JP3742232B2 - 迅速球状化可能で冷間鍛造性の優れた鋼線材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、中炭素鋼や低合金鋼を球状化焼鈍後に冷間鍛造により部品に加工される様な鋼線材およびその製造方法に関し、殊に球状化焼鈍の際に迅速球状化が可能で冷間鍛造性にも優れた鋼線材、およびその様な鋼線材を製造する為の有用な方法に関するものである。尚本発明で対象とする鋼線材は、主に熱間圧延によって作られ、通常9.0mmφ以下の断面の丸い鋼材をコイル状にしたものを意味するが、直径9.5mmφ以上の棒鋼をコイル状に巻き取った「バーインコイル」をも含むものである。また熱間圧延した後に冷間伸線した鋼線材も含む趣旨である。
【0002】
【従来の技術】
鋼材を冷間で加工する冷間鍛造は、生産性が高いことから幅広い分野で利用されている。冷間鍛造に供される素材は、局部的に激しい変形を受けるために、材料割れによる不良の発生や、工具ダイスの破損などの事故が起こりやすい。こうしたことから、比較的高硬度で成形性の悪い中炭素鋼や低合金鋼を素材として冷間鍛造する場合には、冷間加工性を向上させるために鋼中の炭化物を球状化するための球状化焼鈍が行なわれるのが一般的である。
【0003】
上記の様な球状化焼鈍を施すことによって、鋼材の変形能の向上が図れると共に、ダイス寿命の延伸に効果がある変形抵抗低減が達成されるのであるが、球状化焼鈍は10〜50時間と長時間を要する処理であることが知られており、迅速に球状化が可能な素材が求められているのが実状である。またこうした迅速球状化を行なう際には、球状化焼鈍処理における基本的な機能である優れた冷間鍛造性を得ること、特に変形能を劣化させないことが重要な要件である。
【0004】
鋼材の迅速球状化に関する技術はこれまでにも様々開発されており、例えば特公昭56−37288号や同59−35410号等には、球状化処理前の組織を硬質相のマルテンサイトやベイナイトにする方法が提案されている。これらの方法によれば、比較的短時間に球状化が達成されるのであるが、球状化焼鈍後も鋼材の硬度が低くならずに変形抵抗が高く、工具ダイスの寿命低下という問題は依然として解消されない。
【0005】
またフェライト・パーライト組織で微細化を図り迅速球状化を狙う手段がいくつか開示されているが、十分な効果が得られているとは言い難い。例えば特公昭63−45441号、特公平2−6809号、特開昭60−255922等には、熱間圧延時の塑性歪を残したまま変態させて、迅速球状化させる技術が開示されている。しかしながらこれらの技術では、迅速球状化は達成できても、変態後の組織は圧延方向に展伸されているので、変形能はむしろ劣化している。
【0006】
更に、特開昭62−139817号や同63−20419号では、フェライト粒径を5〜6μm以下とすることで迅速球状化を図っているが、このように前組織を超微細化すると、硬さを十分に低下させるのに却って長時間の球状化時間が必要となり、本発明が想定する迅速球状化条件(処理時間5〜15時間程度)では、むしろ変形抵抗が高く工具寿命が低下する問題がある。
【0007】
一方、特開昭47−8503号においては、最終圧延後の冷却において、初析フェライトの生成を抑制するに足る速さで冷却することで迅速球状化を図っている。しかしながら、初析フェライトを極端に抑制すると、硬質相であるパーライトやベイナイトの量が増大し、圧延後の硬さ上昇が問題となるだけでなく、球状化焼鈍後も硬さ低下が不十分となる。従って、本発明が想定している迅速球状化条件では、変形抵抗が高く工具寿命の低下の問題がある。
【0008】
また、例えば特公平2−6809号で開示されている一般的な圧延終了後の冷却速度である0.15〜10℃/秒では、初析フェライトとパーライトを主体とする組織となるが、必要な初析フェライト量を規定した技術はこれまで提案されていない。即ち、これまでの技術では、同一コイル内または異なったコイル間で初析セメンタイト量を一定とすることを想定したものではなく、その結果として鋼線材中の球状化程度が異なることが多かった。そして冷間鍛造時の変形能が最も悪い場所で全体の変形能が律速されるので、組織のばらつきは、冷間鍛造時の変形能の低下を意味する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこうした状況の下でなされたものであって、その目的は、冷間鍛造前の迅速球状化と、変形能を向上して優れた冷間鍛造性を併せて実現することができる鋼線材、およびその為の有用な方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得た本発明の鋼線材とは、C:0.2〜0.6%、Si:0.3%以下、Mn:0.2〜1.5%およびAl:0.01〜0.06%を夫々含有すると共に、P:0.02%以下(0%を含む)、S:0.02%以下(0%を含む)およびN:0.01%以下(0%を含む)に夫々抑制し、残部Feおよび不可避不純物からなる熱間圧延鋼線材または冷間伸線された鋼線材において、初析フェライトとパーライトが合計で90体積%以上である組織を有すると共に、平均結晶粒径が6〜15μmであり、且つ下記(1)式で表される平均初析フェライト体積率(Vpf1)に対する初析フェライト体積率(Vf)の比(Vf/Vpf1)が0.05〜0.75である点に要旨を有するものである。
Vpf1=(0.8−Ceq1)×129 …(1)
但し、Ceq1(%)=[C%]+0.10[Si%]+0.06[Mn%]であり、[C%]、[Si%]および[Mn%]は、夫々C,SiおよびMnの含有量(質量%)を示す。
【0011】
上記本発明では、C,Si,MnおよびAlを含有し、P,SおよびNを夫々抑制し、残部がFeおよび不可避不純物からなる熱間圧延鋼線材または冷間伸線された鋼線材を対象とするものであるが、これらの成分の他、Cr:2%以下(0%を含まない)、Mo:1%以下(0%を含まない)およびNi:3%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上の元素を含む熱間圧延鋼線材または冷間伸線された鋼線材において、初析フェライトとパーライトが合計で90体積%以上である組織を有すると共に、平均結晶粒径が6〜15μmであり、且つ下記(2)式で表される平均初析フェライト体積率(Vpf2)に対する初析フェライト体積率(Vf)の比(Vf/Vpf2)が0.05〜0.75である様な鋼線材においても上記目的を達成することができる。
【0012】
Vpf2=(0.8−Ceq2)×129 …(2)
但し、Ceq2(%)=[C%]+0.10[Si%]+0.06[Mn%]+0.11[Cr%]−0.16[Mo%]+0.04[Ni%]であり、[C%]、[Si%]、[Mn%]、[Cr%]、[Mo%]および[Ni%]は、夫々C、Si、Mn、Cr、MoおよびNiの含有量(質量%)を示す。
【0013】
一方、本発明の鋼線材を製造するに当たっては、上記各化学成分組成を満足する鋼材を用い、(1)750〜950℃の温度で熱間仕上げ圧延した後、5℃/秒以上の冷却速度で600〜650℃まで冷却し、引き続き1℃/秒以下の冷却速度で徐冷するか、または(2)750〜950℃の温度で熱間仕上げ圧延した後、50℃/秒以上の冷却速度で700〜800℃まで冷却し、その後5℃/秒以上の冷却速度で600〜650℃まで冷却し、引き続き1℃/秒以下の冷却速度で徐冷する様にすれば良い。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、球状化時間を短縮させても変形抵抗の低減と変形能向上の両方を満足させることのできる最適な前組織を検討した。その結果、フェライトとパーライトを主体とする組織において、その平均結晶粒径を調整すると共に、パーライト体積率を増大して初析フェライト体積率を低減させることが有効であることが判明した。即ち、平均結晶粒径を6〜15μmに調整し、且つ化学成分に応じた上記(1)式または(2)式で表される平衡初析フェライト体積率(Vpf1 またはVpf2 )に対する初析フェライト体積率Vfの比(Vf/Vpf1 またはVf/Vpf2 )が0.05〜0.75である様な鋼線材においては、上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。
【0015】
上記比(Vf/Vpf1 またはVf/Vpf2 )の値が0.05未満となると、初析フェライトの体積割合が小さくなり、圧延後の硬さ上昇が問題となるだけでなく、球状化焼鈍後も硬さ低下が不十分であるので、変形抵抗が高く工具寿命の低下の問題が生じる。一方、上記比(Vf/Vpf1 またはVf/Vpf2 )の値が0.75よりも大きくなると、球状化時間も長くかかると同時に、迅速球状化条件では変形能が低下する。尚上記比の値の好ましい範囲は、0.15〜0.60程度であり、この範囲内では本発明の効果が最も有効に達成される。また本発明の鋼線材は、前述の如く初析フェライトとパーライトを主体とするものであるが、その他微量であればベイナイトやマルテンサイト等の組織が混在していても良い。但し、これらマルテンサイトやベイナイトの組織が多量に生成すると、球状化焼鈍後も硬さが低下せず、冷間鍛造時の工具寿命が低下するので、その量は10%以下にすべきである。
【0016】
本発明の鋼線材においては、その平均結晶粒径を6〜15μmに調整する必要がある。この平均結晶粒径が15μmを超えて粗い組織となると、球状化時間が長くかかると共に、線材の変形能も十分でなくなる。逆に、平均結晶粒径が6μm未満となって微細になると変形能は向上するが、硬さの低下に時間がかかり、迅速球状化に適しない。この平均結晶粒径の好ましい範囲は、7〜12μmである。尚通常の熱間圧延材のフェライト・パーライト組織の平均結晶粒径は15〜25μm程度である。
【0017】
本発明の鋼線材において、その平均結晶粒径が6〜15μm(好ましくは7〜12μm)である(フェライト+パーライト)組織にする為には、熱間圧延条件の制御、特に最終圧延温度の制御が重要な要件となる。こうした観点からして、熱間仕上げ圧延温度を750〜950℃とする必要がある。熱間仕上げ圧延温度が750〜950℃の温度範囲となる様にすれば、線材断面内の全てで平均結晶粒径が6〜15μmとなる(フェライト+パーライト)組織を生成し得る。
【0018】
熱間仕上げ圧延温度が950℃を超えると、組織の粗大化が起こる。またこの温度が750℃未満となると、平均結晶粒径が6μm未満となる可能性がある。この場合、前述した様に硬さの低下が不十分で、冷間鍛造時の工具寿命低下の問題が生ずる。また圧延時の塑性歪を有したまま変態し、圧延方向に展伸された結晶粒が生成する可能性も高くなり、このときには変態後の組織は圧延方向に展伸されているので、変形能が低下する。尚本発明における熱間仕上げ圧延温度とは、最終仕上圧延機出側での線材表面温度を意味する。
【0019】
初析フェライト体積率Vpfを調整するには、550〜650℃程度の温度で恒温変態して、硬質相であるベイナイトやマルテンサイトの生成を抑制することによって可能となる。また、圧延後に前記比(Vf/Vpf1 またはVf/Vpf2 )の値を0.05〜0.75にする為には、圧延後の冷却条件の制御が必要である。特に、微細な(フェライト+パーライト)結晶粒を得るために上記のように圧延条件を制御してオーステナイト結晶粒を微細化すると、変態が促進されるので、初析フェライト分率が増加する傾向がある。従って、微細結晶粒を得るときには特に、ベイナイトやマルテンサイトが生成しない程度の急冷が必要となる。
【0020】
線材圧延においては、最適冷却条件は成分によって異なるが、熱間仕上げ圧延した後、600〜650℃まで冷却速度5℃/秒以上の冷却速度で冷却し、引き続き1℃/秒以下の冷却速度で徐冷することにより、フェライト分率を低下させながらベイナイトやマルテンサイトの生成を抑制することが可能となる。このときの徐冷終了温度は、(フェライト+パーライト)変態がほぼ終了するまで行なう。尚この冷却工程において、650℃を超える温度で徐冷を開始すると、初析フェライトが多量に生成するので迅速球状化に適しない。また600℃未満の温度で徐冷を開始すると、ベイナイトやマルテンサイトが生成する恐れがある。更に、600〜650℃までを5℃/秒未満の冷却速度で冷却すると、初析フェライトが多量に生成する恐れがある。それ以降の温度を1℃/秒を超える冷却速度で冷却するとベイナイトやマルテンサイトが生成する恐れがある。
【0021】
上記製造工程において、上記熱間仕上げ圧延後、一旦700〜800℃まで冷却速度50℃/秒以上で冷却し、その後600〜650℃まで冷却速度5℃/秒以上で冷却し、それに引き続き1℃/秒以下で徐冷する様にしても良い。この方法によって、仕上圧延後の結晶粒粗大化を防止できると同時に、初析フェライトの生成を抑制することが出来る。この方法を採用するときには、600〜650℃までを冷却速度50℃/秒以上で急冷すると、温度バラツキによって部分的にはベイナイトやマルテンサイトが生成する可能性があることと、断面内の温度分布が付いたまま変態して、断面内で組織が大きく異なる可能性が生じるので、700〜800℃で冷却速度を変更することが望ましい。
【0022】
本発明の鋼線材は、C,SiおよびMnを基本成分として含む熱間圧延鋼線材または冷間伸線された鋼線材を対象とするのであるが、これらの成分の他、Cr:2%以下(0%を含まない)、Mo:1%以下(0%を含まない)およびNi:3%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上の元素を含む含む熱間圧延鋼線材または冷間伸線された鋼線材を対象とする。これらの元素の範囲限定理由は下記の通りである。尚、前述した如く、鋼線材の化学成分組成に応じて、前記(1)式または(2)式で表される平衡初析フェライト体積率(Vpf1 )または(Vpf2 )を採用する必要がある。
【0023】
C:0.2〜0.6%
Cは、強度付与元素であり、0.2%未満では必要な強度が得られない。一方、0.6%を超えると冷間加工性の低下、靱性の低下があるので、これを上限とする。尚C含有量の好ましい下限は、0.3%であり、好ましい上限は0.5%である。
【0024】
Si:0.3%以下
Siは、脱酸剤として添加されるが、多量に添加すると強度上昇が著しく、冷間加工性が低下するので、上限を0.3%にする。尚Si含有量の好ましい上限は0.25%である。
【0025】
Mn:0.2〜1.5%
Mnは、脱酸・脱硫剤および焼入れ性向上元素として添加されるが、その効果を発揮させるためには0.2%以上含有させる必要がある。しかしながら、その含有量が過剰になると、偏析による組織の不均一性が生じ、冷間加工性や靱性の低下を招くので、上限を1.5%とする必要がある。尚Mn含有量の好ましい下限は、0.4%であり、好ましい上限は1.0%である。
【0026】
Cr:2%以下(0%を含まない)、Mo:1%以下(0%を含まない)およびNi:3%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上の元素
Cr、MoおよびNiは、焼入れ性確保に有効であるが、過剰に含有させると冷間鍛造性や靱性を劣化させるので、上限をそれぞれ2%、1%、3%とする必要がある。尚これらの元素による上記効果は、上記範囲内ではその含有量を増加させるにつれておおきくなるが、上記効果を発揮させる為には、Crで0.10%以上、Moで0.05%以上、Niで0.20%以上含有させることが好ましい。
【0027】
本発明の鋼線材においては、Al:0.01〜0.06%を含有すると共に、P:0.02%以下(0%を含む)、S:0.02以下(0%を含む)およびN:0.01%以下(0%を含む)に夫々抑制することも有効であり、これによって鋼線材の特性を更に向上させることができる。また本発明の鋼線材における上記の基本的な化学成分組成の他は、Feおよび不可避不純物からなるものであるが、必要によってV,Ti,B,Ca等を含有させることも有効である。これらの元素の範囲限定理由は、下記の通りである。尚これらの成分以外にも、本発明の鋼線材には、その特性を阻害しない程度の微量成分を含み得るものであり、こうした鋼線材も本発明の範囲に含まれるものである。
【0028】
Al:0.01〜0.06%
Alは脱酸剤であると同時に、窒素の固定による冷間鍛造中の動的歪時効を抑制して、変形抵抗の低減を図る働きがある。こうした効果を発揮させる為には、少なくとも0.01%含有させる必要があるが、過剰になると却って靱性を低下させるので、上限を0.06%とした。尚Al含有量の好ましい下限は0.02%であり、好ましい上限は0.04%である。
【0029】
P:0.02%以下(0%を含む)、S:0.02%以下(0%を含む)
PとSは、冷間加工性、特に変形能を低下させるので、いずれも0.02%以下に抑制する必要がある。尚これらの元素は、いずれも0.01%以下に抑制することが好ましい。
【0030】
N:0.01%以下(0%を含む)
Nは、冷間鍛造中の動的歪時効を起こし、変形抵抗上昇と変形能の低下を招くので、上限を0.01%とする。尚N含有量は、0.006%以下に抑制することが好ましい
V:0.5%以下(0%を含まない)
Vは析出強化を目的として添加しても良いが、多量に添加すると冷間鍛造性や靱性を劣化させるので、その上限を0.5%とする。
【0031】
Ti:0.1%以下(0%を含まない)
Tiは固溶Nの固定による動的歪時効抑制効果によって、冷間鍛造時の変形抵抗低減に有効な元素であるので添加して良い。特にBを添加した場合は、冷鍛後の調質時の焼入れ性を安定させるためにN添加が不可欠であり、Ti添加がN固定に効果を発揮する。但し、過剰に含有させると、粗大なTiNが析出して機械的性質を損なうので、上限を0.1%とする。
【0032】
B:0.01%以下(0%を含まない)
Bは少量でも焼入れ性を上昇させるのに有効な元素であるので、必要により添加しても良い。但し、過剰に含有させると靱性を劣化させるので、上限を0.01%とする。
【0033】
Ca:0.01%以下(0%を含まない)
Caは、MnSの形態を球状化して、横方向の靱性を向上させる効果があるので添加しても良いが、過剰に含有させると大型介在物を生成して、機械的性質を損なうので、上限を0.01%とする。
【0034】
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0035】
【実施例】
実施例1
S45C相当鋼(C:0.45%、Si:0.17%、Mn:0.75%)を用い、熱間加工シミュレーターで800℃と1000℃で加工後、500℃、600℃、700℃まで急冷して、その温度で恒温保持した。組織はすべてフェライト+パーライト組織となっていたが、初析フェライト体積率Vf、および初析フェライト体積率Vfと平衡初析フェライト体積率Vpf1 との比(Vf/Vpf1 )は、下記表1に示すような値となった。このとき球状化焼鈍は、180℃/hで740℃まで昇温し、この温度で4時間保持した後、680℃まで12℃/hで徐冷し、その後放冷する方法で球状化処理を標準条件とした。迅速球状化条件としては、680℃までの冷却を24℃/hで行った。
【0036】
変形能は、冷間鍛造性との相関が確認されている微小サンプルを変形し、割れが発生するまでの変形量で評価した。変形量値が大きいほど変形能は良好となる。硬さは、荷重5kgでビッカース硬さを測定した。
【0037】
その結果を、下記表1に併記するが、この結果から明らかな様に、前記比(Vf/Vpf1 )の値を適切な範囲に調整することによって、短時間の球状化条件でも十分に低い硬さと良好な変形能が得られていることが分かる。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例2
供試材の成分を表2に示す。これらを下記表3に示す種々の条件で、線径8〜16mmの線材に熱間圧延した。尚このときの圧延温度は最表層で評価している。熱間圧延後の組織観察は、最表層より0.3mm内部に入った表層部で評価した。
【0040】
上記圧延材を、180℃/hで(Ac1 +20℃)まで昇温し、その温度で4時間保持した。その後、680℃まで迅速化条件である18℃/hで徐冷し、その後放冷する方法で球状化処理を行った。
【0041】
球状化程度は、夫々の試料の表面とD/4の位置で、球状化した炭化物の割合と、硬さで評価した。球状化した炭化物の観察では、25μm四方の領域を2000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、個々の炭化物の個数とアスペクト比を求めた。アスペクト比が3以下の物を球状化した炭化物とし、全数に占める割合を求め、10視野での平均を計算した。硬さは、荷重5kgのビッカース硬さを5点測定して平均を求めた。冷間鍛造性は、切り欠き付きの据え込み試験で評価した。その結果を、下記表4に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
これらの結果から、次の様に考察できる。まずNo.2,3,5,13,15,21〜25のものは、本発明で規定する要件を外れるものである。No.2は、低めの温度で圧延した後、600℃より低い温度まで冷却したため、上記比(Vf/Vpf1 またはVf/Vpf2 )の値が0.05よりも小さくなり、球状化度は良いが、硬さが高くなっている。No.3のものは、圧延後の徐冷を650℃よりも高い温度から徐冷を始めたので、上記比(Vf/Vpf1 またはVf/Vpf2 )の値が0.75よりも大きくなっており、硬さは低いが、据え込み限界が低くなっている。
【0046】
No.5のものは、圧延温度が950℃よりも高くなっており、平均結晶粒径が15μmよりも大きくなって、球状化率と据え込み率の両方とも悪くなっている。No.13のものは、圧延温度が750℃よりも低くなっており、粒径が5μm以下になり、圧延方向に伸びた結晶粒になっており、硬さが高く、据え込み限界も低くなっている。No.15のものは、1℃/s以下での徐冷開始温度が低くなっており、ベイナイト組織となり、球状化後も硬さが高くなっている。
【0047】
No.21のものは、Mnが多くベイナイトが生成しており、特性が劣化している。No.22のものは、Siが多く硬さが高い。No.23はAlが多いために据え込み限界が低くなっている。No.24のものは、Alを無添加のため、また、No.25はN量が多いため、Nによる歪時効を抑制できず、据え込み限界が低くなっている。
【0048】
これに対して、上記以外のNo.1,4,6〜12,14,16〜20のものでは、迅速球状化が達成され、球状化率と据え込み率の両方とも良好な値を示していることが分かる。
【0049】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、鋼線材における冷間鍛造前の迅速球状化と、変形抵抗を向上して優れた冷間鍛造性を併せて実現することができた。
Claims (4)
- C:0.2〜0.6%(質量%の意味、以下同じ)、Si:0.3%以下、Mn:0.2〜1.5%およびAl:0.01〜0.06%を夫々含有すると共に、P:0.02%以下(0%を含む)、S:0.02%以下(0%を含む)およびN:0.01%以下(0%を含む)に夫々抑制し、残部Feおよび不可避不純物からなる熱間圧延鋼線材または冷間伸線された鋼線材において、初析フェライトとパーライトが合計で90体積%以上である組織を有すると共に、平均結晶粒径が6〜15μmであり、且つ下記(1)式で表される平均初析フェライト体積率(Vpf1)に対する初析フェライト体積率(Vf)の比(Vf/Vpf1)が0.05〜0.75であることを特徴とする迅速球状化可能で冷間鍛造性の優れた鋼線材。
Vpf1=(0.8−Ceq1)×129 …(1)
但し、Ceq1(%)=[C%]+0.10[Si%]+0.06[Mn%]であり、[C%]、[Si%]および[Mn%]は、夫々C,SiおよびMnの含有量(質量%)を示す。 - C:0.2〜0.6%、Si:0.3%以下、Mn:0.2〜1.5%およびAl:0.01〜0.06%を夫々含む他、Cr:2%以下(0%を含まない)、Mo:1%以下(0%を含まない)およびNi:3%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上の元素を含み、P:0.02%以下(0%を含む)、S:0.02%以下(0%を含む)およびN:0.01%以下(0%を含む)に夫々抑制し、残部Feおよび不可避不純物からなる熱間圧延鋼線材または冷間伸線された鋼線材において、初析フェライトとパーライトが合計で90体積%以上である組織を有すると共に、平均結晶粒径が6〜15μmであり、且つ下記(2)式で表される平均初析フェライト体積率(Vpf2)に対する初析フェライト体積率(Vf)の比(Vf/Vpf2)が0.05〜0.75であることを特徴とする迅速球状化可能で冷間鍛造性の優れた鋼線材。
Vpf2=(0.8−Ceq2)×129 …(2)
但し、Ceq2(%)=[C%]+0.10[Si%]+0.06[Mn%]+0.11[Cr%]−0.16[Mo%]+0.04[Ni%]であり、[C%]、[Si%]、[Mn%]、[Cr%]、[Mo%]および[Ni%]は、夫々C、Si、Mn、Cr、MoおよびNiの含有量(質量%)を示す。 - 請求項1または2に記載の鋼線材を製造するに当たり、750〜950℃の温度で熱間圧延仕上げ圧延をした後、5℃/秒以上の冷却速度で600〜650℃まで冷却し、引き続き1℃/秒以下の冷却速度で徐冷することを特徴とする迅速球状化可能で冷間鍛造性の優れた鋼線材の製造方法。
- 請求項1または2に記載の鋼線材を製造するに当たり、750〜950℃の温度で熱間圧延仕上げ圧延をした後、5℃/秒以上の冷却速度で700〜800℃まで冷却し、その後5℃/秒以上の冷却速度で600〜650まで冷却し、引き続き1℃/秒以下の冷却速度で徐冷ことを特徴とする迅速球状化可能で冷間鍛造性の優れた鋼線材の製造方法。
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JP29107998A JP3742232B2 (ja) | 1998-10-13 | 1998-10-13 | 迅速球状化可能で冷間鍛造性の優れた鋼線材およびその製造方法 |
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