JP3859694B1 - 加工板及びその製造方法、母板加工用金型、並びに製品板の製造方法 - Google Patents

加工板及びその製造方法、母板加工用金型、並びに製品板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製品板を枠部で安定に支持することができ、かつ、製品板が脱落しにくい加工板及びその製造方法、母板加工用金型、並びに、製品板の製造方法を提供すること。
【解決手段】枠部14と、少なくともその1辺を介して枠部14に仮止めされている製品板12a〜12fと、枠部14を含む母板であって、製品板12a〜12fに隣接する領域から打ち抜かれ、かつ、元の穴にはめ込まれたものであって、その外周の一部分が枠部14と製品板12a〜12fの境界線上若しくはその近傍にあり、又はその外周の一部分が境界線と交差している支持板16と、枠部16と製品板12a〜12fの境界線又はその近傍に沿って形成され、かつ支持板16の外周の一部分に接する接線上若しくはその近傍を通り、又は支持板16の外周の一部分と交差する凹溝18a〜18dを備えた加工板10及びその製造方法、母板加工用金型、並びに、製品板の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、加工板及びその製造方法、母板加工用金型、並びに製品板の製造方法に関し、さらに詳しくは、製品板(例えば、プリント回路板)の少なくとも1辺が凹溝を介して枠部に仮止めされた加工板(例えば、実装用基板)及びその製造方法、このような加工板を製造するための母板加工用金型、並びにこのような加工板から得られる製品板の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化に伴い、電子機器に用いられるプリント回路板に対しても小型化、異形化の要求が増大している。一方、プリント回路板に電子部品を装着するためのチップマウンターや自動挿入機などの電子部品自動装着機(以下、これを「自装機」という。)は、搬送の関係から、ワークの大きさに上限と下限がある。また、自装機に使用するワークの外形は、実質的に長方形であること、すなわち、少なくとも一つの辺が直線で、これに直交する辺の少なくとも1つが直線であることが要求される。
そこで、小型、かつ異形のプリント回路板上に自装機を用いて電子部品を装着する場合には、まず、プリント配線母板に複数のプリント回路板を作り込み、Vカット法、プッシュバック法、ミシン目法等を用いて、プリント回路板がもとのプリント配線母板に仮止めされた状態とし、次いで、プリント配線母板の外形を自装機で搬送可能な大きさ、形状を有する基板(実装用基板)に切断する方法が用いられている。
この内、Vカット法は、プリント配線母板上に印刷されたプリント回路の境界線に沿ってV字形、U字型等の凹溝(Vカット)を入れ、プリント回路上に電子部品を実装した後、Vカットに沿って破断させる方法である。従って、Vカット法は、その外形が直線的であるプリント回路板に対してのみ適用可能である。
また、ミシン目法は、プリント回路板の境界線に沿って、多数の小孔をあけ、小孔に沿って破断させる方法である。ミシン目法は、破断後の境界線に凹凸が残るので、外形の寸法精度が要求されないプリント回路板に対してのみ適用可能である。
一方、プッシュバック法は、上型及び下型でプリント配線母板を狭持しながら、所定の形状を有する刃物を用いてプリント回路板を打ち抜き、次いで、打ち抜かれたプリント回路板を元の穴にはめ込む方法である。プッシュバック法は、外形の寸法精度が高く、かつ、プリント回路板の形状に制約はないので、特に、異形のプリント回路板に電子部品を自動装着する場合に有効な方法である。
プッシュバック法を用いたプリント配線母板の加工は、一般に、
(1) 電気回路が印刷されたプリント配線母板にプッシュバック用の基準穴を形成し、
(2) プッシュバック用金型を用いて、プリント回路板のプッシュバック加工、及び、必要に応じて部品穴等の穿孔を行い、
(3) 外形切断用金型を用いてプリント配線母板の外形を切断し、所定個数のプリント回路板を含む実装用基板を母板から切り出す、
ことにより行われている。
しかしながら、プッシュバック加工は、一般に、プリント配線母板に強いせん断力が作用するため、反りが発生しやすい。プッシュバック加工と外形切断は、従来、別個の金型を用いて行うのが一般的であったが、母板に対してプッシュバック加工のみを連続して行うと母板に大きな反りが発生し、外形切断が困難になるという問題があった。また、プッシュバック加工用の金型と外形切断用の金型が必要となり、高コスト化を招くという問題があった。さらに、製造された実装用基板に反りが発生し、あるいは、相対的に大きな残留応力があると、枠部からプリント回路板を取り外すのが困難になる。
そこでこの問題を解決するために、特許文献1には、プリント配線母板の搬送方向に対して上流側に配置され、前記プリント配線母板からプリント回路板を打ち抜き、打ち抜かれた前記プリント回路板を元の穴にはめ込むためのプッシュバック手段と、前記プリント配線母板の搬送方向に対して下流側に配置され、プッシュバックされた1又は2以上の前記プリント回路板を含む実装用基板を前記プリント配線母板から切り出すための外形切断手段とを備えたプリント配線母板加工用金型が開示されている。
同文献には、プッシュバック手段によりプッシュバックされた領域が外形切断手段により逐次切り離されるので、プリント配線母板の反りの影響を大きく受けることなく容易に外形切断が行える点、及び、1つの金型でプッシュバック加工と外形切断加工とを行うことができるので、金型コストを低減できる点が記載されている。
また、特許文献2には、プリント配線母板から不要部分を打ち抜くことによって形成され、その両端に第1直線部及び第2直線部を有し、かつ前記第1直線部及び第2直線部がそれぞれ互いに一直線上に並ぶように配置された1又は2以上のプリント回路板部と、その一端が前記第1直線部を介して前記各プリント回路板と一体化し、かつその他端に、前記プリント配線母板の搬送方向に対して平行な1又は2以上の縦スリット素片を、これらが互いに連通するように順次打ち抜くことによって形成される連続した第3直線部を有する第1枠部と、その一端が前記第2直線部を介して前記各プリント回路板部と一体化している第2枠部と、前記第1直線部上又はその近傍であって前記第1直線部と平行な線上に沿って形成された第1Vカットと、前記第2直線部上又はその近傍であって前記第2直線部と平行な線上に沿って形成された第2Vカットとを備えた実装用基板が開示されている。同文献には、このようにして得られた実装用基板は、プリント回路板部と第1枠部及び第2枠部が、それぞれ、第1直線部及び第2直線部を介して一体化しているので、プリント回路板部の形状が極めて複雑である場合であっても、自動実装の際に脱落事故が起きない点、不要部分が打ち抜かれているので、反りが無く、自動実装を円滑に行うことができる点、及び、自動実装終了後はVカットに沿って破断させるだけで個々のプリント回路板に分離できるので、取り外しの際にプリント回路板が破損するおそれがない点が記載されている。
さらに、特許文献3には、プリント配線母板からプリント回路板を打ち抜き、打ち抜かれた前記プリント回路板を元の穴にはめ込むためのプッシュバック手段と、打ち抜かれた前記プリント回路板の少なくとも一方の側方に、前記プリント配線母板の搬送方向に対して平行な縦スリット素片を順次形成することによって、加工板の基準辺となる連続した縦スリットを形成するための縦スリット形成手段とを備えたプリント配線母板加工用金型が開示されている。
特開2002−233996号公報 特開2004−247671号公報 特許3433802号公報
特許文献2に開示されているように、不要部分を打ち抜き、プリント回路板部の両端の直線部を介してプリント回路板部を枠部に仮止めすると、プリント回路板部の形状が極めて複雑であっても、自動実装の際の脱落事故を防止することができる。
しかしながら、プリント回路板の形状や実装用基板の寸法によっては、プリント回路板の両端を枠部で支持できない場合がある。この場合、不要部分を打ち抜くことによって、プリント回路板の1辺のみを枠部で仮止めすることもできる。しかしながら、プリント回路板が細長い形状を有している場合において、プリント回路板の短辺のみを介して枠部に仮止めした時には、プリント回路板の先端に僅かな外力が作用するだけで、プリント回路板と枠部の連結部に大きな曲げモーメントが発生する。この点は、交差する2辺を介してプリント回路板を支持する場合も同様である。そのため、ハンドリングの際にプリント回路板の先端が上下に大きく撓み、最悪の場合は凹溝の部分が破断する。
本発明が解決しようとする課題は、その形状によらず製品板(プリント回路板)を枠部で安定に支持することができ、かつ、ハンドリングの際に製品板が脱落することのない加工板(実装用基板)及びその製造方法、このような加工板を製造するための母板加工用金型、並びに、このようにして得られた加工板から製品板を分離する製品板の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る加工板は、
枠部と、
少なくともその1辺を介して前記枠部に仮止めされている1又は2以上の製品板と、
前記枠部を含む母板であって、前記製品板に隣接する領域から打ち抜かれ、かつ、元の穴にはめ込まれたものであって、その外周の一部分が前記枠部と前記製品板の境界線上若しくはその近傍にあり、又はその外周の一部分が前記境界線と交差している1又は2以上の支持板と、
前記枠部と前記製品板の境界線又はその近傍に沿って形成された1又は2以上の凹溝と
を備えていることを要旨とする。
また、本発明に係る母板加工用金型の1番目は、
母板の搬送方向に対して上流側に配置され、前記母板であって、製品板に隣接する領域から1又は2以上の支持板を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板を元の穴にはめ込むためのプッシュバック手段と、
前記母板の搬送方向に対して下流側に配置され、前記製品板及びプッシュバックされた前記支持板を含む加工板を前記母板から切り出すための外形切断手段とを備え、
前記プッシュバック手段は、その外周の一部分が前記製品板を仮止めするための枠部と前記製品板との境界線上若しくはその近傍にあり、又はその外周の一部分が前記境界線と交差している前記支持板のプッシュバックを行うためのものである
ことを要旨とする。
この場合、前記プッシュバック手段と前記外形切断手段の間に、前記加工板1個分に相当する空打ち領域をさらに備えていても良い。
また、本発明に係る母板加工用金型の2番目は、
母板であって、製品板に隣接する領域から1又は2以上の支持板を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板を元の穴にはめ込むためのプッシュバック手段と、
打ち抜かれた前記支持板の少なくとも一方の側方に、前記母板の搬送方向に対して平行な縦スリット素片を順次形成することによって、加工板の基準辺となる連続した縦スリットを形成するための縦スリット形成手段とを備え、
前記プッシュバック手段は、その外周の一部分が前記製品板を仮止めするための枠部と前記製品板との境界線上若しくはその近傍にあり、又はその外周の一部分が前記境界線と交差している前記支持板のプッシュバックを行うためのものである
ことを要旨とする。
この場合、打ち抜かれた前記支持板の前方又は後方に、前記縦スリットに対して垂直であり、一直線上に並んだ2以上の横スリット素片からなり、かつ、前記横スリット素片の少なくとも1つが前記縦スリットに連通する横スリットを形成するための横スリット形成手段をさらに備えていても良い。
本発明に係る加工板の製造方法は、以下の工程を備えていることを要旨とする。
(イ) 請求項5に記載の母板加工用金型を用いて、前記プッシュバック手段において、母板であって、製品板に隣接する領域から支持板(A)を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板(A)を元の穴にはめ込むプッシュバック工程。
(ロ) 前記支持板(A)を含む領域が前記外形切断手段上に来るように前記母板を搬送し、前記プッシュバック手段において前記母板から新たに支持板(B)を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板(B)を元の穴にはめ込むと同時に、
前記外形切断手段において、前記支持板(A)を含む加工板を前記母板から切り出す外形切断工程。
(ハ) 切り出された前記加工板の枠部と前記製品板の境界線又はその近傍に沿って凹溝を形成する凹溝形成工程。
また、本発明に係る加工板の製造方法の2番目は、以下の工程を備えていることを要旨とする。
(イ) 請求項6に記載の母板加工用金型を用いて、前記プッシュバック手段において、母板であって、製品板に隣接する領域から支持板(A)を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板(A)を元の穴にはめ込むプッシュバック工程。
(ロ) 前記支持板(A)を含む領域が前記空打ち領域に来るように前記母板を搬送し、前記プッシュバック手段において前記母板から新たに支持板(B)を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板(B)を元の穴にはめ込むと同時に、
前記空打ち領域において、直前のプレスでプッシュバックされた前記支持板(A)の空打ちを行う空打ち工程。
(ハ) 前記支持板(A)を含む領域及び前記支持板(B)を含む領域が、それぞれ、外形切断手段上及び前記空打ち領域上に来るように前記母板を搬送し、前記プッシュバック手段において前記母板から新たに支持板(C)を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板(C)を元の穴にはめ込み、かつ、前記空打ち領域において、直前のプレスでプッシュバックされた前記支持板(B)の空打ちを行うと同時に、
前記外形切断手段において、前記支持板(A)を含む加工板を前記母板から切り出す外形切断工程。
(ニ) 切り出された前記加工板の枠部と前記製品板の境界線又はその近傍に沿って凹溝を形成する凹溝形成工程。
また、本発明に係る加工板の製造方法の3番目は、以下の工程を備えていることを要旨とする。
(イ) 請求項7に記載の母板加工用金型を用いて、前記プッシュバック手段において、母板であって、製品板に隣接する領域から支持板(A)を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板(A)を元の穴にはめ込むと同時に、
前記縦スリット形成手段において、打ち抜かれた前記支持板(A)の少なくとも一方の側方に、前記母板の搬送方向に沿って平行に縦スリット素片(A)を形成する第1プレス工程。
(ロ) 前記母板を一定の送り幅だけ搬送し、前記プッシュバック手段において、前記母板から新たに支持板(B)を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板(B)を元の穴にはめ込むと同時に、
前記縦スリット形成手段において、打ち抜かれた前記支持板(B)の少なくとも一方の側方に、前記母板の搬送方向に対して平行に、かつ、前記縦スリット素片(A)と連通するように縦スリット素片(B)を形成し、加工板の基準辺となる連続した縦スリットを形成する第2プレス工程。
(ハ) 切り出された前記加工板の枠部と前記製品板の境界線又はその近傍に沿って凹溝を形成する凹溝形成工程。
また、本発明に係る加工板の製造方法の4番目は、以下の工程を備えていることを要旨とする。
(イ) 請求項8に記載の母板加工用金型を用いて、前記プッシュバック手段において、母板であって、製品板に隣接する領域から支持板(A)を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板(A)を元の穴にはめ込むと同時に、
前記縦スリット形成手段において、打ち抜かれた前記支持板(A)の少なくとも一方の側方に、前記母板の搬送方向に対して平行に縦スリット素片(A)を形成し、
前記横スリット形成手段において、打ち抜かれた前記支持板(A)の前方又は後方に、前記母板の搬送方向に対して平行に前記縦スリット素片を順次形成することにより得られる連続した縦スリットに対して垂直であり、一直線上に並んだ2以上の横スリット素片(A)からなり、かつ、前記横スリット素片(A)の少なくとも1つが前記縦スリットに連通する横スリット(A)を形成する第1プレス工程。
(ロ) 前記母板を一定の送り幅だけ搬送し、前記プッシュバック手段において、前記母板から新たに支持板(B)を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板(B)を元の穴にはめ込むと同時に、
前記縦スリット形成手段において、打ち抜かれた前記支持板(B)の少なくとも一方の側方に、前記母板の搬送方向に対して平行に、かつ、前記縦スリット素片(A)と連通するように縦スリット素片(B)を形成し、加工板の基準辺となる連続した縦スリットを形成し、
前記横スリット形成手段において、打ち抜かれた前記支持板(B)の前方又は後方に、前記縦スリットに対して垂直であり、一直線上に並んだ2以上の横スリット素片(B)からなり、かつ、前記横スリット素片(B)の少なくとも1つが前記縦スリットに連通する横スリット(B)を形成する第2プレス工程。
(ハ) 切り出された前記加工板の枠部と前記製品板の境界線又はその近傍に沿って凹溝を形成する凹溝形成工程。
さらに、本発明に係る製品板の製造方法は、本発明に係る加工板に備えられる前記凹溝に沿って前記枠部を破断させ、前記枠部から前記製品板を分離させることを要旨とする。
また、本発明に係る製品板の製造方法の2番目は、本発明に係る方法により得られる加工板に備えられる前記凹溝に沿って前記枠部を破断させ、前記枠部から前記製品板を分離させることを要旨とする。
製品板の少なくとも1辺を凹溝を介して枠部に仮止めする場合において、製品板に隣接する領域(不要部分)を打ち抜くことに代えて、不要部分をプッシュバックし、支持板として元の穴にはめ込むと、製品板の外周であって、枠部に仮止めされていない部分が支持板により確実に支持される。そのため、製品板が1辺のみ又は交差する2辺を介して枠部に仮止めされている場合であっても、ハンドリングの際に製品板が上下に大きく撓んだり、あるいは、凹溝の部分が破断して製品板が脱落することがない。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、プリント回路板及びこれが枠部で支持された実装用基板について説明するが、本発明は、プリント配線母板以外の「母板」、実装用基板以外の「加工板」、及び、プリント回路板以外の「製品板」に対しても適用することができる。
初めに、本発明の第1の実施の形態に係る実装用基板について説明する。図1(a)、図1(b)及び図1(c)に、それぞれ、本発明の第1の実施の形態に係る実装用基板の平面図、そのB−B’線断面図、及びそのC−C’線断面図を示す。なお、図1においては、見やすくするために各部の寸法を適宜、実際の寸法より拡大・縮小して描いてある。
図1において、実装用基板(加工板)10は、プリント回路板(製品板)12a〜12fと、枠部14と、支持板16と、凹溝18a〜18dとを備えている。
プリント回路板12a〜12fは、それぞれ、その1辺又は交差する2辺を介して、枠部14に仮止めされている。各プリント回路板12a〜12fは、互いに密着しないように、一定の間隔をおいて配置されている。各プリント回路板12a〜12fには、必要に応じて部品穴等として用いられる貫通穴13a、13a…が形成されている。
なお、図1に示すプリント回路板12a〜12fの形状は単なる例示であり、プリント回路板の形状はこれに限定されるものではない。但し、凹溝18a〜18dを介してプリント回路板12a〜12fを枠部14に仮止めする必要があるので、プリント回路板12a〜12fは、少なくとも1つの直線を含んでいる必要がある。また、図1においては、合計6個のプリント回路板12a〜12fを含む実装用基板10が示されているが、これも単なる例示であり、プリント回路板の個数は特に限定されるものではなく、1個以上のプリント回路板を含む実装用基板に対して本発明を適用することができる。
枠部14は、プリント回路板12a〜12fへの自動実装が終了するまでの間、これらを支持するためのものである。枠部14は、実装用基板10の全周に設けられている。枠部14の四隅には、自動実装の際の基準穴又はサブ基準穴となる貫通孔14a、14a…が形成されている。基準穴及びサブ基準穴は、それぞれ、各1個あれば足りるが、基準穴及びサブ基準穴を複数個設けると、複数の方向から自動実装できるという利点がある。
また、枠部14の上下端には、枠部14の外周に連通し、かつ、プリント回路板12a〜12fに連通していない1又は2以上のスリット14b、14b…が形成されている。スリット14b、14b…は、支持板16のプッシュバック加工の際に生ずる反りを低減するためのものである。従って、スリット14b、14b…の個数及び長さは、実装用基板10に発生する反りの程度に応じて、最適な個数及び長さを選択する。また、実装用基板10の上下端に代えて、又はこれに加えて、実装用基板10の左右端にスリット14b、14b…を形成しても良い。なお、反りが少ない場合には、スリット14b、14b…を省略しても良い。
支持板16は、枠部14を含むプリント配線母板であって、プリント回路板12a〜12fに隣接する領域(プリント回路板12a〜12fを構成しない不要部分)から打ち抜かれ、かつ、元の穴にはめ込まれたものからなる。
支持板16は、以下のいずれか条件を満たしている必要がある。
(1) その外周の一部分が枠部14とプリント回路板12a〜12fの境界線上又はその近傍にあること。
枠部14とプリント回路板12a〜12fの境界線上又はその近傍には、凹溝18a〜18dが形成される。プリント回路板12a〜12fは、自動実装が終了した後、凹溝18a〜18dに沿って枠部14を折り曲げることによって、枠部14から分離される。従って、プリント回路板12a〜12fの分離を完全に行うためには、支持板16の外周の一部分(最外周部分)は、枠部14とプリント回路板12a〜12fの境界線上(凹溝18a〜18dの真上)又はその近傍に形成されているのが好ましい。
なお、「境界線の近傍」とは、枠部14とプリント回路板12a〜12fの分離に支障を来さない位置をいう。支持板16の外周の一部分は、境界線の真上に形成するのが最も好ましいが、プリント回路板12a〜12fの分離に支障を来さない限りにおいて、境界線から多少ずれていても良いことを意味する。
(2) その外周の少なくとも一部分が枠部14とプリント回路板12a〜12fの境界線と交差していること。
支持板16の最外周が境界線より内側にある場合、枠部14を破断させると、プリント回路板12a〜12fの周囲にはバリが残る。しかしながら、支持板16の外周と境界線の間隔が僅かであるときには、バリも僅かであるので、バリの除去は容易である。しかしながら、支持板16の外周と境界線の間隔が大きくなると、多量のバリが残り、バリ取り作業が繁雑となる。これに対し、枠部14の強度を低下させない程度に支持板16の外周を境界線より外側に張り出させ、外周の一部分と境界線(凹溝)とを交差させると、バリのないプリント回路板12a〜12fを容易に得ることができる。
なお、図1に示す例においては、支持板16は、複数箇所において枠部14と接しているが、各接触箇所のすべてが、上述した(1)又は(2)のいずれか一方の条件を満たしていても良く、あるいは、一部が(1)の条件を満たし、残りが(2)の条件を満たしていても良い。
また、図1に示す例においては、支持板16は、連続した1つの板からなっているが、これは単なる例示であり、プリント回路板12a〜12fの形状、配置等に応じて、2個以上に分割されていても良い。
凹溝18a〜18dは、いわゆる「Vカット」と呼ばれているものであり、その両端が枠部14の外周に連通するように、枠部14に形成されている。凹溝18a〜18dの断面形状は、通常、V字型であるが、U字型等の他の形状であっても良い。
凹溝18a〜18dは、枠部14とプリント回路板12a〜12fの境界線上又はその近傍に沿って形成されている。
また、凹溝18a〜18dは、
(1) 支持板16の外周の一部分が枠部14とプリント回路板12a〜12fの境界線上又はその近傍にある場合には、支持板16の外周の一部分に接する接線上又はその近傍を通り
(2) 支持板16の外周の一部分が枠部14とプリント回路板12a〜12fの境界線と交差している場合には、支持板16の外周の一部分と交差する
ように形成されている。
ここで、「接線の近傍」とは、枠部14とプリント回路板12a〜12fの分離に支障を来さない位置をいう。支持板16のプッシュバックラインの一部に接するように凹溝18a〜18dを形成する場合、凹溝18a〜18dは、支持板16の外周の一部分(プッシュバックライン)に接する接線の真上に形成するのが最も好ましいが、プリント回路板12a〜12fの分離に支障を来さない限りにおいて、接線から多少ずれていても良いことを意味する。
支持板16が複数箇所において枠部14と接する場合、各接触箇所のすべてが上述した(1)又は(2)のいずれか一方の条件を満たしていても良く、あるいは、一部が(1)の条件を満たし、残りが(2)の条件を満たしていても良い。
さらに、凹溝18a〜18dは、図1に示すように、実装用基板10の上下面に形成するのが最も好ましいが、枠部14の破断に支障を来さない限りにおいて、いずれか一方の面にのみ形成しても良い。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る実装用基板について説明する。図2(a)、図2(b)及び図2(c)に、それぞれ、本発明の第2の実施の形態に係る実装用基板の平面図、そのB−B’線断面図、及びそのC−C’線断面図を示す。なお、図2においては、見やすくするために、各部の寸法を適宜、実際の寸法より拡大・縮小して描いてある。
図2において、実装用基板(加工板)10’は、プリント回路板(製品板)12a〜12eと、枠部14と、支持板16a、16bと、凹溝18a〜18dとを備えている。
実装用基板10’は、合計6個のプリント回路板12a〜12eを含む。これらの内、プリント回路板12bは、対向する2辺を介して枠部14に仮止めされ、残りのプリント回路板12a、12c〜12eは、交差する2辺を介して枠部14に仮止めされている。また、実装用基板10’には、合計2個の支持板16a、16bを含む。この点が、第1の実施の形態と異なる。
なお、
(1)プリント回路板12a〜12eには、必要に応じて部品穴等として用いられる貫通穴13a、13a…が形成されていても良い点、
(2)枠部14には、基準穴及びサブ基準穴となる貫通孔14a、14a…が形成されていても良い点、
(3)枠部14には、必要に応じて、1又は2以上のスリット14b、14b…が形成されていても良い点、
は、第1の実施の形態と同様である。
また、プリント回路板12a〜12e、枠部14、支持板16a、16b、及び凹溝18a〜18bに関するその他の点については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る実装用基板について説明する。図3(a)、図3(b)及び図3(c)に、それぞれ、本発明の第3の実施の形態に係る実装用基板の平面図、そのB−B’線断面図、及びそのC−C’線断面図を示す。なお、図3においては、見やすくするために、各部の寸法を適宜、実際の寸法より拡大・縮小して描いてある。
図3において、実装用基板(加工板)10”は、図1に示す実装用基板10、10…が長辺を介して複数個連結したものからなる。各実装用基板10、10…の境界線には、実装用基板10”の縦の辺に対して垂直であり、かつ、縦の辺に連通している横スリット素片19a、19dと、これらの間に形成された横スリット素片19b、19cからなる横スリットが形成されている。これらの内、横スリット素片19a、19dは、実装用基板10”に発生する反りを低減するための「スリット」としての機能も持つ。
実装用基板10”を構成する各実装用基板10に関するその他の点については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
次に、本実施の形態に係る実装用基板10、10’、10”の作用について説明する。
プリント回路板12a〜12fの少なくとも1辺を凹溝18a〜18dを介して枠部14に仮止めする場合において、プリント回路板12a〜12fに隣接する領域(不要部分)を打ち抜くことに代えて、不要部分をプッシュバックし、支持板16として元の穴にはめ込むと、プリント回路板12a〜12fの外周であって、枠部14に仮止めされていない部分が支持板16により確実に支持される。
そのため、プリント回路板12a〜12fが1辺のみ又は交差する2辺を介して枠部14に仮止めされている場合であっても、ハンドリングの際にプリント回路板12a〜12fの先端が上下に大きく撓んだり、あるいは、凹溝18a〜18dの部分が破断してプリント回路板12a〜12fが脱落することがない。
また、支持板16をプッシュバックした場合、支持板16の形状によっては、実装用基板10に反りが発生する場合がある。これに対し、枠部14の余白部分にスリット14b、14b…を形成すると、実装用基板10に発生する反りを低減することができる。
さらに、支持板16の外周の一部分が枠部14とプリント回路板12a〜12fの境界線上若しくはその近傍にあり、又はその外周の少なくとも一部分が境界線と交差するように支持板16の形状を最適化すると、凹溝18a〜18dに沿って枠部14を破断させるだけで、プリント回路板12a〜12fを容易に分離することができる。
なお、これらの点は、実装用基板10’、10”も同様である。
次に、本発明の第1の実施の形態に係る母板加工用金型について説明する。
図4、図5に、本実施の形態に係る母板加工用金型を示す。図4、5において、母板加工用金型1は、図1に示す実装用基板10を製造するための金型であって、下型20と上型50からなる。下型20及び上型50は、それぞれ、プリント配線母板の搬送方向に対して上流側が、1又は2以上の支持板のプッシュバック加工を行うためのプッシュバック部(プッシュバック手段)3に、また、搬送方向に対して下流側が、プリント回路板及びプッシュバックされた1又は2以上の支持板を含む実装用基板をプリント配線母板から切り出すための外形切断部(外形切断手段)5になっている。
下型20は、図4に示すように、下型ベース板22と、下型ストリッパー24とを備えている。下型ベース板22のプッシュバック部3には、支持板を打ち抜くための第1下パンチ22aが設けられている。また、下型ベース板22の外形切断部5には、プリント配線母板から実装用基板を切り出すための第2下パンチ22bが設けられている。
なお、図1においては、1個の第1下パンチ22aが記載されているが、これは単なる例示であり、複数の支持板が含まれる実装用基板を製造する場合には、これに応じた数の第1下パンチをプッシュバック部3に設ければ良い。
下型ストリッパー24には、第1下パンチ22a、第2下パンチ22bに対応する位置に貫通孔が設けられ、第1下パンチ22a、第2下パンチ22bの周壁面に沿って下型ストリッパー24が上下動可能になっている。
下型ストリッパー24は、下型ベース板22の下方から遊挿される複数個のボルト26、26…によって上方向への移動が規制され、かつ、下型ベース板22と下型ストリッパー24の間に介挿される弾性部材28、28…によって上方向に付勢されている。弾性部材28、28…の材質は、特に限定されるものではないが、ウレタンゴムが好適な一例として挙げられる。さらに、下型ストリッパー24の角部には、下型ベース板22の下方から挿入されるポスト30a〜30dが立設される。ポスト30a〜30dは、プレスの際に下型20及び上型50の位置決めに用いられるものである。
下型ストリッパー24の上面であって、第1下パンチ22aの近傍には、プッシュバック加工の際の位置決めに用いられる位置決めピン32a、32bが設けられている。また、下型ストリッパー24の上面であって、第2下パンチ22bの近傍には、位置決めピン32a、32bに対応する位置に、外形切断加工の際の位置決めに用いられる位置決めピン32c、32dが設けられている。
第2下パンチ22bの上面には、
(1)プリント回路板に部品穴等の貫通穴(第1貫通穴)を形成するための貫通穴形成孔(第1貫通穴形成手段)34、34…、
(2)実装用基板の周囲の余白部分に1又は2以上のスリットを形成するためのスリット形成孔(スリット形成手段)36、36…、
(3)電子部品を自動実装する際の基準穴又はサブ基準穴を形成するための基準穴形成孔38、38…、
が設けられている。
上型50は、図5に示すように、上型ベース板52と、4つのホルダ54a〜54dとを備えている。上型ベース板52及び各ホルダ54a〜54dは、上型ベース板52に立設されたノックピン56、56を基準として積層され、複数の締結ボルト58、58…により締結されている。また、上型50の最先端に位置するホルダ54dのプッシュバック部3及び外形切断部5には、それぞれ、支持板を打ち抜くための第1上型ストリッパー60a、及び実装用基板を切り出すための第2上型ストリッパー60bが取り付けられる。第1上型ストリッパー60a及び第2上型ストリッパー60bは、それぞれ、下型に設けられる第1下パンチ22a及び第2下パンチ22bに対応する位置に設けられる。
第1上型ストリッパー60aは、ホルダ54dに設けられた第1スライドスペース62a内に遊挿される。また、第1上型ストリッパー60aは、その先端がホルダ54dの表面から僅かに突出するように、ホルダ54cの上方から遊挿されるボルト64、64…によって支持され、かつ、下方向への移動が規制されている。また、ボルト64、64…は、ホルダ54b内に設けられる貫通孔65に沿って上下動可能になっている。
第1押圧ピン66a、66a…は、第1上型ストリッパー60aを下方に押圧するためのものであり、ホルダ54b、54cを縦方向に貫通する貫通孔内に遊挿される。その一端は、第1上型ストリッパー60aの上面に当接し、その他端は、ホルダ54aの中央スペース68内に配置される第1押圧板70aの下面に当接している。
第1押圧板70aは、第1押圧ピン66a、66a…を下方に押圧するためのものである。第1押圧板70aの上面とキャップボルト72との間には、弾性部材74、74…が介挿され、弾性部材74、74…により、第1押圧板70aを下方に付勢するようになっている。弾性部材74、74…の材質は、特に限定されるものではないが、ウレタンゴムが好適な一例として挙げられる。
同様に、第2上型ストリッパー60bは、下流側のホルダ54dに設けられた第2スライドスペース62b内に遊挿される。また、第2上型ストリッパー60bは、その先端がホルダ54dの表面から僅かに突出するように、ホルダ54cの上方から遊挿されるボルト64、64…により支持され、下方向への移動が規制されている。
第2押圧ピン66b、66b…は、第2上型ストリッパー60bを下方に押圧するためのものであり、ホルダ54b、54cを縦方向に貫通する貫通孔内に遊挿される。その一端は、第2上型ストリッパー60bの上面に当接し、その他端は、ホルダ54aの中央スペース68内に配置される第2押圧板70bの下面に当接している。第2押圧板70bは、第2押圧ピン66b、66b…を下方に押圧するためのものである。第2押圧板70bの上面には、第2押圧板70bを下方に押圧するためのノックアウト用ブッシュ76、76…が設けられる。ノックアウト用ブッシュ76、76は、無負荷状態において、その先端が上型ベース板52の上面から僅かに突出するように、その長さが決められている。
また、ホルダ54dには、下型20に立設されるポスト30a〜30dに対応する位置に、それぞれ、ポスト誘導穴78a〜78dが設けられる。また、ホルダ54dの下面には、下型20に立設される位置決めピン32a〜32dに対応する位置に、それぞれ、位置決めピン誘導穴80a〜80dが設けられる。
第2下パンチ22bの上面に形成される貫通穴形成孔34、34…、スリット形成孔36、36…、及び基準穴形成孔38、38…に対応する位置には、それぞれ、貫通穴形成ピン82、82…、スリット形成ピン(スリット形成手段)84、84…、基準穴形成ピン86、86…が設けられている。これらの先端は、それぞれ、第2上型ストリッパー60bに設けられた貫通孔内に遊挿されており、第2上型ストリッパー60bが第2スライドスペース62bに沿って上方に移動するに伴い、第2上型ストリッパー60bの下面から突き出すようになっている。
次に、本発明の第1の実施の形態に係る母板加工用金型1の使用方法について説明する。図6に、プレス加工の工程図を示す。まず、図6(a)に示すように、下型20の上面にプリント配線母板8を載せる。このプリント配線母板8は、直前のプレスにおいてプッシュバック加工が行われた支持板(A)16xが、プリント配線母板の元の穴にはめ込まれた状態になっている。
プリント配線母板8は、直前のプレスが終了した後、図6(a)の右方向に搬送され、直前のプレス工程においてプッシュバック加工が行われた部分が外形切断部5上に来るように、下型20の上面に載置される。プリント配線母板8の位置決めは、下型20の上面に設けられた位置決めピン32a〜32dをプリント配線母板8に設けられたプッシュバック基準穴に挿入することにより行われる。
この状態から上型50を下降させると、まず、第1上型ストリッパー60a及び第2上型ストリッパー60bの先端がプリント配線母板8の上面に接触し、第1上型ストリッパー60a及び第2上型ストリッパー60bは、それぞれ、第1スライドスペース62a及び第2スライドスペース62bに沿って上方に移動する。
さらに上型50を下降させると、図6(b)に示すように、プッシュバック部3側では、第1下パンチ22aが第1上型ストリッパー60aを上方に押し上げることによって、新たな支持板(B)16yを打ち抜く。この時、ホルダ54dは、弾性部材28の弾性力に抗して、支持板(B)16yが打ち抜かれた後のプリント配線母板8及び下型ストリッパー24を下方に押し下げる。
一方、外形切断部5側では、第2下パンチ22bが第2上型ストリッパー60bを上方に押し上げることによって、実装用基板10が打ち抜かれる。また、第2上型ストリッパー60bが上方に押し上げられるに伴い、第2上型ストリッパー60bの下面から、貫通穴形成ピン82、82…、スリット形成ピン84、84…、基準穴形成ピン86、86…、の先端が突きだし、実装用基板10に、それぞれ、貫通孔、スリット、並びに、基準穴及びサブ基準穴を形成する。
次に、打ち抜きが終了した後、上型50を上昇させると、図6(c)に示すように、弾性部材28、28…が、その復元力によって、下型ストリッパー24と共にプリント配線母板8を上方に押し上げる。この時、プッシュバック部3側では、弾性部材74、74…により付勢された第1押圧板70aが、第1押圧ピン66aを介して第1上型ストリッパー60aを下方に押し下げる。そのため、上型50が下型20から完全に離脱したときには、図6(c)に示すように、新たに打ち抜かれた支持板(B)16yは、プリント配線母板8の元の穴にはめ込まれた状態となる。
一方、外形切断部5側では、第2上型ストリッパー60bには下方向の付勢力が作用しない。そのため、図6(c)に示すように、上型50が下型から離脱しても、第2上型ストリッパー60bは下降せず、打ち抜かれた実装用基板10は、第2スライドスペース62b内に一旦保持される。また、この時、ノックアウト用ブッシュ76、76…は、上型ベース板52の上方から突き出た状態となる。
上型50をさらに上昇させ、上型50が上死点近傍に近づくと、やがて、プレス機械に設けられた図示しない押圧手段がノックアウト用ブッシュ76、76…を下方に押圧する。また、第2押圧板70bは、第2押圧ピン66bを介して第2上型ストリッパー60bを下方に押し下げる。そのため、上型50が上死点に達した時には、図6(d)に示すように、第2上型ストリッパー60bが元の位置まで押し下げられ、これと同時に、実装用基板10が第2スライドスペース62b内から押し出される。
この後、新たに打ち抜かれた支持板(B)16yが外形切断部5の真下に来るように、プリント配線母板8を右方向に搬送する。そして、上述した手順と同一の手順に従って、次の支持板のプッシュバック加工、及び直前のプレスで打ち抜かれた支持板(B)16yを含む実装用基板10の外形切断加工とを必要回数だけ繰り返す。
図7に、プレス加工された母板の平面図及び母板から切り出された実装用基板の平面図を示す。母板8には、予めプッシュバック基準穴8a、8a…を形成しておく。
母板加工用金型1を用いた母板8のプッシュバック加工は、以下の手順で行う。
まず、母板8に形成されたプッシュバック基準穴8a、8a…に位置決めピン32a、32bを挿入し、プッシュバック部3において、支持板(A)16xのプッシュバックを行う(プッシュバック工程)。
次に、支持板(A)16xが外形切断部5上に来るように母板8を搬送し、プッシュバック基準穴8a、8a…に位置決めピン32a〜32dを挿入し、プッシュバック部3において新たに支持板(B)16yのプッシュバックを行うと同時に、外形切断部5において、支持板(A)16xを含む実装用基板10を切り出す(外形切断工程)。
さらに、切り出された実装用基板10の枠部14とプリント回路板12a〜12fの境界線又はその近傍に沿って、凹溝(Vカット)18a〜18dを形成する(凹溝形成工程)。
得られた実装用基板10は、自動実装工程に送られ、プリント回路板12a〜12f上に電子部品が自動実装される。自動実装終了後、実装用基板10の枠部14を破断させ、プリント回路板12a〜12fを分離する。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る母板加工用金型について説明する。
本実施の形態に係る母板加工用金型は、図示はしないが、第1の実施の形態に係る母板加工用金型1において、プッシュバック手段3と外形切断手段5との間隔を広げ、その間に実装用基板1個分に相当する空打ち領域を設けたことを特徴とする。その他の点については、第1の実施の形態に係る母板加工用金型と同様であるので、説明を省略する。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る母板加工用金型を用いた実装用基板の製造方法について説明する。
まず、プッシュバック手段、空打ち領域及び外形切断手段がこの順で設けられた母板加工用金型にプリント配線母板を載せ、プッシュバック手段において、プリント回路板に隣接する領域から支持板(A)のプッシュバックを行う(プッシュバック工程)。
次に、支持板(A)が空打ち領域上に来るように母板を搬送し、プッシュバック手段において母板から新たに支持板(B)のプッシュバックを行うと同時に、空打ち領域において、直前のプレスでプッシュバックされた支持板(A)の空打ちを行う(空打ち工程)。
次に、支持板(A)を含む領域及び支持板(B)を含む領域が、それぞれ、外形切断手段上及び空打ち領域上に来るように母板を搬送し、プッシュバック手段において母板から新たに支持板(C)のプッシュバックを行い、空打ち領域において直前のプレスでプッシュバックされた支持板(B)の空打ちを行うと同時に、外形切断手段において、2回前のプレスでプッシュバックされた支持板(A)を含む領域から実装用基板を切り出す(外形切断工程)。
さらに、切り出された実装用基板の枠部とプリント回路板の境界線又はその近傍に沿って、凹溝を形成する(凹溝形成工程)。
得られた実装用基板は、自動実装工程に送られ、プリント回路板上に電子部品が自動実装される。自動実装終了後、実装用基板の枠部を破断させ、プリント回路板を分離する。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る母板加工用金型について説明する。図8及び図9に、本実施の形態に係る母板加工用金型を示す。図8及び図9において、母板加工用金型100は、下型120と、上型150とを備えている。
下型120は、図8に示すように、下型ベース板122と、下型ストリッパー124とを備えている。下型ベース板122には、支持板を打ち抜くための下パンチ122aが設けられている。なお、図8においては、1個の下パンチ122aが記載されているが、これは単なる例示であり、下パンチの形状及び個数は、目的に応じて任意に選択することができ、特に限定されるものではない。
下型ベース板122の下パンチ122aの側方には、縦スリット素片を形成するための第1スリットピン126a〜126dが立設される。また、下パンチ122aの前方(プリント配線母板の搬送方向に対して下流側)には、横スリット素片を形成するための第2スリットピン128a〜128dが立設される。
第1スリットピン126a〜126d(縦スリット形成手段)は、下パンチ122aにより打ち抜かれる支持板の側方に、プリント配線母板の搬送方向に対して平行な縦スリット素片を順次形成することによって、連続した縦スリットを形成するためのものである。従って、下型120に立設される第1スリットピンは、連続した縦スリットが形成されるものである限り、その個数、長さ及びその配置を任意に選択することができる。
本実施の形態においては、下パンチ122aの左側方であって、プリント配線母板の搬送方向に沿って一列に立設された2個の第1スリットピン126a、126bと、下パンチ122aの右側方であって、プリント配線母板の搬送方向に沿って一列に立設された2個の第1スリットピン126c、126dの、合計4個の第1スリットピンが用いられる。
また、搬送方向に対して上流側に立設される第1スリットピン126a及び126c(第1縦スリット素片形成手段)は、いずれもその長さが、プレス当たりのプリント配線母板の搬送距離より短くなっている。また、第1スリットピン126a及び126cは、これらによって打ち抜かれる縦スリット素片(第1縦スリット素片)の後端が、それぞれ、次のプレス工程において第2スリットピン128a及び128dにより形成される横スリット素片の側端に連通するように、下パンチ122aの中心に対して相対的に上流側にずらして立設されている。
一方、搬送方向に対して下流側に立設される第1スリットピン126b及び126d(第2縦スリット素片形成手段)は、いずれもその長さが、第1スリットピン126a及び126cによって打ち抜かれる隣接する第1縦スリット素片間の距離より長くなっている。また、第1スリットピン126b及び126dは、これらによって打ち抜かれる縦スリット素片(第2縦スリット素片)の後端が、それぞれ直前のプレス工程において第1スリットピン126a及び126cにより形成される第1縦スリット素片の先端に連通し、かつ、その先端が、それぞれ直前のプレス工程において第2スリットピン128a及び128dにより形成される横スリット素片の側端に連通するように、下パンチ122aの中心に対して相対的に下流側にずらして立設されている。
第2スリットピン128a〜128d(横スリット形成手段)は、第1スリットピン126a〜126dにより形成される縦スリットに対して直角であり、一直線上に並んだ2以上の横スリット素片からなり、かつ、少なくとも1つの横スリット素片が縦スリットと連通する横スリットを形成するためのものである。横スリットを構成する横スリット素片の数は、2以上であれば良く、特に限定されるものではない。
本実施の形態においては、4個の横スリット素片からなる横スリットが形成されるように、合計4個の第2スリットピン128a〜128dが用いられる。また、これらの第2スリットピン128a〜128dは、第1スリットピン126a及び126cと、第1スリットピン126b及び126dの間に一列に立設される。
これらの内、左側端にある第2スリットピン128aは、これによって打ち抜かれる横スリット素片の左端が第1スリットピン126a及び126bにより形成される縦スリットに連通するように、その長さが定められる。同様に、右側端にある第2スリットピン128dは、これによって打ち抜かれる横スリット素片の右端が第1スリットピン126c及び126dにより形成される縦スリットに連通するように、その長さが定められる。
さらに、中間の第2スリットピン128b及び128cは、それぞれ、第2スリットピン128a〜128dにより形成される横スリット素片間の連結部の長さが所定の長さとなるように、その長さが定められる。横スリット素片間の連結部の長さは、特に限定されるものではないが、プリント配線母板の板厚の1倍以上2倍以下が好ましい。連結部の長さがプリント配線母板の板厚の1倍未満になると、連結部の強度が低下するので好ましくない。一方、連結部の長さがプリント配線母板の板厚の2倍を超えると、連結部の破断が困難になるので好ましくない。連結部の長さは、さらに好ましくは、1.3倍以上1.7倍以下である。
また、各第1スリットピン126a〜126bは、図8(b)に示すように、その下端に水平部を有しており、この水平部を下型ベース板122の上面に設けられたザグリ穴に挿入し、ボルト止めすることによって下型ベース板122に固定されている。第2スリットピン128a〜128dも、図示はしないが、同様の手段によって下型ベース板122に固定されている。
なお、第1スリットピン126a〜126d及び第2スリットピン128a〜128dの固定方法は、これに限定されるものではなく、下型ベース板122の下面にザグリ穴を設け、下型ベース板122の下面からスリットピンを挿入・固定しても良い。
下型ストリッパー124には、下パンチ122a、第1スリットピン126a〜126d及び第2スリットピン128a〜128dに対応する位置に、それぞれ貫通孔が設けられ、これらの側壁面に沿って下型ストリッパー124が上下動可能になっている。
また、下型ストリッパー124は、下型ベース板122の下方から遊挿される複数個のボルト130、130…によって上方向への移動が規制され、かつ、下型ベース板122と下型ストリッパー124の間に介挿される弾性部材132、132…によって上方向に付勢されている。弾性部材132、132…の材質は、特に限定されるものではないが、ウレタンゴムが好適な一例として挙げられる。
さらに、下型ストリッパー124の四隅には、上型150に設けられるポスト178、178…を誘導するためのポスト誘導穴124a、124a…が設けられる。同様に、下型ベース板122の対応する位置にも、ポスト誘導穴122c、122c…が設けられる。
下型ストリッパー124の上面であって、下パンチ122aの左側方及び右側方には、それぞれ、プッシュバック加工の際の位置決めに用いられる位置決めピン134a及び134bが立設されている。また、位置決めピン134a及び134bの下流側には、それぞれ、プリント配線母板の搬送距離に対応する位置に、位置決めピン134c及び134dが立設されている。
上型150は、図9に示すように、上型ベース板152と、4つのホルダ154a〜154dとを備えている。上型ベース板152及び各ホルダ154a〜154dは、上型ベース板152に立設されたノックピン156を基準として積層され、複数の締結ボルト158により締結されている。
また、上型150の最先端に位置するホルダ154dには、スライドスペース162が設けられ、このスライドスペース162内に、支持板を打ち抜くための上型ストリッパー160が遊挿される。上型ストリッパー160は、下型120に設けられる下パンチ122aに対応する位置に設けられる。
また、上型ストリッパー160は、その先端がホルダ154dの表面から僅かに突出するように、ホルダ154cの上方から遊挿されるボルト164、164…によって支持され、かつ、下方向への移動が規制されている。また、ボルト164、164…は、ホルダ154b内に設けられる貫通孔166に沿って上下動可能になっている。
押圧ピン168、168…は、上型ストリッパー160を下方に押圧するためのものであり、ホルダ154b、154cを縦方向に貫通する貫通孔内に遊挿される。その一端は、上型ストリッパー160の上面に当接し、その他端は、ホルダ154aの中央スペース170内に配置される押圧板172の下面に当接している。
押圧板172は、押圧ピン168、168…を下方に押圧するためのものである。押圧板172の上面とキャップボルト174との間には、弾性部材176、176…が介挿され、弾性部材176、176…により、押圧板172を下方に付勢するようになっている。弾性部材176、176…の材質は、特に限定されるものではないが、ウレタンゴムが好適な一例として挙げられる。
ホルダ154dの四隅には、下型120に設けられたポスト誘導穴124a…、122c…に対応する位置に、ポスト178、178…が設けられる。ポスト178、178…は、プレスの際に下型120及び上型150の位置決めに用いられるものである。また、ホルダ154dの下面には、下型120に立設される位置決めピン134a〜134dに対応する位置に、それぞれ、位置決めピン誘導穴180a〜180dが設けられている。
さらに、下型120に立設される第1スリットピン126a〜126dに対応する位置には、それぞれ、第1誘導穴(縦スリット形成手段)184a〜184dが設けられる。第1誘導穴184a〜184dは、第1スリットピン126a〜126dの先端を誘導するためのものであり、ホルダ154b〜154dを貫通する長さを有している。
また、ホルダ154aには、第1誘導穴184a、184bの先端と連通し、かつ、その断面の長手方向に沿って上型150を水平方向に貫通する第1切りカス排出路186aと、第1誘導穴184c、184dの先端と連通し、かつ、その断面の長手方向に沿って上型150を水平方向に貫通する第1切りカス排出路186bが設けられる。さらに、第1切りカス通路186a及び186bの一端には、それぞれ、エアーを供給するためのノズル(第1エアー供給手段)188a、188bが設けられている。
下型120に立設される第2スリットピン128a〜128dに対応する位置には、それぞれ、第2誘導穴(横スリット形成手段)190a〜190dが設けられる。第2誘導穴190a〜190dは、第2スリットピン128a〜128dの先端を誘導するためのものであり、ホルダ154c及び154dを貫通する長さを有している。
また、ホルダ154bには、第2誘導穴190a〜190dの先端と連通し、かつ、その断面の長手方向に沿って上型150を水平方向に貫通する第2切りカス排出路192が設けられる。すなわち、上型150の底面から第2切りカス排出路192までの長さは、上型150の底面から第1切りカス通路186a、186bまでの長さより短くなっており、上型150において、第2切りカス通路192と、第1切りカス排出路186a、186bが立体交差するようになっている。さらに、第2切りカス排出路192の一端には、エアーを供給するためのノズル(第2エアー供給手段)194が設けられている。
次に、本発明の第3の実施の形態に係るプリント配線母板加工用金型100を用いたプリント回路板のプッシュバック加工について説明する。図10に、その工程図を示す。まず、図10(a)に示すように、下型120の上面に、プリント配線母板8を載せる。この時、プリント配線母板8に設けられたプッシュバック基準穴8aに位置決めピン134a〜134dを挿入することによって、プリント配線母板8の位置決めを行う。
また、この時、上型150に設けられた第1誘導穴184aには、第1スリットピン126aにより、それ以前のプレス工程において打ち抜かれた切りカス185、185…が詰まった状態にある。他の第1誘導穴184b〜184d及び第2誘導穴190a〜190dについては、図示はしないが、第1誘導穴184aと同様の状態になっている。
このような状態から上型150を下降させると、下パンチ122aが、弾性部材176の付勢力に抗して、上型ストリッパー160を上方に押し上げる。その結果、プリント配線母板8から支持板16が打ち抜かれる。
一方、上型ストリッパー160が上方にスライドするに伴い、ホルダ154dが、弾性部材132の付勢力に抗して下型ストリッパー124を下方に押し下げるので、第1スリットピン126aが、下型ストリッパー124の上面から突き出す。その結果、第1スリットピン126aがプリント配線母板8を突き抜け、プリント配線母板8に縦スリット素片が形成される。
また、この時に打ち抜かれた切りカス185’が第1誘導穴184aに押し込められることによって、第1誘導穴184aの最上端にあった切りカス185''が、第1切りカス排出路186aに排出される。そのため、この時点で第1切りカス排出路186aの一端に設けられたノズル188aからエアーを吹き付けると、切りカス185''が吹き飛ばされ、上型150から排出される。他の第1誘導穴184b〜184d及び第2誘導穴190a〜190dに詰まっている切りカスも、図示はしないが、同様の方法によって上型150から排出される。
プレス終了後、上型150を上昇させると、弾性部材176の付勢力が押圧板172及び押圧ピン168を介して、上型ストリッパー160に伝えられ、上型ストリッパー160を下方に押し下げる。また、これと同時に、弾性部材132が下型ストリッパー124を上方に押し上げる。そのため、打ち抜かれた支持板16が、プリント配線母板8の元の穴の中にはめ込まれる。
次に、本発明の第3の実施の形態に係るプリント配線母板加工用金型100を用いた実装用基板(加工板)の製造方法について説明する。図11に、プレス加工の工程図を示す。
図11(a)は、1回目のプレスが終了し、所定の送り幅だけプリント配線母板8を下流側に搬送した状態を示す。プリント配線母板8には、1回目のプレスで形成された支持板(A)16x、縦スリット素片(A)202a、206a、及び横スリット素片(A)212a、214a、216a、218aが実線で示されている。
なお、プリント配線母板8には、予めプッシュバック基準穴8a、8a…を形成しておく。また、プリント配線母板8には、部品穴、基準穴、サブ基準穴等を予め形成しておいても良く、あるいは、実装用基板10”を切り出した後に、これらを形成しても良い。
この状態から、プリント配線母板8のプッシュバック基準穴8a、8aに位置決めピン134a〜134dを挿入し、2回目のプレスを行うと、図11(a)の破線に示すように、新たに支持板(B)16yのプッシュバックが行われる。
また、これと同時に、打ち抜かれた支持板(B)16yの側方に、プリント配線母板8の搬送方向に沿って平行に縦スリット素片(B)202b、204b、206b、208bが形成され、支持板(B)16yの前方に、横スリット素片(B)212b、214b、216b、218bが形成される。この時、縦スリット素片(A)202a(又は206a)の先端と縦スリット素片(B)204b(又は208b)の後端が連通し、実装用基板の基準辺となる連続した縦スリットとなる。
さらに、新たに形成された縦スリット素片(B)204b、208bの先端と、前のプレスで形成された横スリット素片(A)212a、218aの側端とが連通する。同様に、新たに形成された横スリット素片(B)212b、218bの側端と、前のプレスで形成された縦スリット素片(A)202a、206aの後端とが連通する。
以下、図11(b)に示すように、プリント配線母板を一定の送り幅だけ搬送しながら、プレスを繰り返す。N番目の支持板(N)16n、縦スリット素片(N)202n〜208n及び横スリット素片(N)212n〜218nのプレスが終了した後、さらに母板を搬送し、最後の縦スリット素片(N+1)204n+1、208n+1、及び、最後の横スリット素片(N+1)212n+1〜218n+1のプレスを行う。
プレス終了後、上下にあるプリント配線母板との連結部を単に破断させ、あるいは、シャーリング等により切断し、実装用基板10”を切り出す。
さらに、切り出された実装用基板10”の枠部とプリント回路板の境界線又はその近傍に沿って凹溝を形成すると、図3に示すように、実装用基板10が長辺を介して連結している実装用基板10”が得られる。
得られた実装用基板は、自動実装工程に送られ、プリント回路板上に電子部品が自動実装される。自動実装終了後、実装用基板の枠部を破断させ、プリント回路板を分離する。
次に、本発明の第4の実施の形態に係る母板加工用金型について説明する。本実施の形態に係る母板加工用金型は、図示はしないが、第3の実施の形態に係る母板加工用金型において、横スリット形成手段を省略したことを特徴とする。その他の点については、第3の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
次に、本発明の第4の実施の形態に係る母板加工用金型を用いた実装用基板の製造方法について説明する。
まず、支持板のプッシュバックを行うためのプッシュバック手段及び縦スリット素片形成手段を備えた母板加工用金型にプリント配線母板を載せ、プッシュバック手段において、プリント回路板に隣接する領域から支持板(A)のプッシュバックを行うと同時に、縦スリット形成手段において、打ち抜かれた支持板(A)の少なくとも一方の側方に、母板の搬送方向に沿って平行に縦スリット素片(A)を形成する(第1プレス工程)。
次に、母板を一定の送り幅だけ搬送し、プッシュバック手段において、母板から新たに支持板(B)のプッシュバックを行うと同時に、縦スリット形成手段において、打ち抜かれた支持板(B)の少なくとも一方の側方に、母板の搬送方向に沿って平行に、かつ、縦スリット素片(A)と連通するように縦スリット素片(B)を形成し、実装用基板の基準辺となる連続した縦スリットを形成する(第2プレス工程)。
以下、必要個数の支持板のプッシュバックが終了した後、シャーリング等の手段を用いて、縦スリットに対して垂直に母板を切断し、所定個数の支持板を含む実装用基板を切り出す。さらに、切り出された実装用基板の枠部とプリント回路板の境界線又はその近傍に沿って凹溝を形成する(凹溝形成工程)。
得られた実装用基板は、自動実装工程に送られ、プリント回路板上に電子部品が自動実装される。自動実装終了後、実装用基板の枠部を破断させ、プリント回路板を分離する。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
例えば、図8及び図9においては、縦スリット形成手段として、プレス当たりの搬送距離より短い長さを有する縦スリット素片を形成するための第1縦スリット素片形成手段と、既に形成された隣接する第1縦スリット素片間を連通させる第2縦スリット素片を形成するための第2縦スリット素片形成手段を備えた母板加工用金型100が示されているが、縦スリット形成手段は、プレス当たりの母板の搬送距離より長い長さを有する第3縦スリット素片を形成するための第3縦スリット形成手段でも良い。
また、例えば、図8及び図9においては、実装用基板の両側に縦スリット形成手段が設けられているが、実装用基板は直交する少なくとも2つの辺があれば足りるので、縦スリット形成手段は、片側のいずれか一方にのみ設けても良い。
本発明に係る加工板及びその製造方法は、プリント回路板が凹溝を介して枠部に仮止めされた実装用基板及びその製造方法として用いることができる。
また、本発明に係る母板加工用金型は、プリント回路板が凹溝を介して枠部に仮止めされた実装用基板を製造するための金型として用いることができる。
図1(a)、図1(b)及び図1(c)は、それぞれ、本発明の第1の実施の形態に係る実装用基板の平面図、そのB−B’線断面図、及びそのC−C’線断面図である。 図2(a)、図2(b)及び図2(c)は、それぞれ、本発明の第2の実施の形態に係る実装用基板の平面図、そのB−B’線断面図、及びそのC−C’線断面図である。 図3(a)、図3(b)及び図3(c)は、それぞれ、本発明の第3の実施の形態に係る実装用基板の平面図、そのB−B’線断面図、及びそのC−C’線断面図である。 図4(a)、図4(b)及び図4(c)は、それぞれ、本発明の第1の実施の形態に係る母板加工用金型の下型の平面図、そのB−B’線断面図、及びそのC−C’線断面図である。 図5(a)、図5(b)及び図5(c)は、それぞれ、本発明の第1の実施の形態に係る母板加工用金型の上型の底面図、そのB−B’線断面図、及びそのC−C’線断面図である。 図4及び図5に示す母板加工用金型の使用方法を示す図である。 図4及び図5に示す母板加工用金型を用いた実装用基板の製造方法を示す図である。 図8(a)、図8(b)及び図8(c)は、それぞれ、本発明の第3の実施の形態に係る母板加工用金型の下型の平面図、そのB−B’線断面図、及びそのC−C’線断面図である。 図9(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る母板加工用金型の上型の底面図であり、図9(a)は、そのA−A’線断面図である。 図8及び図9に示す母板加工用金型の使用方法を示す図である。 図8及び図9に示す母板加工用金型を用いた実装用基板の製造方法を示す図である。
符号の説明
10 実装用基板(加工板)
12a〜12f プリント回路板(製品板)
14 枠部
16 支持板
18a〜18d 凹溝

Claims (14)

  1. 枠部と、
    少なくともその1辺を介して前記枠部に仮止めされている1又は2以上の製品板と、
    前記枠部を含む母板であって、前記製品板に隣接する領域から打ち抜かれ、かつ、元の穴にはめ込まれたものであって、その外周の一部分が前記枠部と前記製品板との境界線上若しくはその近傍にあり、又はその外周の一部分が前記境界線と交差している1又は2以上の支持板と、
    前記枠部と前記製品板の境界線又はその近傍に沿って形成された1又は2以上の凹溝と
    を備えた加工板。
  2. 前記加工板は、その1辺のみが前記凹溝を介して前記枠部に仮止めされている製品板を含む請求項1に記載の加工板。
  3. 前記加工板は、交差する2辺が前記凹溝を介して前記枠部に仮止めされている製品板を含む請求項1又は2に記載の加工板。
  4. 前記枠部の外周に連通し、かつ前記製品板に連通していない1又は2以上のスリットをさらに備えた請求項1から3までのいずれかに記載の加工板。
  5. 母板の搬送方向に対して上流側に配置され、前記母板であって、製品板に隣接する領域から1又は2以上の支持板を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板を元の穴にはめ込むためのプッシュバック手段と、
    前記母板の搬送方向に対して下流側に配置され、前記製品板及びプッシュバックされた前記支持板を含む加工板を前記母板から切り出すための外形切断手段とを備え、
    前記プッシュバック手段は、その外周の一部分が前記製品板を仮止めするための枠部と前記製品板との境界線上若しくはその近傍にあり、又はその外周の一部分が前記境界線と交差している前記支持板のプッシュバックを行うためのものである
    母板加工用金型。
  6. 前記プッシュバック手段と前記外形切断手段の間に、前記加工板1個分に相当する空打ち領域をさらに備えた請求項5に記載の母板加工用金型。
  7. 母板であって、製品板に隣接する領域から1又は2以上の支持板を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板を元の穴にはめ込むためのプッシュバック手段と、
    打ち抜かれた前記支持板の少なくとも一方の側方に、前記母板の搬送方向に対して平行な縦スリット素片を順次形成することによって、加工板の基準辺となる連続した縦スリットを形成するための縦スリット形成手段とを備え、
    前記プッシュバック手段は、その外周の一部分が前記製品板を仮止めするための枠部と前記製品板との境界線上若しくはその近傍にあり、又はその外周の一部分が前記境界線と交差している前記支持板のプッシュバックを行うためのものである
    母板加工用金型。
  8. 打ち抜かれた前記支持板の前方又は後方に、前記縦スリットに対して垂直であり、一直線上に並んだ2以上の横スリット素片からなり、かつ、前記横スリット素片の少なくとも1つが前記縦スリットに連通する横スリットを形成するための横スリット形成手段をさらに備えた請求項7に記載の母板加工用金型。
  9. 以下の工程を備えた加工板の製造方法。
    (イ) 請求項5に記載の母板加工用金型を用いて、前記プッシュバック手段において、母板であって、製品板に隣接する領域から支持板(A)を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板(A)を元の穴にはめ込むプッシュバック工程。
    (ロ) 前記支持板(A)を含む領域が前記外形切断手段上に来るように前記母板を搬送し、前記プッシュバック手段において前記母板から新たに支持板(B)を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板(B)を元の穴にはめ込むと同時に、
    前記外形切断手段において、前記支持板(A)を含む加工板を前記母板から切り出す外形切断工程。
    (ハ) 切り出された前記加工板の枠部と前記製品板の境界線又はその近傍に沿って凹溝を形成する凹溝形成工程。
  10. 以下の工程を備えた加工板の製造方法。
    (イ) 請求項6に記載の母板加工用金型を用いて、前記プッシュバック手段において、母板であって、製品板に隣接する領域から支持板(A)を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板(A)を元の穴にはめ込むプッシュバック工程。
    (ロ) 前記支持板(A)を含む領域が前記空打ち領域に来るように前記母板を搬送し、前記プッシュバック手段において前記母板から新たに支持板(B)を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板(B)を元の穴にはめ込むと同時に、
    前記空打ち領域において、直前のプレスでプッシュバックされた前記支持板(A)の空打ちを行う空打ち工程。
    (ハ) 前記支持板(A)を含む領域及び前記支持板(B)を含む領域が、それぞれ、外形切断手段上及び前記空打ち領域上に来るように前記母板を搬送し、前記プッシュバック手段において前記母板から新たに支持板(C)を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板(C)を元の穴にはめ込み、かつ、前記空打ち領域において、直前のプレスでプッシュバックされた前記支持板(B)の空打ちを行うと同時に、
    前記外形切断手段において、前記支持板(A)を含む加工板を前記母板から切り出す外形切断工程。
    (ニ) 切り出された前記加工板の枠部と前記製品板の境界線又はその近傍に沿って凹溝を形成する凹溝形成工程。
  11. 以下の工程を備えた加工板の製造方法。
    (イ) 請求項7に記載の母板加工用金型を用いて、前記プッシュバック手段において、母板であって、製品板に隣接する領域から支持板(A)を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板(A)を元の穴にはめ込むと同時に、
    前記縦スリット形成手段において、打ち抜かれた前記支持板(A)の少なくとも一方の側方に、前記母板の搬送方向に対して平行に縦スリット素片(A)を形成する第1プレス工程。
    (ロ) 前記母板を一定の送り幅だけ搬送し、前記プッシュバック手段において、前記母板から新たに支持板(B)を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板(B)を元の穴にはめ込むと同時に、
    前記縦スリット形成手段において、打ち抜かれた前記支持板(B)の少なくとも一方の側方に、前記母板の搬送方向に対して平行に、かつ、前記縦スリット素片(A)と連通するように縦スリット素片(B)を形成し、加工板の基準辺となる連続した縦スリットを形成する第2プレス工程。
    (ハ) 切り出された前記加工板の枠部と前記製品板の境界線又はその近傍に沿って凹溝を形成する凹溝形成工程。
  12. 以下の工程を備えた加工板の製造方法。
    (イ) 請求項8に記載の母板加工用金型を用いて、前記プッシュバック手段において、母板であって、製品板に隣接する領域から支持板(A)を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板(A)を元の穴にはめ込むと同時に、
    前記縦スリット形成手段において、打ち抜かれた前記支持板(A)の少なくとも一方の側方に、前記母板の搬送方向に対して平行に縦スリット素片(A)を形成し、
    前記横スリット形成手段において、打ち抜かれた前記支持板(A)の前方又は後方に、前記母板の搬送方向に対して平行に前記縦スリット素片を順次形成することにより得られる連続した縦スリットに対して垂直であり、一直線上に並んだ2以上の横スリット素片(A)からなり、かつ、前記横スリット素片(A)の少なくとも1つが前記縦スリットに連通する横スリット(A)を形成する第1プレス工程。
    (ロ) 前記母板を一定の送り幅だけ搬送し、前記プッシュバック手段において、前記母板から新たに支持板(B)を打ち抜き、打ち抜かれた前記支持板(B)を元の穴にはめ込むと同時に、
    前記縦スリット形成手段において、打ち抜かれた前記支持板(B)の少なくとも一方の側方に、前記母板の搬送方向に沿って平行に、かつ、前記縦スリット素片(A)と連通するように縦スリット素片(B)を形成し、加工板の基準辺となる連続した縦スリットを形成し、
    前記横スリット形成手段において、打ち抜かれた前記支持板(B)の前方又は後方に、前記縦スリットに対して垂直であり、一直線上に並んだ2以上の横スリット素片(B)からなり、かつ、前記横スリット素片(B)の少なくとも1つが前記縦スリットに連通する横スリット(B)を形成する第2プレス工程。
    (ハ) 切り出された前記加工板の枠部と前記製品板の境界線又はその近傍に沿って凹溝を形成する凹溝形成工程。
  13. 請求項1から4までのいずれかに記載の加工板に備えられる前記凹溝に沿って前記枠部を破断させ、前記枠部から前記製品板を分離させる製品板の製造方法。
  14. 請求項9から12までのいずれかに記載の方法により得られる加工板に備えられる前記凹溝に沿って前記枠部を破断させ、前記枠部から前記製品板を分離させる製品板の製造方法。
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