JP7352822B2 - ゲートブレイク方法及びゲートブレイク装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ゲートブレイク方法及びゲートブレイク装置に関するものである。
半導体パッケージの製造においては、リードフレーム等の基材に載置された半導体素子を樹脂封止した樹脂封止成形品からカルやランナー等の不要樹脂を除去している。樹脂封止成形品から不要樹脂を除去する方法としては、例えば特許文献1に記載されたリードフレームのディゲート方法がある。
このディゲート方法では、ランナー樹脂路及びゲート路に対応する位置に切欠孔を形成したリードフレームを用いて、樹脂封止をした後、ランナー樹脂路及びゲート路内で硬化した樹脂を、切欠孔を通るパンチ等で打ち抜いてリードフレームから除去する。
これにより、リードフレームからランナー及びゲート樹脂を除去することを容易に行うことができ、ディゲート(ゲートブレイク)の際にリードフレームが変形したり、リードフレームに樹脂が残ったりするという問題を解消できるというものである。
特開平5-315514号公報
しかしながら、特許文献1に記載のディゲート方法には、次のような課題があった。
すなわち、近年においては、半導体パッケージの薄型化や小型化により、使用されるリードフレーム等の基材の高密度化(ハイデンシティ化)が進んでいる。
また、基材の高密度化に伴い、樹脂封止成形品に形成されるランナーの数も増加して高密度化しており、更にはランナーの長さも長くなってきている。
そして、特許文献1に記載のディゲート方法では、ランナーの全部が一度に打ち抜かれるため、ランナーを打ち抜く際に機器にかかる負荷が増々大きくなっている。
このことから、各ランナーを安定的に打ち抜くことが難しくなっており、製品にゲート残りが生じたり製品欠けが生じたりして、製品不良に繋がるという問題があった。
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、半導体パッケージの製造において、樹脂封止成形品から、カルやランナー等の不要樹脂を除去するゲートブレイクを行う際に、発生する負荷を軽減して安定的に打ち抜くことができるゲートブレイク方法及びゲートブレイク装置を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために本発明は、基材に載置された半導体素子を樹脂封止した樹脂封止成形品から、押圧体によって打ち抜き位置で、カル及びランナーを含む不要樹脂を打ち抜いて分離するゲートブレイク方法であって、前記カルの配列方向において、前記カルを介して互いに繋がれた複数の前記ランナーの全てを含む領域に応じて、異なるタイミングで打ち抜く工程を備えるゲートブレイク方法である。
本発明のゲートブレイク方法では、カルの配列方向における領域に応じて、不要樹脂を異なるタイミングで打ち抜く。これによれば、不要樹脂を打ち抜く際に発生する負荷が、各領域のランナーを打ち抜くタイミングごとに分散され、一度に集中することを抑止できる。これにより、負荷が軽減され、安定的に打ち抜くことができる。
また、各領域は、カルを介して互いに繋がれた複数のランナーを全てまとめて打ち抜くので、打ち抜く回数を抑制することができ、作業効率にも優れる。
(2)本発明のゲートブレイク方法は、前記ランナーが延びる方向において、異なるタイミングで打ち抜くようにすることもできる。
この場合は、ランナーが延びる方向において、異なるタイミングで打ち抜くので、各ランナーを打ち抜く際に発生する負荷が、各ランナーが延びる方向において、打ち抜くタイミングごとに分散され、一度に集中することを抑止できる。
(3)上記の目的を達成するために本発明は、基材に載置された半導体素子を樹脂封止した樹脂封止成形品を保持する成形品保持部と、前記成形品保持部で保持された前記樹脂封止成形品から、カル及びランナーを含む不要樹脂を打ち抜く打ち抜き部と、を備えるゲートブレイク装置であって、前記打ち抜き部は、前記カルを介して互いに繋がれた複数の前記ランナーの全てを含む第1の領域を打ち抜く第1の打ち抜き部と、前記カルの配列方向における位置が前記第1の領域とは異なり、前記カルを介して互いに繋がれた複数の前記ランナーの全てを含む第2の領域を、前記第1の打ち抜き部とは異なるタイミングで打ち抜く第2の打ち抜き部と、を有するゲートブレイク装置である。
本発明のゲートブレイク装置によれば、第1の打ち抜き部によって、第1の領域を打ち抜くことができる。また、第2の打ち抜き部によって、カルの配列方向における位置が第1の領域とは異なる第2の領域を、第1の打ち抜き部とは異なるタイミングで打ち抜くことができる。
このように、打ち抜き部が第1の領域と第2の領域を異なるタイミングで打ち抜くので、カルの配列方向において、ランナーを打ち抜く際に発生する負荷が、第1の領域を打ち抜くタイミングと第2の領域を打ち抜くタイミングで分散され、一度に集中することを抑止できる。
また、第1の打ち抜き部が、カルを介して互いに繋がれた複数のランナーの全てを含む第1の領域を打ち抜くので、打ち抜く回数を抑制することができ、作業効率にも優れる。同様に、第2の打ち抜き部が、カルを介して互いに繋がれた複数のランナーの全てを含む第2の領域を打ち抜くので、打ち抜く回数を抑制することができ、作業効率にも優れる。
(4)本発明のゲートブレイク装置は、前記打ち抜き部は、前記成形品保持部へ向けて進退動が可能であると共に、前記第1の打ち抜き部及び前記第2の打ち抜き部が固定された移動体を有し、前記第1の打ち抜き部の先端部は、前記移動体の移動方向において、前記第2の打ち抜き部の先端部よりも前記成形品保持部に近いところに位置する構成とすることもできる。
この場合は、移動体を成形品保持部へ向かって移動させると、まず、第1の打ち抜き部が、成形品保持部に保持された樹脂封止成形品の第1の領域を打ち抜く。続いて、第2の打ち抜き部が、成形品保持部に保持された樹脂封止成形品の第2の領域を打ち抜く。このように、移動体を成形品保持部へ向かって移動させることで、第1の領域と第2の領域を異なるタイミングで打ち抜くことができる。
(5)本発明のゲートブレイク装置は、前記第1の打ち抜き部は、前記第1の領域に設けてある打ち抜き位置に対応して複数設けられ、前記不要樹脂を押圧する第1の押圧体を有しており、前記各第1の押圧体は、前記押圧する方向における先端部から前記成形品保持部までの距離を前記ランナーが延びる方向において異ならせて形成され、前記第2の打ち抜き部は、前記第2の領域に設けてある打ち抜き位置に対応して複数設けられ、前記不要樹脂を押圧する第2の押圧体を有しており、前記各第2の押圧体は、前記押圧する方向における先端部から前記成形品保持部までの距離を前記ランナーが延びる方向において異ならせて形成されている構成としてもよい。
この場合は、第1の打ち抜き部で各ランナーを打ち抜く際に、ランナーが延びる方向において、異なるタイミングで打ち抜くことができる。これにより、各ランナーを打ち抜く際に発生する負荷が、各ランナーが延びる方向において、打ち抜くタイミングごとに分散され、一度に集中することを抑止できる。
また、第2の打ち抜き部で各ランナーを打ち抜く際に、ランナーが延びる方向において、異なるタイミングで打ち抜くことができる。これにより、各ランナーを打ち抜く際に発生する負荷が、各ランナーが延びる方向において、打ち抜くタイミングごとに分散され、一度に集中することを抑止できる。
本発明は、半導体パッケージの製造において、半導体パッケージの製造において、樹脂封止成形品から、カルやランナー等の不要樹脂を除去するゲートブレイクを行う際に、発生する負荷を軽減して安定的に打ち抜くことができるゲートブレイク方法及びゲートブレイク装置を提供することができる。
本発明に係るゲートブレイク装置の第1実施形態を示す、図2のY―Y断面正面視説明図である。 図1に示すゲートブレイク装置の領域A用のパンチ部を示す、図1のX―X断面側面視説明図である。 図1に示すゲートブレイク装置の領域B用のパンチ部を示す、図1のZ―Z断面側面視説明図である。 ゲートブレイク装置によるゲートブレイクの対象となる成形品の平面視説明図である。 ゲートブレイク装置によるゲートブレイクの工程を示し、成形品を保持盤と押圧盤で保持した状態の説明図である。 ゲートブレイク装置によるゲートブレイクの工程を示し、領域A用のパンチ板でランナーを打ち抜いている状態の説明図である。 ゲートブレイク装置によるゲートブレイクの工程を示し、領域B用のパンチ板でランナーを打ち抜いている状態の説明図である。 ゲートブレイク装置の第2実施形態を示す領域A用のパンチ板及びパンチピンを示す、図1のX―X位置相当の断面側面視説明図である。 ゲートブレイク装置の変形例を示す要部側面視断面説明図である。
図1乃至図3を主に参照して、本発明に係るゲートブレイク装置の一実施の形態を詳細に説明する。なお、図1は図2のY―Y断面正面視説明図であり、図2は図1のX―X断面側面視説明図であり、図3は図1のZ―Z断面側面視説明図である。
以下の説明において、場所又は方向の説明をする際の「前後」の表現については、各正面視説明図(図1、図5乃至図7等)の紙厚み方向において、紙表方を「前」、紙裏方を「後」として説明する。
また、「上下」の表現については、各正面視説明図(図1、図5乃至図7等)の紙面における奥方を「上」とし、紙面における手前方を「下」として説明する。更に、「左右」の表現については、同図の紙面における左方を「左」とし、紙面における右方を「右」として説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係るゲートブレイク装置Gは、半導体パッケージを製造する樹脂封止装置(図示省略)において、金型を備える成形ユニット(図示省略)を使用して行われる樹脂封止成形品8を成形する工程の後工程に配置されるものであり、下ブレイク盤1と上ブレイク盤2を備えている(図1、図2参照)。
(樹脂封止成形品8)
ここで、図4を参照して、ゲートブレイク装置Gにより行われるゲートブレイクの対象となる樹脂封止成形品8について説明する。樹脂封止成形品8は、基材である二枚のリードフレーム80を有している。各リードフレーム80は、所要間隔でカル81とランナー82で繋がれて並設されている。
各リードフレーム80は、複数のカル81と、各カル81から各リードフレーム80の裏面に沿って4本ずつ延びているランナー82を介して同じ高さで繋がっている(図3に示している樹脂封止成形品8を参照)。
また、各リードフレーム80には、半導体素子を樹脂封止した、平面視で四角形の半導体パッケージ83が、各ランナー82にゲート(図示省略)を介し繋がった状態で多数設けられている。
各リードフレーム80には、左右方向の隣り合う各半導体パッケージ83の列の間の、各ランナー82に対応する位置に、複数の通孔が表裏方向に貫通して設けられている。各通孔及び不要樹脂の打ち抜きのタイミングが異なる領域について、以下、詳しく説明する。
樹脂封止成形品8に設定される領域は、先行してランナー82が打ち抜かれる領域A(本発明にいう第1の領域)と、後行でランナー82が打ち抜かれる領域B(本発明にいう第2の領域)から構成されている。
なお、領域に関して、本実施の形態では、領域Aと領域Bの2種類で構成されているが、これに限定するものではなく、打ち抜きのタイミングが異なる3種類以上の領域で構成することもできる。
ここで、3種類以上の領域で樹脂封止成形品8が構成されている場合、打ち抜きのタイミングが、全ての領域で異なってもよいし、複数の領域で異なる一方で残りの領域は同じであってもよい。
また、領域Aは、樹脂封止成形品8の左右方向において、左右両端部寄りと中央部の合計3箇所に設けられている。また、領域Bは、左端部寄りの領域Aと中央部の領域Aとの間及び右端部寄りの領域Aと中央部の領域Aとの間の合計2箇所に設けられている(図1に示している樹脂封止成形品8も参照)。
樹脂封止成形品8の左右両端部寄りの各領域Aは、一つのカル81及びそれに繋がる合計8本のランナー82を含み、中央部の領域Aは、二つのカル81及びそれに繋がる合計16本のランナー82を含んでいる。また、各領域Bは、それぞれ二つのカル81及びそれに繋がる合計16本のランナー82を含んでいる。
なお、領域A及び領域Bにそれぞれ含まれる、複数のランナー82が繋がるカル81の数は特に限定するものではなく、単数であってもよいし、複数であってもよい。このように、各領域Aと各領域Bは、各カル81に繋がっている全てのランナー82を含むものである。
また、樹脂封止成形品8は、左右方向に配列された8個のカル81を有し、上記のように各カル81から前後方向において片方で4本ずつランナー82が延び出している。
各領域Aにおいては、樹脂封止成形品8の前後方向に、通孔84、85が各ランナー82に対応して設けられている。この通孔84、85は、通孔84がランナー82に沿って細長く形成された溝孔であり、通孔85が円孔である。
通孔84は、各リードフレーム80の前後方向の両端部寄りに設けてあり、通孔85は、各通孔84の間に、それぞれ所定の間隔で2箇所に設けてある。
また、上記通孔は、各領域Bにおいては、樹脂封止成形品8の前後方向に、各ランナー82に対応して設けられている。この通孔86、87は、通孔86が細長く形成された溝孔であり、通孔87が円孔である。
通孔86は、各リードフレーム80の前後方向の両端部寄りに設けてあり、通孔87は、各通孔86の間に、それぞれ所定の間隔で2箇所に設けてある。
そして、各領域Aの溝孔である各通孔84には、上記上ブレイク盤2が有する、ランナー82の先部と基部を打ち抜くパンチ板22が通される。また、円孔である各通孔85には、ランナー82の中間部を打ち抜くパンチピン23が通される(通孔84とパンチ板22のみ、図5のP1部分の拡大図等参照)。
また、各領域Bの溝孔である各通孔86には、同じく上ブレイク盤2が有する、ランナー82の先部と基部を打ち抜くパンチ板24が通される。更に、円孔である各通孔87には、ランナー82の中間部を打ち抜くパンチピン25が通される(通孔86とパンチ板24のみ、図5のP1部分の拡大図等参照)。
(下ブレイク盤1)
図1、図2を参照する。
下ブレイク盤1は、移動可能な保持台盤10を備えている。保持台盤10は、樹脂封止成形品8を保持する保持部12(本発明にいう成形品保持部)と、前後に平面視長方形状の排出口13を備えている。
なお、排出口13は、図1及び図5乃至図7の上図等では便宜上、図示を省略しているが、後で説明する図5乃至図7のP1部分、P2部分及びP3部分の拡大図に示すように、各ランナー82に対応して、左右方向に所定の間隔で設けられている。
なお、図示はしないが、保持部12の構造は、保持部12に載置された樹脂封止成形品8の各カル81と各ランナー82を打ち抜くときに、各カル81と各ランナー82以外の部分を下から支持できる構造である。これにより、各ランナー82の打ち抜きが円滑にできるようにすると共に、リードフレーム80の変形を抑止できるようにしている。
(上ブレイク盤2)
図1乃至図3を参照する。
上ブレイク盤2は、下ブレイク盤1の上方に配してある。上ブレイク盤2は、押圧盤20を有している。押圧盤20は、下ブレイク盤1の保持台盤10と協働して樹脂封止成形品8を保持する。また、押圧盤20は、本発明にいう移動体を構成する。
また、押圧盤20の上面には、取り付け具210を介して連結部材21が4箇所に設けられている。そして、連結部材21が昇降操作部(図示せず)に連結されることで、上ブレイク盤2は、水平状態で昇降操作が可能となる。
押圧盤20の下面には、上記各通孔84、各通孔85、各通孔86及び各通孔87に対応するパンチ板22、24とパンチピン23、25が設けてある。以下、パンチ板22、24とパンチピン23、25の取り付け構造及び配置について、詳しく説明する。
押圧盤20において、保持部12に載置された樹脂封止成形品8の各領域Aに対応する位置には、各通孔84に通されるパンチ板22と、各通孔85に通されるパンチピン23が設けてある(図2参照)。
また、押圧盤20において、樹脂封止成形品8の各領域Bに対応する位置には、各通孔86に通されるパンチ板24と、各通孔87に通されるパンチピン25が設けてある(図3参照)。
なお、領域Aに対応するパンチ板において、押圧盤20の前後方向の中央部には、それぞれ前後方向において所定の間隔で2箇所に、カル81を打ち抜くパンチピン28が設けてある(図2参照)。
また、領域Bに対応するパンチ板において、押圧盤20の前後方向の中央部には、それぞれ前後方向において所定の間隔で2箇所に、カル81を打ち抜くパンチピン29が設けてある(図3参照)。
押圧盤20は、板厚の大きな領域と、板厚の小さな領域とを有している。そして、板厚の大きな領域の下面200には、領域A用のパンチ板22とパンチピン23の基端(図1において上端)が当接している。板厚の小さな領域の下面201には、領域B用のパンチ板24とパンチピン25の基端(図1乃至図3において上端)が当接している。
なお、領域A用のパンチ板22とパンチピン23は、本発明にいう第1の打ち抜き部を構成し、領域B用のパンチ板24とパンチピン25は、本発明にいう第2の打ち抜き部を構成する。また、第1の打ち抜き部と第2の打ち抜き部は、本発明にいう押圧体を含む。
また、各パンチ板22及びパンチピン23は、下面200に対して直角、かつ互いに平行になるように固定されている。更に、各パンチ板24及びパンチピン25は、下面201に対して直角、かつ互いに平行になるように固定してある。
なお、各パンチ板22及びパンチピン23、各パンチ板24及びパンチピン25は、押圧盤20の下面に前後方向に所定の間隔で並設された取り付け盤26、26aを介して固定されている。
また、各パンチ板22と各パンチピン23の長さ及び各パンチ板24と各パンチピン25の長さは、押圧盤20が移動する移動方向において、それぞれ同じ長さに形成されている。なお、各パンチ板22、24については、前後方向の3箇所に設けられた切り欠き部220、240を介し分けられた4箇所の各先端(符号省略)は、同じ長さに形成されている(図2、図3参照)。
そして、領域A用のパンチ板22とパンチピン23の基端が板厚の大きな領域の下面200に当接し、領域B用のパンチ板24とパンチピン25の基端が板厚の小さな領域の下面201に当接している。
そのため、それぞれの先端から保持部12までの、押圧盤20の移動による移動方向における距離、換言すると、保持部12に載置された樹脂封止成形品8の各ランナー82までの、押圧盤20の移動による移動方向における距離が異なっている。以下、「移動方向における距離」の記載は、「押圧盤20の移動による移動方向における距離」を意味するものである。
詳しくは、領域A用の各パンチ板22及び各パンチピン23の先端から各ランナー82までの移動方向における距離(間隔)はそれぞれ同じであり、領域B用の各パンチ板24及び各パンチピン25の先端から各ランナー82までの移動方向における距離もそれぞれ同じである。しかし、領域A用と領域B用を比較すると、領域B用の方が下面200と下面201との段差分、すなわち、図5のP1部分の拡大図に示すL1の長さだけ距離が長い。
この距離の違いに起因して、領域A用の各パンチ板22及び各パンチピン23でランナー82を打ち抜くタイミングと、領域B用の各パンチ板24及び各パンチピン25でランナー82を打ち抜くタイミングに時間的な差が生じることとなる。
なお、各領域においてカル81を打ち抜くパンチピン28、29は、押圧盤20の移動方向における距離(長さ)が互いに同じ長さに形成されている。一方で、パンチピン28、29の基端(図2、図3において上端)が当接している押圧盤20の板厚が異なっている。
そのため、パンチピン28、29は、それぞれの先端から保持部12までの距離、換言すると、保持部12に載置された樹脂封止成形品8の各カル81までの距離が異なっている。
詳しくは、領域Aにおいて、パンチピン28の先端から各カル81までの移動方向における距離は、各パンチ板22、各パンチピン23の先端から各ランナー82までの移動方向における距離よりやや長く設定されている。
また、領域Bにおいて、パンチピン29の先端から各カル81までの移動方向における距離は、各パンチ板24、各パンチピン25の先端から各ランナー82までの移動方向における距離よりやや長く設定されている。
更に、各パンチピン28の基端が当接している押圧盤20の板厚は、各パンチピン29の基端が当接している押圧盤20の板厚よりも大きい。そのため、各パンチピン29の先端から各カル81までの移動方向における距離は、各パンチピン28の先端から各カル81までの移動方向における距離よりも長くなる(図2及び図3参照)。
また、押圧盤20の下方には、押圧盤20に対して進退動可能にガイド盤27が設けてある。ガイド盤27は、図示しない付勢体を介して押圧盤20から離れる方向へ付勢されており、常態においては、押圧盤20と所定の間隔で、かつ平行状態で位置している(図1参照)。
なお、この常態においては、以下に説明する挿通孔に各パンチ板22、24、各パンチピン23、25及びパンチピン28、29が、それぞれの先端が内部に収まるようにして挿通されている(図1乃至図3参照)。
ガイド盤27には、各パンチ板22、24、各パンチピン23、25及びパンチピン28、29と対応する位置に、各パンチ板22、24、各パンチピン23、25及びパンチピン28、29を挿通する挿通孔が表裏面を貫通して設けてある。
詳しくは、各パンチ板22、24を挿通する溝孔である挿通孔270と、各パンチピン23、25を挿通する円孔である挿通孔271と、パンチピン28、29を挿通する円孔である挿通孔272が設けてある(図2、図3参照)。
(作用)
図1乃至図4及び図5乃至図7を参照して、本実施の形態に係るゲートブレイク装置Gの作用を説明する。なお、図5乃至図7の断面位置は、図1と同様に、図2のY―Yに対応する位置である。
〔1〕ゲートブレイク装置Gによりゲートブレイクを行う初期の状態では、所定の位置に水平状態で位置している下ブレイク盤1の保持部12に樹脂封止成形品8が載置されている。また、上ブレイク盤2は、下ブレイク盤1の上方に所定の間隔をおいて水平状態で位置している(図1参照)。
〔2〕昇降操作部が作動し、上ブレイク盤2が水平状態、つまり押圧盤20と保持台盤10が平行な状態を保ちながら下降して、上ブレイク盤2のガイド盤27の下面が樹脂封止成形品8に当接する(図5、特にP1部分の拡大図参照)。
このとき、ガイド盤27は、付勢体による付勢力に抗して上方へ移動可能であることで緩衝作用を有しており、製品である半導体パッケージ83に対し、樹脂封止成形品8の固定に必要な力以上の負荷をかけることを抑止できる。
〔3〕昇降操作部により、上ブレイク盤2を更に下降させると、樹脂封止成形品8をガイド盤27で固定したまま、押圧盤20が付勢力に抗して下降し、取り付け盤26、26aとガイド盤27との間隔が狭まる(図6、特にP2部分の拡大図参照)。なお、上記〔2〕から〔3〕への移行は、停止することなく連続して行われる。
これにより、領域A用の各パンチ板22、各パンチピン23(パンチピン23は、図6では断面位置の関係で見えない)及び領域B用の各パンチ板24、各パンチピン25(パンチピン25は、図6では断面位置の関係で見えない)が、挿通孔270、271(挿通孔271は、図6では断面位置の関係で見えない)内を下方へ移動する。
そして、まず、領域A用の各パンチ板22及び各パンチピン23が、挿通孔270、271から下方へ突出し、各ランナー82を下方へ打ち抜く。続いて、各パンチピン28がカル81を押し下げる。
これにより、各領域Aのカル81と、それに繋がる全ての各ランナー82がリードフレーム80から分離して、排出口13内を下方へ落下する。このとき、領域B用の各パンチ板24、各パンチピン25は、まだ挿通孔270、271の内部に位置している。
なお、カル81を介して互いに繋がれた各ランナー82は、他のカル81を介して繋がれた各ランナー82とは独立している。このため、異なるカル81に繋がれた各ランナー82は、互いに干渉することがなく、各ランナー82を打ち抜く際には、各領域Aの各ランナー82だけをスムーズに打ち抜くことが可能である。
〔4〕昇降操作部により、上ブレイク盤2を更に下降させると、樹脂封止成形品8をガイド盤27で固定したまま、押圧盤20が付勢力に抗して下降し、取り付け盤26、26aの下面とガイド盤27の上面が若干の隙間を以て近接し、上ブレイク盤2は停止する(図7、特にP3部分の拡大図参照)。なお、上記〔3〕から〔4〕への移行は、停止することなく連続して行われる。
これにより、領域B用の各パンチ板24、各パンチピン25が挿通孔270、271から下方へ突出し、上記領域A用の各パンチ板22及びパンチピン23に遅れて、各領域Bの各ランナー82を下方へ打ち抜く。
続いて、各パンチピン29がカル81を押し下げ、各領域Bのカル81と、それに繋がる全ての各ランナー82がリードフレーム80から分離して、排出口13内を下方へ落下する。このように、ゲートブレイクにおける各ランナー82の打ち抜きを、各領域Aと各領域Bの2回に分けて、異なるタイミングで行うので、機器にかかる負荷が一度に集中することを抑止できる。
また、機器にかかる負荷が、領域Aの各ランナー82を打ち抜くときと、領域Bの各ランナー82を打ち抜くときに分散され、負荷を軽減することができる。これにより、各ランナー82を安定的に打ち抜くことができる。更には、機器の寿命を延ばして、交換周期を長くすることが期待できる。
また、領域Aと領域Bごとに、それぞれカル81を介して互いに繋がれた複数のランナー82の全てをまとめて打ち抜くので、例えばランナー82ごとに異なるタイミングで打ち抜く場合と比較して、打ち抜きの回数を抑制することが可能になり、作業効率にも優れる。
なお、各パンチ板22と各パンチピン23による先行の打ち抜きと、各パンチ板24と各パンチピン25による後行の打ち抜きの工程は、工程の一部を重複させてもよいし、重複させなくてもよく、特に限定はしない。
また、上記各工程を重複させるより重複させない方が、負荷の軽減を図る上では好ましい。また、重複させない場合の先行の打ち抜き終わりのタイミングと、後行の打ち抜き初めのタイミングの時間的な間隔は、特に限定しないが、ゲートブレイクを効率的に行うには、短い方が好ましい。
(第2の実施の形態)
図8を参照する。
第2の実施の形態に係るゲートブレイク装置は、上ブレイク盤2xを備えている。なお、図8では、下ブレイク盤の図示は省略している。上ブレイク盤2xは、上記ゲートブレイク装置Gの上ブレイク盤2との比較で、各パンチ板22a、22bの構造だけがパンチ板22と相違しており、他の部分の構造は同様である。
詳しくは、上ブレイク盤2xの各パンチ板22a、22b及び領域B用の各パンチ板(図8では切断位置の関係で見えない:次の切り欠き部も同様)は、基端から、前後方向の3箇所に設けられた切り欠き部220a、220bを介し分けられた4箇所の各先端(符号省略)までの長さが異なっている。
すなわち、各パンチ板22aの先端は、パンチピン28に向かう方向へ、段階的に上り傾斜している。また、パンチピン28へ向かう方向に隣り合うパンチ板22bの先端は、同じく段階的な上り傾斜が、パンチ板22aの先端が並ぶ方向の傾斜角と同じ角度の、点線で表した同一直線上で連続するように形成されている(図8、特にP4部分の拡大図参照)。
なお、パンチ板22aは、本発明にいう第1の押圧体を構成し、パンチ板22bは、本発明にいう第2の押圧体を構成する。また、一組のパンチ板22a、22bは、図8に示すように、パンチピン28の前後方向に、互いに対称構造となるように配されている。
すなわち、パンチ板22aは、各ランナー82が延びる方向において、押圧方向の先端部から各ランナー82までの距離を異ならせて形成されている。また、パンチ板22bは、各ランナー82が延びる方向において、押圧方向の先端部から各ランナー82までの距離を異ならせて形成されている。なお、パンチ板22aの前端とパンチ板22bの後端では、L2の長さだけ距離の差がある(図8のP4部分の拡大図参照)。
パンチ板22a、22bによれば、各ランナー82を打ち抜く際に、各ランナー82の延びる方向(長さ方向)において、複数のタイミングで、或いは連続的に変化する異なるタイミングで打ち抜くことができる。
これにより、各ランナー82を打ち抜く際に発生する負荷が、各ランナー82の延びる方向において、打ち抜くタイミングごとに分散され、一度に集中しない。また、機器にかかる負荷を軽減することができる。
なお、ランナー82が延びる方向で、押圧体により異なるタイミングで打ち抜く構成において、押圧体であるパンチ板の数は特に限定するものではなく、適宜設定が可能である。
また、パンチ板22a、22bの先端形状は、上記のように長さが段階的に異なる形状(例えば先端が段階的に形成された板体、或いは連設された長さが異なるピン等)でもよいし、連続的に押圧体の長さが異なる形状(例えば先端に傾斜面を有する板体等)であってもよい。
(変形例)
図9を参照する。
図9には、ゲートブレイク装置の変形例を示している。この変形例においては、下ブレイク盤1xに、パンチ板22a、22bによって各ランナー82を打ち抜く際に、各カル81と各ランナー82を切断することができるブレード3を備えている。
詳しくは、下ブレイク盤1xの保持台盤10xにおいて、パンチピン28に前後方向に隣接する端壁101に、ブレード3が刃部(符号省略)を鉛直方向に上向きにして固定されている。
ブレード3によれば、カル81に繋がる各ランナー82を、前後方向のパンチ板22a、22bによって打ち抜く際、カル81とランナー82が下降することにより、前後両方の各ランナー82の基部が切断され、排出口13内を落下する。これにより、各カル81と各ランナー82を細かくして分けることができ、これらの量がまとまったときも嵩が大きくならない。
すなわち、ゲートブレイク装置において、各カル81と各ランナー82を含む不要樹脂を溜める容器(図示省略)の容量を小さくしても多くの不要樹脂を収容することができるし、或いは容量の比較的大きい容器を使用すれば、容器内の不要樹脂の廃棄の頻度を少なくすることもできる。
本明細書及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
G ゲートブレイク装置
1 下ブレイク盤
10 保持台盤
12 保持部
13 排出口
2 上ブレイク盤
20 押圧盤
21 連結部材
210 取り付け具
22 パンチ板
220 切り欠き部
23 パンチピン
24 パンチ板
240 切り欠き部
25 パンチピン
26、26a 取り付け盤
27 ガイド盤
270 挿通孔
271 挿通孔
272 挿通孔
28 パンチピン
29 パンチピン
200 下面
201 下面
8 樹脂封止成形品
80 リードフレーム
81 カル
82 ランナー
83 パッケージ
84、85 通孔
86、87 通孔
A 領域
B 領域
1x 下ブレイク盤
10x 保持台盤
101 端壁
3 ブレード
2x 上ブレイク盤
22a、22b パンチ板
220a、220b 切り欠き部

Claims (5)

  1. 基材に載置された半導体素子を樹脂封止した樹脂封止成形品から、押圧体によって打ち抜き位置でカル及びランナーを含む不要樹脂を打ち抜いて分離するゲートブレイク方法であって、
    前記カルの配列方向において、前記カルを介して互いに繋がれた複数の前記ランナーの全てを含む領域に応じて、異なるタイミングで前記ランナーを打ち抜く工程と、
    前記ランナーが延びる方向において、異なるタイミングで前記ランナーを打ち抜く工程と、を備える
    ゲートブレイク方法。
  2. 基材に載置された半導体素子を樹脂封止した樹脂封止成形品から、押圧体によって、打ち抜き位置でカル及びランナーを含む不要樹脂を打ち抜いて分離するゲートブレイク方法であって、
    前記カルを介して互いに繋がれた複数の前記ランナーの全てを含む第1の領域を、第1の打ち抜き部で打ち抜く工程と、
    前記カルの配列方向における位置が前記第1の領域とは異なり、前記カルを介して互いに繋がれた複数の前記ランナーの全てを含む第2の領域を、第2の打ち抜き部で前記第1の打ち抜き部とは異なるタイミングで打ち抜く工程と、を備える
    ゲートブレイク方法。
  3. 基材に載置された半導体素子を樹脂封止した樹脂封止成形品を保持する成形品保持部と、前記成形品保持部で保持された前記樹脂封止成形品から、カル及びランナーを含む不要樹脂を打ち抜く打ち抜き部と、を備えるゲートブレイク装置であって、
    前記打ち抜き部は、
    前記カルを介して互いに繋がれた複数の前記ランナーの全てを含む第1の領域を打ち抜く第1の打ち抜き部と、
    前記カルの配列方向における位置が前記第1の領域とは異なり、前記カルを介して互いに繋がれた複数の前記ランナーの全てを含む第2の領域を、前記第1の打ち抜き部とは異なるタイミングで打ち抜く第2の打ち抜き部と、を有する
    ゲートブレイク装置。
  4. 前記打ち抜き部は、
    前記成形品保持部へ向けて進退動が可能であると共に、前記第1の打ち抜き部及び前記第2の打ち抜き部が固定された移動体を有し、
    前記第1の打ち抜き部の先端部は、前記移動体の移動方向において、前記第2の打ち抜き部の先端部よりも前記成形品保持部に近いところに位置する
    請求項3に記載のゲートブレイク装置。
  5. 前記第1の打ち抜き部は、前記第1の領域に設けてある打ち抜き位置に対応して複数設けられ、前記不要樹脂を押圧する第1の押圧体を有しており、前記各第1の押圧体は、前記押圧する方向における先端部から前記成形品保持部までの距離を前記ランナーが延びる方向において異ならせて形成され、
    前記第2の打ち抜き部は、前記第2の領域に設けてある打ち抜き位置に対応して複数設けられ、前記不要樹脂を押圧する第2の押圧体を有しており、前記各第2の押圧体は、前記押圧する方向における先端部から前記成形品保持部までの距離を前記ランナーが延びる方向において異ならせて形成されている
    請求項4に記載のゲートブレイク装置。
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