の差がゼロとなるように制御することで、さまざまなトルク値の校正が可能となる。
本実施例によれば、検定バーとおもりのように離散的なトルクの変化ではなく、連続的に電流を変化させることもできる。もし、電流Iを変化させて、第1ロータリエンコーダ(3)と第2ロータリエンコーダ(6)の位置がずれてしまった場合でも、第1ロータリエンコーダ(3)と第2ロータリエンコーダ(6)より角度差を評価することで、厳密に定義されるトルク(T=NAB・I)に対して三角関数により補正を行うことができる。
なお、各構成要素の軸受は、トルクの校正装置として最高レベルを要求する場合には、摩擦の影響を低減するために、通常のボールベアリングに代え、エアベアリングを使用することが好ましい。
本実施の形態に係るトルク校正装置は、磁束密度Bの磁場を形成する異極対向型磁気回路と、異極対向型磁気回路の内部に挿入されたコイルと、第1ロータリエンコーダを介して異極対向型磁気回路の回転軸の一方に連結され、異極対向型磁気回路を回転させるとともに、特定の角度位置で静止させる第1サーボモータと、コイルの回転軸の他方に連結された第2ロータリエンコーダと、第2ロータリエンコーダと校正対象である回転式トルク変換器の入力軸、第3ロータリエンコーダの一方と回転式トルク変換器の出力軸、及び第3ロータリエンコーダの他方と第2サーボモータとをそれぞれ連結するカップリングと、コイルに発生する誘導起電力Vを計測する電圧計測部と、第1サーボモータ及び第2サーボモータを制御する制御ユニットと、コイルに供給する電流Iを制御する電流制御装置とを備え、異極対向型磁気回路をロックした状態で第2サーボモータによりコイルを回転角速度ωで回転させたとき、電圧計測部が計測した誘導起電力Vの最大値V max とそのときの角度位置p 0 に基づいて、コイルに電流Iを流し、コイルに発生するトルクに抗して、コイルを角度位置p 0 に静止させるように第2サーボモータを制御することにより、トルク変換器に入力されるトルクを制御するとともに、異極対向型磁気回路のロックを解除した状態で、制御ユニットにより、コイルが角度位置p 0 に静止した状態を維持するよう、第1サーボモータと第2サーボモータを同期回転させ、第1ロータリエンコーダと第2ロータリエンコーダにより計測された回転角度の差がゼロとなるよう、電流制御装置からコイルに供給される電流Iを変化させつつ、第3ロータリエンコーダにより計測された回転角の単位時間あたりの変化に基づいた回転速度と、回転している状態で回転式トルク変換器に負荷されるトルク値を同時に評価するようにした。
回転式トルク変換器の高精度化が達成されれば、回転式トルク変換器の評価対象であるエンジンやモータの高精度化、省エネ化など、その開発を促進する上で有用である。
特に、本実施の形態によれば、従来の実荷重式の校正装置と比較して、次のような効果を達成できる。
(1)回転式トルク変換器に対して、回転させながらトルク負荷をかけることができる。
(2)回転式トルク変換器に対して、トルクと回転数(回転速度)を同時に校正(または試験)することができる。
(3)回転式トルク変換器に対して、動的な評価が可能となる。
(4)微小トルクを高い精度で再現できる。
(5)軽量化、コンパクト化、低コスト化が可能となる。
(6)緯度に応じた重力加速度の評価が不要である。
(7)搬送により機構的なダメージを受けにくく、仮に受けたとしても、搬送後の再評価(磁気回路の磁束密度とコイルの形状)が容易である。
(8)このため、製造現場等でも容易にトルクの一次標準を実現できる。
(9)新しいトルクのSIトレーサビリティ体系を構築することで、新たなトルク計測機器の開発を促進できる。
以上説明したように、本発明によれば、コイルの形状や異極対向型磁気回路により発生する磁場密度にかかわりなく、磁場内のコイルに電流を流すことで、微小トルクでも精度高く再現した上で、トルク変換器が実際に稼働回転している状態でトルク及び回転数(回転速度)の校正(または試験)を行うことができるので、より高精度なトルク校正装置として広く採用されることが期待できる。
1:第1サーボモータ
2a~2d:第1~第4カップリング
3:第1ロータエンコーダ
4:異極対向型磁気回路
5:コイル
6:第2ロータエンコーダ
7:回転式トルク変換器
8:第3ロータエンコーダ
9:第2サーボモータ
10:プログラムコントローラPLC
11:スリップリング
12:精密可変電流源
13:回転式トルク変換器用指示計器
14:カウンターおよび端子台
15:PC

Claims (4)

  1. 磁束密度Bの磁場を形成する異極対向型磁気回路と、
    前記異極対向型磁気回路の内部に挿入されたコイルと、
    第1ロータリエンコーダと、
    前記第1ロータエンコーダを介して前記異極対向型磁気回路の回転軸の一方に連結され、前記異極対向型磁気回路を回転させるとともに、特定の角度位置で静止させる第1サーボモータと、
    前記コイルの回転軸の他方に連結された第2ロータエンコーダと
    第3ロータリエンコーダと、
    第2サーボモータと、
    前記第2ロータエンコーダと校正対象である回転式トルク変換器の入力軸、前記第3ロータエンコーダの一方と前記回転式トルク変換器の出力軸、及び前記第3ロータエンコーダの他方と前記第2サーボモータとをそれぞれ連結するカップリングと
    前記第1サーボモータ及び前記第2サーボモータを制御する制御ユニットと、
    前記コイルに供給する電流Iを制御する電流制御装置とを備え、
    前記第1サーボモータを機械的にロックした状態で前記第2サーボモータを駆動し、前記異極対向型磁気回路内部で前記コイルを回転させることで前記コイルに発生する誘導起電力Vが最大値V max となる角度位置p に基づき、
    前記第1サーボモータをロックした状態で前記電流制御装置により前記コイルに電流Iを流し、前記コイルに発生するトルクに抗して、前記第1及び第2ロータリエンコーダの計測結果に基づき前記コイルを前記角度位置pに静止させるように前記第2サーボモータを前記制御ユニットにより制御
    前記第1サーボモータのロックを解除した状態で、前記第1及び第2ロータリエンコーダの計測結果に基づき前記コイルが前記角度位置pに静止した状態を維持するよう、前記第1サーボモータと前記第2サーボモータを前記制御ユニットにより同期回転させ、
    前記第1サーボモータのロックを解除した状態で、前記電流制御装置により前記コイルに供給する電流Iを変化させて、当該電流Iの変化により生ずる前記角度位置p からの前記コイルのずれをゼロにするように前記制御ユニットにより前記第1サーボモータあるいは前記第2サーボモータによる位置決め制御を行い、
    前記第1サーボモータのロックを解除した状態で前記回転式トルク変換器の回転速度を前記第3ロータリエンコーダにより計測する
    回転式トルク変換器のトルク校正装置。
  2. 前記第1サーボモータと前記第2サーボモータ、それぞれサーボアンプを介して、前記制御ユニットに接続され、その回転数、出力トルクが個別に制御されるようになっていることを特徴とする請求項1に記載された回転式トルク変換器のトルク校正装置。
  3. 前記第3ロータエンコーダとして、自己校正型ロータエンコーダを用いたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された回転式トルク変換器のトルク校正装置。
  4. 磁束密度Bの磁場を形成する異極対向型磁気回路に連結された第1サーボモータを機械的にロックした状態で第2サーボモータを駆動し、前記異極対向型磁気回路内部でコイルを回転させ、前記コイルに発生する誘導起電力Vの最大値Vmaxと、前記誘導起電力Vが最大値Vmaxとなる角度位置p特定する工程と、
    記第1サーボモータをロックした状態で前記コイルに電流Iを流し、前記第2サーボモータにより、前記コイル及び当該コイルに連結される校正対象の回転式トルク変換器を回転させ、前記コイルに発生するトルクに抗して前記コイルを前記角度位置pに静止させる程と、
    前記第1サーボモータのロックを解除した状態で前記コイルが前記角度位置pに静止した状態を維持するよう、前記第1サーボモータと前記第2サーボモータの同期回転制御を行う程と、
    前記コイルに供給する電流Iを変化させて、当該電流Iの変化により生ずる前記角度位置pからのずれをゼロにするように前記第1サーボモータあるいは前記第2サーボモータによって置決め制御を行い前記回転式トルク変換器の校正を行う程と、
    前記第1サーボモータのロックを解除した状態で前記回転式トルク変換器の回転速度を計測する工程と、
    を含む回転式トルク変換器のトルク校正方法。
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