JP3741557B2 - 舵取装置及びこれの組立て方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の衝突等により運転者から舵輪に作用する衝撃エネルギーを吸収することが可能とした衝撃エネルギー吸収式の舵取装置及び該舵取装置の上部軸ハウジングと下部軸ハウジングとの嵌合部の間に設けられる衝撃エネルギー吸収体に関する。
【0002】
【従来の技術】
衝撃エネルギー吸収式の舵取装置は、例えば図8に示す如く一端部が舵輪に繋がる上部舵軸(図示せず)を取り囲んで回転可能に支持する上部軸ハウジング100の他端部内周面(嵌合面)と、前記上部舵軸の他端部に繋がる下部舵軸(図示せず)を取り囲んで回転可能に支持する下部軸ハウジング101の一端部外周面(嵌合面)とが筒状の衝撃エネルギー吸収体102を介して軸長方向への相対移動を可能に嵌合され、また、上部舵軸及び上部軸ハウジング100の間に玉軸受(図示せず)が設けてあり、自動車の前面衝突等により運転者から舵輪に衝撃エネルギーが作用したとき、該衝撃エネルギーが上部舵軸、玉軸受及び上部軸ハウジング100を介して衝撃エネルギー吸収体102に伝達され、該衝撃エネルギー吸収体102により衝撃エネルギーを吸収しながら上部軸ハウジング100が下部軸ハウジング101に対し軸長方向へ移動するように構成されている。
【0003】
衝撃エネルギー吸収体102としては、図8に示す如く上部軸ハウジング100の嵌合面及び下部軸ハウジング101の嵌合面の間に全長に亘って嵌合される円筒状の筒部103と、上部軸ハウジング100の端末と当接する鍔部104とを有する非分割タイプと、特開昭58−36761号公報に記載されたものを図9に示す如く上部軸ハウジング100の嵌合面及び下部軸ハウジング101の嵌合面の間に嵌合される円筒状の第1筒部105及び第2筒部106を備え、第1筒部105に上部軸ハウジング100の端末と当接する第1鍔部107を、また、第2筒部106に下部軸ハウジング101の端末と当接する第2鍔部108を夫々設けてなる分割タイプとが知られている。
【0004】
前者の非分割タイプは、筒部103の外周面を上部軸ハウジング100の嵌合面に、また、筒部103の内周面を下部軸ハウジング101の嵌合面にそれぞれ全面接触させ、これらの接触によって上部軸ハウジング100及び下部軸ハウジング101の嵌合面に摩擦力を付与し、該摩擦力によって上部軸ハウジング100の軸長方向への移動を拘束し、運転者から舵輪に作用する衝撃エネルギーによって筒部103を上部軸ハウジング100とともに下部軸ハウジング101に対し移動させるように構成されている。
【0005】
また、後者の分割タイプは、第1筒部105及び第2筒部106の内周面を下部軸ハウジング101の嵌合面に全面接触させるとともに、第1筒部105及び第2筒部106の鍔部側外周面を上部軸ハウジング100の嵌合面に接触させ、これらの接触によって上部軸ハウジング100及び下部軸ハウジング101の嵌合面に摩擦力を付与し、該摩擦力によって上部軸ハウジング100の軸長方向への移動を拘束し、運転者から舵輪に作用する衝撃エネルギーによって第1筒部105を上部軸ハウジング100とともに下部軸ハウジング101に対し移動させるように構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上の如く構成された非分割タイプの衝撃エネルギー吸収体を有する舵取装置にあっては、衝撃エネルギー吸収体102を1工程で組付けることができる反面、上部軸ハウジング100が下部軸ハウジング101に嵌合された嵌合域Hの全長に亘って衝撃エネルギー吸収体102の内周面が下部軸ハウジング101の嵌合面と全面接触し、前記嵌合域Hでの接触面積が分割タイプに比較して多いため、前記嵌合域Hで摩擦力のバラツキが大きくなり、衝撃エネルギー吸収体102の衝撃エネルギー吸収特性が不安定であった。
【0007】
また、以上の如く構成された分割タイプの衝撃エネルギー吸収体102を有する舵取装置にあっては、嵌合域Hにおける第1筒部105及び第2筒部106の間に環状の空間が生じ、衝撃エネルギー吸収体102の前記嵌合域での接触面積が図8に示す非分割タイプに比較して少ないため、前記嵌合域Hで摩擦力のバラツキを小さくできる反面、衝撃エネルギー吸収体102を組付けるとき、第1筒部105及び第2筒部106を独立して組付けることになり、組付け工程が増加するとともに、第1筒部105を下部軸ハウジング101の端末から前記嵌合域Hの終端に亘って所要の摩擦力が得られる状態で嵌合されることになり、第1筒部105の組付け作業が行い難いのである。
【0008】
本発明は上記問題点を解決することができる舵取装置及びこれの組立て方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る舵取装置は、一端部が舵輪に繋がる上部舵軸を取り囲んで支持する上部軸ハウジングと、前記上部舵軸の他端部に繋がる下部舵軸を取り囲んで支持する下部軸ハウジングとが筒状の衝撃エネルギー吸収体を介して軸長方向への相対移動を可能に嵌合してなる舵取装置において、前記衝撃エネルギー吸収体は、上部軸ハウジングに嵌合された第1筒部と、下部軸ハウジングに嵌合され、且つ引張破壊により前記第1筒部と軸長方向に分割されている第2筒部とを有することを特徴とする。
【0010】
第6発明に係る舵取装置の組立て方法は、一端部が舵輪に繋がる上部舵軸を取り囲んで支持する上部軸ハウジングと、前記上部舵軸の他端部に繋がる下部舵軸を取り囲んで支持する下部軸ハウジングとが筒状の衝撃エネルギー吸収体を介して軸長方向への相対移動を可能に嵌合される舵取装置の組立て方法において、前記衝撃エネルギー吸収体は、軸長方向の一端から径方向内側に突設され、前記下部軸ハウジングの端末に当接することが可能な第1鍔部と、他端から径方向外側に突設され、前記上部軸ハウジングの端末に当接することが可能な第2鍔部と、軸長方向の中間に設けられ引張破壊により軸長方向に分割される分割部とを備えており、該衝撃エネルギー吸収体を前記上部軸ハウジングの端末側に内嵌して前記第2鍔部を前記上部軸ハウジングの端末に当接させ、前記上部軸ハウジングに軸長方向への力を加えることにより前記下部軸ハウジングの端末を前記衝撃エネルギー吸収体に内嵌し、引張破壊により前記分割部を軸長方向に破断させ、前記第1鍔部を前記下部軸ハウジングの端末に当接させることを特徴とする。
第7発明に係る舵取装置の組立て方法は、第6発明に係る舵取装置の組立て方法において、前記衝撃エネルギー吸収体の分割部は、複数の周方向位置にスリットを有することを特徴とする。
【0011】
第1発明、第6発明及び第7発明にあっては、組付け以前の衝撃エネルギー吸収体は非分割であるため、該衝撃エネルギー吸収体を1工程で組付けることができる。また、上部軸ハウジング及び下部軸ハウジングが嵌合されるとき、衝撃エネルギー吸収体を分割部で第1筒部及び第2筒部に分割させるため、前記嵌合域における第1筒部及び第2筒部の間に環状の空間を生じさせ、衝撃エネルギー吸収体の前記嵌合域での接触面積を従来の非分割タイプに比較して少なくでき、前記嵌合域で摩擦力のバラツキを小さくでき、衝撃エネルギー吸収体の衝撃エネルギー吸収特性を安定させることができる。
【0012】
第2発明に係る舵取装置は、前記衝撃エネルギー吸収体は、銅製網シートに合成樹脂材料を溶着してなることを特徴とする。
【0013】
第3発明に係る舵取装置は、前記合成樹脂材料はテフロン(登録商標)樹脂であることを特徴とする。
第5発明に係る舵取装置は、前記上部軸ハウジングは端末から軸長方向の中途にかけて拡径された拡径部を有し、前記下部軸ハウジングは端末から軸長方向の中途にかけて縮径された縮径部を有することを特徴とする。
【0014】
第5発明にあっては、衝撃エネルギー吸収体の前記嵌合域での接触面積を比較的少なくすることができるとともに、該衝撃エネルギー吸収体の非分割タイプ、分割タイプに関係なく該衝撃エネルギー吸収体を下部軸ハウジングの嵌合面に容易に嵌合することができ、衝撃エネルギー吸収体の組付け作業性を向上できる。また、上部軸ハウジング及び下部軸ハウジングの嵌合域に拡径部及び縮径部を有するため、例えば縮径部の寸法を拡径部の寸法よりも小さくすることができ、従って、筒部の軸長方向の中間に分割部を有する衝撃エネルギー吸収体を組付ける場合、第1筒部及び第2筒部を完全に嵌合させることができる。
【0015】
第4発明に係る舵取装置は、前記衝撃エネルギー吸収体は、軸長方向両側の径が異なり、軸長方向の中途に、スリットを有するテーパ状の分割部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
第4発明にあっては、下部軸ハウジングにおける第1及び第2の嵌合面の寸法を異ならせることができるため、分割部を有する前記衝撃エネルギー吸収体を組付けるとき、第2筒部が前記第2の嵌合面に完全に嵌合されない間に前記分割部が分割されることを良好に防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1
図1は本発明に係る舵取装置の断面図である。
舵取装置は、一端部が舵取りのための舵輪Aに繋がる上部舵軸1と、該上部舵軸1を取り囲んで内部に支持する円筒状の上部軸ハウジング2と、前記上部舵軸1の他端部に繋がる下部舵軸3と、該下部舵軸3を取り囲んで内部に支持する円筒状であり、一端部が前記上部軸ハウジング2の他端部に嵌合される下部軸ハウジング4と、前記上部軸ハウジング2及び下部軸ハウジング4の嵌合域に嵌合される筒状の衝撃エネルギー吸収体5と、前記上部軸ハウジング2を車体に支持する支持体6とを備えている。
【0018】
上部舵軸1は円筒状に形成され、その一端部が玉軸受7を介して上部軸ハウジング2の一端部内周面に回転可能に支持されており、他端部が棒状の下部舵軸3の一端部に相対回転が不可能であり、軸長方向への移動が可能に嵌合してある。この嵌合部には自動車の衝突等により運転者から舵輪に作用する衝撃エネルギーによって破断し、該衝撃エネルギーを前記衝撃エネルギー吸収体5とともに吸収する例えば合成樹脂製の吸収部材20を設けている。下部舵軸3はその他端部が下部軸ハウジング4の他端部に連結されるセンサハウジング8に軸受9を介して回転可能に支持されている。
【0019】
上部軸ハウジング2の内径は、下部軸ハウジング4の外径よりも大径に形成され、該上部軸ハウジング2の他端部内周面2a(嵌合面)及び下部軸ハウジング4の一端部外周面4a(嵌合面)の間の嵌合域Hに前記衝撃エネルギー吸収体5を嵌合し、該衝撃エネルギー吸収体5を介して上部軸ハウジング2を下部軸ハウジング4に対し軸長方向へ移動を可能としてある。
【0020】
図2は上部軸ハウジング2及び下部軸ハウジング4の嵌合部の分解した断面図、図3は上部軸ハウジング2及び下部軸ハウジング4の嵌合部の断面図である。衝撃エネルギー吸収体5は前記嵌合域Hよりも軸長方向の長さが短い筒部51と、該筒部51の一端部に設けられ、前記下部軸ハウジング4の端末に当接する内向きの第1鍔部52と、前記筒部51の他端部に設けられ、前記上部軸ハウジング2の端末に当接する外向きの第2鍔部53と、前記筒部51の軸長方向の中間に設けられ、前記上部軸ハウジング2及び下部軸ハウジング4が嵌合されるとき第1筒部51a及び第2筒部51bに分割される分割部54とを備えている。
【0021】
この分割部54は、筒部51の周方向に複数のスリット55を設けてなり、前記上部軸ハウジング2を下部軸ハウジング4に嵌合するときの軸長方向への押圧力によって前記スリット55の間の複数の連結片を破断させ、筒部51を第1筒部51a及び第2筒部51bに分割させるのである。尚、スリット55の形状及び個数は特に制限されるものでない。
【0022】
筒部51は、上部軸ハウジング2及び下部軸ハウジング4に付与する摩擦力を、図8に示す従来の非分割タイプの筒部103が上部軸ハウジング2及び下部軸ハウジング4に付与する摩擦力よりも若干高くし、筒部51の分割によって前記嵌合域Hでの接触面積が少なくなったことによる摩擦力の減少を補い、従来の非分割タイプと同等の摩擦力を得ることができるようにしてある。
【0023】
また、衝撃エネルギー吸収体5は、銅製網シートにテフロン樹脂等の合成樹脂材料を溶着してなる板厚0.5 mm程度のシートに前記第1鍔部52及び第2鍔部53と前記スリット55とを成形し、前記シートを円筒状に湾曲させてあるが、その他、割目を有しない円筒としてもよい。
【0024】
以上の如く構成された舵取装置は、上部軸ハウジング2及び下部軸ハウジング4が嵌合されるとき、例えば衝撃エネルギー吸収体5を上部軸ハウジング2の嵌合面に嵌合するとともに、上部軸ハウジング2の端末を第2鍔部53に当接させ、この状態で上部軸ハウジング2を軸長方向へ押圧することによって該上部軸ハウジング2及び衝撃エネルギー吸収体5を下部軸ハウジング4の嵌合面に嵌合する。このとき、衝撃エネルギー吸収体5の筒部51は非分割であるため、該衝撃エネルギー吸収体5を1工程で組付けることができる。
【0025】
そして、衝撃エネルギー吸収体5が嵌合域Hの終端に到達する間で第1鍔部52が下部軸ハウジング4の端末に当接し、衝撃エネルギー吸収体5の軸長方向への移動に抵抗が付与される。この抵抗が付与された状態でさらに上部軸ハウジング2の軸長方向への押圧を継続することにより衝撃エネルギー吸収体5の分割部54が破断し、第2鍔部53を有する第1筒部51a及び第1鍔部52を有する第2筒部51bに分割され、これら第1筒部51a及び第2筒部51bは前記嵌合域Hの両側部に配置され、嵌合域Hの第1筒部51a及び第2筒部51bの間に環状の空間が生ずる。従って、衝撃エネルギー吸収体5の前記嵌合域Hでの接触面積を図8に示した従来の非分割タイプに比較して少なくでき、前記嵌合域Hで摩擦力のバラツキを小さくでき、衝撃エネルギー吸収体5の衝撃エネルギー吸収特性を安定させることができる。
【0026】
また、自動車の前面衝突等により運転者が舵輪Aに当ったときの衝撃エネルギーは、上部舵軸1、玉軸受7及び上部軸ハウジング2を介して衝撃エネルギー吸収体5に作用し、該衝撃エネルギー吸収体5により衝撃エネルギーを吸収しながら上部軸ハウジング2が衝撃エネルギー吸収体5の第1筒部51aとともに下部軸ハウジング4に対し軸長方向へ移動する。また、前記衝撃エネルギーは、上部舵軸1から吸収部材20に作用し、該吸収部材20が破断し、上部舵軸1の移動が許容される。
【0027】
実施の形態2
図4は上部軸ハウジング2及び下部軸ハウジング4の嵌合部の断面図である。実施の形態2の舵取装置は、前記下部軸ハウジング4であり、前記嵌合域Hの軸長方向中間に環状の凹所10を設けたものであり、その他の構成及び作用は実施の形態1と同じであるため、同じ符号を付し、その詳細な説明、構造及び作用を省略する。
【0028】
凹所10は、下部軸ハウジング4における嵌合域Hの両側部に第1及び第2の嵌合面41,42を残し、これら嵌合面41,42の間に設けられる。また、凹所10は例えば塑性加工により形成するのであるが、その他、外周面4aを切削し、嵌合域Hの両側の外径よりも小径としてもよい。
また、凹所10を下部軸ハウジング4に設ける代わりに上部軸ハウジング2に設けるようにしてもよい。
【0029】
実施の形態2にあっては、例えば分割部54を有する前記衝撃エネルギー吸収体5を用いる。この場合、実施の形態1と同様、衝撃エネルギー吸収体5を上部軸ハウジング2の嵌合面に嵌合するとともに、上部軸ハウジング2の端末を第2鍔部53に当接させ、この状態で上部軸ハウジング2を軸長方向へ押圧することによって該上部軸ハウジング2及び衝撃エネルギー吸収体5を下部軸ハウジング4の嵌合面42に嵌合する。
【0030】
そして、衝撃エネルギー吸収体5が嵌合域Hの終端に到達する間で第1鍔部52が下部軸ハウジング4の端末に当接し、衝撃エネルギー吸収体5の軸長方向への移動に抵抗が付与され、この状態でさらに上部軸ハウジング2の軸長方向への押圧を継続することにより衝撃エネルギー吸収体5の分割部54が破断し、第2鍔部53を有する第1筒部51a及び第1鍔部52を有する第2筒部51bに分割され、第1筒部51aは前記第1の嵌合面41に嵌合され、第2筒部51bは前記第2の嵌合面42に嵌合される。従って、衝撃エネルギー吸収体5の前記嵌合域Hでの接触面積を図8に示した従来の非分割タイプに比較して少なくでき、前記嵌合域Hで摩擦力のバラツキを小さくでき、衝撃エネルギー吸収体5の衝撃エネルギー吸収特性を安定させることができる。また、衝撃エネルギー吸収体5は実施の形態1と同様、1工程で組付けることができる。
【0031】
図5は上部軸ハウジング2及び下部軸ハウジング4の嵌合部の断面図である。実施の形態2にあっては、前記嵌合域Hの軸長方向中間に環状の凹所10が設けられているため、図5に示す如く分割部54を有しない衝撃エネルギー吸収体、換言すれば図8に示す従来のものと同様の衝撃エネルギー吸収体を用いた場合においても、衝撃エネルギー吸収体の前記嵌合域Hでの接触面積を図8に示した従来の非分割タイプに比較して少なくでき、前記嵌合域Hで摩擦力のバラツキを小さくできる。
【0032】
また、予め第1筒部51a及び第2筒部51bに分割された分割タイプの衝撃エネルギー吸収体5を組付けるとき、第1筒部51aは前記第2の嵌合面42に嵌合されたあと、嵌合域Hの中間の凹所10に至り、該凹所10では前記嵌合域Hの面と接触することなく移動し、第1の嵌合面41に嵌合され、前記嵌合域Hの終端に至ることになるため、第1筒部51aの組付けを図9に示す従来のものに比較して容易に行うことができる。
【0033】
実施の形態3
図6は上部軸ハウジング2及び下部軸ハウジング4の嵌合部の断面図である。実施の形態3の舵取装置は、前記上部軸ハウジング2の前記嵌合域Hに、端末にかけて拡径された拡径部21を設けるとともに、前記下部軸ハウジング4の前記嵌合域Hに、前記拡径部21との間に環状の空間が生ずるように端末にかけて縮径された縮径部43を設け、前記空間に対し両側に第1及び第2の嵌合面41,42を設けて、第1の嵌合面41に第1筒部51aを嵌合し、第2の嵌合面42に第2筒部51bを嵌合するようにしたものであり、その他の構成及び作用は実施の形態1,2と同じであるため、同じ符号を付し、その詳細な説明、構造及び作用を省略する。
【0034】
拡径部21及び縮径部43は、例えば塑性加工により形成するのであるが、その他、内周面2a又は外周面4aを切削し、嵌合域Hの一側の内径よりも大径、又は外径よりも小径としてもよい。
また、上部軸ハウジング2に拡径部21を設ける代わりに縮径部を設け、下部軸ハウジング4に縮径部43を設ける代わりに拡径部を設けるようにしてもよい。
【0035】
図7は分割部54を有する衝撃エネルギー吸収体の一部を切欠いた正面図である。
衝撃エネルギー吸収体5は、第1鍔部52を有する第2筒部51bを、第2鍔部53を有する第1筒部51aよりも小径に形成し、これら第1筒部51a及び第2筒部51bが複数のスリット55を有するテーパ状の分割部54によって連結されている。
【0036】
実施の形態3にあっては、下部軸ハウジング4における第1及び第2の嵌合面41,42の寸法を異ならせることができるため、分割部54を有する前記衝撃エネルギー吸収体5を組付けるとき、第2筒部51bが前記第2の嵌合面42に完全に嵌合されない間に前記分割部54が分割されることを良好に防止することができる。即ち、第2の嵌合面42の外径寸法を第1の嵌合面41の外径寸法よりも小さくし、第2鍔部53が拡径部21の端部に当接してから、下部軸ハウジング4の拡管部4bが衝撃エネルギー吸収体5に入り込むことにより完全に分割される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る舵取装置の断面図である。
【図2】本発明に係る舵取装置の上部軸ハウジング及び下部軸ハウジングの嵌合部の分解した断面図である。
【図3】本発明に係る舵取装置の上部軸ハウジング及び下部軸ハウジングの嵌合部の断面図である。
【図4】本発明に係る舵取装置の上部軸ハウジング及び下部軸ハウジングの嵌合部の断面図である。
【図5】本発明に係る舵取装置の上部軸ハウジング及び下部軸ハウジングの嵌合部の断面図である。
【図6】本発明に係る舵取装置の上部軸ハウジング及び下部軸ハウジングの嵌合部の断面図である。
【図7】本発明に係る衝撃エネルギー吸収体の一部を切欠いた正面図である。
【図8】従来例を示す舵取装置の上部軸ハウジング及び下部軸ハウジングの嵌合部の断面図である。
【図9】従来例を示す舵取装置の上部軸ハウジング及び下部軸ハウジングの嵌合部の断面図である。
【符号の説明】
2 上部軸ハウジング
4 下部軸ハウジング
5 衝撃エネルギー吸収体
51a 第1筒部
51b 第2筒部
10 凹所
21 拡径部
43 縮径部
H 嵌合域
Claims (7)
- 一端部が舵輪に繋がる上部舵軸を取り囲んで支持する上部軸ハウジングと、前記上部舵軸の他端部に繋がる下部舵軸を取り囲んで支持する下部軸ハウジングとが筒状の衝撃エネルギー吸収体を介して軸長方向への相対移動を可能に嵌合してなる舵取装置において、前記衝撃エネルギー吸収体は、上部軸ハウジングに嵌合された第1筒部と、下部軸ハウジングに嵌合され、且つ引張破壊により前記第1筒部と軸長方向に分割されている第2筒部とを有することを特徴とする舵取装置。
- 前記衝撃エネルギー吸収体は、銅製網シートに合成樹脂材料を溶着してなる請求項1記載の舵取装置。
- 前記合成樹脂材料はテフロン(登録商標)樹脂である請求項2記載の舵取装置。
- 前記衝撃エネルギー吸収体は、軸長方向両側の径が異なり、軸長方向の中途に、スリットを有するテーパ状の分割部が設けられている請求項1記載の舵取装置。
- 前記上部軸ハウジングは端末から軸長方向の中途にかけて拡径された拡径部を有し、前記下部軸ハウジングは端末から軸長方向の中途にかけて縮径された縮径部を有する請求項1記載の舵取装置。
- 一端部が舵輪に繋がる上部舵軸を取り囲んで支持する上部軸ハウジングと、前記上部舵軸の他端部に繋がる下部舵軸を取り囲んで支持する下部軸ハウジングとが筒状の衝撃エネルギー吸収体を介して軸長方向への相対移動を可能に嵌合される舵取装置の組立て方法において、前記衝撃エネルギー吸収体は、軸長方向の一端から径方向内側に突設され、前記下部軸ハウジングの端末に当接することが可能な第1鍔部と、他端から径方向外側に突設され、前記上部軸ハウジングの端末に当接することが可能な第2鍔部と、軸長方向の中間に設けられ引張破壊により軸長方向に分割される分割部とを備えており、該衝撃エネルギー吸収体を前記上部軸ハウジングの端末側に内嵌して前記第2鍔部を前記上部軸ハウジングの端末に当接させ、前記上部軸ハウジングに軸長方向への力を加えることにより前記下部軸ハウジングの端末を前記衝撃エネルギー吸収体に内嵌し、引張破壊により前記分割部を軸長方向に破断させ、前記第1鍔部を前記下部軸ハウジングの端末に当接させることを特徴とする舵取装置の組立て方法。
- 前記衝撃エネルギー吸収体の分割部は、複数の周方向位置にスリットを有する請求項6記載の舵取装置の組立て方法。
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