JP3741995B2 - 半導体装置の樹脂封止後におけるタイバーの除去装置及び方法、並びに半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の樹脂封止後に行われるタイバーの除去装置及び方法に関する。本発明はまた半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9(a),(b)はそれぞれ、樹脂モールド工程後の半導体装置を示す断面図及び平面図を示す。半導体装置のリードフレームLは、樹脂モールド工程において樹脂パッケージ2により封止される。リードフレームLのリード3間にはタイバー4が形成されており、樹脂モールド時に樹脂がリードフレームLの周囲に流出するのを食い止めるようになっている。符号5は、タイバー4により流出が食い止められた樹脂ダムを表す。
【0003】
タイバー4及び樹脂ダム5は、典型的に、以下のようにして切断除去される。すなわち、まず、樹脂モールド工程後のリードフレームLをダイ上に位置決めした状態で配置する。ダイ上面には、内面が切断刃を構成する複数の凹部が形成されており、これら凹部は、切断したカスを逃がす排出孔に連通するとともに、リードフレームLが位置決めされた状態でタイバー4及び樹脂ダム5に対向するように配置されている。続いて、リードフレームL上方から、上記凹部に嵌挿可能な複数の切断刃を備えたパンチを下降させ、リードフレームLをダイとパンチで挟圧しながらダイの凹部にパンチの切断刃を挿入することにより、タイバー4及び樹脂ダム5を切断し切断カスを除去する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、切断工程後にパンチを上昇させる際に切断カスが切断刃とともに持ち上がり、リード3間に切断カスが挟まることがあった。この場合、リード3間でショートし不良品を生じる問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、リードフレームに切断カスが残らないようにタイバーを切断除去するためのタイバー除去装置及び方法を提供することを目的とする。
【0006】
本発明はまた、タイバーを確実に除去することのできる半導体装置製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係るタイバー除去装置は、
半導体素子を樹脂封止した後にリードフレームのタイバーを除去する装置において、該装置は第1及び第2の除去部を備える。第1の除去部は、リードフレームを挟持すべく対向して配設された第1及び第2の支持部材と、第1の支持部材に対し往復動可能に第1の支持部材に支持されたタイバーカットパンチとを備える。タイバーカットパンチ及び第2の支持部材にはそれぞれ刃部が設けてあり、リードフレームを所定の位置に位置決めして第1及び第2の支持部材によりリードフレームを挟持した状態で前記刃部を互いに歯合させることにより、タイバーを所定の寸法に除去するようになっている。第2の除去部は、リードフレームを挟持すべく対向して配設された第3及び第4の支持部材と、第1の除去部におけるタイバーの除去後にリードフレームに残ったカスを除去するために、第3の支持部材に対し往復動可能に第3の支持部材に支持されたカス除去パンチとを備える。カス除去パンチ及び第4の支持部材にはそれぞれ突起部及び孔が設けてあり、前記カス除去パンチの突起部の先端は、前記タイバーカットパンチの刃部よりも幅が狭くなっており、リードフレームを所定の位置に位置決めして第3及び第4の支持部材によりリードフレームを挟持した状態で、カス除去パンチを第4の支持部材に対し、前記カス除去パンチの突起部を第4の支持部材に設けた孔に嵌挿するように移動し、これによりリードフレームからカスを孔に押し出して除去する。
【0008】
本除去装置によれば、第1の除去部でタイバー(及び樹脂ダム)を除去した後で、第2の除去部でリード間に挟まった切断カスを除去するので、タイバー(及び樹脂ダム)を確実に除去できる。
【0009】
なお、本発明では上述のようにタイバーとともに樹脂ダムを除去できるが、以下では、説明の簡略化のため樹脂ダムの除去及び樹脂ダムのカスに関しては言及しない。
【0010】
カス除去パンチの突起部は、先端が小さくなるようテーパー状に形成して、突起部の強度を高めてもよい。カス除去パンチの突起部を樹脂で形成して、カス除去時にリードフレームと突起部が干渉しても、リードフレームLに傷を与えるのを防止するようにしてもよい。
【0011】
第2の支持部材には、タイバーカットパンチ及び第2の支持部材の刃部が互いに歯合したときにタイバーカットパンチの刃部に対し気体(例えばエアー)を供給する手段を設けてもよい。これにより、タイバー除去後にパンチを上昇させる際にカスがパンチの刃部とともに持ち上げられるのを抑制することができる。
【0012】
本発明に係るタイバー除去方法は、半導体素子を樹脂封止した後にリードフレームのタイバーを除去する方法において、
リードフレームを支持部材上の所定の位置に位置決めした状態で、タイバーカットパンチを支持部材に対し、タイバーカットパンチに設けた刃部と支持部材に設けた刃部とが互いに歯合するように移動することにより、タイバーを所定の寸法に除去する第1の除去工程と、第1の除去工程後に、リードフレームを第2の支持部材上に位置決めした状態で、前記タイバーカットパンチの刃部よりも幅の狭い先端部を有する突起部を備えたパンチを、前記突起部が前記タイバーカットパンチにより切断した部分を貫通して前記第2の支持部材に設けた孔に嵌挿するように移動する工程とを含むことを特徴とするものである。
【0013】
本除去方法によれば、第1の除去工程でタイバーを除去した後で、第2の除去工程でリード間に挟まった切断カスを除去するので、タイバーを確実に除去できる。
【0014】
前記パンチの突起部は、先端が小さくなるようテーパー状に形成されてもよい。
【0015】
第1の除去工程において、タイバーカットパンチ及び支持部材の刃部が互いに歯合したときにタイバーカットパンチの刃部に対し気体を供給するようにしてもよい。
【0016】
本発明に係る半導体装置製造方法は、リードフレーム上に半導体素子を配設して樹脂封止する工程と、封止工程後にゲート残りを除去する工程と、ゲート残り除去工程後にリードフレームのタイバーを除去する工程を含む。タイバー除去工程は、リードフレームを支持部材上の所定の位置に位置決めした状態で、タイバーカットパンチを支持部材に対し、タイバーカットパンチに設けた刃部と支持部材に設けた刃部とが互いに歯合するように移動することにより、タイバーを所定の寸法に除去する第1の工程と、第1の工程後に、リードフレームを第2の支持部材上に位置決めした状態で、前記タイバーカットパンチの刃部よりも幅の狭い先端部を有する突起部を備えたパンチを、前記突起部が前記タイバーカットパンチにより切断した部分を貫通して前記第2の支持部材に設けた孔に嵌挿するように移動する工程とを含む。前記パンチの突起部は、先端が小さくなるようテーパー状に形成されてもよい。
【0017】
本製造方法によれば、タイバー除去前にゲート残りを予め除去することで、タイバーやカスを除去する際に、ゲート残りの存在により第1及び/又は第2の除去部の各部品が損傷するのが防止され、したがって、高信頼性のタイバー除去を実現できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0019】
図1、2は、本発明に係るタイバー除去装置の一実施形態を示す断面図である。本発明に係るタイバー除去装置は、第1の除去部6と第2の除去部7とからなる。図1に示す第1の除去部6は、樹脂モールド工程後にタイバーを除去するものであり、図2に示す第2の除去部7は、第1の除去部6によりタイバー除去を行った後にリード間に詰まった切断カスを除去するためのものである。
【0020】
図1に示す第1の除去部6は、下側ダイセット8を有し、該ダイセット8には上下方向に伸びたガイドポスト9が固定されている。ガイドポスト9には上側ダイセット10が上下動可能に支持されている。
【0021】
下側ダイセット8上にはダイプレート12が固定されている。ダイプレート12には、スペーサ14を介してタイバーカットダイ16が取り外し可能に固定されている。ダイ16は、タイバーを切断する際にリードフレームLを挟持する下側支持部材(第2の支持部材)を構成する。ダイ16が磨耗した場合にダイ16を取り外して研磨し、研磨したダイ16を再使用するために、スペーサ14は、ダイ16の高さが調整できるように研磨した分だけ厚いものと交換される。ダイ16のリードフレーム支持面は、リードフレームLのリードピッチに合わせて凹凸状になっており、凸部でリードフレームを受け、凹部16aの内面が刃部を形成している。凹部16aは、ダイ16下側に形成されたカス排出孔16bに連通した貫通孔を形成している。なお、下側ダイセット8、ダイプレート12、スペーサ14にはそれぞれ、カス排出孔16bに対応して、切断されたタイバーを除去するためのカス排出孔8a、12a、14aが形成されている。
【0022】
上側ダイセット10にはバッキングプレート18が固定されている。バッキングプレート18にはパンチプレート20が固定されている。パンチプレート20には、ストリッパプレート22を上下動可能に支持するための、上下方向に伸びたガイドポスト24が固定されている。ストリッパプレート22には、下面の所定の位置にパイロットピン26を備えたストリッパピース28が固定されている。ストリッパピース28は、タイバーを切断する際にリードフレームLを挟持する上側支持部材(第1の支持部材)を構成する。
【0023】
ストリッパプレート22の上面には、上下方向に伸びたプッシュロッド30の一端が固定されている。プッシュロッド30は、バッキングプレート18及びパンチプレート20を貫通し、その他端が、プッシュロッド30を下側に付勢するために上側ダイセット10内部に設けたコイルばね32に連結されている。なお、符号34は、コイルばね32を上側ダイセット10内に組み込むためのねじを表す。
【0024】
第1の除去部6は、ダイ16の刃部を構成する凹部16aと協働してタイバーを切断除去するためにタイバーカットパンチ36を備えている。タイバーカットパンチ36はダイ16に対向して複数の切断刃(突起部)36aを有し、これら切断刃36aの大きさ・ピッチは、ダイ16の凹部16aに嵌挿可能に設定されている。タイバーカットパンチ36はまた、パンチプレート20によりその上部が保持されるとともに、ストリッパピース28により高精度に位置決めされている。
【0025】
さらに詳しくは、パンチプレート20には、パンチ36上部を組み込む貫通孔が形成されており、パンチ36上端とバッキングプレート18の間にはスペーサ38が設けてある。パンチ36が磨耗した場合にパンチ36を取り外して研磨し、研磨したパンチ36を再使用するために、スペーサ38は、パンチ36の高さが調整できるように研磨した分だけ厚いものと交換される。パンチ36は、ねじ40により締め付けられたパンチ押さえ部材42により、パンチプレート20に取り外し可能に固定されている。
【0026】
パンチ36の切断刃36a間の凹部には、ストリッパピース28に設けたガイド28aが嵌挿されている。これらガイド28aは、後述するようにパンチ36がストリッパピース28に相対的に上下動する際に、パンチ36の切断刃36aが左右にぶれることなく案内されるように高精度に形成されている。
【0027】
ダイ16とストリッパピース28との間には、リードフレームLを第1の除去部6内に案内し、さらに第2の除去部7に搬送するためのガイドレール44が設けてある。ガイドレール44には、ストリッパピース28に設けたパイロットピン26が挿入され、これによりリードフレームLを位置決めするための孔44aが形成されている。ガイドレール44は、ダイ16とストリッパピース28との間にこれらと所定の間隔をあけて配置された図に示す待機位置と、後述するようにストリッパピース28の下降により、ストリッパピース28に押圧されて下降し、ダイ16とストリッパピース28に挟持されるタイバー除去位置との間で上下動できるようになっている。
【0028】
図2に示す第2の除去部7は第1の除去部6に類似しており、したがって同一の部材には同一の符号を付し、ここでは異なる点のみを説明する。第2の除去部7のパンチ(カス除去パンチ)136の突起部136aは、第1の除去部6と同様にダイ116に設けた貫通孔(広義には凹部)116aに嵌挿することができ、これにより、リード間に詰まったカスを押し出して排出孔116bに落とすようになっている。ストリッパピース128は、カスを除去する際にリードフレームLを挟持する上側支持部材(第3の支持部材)を構成し、ダイ116は、カスを除去する際にリードフレームLを挟持する下側支持部材(第4の支持部材)を構成する。なお、第2の除去部7の突起部136a及び貫通孔116aは、第1の除去部6の場合のように刃部を構成する必要はない。突起部136aの断面形状は、第1の除去部6の突起部36a(したがって、突起部36aにより切断されるタイバー部分)と同一形状であってもよいが、リード間に詰まったカスTを押し出すのに十分な大きさであれば、図3(a)に示すように第1の除去部6の突起部36a(したがって、突起部36aにより切断されるタイバー部分)よりも小さくなるように設定してもよい。好ましくは、図3(b)に示すように、突起部136aを根元を太く先端が細くなるようテーパ状に形成し、これにより突起部136aの強度を高めてもよい。加えて、パンチ136(少なくとも突起部136a)を樹脂で形成するのが好ましい。この場合、カスTの除去する際にリードフレームLと突起部136aが干渉しても、リードフレームLに傷を与えることがない。
【0029】
第1の除去部6のパンチ36は、パンチ36の切断刃(突起部)36a間の凹部に嵌挿されたストリッパピース28のガイド28aにより高精度に位置決め・案内される。しかしながら、第2の除去部7のパンチ136は、第1の除去部6に比べて突起部136aの位置決め精度は低くても、リード間に残ったカスを除去することは可能である。したがって、ストリッパピース128にガイド28aのようなものを設けず、図2に示すようにパンチ136の周囲のみをストリッパピース128でガイドするようにしてもよい。この場合、ストリッパピース128の構造を簡素化でき、したがって安価なタイバー除去装置を提供できる利点がある。
【0030】
次に、タイバー除去装置の動作を説明する。図1を参照して、リードフレームLは、ガイドレール44に沿って第1の除去部6のダイ16の上方に搬送される。次に、ガイドポスト9に沿って上側ダイセット10を下降させることにより、ガイドポスト24に沿ってストリッパプレート22及び該プレート22に固定されたストリッパピース28が下降し、ストリッパピース28下面に設けたパイロットピン26がガイドレール44の孔44aを介してリードフレームLに設けられた位置決め孔(図示せず)に挿入されることによりリードフレームLが位置決めされ、この状態にて、ストリッパピース28がガイドレール44を押し下げる。
【0031】
さらに上側ダイセット10を下降させると、ストリッパピース28は、ダイ16に接触し、リードフレームLをダイ16に圧接する。続いて、上側ダイセット10を下降させると、ストリッパピース28はプッシュロッド30を介して圧縮コイルバネ32を押圧し、その反力により、リードフレームLはダイ16へさらに圧接される。上側ダイセット10に固定されたバッキングプレート18に(スペーサ38を介して)底面が当接しているパンチ36は、ストリッパピース28のガイド28aに案内され下降し、ダイ16の刃部16aとタイバ−カットパンチ36の刃部36aとでタイバーを挟圧し切断する。パンチ36の突起部36aがダイ16の凹部16aに嵌挿された状態を図4に示す。切断されたタイバーのカスは、排出孔16b、14a、12a、6aを通り装置外へ排出される。
【0032】
その後、上側ダイセット10を上昇させて、第1の除去部6の各部材に下降時と逆の動作を行わせ、ガイドレール44を待機状態に復帰させる。なお、パンチ36が元の位置へ復帰するための上昇時に、リードフレームLがパンチ36とともに上昇しようとするが、ストリッパピース28により阻止される。
【0033】
リードフレームLのリード間には、第1の除去部6においてパンチ36の刃部36aをダイ16の凹部16aから抜き出す際に、一度切断したタイバーのカスが持ち上がり、カスが挟まっている場合がある。このようなカスを除去するため、本発明では、リードフレームLを、ガイドレール44を介して第2の除去部7に搬送する。
【0034】
第2の除去部7において、リードフレームLは、リードフレームLのリード間のタイバー除去位置が、ダイ116の貫通孔116aの真上になるように待機する(図3参照)。この状態で、第1の除去部6において行ったのとほぼ同一の方法で第2の除去部7の各部材を動作させる。具体的には、パンチ136の突起部136aをダイ116の貫通孔116aに嵌挿させることで、突起部136によりリード間に詰まったカスが貫通孔116a内に押し出され、排出孔116b、14a、12a、6aを通り装置外へ排出される。
【0035】
このように、本実施形態に係るタイバー除去装置によれば、第1の除去部6におけるタイバー除去工程においてリード間に詰まった切断カスを、第2の除去部7において完全に除去することができるので、高品質の半導体装置を提供することができる。
【0036】
以上の説明は本発明の一実施形態に係るもので、本発明は種々改変可能である。例えば、図5に示すように、第1の除去部6におけるダイ216の排出孔216bに通気孔217を設け、ダイ216の凹部にパンチの突起部が嵌挿されたときにパンチの突起部に対し気体、例えばエアーを供給することで、パンチの突起部をダイ216の凹部から抜く際にカスが突起先端に付着したまま持ち上がるのを抑制するようにしてもよい。
【0037】
また、リードフレームLが該フレームLをガイドするガイドレールから離脱した場合にこれを検出する機構を設け、これによりタイバー除去やカス除去動作において、リードフレームLや各除去部の各部材が破損するのを防止するようにしてもよい。図6に示す検出機構の例では、センサ343は、ガイドレール344の溝345の上下に設けた孔347を介して、リードフレームLが溝345から外れていないかを検出する。
【0038】
ところで、樹脂封止後のリードフレームにはゲート残りが存在するために、ゲート残りが存在したままで第1の除去部6を用いてタイバーを除去すると、ゲート残りがダイなどの部品を損傷させる可能性がある。したがって、第1の除去部6でのタイバーカット工程の前にゲートカット工程を行うのが好ましい。
【0039】
図7は、ゲートカット部の一例を示す部分断面図である。このゲートカット部50は、第1の除去部6と類似の構成を有し、類似する部材に対しては図1に表す符号を400番台に置き換えて表す。また、図の例において、ゲートカット部50は、第1及び第2の除去部6、7と協働するように構成されている。すなわち、ガイドレール44に案内されたリボン状のリードフレームLに対し、リードフレーム案内方向に関して上流側から下流側に向けてゲートカット部50、第1の除去部6、第2の除去部7が順次配置されており、ゲートカット部、第1及び第2の除去部6、7に共通した部材である上側ダイセット10を下降させることにより、ゲート残り除去工程、タイバー除去工程、及びカス除去工程が、各除去部50、6、7の所定位置に配置されたリードフレーム部分に対して同時に行われるようになっている。
【0040】
具体的に、リードフレームLのゲート残りGに対向した突起部52aを備えたリフター52が、下側ダイセット408、ダイプレート412、及びダイ416の設けた孔の内部に配置したコイルばね54の一端に連結され上方に付勢されている。なお、符号56は、コイルばね54を上記孔に組み込むためのねじを表す。
【0041】
ストリッパピース428は、ガイドレール44に沿って案内されたリードフレームLを挟んでリフター52の突起部52aの反対側に突起部428bを有する。この突起部428bは、ストリッパピース428が下降してリードフレームLのゲート残りGの反対面を支持し、この状態でさらに下降してリフター52の突起部52aと協働してゲート残りGを挟圧し、ゲート残りGを切断・除去するためのものである。
【0042】
プレート420には押下げピン58が固定されている。押下げピン58はまた、ストリッパプレート422及びストリッパピース428に設けられた貫通孔に上下動可能に嵌挿されいる。リフター52の上面52bは、押下げピン58の下面58aに対向しており、押下げピン58が下降する際に押下げピン58と接触することができる。なお、図では理解のし易さのため、リードフレームLを横切るように押下げピン58とリフター52が対向して示されているが、実際には、押下げピン58は下降の際にリードフレームLと干渉しないように構成されている。
【0043】
ストリッパプレート422の最下面422aは、ストリッパピース428の下面428aと略等しい高さに設定されている。ダイプレート412の最上面412aは、ばね54に付勢されて最上部に位置するリフター52の突起部52a先端と略等しい高さに設定されている。
【0044】
次に、ゲートカット部50の動作を説明する。リードフレームLは、ガイドレール44に沿ってゲートカット部50のダイ416の上方に搬送される。次に、ガイドポスト(図示せず)に沿って上側ダイセット(図示せず)を下降させることにより、ガイドポストに沿ってストリッパプレート422及び該プレート422に固定されたストリッパピース428が下降し、ストリッパピース428下面に設けたパイロットピン426がガイドレール44の孔(図示せず)を介してリードフレームLに設けられた位置決め孔(図示せず)に挿入されることによりリードフレームLが位置決めされる。このとき、図8(a)に示すように、ストリッパプレート422はダイプレート412と接触して停止し、他方、ゲート残りGは、ストリッパピース428の突起部428bとリフター52の突起部52aにより挟圧されて切断・除去される。このとき、第1及び第2の除去部6、7ではタイバー及びカスの除去は行われていない。
【0045】
その後、さらに上側ダイセットを下降させると、該ダイセットに固定されたプレート420の下降により、押下げピン58は、ストリッパプレート422及びストリッパピース428に形成した貫通孔を下側方向に案内される。そして、図8(b)に示すように、押下げピン58はリフター52に接触し、リフター52をばね54の付勢力に抗して下方に押し込み、リフター52の突起部52aをリードフレームLから離間させる。
【0046】
さらにリフター52の突起部52aを十分に押下げた状態(すなわち、突起部52aとリードフレームLとが接触しない状態)で、第1及び第2の除去部6、7に配置されたリードフレームL部分に対しタイバーの除去とカスの除去が行われる。このような昇降可能なゲートカット手段を用いることにより、高信頼性且つ高効率で、ゲート残り除去、タイバー除去、及びカス除去を行うことができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、半導体製造工程において樹脂封止後にタイバーを確実に除去することができるので、歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るタイバー除去装置の第1の除去部を示す断面図。
【図2】 本発明に係るタイバー除去装置の第2の除去部を示す断面図。
【図3】 (a)第2の除去部のパンチ突起部を示す拡大断面図。(b)第2の除去部のパンチ突起部の変形例を示す拡大断面図。
【図4】 第1の除去部において、タイバーカットパンチの突起部がダイの凹部に嵌挿された状態を示す図。
【図5】 第1の除去部のダイの別の実施形態を示す断面図。
【図6】 リードフレーム離脱検出機構の一例を示す断面図。
【図7】 ゲート残り除去を行う機構の一例を示す断面図。
【図8】 (a)図7の機構によるゲート残り切断中を示す部分断面図。(b)図7の機構によるゲート残り切断後を示す部分断面図。
【図9】 (a)樹脂モールド工程後の半導体装置を示す側面図。(b)樹脂モールド工程後の半導体装置を示す平面図。
【符号の説明】
6:第1の除去部、7:第2の除去部、16:ダイ、16a:凹部(刃部)、28:ストリッパピース、36:タイバーカットパンチ、36a:突起部(刃部)、116:ダイ、116a:貫通孔、128:ストリッパピース、136:カス除去パンチ、136a:突起部。
Claims (9)
- 半導体素子を樹脂封止した後にリードフレームのタイバーを除去する装置において、該装置は第1及び第2の除去部を備え、
前記第1の除去部は、
リードフレームを挟持すべく対向して配設された第1及び第2の支持部材と、
第1の支持部材に対し往復動可能に第1の支持部材に支持されたタイバーカットパンチとを備え、
タイバーカットパンチ及び第2の支持部材にはそれぞれ刃部が設けてあり、リードフレームを所定の位置に位置決めして第1及び第2の支持部材によりリードフレームを挟持した状態で前記刃部を互いに歯合させることにより、タイバーを所定の寸法に除去するようになっており、
前記第2の除去部は、
リードフレームを挟持すべく対向して配設された第3及び第4の支持部材と、
第1の除去部におけるタイバーの除去後にリードフレームに残ったカスを除去するために、第3の支持部材に対し往復動可能に第3の支持部材に支持されたカス除去パンチとを備え、
カス除去パンチ及び第4の支持部材にはそれぞれ突起部及び孔が設けてあり、前記カス除去パンチの突起部の先端は、前記タイバーカットパンチの刃部よりも幅が狭くなっており、リードフレームを所定の位置に位置決めして第3及び第4の支持部材によりリードフレームを挟持した状態で、カス除去パンチを前記第4の支持部材に対し、前記カス除去パンチの突起部を前記第4の支持部材に設けた孔に嵌挿するように移動し、これによりリードフレームからカスを孔に押し出して除去すること特徴とするタイバー除去装置。 - 前記カス除去パンチの突起部は、先端が小さくなるようテーパー状に形成されることを特徴とする請求項1記載の除去装置。
- 前記カス除去パンチの突起部は、樹脂で形成されることを特徴とする請求項1記載の除去装置。
- 前記第2の支持部材には、タイバーカットパンチ及び第2の支持部材の刃部が互いに歯合したときにタイバーカットパンチの刃部に対し気体を供給する手段が設けられることを特徴とする請求項1記載の除去装置。
- 半導体素子を樹脂封止した後にリードフレームのタイバーを除去する方法において、
リードフレームを支持部材上の所定の位置に位置決めした状態で、タイバーカットパンチを前記支持部材に対し、タイバーカットパンチに設けた刃部と前記支持部材に設けた刃部とが互いに歯合するように移動することにより、タイバーを所定の寸法に除去する第1の除去工程と、
第1の除去工程後に、リードフレームを第2の支持部材上に位置決めした状態で、前記タイバーカットパンチの刃部よりも幅の狭い先端部を有する突起部を備えたパンチを、前記突起部が前記タイバーカットパンチにより切断した部分を貫通して前記第2の支持部材に設けた孔に嵌挿するように移動する工程とを含むタイバー除去方法。 - 前記パンチの突起部は、先端が小さくなるようテーパー状に形成されることを特徴とする請求項5記載の除去方法。
- 前記第1の除去工程において、タイバーカットパンチ及び前記支持部材の刃部が互いに歯合したときにタイバーカットパンチの刃部に対し気体を供給することを特徴とする請求項5記載の除去方法。
- 半導体装置の製造方法において、
リードフレーム上に半導体素子を配設して樹脂封止する工程と、
前記封止工程後にゲート残りを除去する工程と、
前記ゲート残り除去工程後にリードフレームのタイバーを除去する工程を含み、
前記タイバー除去工程は、
リードフレームを支持部材上の所定の位置に位置決めした状態で、タイバーカットパンチを前記支持部材に対し、タイバーカットパンチに設けた刃部と前記支持部材に設けた刃部とが互いに歯合するように移動することにより、タイバーを所定の寸法に除去する第1の工程と、
第1の工程後に、リードフレームを第2の支持部材上に位置決めした状態で、前記タイバーカットパンチの刃部よりも幅の狭い先端部を有する突起部を備えたパンチを、前記突起部が前記タイバーカットパンチにより切断した部分を貫通して前記第2の支持部材に設けた孔に嵌挿するように移動する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記パンチの突起部は、先端が小さくなるようテーパー状に形成されることを特徴とする請求項8記載の半導体装置の製造方法。
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