JP3386726B2 - 超微細粒を有する加工用熱延鋼板及びその製造方法並びに冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

超微細粒を有する加工用熱延鋼板及びその製造方法並びに冷延鋼板の製造方法

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JP3386726B2
JP3386726B2 JP25627298A JP25627298A JP3386726B2 JP 3386726 B2 JP3386726 B2 JP 3386726B2 JP 25627298 A JP25627298 A JP 25627298A JP 25627298 A JP25627298 A JP 25627298A JP 3386726 B2 JP3386726 B2 JP 3386726B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車用、家電
用、機械構造用、建築用などの使途に適用して有利な、
熱延のままで平均粒径2μm 未満の超微細フェライト粒
を有し、延性、じん性、疲労強度などに優れ、更にはこ
れらの特性の異方性が小さい熱延鋼板とその製造方法に
関する。また、上記熱延鋼板を素材とする加工性に優れ
た冷延鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用材、構造材などに用いられる鋼
材には、強度、加工性、じん性といった機械的性質に優
れることが求められる。これらの機械的性質を総合的に
高めるには組織を微細化することが有効であることか
ら、微細な組織をめざす製造方法が数多く模索されてい
る。また、高張力鋼板においては、近年、低コストと高
機能特性を両立できる高張力鋼板のニーズが強く、か
つ、このニーズに適合する鋼板の開発に目標が移行しつ
つあり、高張力化に伴う延性、じん性、耐久比などの劣
化を抑える目的で高張力鋼の組織の微細化が重要な課題
となっている。更に、同じく自動車用材などに用いられ
る冷延鋼板においては、素材とする熱延鋼板の細粒化が
加工性、特にr値(ランクフォード値)の向上に有効で
あるとされており、冷延母材としての熱延鋼板の組織の
細粒化も重要な課題となっている。
【0003】従来技術における組織の微細化手段を総括
すると、大圧下圧延法、制御圧延法、制御冷却法などが
ある。このうち、大圧下圧延による組織微細化法として
は、例えば特開昭58−123823号公報などに代表
される提案がある。これらの方法における微細化機構の
要点は、オーステナイト粒に大圧下を加えることによる
γ→α歪誘起変態を促進させることにあり、かかる方法
により、ある程度の微細化は達成される。しかし、一パ
ス当たりの圧下量を40%以上にするなど、一般的なホッ
トストリップミルでは実現し難いという製造上の問題が
ある。しかも、かかる実現し難い製造条件のために得ら
れる最終組織の微細化には限界があり、平均結晶粒径は
せいぜい5μm 程度までであった。また、大圧下圧延に
よって結晶粒は偏平となるため、機械的特性に異方性が
生じたり、セパレーションにより破壊吸収エネルギーが
低下するという問題もあった。
【0004】一方、制御圧延法や制御冷却法に属する結
晶微細化法を適用した鋼板としては、NbもしくはTiを含
む析出強化型鋼板がある。これらの鋼板は、Nb、Tiの析
出強化作用を利用して高張力化を図るとともに、Nb、Ti
がそなえるオーステナイト粒の再結晶抑制作用を利用し
て、低温仕上圧延を施したときの未再結晶変形オーステ
ナイト粒からのγ→α歪誘起変態によってフェライト結
晶粒を微細化するものである。しかし、これらの鋼板は
機械的性質の異方性が大きい点に問題があり、例えば、
プレス成形を施す自動車用鋼板などでは、成形限界は最
も延性の劣る方向での特性水準によって決まるので、こ
のように異方性の大きい鋼板では組織を微細化した効果
が特性として全く現れない場合がある。構造材などに用
いた場合も同様であり、構造材において重要なじん性、
疲労強度などの異方性が大きくなるため組織を微細化し
た効果が特性として全く現れない場合がある。更に、こ
れらのいずれの方法においても、得られる粒径はせいぜ
い2μm 程度であった。また、熱間圧延直後に急冷処理
を行うことにより、粒成長を抑制する手段も知られてい
るが(例えば、特公平4−11608号公報)、この方
法によっても、4μm 程度の細粒が限度である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように従来技
術においては、到達できる最終フェライト粒径は、2μ
m が限界であった。結晶粒の微細化による機械的性質の
改善効果は、結晶粒径の平方根に逆比例することから、
この改善効果は、粒径が2μm 以上の領域では緩慢な向
上しか見られないが、2μm 未満の結晶粒径が実現され
るならば、大幅な特性向上が達成できる。
【0006】この発明は、従来技術が抱える問題を解決
し、一般のホットストリップミルで容易に実施可能で、
かつ、機械的性質の異方性が少なく、しかも従来技術で
達成できなかった最終フェライト粒径2μm 未満の超微
細粒を達成した加工用熱延鋼板や冷延鋼板用母材を、そ
の有利な製造方法とともに提案することを目的とする。
【0007】この発明は、C:0.01〜0.3 wt%(但し、
0.01wt%は除く)、Si:3.0 wt%以下、Mn:3.0 wt%以
下、P:0.5 wt%以下を含み、かつ、Ti:0〜1.0 wt
%、Nb:0〜1.0 wt%、V:0〜1.0 wt%、Cr:0〜1.
0 wt%、Cu:0〜3.0 wt%、Mo:0〜1.0 wt%、Ni:0
〜1.0 wt%、の1種又は2種以上、Ca、REM 、Bの1種
又は2種以上を合計で0〜0.005 wt%を含有し、残部は
実質的に鉄の組成からなり、フェライトの体積分率が50
%以上であり、該フェライトの平均粒径が2μm未満、
該フェライト粒のアスペクト比が1.5 未満であることを
特徴とする、超微細粒を有する加工用熱延鋼板である。
また、この発明は、C:0.01〜0.3 wt%(但し、0.01wt
%は除く)、Si:3.0wt%以下、Mn:0.5 〜3.0 wt%、
P:0.5 wt%以下を含み、かつ、Ti:0〜1.0wt%、N
b:0〜1.0 wt%、V:0〜1.0 wt%、Cr:0〜1.0 wt
%、Cu:0〜3.0wt%、Mo:0〜1.0 wt%、Ni:0〜1.0
wt%、の1種又は2種以上、Ca、REM 、Bの1種又は
2種以上を合計で0〜0.005 wt%を含有し、残部は実質
的に鉄の組成からなり、フェライトの体積分率が50%以
上であり、第2相としてマルテンサイト、ベイナイト、
残留オーステナイト、パーライト及び針状フェライトの
1種又は2種以上を含有する組織になり、該フェライト
の平均粒径が2μm 未満、該フェライト粒のアスペクト
比が1.5 未満であることを特徴とする、超微細粒を有す
る加工用熱延鋼板である。更に、この発明は、C:0.01
〜0.1 wt%(但し、0.01wt%は除く)、Si:1.0wt%以
下、Mn:2.0 wt%以下、P:0.5 wt%以下を含み、か
つ、Ti:0〜0.3 wt%、Nb:0〜0.3 wt%、V:0〜0.
3 wt%、Cr:0〜1.0 wt%、Cu:0〜3.0 wt%、Mo:0
〜0.3 wt%、Ni:0〜1.0 wt%、の1種又は2種以上、
Ca、REM 、Bの1種又は2種以上を合計で0〜0.005 wt
%を含有し、残部は実質的に鉄の組成からなり、フェラ
イトの体積分率が50%以上であり、フェライト単相又は
第2相として体積分率で10%以下のセメンタイトないし
はパーライトを含有する組織になり、該フェライトの平
均粒径が2μm 未満、該フェライト粒のアスペクト比が
1.5 未満であることを特徴とする、超微細粒を有する加
工用熱延鋼板である。上述した鋼板の好ましい態様に
は、平均のフェライト粒径dm(μm )と第2相の平均結
晶粒径ds(μm )とが、次式 0.3 <dm/ds<3 を満たすことがあり、より好ましくは、直近の第2相粒
子相互の間隔が該第2相の結晶粒半径の2倍未満となる
割合が10%未満になる第2相を有するものである。ま
た、この発明の加工用熱延鋼板は、焼付硬化量が100 MP
a 以上であることが、より好ましい。更に、この発明
は、C:0.01〜0.3 wt%(但し、0.01wt%は除く)、S
i:3.0wt%以下、Mn:3.0 wt%以下、P:0.5 wt%以下
を含み、かつ、Ti:0〜1.0 wt%、Nb:0〜1.0 wt%、
V:0〜1.0 wt%、Cr:0〜1.0 wt%、Cu:0〜3.0 wt
%、Mo:0〜1.0 wt%、Ni:0〜1.0 wt%、の1種又は
2種以上、Ca、REM 、Bの1種又は2種以上を合計で0
〜0.005 wt%を含有し、残部は実質的に鉄からなる組成
に調整した溶鋼を、連続鋳造又は造塊−分塊圧延により
圧延素材とし、直ちに又は一旦冷却して1200℃以下に加
熱して熱間圧延を施す際、動的再結晶域での圧下を5ス
タンド以上の圧下パスにて行い、かつ、この動的再結晶
域で圧下を加える最初のスタンド入側と最後のスタンド
出側の鋼板温度の温度差を60℃以下にすることを特徴と
する超微細粒を有する加工用熱延鋼板の製造方法であ
る。この発明の加工用熱延鋼板の製造方法においては、
動的再結晶域で圧下する各スタンドの圧下率が20%以下
であることが好適である。この発明の加工用熱延鋼板の
製造方法においては、仕上圧延設備のロールスタンド間
に設けた加熱手段によりロール又は鋼板の加熱を行うこ
とができる。また、この発明の加工用熱延鋼板は、超微
細粒を有する冷延鋼板用の母材としすることができ、こ
のかかる超微細粒を有する冷延鋼板を製造するには、該
冷延鋼板用母材に、圧下率50〜90%の冷間圧延、次いで
600 ℃〜Ac3 変態点以下での焼鈍を施す方法がある。
【0008】なお、この発明において、フェライト粒の
アスペクト比とは、フェライト粒の長径と短径との比を
いう。実用上は、フェライト粒は圧延方向に伸びるの
で、圧延方向断面上の長径と短径の比で代用される。ま
た、この発明において、フェライト粒の平均粒径は、常
法に従い、圧延方向断面における平均粒径とする。第2
相の平均結晶粒径とは、結晶組織写真により主相である
フェライト以外の組織の面積と結晶の数を求めて、該面
積を有する円相当の径(直径)に換算し測定したもので
ある。個々の第2相粒径を求める場合も、円相当に換算
するものとする。鋼板が、フェライトを主相とすると
は、フェライト相が体積分率で50%以上有することをい
う。また、この発明の鋼板において、成分組成範囲でTi
量などの含有量の下限が0%であるのは、それらの成分
を添加しない場合があることを意味する。
【0009】
【発明の実施の形態】さて、発明者らは、上記問題を解
決すべく研究開発を重ねた結果、熱間圧延時において、
動的再結晶域において繰り返し圧下を行うことにより、
フェライトを超微細粒にすることができることを見出し
た。そして、かかる動的再結晶域での圧下は大圧下とす
る必要がなく、そのため、フェライト粒のアスペクト比
が1.5未満という良好な組織が得られるために、機械的
特性の異方性も解消されることを併せて見出した。
【0010】上記のような平均のフェライト粒径が2μ
m 未満、フェライト粒のアスペクト比が1.5 未満である
鋼板は、結晶粒が微細であるから、強度、じん性、延性
などの機械的特性が特に優れているばかりでなく、その
異方性も少ない。しかも、粒径が2μm 以上の鋼板に比
べて粒界面積が大きいため、固溶Cが結晶粒界に多くト
ラップされる。したがって、焼付塗装時にかかる固溶C
が粒内に拡散して転位を固着するために、焼付硬化量が
100 MPa 以上の優れた塗装焼付硬化能を具備することが
できる。したがって、成形加工時には容易に加工をする
ことができる一方で、その後の塗装焼付などの熱処理に
より高強度を得ることができるため、自動車用鋼板など
として特に適している。
【0011】そして、主相がフェライトであり、平均の
フェライト粒径が2μm 未満、フェライト粒のアスペク
ト比が1.5 未満の熱延鋼板のなかでも、平均のフェライ
ト粒径dm(μm )と第2相の平均結晶粒径ds(μm )と
が、次式 0.3 <dm/ds<3 を満たす鋼板は、特に結晶粒径の差が小さいので、均一
に変形し、ネッキング、しわ発生、表面性状の不良が発
生しにくい。このため、加工性が良好で、特に穴拡げを
施すような加工方法に適している。また、疲労特性、破
壊靱性も極めて良好となる。
【0012】以上のような特質を具備するこの発明に従
う熱延鋼板は、軟鋼板から、自動車構造用鋼板、加工用
自動車高張力用鋼板、家電用鋼板、構造用鋼板などとし
て幅広い分野、用途の鋼板に適用することが可能である
(以下、この明細書で加工用鋼板とは、これらの用途を
全て包含する意味で用いる。)。したがって、DP(Dua
l Phase)鋼やTRIP(Transformation Induced Plasti
city) 鋼などのような第2相としてマルテンサイト、ベ
イナイト、残留オーステナイト、パーライト及び針状フ
ェライトの1種又は2種以上を含有する複合組織鋼板に
適用することができ、また、フェライト単相又は第2相
として少量のパーライトないしはセメンタイトを含有す
る組織になる鋼板とすることも可能である。さらに、S
量を0.002 wt%以下に低減して、穴拡げ性と疲労亀裂の
伝播停止特性を向上させて、自動車のホイール用の鋼板
としても用いることができる。
【0013】図1に熱延鋼板のフェライト平均粒径と機
械的性質との関係について調べた結果を示す。この調査
は、C:0.03wt%、Si:0.1 wt%、Mn:0.2 wt%、P:
0.01wt%、S:0.003 wt%、Al:0.04wt%を含有する鋼
について1100℃に加熱してから、通常の条件にて粗圧延
を施した後、7スタンドからなる仕上圧延設備により種
々の仕上圧延条件にて圧下を加えて得られた種々のフェ
ライト結晶粒径になる熱延鋼板について行ったものであ
る。粒径2μm 未満の鋼板は、仕上圧延時に、第1スタ
ンド入側の鋼板温度と最終(第7)スタンド出側の鋼板
温度との温度差が60℃以下で得られ、粒径1μm以下
の鋼板は同じく温度差が約30℃以下で得られた。また、
アスペクト比を調べたところ、上記の方法で得られた粒
径2μm 未満の鋼板においては、全て1.5 未満であっ
た。なお、同図における焼付硬化量(BH量)は、2パ
ーセント予歪後、170 ℃で20分加熱し、その後に再度引
張試験を行い、荷重上昇分から求めた。
【0014】同図より、フェライト平均結晶粒径を2μ
m 未満にすることにより、2μm 以上の鋼板に比べて、
諸特性が格段に向上することが分かる。かかる傾向は、
実験した成分組成の鋼板のみならず、他の成分系の鋼板
でも同様であった。また、フェライト平均結晶粒径を1
μm 以下にすることにより、諸特性が更に向上した。し
たがって、この発明では、平均のフェライト粒径を2μ
m 未満、フェライト粒のアスペクト比を1.5 未満に限定
する。なお、平均フェライト粒径が2μm 未満のものに
ついて、第2相の粒径を調査したところ、全てdm/dsは
0.5 超〜2未満の範囲内であった。
【0015】この発明のフェライトを主相とする鋼板
は、平均のフェライト粒径dm(μm )と第2相の平均結
晶粒径ds(μm )とが、次式 0.3 <dm/ds<3 を満たすことが、より好適である。これは、主相のフェ
ライトと第2相の結晶とで、結晶粒径に大きな差が生じ
ると、機械的特性が劣化するおそれがあるためである。
これは、結晶粒径の差が大きい場合、加工時の変形が不
均一になるためと考えられる。発明者らが主相と第2相
との結晶粒径の比の好適範囲について検討した結果、0.
3 より大きく、3より小さい場合に機械的特性が良好で
あり、均一な変形が生じることが分かった。より好適に
は、0.5 <dm/ds<2の範囲である。
【0016】また、この発明の鋼板は、第2相に関し
て、直近の第2相粒子相互の間隔が該第2相の結晶粒半
径の2倍未満となる割合が10%未満になる第2相を有す
る超微細粒を有することは、好適である。発明者らが第
2相の分布状態について種々検討した結果、第2相がバ
ンド状もしくは列状(層状)に分布していると機械的特
性、特に伸びフランジ性において十分な改善が得られな
いため、第2相の密集なく、第2相同士が比較的孤立し
て存在する、いわゆる島状の分布形態が望ましいことが
分かった。このように島状に分布した形態を示す評価手
段として、第2相に関して、直近の第2相粒子相互の間
隔が該第2相の結晶粒半径の2倍未満となる割合が10%
未満であれば、特性が向上する。なお、第2相の全体に
対する体積率は3〜30%の範囲が好ましい。
【0017】この発明の鋼板の好適成分組成範囲は次の
とおりである。 (C:0.01〜0.3 wt%〔但し、0.01wt%は除く〕) Cは、安価な強化成分であり、所望の鋼板強度に応じて
必要量を含有させる。C量が0.01wt%に満たないと、結
晶粒が粗大化し、この発明で目的とするフェライト平均
結晶粒径2μm 以下が達成できず、また、0.3 wt%を超
えるような多量の添加では、加工性が劣化するとともに
溶接性も劣化するので、Cは0.01〜0.3wt%(但し、0.0
1wt%は除く)の範囲に限定した。なお、フェライト単
相又は第2相として少量(10%以下)のセメンタイトも
しくはパーライトを含有する組織である場合には、Cは
0.01〜0.1 wt%(但し、0.01wt%は除く)程度とするの
が好ましい。
【0018】(Si:3.0 wt%以下)Siは、固溶強化成分
として強度−伸びバランスを改善しつつ強度上昇に有効
に寄与し、また、フェライト変態を抑制して、所望の第
2相体積率を持つ組織を得る上で有効に作用するが、過
剰な添加は、延性や表面性状を劣化させるために上限を
3.0 wt%程度とする。より好ましくは、0.05〜2.0 wt%
の範囲である。なお、フェライト単相又は第2相として
少量(10%以下)のセメンタイトもしくはパーライトを
含有する組織である場合には、Siは1.0 wt%以下とする
のが好ましい。
【0019】(Mn:3.0 wt%以下)Mnは、Ar3 変態点を
低下させる作用を通じて結晶粒の微細化に寄与し、ま
た、第2相のマルテンサイト化及び残留オーステナイト
相化を進展させる作用を通じて、強度−延性バランス、
強度−疲労強度延性バランスを高める作用を有する。更
に、有害な固溶SをMnS として無害化する作用を有する
が、あまりに多量の添加は鋼が硬化してかえって強度−
延性バランスを劣化させるので上限を3.0 wt%とする。
第2相としてマルテンサイト、ベイナイト、パーライ
ト、残留オーステナイト及び針状フェライトの1種又は
2種以上を含有する組織になる場合は、かかるの組織を
得るために0.5 wt%以上を含有させるのが好ましい。よ
り好ましくは、1.0 〜2.0 wt%の範囲である。また、フ
ェライト単相又は第2相として少量(10%以下)のセメ
ンタイトもしくはパーライトを含有する組織になる場合
には、Mnは2.0 wt%以下、より好ましくは0.1 〜1.0 wt
%とするのが好適である。
【0020】(P:0.5 wt%以下)Pも鋼の強化成分と
して有用であるため、所望の鋼板強度に応じて添加させ
ることができるが、過剰の添加は、粒界に偏析し、脆性
劣化の原因となるため、上限は0.5 wt%とする。より好
ましくは0.005 〜0.2 wt%の範囲である。
【0021】Ti、Nb、V、Moは、炭窒化物を形成して結
晶粒を微細化するため、2μm 以下という超微細な組織
を得るこの発明において有用な成分であり、また、析出
強化により強度を向上させる作用もある。したがって、
この発明ではTi、Nb、V及びMoの1種又は2種以上を、
必要に応じて添加する。特にTiは、比較的低い温度でも
炭窒化物を形成し安定して鋼中に存在するため、低温の
スラブ加熱温度においても上記作用を容易に発揮する。
この発明において、これらの作用を発揮させるために
は、0.01wt%以上を含有されるのが好ましく、あまりに
多量の添加では、作用が飽和する他にコストアップの要
因になるので、上限は1.0 wt%、より好ましくは0.5 wt
%以下とする。なお、フェライト単相又は第2相として
少量(10%以下)のセメンタイトもしくはパーライトを
含有する組織である場合には、これらの成分は0.3 wt%
以下、より好ましくは0.1 wt%以下とするのが好適であ
る。
【0022】Cr、Cu、NiもMn同様に強化成分として必要
に応じて含有させることができるが、あまりに多量の添
加ではかえって強度−延性バランスを劣化させるので上
限はCuは3.0 wt%、NiやCrは1.0 wt%程度とする。な
お、その作用効果を十分に発揮させるためには、0.01wt
%程度は含有させるのが好ましい。
【0023】Ca、REM 、Bは、硫化物の形状制御や粒界
強度の上昇を通じて加工性を改善する効果があるため、
必要に応じて含有させることができるが、過剰な添加で
は清浄性や再結晶性に悪影響を及ぼすおそれがあるの
で、50ppm 程度以下が好ましい。なお、Bには、冷延鋼
板を連続焼鈍で得る際に、時効性を低減させる効果もあ
る。
【0024】この発明の鋼板は、上記好適成分組成範囲
でMnを0.5 wt%以上含有させて第2相がマルテンサイ
ト、ベイナイト、残留オーステナイト、パーライト及び
針状フェライトの1種又は2種以上を含有する複合組織
とすることができる。また、これに限らず、フェライト
単相、あるいは第2相として少量のパーライトないしは
セメンタイトを含有する組織の鋼板とすることもでき
る。
【0025】次に、この発明の鋼板の製造方法について
述べる。所定の成分組成範囲に調整した溶鋼を、連続鋳
造又は造塊−分塊圧延により圧延素材とし、この圧延素
材に熱間圧延を施すのであるが、圧延に供する際には、
一旦冷却して1200℃以下に再加熱しても良いし、また、
直送圧延やホットチャージローリング(HCR)でも構
わない。また、薄スラブ連続鋳造法のように、連続鋳造
により鋳造されたスラブを直接熱間圧延しても構わな
い。再加熱する場合は1200℃以下の低温加熱の方が、結
晶粒が粗大化しないので有利である。直送圧延の場合
も、1200℃以下まで冷却後に圧延開始するのが圧延中の
粒成長の抑制の上で望ましい。平均のフェライト粒径dm
(μm )と第2相の平均結晶粒径ds(μm )とが、特に
次式 0.3 <dm/ds<3 を満たすには、スラブ加熱温度は1150℃以下が望まし
い。また、第2相を島状に分散させるには、スラブ加熱
温度は1100℃以下が好ましい。いずれの場合も下限は仕
上圧延温度が確保できれば良く、現状では900 ℃程度で
ある。
【0026】熱間圧延は、この発明の最も重要な点であ
る。すなわち、熱間圧延を動的再結晶域での圧下を5ス
タンド以上の圧下パスにて行うことが、この発明で所期
したフェライト平均結晶粒径2μm 未満、アスペクト比
1.5 未満で、平均のフェライト粒径dm(μm )と第2相
の平均結晶粒径ds(μm )とが、次式 0.3 <dm/ds<3 を満たす超微細粒を有する組織を得るために肝要であ
る。
【0027】かかる動的再結晶域での圧下を加えるに
は、例えば、仕上圧延中の圧延素材の温度低下を極力防
止しながら連続する5スタンド以上で圧下を加えること
が有効であり、その際、その最初のスタンド入側と最後
のスタンド出側の鋼板温度の温度差が60℃以下、より好
ましくは30℃以下にすると良い。なお、連続する5スタ
ンドとは、実際に圧延を行うスタンドを表し、例えば開
放状態で圧下しないスタンドを挟んでも無論問題はな
い。
【0028】後段を含む仕上圧延において動的再結晶域
で圧延を施す場合、良好なアスペクト比を得るために
は、動的再結晶域での圧下は、最終スタンドを含むこと
が好ましい。また、容易に動的再結晶域での圧下を実現
するために、Ar3 変態点直上で、圧下を加えるのが望ま
しい。動的再結晶域で圧延する各スタンドの圧下率は、
大圧下は不要で、むしろ大圧下では結晶粒のアスペクト
比が劣化するので好ましくない。最高でも20%もあれば
良い。なお、圧下率の下限は、動的再結晶が生ずる範囲
であれば、特に限定するものではないが4%以上が好ま
しい。なお、動的再結晶域が、より高温域である場合
は、粗圧延後段から仕上圧延前段にわたり動的再結晶域
圧延を行ってもよい。好ましい圧延条件は、仕上圧延後
段を含む場合と同様である。
【0029】以上のような仕上圧延は、通常の仕上圧延
設備においても熱延時の鋼板及び設備の冷却を極度に低
減することで実施することができるが、仕上圧延スタン
ド間に加熱手段を設置して、被圧延材又はロールを加熱
することは、仕上圧延中の鋼板の温度低下をより簡単に
防止することができる。図2に、かかる加熱手段の一例
を示す。同図(a) 示した例は高周波加熱装置であり、鋼
板に交番磁場を印加することにより、誘導電流を生起さ
せて鋼板を加熱するものである。この発明の加熱手段
は、同図(a) の高周波加熱装置に限らず、同図(b) のよ
うな電熱ヒーター加熱(ロールを加熱する場合を示す)
でもよく、更に、直接通電加熱ヒーターであっても良
い。なお、熱間圧延時においては、潤滑を施しつつ圧下
を行ってもよいことは、いうまでもない。
【0030】上記のような仕上圧延を経た鋼板は、巻き
取ってコイルとする。巻取温度や巻取後の冷却速度は特
に限定するものではなく、製造しようとする鋼板に応じ
て、適宜定める。DP鋼、TRIP鋼のような複合組織
鋼板の場合は、冷却曲線上のフェライト領域のノーズを
経て、それぞれのマルテンサイやベイナイト領域に急冷
を行い、巻き取るような条件で所望の複合組織が得られ
るし、フェライト単相又は第2相として少量のパーライ
トないしはセメンタイトを含有する組織になる鋼板は、
第2相組織が生成する冷却曲線を回避するような圧延、
巻取り及び冷却を行えばよい。また、直近の第2相粒子
相互の間隔が該第2相の結晶粒半径の2倍未満となる割
合が10%未満になる、島状に分布した第2相を有する組
織を得るには、スラブ加熱温度を1100℃以下とし、仕上
圧延直後に冷却を施し、30℃/s以上の冷却速度で冷却す
ることが望ましい。なお、仕上圧延後、直ちに冷却を行
う直近急冷を行うことは、結晶粒の粗大化が防止できる
ので、超微細粒を得るこの発明の鋼板を得るために、よ
り好ましい。好ましい急冷条件は、圧延後0.5 秒以内に
30℃/s以上で冷却することである。
【0031】この発明のフェライト粒径、アスペクト比
を満足する鋼板は、熱延鋼板として種々の用途に用いら
れるほか、冷延鋼板用の母材としても適用することがで
きる。結晶粒が微細で、しかも均質なため、特に加工用
冷延鋼板用などとして好適であり、優れたr値の鋼板が
得られる。
【0032】かかる加工用冷延鋼板を製造するには、圧
下率50〜90%での冷延、600 〜Ac3変態点での焼鈍を行
う。圧下率が50%未満では、良好な加工性が得られず、
90%を超える圧下を加えても特性が飽和する。焼鈍温度
が600 ℃に満たない場合及びAc3 点変態点を超える場合
のいずれも、良好な加工性が得られない。焼鈍後に急冷
してから過時効処理を行ってもよい。また、連続焼鈍の
みならず、コイルに巻き取って、箱焼鈍にする方法でも
良い。
【0033】
【実施例】(実施例1)表1に示す成分組成になる鋼素
材に、表2に示す種々の条件で加熱、熱間圧延を行って
熱延鋼板を得た。各鋼板は、仕上圧延後、0.3 秒以内に
50℃/sで冷却を開始した。また、鋼種Bについては、潤
滑圧延を施した。これらの鋼板の機械的特性について調
べた結果を表3示す。また、これらの熱延鋼板を母材と
して、表4に示す冷延圧下率、焼鈍温度で冷間圧延及び
焼鈍を行って冷延鋼板を得た。これらの冷延鋼板の機械
的特性を表4に併記する。なお、この発明の熱延鋼板
は、いずれも40kgf/mm2 以上の引張強度を有していた。
表3から明らかなように、この発明に従い平均フェライ
ト粒径が2μm 未満の発明鋼は、比較鋼と比べて強度−
伸びバランス、耐久比、じん性に優れ、かつ、異方性が
小さく、良好なBH量を有している。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】(実施例2)C:0.06wt%、Si:0.9 wt
%、Mn:1.3 wt%、P:0.01wt%、でSを0.0008〜0.00
6 wt%の範囲で種々に変化させた試料を用いて、平均結
晶粒径7μm (6.0 〜8.0 μm )と、2μm 未満(0.7
〜1.0 μm )の熱延鋼板を作製した。なお、この鋼板の
第2相としてはパーライトが生成し、フェライトとパー
ライトとの平均結晶粒径の比は平均結晶粒径が2 μm 未
満の場合で0.5 〜2、平均結晶粒径が7 mmの場合で0.1
〜4であった。平均結晶粒径が2μm 未満の熱延鋼板
は、この発明に従う方法により製造したものであり、ス
ラブ加熱温度などを制御して、第2相粒の分布を、直近
の第2相粒子相互間の間隔が第2相の結晶粒半径の2倍
未満となる割合で10%未満としたグループと、10〜30%
としたグループを得た。これらの鋼板につき、図3に示
すように鋼板を20mmφ径(d0 )で打ち抜き後、円錐形
パンチ(頂角60°)で拡げ、鋼板にクラックが発生する
までの穴拡げ率(d−d0 )/d0 )を測定した。その
結果を図4に示す。同図の曲線Aはフェライトの平均結
晶粒径が2μm 未満、アスペクト比が1.3 、dm/ds が1.
8 、直近の第2相粒子相互の間隔が該第2相の結晶粒半
径の2倍未満となる割合が10%以下(平均8%)のグル
ープを示している。また、曲線Bはフェライトの結晶粒
径が2μm 未満、アスペクト比が1.3 、dm/ds が1.8 、
直近の第2相粒子相互の間隔が該第2相の結晶粒半径の
2倍未満となる割合が10〜30%(平均23%)のグループ
を示している。更に、曲線Cはフェライトの平均結晶粒
径が7μm 、アスペクト比が2.5 のグループを示してい
る。曲線A,Bで示されるグループがこの発明の熱延鋼
板であり、曲線Cで示されるグループが比較の熱延鋼板
である。同図から、この発明に従う熱延鋼板は、良好な
穴拡げ率が得られ、特にS量を0.002 wt%以下に軽減し
た場合に優れた特性が得られた。また、第2相を島状に
分布させることにより、穴拡げ率は更に向上した。した
がって、この発明に従う熱延鋼板は、自動車のホイール
など、穴拡げ性が要求される用途にも好適である。
【0039】(実施例3)表5に示す成分組成になる鋼
素材に、表6に示す種々の条件で加熱、熱間圧延を行っ
て熱延鋼板を得た。ここで、動的再結晶域圧延は、粗圧
延後段から仕上げ圧延前段にかけて施した。各鋼板は、
仕上圧延後、0.3 秒以内に50℃/sで冷却を開始した。ま
た、鋼種C(番号6、7)については、潤滑圧延を施し
た。これらの鋼板の機械的特性について調べた結果を表
7に示す。また、鋼種B(番号4,5)及び鋼種D(番
号8,9)の、得られた熱延鋼板を母材として、冷延圧
下率75%、焼鈍温度750 ℃で冷間圧延及び焼鈍を行って
冷延鋼板を得た。これらの冷延鋼板の機械的特性を表7
に併記する。なお、番号8(鋼種D)については1000℃
で加熱し、800 ℃で圧下率80%の圧下を行い、次いで60
0 ℃まで一旦放冷してから、再度850 ℃に昇温しこの85
0 ℃で圧下率90%の圧下を施した後、放冷した。これら
の鋼において、第2相の体積率は3〜30%であった。表
7から明らかなように、この発明に従い平均フェライト
粒径が2μm 未満の発明鋼は、比較鋼と比べて強度−伸
びバランス、耐久比、じん性に優れ、、特に、主相の平
均粒径と第2相の平均粒径との比dm/dsを0.3 超〜3未
満に制御した鋼は、更に耐久比、じん性に優れ、かつ異
方性が小さく、良好なBH量を有している。
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【0043】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、40kgf/mm2
以上の低炭素熱延鋼板において、良好な機械的特性を異
方性なくして得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱延鋼板のフェライト平均粒径と機械的性質と
の関係を示すグラフである。
【図2】仕上圧延設備における鋼板加熱手段を示す図で
ある。
【図3】穴拡げ率の測定法を説明する図である。
【図4】鋼板のS量と穴拡げ率との関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 ロールスタンド 2 圧下ロール 3 バックアップロール 4 被圧延材 5 高周波加熱装置 6 ヒーター加熱装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 進 東京都千代田区内幸町2丁目2番3号 川崎製鉄株式会社 東京本社内 (56)参考文献 特開 平8−225883(JP,A) 特開 平10−8138(JP,A) 特開 平11−92864(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 301 C22C 38/58 C21D 8/02 C21D 9/46

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.01〜0.3 wt%(但し、0.01wt%は
    除く)、Si:3.0 wt%以下、Mn:3.0 wt%以下、P:0.
    5 wt%以下を含み、かつ、Ti:0〜1.0 wt%、Nb:0〜
    1.0 wt%、V:0〜1.0 wt%、Cr:0〜1.0 wt%、Cu:
    0〜3.0 wt%、Mo:0〜1.0 wt%、Ni:0〜1.0 wt%、
    の1種又は2種以上、Ca、REM 、Bの1種又は2種以上
    を合計で0〜0.005 wt%を含有し、残部は実質的に鉄の
    組成からなり、フェライトの体積分率が50%以上であ
    り、該フェライトの平均粒径が2μm未満、該フェライ
    ト粒のアスペクト比が1.5 未満であることを特徴とす
    る、超微細粒を有する加工用熱延鋼板。
  2. 【請求項2】 C:0.01〜0.3 wt%(但し、0.01wt%は
    除く)、Si:3.0 wt%以下、Mn:0.5 〜3.0 wt%、P:
    0.5 wt%以下を含み、かつ、Ti:0〜1.0 wt%、Nb:0
    〜1.0 wt%、V:0〜1.0 wt%、Cr:0〜1.0 wt%、C
    u:0〜3.0 wt%、Mo:0〜1.0 wt%、Ni:0〜1.0 wt
    %、の1種又は2種以上、Ca、REM 、Bの1種又は2種
    以上を合計で0〜0.005 wt%を含有し、残部は実質的に
    鉄の組成からなり、フェライトの体積分率が50%以上で
    あり、第2相としてマルテンサイト、ベイナイト、残留
    オーステナイト、パーライト及び針状フェライトの1種
    又は2種以上を含有する組織になり、該フェライトの平
    均粒径が2μm 未満、該フェライト粒のアスペクト比が
    1.5 未満であることを特徴とする、超微細粒を有する加
    工用熱延鋼板。
  3. 【請求項3】 C:0.01〜0.1 wt%(但し、0.01wt%は
    除く)、Si:1.0 wt%以下、Mn:2.0 wt%以下、P:0.
    5 wt%以下を含み、かつ、Ti:0〜0.3 wt%、Nb:0〜
    0.3 wt%、V:0〜0.3 wt%、Cr:0〜1.0 wt%、Cu:
    0〜3.0 wt%、Mo:0〜0.3 wt%、Ni:0〜1.0 wt%、
    の1種又は2種以上、Ca、REM 、Bの1種又は2種以上
    を合計で0〜0.005 wt%を含有し、残部は実質的に鉄の
    組成からなり、フェライトの体積分率が50%以上であ
    り、フェライト単相又は第2相として体積分率で10%以
    下のセメンタイトないしはパーライトを含有する組織に
    なり、該フェライトの平均粒径が2μm 未満、該フェラ
    イト粒のアスペクト比が1.5 未満であることを特徴とす
    る、超微細粒を有する加工用熱延鋼板。
  4. 【請求項4】 平均のフェライト粒径dm(μm )と第2
    相の平均結晶粒径ds(μm )とが、次式 0.3 <dm/ds<3 を満たす、請求項2又は3記載の超微細粒を有する加工
    用熱延鋼板。
  5. 【請求項5】 直近の第2相粒子相互の間隔が該第2相
    の結晶粒半径の2倍未満となる割合が10%未満になる第
    2相を有する、請求項4に記載の超微細粒を有する加工
    用熱延鋼板。
  6. 【請求項6】 焼付硬化量が 100 MPa以上である請求項
    1〜5のいずれか1項に記載の超微細粒を有する加工用
    熱延鋼板。
  7. 【請求項7】 C:0.01〜0.3 wt%(但し、0.01wt%は
    除く)、Si:3.0 wt%以下、Mn:3.0 wt%以下、P:0.
    5 wt%以下を含み、かつ、Ti:0〜1.0 wt%、Nb:0〜
    1.0 wt%、V:0〜1.0 wt%、Cr:0〜1.0 wt%、Cu:
    0〜3.0 wt%、Mo:0〜1.0 wt%、Ni:0〜1.0 wt%、
    の1種又は2種以上、Ca、REM 、Bの1種又は2種以上
    を合計で0〜0.005 wt%を含有し、残部は実質的に鉄か
    らなる組成に調整した溶鋼を、連続鋳造又は造塊−分塊
    圧延により圧延素材とし、直ちに又は一旦冷却して1200
    ℃以下に加熱して熱間圧延を施す際、動的再結晶域での
    圧下を5スタンド以上の圧下パスにて行い、かつ、この
    動的再結晶域で圧下を加える最初のスタンド入側と最後
    のスタンド出側の鋼板温度の温度差を60℃以下にするこ
    とを特徴とする超微細粒を有する加工用熱延鋼板の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 動的再結晶域で圧下する各スタンドの圧
    下率が20%以下である請求項7記載の超微細粒を有する
    加工用熱延鋼板の製造方法。
  9. 【請求項9】 熱延鋼板用素材を溶製し、仕上圧延設備
    のロールスタンド間に設けた加熱手段によりロール又は
    鋼板の加熱を行う請求項7又は8記載の加工用熱延鋼板
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜5のいずれか1項に記載さ
    れた組織及び組成を有する超微細粒を有する冷延鋼板用
    母材。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の冷延鋼板用母材に、
    圧下率50〜90%の冷間圧延、次いで600 ℃〜Ac3 変態点
    での焼鈍を施す冷延鋼板の製造方法。
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